特許第6981100号(P6981100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981100
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】積層造形装置及び積層造形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/245 20170101AFI20211202BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20211202BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20211202BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20211202BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20211202BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20211202BHJP
   B29C 64/214 20170101ALI20211202BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B29C64/245
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B29C64/393
   B33Y50/02
   B29C64/153
   B29C64/214
   B28B1/30
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-160305(P2017-160305)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-38139(P2019-38139A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】大内 明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 拓也
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−280355(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/102286(WO,A1)
【文献】 特開2017−019111(JP,A)
【文献】 特開2013−056466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/30
B29C 64/10,64/153,64/20,64/214,
64/245,64/268,64/393
B33Y 10/00,30/00,50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面を有する造形部と、
前記造形面に所定の材料を供給する供給部と、
供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とする硬化部と、
前記造形面内で上下し前記材料に接する突出部と、
前記突出部を有し、前記突出部の前記材料に接する部分の温度を調節する温度調節部と、
前記造形面に供給された前記材料を平坦化する平坦化部と、
を有し、
前記突出部は、
側面と上面を有し、前記側面もしくは前記上面で前記材料に接し、
前記平坦化部は、
前記突出部の前記上面と前記材料の表面を揃えて前記材料を平坦化する
積層造形装置。
【請求項2】
前記突出部は複数設けられ、各々の前記突出部に対応する前記温度調節部は各々異なる温度調節をする、請求項項記載の積層造形装置。
【請求項3】
前記温度調節部は、前記材料を冷却する、請求項1または2記載の積層造形装置。
【請求項4】
前記供給部は、粉末材料を供給する、請求項1からの内の1項記載の積層造形装置。
【請求項5】
前記硬化部は、前記材料を加熱硬化する、請求項1からの内の1項記載の積層造形装置。
【請求項6】
前記硬化部は、レーザもしくは電子線を前記材料に照射する、請求項1からの内の1項記載の積層造形装置。
【請求項7】
前記造形部は、前記造形面上に未硬化の前記材料を介して前記3次元造形物を造形する、請求項1からの内の1項記載の積層造形装置。
【請求項8】
硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面に所定の材料を供給し、
供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とし、
