特許第6981142号(P6981142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981142
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20211202BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B41J2/17 201
   B41J2/175 119
   B41J2/175 151
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-186418(P2017-186418)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-103611(P2018-103611A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2020年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-254248(P2016-254248)
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西山 和宏
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−237495(JP,A)
【文献】 特開2010−046968(JP,A)
【文献】 特開2007−245739(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/053701(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/17
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の内部に位置し、液体を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、
前記装置本体の内部に位置し、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を収容可能な媒体収容部と、
前記装置本体の下部を構成し、前記印刷部に供給するための前記液体を収容する液体収容体を装着可能な装着部と、を備え、
前記装着部は、前記媒体収容部よりも下方に配置され、前記装着部に装着された前記液体収容体から漏れた前記液体を前記装置本体外に排出するための排出孔を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記装置本体に対して増設可能な増設ユニットを備え、
前記増設ユニットは、前記装着部よりも下方に配置され、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を載置可能な媒体載置部と、前記装着部が有する前記排出孔から排出された前記液体を保持するための液体保持部とを有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記増設ユニットは、前記装置本体に対して位置決めをするための位置決めピンを有し、
前記装着部は、前記排出孔が設けられる前記装着部の底壁に、前記位置決めピンが挿入されるための挿入孔を有し、
前記挿入孔は、前記底壁から上方に延びる突出部に開口し、
前記挿入孔の上端は、前記排出孔の上端よりも上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記排出孔の上端は、前記底壁から上方に延びる上側突部に開口していることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記排出孔の下端は、前記装着部の底壁から下方に延びる下側突部に開口し、
記挿入孔の下端は、前記底壁に開口することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記増設ユニットは、前記媒体載置部に載置される前記媒体を前記印刷部に向けて搬送するための搬送部を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記増設ユニットは、前記搬送部を駆動させるための駆動部を備え、
前記液体保持部は、前記搬送部により搬送される前記媒体の搬送方向と交差する前記媒体の幅方向において、前記駆動部が設けられる側とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記排出孔の下端は、前記装着部の底壁から下方に延びる下側突部に開口し、
前記装置本体に前記増設ユニットが装着される場合、前記下側突部は前記液体保持部内に位置することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
液体を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を収容可能な媒体収容部と、
前記印刷部に供給するための前記液体を収容する液体収容体を装着可能な装着部と、
装置本体に対して増設可能な増設ユニットと、を備え、
前記装着部は、前記媒体収容部よりも下方に配置され、前記装着部に装着された前記液体収容体から漏れた前記液体を前記装着部外に排出するための排出孔を有し、
