(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比例ゲイン設定部は、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が大きい場合に前記比例ゲインを小さくし、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が小さい場合に前記比例ゲインを大きくするように構成されている、請求項1に記載の誘導電動機の制御装置。
前記比例ゲイン設定部は、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が所定の値以上の場合に前記比例ゲインを小さくし、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が前記所定の値未満の場合に前記比例ゲインを大きくするように構成されている、請求項2に記載の誘導電動機の制御装置。
前記比例ゲイン設定部は、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が前記所定の値以上の場合、定格負荷の場合の漏れインダクタンスに基づいて前記比例ゲインを小さくし、前記一次電流に対する漏れインダクタンスの変化量が前記所定の値未満の場合、無負荷の場合の漏れインダクタンスに基づいて前記比例ゲインを大きくする、請求項3に記載の誘導電動機の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[本実施形態]
図1〜
図8を参照して、本実施形態による誘導電動機200の制御装置100の構成について説明する。なお、制御装置100は、一次電流の変化に伴って漏れインダクタンスLσが変化する誘導電動機200を制御するように構成されている。ここで、一次電流とは、制御装置100から誘導電動機200に供給される電流である。
【0019】
(制御装置の構成)
図1に示すように、制御装置100には、スイッチング動作により直流を交流に変換して、交流電力を誘導電動機200に供給するPWMインバータ部1が設けられている。また、誘導電動機200の入力側には、PWMインバータ部1から出力される交流の電流(一次電流)を検出する電流検出器2と、PWMインバータ部1から出力される交流の電圧を検出する電圧検出器3とが設けられている。
【0020】
また、制御装置100には、三相/二相変換器4が設けられている。三相/二相変換器4は、電流検出器2により検出された一次電流を、固定子座標系の二相量(iα、iβ)に変換する。
【0021】
また、制御装置100には、ベクトル回転器5が設けられている。ベクトル回転器5は、固定子座標系の二相量iαおよびiβを、それぞれ、磁化電流実際値I
M、トルク電流実際値I
Tに変換する。磁化電流実際値I
Mおよびトルク電流実際値I
Tは、後述する、電流調節器16および誘起電圧演算回路8に入力される。また、トルク電流実際値I
Tは、さらに、後述する、すべり周波数演算器12および一次角周波数演算手段9に入力される。
【0022】
また、制御装置100には、三相/二相変換器6、ベクトル回転器7、および、誘起電圧演算回路8が設けられている。電圧検出器3、三相/二相変換器6、ベクトル回転器7、および、誘起電圧演算回路8は、誘導電動機200の誘起電圧ベクトルEを検出するとともに、誘起電圧ベクトルEの成分であるE
MおよびE
Tを演算するように構成されている。
【0023】
また、制御装置100には、一次角周波数演算手段9が設けられている。一次角周波数演算手段9は、誘起電圧演算回路8から出力される誘起電圧ベクトルEの成分であるE
MおよびE
Tに基づいて、一次周波数指令ω
1*を演算する。
【0024】
また、制御装置100には、積分器10が設けられている。積分器10は、一次角周波数演算手段9から入力される一次周波数指令ω
1*を、位相角指令値θ
*に変換する。位相角指令値θ
*は、ベクトル回転器5、ベクトル回転器7、および、後述する座標変換回路17における、電圧・電流のベクトル演算に用いられる。
【0025】
また、制御装置100には、磁束演算器11が設けられている。磁束演算器11は、一次周波数指令ω
1*、誘起電圧ベクトルEの成分であるE
T(T軸誘起電圧)、および、磁束指令値φ
2*から、磁束演算値φ
2を演算する。
【0026】
また、制御装置100には、すべり周波数演算器12が設けられている。すべり周波数演算器12は、トルク電流実際値I
Tと磁束演算値φ
2とに基づいて、すべり周波数指令値ω
s*を出力する。
【0027】
また、制御装置100には、加算器13が設けられている。加算器13は、一次周波数指令ω
1*から、すべり周波数指令値ω
s*を減算して、速度推定値ω
rを出力する。
【0028】
また、制御装置100には、磁束調節器14が設けられている。磁束調節器14は、磁束指令値φ
2*と磁束演算値φ
2との偏差から磁化電流指令値I
M*を生成する。
【0029】
また、制御装置100には、速度調節器15が設けられている。速度調節器15は、速度指令値ω
r*と速度推定値ω
rとの偏差からトルク電流指令値I
T*を生成する。
【0030】
また、制御装置100には、電流調節器16が設けられている。電流調節器16には、一次電流の磁束軸方向成分である磁化電流指令値I
M*および磁化電流実際値I
Mと、磁束軸方向成分に直交するトルク方向軸成分であるトルク電流指令値I
T*およびトルク電流実際値I
Tとが入力される。また、電流調節器16は、磁化電流指令値I
M*と磁化電流実際値I
Mとに基づいて磁化電圧指令値V
M*を生成するとともに出力し、トルク電流指令値I
T*とトルク電流実際値I
Tとに基づいてトルク電圧指令値V
T*を生成するとともに出力する。そして、電流調節器16は、磁化電流指令値I
M*に磁化電流実際値I
Mをフィードバックし、トルク電流指令値I