前記造形面内で上下する突出部を前記材料に接して突出させ、
前記突出部の上面と前記材料の表面を揃えて前記材料を平坦化し
記突出部の前記材料に接する部分を温度調節する、
積層造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層を積層して3次元造形物を造形する積層造形技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元CAD(Computer Aided Design)データを層分割し、分割した層ごとに層の上に層を積むようにして材料を付加して3次元の造形物を製造する方法は、国際規格でAdditive Manufacturingと定義されている。1980年代に発明されたこの製造方法は、一般的には3Dプリンタ(スリー ディー プリンタ)と呼ばれる。3Dプリンタは、3次元CADデータがあれば、金型を使わずに複雑な形状を容易に製造できることから、近年、新たなものづくり手法として注目されている。
【0003】
3Dプリンタでは、切削による除去的な加工や、型に材料を流し込んで固める成形加工とは異なり、メッシュ形状やポーラス形状をはじめとする、かつては製造が難しかった形状を容易に正確に製造できる。更には、複数の種類の材料を造形物内に自由に配置した構造を可能とすることも期待されている。複数の材料を用いた構造により、それぞれの材料の特性を活かした新たな機能を付与した造形物が実現できるからである。
【0004】
粉末材料を硬化して積層し3次元造形物を形成する「粉末焼結積層法」では、造形ステージに粉末材料を敷き詰め、敷き詰められた粉末材料の所定の箇所をレーザ照射することで焼結または溶融硬化する。これを繰り返して硬化層を積層することで造形物を形成する。このときにレーザ照射された造形物の熱は造形ステージに放熱される。特許文献1には、造形ステージを冷却手段によって冷却することで造形物を効率よく冷却する方法が開示されている。特許文献1によれば、造形物の熱収縮が安定化した後に仕上げ加工を行うことで、仕上げ加工後の収縮が抑制され、造形物の加工精度が向上するとしている。
【0005】
また、特許文献2と特許文献3には、造形ステージの造形面を複数の小領域に分割し、小領域を造形面に突出させて所定の突出形状を形成し、突出形状を含む造形面上に造形物を形成する方法が開示されている。特許文献2と特許文献3によれば、3次元造形物の造形を効率よく容易に行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−307895号公報
【特許文献2】特開2000−280355号公報
【特許文献3】特開平5−318607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3の方法では、造形物の熱は造形物が接する造形面を介して造形ステージに放熱される。このため、造形物を形成する硬化層の積層数が増すと、上層ほど硬化層の熱が放熱されにくくなり、加工後の熱収縮により造形物に反りや変形が生じ加工精度が低下するという、解決すべき課題が生じている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、硬化層を積層して形成される3次元造形物を効率よく冷却することで、反りや変形の生じにくい造形を可能とする積層造形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の積層造形装置は、硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面を有する造形部と、前記造形面に所定の材料を供給する供給部と、供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とする硬化部と、前記造形面から突出した突出部を有し、前記突出部で供給された前記材料に接する温度調節部と、を有する。
【0010】
本発明の積層造形方法は、硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面に所定の材料を供給し、供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とし、前記造形面から突出させた突出部で前記材料に接して前記硬化層を温度調節する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬化層を積層して形成される3次元造形物を効率よく冷却することで、反りや変形の生じにくい造形を可能とする積層造形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の積層造形装