前記増設ユニットは、前記装着部よりも下方に配置され、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を載置可能な媒体載置部と、前記装着部が有する前記排出孔から排出された前記液体を前記増設ユニット内を通じて前記増設ユニット外に排出するための排出部とを有することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷装置の一種として、液体の一例であるインクをヘッドが噴射することで媒体の一例である用紙に印刷を行うインクジェット式のプリンターが知られている。特許文献1には、ヘッドに向けて給紙される用紙を収容する用紙カセットと、ヘッドに供給するためのインクが貯留されるインクタンクを収容するインクタンクカセットとが装着可能なインクジェットプリンターが記載されている。こうしたプリンターにおいては、インクタンクカセットを給紙カセットよりも下方に配置することで、万が一インクタンクからインク漏れが生じた場合に、漏れたインクにより媒体を汚損してしまう虞を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−172933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のプリンターにおいては、インクタンクからインク漏れが生じた場合に、漏れたインクにより給紙カセットに載置される媒体を汚損する虞を低減する一方で、プリンター内を汚損する虞がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体漏れによる装置内の汚損を低減できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する印刷装置は、液体を用いて媒体に印刷を行う印刷部と、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を収容可能な媒体収容部と、前記印刷部に供給するための前記液体を収容する液体収容体を装着可能な装着部と、を備え、前記装着部は、前記媒体収容部よりも下方に配置され、前記装着部に装着された前記液体収容体から漏れた前記液体を前記装着部外に排出するための排出孔を有する。
【0007】
この構成によれば、装着部内において液体収容体から液体が漏れたとしても、装着部が有する排出孔を介して液体を装着部外に排出できる。そのため、液体収容体から漏れた液体が装着部内で広がってしまう虞が低減される。したがって、液体漏れによる装置内の汚損を低減できる。
【0008】
上記印刷装置においては、装置本体に対して増設可能な増設ユニットを備え、前記増設ユニットは、前記装着部よりも下方に配置され、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を載置可能な媒体載置部と、前記装着部が有する前記排出孔から排出された前記液体を保持するための液体保持部とを有することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、装着部内において液体収容体から漏れた液体を増設ユニットが有する液体保持部が保持するため、液体収容体から漏れた液体を液体保持部により回収できる。
【0010】
上記印刷装置において、前記増設ユニットは、前記装置本体に対して位置決めをするための位置決めピンを有し、前記装着部は、前記排出孔が設けられる前記装着部の底壁に、前記位置決めピンが挿入されるための挿入孔を有し、前記挿入孔は、前記底壁から上方に延びる突出部に開口し、前記挿入孔の上端は、前記排出孔の上端よりも上方に位置していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、増設ユニットが有する位置決めピンに対応する挿入孔を装着部に設けた場合であっても、液体収容体から漏れた液体が挿入孔を介して、装着部から増設ユニットに流れ出る虞を低減できる。
【0012】
上記印刷装置において、前記排出孔の上端は、前記底壁から上方に延びる突部に開口していることが好ましい。
この構成によれば、装着部の底壁から突部が上方に延びる量に応じて、漏れた液体を装着部内に溜めることができる。
【0013】
上記印刷装置において、前記排出孔の下端は、前記装着部の底壁から下方に延びる突部に開口し、前記突出部に上端が開口する前記挿入孔の下端は、前記底壁に開口することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、装置本体に増設カセットを取り付ける際に、位置決めピンを挿入孔に挿入し易くする一方で、位置決めピンを排出孔に誤って挿入してしまう虞を低減できる。
【0015】
上記印刷装置において、前記増設ユニットは、前記媒体載置部に載置される前記媒体を前記印刷部に向けて搬送するための搬送部を備えることが好ましい。
この構成によれば、装置本体が増設ユニットの媒体載置部に載置される媒体を搬送するための搬送部を備えなくともよいため、装置本体のコンパクト化に貢献できる。
【0016】
上記印刷装置において、前記増設ユニットは、前記搬送部を駆動させるための駆動部を備え、前記液体保持部は、前記搬送部により搬送される前記媒体の搬送方向と交差する前記媒体の幅方向において、前記駆動部が設けられる側とは反対側に設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、排出孔から液体保持部に排出される液体が駆動部に付着してしまう虞を低減できる。
