特許第6981130号(P6981130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981130機器利用システム、携帯端末、機器及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981130
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】機器利用システム、携帯端末、機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20211202BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20211202BHJP
   G06F 21/35 20130101ALI20211202BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20211202BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20211202BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G06F21/31
   B41J29/38 203
   G06F21/35
   G06F3/12 322
   G06F3/12 314
   G06F3/12 338
   G06F3/12 392
   H04N1/00 838
   H04M1/00 U
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-180193(P2017-180193)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-57038(P2019-57038A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 学
【審査官】 宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−175882(JP,A)
【文献】 特開2017−108316(JP,A)
【文献】 特開2017−098755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31−21/46
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、機器と、を含み、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、
を含み、
前記機器は、
前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、
前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、
を含み、
前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、
前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、機器利用システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記専用認証情報の設定を受け付ける設定受付手段を更に備える請求項に記載の機器利用システム。
【請求項3】
前記設定受付手段は、前記通常認証情報と同一の認証情報が前記専用認証情報として設定されないよう案内する、請求項に記載の機器利用システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記機器を使用予定のユーザを検知する検知手段を更に含み、
前記端末側認証手段は、前記検知手段により前記機器を使用予定のユーザが検知されている場合、前記通常認証情報の入力は受け付け可能にし、前記専用認証情報の入力は受付不可能にすることを特徴とする請求項に記載の機器利用システム。
【請求項5】
携帯端末と、機器と、を含み、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、
を含み、
前記機器は、
前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、
前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、
を含み、
前記送信手段は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合において、前記携帯端末が前記機器に接近している場合に、前記利用依頼情報を前記機器に送信し、
前記送信手段は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合において、前記携帯端末が前記機器に接近している場合であっても、前記携帯端末において前記機器を操作するための所定のアプリケーションプログラム以外のアプリケーションプログラムが起動された場合には、前記利用依頼情報を前記機器に送信しない、機器利用システム。
【請求項6】
携帯端末と、機器と、を含み、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、
を含み、
前記機器は、
前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、
前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、
を含み、
前記機器は、前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段を含み、
前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ前記視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、機器利用システム。
【請求項7】
携帯端末と、機器と、を含み、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、