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態の積層造形装置の構成を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態の積層造形装置の温度調節柱の構成を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態の積層造形装置の造形ステージと温度調節柱の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態の積層造形装置による造形方法を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態の積層造形装置による造形方法の変形例を説明するための図である。
図7】本発明の第2の実施形態の積層造形装置による別の造形方法を説明するための図である。
図8】本発明の第2の実施形態の積層造形装置によるさらに別の造形方法を説明するための図である。
図9】本発明の第2の実施形態の積層造形装置の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の積層造形装置の構成を示す図である。本実施形態の積層造形装置1は、硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面11aを有する造形部11と、前記造形面11aに所定の材料を供給する供給部12と、を有する。さらに、供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とする硬化部14と、前記造形面11aから突出した突出部15aを有し、前記突出部15aで供給された前記材料に接する温度調節部15と、を有する。
【0014】
積層造形装置1によれば、3次元造形物の熱は、造形物が接する造形面を介して造形部11に放熱されるとともに、造形物の側面や底面から温度調節部15にも放熱される。これにより、造形物を形成する硬化層の積層数が増した場合でも、上層の熱は造形物の側面や底面から温度調節部15にも放熱されるため、3次元造形物の熱は効率よく放熱される。その結果、3次元造形物の熱による反りや変形が抑制される。
【0015】
以上のように本実施形態によれば、硬化層を積層して形成される3次元造形物を効率よく冷却することで、反りや変形の生じにくい造形を可能とする積層造形装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態の積層造形装置の構成を示す図である。本実施形態の積層造形装置2は、造形ステージ21と、材料供給機構22と、スキージ23と、レーザ照射機構24と、温度調節柱25と、回収ボックス26と、コントローラ27と、を有する。
【0016】
造形ステージ21は、材料供給機構22から供給された材料を積層して3次元造形物を造形する造形面21aを備えている。さらに、造形ステージ21は油圧や空圧による昇降機構を有し、材料の積層に合わせて造形面21aを昇降することができる。造形面21aには、材料供給機構22により所定の材料が供給され、供給された材料がスキージ23により平坦化された材料層となり、平坦化された材料の所定の領域がレーザ照射機構24により硬化され硬化層となる。この硬化層が積層されて3次元造形物が形成される。
【0017】
造形ステージ21はまた、造形面21a上の材料層や硬化層の温度調節を行うことのできる、冷却機構や加熱機構を備えることができる。冷却機構としては、例えば、造形ステージ21内に水などの冷媒を流す流路を設けることができる。加熱機構としては、例えば、造形ステージ21内にヒータを設けることができる。
【0018】
材料供給機構22は、チャンバ22aと供給筒22bとを有する。チャンバ22aは、材料を保管する。供給筒22bは、チャンバ22aに保管された材料を、造形ステージ21の造形面21aの所定の位置に所定の量を供給する。ここで所定の量とは、造形面21a上に材料を所定の厚さの材料層として敷き詰めるために必要な量である。
【0019】
材料は粉体(粉末材料)とすることができ、粉体の形状は球形とすることができる。球形状の生成方法としてはアトマイズ法を用いることができるが、これには限定されない。粉体の粒径は5μm〜50μmなどとすることができるが、これには限定されない。粉体の形状は、また、鱗片状の平板形状(円板形状)とすることができる。平板形状は、アトマイズ法等で製造した球形の粉体を、さらにスタンピング等の方法で鱗片状に平板化することで得られるが、これには限定されない。さらに、材料の形状は球形や平板には限定されず、任意の多面体や楕円体などでもよい。
【0020】
