特許第6981094号(P6981094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981094マグネシウム系熱電変換材料、マグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981094
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】マグネシウム系熱電変換材料、マグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/14 20060101AFI20211202BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20211202BHJP
   C01B 33/06 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H01L35/14
   H01L35/34
   C01B33/06
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-156729(P2017-156729)
(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公開番号】特開2019-36623(P2019-36623A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】中田 嘉信
【審査官】 宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−077680(JP,A)
【文献】 特開2017−050505(JP,A)
【文献】 特開2011−029632(JP,A)
【文献】 特開2012−244001(JP,A)
【文献】 特開2011−249742(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/056278(WO,A1)
【文献】 特開2003−089804(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03196951(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/14
H01L 35/34
C01B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム系化合物の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料であって、
前記焼結体の断面において、マグネシウム系化合物粒子の結晶粒界に、前記マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相が偏在しており、
前記Siリッチ金属相の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされ、
面積が1μm以上の前記Siリッチ金属相の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされていることを特徴とするマグネシウム系熱電変換材料。
【請求項2】
前記マグネシウム系化合物は、MgSi、MgSi1−xGe、MgSi1−xSnのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のマグネシウム系熱電変換材料。
【請求項3】
Li、Na、K、B、Al、Ga、In、N、P、As、Sb、Bi、Ag、Cu、Yのうち、少なくとも1種以上をドーパントとして含むことを特徴とする請求項1または2記載のマグネシウム系熱電変換材料。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマグネシウム系熱電変換材料と、前記マグネシウム系熱電変換材料の一方の面および対向する他方の面にそれぞれ接合された電極と、を備えたことを特徴とするマグネシウム系熱電変換素子。
【請求項5】
マグネシウム系化合物の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料の製造方法であって、
マグネシウム系化合物の原料粉にシリコン酸化物を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、前記焼結原料粉を加圧しながら加熱して焼結体を形成する焼結工程と、を備えており、
前記焼結工程では、前記焼結原料粉を一対の電極部で加圧しながら通電する通電加熱法を用いており、焼結時には、前記焼結原料粉に直流電流を流す際に、一対の電極部の極性を、10秒以上300秒以下の時間間隔で変更することを特徴とするマグネシウム系熱電変換材料の製造方法。
【請求項6】
前記焼結工程では、前記焼結原料粉の外周側に配置されたヒーターによって、さらに前記焼結原料粉を加熱することを特徴とする請求項5に記載のマグネシウム系熱電変換材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱電変換効率に優れたマグネシウム系熱電変換材料、これを用いたマグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱電変換素子は ゼーベック効果、ペルティエ効果といった、熱と電気とを相互に変換可能な電子素子である。ゼーベック効果は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効果であり、熱電変換材料の両端に温度差を生じさせると起電力が発生する現象である。こうした起電力は熱電変換材料の特性によって決まる。近年ではこの効果を利用した熱電発電の開発が盛んである。