を含み、
前記機器は、
前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、
前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、
を含み、
前記携帯端末は、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、前記機器に状態問合せを行う手段と、
前記状態問合せに応じて前記機器が利用中である旨の回答を得た場合、前記機器の利用予約を受け付ける手段と、
を更に含む、機器利用システム。
【請求項8】
自端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を機器に送信する送信手段と、
を含
前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、
前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、
携帯端末。
【請求項9】
コンピュータを、
自端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段、
前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を機器に送信する送信手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、
前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
自機を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、
携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証が成功したことを示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を、前記携帯端末から受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、
前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段と、
を含み、
前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ前記視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、ことを特徴とする機器。
【請求項11】
コンピュータを、
自機を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段、
携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証が成功したことを示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を、前記携帯端末から受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ、前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、ことを特徴とするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器利用システム、携帯端末、機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯端末から複合機(プリンタ、スキャナ、コピー機等の機能を併せ持つ装置)等の機器を操作する仕組みが普及しつつある。この種の仕組みでは、ユーザは自分の携帯端末から機器に認証情報を送ってログイン認証を受け、その認証が成功すると携帯端末のアプリケーションからその機器が制御可能になる。携帯端末には、所有者以外の者が操作できないようPIN(Personal Identification Number)コードやジェスチャによる認証機能(ロック機能とも呼ばれる)が設けられている。ユーザは、携帯端末から機器を操作する場合、まず携帯端末のロックを解除し、携帯端末上のその機器の操作用のアプリケーションを開き、そのアプリケーションから機器に無線通信等を経由してアクセスし、機器のログイン認証を受ける。
【0003】
特許文献1に開示された認証印刷システムにおける画像形成装置は、携帯端末の端末個体識別子とユーザ情報とが付加された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、携帯端末の端末個体識別子とユーザ情報とを受信する認証情報受信手段とを備える。画像形成装置は、印刷データに付加された端末個体識別子とユーザ情報とが、受信した端末個体識別子とユーザ情報とに一致する場合、端末個体識別子とユーザ情報とが付加された印刷データを印刷する処理を実行する。これにより、1つの携帯端末を複数のユーザが共有して使用する場合に、ユーザ単位の認証を行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−217659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、携帯端末から機器を制御するために、携帯端末の利用のための認証処理に成功した後その携帯端末から機器の認証を受ける方式よりも、ユーザが携帯端末から機器を利用可能になるまでに要する時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、携帯端末と、機器と、を含み、前記携帯端末は、前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、を含み、前記機器は、前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、を含み、前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、機器利用システムである。
【0008】
請求項に係る発明は、前記携帯端末は、前記専用認証情報の設定を受け付ける設定受付手段を更に備える請求項に記載の機器利用システムである。