材料の材質は、プラスチック材料とすることができ、例えば、ナイロン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトンとすることができる。また、これらの材料にガラスやカーボン等を所定量添加していても良い。また、金属材料とすることもでき、例えば、銅、ステンレス、アルミ、チタンとすることができる。また、セラミックやカーボンとすることもできる。
【0021】
スキージ23は、造形面21a上に供給された材料を、造形面21a上に平坦に引き延ばして均一の厚さに敷き詰めた材料層とする。スキージ23は、平スキージ、角スキージ、剣スキージ等、目的に合わせた形状とすることができる。また、スキージ23をローラとし、ローラを転がすことによって材料を平坦化し均一な厚さに敷き詰めても良い。スキージ23の材質は、ゴム、プラスチック、金属等から、目的に合わせて選択することができる。
【0022】
レーザ照射機構24は、スキージ23により平坦化され均一な厚さに敷き詰められた材料層の所定の領域、すなわち造形物を形成する領域に、レーザ光を照射して加熱し、材料を焼結または溶融硬化して硬化層を形成する。硬化層の形成方法としては、ASTM(American Society for Testing and Materials)がAdditive Manufacturingの方式として分類している粉末床溶融結合方式(Powder bed fusion)を用いることができる。レーザとしては、Additive Manufacturingで使用されるファイバーレーザ等を用いることができる。
【0023】
なお、材料層を加熱して焼結または溶融硬化して硬化層を形成する方法は、レーザ照射には限定されない。材料層を加熱して焼結または溶融硬化して硬化層を形成する方法としては、材料層に電子線を照射してもよい。
【0024】
温度調節柱25は、造形ステージ21の造形面21aから突出する部分を有し、この突出する部分の側面で平坦化された材料層の側面に接することができる。突出する部分は、材料層(硬化層)に合わせて造形面21a内で上下することができる。
【0025】
スキージ23は、温度調節柱25が造形面21aから突出する部分の上面と材料層の表面とを揃えて、材料を平坦化することができる。温度調節柱25は、平坦化された材料層を造形面21aから突出する部分の側面で温度調節、例えば冷却することができる。さらに、温度調節柱25は、レーザ照射されて硬化した硬化層を、造形面21aから突出する部分の側面で温度調節、例えば冷却することができる。平坦化された材料層、またレーザ照射されて硬化した硬化層は、造形ステージ21の造形面21aによっても温度調節される。
【0026】
図3は、温度調節柱25の構成を示す図である。温度調節柱25は、温度調節部25aと昇降部25cを有する。
【0027】
温度調節部25aは、上面と側面とを有する。温度調節部25aは、造形ステージ21の造形面21aから突出することができ、造形面21aから突出する部分の側面で材料層や硬化層に接して、材料層や硬化層の冷却または加熱をすることができる。このために温度調節部25aは、温度調節した水や油などの媒質を流す流路25bを有することができる。温度調節部25aはまた、ペルチェ素子やヒータなどを内蔵して、冷却または加熱をするようにしてもよい。温度調節部25aは、銅やアルミニウムやステンレスなどの熱伝導性の良い金属などの材質とすることができる。温度調節部25aはまた、その上面で材料層や硬化層に接して、材料層や硬化層の冷却または加熱をすることができる。
【0028】
昇降部25cは、油圧や空圧などにより、温度調節部25aを材料の積層に合わせて昇降することができる。
【0029】
図4は、本実施形態の積層造形装置2の造形ステージ21と温度調節柱25の温度調節部25aの構成を示す(a)上面図および(b)断面図である。温度調節部25aは、造形ステージ21の造形面21a内の任意の位置に任意の数を配置することができる。例えば、造形物の形状に合わせて、造形物を効果的に温度調節できるように、造形物に近い位置に配置することができる。
【0030】
また、図4の複数の温度調節部25aは、各々異なる温度調節をするように、各々異なる温度に設定することができる。これにより、造形物の温度を均一にしたり、逆に部分的に温度を変えたりすることが可能である。この結果、造形物の反りや変形を、より厳密に抑制したり制御したりすることができる。
【0031】
なお、造形ステージ21上で予め設けられた温度調節部25aの一部が、造形物の形状などの都合により不要となる場合、温度調節部25aを取り外すことができる。そして、温度調節部25aを取り外したことで造形ステージ21上に生じた穴を、穴を埋めるキャップなどで塞ぐことができる。穴を埋めるキャップには磁性体を用いて、磁力により固定してもよい。
【0032】