T*にトルク電流実際値I
Tをフィードバックして、フィードバック制御を行うように構成されている。なお、電流調節器16の詳細な構成については、後述する。なお、電流調節器16は、特許請求の範囲の「電流調節部」の一例である。
【0031】
また、制御装置100には、座標変換回路17が設けられている。座標変換回路17は、一次電圧指令値の磁化電圧指令値V
M*とトルク電圧指令値V
T*とを、固定子座標系の二相量vα
*およびvβ
*に変換する。
【0032】
また、制御装置100には、パルス発生回路18が設けられている。パルス発生回路18は、二相量vα
*およびvβ
*を駆動パルスに変換してPWMインバータ部1に出力する。
【0033】
(電流調節器の詳細な構成)
図2を参照して、電流調節器16の詳細な構成について説明する。
図2は、電流調節器16の等価ブロック図を示している。
【0034】
電流調節器16には、電流指令値(磁化電流指令値I
M*、トルク電流指令値I
T*)と電流実際値(磁化電流実際値I
M、トルク電流実際値I
T)とが入力される。また、減算器16aにより、電流指令値から、電流実際値が減算される。電流指令値から電流実際値を減算した値(偏差)は、PI調節器16bに入力される。PI調節器16bでは、比例ゲインK
pを用いて、入力された偏差から、操作量(電圧)が算出される。比例ゲインK
pとは、偏差に対する操作量の比率(操作量/偏差)を意味する。そして、PI調節器16bにより算出された操作量(電圧)に基づいて、モータモデル16cから、電流(電流実際値)が出力される。このモータモデル16cは、
図1のパルス発生回路18、PWMインバータ部1、誘導電動機200を伝達関数で表現したものであり、誘導電動機200に流れた電流を電流検出器2、三相/二相変換器4、ベクトル回転器5を介して得られる磁化電流実際値I
M、トルク電流実際値I
Tに変換し、出力する。すなわち、モータモデル16cは、PI調節器16bにより算出された操作量に基づくPWMインバータ部1の出力電圧と誘導電動機200に流れる電流の関係を近似的に表現することができる。このモータモデル16cの伝達関数は、漏れインダクタンスLσの逆数に比例(=1/(sLσ))する。なお、「s」は、ラプラス変換における複素数領域を意味する。すなわち、電流調節器16では、電流指令値と電流実際値とに基づいて、フィードバック制御が行われる。
【0035】
ここで、電流調節器16の比例ゲインK
pの適正値は、下記の式に示すように、漏れインダクタンスLσに比例した値である。これは、モータモデル16cが、漏れインダクタンスLσの逆数に比例(=1/(sLσ))するためである。
【数1】
ここで、Kは、比例定数(一定値)であり、モータ制御系の遅延時間や、ディジタル制御の演算周期によって決まる値である。たとえば、モータ制御系の遅延時間が大きい場合、Kは、小さくなる。また、ディジタル制御の演算周期が短い場合、Kは、大きくなる。
【0036】
また、
図3に示すように、誘導電動機210において、ロータ211のスロッ212が開スロット(ステータ側が開口しているスロット212)の場合、ロータ211(磁性体)が、二次導体213を塞いでいないので、磁気飽和がない。このため、
図4に示すように、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化は小さい。
【0037】
一方、
図5に示すように、誘導電動機200のロータ201のスロット202が閉ロット(ステータ側が開口していないスロット202)の場合、スロット202を閉じているロータ201の部分202a(スロット202内に配置される二次導体203のステータ側に対応するロータ201の部分202a)の厚みが薄いため、磁性体(ロータ201)を流れる磁束が飽和しやすくなる。このため、
図6に示すように、一次電流に対して、漏れインダクタンスLσ(ステータ側において流れる電流が作る磁束の内、ロータ201側の二次導体203と交わらない磁束に対応するインダクタンス)の大きさが変化する。具体的には、一次電流が大きいほど、漏れインダクタンスLσは、小さくなる。
【0038】
そして、比例ゲインK
pが漏れインダクタンスLσに対して大きすぎると、一次電流が振動する。たとえば、
図6に示すように、一次電流が小さい場合の漏れインダクタンスLσ(大)と、一次電流が大きい場合の漏れインダクタンスLσ(小)との差(変化量ΔLσ)が比較的大きい誘導電動機200において、一次電流が小さい場合の漏れインダクタンスLσ(大)を用いて、上記の式に基づいて比例ゲインK
p(=K×Lσ(大))を設定する。この場合、一次電流が大きいポイントでは、実際の漏れインダクタンスLσが、Lσ(小)であるので、比例ゲインK
pが過大になる。このため、一次電流の振動などが発生する。
【0039】
また、比例ゲインK
pが漏れインダクタンスLσに対して小さすぎると、応答が遅くなってしまう。比例ゲインK
pが小さいということは、偏差に対して操作量が小さいということであるので、応答が遅くなる。
【0040】
そこで、本実施形態では、
図1に示すように、制御装置100は、電流調節器16のフィードバック制御の比例ゲインK
pの大きさを設定する比例ゲイン設定部19を備えている。そして、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσに基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定するように構成されている。具体的には、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが大きい場合に比例ゲインK
pを小さくし、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが小さい場合に比例ゲインK