上記印刷装置においては、装置本体に対して増設可能な増設ユニットを備え、前記増設ユニットは、前記装着部よりも下方に配置され、前記印刷部に向けて搬送される前記媒体を載置可能な媒体載置部と、前記装着部が有する前記排出孔から排出された前記液体を前記増設ユニット内を通じて前記増設ユニット外に排出するための排出部とを有することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、排出孔を介して装着部外に排出された液体を増設ユニットが有する排出部が増設ユニット外に排出するため、液体収容体から液体が漏れていることを迅速にユーザーに気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】印刷装置の第1実施形態を概略的に示す斜視図。
図2】装置本体の内部構造を示す正面図。
図3】装着部の斜視図。
図4】装着部の上面図。
図5図4におけるA−A線矢視の部分断面図。
図6】増設ユニットの斜視図。
図7】排出孔及び位置決め孔が設けられた部分の断面図。
図8】第2実施形態の印刷装置が備える装着部の上面図。
図9】装着部の斜視図。
図10図9とは別の角度から見たときの装着部の斜視図。
図11】第2実施形態の印刷装置が備える増設ユニットの斜視図。
図12図11における一部分を示す拡大図。
図13】受け面を示す増設ユニットの側断面図。
図14】増設ユニットの側断面図。
図15】増設ユニットに別の増設ユニットを増設したときの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、印刷装置の一種であるインクジェット式プリンターの第1実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、印刷装置11は、直方体状をなす装置本体12と、装置本体12に対して増設される増設ユニット13とを備えている。この増設ユニット13が取り付けられる装置本体12の下部は、容器14が着脱自在に装着される装着部15として構成されている。なお、増設ユニット13は、装置本体12に対して複数増設することが可能である。すなわち、増設ユニット13は、装着部15の下部にだけでなく、当該増設ユニット13とは別の増設ユニット13の下部にも取付可能に構成されている。
【0022】
装置本体12の前面には、増設ユニット13が位置する側である底部側から上に向かって順に、容器14が装着される装着部15の枠体16を覆う回動可能な前蓋17と、媒体収容部18に媒体(例えば用紙)S(図2参照)を収容するための収容口19とが配置されている。本実施形態における媒体収容部18は、媒体Sを積層状態で収容可能な媒体収容体20を収容口19に装着することで、装置本体12内に媒体Sを収容する。さらに、収容口19の上側には、印刷が行われた媒体Sが排出される排出トレイ21と、印刷装置11を操作するための操作部22とが配置されている。なお、装置本体12の前面とは、高さと幅を有し、印刷装置11に対する操作を主に行う側面のことをいう。
【0023】
装着部15よりも下方に配置される増設ユニット13には、媒体Sを載置可能な媒体載置部23が設けられている。媒体載置部23は、装置本体12が有する媒体収容部18と同様の機能を有し、本実施形態においては媒体Sを積層状態で保持可能な媒体保持体24を介して増設ユニット13内に媒体Sを載置する。なお、媒体保持体24は、容器14及び媒体収容体20と同様に印刷装置11に対して着脱可能とされている。
【0024】
装着部15は、一又は複数(本実施形態では四つ)の容器14が装着可能とされている。容器14には、印刷装置11が媒体Sに印刷を行うために用いる液体を収容する液体収容体25が着脱可能に装着される。液体収容体25はそれぞれ異なる種類(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色の異なるインク)の液体を収容する。また、容器14は、液体収容体25を保持しない単体の状態でも装着部15に着脱可能に装着されるものである。なお、装着部15は、容器14を介さず、液体収容体25を直接装着部15に装着可能な構成としてもよい。ここで、本実施形態では、容器14が装着部15に装着されるときの移動経路と交差する方向が印刷装置11の幅方向となり、移動経路が延びる方向が印刷装置11の奥行方向となる。
【0025】
図2に示すように、装置本体12の内部には、底部側から上に向かって順に、支持部26、媒体収容部18、媒体支持部27、印刷部28が配置されている。装着部15に設けられる支持部26は、容器14を挿入するための挿入口29が開口する枠体16と、枠体16に挿入された容器14を支持する支持フレーム30とを有し、容器14を介して液体収容体25を支持する。容器14に装着される液体収容体25は、容器14を装着する際の移動経路における終端側に位置するその先端側に、液体を印刷部28に供給するための供給口31を有している。この供給口31は、装着部15内において後方に配置される接続機構32が有する接続部33と接続されている。すなわち、接続機構32は、装着部15に装着可能な液体収容体25の数に対応して配置されている。なお、本実施形態における液体収容体25は、容器14を装着部15に装着したときに供給口31が接続部33と接続されるように構成されている。また、本実施形態における液体収容体25は、可撓性を有する袋体(例えばインクパック)で構成されている。そして、装置本体12内において、装着部15には、接続機構32を介して液体収容体25から液体を印刷部28に向けて供給するための供給機構34が配置されている。