【0009】
請求項に係る発明は、前記設定受付手段は、前記通常認証情報と同一の認証情報が前記専用認証情報として設定されないよう案内する、請求項に記載の機器利用システムである。
【0010】
請求項に係る発明は、前記携帯端末は、前記機器を使用予定のユーザを検知する検知手段を更に含み、前記端末側認証手段は、前記検知手段により前記機器を使用予定のユーザが検知されている場合、前記通常認証情報の入力は受け付け可能にし、前記専用認証情報の入力は受付不可能にすることを特徴とする請求項に記載の機器利用システムである。
【0011】
参考例の構成は、前記送信手段は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合において、前記携帯端末が前記機器にしている場合に、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、請求項1に記載の機器利用システムである。
【0012】
請求項に係る発明は、携帯端末と、機器と、を含み、前記携帯端末は、前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、を含み、前記機器は、前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、を含み、前記送信手段は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合において、前記携帯端末が前記機器に接近している場合に、前記利用依頼情報を前記機器に送信し、前記送信手段は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合において、前記携帯端末が前記機器に接近している場合であっても、前記携帯端末において前記機器を操作するための所定のアプリケーションプログラム以外のアプリケーションプログラムが起動された場合には、前記利用依頼情報を前記機器に送信しない、機器利用システムである。
【0013】
請求項に係る発明は、携帯端末と、機器と、を含み、前記携帯端末は、前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、を含み、前記機器は、前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、を含み、前記機器は、前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段を含み、前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ前記視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、機器利用システムである。
【0014】
請求項に係る発明は、携帯端末と、機器と、を含み、前記携帯端末は、前記携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を前記機器に送信する送信手段と、を含み、前記機器は、前記機器を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、前記携帯端末から前記利用依頼情報を受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、を含み、前記携帯端末は、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、前記機器に状態問合せを行う手段と、前記状態問合せに応じて前記機器が利用中である旨の回答を得た場合、前記機器の利用予約を受け付ける手段と、を更に含む、機器利用システムである。
【0015】
請求項に係る発明は、自端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段と、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を機器に送信する送信手段と、を含み、前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、携帯端末である。
【0016】
請求項に係る発明は、コンピュータを、自端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証を実行する端末側認証手段、前記端末側認証手段による前記ユーザ認証が成功した場合に、その成功を示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を機器に送信する送信手段、として機能させるためのプログラムであって、前記端末側認証手段は、前記ユーザに対応付けて、前記携帯端末の通常の利用のためのユーザ認証情報である通常認証情報と、前記機器の利用のための前記携帯端末の利用のためのユーザ認証情報である専用認証情報と、の入力を受け付け可能であり、前記専用認証情報が入力されたのに応じて前記ユーザ認証が成功した場合に、前記送信手段は、前記利用依頼情報を前記機器に送信する、ことを特徴とするプログラムである。
【0017】
請求項10に係る発明は、自機を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段と、携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証が成功したことを示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を、前記携帯端末から受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段と、前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段と、を含み、前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ前記視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、ことを特徴とする機器である。
【0018】