【0003】
一方、ペルティエ効果は電気エネルギーを熱エネルギーに変換する効果であり、熱電変換材料の両端に電極等を形成して電極間で電位差を生じさせると、熱電変換材料の両端に温度差が生じる現象である。こうした効果をもつ素子は特にペルティエ素子と呼ばれ、精密機器や小型冷蔵庫などの冷却や温度制御に利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、ゼーベック効果を利用した熱電発電装置を用いて廃熱を有効利用する技術が注目を集めている。例えば、自動車のエンジン排気ガスの排出パイプや、工場やプラントなどにおける高温の流体が流れるパイプの壁面に、こうしたゼーベック素子を用いた熱電発電装置を取り付け、熱電発電装置の他方の面にヒートシンクなどの熱交換部材を取り付けて放熱させることで、これらパイプの熱を電力に変換して利用することが提案されている。
【0005】
このような熱電発電装置としては、例えばモジュール化した複数の熱電変換素子を内蔵する筒状の熱電発電装置を排気ガスまた冷却水を通す一方の通路中に垂直に配置し、各熱電発電装置の内部に冷却水または排気ガスを通す他方の通路を形成して、並列する複数の筒状の熱電発電ユニットの内外の温度差を利用して熱電発電を行うものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、それぞれモジュール化した複数の熱電変換素子を内蔵する筒状の熱電発電装置にフィンを装着してカートリッジ化し、複数のカートリッジ化した熱電発電装置を並列配置する熱電発電システムも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−249742号公報
【特許文献2】特表2012−533972号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0186448号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載されたような、熱電発電素子に用いられる従来の熱電変換材料は、熱電変換効率が低く、必要な電力を発生させるためには大面積の熱電発電素子が必要になるといった問題があった。
【0009】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、熱電変換効率が高いマグネシウム系熱電変換材料、これを用いたマグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のマグネシウム系熱電変換材料は、マグネシウム系化合物の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料であって、前記焼結体の断面において、マグネシウム系化合物粒子の結晶粒界に、前記マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相が偏在しており、前記Siリッチ金属相の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされ、面積が1μm以上の前記Siリッチ金属相の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされていることを特徴としている。
【0011】
マグネシウム系化合物の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料においては、マグネシウム系化合物の結晶粒界にMgOが形成され存在する。このMgOは電気伝導度が低いため、結晶粒界における電気抵抗が高くなり、マグネシウム系熱電変換材料の熱電変換効率が低下するおそれがある。
本発明のマグネシウム系熱電変換材料においては、マグネシウム系化合物の結晶粒界に、前記マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相が偏在しており、このSiリッチ金属相はMgOよりも電気伝導度が高いため、結晶粒界における電気抵抗が低くなる。よって、マグネシウム系熱電変換材料の熱電変換効率を向上させることが可能となる。
また、前記Siリッチ金属相の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされ、面積が1μm以上の前記Siリッチ金属相の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされているので、電気伝導度が比較的高いSiリッチ金属相が、マグネシウム系化合物の焼結体の全体で、均一に、かつ、十分に分散されており、マグネシウム系熱電変換材料の熱電変換効率を向上させることが可能となる。
【0012】
ここで、本発明のマグネシウム系熱電変換材料においては、前記マグネシウム系化合物は、MgSi、MgSi1−xGe、MgSi1−xSnのいずれかであることが好ましい。
この場合、MgSi、MgSi1−xGe、MgSi1−xSnからなる焼結体の結晶粒界に、前記マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相が偏在することにより、熱電変換効率に優れたマグネシウム系熱電変換材料を得ることができる。
【0013】
また、本発明のマグネシウム系熱電変換材料においては、Li、Na、K、B、Al、Ga、In、N、P、As、Sb,Bi、Ag、Cu、Yのうち、少なくとも1種以上をドーパントとして含んでいてもよい。