【0026】
媒体収容部18は、媒体Sを収容する媒体収容体20と、装着時に媒体収容体20の移動を案内する案内枠20aとを有している。媒体収容部18の上側に位置する媒体支持部27は、装置本体12内に設けられる給送部35によって媒体収容部18から給送される媒体Sを支持する。給送部35は、媒体収容体20に収容される媒体Sを一枚ずつ給送し、媒体支持部27上に載置する。このとき、媒体Sは、装置本体12内で後方側に取り出された後に、媒体支持部27に向けて湾曲しながら前方側に給送されるため、媒体収容部18に位置するときと媒体支持部27上に位置するときとで、その姿勢が上下に反転される。すなわち、給送部35による媒体Sの給送方向は、印刷装置11の奥行方向に沿う方向である。なお、媒体収容部18は、媒体収容体20を介さず直接媒体Sを収容する構成としてもよい。
【0027】
印刷部28は、液体を噴射するノズル36を有するヘッド37と、ヘッド37を搭載するキャリッジ38とを備えている。そして、印刷部28は、装置本体12内において幅方向に架設されたガイド軸39に支持されている。すなわち、印刷部28は、ガイド軸39に沿って往復移動しつつ、媒体支持部27上に載置される媒体Sに向けて液体を噴射することで、媒体Sに印刷を行う。そして、印刷部28は、装置本体12内を延びる供給流路40により、装着部15に装着された液体収容体25と接続されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、供給流路40は、液体の種類(本実施形態においては色)ごとに設けられている。供給流路40は、接続機構32と接続される供給チューブ41と、印刷部28と接続される可動チューブ42と、供給チューブ41と可動チューブ42とを接続する継手部43とを備えている。可動チューブ42は、例えば、異なる種類の液体が流動する複数の流路が並列されたフレキシブルチューブであり、キャリッジ38の移動に追従して撓み変位可能であることが好ましい。そして、供給機構34が駆動することにより、装着部15に装着された液体収容体25内の液体は、接続機構32及び供給流路40を介して印刷部28に供給される。
【0029】
供給機構34は、装着部15において幅方向の一端側且つ前方寄りとなる位置に配置されている。また、供給機構34は、変圧機構44と、変圧機構44を駆動させる駆動源45と、接続機構32が備える変圧室(図示略)と変圧機構44とを接続する変圧流路46とを備える。また、接続機構32は、接続部33と供給チューブ41との間にポンプ室(図示略)を備えている。すなわち、接続部33の下流端と供給チューブ41の上流端はポンプ室に連通している。そして、ポンプ室は、上述した不図示の変圧室と可撓膜(不図示)を介して区画されている。
【0030】
ここで、駆動源(例えばモーター)45の駆動により変圧機構44が変圧流路46を通じて変圧室を減圧すると、可撓膜が変圧室側に撓み変位することにより、ポンプ室の圧力が下がる。このポンプ室の圧力低下に伴って、液体収容体25に収容された液体が接続部33を通じてポンプ室に吸引される。これを吸引駆動という。その後、変圧機構44が変圧流路46を通じて変圧室の減圧を解除すると、可撓膜がポンプ室側に撓み変位することにより、ポンプ室の圧力が上がる。すると、ポンプ室の圧力上昇に伴って、ポンプ室内の液体が加圧された状態で供給チューブ41に流出する。これを吐出駆動という。そして、供給機構34は、吸引駆動と吐出駆動とを交互に繰り返すことにより、液体収容体25から供給流路40に液体を供給する。
【0031】
図4及び図5に示すように、装着部15には、幅方向において供給機構34が位置する一端側とは反対側となる他端側であって且つ後方寄りとなる位置に、装着部15に装着された液体収容体25から漏れた液体を装着部15外に排出するための排出孔51が設けられている。排出孔51は、装置本体12の底壁を兼ねる装着部15の底壁52に設けられ、装着部15の内外を連通する。本実施形態における排出孔51は、装着部15の底壁52から上下にそれぞれ延びる二つの突部53、54に開口している。ここで、上下に延びる二つの突部53、54をそれぞれ上側突部53、下側突部54とすると、排出孔51は、その上端が上側突部53の上端(先端)に開口し、その下端が下側突部54の下端(先端)に開口する。そのため、底壁52から上下にそれぞれ延びる突部53、54は、排出孔51が貫通することにより筒状をなすように設けられている。
【0032】
また、装着部15の底壁52には、挿入孔55が排出孔51と奥行方向で隣り合うように設けられている。挿入孔55は、増設ユニット13を装置本体12に取り付ける際に、後述する増設ユニット13の位置決めピン68が挿入される孔である。本実施形態における挿入孔55は、装着部15の底壁52から上方に向かって延びる突出部56に開口している。そのため、挿入孔55は、その上端が突出部56の上端(先端)に開口し、その下端が装着部15の底壁52の下面57に開口する。そして、突出部56もまた、挿入孔55が貫通することにより筒状をなすように設けられている。ここで、突出部56が上方に向けて延びる量は、上側突部53が上方に向けて延びる量よりも大きい。すなわち、装着部15の底壁52における上面58を基準に、上側突部53の突出する長さをhaとし、突出部56の突出する長さをhbとしたとき、両者の関係はhb>haとなる。そのため、挿入孔55の上端は、排出孔51の上端よりも上方に位置する。一方、挿入孔55の下端は、排出孔51の下端よりも上方に位置する。