なお、温度調節部25aの上面の形状は、円形には限定されない。温度調節部25aの上面の形状は、多角形や、また、曲線や直線を任意に組み合わせた形状とすることができる。
【0033】
回収ボックス26は、材料層の硬化層を除いた未硬化な材料を回収する。回収された材料は、再利用することができる。回収ボックス26は、造形ステージ21の外周を取り囲むようにして設けることができる。未硬化な材料の回収には、例えば、造形ステージ21の造形面21a上の未硬化な材料を回収ボックス26の中へ、ハケやブラシなどで掃き出したり、空気で吹き飛ばしたりして回収することができる。
【0034】
コントローラ27は、所定の造形物を造形するために、造形ステージ21や材料供給機構22やスキージ23やレーザ照射機構24や温度調節柱25や回収ボックス26に接続し、これらの動作を制御して連携させる。すなわち、造形ステージ21の昇降の量、材料の供給量や供給位置や供給タイミング、スキージ23の動作、レーザ光の照射の出力や位置や時間、温度調節柱25の温度や造形面21aからの突出量、未硬化材料の回収などの、造形物の積層造形に関わる制御を行なう。
【0035】
コントローラ27は、サーバなどの情報処理装置をプログラムにより動作させて実現することができる。このプログラムによる動作の内で、積層造形に関わる動作は、造形物の3次元CADデータに基づいて設定される。すなわち、コントローラ27は、3次元CADデータに基づいて3次元造形物の造形を制御することができる。
【0036】
図5は、本実施形態の積層造形装置2による造形方法を説明するための図である。
【0037】
図5の(a)では、造形ステージ21の造形面21aに対して、温度調節柱25の温度調節部25aを材料層1層分だけ突出させる。(b)では、材料供給機構22が造形面21a上に供給した材料を、スキージ23が引き延ばして材料層とする。このとき、スキージ23は、温度調節部25aが造形面21aから突出する部分の上面と材料層の表面とを揃えて、材料を平坦化する。材料層1層の厚さは、例えば50μmとすることができるが、これには限定されない。材料層1層の厚さは、3次元CADデータに基づいて造形物ごとに任意に設定することができる。
【0038】
(c)では、レーザ照射機構24が、材料層の所定の位置に所定の時間、所定の出力のレーザ光を照射して材料層を硬化層とする。このときレーザ光照射により硬化層に生じた熱は、造形ステージ21と温度調節部25aとに放熱され、硬化層は冷却される。また、温度調節部25aの温度を所定の温度に設定しておくことによって、硬化層の温度を所定の温度とすることができる。
【0039】
(c)では、硬化層は温度調節部25aに直接接していても、未硬化の材料層を介して間接的に接していてもよい。硬化層が温度調節部25aに直接接することで、硬化層の冷却効果を向上させることができる。また、硬化層が未硬化の材料層を介して間接的に接することで、完成した造形物を取り出しやすくすることができる。
【0040】
(d)では、温度調節部25aを、次の材料層1層分だけさらに突出させる。(e)では、供給された材料を平坦化することによって、次の材料層を形成する。このとき、次の材料層の表面と温度調節部25aの上面が揃うようにする。(f)では、次の材料層の所定の位置に所定の時間、所定の出力のレーザ光を照射して次の硬化層を形成する。以上を繰り返すことによって、(g)では、所定の数の層を積層した造形物が完成する。(h)では、未硬化の材料を回収し、完成した造形物を取り出す。
【0041】
図6は、図5に示す造形方法の変形例を説明するための図である。例えば、図6の中央の温度調節部25aに示すように、温度調節部25aの上面を硬化層に接触させて、温度調節部25aの上面で硬化層を冷却するようにしてもよい。このようにすることで、硬化層は、その側面や底面から温度調節部25aの側面や上面に放熱することができる。
【0042】
図7は、本実施形態の積層造形装置2による別の造形方法を説明するための図である。
【0043】
図7の(a)では、造形ステージ21の造形面21aに、温度調節柱25の温度調節部25aの上面を揃えて配置する。(b)では、材料供給機構22が造形面21a上に供給した材料を、スキージ23が引き延ばして材料層とする。(c)では、レーザ照射機構24が、材料層の所定の位置に所定の時間、レーザ光を照射して材料層を硬化層とする。
【0044】
(d)では、温度調節部25aを、材料層1層分だけ突出させる。これにより、レーザ光照射により硬化層に生じた熱は、造形ステージ21と温度調節部25aとに放熱され、硬化層は冷却される。また、温度調節部25aの温度を所定の温度に設定しておくことによって、硬化層の温度を所定の温度とすることができる。
【0045】