この場合、特定の半導体型(すなわち、n型又はp型)の熱電変換材料とすることができる。
【0014】
本発明のマグネシウム系熱電変換素子は、上述のマグネシウム系熱電変換材料と、前記マグネシウム系熱電変換材料の一方の面および対向する他方の面にそれぞれ接合された電極と、を備えたことを特徴としている。
本発明のマグネシウム系熱電変換素子によれば、上述したマグネシウム系熱電変換材料からなるので、結晶粒界における電気抵抗が低く、熱電変換効率に優れたマグネシウム系熱電変換素子を得ることができる。
【0015】
本発明のマグネシウム系熱電変換材料の製造方法は、マグネシウム系化合物の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料の製造方法であって、マグネシウム系化合物の原料粉にシリコン酸化物を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、前記焼結原料粉を加圧しながら加熱して焼結体を形成する焼結工程と、を備えており、前記焼結工程では、前記焼結原料粉を一対の電極部で加圧しながら通電する通電加熱法を用いており、焼結時には、前記焼結原料粉に直流電流を流す際に、一対の電極部の極性を、10秒以上300秒以下の時間間隔で変更することを特徴としている。
【0016】
この構成のマグネシウム系熱電変換材料の製造方法によれば、前記焼結工程では、前記焼結原料粉を一対の電極部で加圧しながら通電する通電加熱法を用いており、焼結時には、前記焼結原料粉に直流電流を流す際に、一対の電極部の極性を、10秒以上300秒以下の時間間隔で変更する構成とされているので、一方の電極部の近傍と他方の電極部の近傍での自己発熱状況に差が生じにくく、焼結体が均一に焼結されることになり、マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相を、焼結体全体に、比較的均一に分散させることができ、熱電変換効率に優れたマグネシウム系熱電変換材料を得ることができる。
【0017】
ここで、本発明のマグネシウム系熱電変換材料の製造方法においては、前記焼結工程では、前記焼結原料粉の外周側に配置されたヒーターによって、さらに前記焼結原料粉を加熱する構成とすることが好ましい。
この場合、通電加熱とともに、前記焼結原料粉の外周側に配置されたヒーターによって加熱しているので、焼結原料の内周側と外周側との温度差を小さくすることができ、焼結原料をさらに均一に加熱することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱電変換効率が高いマグネシウム系熱電変換材料、これを用いたマグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である熱電変換材料およびこれを用いた熱電変換素子を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態である熱電変換材料の断面観察結果を示す図である。
図3】本発明の一実施形態である熱電変換材料の製造方法のフロー図である。
図4】本発明の一実施形態である熱電変換材料の製造方法で用いられる焼結装置の一例を示す断面図である。
図5】実施例において、マグネシウム系熱電変換材料の断面をEPMA観察した結果を例示する写真である。
図6】実施例において、Siリッチ金属相をオージェ電子分光分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料、マグネシウム系熱電変換素子、及び、マグネシウム系熱電変換材料の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
図1に、本発明の実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11、及び、このマグネシウム系熱電変換材料11を用いたマグネシウム系熱電変換材料10を示す。
このマグネシウム系熱電変換材料10は、本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11と、このマグネシウム系熱電変換材料11の一方の面11aおよびこれに対向する他方の面11bに形成されたメタライズ層18a,18bと、このメタライズ層18a,18bに積層された電極19a,19bと、を備えている。
【0022】
メタライズ層18a,18bは、ニッケル、銀、コバルト、タングステン、モリブデン等が用いられる。このメタライズ層18a,18bは、通電焼結、めっき、電着等によって形成することができる。
電極19a,19bは、導電性に優れた金属材料、例えば、銅やアルミニウムなどの板材から形成されている。本実施形態では、アルミニウムの圧延板を用いている。また、熱電変換材料11(メタライズ層18a,18b)と電極19a,19bとは、Agろう、Agめっき等によって接合することができる。
【0023】
そして、マグネシウム系熱電変換材料11は、マグネシウム系化合物の焼結体とされており、本実施形態では、マグネシウムシリサイド(MgSi)にドーパントとしてアンチモン(Sb)を添加したものとされている。例えば、本実施形態のマグネシウム系熱電変換材料11は、MgSiにアンチモンを0.1at%以上2.0at%以下の範囲内で含む組成とされている。なお、本実施形態のマグネシウム系熱電変換材料11においては、5価ドナーであるアンチモンを添加することによって、キャリア密度の高いn型熱電変換材料とされている。
【0024】
なお、熱電変換材料11を構成する材料としては、MgSiGe1−X、MgSiSn1−xなど、マグネシウムシリサイドに他の元素を付加した化合物も同様に用いることができる。