請求項11に係る発明は、コンピュータを、自機を操作しようとするユーザについてのユーザ認証を実行する機器側認証手段、携帯端末の利用をユーザに許可するためのユーザ認証が成功したことを示す情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む利用依頼情報を、前記携帯端末から受け取った場合、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略し、前記利用依頼情報に含まれるユーザ識別情報に対応する前記ユーザによる前記機器側認証手段の認証が成功したものとする制御を行う認証制御手段、として機能させるためのプログラムであって、前記認証制御手段は、前記携帯端末から利用依頼情報を受け取り、かつ、前記機器に対するユーザの視線を感知する視線感知手段が前記ユーザの視線を感知している場合に、前記機器側認証手段によるユーザ認証を省略する、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1、6、8〜11のいずれかに記載の発明によれば、携帯端末から機器を制御するために、携帯端末の利用のための認証処理に成功した後その携帯端末から機器の認証を受ける方式よりも、ユーザが携帯端末から機器を利用可能になるまでに要する時間を短くすることができる。
【0020】
また、携帯端末におけるユーザ認証が、携帯端末を利用するためのものか、機器を利用するためのものであるかを判定することができる。
【0021】
請求項にかかる発明によれば、機器の利用のための専用認証情報としてユーザが希望する情報の設定を受け付けることができる。
【0022】
請求項にかかる発明によれば、携帯端末を利用するための通常認証情報と同じ情報が機器の利用のための専用認証情報として設定されることを抑止できる。
【0023】
請求項に係る発明によれば、他のユーザが機器を使用予定の場合に専用認証情報の入力を受け付けないようにすることができる。
【0024】
請求項にかかる発明によれば、ユーザが機器の利用以外の目的で機器近傍を通り過ぎる際に機器に近づいた場合に、ユーザが携帯端末から機器にログインすることを抑止できる。
【0025】
請求項にかかる発明によれば、ユーザが携帯端末の利用のためのユーザ認証を行った際、機器が利用中の場合であっても、その利用中の状態が解除されるまで待たずに、機器に対して利用の予約を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態のシステム構成の例を示す図である。
図2】機器の利用の際に通常とは異なる専用の画面ロックの解除コードを用いる場合の携帯端末の処理手順の一例を示す図である。
図3】機器の処理手順の一例を示す図である。
図4】携帯端末の処理手順の別の例の要部を示す図である。
図5】変形例のシステム構成の例を示す図である。
図6】変形例における携帯端末の処理手順の一例の要部を示す図である。
図7】変形例における携帯端末の処理手順の別の例の要部を示す図である。
図8】第2の変形例のシステム構成の例を示す図である。
図9】第2の変形例における携帯端末の処理手順の一例の要部を示す図である。
図10】第2の変形例における機器の処理手順の一例の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、実施形態のシステムの一例を示す。このシステムは、携帯端末100と機器200から構成される。
【0028】
携帯端末100は、ユーザが携帯する情報処理端末であり、スマートフォン、タブレット端末等がその一例である。機器200は、ユーザに対して何らかの処理機能を提供する装置である。機器200は、例えばプリンタ、スキャナ、ファクシミリ、複合機(プリンタ、スキャナ、コピー機等の機能を併せ持つ装置)等である。
【0029】
携帯端末100は、ロック制御部110、機器操作アプリ120、通信制御部130を含む。
【0030】
ロック制御部110は、携帯端末100の画面ロックの制御を行う。ロック制御部110は、例えば携帯端末100のOS(オペレーティングシステム)の一機能として実装される。画面ロックの制御では、携帯端末100のディスプレイにロック画面を表示したり、そのロック画面の表示を解除し、ユーザから操作を受け付けるための通常のUI(ユーザインタフェース)画面(例えばホーム画面等)を表示したりする。なお、ロック画面とは、端末をその端末の所有者以外の者が勝手に使えないように操作をロック(すなわちロックの解除操作以外の操作を受け付けない、又は解除操作以外には限られた操作しか認めないこと)した際に表示される画面である。画面ロック(すなわちロック画面が表示された状態)の解除には、所定の解除操作が要求される。ロック制御部110は、解除操作として、PINコード入力、パスワード入力、パターン入力、指紋認証、顔認証、等の数種類の方法を用意している。パターン入力とは、携帯端末100のディスプレイであるタッチパネル上のロック画面上に指先等のタッチ操作で軌跡(パターン)を描く操作であり、例えばAndroid(登録商標)OSで画面ロック解除の方法の一つに採用されている。ユーザは、それら複数の解除操作のうち、自分が使用する解除操作をあらかじめロック制御部110に設定し、またその解除操作に用いる個人認証情報(例えばPINコード、パスワード、パターン、指紋情報、顔情報、虹彩情報)を設定する。この解除操作方法や個人認証情報の設定のための情報処理は、ロック設定部112により行われる。ユーザは、携帯端末100を操作しようとする際、ディスプレイに表示されたロック画面に対して、その設定した解除操作の方法でその個人認証情報を入力することで、画面ロックを解除する。ロック制御部110が行っている画面ロックの解除の処理は、携帯端末100を利用しようとするユーザに対する認証処理である。
【0031】
機器操作アプリ120は、携帯端末100から機器200を操作するための処理を実行するアプリケーションプログラムである。機器操作アプリ120は、携帯端末100内のコンピュータにインストールされており、携帯端末100内のプロセッサにより実行されることで、機器200を操作するためのUIや、そのUIに対するユーザからの指示に従って機器200に対して処理の指示や処理対象のデータの送受信等の処理を実行する。
【0032】