【0033】
図6に示すように、増設ユニット13は、媒体Sを載置可能な媒体載置部23と、媒体載置部23に載置される媒体Sを印刷部28に向けて搬送するための搬送部60とを備えている。媒体載置部23は、増設ユニット13に対して着脱自在に装着される媒体保持体24を有している。媒体保持体24は、載置される媒体Sを上方に押し上げるためのホッパー61をその底部に有している。このホッパー61は、例えばばねなどの弾性部材により、前方側の端部を支点として後方側の端部が持ち上がるように構成されている。すなわち、媒体保持体24に収容される媒体Sは、その先端がホッパー61により持ち上げられる。なお、このホッパー61は、例えばモーターなどの駆動伝達手段により、前方側の端部を支点として後方側の端部が持ち上がるように構成されてもよい。
【0034】
搬送部60は、増設ユニット13においてその後方側に配置されている。搬送部60は、媒体載置部23に載置された媒体Sを取り出すためのピックアップローラー62と、ピックアップローラー62に取り出された媒体Sを一枚ずつに分離するためのセパレートローラー63及びリタードローラー64とを有する。セパレートローラー63及びリタードローラー64は、ピックアップローラー62よりも後方に配置され、媒体Sを挟み込むように互いに対向している。ここで、セパレートローラー63は、媒体Sに対してピックアップローラー62が接触する面と同一の面に接触するローラーであり、リタードローラー64はその反対側の面に接触するローラーである。リタードローラー64は、セパレートローラー63の回転に伴って従動回転するローラーである。また、リタードローラー64は、媒体Sに対する摩擦係数がセパレートローラー63よりも大きくなるように構成されている。セパレートローラー63及びリタードローラー64は、この摩擦係数の差によって媒体Sを一枚ずつに分離する。そして、媒体載置部23に載置される媒体Sは、ホッパー61によりピックアップローラー62に向けて押し付けられることで、ピックアップローラー62の回転により媒体載置部23から取り出される。
【0035】
また、搬送部60は、一枚ずつに分離された媒体Sを増設ユニット13側から装置本体12側に向けて搬送するためのフィードローラー65を有する。フィードローラー65は、媒体Sを装着部15の後方を通過させて搬送する。そして、搬送部60により搬送された媒体Sは、装置本体12内の給送部35により印刷部28に向けて搬送される。すなわち、搬送部60による媒体Sの搬送方向は、給送部35による給送方向及び印刷装置11の奥行方向と沿う方向である。そして、搬送される媒体Sの幅方向は、印刷装置11の幅方向と沿う方向である。
【0036】
また、増設ユニット13は、装着部15において供給機構34が配置される側である幅方向の一端側であって且つ後方寄りとなる位置に、搬送部60を駆動させるための駆動部66が配置されている。また、同じく幅方向の一端側であって且つ前方寄りとなる位置には、駆動部66に電気を供給するための端子67が配置されている。すなわち、増設ユニット13は、装置本体12に取り付けられることで、装置本体12側から電気が供給される。なお、本実施形態においては、駆動部66及び端子67だけでなく、その他の電気を要する部材は、幅方向の一端側にまとめて配置されている。
【0037】
また、増設ユニット13は、装置本体12に対して位置決めを行うための位置決めピン68を複数有している。これらの位置決めピン68は、幅方向における両側に二本ずつ設けられ、それぞれ前方寄りと後方寄りとなる位置に分かれて配置されている。このうち、幅方向において駆動部66及び端子67が位置する一端側とは反対側である他端側であって、且つ後方寄りの位置に設けられる位置決めピン68は、装着部15が有する挿入孔55に対応している。すなわち、挿入孔55に位置決めピン68が挿入されることで、装置本体12に対する増設ユニット13の位置決めが行われる。なお、その他三本の位置決めピン68についても、それぞれに対応する孔が装置本体12(装着部15)に設けられている。
【0038】
そして、挿入孔55と対応する位置決めピン68と隣り合う位置には、液体保持部69が設けられている。液体保持部69は、装着部15が有する排出孔51と対応するように配置されている。すなわち、液体保持部69は、排出孔51から排出される液体を保持するための保持空間を有している。
【0039】
図7に示すように、装置本体12に増設ユニット13が増設される場合、装着部15の底壁52に設けられる挿入孔55に位置決めピン68が挿入される。このとき、排出孔51の下端が開口する下側突部54の下端は、増設ユニット13が有する液体保持部69内に位置する。
【0040】
次に、上記のように構成された印刷装置の作用について説明する。