また、マグネシウム系熱電変換材料11をn型熱電変換素子とするためのドナーとしては、アンチモン(Sb)以外にも、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ヒ素(As)などを用いることができる。
また、マグネシウム系熱電変換材料11をp型熱電変換素子にしてもよく、この場合、アクセプタとして、リチウム(Li)や銀(Ag)などのドーパントを添加することによって得ることができる。
【0025】
そして、本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11においては、図2に示すように、焼結体の断面において、マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)の結晶粒界に、マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相15が主に偏在している。
ここで、焼結体の断面において、上述のSiリッチ金属相15の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされている。
さらに、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされている。
【0026】
なお、マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)の焼結体からなるマグネシウム系熱電変換材料11においては、マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)の結晶粒界には、MgOが存在することになる。このMgOは電気伝導度が低いため、結晶粒界の電気抵抗が高くなる。
本実施形態のマグネシウム系熱電変換材料11においては、上述のように、マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)の結晶粒界にSiリッチ金属相15が偏在することにより、結晶粒界の電気抵抗が低くすることが可能となる。
一方、Siの熱伝導率は室温で168W/(m・K)であり、マグネシウムシリサイド(MgSi)の熱伝導率は室温で9W/(m・K)である。このため、Siの含有量が多くなると、マグネシウム系熱電変換材料11の熱伝導率が高くなり、マグネシウム系熱電変換材料11の一端側と他端側とで温度差が小さくなり、熱電変換効率が低下するおそれがある。
【0027】
ここで、Siリッチ金属相15の面積率が2.5%未満では、結晶粒界の電気抵抗を十分に低くすることができないおそれがある。
一方、Siリッチ金属相15の面積率が10%を超えると、Siの含有量が多くなり、マグネシウム系熱電変換材料11の熱伝導率が高くなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Siリッチ金属相15の占める面積率を2.5%以上10%以下の範囲内に規定している。
なお、Siリッチ金属相15の面積率の下限は3.5%以上とすることが好ましく、4.5%以上とすることがさらに好ましい。また、Siリッチ金属相15の面積率の上限は9%以下とすることが好ましく、8%以下とすることがさらに好ましい。
【0028】
また、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度が1800個/mm未満では、結晶粒界の電気抵抗を十分に低くすることができないおそれがある。
一方、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度が14000個/mmを超えると、Siの含有量が多くなり、マグネシウム系熱電変換材料11の熱伝導率が高くなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度を1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内に規定している。
なお、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度の下限は2500個/mm以上とすることが好ましく、5000個/mm以上とすることがさらに好ましい。また、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度の上限は12500個/mm以下とすることが好ましく、10000個/mm以下とすることがさらに好ましい。
【0029】
また、このSiリッチ金属相15には、極微量のSb及びAl等を含有していることが好ましい。マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)の結晶粒界に偏在するSiリッチ金属相15に極微量のSb及びAl等が含有されると、これらの元素のドーパント効果によって、結晶粒界の電気抵抗がさらに低下することになる。なお、本実施形態においては、マグネシウム系化合物(マグネシウムシリサイド)に含まれるSbが、Siリッチ金属相15に極微量含まれることになる。
【0030】
以下に、本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11の製造方法について、図3及び図4を参照して説明する。
【0031】
(マグネシウムシリサイド粉末準備工程S01)
まず、マグネシウム系熱電変換材料11である焼結体の母相となるマグネシウムシリサイド(MgSi)の粉末を製造する。