機器操作アプリ120は、機器用ユーザID122の情報を保持している。機器用ユーザID122は、ユーザ(すなわちその携帯端末100の所有者)が機器200に持っているユーザアカウントのユーザID(識別情報)である。この情報は、そのユーザが機器操作アプリ120に設定しておく。ユーザは、その機器200をローカルで使用する場合にはその機器200の付属の入力装置にそのユーザIDとパスワードを入力して認証を受けるが、同じユーザIDを本実施形態の簡易的な認証操作のために携帯端末100内に保持しているのである。なお、機器用ユーザID122は、機器200におけるそのユーザのユーザIDそのものでなくてもよく、そのユーザIDを一意に導出できる他の情報であってもよい。
【0033】
また、機器操作アプリ120は、利用依頼処理部124を有する。利用依頼処理部124は、携帯端末100のユーザ(所有者)が機器200を利用する際の利用依頼の処理を行う。本実施形態では、携帯端末100から機器200を利用する際の認証処理を簡素化するために、携帯端末100の画面ロックの解除を、その携帯端末100のユーザ(所有者)の機器200に対する認証と連動させる。すなわち、画面ロックが解除された時に携帯端末100(利用依頼処理部124)から機器200に対して、そのユーザの機器用ユーザID122と画面ロックが解除されていること示す特定の情報とを含んだ利用依頼情報を機器200に送る。すると、携帯端末100から利用依頼情報を受け取った機器200は、その情報に含まれる機器用ユーザID122に対応するユーザの機器200に対するログインを許可し、携帯端末100からそのユーザが機器200を操作できるようにする。この場合、携帯端末100の画面ロックが解除されているので、その携帯端末100は機器用ユーザID122が示す正当なユーザ(携帯端末100の所有者)に操作されているはずである。利用依頼情報は、正当なユーザにより操作されている携帯端末100からの利用依頼であることを示しているので、機器200はそのことをいわば信用し、ユーザからのパスワード等の認証情報の入力やその認証情報に対する認証処理を省略して、そのユーザのログインを認めるのである。
【0034】
通信制御部130は、携帯端末100の外部(例えば機器200)とのデータ通信のための制御を行う。通信制御部130は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等の無線通信を経由して機器200と通信するものであってもよい。また、この無線通信は、Wi-Fi Direct(登録商標)やBluetooth(登録商標)等のように、無線機器同士が直接無線通信で接続するものであってもよい。
【0035】
機器200は、ユーザに対して提供する機能(例えば複合機の場合は、スキャン、印刷、ファックス送信等)のための機構に加え、認証処理部210、操作受付部220及び通信制御部230を有する。
【0036】
認証処理部210は、当該機器200を操作しようとするユーザに対してユーザ認証を行う。例えば、機器200に付属する入力装置(例えばタッチパネルに表示したユーザID、パスワードの入力欄や、ICカードリーダ)に対してユーザがユーザID及び認証情報を入力した場合、認証処理部210はそれら入力された情報に基づいてユーザ認証を実行する。また、認証処理部210は、携帯端末100やネットワーク上のPC(パーソナルコンピュータ)等の装置からユーザID及びパスワードとの認証情報を受け付け、それらの情報に基づいてユーザ認証を行う。認証処理部210は、このような通常の認証機能に加え、携帯端末100から利用依頼情報(機器用ユーザID122と画面ロック解除の旨を示す特定情報を含む)を受けた場合にユーザIDと認証情報に基づく通常の認証処理を省略して、その機器用ユーザID122に対応するユーザの当該機器200の利用を許可(例えばログインを許可)する機能を有する。
【0037】
操作受付部220は、ログインしたユーザからの機器200への操作を受け付ける。機器200は、操作受付部220が受け付けた操作に対応する処理を実行する。
【0038】
通信制御部230は、機器200の外部(例えば携帯端末100)とのデータ通信のための制御を行う。通信制御部230は、Wi-Fi Direct(登録商標)等の無線LAN規格をサポートしていてもよい。
【0039】
以上に説明したとおり、本実施形態では、いわば携帯端末100の画面ロックの解除(すなわち携帯端末100を利用するためのユーザ認証)を、機器200におけるユーザ認証に連動させるものである。ここで、ユーザが携帯端末100の画面ロックを解除するのは、機器200を利用する場合に限らない。このため、画面ロックの解除の都度、携帯端末100(利用依頼処理部124)が機器200に利用依頼情報を送る処理を行うとすると、ユーザに機器200の利用の意思がない場合もその処理が行われることになり無駄である。そこで、本実施形態では、一つの例として、携帯端末100を利用するための通常の画面ロック解除の他に、機器200を利用するための専用の画面ロック解除を携帯端末100に設定し、ユーザが携帯端末100から機器200を利用する際には後者の画面ロック解除を用いる。
【0040】
通常の画面ロック解除と機器200の利用の際の画面ロック解除との区別は、一つの例では、解除操作のために入力する個人認証情報として異なる情報を用いることで実現する。例えば、画面ロック解除のための解除操作としてパターン入力方式を用いる場合に、通常の画面ロック解除と機器200の利用の際の画面ロック解除とで、異なるパターン(これが個人認証情報に対応)を用いることがその一例である。また別の例として、通常の画面ロック解除と機器200の利用の際の画面ロック解除とで、画面ロック解除のために入力すべきPINコードやパスワードを異ならせてもよい。
【0041】
また別の例として、機器200の利用の際の画面ロック解除のための解除操作に、通常の画面ロック解除に使う解除操作と異なる操作を割り当ててもよい。例えば、通常の画面ロック解除には指紋入力方式を用いるが、機器200の利用の際にはPINコード入力を用いる等である。
【0042】
この場合、通常の画面ロック解除の画面が表示されている状態において、切り替えボタンが押される、フリック操作などのジェスチャ操作が行われるなどといった特定の操作が行われると、機器200の利用の際の画面ロック解除画面に切り替わってもよいし、反対に機器200の利用の際の画面ロック解除の画面が表示されている状態から、通常の画面ロック解除の画面に切り替わってもよい。