装置本体12に対して液体収容体25が着脱可能である場合、ユーザーが任意のタイミングで液体収容体25を交換することが可能である。そのため、ユーザーが液体収容体25を交換する際に、液体収容体25を落下させてしまったり、装着時に液体収容体25に対して過度な力を加えてしまったりすると、液体収容体25が損傷してしまうことが有り得る。こうした場合に、ユーザーが液体収容体25の損傷に気づかずその液体収容体25を装着部15に装着してしまうと、装着部15内で液体収容体25から液体が漏れ出し、装置本体12内を汚損してしまう虞がある。特に、本実施形態のように、液体収容体25が可撓性を有する袋体などで構成される場合は、液体収容体25が損傷し易い。そこで、本実施形態における印刷装置11は、万が一液体収容体25から液体が漏れ出したとしても、漏れた液体を排出するための排出孔51を備えている。液体収容体25から漏れた液体は、重力の作用によって装着部15の底壁52に向けて流れ落ちる。そして、装着部15の底壁52の上面58を流れる液体は、排出孔51を通じて装着部15外に排出されるため、漏れた液体による装置本体12内の汚損が低減される。
【0041】
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)装着部15内において液体収容体25から液体が漏れたとしても、装着部15が有する排出孔51を介して液体を装着部15外に排出できる。そのため、液体収容体25から漏れた液体が装着部15内で広がってしまう虞が低減される。したがって、液体漏れによる装置内の汚損を低減できる。
【0042】
(2)装置本体12に対して増設ユニット13を増設した場合、装着部15内において液体収容体25から漏れた液体を増設ユニット13が有する液体保持部69が保持するため、液体収容体25から漏れた液体を液体保持部69により回収できる。
【0043】
(3)位置決めピン68が挿入されるための挿入孔55の上端が、排出孔51の上端よりも上方に位置しているため、装着部15の底壁52に流れた液体の液面が挿入孔55の上端に達する前に、液体が排出孔51から排出される。すなわち、増設ユニット13が有する位置決めピン68に対応する挿入孔55を装着部15に設けた場合であっても、液体収容体25から漏れた液体が挿入孔55を介して、装着部15から増設ユニット13に流れ出る虞を低減できる。
【0044】
(4)底壁52から上方に延びる上側突部(突部)53に排出孔51が開口しているため、上側突部(突部)53が装着部15の底壁52から上方に延びる量(長さha)に応じて、漏れた液体を装着部15内に溜めることができる。
【0045】
(5)排出孔51の下端が、装着部15の底壁52から下方に延びる下側突部(突部)54の先端に開口する一方、挿入孔55の下端は底壁52に開口する。そのため、装置本体12に増設ユニット13を取り付ける際、位置決めピン68の先端を底壁52の下面57に突き当てた状態で装置本体12又は増設ユニット13をスライド移動させることで、位置決めピン68を容易に挿入孔55に挿入することができる。また、排出孔51は、底壁52から下方に延びる下側突部(突部)54に開口しているため、位置決めピン68を底壁52の下面57に突き当てた状態で装置本体12又は増設ユニット13をスライド移動させたとしても、位置決めピン68が排出孔51に挿入される虞が小さい。すなわち、装置本体12に増設ユニット13を取り付ける際に、位置決めピン68を挿入孔55に挿入し易くする一方で、位置決めピン68を排出孔51に誤って挿入してしまう虞を低減できる。
【0046】
(6)増設ユニット13が媒体載置部23に載置される媒体Sを印刷部28に向けて搬送するための搬送部60を備えることで、装置本体12が増設ユニット13の媒体載置部23に載置される媒体Sを搬送するための搬送部60を備えなくともよいため、装置本体12のコンパクト化に貢献できる。
【0047】
(7)液体保持部69が、搬送部60により搬送される媒体Sの搬送方向と交差する媒体の幅方向において、駆動部66が設けられる側とは反対側に設けられているため、排出孔51から液体保持部69に排出される液体が駆動部66に付着してしまう虞を低減できる。
【0048】
(8)装置本体12に増設ユニット13を増設した際、排出孔51の下端が開口する下側突部54の下端が液体保持部69内に位置しているため、排出孔51から装着部15外に排出された液体を精度よく液体保持部69に案内できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、印刷装置11の第2実施形態について説明する。
図8に示すように、第2実施形態における装着部15は、第1実施形態における装着部15と異なり、幅方向の一端側且つ後方寄りとなる位置に排出孔51を有する。図8は、容器14、枠体16、前蓋17、支持フレーム30、接続機構32、供給機構34等の部材を装着部15から取り外した状態の図である。排出孔51が開口する装着部15の底壁52は、液体収容体25から漏れた液体が排出孔51に向かうように傾斜して構成されることが好ましい。こうすると、液体収容体25から漏れた液体を、排出孔51を介して効率よく装着部15外に排出できる。
【0050】
図9及び図10に示すように、排出孔51は、底壁52の隅となる位置に配置され、矩形状に開口する。装着部15は、排出孔51を囲うように延びる側壁71を有する。側壁71は、排出孔51の縁と連なるように、底壁52の上面58から上方に向けて延びている。側壁71は、底壁52において、排出孔51が位置する領域とそれ以外の領域とに区画するともいえる。第2実施形態において、側壁71は、排出孔51に対してその前方側となる位置と幅方向の他端側となる位置とに亘って延びるように設けられる。
【0051】