本実施形態では、マグネシウムシリサイド粉末準備工程S01は、塊状のマグネシウムシリサイドを得る塊状マグネシウムシリサイド形成工程S11と、この塊状のマグネシリサイド(MgSi)を粉砕して粉末とする粉砕工程S12と、を備えている。
【0032】
塊状マグネシウムシリサイド形成工程S11においては、シリコン粉末と、マグネシウム粉末と、ドーパントとをそれぞれ計量して混合する。例えば、n型の熱電変換材料を形成する場合には、ドーパントとして、アンチモン、ビスマス、など5価の材料やアルミニウムを、また、p型の熱電変換材料を形成する場合には、ドーパントとして、リチウムや銀などの材料を混合する。本実施形態では、n型の熱電変換材料を得るためにドーパントとしてアンチモンを用いており、その添加量は0.1at%以上2.0at%以下の範囲内とした。
【0033】
そして、この混合粉末を、例えばアルミナるつぼに導入し、800℃以上1150℃以下の範囲内にまで加熱し、冷却して固化させる。これにより、例えば塊状のマグネシウムシリサイドを得る。
なお、加熱時に少量のマグネシウムが昇華することから、原料の計量時にMg:Si=2:1の化学量論組成に対して例えば5at%ほどマグネシウムを多く入れることが好ましい。
【0034】
粉砕工程S12においては、得られた塊状のマグネシウムシリサイドを、粉砕機によって粉砕し、マグネシウムシリサイド粉を形成する。粉砕は、不活性ガス、例えばAr中で行うことが好ましい。
ここで、マグネシウムシリサイド粉の平均粒径を、0.5μm以上100μm以下の範囲内とすることが好ましい。
【0035】
なお、市販のマグネシウムシリサイド粉や、ドーパントが添加されたマグネシウムシリサイド粉を使用する場合には、塊状マグネシウムシリサイド形成工程S11および粉砕工程S12を省略することもできる。
【0036】
(焼結原料粉形成工程S02)
次に、得られたマグネシウムシリサイド粉に、シリコン酸化物を混合して、焼結原料粉を得る。
シリコン酸化物は、アモルファスSiO、クリストバライト、クオーツ、トリディマイト、コーサイト、ステイショバイト、ザイフェルト石、衝撃石英等のSiOx(x=1〜2)を用いることができる。
シリコン酸化物の混合量は0.5mol%以上13.0mol%以下の範囲内である。より好ましくは、0.7mol%以上7.0mol%以下とするとよい。シリコン酸化物は、粒径0.5μm以上100μm以下の粉末状とするとよい。本実施形態では、シリコン酸化物として中心粒径20μmのSiO粉末を用いている。
【0037】
(焼結工程S03)
次に、上述のようにして得られた焼結原料粉を、加圧しながら加熱して焼結体を得る。
本実施形態では、焼結工程S03において、図4に示す焼結装置(通電焼結装置100)を用いている。
【0038】
図4に示す焼結装置(通電焼結装置100)は、例えば、耐圧筐体101と、この耐圧筐体101の内部を減圧する真空ポンプ102と、耐圧筐体101内に配された中空円筒形のカーボンモールド103と、カーボンモールド103内に充填された焼結原料粉Qを加圧しつつ電流を印加する一対の電極部105a,105bと、この一対の電極部105a,105b間に電圧を印加する電源装置106とを備えている。また電極部105a,105bと焼結原料粉Qとの間には、カーボン板107、カーボンシート108がそれぞれ配される。これ以外にも、図示せぬ温度計、変位計などを有している。
また、本実施形態においては、カーボンモールド103の外周側にヒーター109が配設されている。ヒーター109は、カーボンモールド103の外周側の全面を覆うように四つの側面に配置されている。ヒーター109としては、カーボンヒーターやニクロム線ヒーター、モリブデンヒーター、カンタル線ヒーター、高周波ヒーター等が利用できる。
【0039】
焼結工程S03においては、まず、図4に示す通電焼結装置100のカーボンモールド103内に、焼結原料粉Qを充填する。カーボンモールド103は、例えば、内部がグラファイトシートやカーボンシートで覆われている。そして、電源装置106を用いて、一対の電極部105a,105b間に直流電流を流して、焼結原料粉Qに電流を流すことによって自己発熱により昇温する(通電加熱)。また、一対の電極部105a,105bのうち、可動側の電極部105aを焼結原料粉Qに向けて移動させ、固定側の電極部105bとの間で焼結原料粉Qを所定の圧力で加圧する。また、ヒーター109を加熱させる。
これにより、焼結原料粉Qの自己発熱及びヒーター109からの熱と、加圧により、焼結原料粉Qを焼結させる。
【0040】
本実施形態においては、焼結工程S03における焼結条件は、焼結原料粉Qの焼結温度が800℃以上1020℃以下の範囲内、この焼結温度での保持時間が0.15分以上 5分以下の範囲内とされている。また、加圧荷重が20MPa以上50MPa以下の範囲内とされている。
また、耐圧筐体101内の雰囲気はアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気や真空雰囲気とするとよい。真空雰囲気とする場合は、圧力5Pa以下とするとよい。
【0041】
ここで、焼結原料粉Qの焼結温度が800℃未満の場合には、焼結原料粉Qの各粉末の表面に形成された酸化膜を十分に除去することができず、結晶粒界に酸化膜が残存してしまうとともに、焼結体の密度が低くなる。このため、得られた熱電変換材料の抵抗が高くなってしまうおそれがある。
一方、焼結原料粉Qの焼結温度が1020℃を超える場合には、マグネシウムシリサイドの分解が短時間で進行してしまい、組成ずれが生じ、抵抗が上昇するとともにゼーベック係数が低下してしまうおそれがある。
このため、本実施形態では、焼結工程S03における焼結温度を800℃以上1020
℃以下の範囲内に設定している。