【0043】
上記いずれの場合も、機器200を利用する際には、ユーザは通常の画面ロック解除の際に入力するのとは異なる特別の解除コード(通常とは異なる解除操作もその一例)を入力する。ロック設定部112は、通常のロック解除のための解除コード(通常コードと呼ぶ)の他に、機器200の利用の際の専用の解除コード(機器利用専用コードと呼ぶ)の設定を受け付ける。
【0044】
このように、機器200の利用の際に通常とは異なる特別の解除コードを用いる場合の、画面ロック解除の際の携帯端末100の処理手順の一例を、図2を参照して説明する。
【0045】
図2の手順は、携帯端末100の電源がオンされたりスリープ状態の解除操作が行われたりした場合に開始される。スリープ解除等が行われると、携帯端末100のロック制御部110は、携帯端末100のディスプレイに所定のロック画面を表示し(S10)、ユーザからそのロック画面に対する解除コードの入力を受け付ける(S12)。次にロック制御部110は、S12で入力された解除コードが通常コード、機器利用専用コード、及びそれ以外のいずれであるかを判定する(S14)。入力された解除コードが通常コード及び解除コードのいずれにも該当しない場合、ロック制御部110は画面ロックを解除しない(図示省略)。入力された解除コードが通常コードである場合、ロック制御部110は、画面ロックを解除して所定のホーム画面をディスプレイに表示する(S16)。S16以降は携帯端末100の通常の処理なので説明を省略する。
【0046】
S12で入力された解除コードが機器利用専用コードである場合、携帯端末100は、通信制御部130に対して、近傍の機器200との通信を確立させる(S18)。ここでの携帯端末100と近傍の機器200との通信は、Wi-Fi DirectやBluetooth(登録商標)等の近距離無線接続方式によるものであってよい。なお、S18において、携帯端末100から近距離無線接続方式で接続可能な機器200が見つからなかった場合には、携帯端末100は、例えば近くに利用可能な機器がないことを示すエラーメッセージをロック画面上に表示してもよい。
【0047】
S18で近傍の機器200と無線通信が確立できた場合、携帯端末100は、その通信を利用して機器200から現在の状態の情報を取得する(S20)。ここで取得する機器200の状態は、その機器200が現在利用中であるか(すなわち例えば印刷その他の処理を実行中であるか)否かの状態である。携帯端末100は、取得した状態の情報から、その機器200が現在利用中であるか否かを判定する(S22)。ここで利用中と判定された場合、ロック制御部110が、ロック画面上に機器200が現在利用中であることを表示し(S24)、S10に戻る。
【0048】
S22で機器200が現在利用中でないと判定した場合、機器操作アプリ120はジョブ実行画面を携帯端末100のディスプレイに表示する(S26)とともに、利用依頼処理部124により機器200に対して利用依頼情報を送信する(S28)。ここで、ジョブ実行画面は、機器200を操作するためのUI画面である。ユーザは、ジョブ実行画面の表示に従い、機器200に実行させたい処理の選択やその処理のためのパラメータ等の入力を行う。また、S28で送信される利用依頼情報には、機器用ユーザID122と画面ロック解除済みであることを示す特定情報とが含まれる。利用依頼情報を受け取った機器200は、その中に含まれる機器用ユーザID122に対応するユーザのログインを許可し、この後に続く(ログアウトまたは無操作でタイムアウトするまでの)携帯端末100からのそのユーザの操作指示を受け付ける。機器操作アプリ120は、ジョブ実行画面上でのユーザの入力が完了し、その入力が示すジョブの開始をユーザから指示された場合、その入力の内容を含んだジョブ実行指示を機器200に送る(S29)。機器200は、そのジョブ実行指示に従ってジョブを実行する。
【0049】
次に図3を参照して、機器200が実行する処理手順の例を説明する。
【0050】
この手順では、機器200は、携帯端末100からアクセスを受けた場合、前述した利用依頼情報が送られてきたか否かを判定する(S102)。利用依頼情報が送られてこない場合には、通常の処理(例えばユーザID、パスワード等の入力画面を携帯端末に送信)を実行する。一方、S102で利用依頼情報が送られてきたと判定した場合、機器200の認証処理部210は、その利用依頼情報に含まれる機器用ユーザID122に対応するユーザの認証が成功したものと見なし、そのユーザのログインを許可する(S104)。そして、その後携帯端末100から送られてくるジョブ実行指示を受け取り、その指示に応じてジョブを実行する(S106)。
【0051】
さて、図2に示した処理手順では、携帯端末100は、画面ロック解除後にS20で取得した機器200の状態が「利用中」である場合、単に利用中の旨を表示してロック画面の表示(S10)に戻った。これに対する別の例として、その場合に、ユーザから利用予約を受け付けることも可能である。この場合の携帯端末100の処理手順の例を図4に示す。図4に示す手順は、図2の手順のS22以降に置き換えられるものである。
【0052】
この手順において、S22で機器200の状態が「利用中」であると判定した場合、携帯端末100は、利用予約を行うか否かを問い合わせる画面を表示する(S30)。この画面に対してユーザが利用予約を行わない旨を指示した場合(S32の判定結果がNo)、携帯端末100はロック画面表示(S10)に戻る。ユーザが利用予約を行う旨を指示した場合(S32がYes)、機器操作アプリ120は、機器操作アプリ120はジョブ実行画面を携帯端末100のディスプレイに表示する(S34)とともに、利用依頼処理部124により機器200に対して利用依頼情報を送信する(S36)。ユーザは、ジョブ実行画面の表示に従い、機器200に実行させたい処理の選択やその処理のためのパラメータ等の入力を行う。機器操作アプリ120は、ジョブ実行画面上でのユーザの入力が完了し、その入力が示すジョブの開始をユーザから指示された場合、その入力の内容を含んだジョブ実行指示を機器200に送る(S38)。機器200は、受け取ったジョブを待ち行列に入れる。これにより、ジョブの予約(このジョブを予約ジョブと呼ぶ)が完了する。機器200は、現在実行中のジョブ(上記予約ジョブより優先度が高い待ち行列内の他のジョブ)の実行が完了した後予約ジョブの実行を開始し、携帯端末100に対して実行開始の通知を行う。機器操作アプリ120は、S38の後、機器200から予約ジョブの実行開始の通知が来るのを待ち(S40、S42)、通知が来ると(S42の判定結果がYes)、携帯端末100の画面上に予約ジョブが開始されたことを示す画面を表示する(S44)。ユーザは、その画面を見てジョブが開始されたことを知る。例えばジョブが印刷ジョブである場合、ユーザは、実行開始の通知を見て機器200のところまで行き、印刷結果を取得する。S42がNoの場合は、S40に戻る。