pを大きくするように構成されている。
【0041】
つまり、
図6に示すように、一次電流が小さい場合の漏れインダクタンスLσ(大)と、一次電流が大きい場合の漏れインダクタンスLσ(小)との差(変化量ΔLσ)が大きい場合、比例ゲインK
pは、一次電流が大きい場合の漏れインダクタンスLσ(小)を用いて設定される(K
p=K×Lσ(小))。これにより、一次電流が大きい場合でも、一次電流の振動が抑制される。
【0042】
また、
図7に示すように、一次電流が小さい場合の漏れインダクタンスLσ(大)と、一次電流が大きい場合の漏れインダクタンスLσ(小)との変化量ΔLσが小さい場合、比例ゲインK
pは、一次電流が小さい場合の漏れインダクタンスLσ(大)を用いて設定される(K
p=K×Lσ(大))。すなわち、変化量ΔLσが小さい場合、比例ゲインK
pを、Lσ(大)を用いて大きくなるように設定しても、一次電流が大きい場合においても一次電流が振動しないと考えられるので、比例ゲインK
pがLσ(大)を用いて設定される。これにより、応答が速くなる(応答性が高くなる)。
【0043】
また、本実施形態では、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合に比例ゲインK
pを小さくし、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合に比例ゲインK
pを大きくするように構成されている。たとえば、所定の値は、Lσ(小)の10%の大きさの値である。
【0044】
また、本実施形態では、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合、定格負荷の場合の漏れインダクタンスLσ(小)に基づいて比例ゲインK
pを小さくする。誘導電動機200を定格負荷により駆動させる場合、比較的大きい一次電流が流れるので、漏れインダクタンスLσは、小さくなる。比例ゲイン設定部19は、この漏れインダクタンスLσ(小)を用いて、比較的小さい比例ゲインK
pを設定する。また、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合、無負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを大きくする。誘導電動機200を無負荷により駆動させる場合、比較的小さい一次電流が流れるので、漏れインダクタンスLσは、大きくなる。比例ゲイン設定部19は、この漏れインダクタンスLσ(大)を用いて、比較的大きい比例ゲインK
pを設定する。
【0045】
また、本実施形態では、
図1に示すように、制御装置100は、一次電流と漏れインダクタンスLσとが対応付けられたテーブル20が記憶される記憶部21を備えている。具体的には、
図8に示すように、記憶部21には、一次電流(大、小)と、漏れインダクタンスLσ(Lσ(小)、Lσ(大))とが対応付けられたテーブル20が記憶されている。そして、比例ゲイン設定部19は、記憶部21に記憶されたテーブル20に基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定するように構成されている。
【0046】
具体的には、制御装置100には、誘導電動機200のモータ定数(たとえば、
図9に示す一次抵抗r
1、二次抵抗r
2、漏れインダクタンスLσなど)を測定する機能(モード)が予め備えられている。なお、
図9のL
Mは、励磁インダクタンス、sは、すべり(負荷をかけた場合の実際の回転速度と同期速度とのずれ)を表している。そして、誘導電動機200を制御装置100に最初に接続した際に、このモータ定数を測定する機能(モード)により、誘導電動機200の漏れインダクタンスLσを測定する。この時、一次電流の大きさ|i
1|を、小さい値から大きい値に変化させる。これにより、各々の電流値における漏れインダクタンスLσが測定される。この測定された結果が、一次電流と漏れインダクタンスLσとが対応付けられて、テーブル20として記憶部21に記憶される。たとえば、
図8に示すように、無負荷時の一次電流および漏れインダクタンスLσ(大)と、定格負荷時の一次電流および漏れインダクタンスLσ(小)とが記憶される。なお、誘導電動機200のモータ定数を測定する機能は、予め制御装置100に備えられているので、漏れインダクタンスLσを測定するための機能を別途設けることなく、比例ゲインK
pの大きさを設定することが可能になる。
【0047】
そして、実際に、制御装置100により誘導電動機200の制御が開始された際、比例ゲイン設定部19は、記憶部21に記憶されたテーブル20を参照し、漏れインダクタンスLσ(大)と漏れインダクタンスLσ(小)との差(変化量ΔLσ)に基づいて、比例ゲインK
pを大きい値(=K×Lσ(大))か、小さい値(=K×Lσ(小))かのいずれかに設定する。すなわち、実際に制御装置100により誘導電動機200の制御が行われている最中は、比例ゲインK
pの大きさは変わらない。これにより、誘導電動機200の制御の最中に比例ゲインK
pの大きさが変化する場合に比べて、誘導電動機200の制御を容易に行うことが可能になる。
【0048】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
本実施形態では、上記のように、一次電流に対する漏れインダクタンスLσに基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定する比例ゲイン設定部19を備える。これにより、一次電流に対する漏れインダクタンスLσに基づいて、比例ゲインK
pの大きさが比例ゲイン設定部19により設定されるので、フィードバック制御の比例ゲインK