側壁71は、その上端から下方に向かって側壁71の一部を切り欠くように形成されたU字状の溝72を有する。溝72は、排出孔51に対してその前方側に位置する。溝72の下端部分は、底壁52の上面58よりも上方に位置する。そのため、装着部15内において液体収容体25から液体が漏れた際、漏れた液体の液面が溝72の下端部分に到達するまで、その液体が装着部15内に溜まる。液体収容体25から漏れ、装着部15内に溜まった液体の液面が溝72の下端部分に到達すると、その液体は溝72を通過して排出孔51に流れる。なお、溝72は、その下端部分が底壁52の上面58と一致するように形成されてもよい。
【0052】
装着部15は、溝72を通過する液体を、排出孔51を通じて落下させるための案内路73を備える。案内路73は、溝72と連なるように上下に延び、排出孔51の内周面に設けられる。装着部15内において液体収容体25から漏れた液体は、溝72及び案内路73を通じて排出孔51を落下し、装着部15外に排出される。
【0053】
図11及び図12に示すように、増設ユニット13は、装着部15が有する排出孔51と対応する位置に、排出孔51から排出された液体を受ける受け面81を有する。すなわち、受け面81は、増設ユニット13において、幅方向の一端側且つ後方寄りとなる位置に配置されている。受け面81は、駆動部66を覆う増設ユニット13の筐体の一部で構成される。
【0054】
図12に示すように、増設ユニット13は、幅方向において受け面81と隣り合う位置に、増設ユニット13を接地させるための板ばね82を有する。板ばね82は金属で構成される。板ばね82は、増設ユニット13が装置本体12に増設される際に、装置本体12が有するアース用の板金部材と排出孔51を通じて接触する。増設ユニット13は、装置本体12に増設されることによって、装置本体12を介して接地される。そのため、第2実施形態における排出孔51は、装置本体12に増設される増設ユニット13を接地させるための孔でもある。
【0055】
増設ユニット13は、受け面81が受けた液体が流れる流路83と、流路83を流れる液体を増設ユニット13内を通じて増設ユニット13外に排出するための排出部84とを備える。流路83は、受け面81及び排出部84に連なるように延びている。流路83は、受け面81から排出部84に向けて下方に傾斜しながら延びることが好ましい。こうすることによって、受け面81が受けた液体が排出部84に向けてスムーズに流路83を流れる。なお、第2実施形態における増設ユニット13は液体保持部69を有していない。
【0056】
図13に示すように、受け面81は、流路83に向かって弧をなすように湾曲する湾曲面とされる。排出孔51から落下する液体を受け面81が受ける際にその液体が跳ねると、跳ねた液体が板ばね82に付着する虞がある。板ばね82は増設ユニット13のアース用の部材であるため、液体が付着することは好ましくない。そのため、受け面81を湾曲面とすることによって、受け面81が液体を受ける際にその液体が跳ねる虞を低減している。なお、受け面81は、流路83に向かって下方に傾斜する傾斜面でもよい。受け面81が受けた液体は、流路83に向かって流れ落ちる。
【0057】
図14に示すように、排出部84は、流路83を流れる液体を増設ユニット13内に導入する導入孔85と、導入孔85を介して増設ユニット13内に導入された液体を増設ユニット13外に導出する導出孔86とを有する。排出部84は、増設ユニット13が装置本体12に増設されている状態において、装着部15内において液体収容体25から漏れた液体を印刷装置11外に排出する。
【0058】
導入孔85は、増設ユニット13において幅方向の一端側に位置する2つの位置決めピン68のうち後方寄りに位置する位置決めピン68と幅方向で隣り合う位置に配置される。導入孔85は、流路83を流れる液体を増設ユニット13内に向けて下方に落下させる。
【0059】
導出孔86は、導入孔85の下方に位置する。導出孔86は、導入孔85と上下で重なるように位置する。導出孔86は、導入孔85から増設ユニット13内を流れ落ちる液体を増設ユニット13外に向けてそのまま下方に落下させる。このようにして、排出部84は、流路83を流れる液体を増設ユニット13内を通じて増設ユニット13外に排出する。
【0060】
導入孔85から落下する液体が通過する増設ユニット13の内部空間には、端子67を介して電力を供給される駆動部66及び基板87が配置される。基板87は、駆動部66と同様に幅方向の一端側に位置する。駆動部66は排出部84の後方に位置し、基板87は排出部84の前方に位置する。駆動部66は、搬送部60を駆動させるための輪列の他に、センサー、モーター等を含んで構成される。
【0061】
排出孔51から排出された液体が通過する空間内に駆動部66及び基板87が配置されているため、排出部84が液体を排出する際に、導入孔85から落下する液体が導出孔86の縁に接触するなどしてその液体が跳ねると、跳ねた液体が駆動部66及び基板87に付着する虞がある。駆動部66及び基板87は電気が流れる部材であるため、液体が付着することは好ましくない。そのため、排出部84は、導入孔85から導出孔86に向けて液体をガイドするガイド部材88を有することが好ましい。
【0062】
ガイド部材88は、導入孔85から導出孔86に亘って上下に延びている。排出部84に向かう液体は、ガイド部材88を伝って導入孔85及び導出孔86を流れ落ちる。ガイド部材88を配置することによって、導入孔85から導出孔86に向けて液体をガイドすることができ、増設ユニット13内において液体が跳ねる虞を低減できる。
【0063】