なお、焼結工程S03における焼結温度の下限は、850℃以上とすることが好ましく、900℃以上であることがさらに好ましい。一方、焼結工程S03における焼結温度の上限は、1000℃以下とすることが好ましく、980℃以下であることがさらに好ましい。
【0042】
また、焼結温度での保持時間が0.15分未満の場合には、焼結が不十分となって、得られた熱電変換材料の抵抗が高くなってしまうおそれがある。
一方、焼結温度での保持時間が5分を超える場合には、マグネシウムシリサイドの分解が進行してしまい、組成ずれが生じ、抵抗が上昇するとともにゼーベック係数が低下してしまうおそれがある。
このため、本実施形態では、焼結工程S03における焼結温度での保持時間を0.15分以上5分以下の範囲内に設定している。
なお、焼結工程S03における焼結温度での保持時間の下限は、0.15分以上とすることが好ましく、0.5分以上であることがさらに好ましい。一方、焼結工程S03における焼結温度での保持時間の上限は、5分以下とすることが好ましく、3分以下であることがさらに好ましい。
【0043】
さらに、焼結工程S03における加圧荷重が20MPa未満の場合には、密度が高くならず、熱電変換材料の抵抗が高くなってしまうおそれがある。
一方、焼結工程S03における加圧荷重が50MPaを超える場合には、焼結体の作製に使用しているカーボンモールドの寿命が短くなったり、場合によっては破損してしまったりするおそれがある。
このため、本実施形態では、焼結工程S03における加圧荷重を20MPa以上50MPa以下の範囲内に設定している。
なお、焼結工程S03における加圧荷重の下限は、20MPa以上とすることが好ましく、25MPa以上であることがさらに好ましい。一方、焼結工程S03における加圧荷重の上限は、50MPa以下とすることが好ましく、40MPa以下であることがさらに好ましい。
【0044】
そして、この焼結工程S03においては、焼結原料Qに直流電流を流す際に、一方の電極部105aと他方の電極部105bの極性を所定の時間間隔で変更している。すなわち、一方の電極部105aを陽極及び他方の電極部105bを陰極として通電する状態と、一方の電極部105aを陰極及び他方の電極部105bを陽極として通電する状態と、を交互に実施しているのである。本実施形態では、所定の時間間隔を10秒以上300秒以下の範囲内に設定している。所定の時間間隔が10秒未満では、所定の時間内での焼結原料Qの温度上昇幅が小さく極性を変えた効果が小さい。一方、所定の時間間隔が300秒より長い場合には、所定の時間内での焼結原料Qの温度上昇幅が大きく、一方の極性の効果が大きくなり、均一性が十分に取れなくなるおそれがあるからである。
【0045】
以上の工程により、本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11が製造される。
【0046】
以上のような構成とされた本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11によれば、マグネシウム系化合物の結晶粒界に、前記マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相15が偏在しているので、結晶粒界における電気抵抗が低くなる。よって、マグネシウム系熱電変換材料11の熱電変換効率を向上させることが可能となる。
また、Siリッチ金属相15の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされ、面積が1μm以上のSiリッチ金属相15の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされているので、電気伝導度が比較的高いSiリッチ金属相15が、均一に、かつ、十分に分散されており、マグネシウム系熱電変換材料11の熱電変換効率を向上させることが可能となる。
【0047】
本実施形態であるマグネシウム系熱電変換材料11の製造方法によれば、焼結工程S03では、焼結原料粉Qを一対の電極部105a、105bで加圧しながら通電する通電加熱法を用いており、焼結時には一対の電極部105a、105bの極性を所定の時間間隔で変更する構成とされているので、焼結体が均一に焼結されることになる。
また、本実施形態においては、焼結原料粉Qの外周側に配置されたヒーター109によって焼結原料粉Qを外周側からも加熱しているので、焼結原料をさらに均一に加熱することができる。
よって、マグネシウム系化合物粒子の粒内よりもSi濃度が高いSiリッチ金属相15を、焼結体全体に分散させることができ、熱電変換効率に優れたマグネシウム系熱電変換材料11を得ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すような構造のマグネシウム系熱電変換素子を構成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、本発明のマグネシウム系熱電変換材料を用いていれば、メタライズ層や電極の構造及び配置等に特に制限はない。
【0049】
さらに、本実施形態においては、ドーパントとしてアンチモン(Sb)を添加したマグネシウムシリサイドの粉末を焼結原料として用いるものとして説明したが、これに限定されることはなく、例えばLi、Na、K、B、Al、Ga、In、N、P、As、Bi、Ag,Cu、Yから選択される1種または2種以上をドーパントとして含んだものであってもよいし、Sbに加えてこれらの元素を含んでいても良い。
【0050】