(e)では、温度調節部25aの上面に残っている未硬化の材料と材料供給機構22が造形面21a上に供給した材料を、スキージ23が引き延ばして次の材料層とする。(f)では、レーザ照射機構24が、次の材料層の所定の位置に所定の時間、レーザ光を照射して次の硬化層とする。以上を繰り返すことによって、(g)では、所定の数の層を積層した造形物が完成する。(h)では、未硬化の材料を回収し、完成した造形物を取り出す。
【0046】
図8は、本実施形態の積層造形装置2によるさらに別の造形方法を説明するための図である。
【0047】
図8の(a)では、造形ステージ21の造形面21aに、温度調節柱25の温度調節部25aの上面を揃えて配置する。(b)では、材料供給機構22が造形面21a上に供給した材料を、スキージ23が引き延ばして最初の材料層とする。(c)では、温度調節部25aを最初の材料層と次の材料層の厚さ分だけ造形面21aから突出させ、温度調節部25aの上面の材料と材料供給機構22が造形面21a上に供給した材料を、スキージ23が引き延ばして次の材料層とする。このとき、次の材料層の表面と温度調節部25aの上面が揃うようにする。
【0048】
(d)では、レーザ照射機構24が、材料層の所定の位置に所定の時間、レーザ光を照射して、次の材料層を硬化層とする。レーザ光照射の時間や照射パワーを制御することによって、最初の材料層は硬化させずに次の硬化層を硬化させることができる。また、最初の材料層を、硬化のためにより多くの熱量を必要とする材料とすることによって、最初の材料層を硬化させずに次の硬化層を硬化させることができる。
【0049】
このときレーザ光照射により硬化層に生じた熱は、造形ステージ21と温度調節部25aとに放熱され、硬化層は冷却される。また、温度調節部25aの温度を所定の温度に設定しておくことによって、硬化層の温度を所定の温度とすることができる。
【0050】
(e)では、温度調節部25aを、さらに次の材料層1層分だけさらに突出させる。さらに、供給された材料を平坦化することによって、さらに次の材料層を形成する。このときスキージ23は、温度調節部25aが造形面21aから突出する部分の上面と材料層の表面とを揃えて、材料を平坦化することができる。
【0051】
(f)では、さらに次の材料層の所定の位置に所定の時間、レーザ光を照射して次の硬化層を形成する。以上を繰り返すことによって、(g)では、所定の数の層を積層した造形物が完成する。このとき、造形面21aには未硬化の材料が接している。このため、造形物の取り出しは、より容易となる。(h)では、未硬化の材料を回収し、完成した造形物を取り出す。
【0052】
図8のように、造形面21a上に未硬化の材料層を1層設けた上に造形物を造形することが可能なのは、レーザ光照射により硬化層に生じた熱が、造形ステージ21と温度調節部25aとに放熱され、硬化層が効果的に冷却されることによる。これにより、前述の図8の(d)のようにして、未硬化の材料層の上の材料層を硬化し積層して造形物を形成することができる。
【0053】
図9は、本実施形態の積層造形装置2の動作を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS1では、造形ステージ21の造形面21aに対して、温度調節柱25の温度調節部25aを材料層1層分だけ突出させる。なお、別の動作として、造形ステージ21の造形面21aに、温度調節柱25の温度調節部25aの上面を揃えて配置することができる。
【0055】
ステップS2では、材料供給機構22が造形面21a上に所定の材料を供給する。
【0056】
ステップS3では、材料供給機構22が供給した材料を、スキージ23が引き延ばして平坦化し材料層とする。このとき、スキージ23は、温度調節部25aが造形面21aから突出する部分の上面と材料層の表面とを揃えて、材料を平坦化する。なお、別の動作として、ステップS1で造形面21aに温度調節柱25の温度調節部25aの上面を揃えて配置する場合は、単に材料を平坦化する。
【0057】
ステップS4では、レーザ照射機構24が、材料層の所定の位置に所定の時間、レーザ光を照射して材料層を硬化層とする。なお、別の動作として、ステップS1で造形面21aに温度調節柱25の温度調節部25aの上面を揃えて配置する場合は、ステップS4ではさらに、造形面21aに対して、温度調節柱25の温度調節部25aを材料層1層分だけ突出させる。
【0058】
ステップS4で、このときレーザ光照射により硬化層に生じた熱は、造形ステージ21と温度調節部25aとに放熱され、硬化層は冷却される。また、温度調節部25aの温度を所定の温度に設定しておくことによって、硬化層の温度を所定の温度とすることができる。
【0059】
ステップS5では、造形ステージ21上に所定の数の層が積層されたか否かを確認する。すなわち、造形を完了したか否かを確認する。ステップS5がNOの場合、次の層を積層させるために造形ステージ21を所定量、例えば次の材料層の厚さの分だけ下降させて位置を設定する(ステップS6)。