ガイド部材88は、パイプ状、ロッド状、シート状の部材で構成されてよい。ガイド部材88は、プラスチック製のシートで構成されることが好ましい。ガイド部材88としてより好ましくは、ルミラー(登録商標)である。ガイド部材88をシート状又はロッド状とすることによって、導入孔85及び導出孔86を繋ぐパイプ状のガイド部材88を設けるよりも、液体の詰まりを生じにくくできる。
【0064】
図15に示すように、増設ユニット13に別の増設ユニット13を増設すると、上段側に位置する増設ユニット13の排出部84と、下段側に位置する増設ユニット13の排出部84とが上下で重なる。すなわち、上段側に位置する増設ユニット13の導出孔86と、下段側に位置する増設ユニット13の導入孔85とが上下で対向する。そのため、上段側の増設ユニット13が有する排出部84によって下方に流れ落ちる液体は、下段側の増設ユニット13が有する排出部84によってさらに下方に向けて流れ落ちる。
【0065】
上段側の増設ユニット13が有する導出孔86から導出される液体は、下段側の増設ユニット13が有する導入孔85に導入される。そして、その液体は、下段側の増設ユニット13が有する導出孔86から導出され、下段側の増設ユニット13外に排出される。このようにして、装着部15内において液体収容体25から漏れた液体は、上段側の増設ユニット13及び下段側の増設ユニット13を通じて、印刷装置11外に排出される。すなわち、装置本体12に対して複数の増設ユニット13を増設した場合において、装着部15内の液体収容体25から漏れた液体は、それぞれの増設ユニット13が有する排出部84によって印刷装置11外に排出される。
【0066】
次に、上記のように構成された印刷装置11の作用について説明する。
装置本体12に増設ユニット13が増設されている場合、装置本体12の排出孔51を介して装着部15外に排出された液体は、増設ユニット13が有する排出部84によって、その増設ユニット13内を通じて増設ユニット13外に排出される。増設ユニット13外に排出された液体は、印刷装置11が設置される設置面に排出される。すなわち、装置本体12に増設ユニット13が増設された状態において、装着部15内において液体収容体25から漏れた液体は、装置本体12が有する排出孔51と増設ユニット13が有する排出部84とによって、印刷装置11が設置される設置面に排出される。これにより、ユーザーは、装着部15内において液体収容体25から液体が漏れていることを把握できる。
【0067】
上記第2実施形態によれば、上述した(1)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(9)排出孔51を介して装着部15外に排出された液体を増設ユニット13が有する排出部84が増設ユニット13外に排出するため、液体収容体25から液体が漏れていることを迅速にユーザーに気付かせることができる。
【0068】
なお、上記第1、第2実施形態は以下のように変更してもよい。また、以下の変更例は適宜組み合わせてもよい。
・上記第1、第2実施形態において、増設ユニット13から媒体Sを搬送する搬送部60は、装置本体12が備えてもよい。
【0069】
・上記第1実施形態において、排出孔51は、突部53、54の先端に開口する構成に限らない。例えば、円柱状に延びる突部53、54の周面に開口する構成としてもよい。
・上記第1実施形態において、排出孔51の上端は、底壁52の上面58に開口してもよい。
【0070】
・上記第1実施形態において、排出孔51の下端は、底壁52の下面57に開口してもよい。
・上記第1実施形態において、挿入孔55の上端は、突出部56の先端に開口する構成に限らない。排出孔51の上端よりも上方となる位置に開口する構成であればよい。
【0071】
・上記第1実施形態において、挿入孔55の下端は、装着部15の底壁52から下方に突出する突出部の先端に開口する構成としてもよい。
・上記第1、第2実施形態において、挿入孔55に替えて、位置決めピン68を収容可能な凹部を装着部15に設けてもよい。
【0072】
・上記第1、第2実施形態において、装着部15の底壁52の上面58は、排出孔51に向けて液体が流れるように傾斜する構成としてもよい。
・上記第1、第2実施形態において、媒体Sは、用紙だけに限らず、プラスチックフィルム、布帛などでもよい。
【0073】
・上記第1、第2実施形態において、印刷装置は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射したり吐出したりして印刷を行う流体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して印刷を行う液状体噴射装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
【符号の説明】
【0074】
11…印刷装置、12…装置本体、13…増設ユニット、14…容器、15…装着部、16…枠体、17…前蓋、18…媒体収容部、23…媒体載置部、25…液体収容体、26…支持部、28…印刷部、30…支持フレーム、32…接続機構、33…接続部、34…供給機構、41…供給チューブ、44…変圧機構、45…駆動源、46…変圧流路、51…排出孔、52…底壁、53…上側突部(突部)、54…下側突部(突部)、55…挿入孔、56…突出部、60…搬送部、66…駆動部、68…位置決めピン、69…液体保持部、84…排出部、S…媒体。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15