pが漏れインダクタンスLσに対して過度に大きくなることや過度に小さくなることが抑制される。その結果、一次電流の変化に伴って漏れインダクタンスLσが変化する場合でも、適切に誘導電動機200を制御することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが大きい場合に比例ゲインK
pを小さくし、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが小さい場合に比例ゲインK
pを大きくするように構成されている。これにより、漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが大きい場合と小さい場合との両方において、フィードバック制御の比例ゲインK
pが漏れインダクタンスLσに対して過度に大きくなることや過度に小さくなることを、適切に抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合に比例ゲインK
pを小さくし、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合に比例ゲインK
pを大きくするように構成されている。これにより、所定の値に基づいて、漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが大きいか、または、小さいかを容易に判別することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、比例ゲイン設定部19は、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合、定格負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを小さくし、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合、無負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを大きくする。これにより、定格負荷の場合の漏れインダクタンスLσと無負荷の場合の漏れインダクタンスLσとの2つの値を用いて比例ゲインK
pの大きさが設定されるので、用いられる値の数が比較的多い場合と比べて、制御装置100の負荷が大きくなるのを抑制することができる。また、定格負荷の場合の漏れインダクタンスLσの大きさは比較的小さいので、設定される比例ゲインK
pを容易に小さくすることができる。また、無負荷の場合の漏れインダクタンスLσの大きさは比較的大きいので、設定される比例ゲインK
pを容易に大きくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、一次電流と漏れインダクタンスLσとが対応付けられたテーブル20が記憶される記憶部21をさらに備え、比例ゲイン設定部19は、記憶部21に記憶されたテーブル20に基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定するように構成されている。これにより、一次電流と漏れインダクタンスLσとの対応を改めて測定することなく、記憶部21に記憶されたテーブル20に基づいて、容易に、比例ゲインK
pの大きさを設定することができる。
【0054】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合、定格負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを小さくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値以上の場合、定格負荷以外の負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを小さくしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合、無負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを大きくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一次電流に対する漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσが所定の値未満の場合、無負荷以外の負荷の場合の漏れインダクタンスLσに基づいて比例ゲインK
pを大きくしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσに応じて、比例ゲインK
pを小さくするか、または、大きくするかのいずれか(2つの値のいずれか)に設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、漏れインダクタンスLσの変化量ΔLσに応じて、比例ゲインK
pを3つ以上の値のいずれかに設定してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、誘導電動機200のモータ定数を測定する機能(モード)において測定された一次電流と漏れインダクタンスLσとに基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、誘導電動機200のモータ定数を測定する機能(モード)以外の方法により測定された一次電流と漏れインダクタンスLσとに基づいて、比例ゲインK
pの大きさを設定してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、制御装置100により誘導電動機200の制御が行われている最中は、比例ゲインK
pの大きさが変わらない例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御装置100により誘導電動機200の制御を行っている最中に比例ゲインK
pの大きさを変化させてもよい。