【0053】
さて、上記実施形態で用いる機器利用専用コードは、携帯端末100を通常利用する際の画面ロックの解除コードである通常コードとは異なっている必要がある。ロック設定部112は、ユーザが機器利用専用コードを設定する場合に、通常コードとは異なるコードを選択するための案内処理を行ってもよい。案内処理としては、例えばユーザが機器利用専用コードとして入力したコードが、すでに設定されている通常コードと一致している場合に、その旨を画面上で通知し、ユーザに異なるコードを設定するように促す処理を行ってもよい。またこのとき、ロック設定部112が、その通常コードを少し変化させて生成した別のコード(あるいは完全に別のコードであってもよい)を機器利用専用コードの候補として提案してもよい。また案内処理の別の例として、すでに設定されている通常コードを画面に表示し、これと異なるコードを機器利用専用コードとして設定するように案内してもよい。
【0054】
以上の例では、携帯端末100の画面ロックを解除する解除コード(解除操作)として、携帯端末100を通常利用する際に用いる通常コードのほかに、機器200を利用する際に用いる機器利用専用コードを用意することで、画面ロックの解除された際に、ユーザが機器200を利用する意思があるのか否かを区別できるようにした。これに対し、以下に説明する変形例では、ユーザが画面ロック解除を行った際に機器200を利用する意思があるのか否かを、別の方法で推定する。
【0055】
図5に、この変形例のシステムの構成を例示する。このシステム構成は、図1に示したシステム構成に対し、携帯端末100及び機器200がそれぞれBLE(Bluetooth Low Energy:登録商標)モジュール140及び240を備える点が異なる。BLEモジュール140及び240は、BLE規格に準拠した無線通信を行うための装置である。BLE規格は、通信相手との通信の際の電波強度からその通信相手とのおおよその距離を検知する機能をサポートしており、BLEモジュール140及び240もその機能を有する。この変形例では、画面ロックが解除された際に携帯端末100が機器200に近づきつつある場合に、携帯端末100のユーザが機器200を利用する意思があると判定する。
【0056】
図6にこの変形例における携帯端末100の処理手順を示す。図6の手順は、図2の手順の変形であり、図2に示したステップと同様のステップには同一符号を付した。
【0057】
図6の手順では、携帯端末100は、S12で画面ロックの解除コードの入力を受けた後、BLEモジュール140により近傍の機器200のBLEモジュール240と通信し、それら両BLEモジュール140及び240間の距離を定期的に(例えば0.1秒ごとに)算出し、その距離の時間的な変化を求める(S50)。そして、ロック制御部110は、求めた距離の変化から、携帯端末100が機器200に近づいているか否かを判定する(S52)。そして、近づいていると判定した場合(S52の判定結果がYes)には、携帯端末100のユーザが機器200を利用する意図があると推定されるので、処理は図2のS18以降に進み、利用依頼処理部124から機器200に利用依頼情報を送って機器200に対するログインを行う。一方、S52の判定結果がNoの場合は、ユーザは機器200を利用する意図がないと推定されるので、ロック制御部110は、S16に進んで通常の画面ロック解除を行い、ホーム画面を表示する。
【0058】
さて、上述の図6の手順では、画面ロック解除時にユーザ(携帯端末100)が機器200に近づきつつあれば、ユーザが機器200を利用する意図を持つと判定した。しかし、ユーザが単に機器200を通り過ぎる際に携帯端末100を操作しようとして画面ロックを解除することもあり得る。このような場合も考慮に入れた、図6の手順の改良例を図7に示す。
【0059】
図7の手順では、携帯端末100は、S52で携帯端末100が機器200に近づいていると判定した場合、画面ロックを解除してホーム画面を表示し(S54)、ユーザが何らかのアプリ(アプリケーションプログラム)を起動するかどうかを監視する。この監視において、S54のホーム画面の表示の後所定の期間(例えば数秒)以内にユーザが機器操作アプリ120以外のアプリを起動したか否かを判定する(S56)。その所定の期間内にユーザが起動したアプリが機器操作アプリ120以外のアプリであれば(S56の判定結果がYes)、ユーザは機器200を利用するためではなくそのアプリを利用するために画面ロックを解除したと判断できる。この場合、携帯端末100はその起動されたアプリの処理を行う。これに対し、その所定期間内に機器操作アプリ120が開かれた場合は、ユーザは機器200を利用する意思を持っているので、携帯端末100の処理はS18に進み、機器200の利用のための利用依頼情報の送信等の処理を行う。
【0060】
図5図7を参照して説明した変形例では、画面ロック解除時に携帯端末100が機器200に近づいているか否かを、BLEの距離計測機能を用いて判定したが、BLEの利用はあくまでも一例に過ぎない。電波等を利用した他の距離計測システムを用いてもよいまた例えばGPS(Global Positioning System)等の測位システムを用いて携帯端末100及び機器200の位置を求め、時間経過に伴うそれら両者の位置の差(距離)の変化を求めてもよい。
【0061】