また、本実施形態では、マグネシウム系化合物としてマグネシウムシリサイド(Mg2Si)を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、MgSi1−xGe、MgSi1−xSnのいずれかであってもよい。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
【0052】
純度99.9mass%のMg(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径180μm)、純度99.99mass%のSi(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径300μm)、純度99.9mass%のSb(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径300μm)を、それぞれ計量した。これら粉末を乳鉢中で良く混ぜ、アルミナるつぼに入れて、850℃で2時間、Ar−5vol%H中で加熱した。Mgの昇華によるMg:Si=2:1の化学量論組成からのずれを考慮して、Mgを5at%多く混合した。これにより、ドーパントであるSbを1at%含有する塊状マグネシウムシリサイド(MgSi)を得た。
次に、この塊状マグネシウムシリサイド(MgSi)を乳鉢中で細かく砕いて、これを分級して平均粒径が30μmのマグネシウムシリサイド粉(MgSi粉)を得た。
【0053】
また、マグネシウムシリサイド粉とシリコン酸化物粉(株式会社龍森製SiO粉、平均粒径20μm)とを混合し、焼結原料粉を得た。
【0054】
得られた焼結原料粉をカーボンシートで内側を覆ったカーボンモールドに充填した。そして、図4に示す焼結装置(通電焼結装置100)によって表1に示す条件で通電焼結した。
【0055】
得られた熱電変換材料について、Siリッチ金属相の面積率、面積が1μm以上のSiリッチ金属相の個数密度、熱電特性について、以下のような手順で評価した。
【0056】
(Siリッチ金属相の面積率及び個数密度)
測定試料を採取して切断面を研磨し、EPMA装置(日本電子株式会社製JXA−8800RL)を用いて、加速電圧15kV、ビーム電流50nA、ビーム径1μm、マッピング測定点数200×200pixelの条件で、EPMA観察を行った。
EPMA分析においては、測定試料内での電子線の広がりにより、一次ビーム径より広い領域の元素情報(元素濃度)が検出される。Siのような軽元素の場合にはビーム直径の3倍の3μmφからの元素情報(元素濃度)が検出される。このため、マッピングを行った際、検出物のサイズが小さいと、検出物の他、検出物周辺の元素の濃度情報も併せて検出し、その平均の値が濃度とされる。そこで、本発明においては、Siリッチ金属相は、マグネシウムシリサイド粒子の粒内の平均Si濃度よりも2wt%以上高いSi濃度である領域とした。
図5にEPMA観察結果の一例を示す。図5では、マグネシウムシリサイド粒子の粒内の平均Si濃度よりも2wt%以上高いシリコン濃度が高い相を白色で表示し、Siリッチ金属相の占める面積率を測定した。
また、図5に示すようなマッピング図を元に、面積が1μm以上のSiリッチ金属相の個数密度を測定した。個数測定においてはサイズを考慮せず、連続しているものはそれを1つのSiリッチ金属相として計測した。
【0057】
また、EPMA観察によって観察した試料において、Si濃度が高い領域を含む箇所に対してオージェ電子分光分析を行い、Si濃度が高い領域がSi金属相であることを確認した。オージェ分析装置(アルバック・ファイ株式会社製PHI700Xi)を用いて、観察条件を、加速電圧10kV、ビーム電流15nA、ビーム径15nmとし、エッチング条件を、イオン種Ar、加速電圧500V、ビーム電流2.7nA、エッチング時間10分、イオン銃近傍の真空度10mPa、分析チャンバ内圧力10−9Torrとした。
その結果、図6に示すように、Si金属相を示す1620eVにピークが観察されたことから、EPMA観察によって観察されたSi濃度が高い領域は、Si金属相であることが確認された。
【0058】
(熱電特性)
熱電特性は、焼結した熱電変換材料から4mm×4mm×15mmの直方体を切り出し、熱電特性評価装置(アドバンス理工製ZEM−3)を用いて、それぞれの試料の550℃におけるパワーファクター(PF)を求めた。
【0059】
【表1】
【0060】
Siリッチ金属相の面積率が2.5%未満とされ、面積が1μm以上のSiリッチ金属相の個数密度が1800個/mm未満とされた比較例1、2においては、550℃におけるパワーファクターが低くなった。結晶粒界における電気抵抗の低下が十分寄与しなかったためと推測される。
Siリッチ金属相の面積率が10%を超え、面積が1μm以上のSiリッチ金属相の個数密度が14000個/mmを超える比較例3は、550℃におけるパワーファクターが低くなった。これは、SiOが変性したMgSiOおよびSiの含有量が多くなり、熱伝導率が高くなり、ゼーベック係数が小さくなったためと推測される。
【0061】
これに対して、Siリッチ金属相の占める面積率が2.5%以上10%以下の範囲内とされ、面積が1μm以上の前記Siリッチ金属相の個数密度が1800個/mm以上14000個/mm以下の範囲内とされた本発明例1−6においては、550℃におけるパワーファクターが高くなった。
【0062】
以上のことから、本発明例によれば、熱電特性に優れた熱電変換材料を提供可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0063】
10 マグネシウム系熱電変換素子
11 マグネシウム系熱電変換材料
15 Siリッチ金属相
19a,19b 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6