【0060】
造形ステージ21の位置を設定した後、ステップS1以降を繰り返す。このとき、ステップS1を繰り返す場合、材料層の最上面に対して温度調節部25aを材料層1層分だけ突出させる。また、別の動作として、材料層の最上面に温度調節部25aの上面を揃えて配置する。また、ステップS2を繰り返す場合、材料層の最上面上に所定の材料を供給する。
【0061】
一方、所定の数の層が積層されて造形物が完成すると(ステップS5のYES)、終了する。
【0062】
以上のように、本実施形態の積層造形装置2によれば、3次元造形物の熱は、造形物が接する造形面を介して造形ステージ21に放熱されるとともに、造形物の側面や底面から温度調節柱25にも放熱される。これにより、造形物を形成する硬化層の積層数が増した場合でも、上層の熱は造形物の側面や底面から温度調節柱25にも放熱されるため、3次元造形物の熱は効率よく放熱される。その結果、3次元造形物の熱による反りや変形が抑制される。
【0063】
以上のように本実施形態によれば、硬化層を積層して形成される3次元造形物を効率よく冷却することで、反りや変形の生じにくい造形を可能とする積層造形装置を提供することができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0065】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面を有する造形部と、
前記造形面に所定の材料を供給する供給部と、
供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とする硬化部と、
前記造形面から突出した突出部を有し、前記突出部で供給された前記材料に接する温度調節部と、を有する積層造形装置。
(付記2)
前記突出部は側面と上面を有し、前記側面もしくは前記上面で前記材料に接する、付記1記載の積層造形装置。
(付記3)
前記造形面に供給された前記材料を平坦化する平坦化部を有し、
前記平坦化部は、前記突出部の前記上面と前記材料の表面を揃えて前記材料を平坦化する、付記2記載の積層造形装置。
(付記4)
前記温度調節部は複数設けられ、各々異なる温度調節をする、付記1から3の内の1項記載の積層造形装置。
(付記5)
前記温度調節部は、前記材料を冷却する、付記1から4の内の1項記載の積層造形装置。
(付記6)
前記供給部は、粉末材料を供給する、付記1から5の内の1項記載の積層造形装置。
(付記7)
前記硬化部は、前記材料を加熱硬化する、付記1から6の内の1項記載の積層造形装置。
(付記8)
前記硬化部は、レーザもしくは電子線を前記材料に照射する、付記1から7の内の1項記載の積層造形装置。
(付記9)
前記造形部は、前記造形面上に未硬化の前記材料を介して前記3次元造形物を造形する、付記1から8の内の1項記載の積層造形装置。
(付記10)
硬化層を積層して3次元造形物を造形する造形面に所定の材料を供給し、
供給された前記材料の所定の領域を硬化して前記硬化層とし、
前記造形面から突出させた突出部で前記材料に接して前記硬化層を温度調節する、積層造形方法。
(付記11)
前記突出部は側面と上面を有し、前記側面もしくは前記上面で前記材料に接する、付記10記載の積層造形方法。
(付記12)
前記突出部の前記上面と前記材料の表面を揃えて前記材料を平坦化する、付記11記載の積層造形方法。
(付記13)
前記突出部は複数設けられ、各々異なる温度調節をする、付記10から12の内の1項記載の積層造形方法。
(付記14)
前記温度調節は前記材料を冷却する、付記10から13の内の1項記載の積層造形方法。
(付記15)
前記材料は粉末材料を有する、付記10から14の内の1項記載の積層造形方法。
(付記16)
前記材料を加熱して前記硬化層とする、付記10から15の内の1項記載の積層造形方法。
(付記17)
レーザもしくは電子線を前記材料に照射して加熱硬化する、付記10から16の内の1項記載の積層造形方法。
(付記18)
前記造形面上に未硬化の前記材料を介して前記3次元造形物を造形する、付記10から17の内の1項記載の積層造形方法。
【符号の説明】
【0066】
1、2 積層造形装置
11 造形部
11a 造形面
12 供給部
14 硬化部
15 温度調節部
15a 突出部
21 造形ステージ
21a 造形面
22 材料供給機構
22a チャンバ
22b 供給筒
23 スキージ
24 レーザ照射機構
25 温度調節柱
25a 温度調節部
25b 流路
25c 昇降部
26 回収ボックス
27 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9