さらに別の変形例を図8図10を参照して説明する。この変形例も、図5図7の変形例と同様、画面ロック解除のための機器利用専用コードを用いず、通常の解除コードが入力された際の状況から、ユーザが機器200を用いようとしているのか否かを判定する。この変形例では、図8に示すように、機器200が公知の視線検知センサ250を有しており、ユーザが携帯端末100の画面ロックを解除した際に、視線検知センサ250が視線を検知していれば、ユーザが機器200の利用の意思を持つと判断する。すなわち、画面ロック解除をした際(例えば解除の直後)、ユーザが機器200の方を見れば、そのユーザは機器200を利用する意思があると判断するのである。
【0062】
図9は、この変形例での携帯端末100の処理手順の例であり、図2に示した手順と同様のステップには同一符号を付した。この手順では、携帯端末100は、S12で画面ロックの解除コードの入力を受けると、機器200に対してロックが解除されたことを通知する(S60)。この通知は、画面ロックが解除されたことを示すものであればよく、前述した利用依頼情報は含まなくてよい。この通知は、BluetoothやWi-Fi Direct等の公知の無線通信方式で行えばよい。S60の後、携帯端末100は、機器200から利用依頼情報の送信を要求されるのを待つ(S62)。所定の期間待っても機器200から利用依頼情報が要求されなかった場合は、携帯端末100は、図2のS16に進み、ホーム画面を表示する。S62で機器200から利用依頼情報の送信を要求された場合は、携帯端末100は、図2のS18以降に進み、機器200の利用のための利用依頼情報の送信等の処理を行う。
【0063】
図10は、この変形例での機器200の処理手順の例である。この手順では、機器200は、携帯端末100からアクセスを受けた場合、そのとき受け取ったのがロック解除の通知であるか否かを判定する(S110)。ロック解除の通知でないと判定した場合には、図3のS102に進み、利用依頼情報を受け取ったかどうかを判定し、以降図2と同様の処理を行う。一方、S110でロック解除通知を受け取ったと判定した場合、機器200は、視線検知センサ250が視線を検知したか否かを判定する(S112)。視線を検知していない場合は、機器200はそれ以降携帯端末100に対して特別の処理は行わない。この場合、携帯端末100は、機器200はロック解除の通知を送った後、利用依頼情報の要求が機器200から来るのを待っているが、その待ち時間がタイムアウトするので、利用依頼情報の送信等の機器200関連の処理は実行しない。S112の判定結果がYesとなった場合、機器200は、携帯端末100に対して利用依頼情報の送信を要求する(S114)。この要求を受けた携帯端末100では、S62の判定結果がYesとなるので、S18に進み、利用依頼情報を送信するための処理を実行する。携帯端末100が利用依頼情報を送信すると、機器200は、図3のS102以降の処理を実行し、ユーザのログインを許可する。
【0064】
以上に説明した例では、ユーザが機器200を利用しようとする際に手元の携帯端末100の画面ロックを解除する場合を想定したが、上記実施形態及び変形例の方式は、既に画面ロックが解除されている携帯端末100を携帯しているユーザが機器200を利用可能となった場合にも適用可能である。例えば、画面ロックが解除されている携帯端末100を持ったユーザが機器200と通信可能な位置まで来たときに機器操作アプリ120を起動した場合に、利用依頼処理部124が機器200に利用依頼情報を送信してもよい。また、画面ロックが解除され機器操作アプリ120が起動された状態の携帯端末100を持ったユーザが、機器200と通信可能な位置まで来たときに、利用依頼処理部124が機器200に利用依頼情報を送信してもよい。
【0065】
以上に示した例では、利用依頼情報を機器200に送信する処理は機器操作アプリ120が行ったが、ロック制御部110が行ってもよい。
【0066】
また、図2の手順のS12では、ロック解除コードとして、通常コードと機器利用専用コードの両方の入力を受け付けていたが、状況に応じて機器利用専用コードの入力を受け付けないようにしてもよい。例えば、機器200がユーザからの使用(利用)予約を受け付ける機能を有している場合を考える。携帯端末100にロック解除画面を表示する際、機器200が他のユーザ(その携帯端末100の所有者以外のユーザ)に予約されていれば(すなわちその表示の時点が、他のユーザが予約した機器200の使用予定の時間帯に該当すれば)、他のユーザが機器200を使用している(あるいはこれから使用する)はずと考えられる。このとき携帯端末100から機器200を使用しようとしても、その予約に係る使用が終了してからでないと、機器200は使用できない。したがって、このような場合に機器利用専用コードの入力を受け付けて認証手順を高速化したとしても、無駄になる可能性が高い。そこで、携帯端末100は、ロック解除画面を表示する際、機器200が他のユーザに予約されていれば、機器利用専用コードの入力は受け付けない(例えば通常コードの入力画面を表示し、機器利用専用コードの入力画面は表示しない)ようにする。機器200が他のユーザに予約されているか否かは、携帯端末100からその機器200、又は機器200群の利用予約を管理するサーバに問い合わせることで検知すればよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明した。以上に例示した携帯端末100、及び機器200の情報処理部は、コンピュータに上述の各機能を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の固定記憶装置を制御するコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバス等を介して接続された回路構成を有する。それら各機能の処理内容が記述されたプログラムがネットワーク等の経由でフラッシュメモリ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
【符号の説明】
【0068】
100 携帯端末、110 ロック制御部、112 ロック設定部、120 機器操作アプリ、124 利用依頼処理部、130 通信制御部、140,230 BLEモジュール、200 機器、210 認証処理部、220 操作受付部、220 操作受付部、230 通信制御部、250 視線検知センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10