特許第6981148号(P6981148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981148
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】撮像装置及びダーモスコピーカメラ
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20210101AFI20211202BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20211202BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20211202BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20211202BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20211202BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20211202BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20211202BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G03B15/05
   A61B10/00 Q
   G03B15/03 F
   G03B15/02 Q
   G03B15/00 T
   A61B5/00 M
   G03B17/02
   H04N5/225 600
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-189385(P2017-189385)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-66573(P2019-66573A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中井 大介
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−001834(JP,A)
【文献】 特開平03−032637(JP,A)
【文献】 特開2002−006207(JP,A)
【文献】 特開2006−115107(JP,A)
【文献】 特表2003−532944(JP,A)
【文献】 特開2013−026846(JP,A)
【文献】 特開2007−233290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00−15/16
H04N 5/222−5/257
A61B 5/00
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に接触させる被接触部材を備え、前記被接触部材越しに前記被写体を撮像する撮像装置であって、
被写体照明用の光源と、
前記光源からの光のうちの少なくとも一部を、撮影中心軸上であって前記被接触部材よりも前方に、照準として集光させる導光部材と、
円錐体の先端がカットされた形状であって筒状のカバー体と、
を備え、
前記被接触部材は、前記カバー体における両端のうち直径が小さい側の端部に取り付けられており、
前記導光部材は、前記カバー体の外周面に設けられている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記光源は、前記カバー体の内周面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記カバー体が取り付けられるとともに撮像素子が設けられている装置本体を備え、
前記光源は、前記装置本体に設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被接触部材に接触された前記被写体を拡大撮影可能とするためズームレンズを備え、
前記ズームレンズは、前記カバー体の内部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体に接触させる光透過部材を備え、前記光透過部材越しに前記被写体を撮像するダーモスコピーカメラであって、
被写体照明用の光源と、
前記光源からの光のうちの少なくとも一部を、撮影中心軸上であって前記光透過部材よりも前方に、照準として集光させる導光部材と、
円錐体の先端がカットされた形状であって筒状のカバー体と、
を備え、
前記光透過部材は、前記カバー体における両端のうち直径が小さい側の端部に取り付けられており、
前記導光部材は、前記カバー体の外周面に設けられている、
ことを特徴とするダーモスコピーカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びダーモスコピーカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化やオゾン層破壊によってメラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚疾患の増加が問題となっている。このような皮膚疾患の診断には、皮膚内部の色素分布や色合いを撮影できるダーモスコピーカメラと呼ばれる撮像装置が活用されている。例えば、特許文献1には、ダーモスコープの取り付け及び取り外しが可能なカメラ付き携帯電話が開示されている。ダーモスコピー撮影の際には、ダーモスコープを取り付けたカメラ付携帯電話で皮膚疾患部を撮影し、通常撮影の際には、ダーモスコープを取り外したカメラ付携帯電話で皮膚疾患部を撮影する。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の発明では、被写体である皮膚疾患部を必ずしも中心位置に捉えられないという問題があった。具体的には、ダーモスコピー診断を行う際、多くの皮膚科医は、下記の手順で撮影を行っている。
1)個人を特定するために、通常のカメラを用いて患者のカルテを撮影する。
2)疾患部の位置を特定するために、臨床撮影として、疾患部及びその周辺を非接触状態で撮影する。
3)ダーモスコピーカメラを用いて疾患部を接触状態で撮影する。
【0004】
そうすると、ダーモスコピーカメラの主な被写体となる「ホクロ」などは非常に小さいことから、撮影時に被写体を撮影範囲の中心位置に捉えにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−192944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、非常に小さい被写体であっても的確に中心位置に捉え易い撮像装置及びダーモスコピーカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明に係る撮像装置は、被写体に接触させる被接触部材を備え、前記被接触部材越しに前記被写体を撮像する撮像装置であって、被写体照明用の光源と、前記光源からの光のうちの少なくとも一部を、撮影中心軸上であって前記被接触部材よりも前方に、照準として集光させる導光部材と、円錐体の先端がカットされた形状であって筒状のカバー体と、を備え、前記被接触部材は、前記カバー体における両端のうち直径が小さい側の端部に取り付けられており、前記導光部材は、前記カバー体の外周面に設けられている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るダーモスコピーカメラは、被写体に接触させる光透過部材を備え、前記光透過部材越しに前記被写体を撮像するダーモスコピーカメラであって、被写体照明用の光源と、前記光源からの光のうちの少なくとも一部を、撮影中心軸上であって前記光透過部材よりも前方に、照準として集光させる導光部材と、円錐体の先端がカットされた形状であって筒状のカバー体と、を備え、前記光透過部材は、前記カバー体における両端のうち直径が小さい側の端部に取り付けられており、前記導光部材は、前記カバー体の外周面に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非常に小さい被写体であっても的確に中心位置に捉え易い撮像装置及びダーモスコピーカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る撮像装置を模式的に示す断面図である。
図2】本実施形態に係る撮像装置を模式的に示す正面図である。
図3】本実施形態に係る撮像装置の照準を説明する図であって、(a)は照準の集光を、(b)は照準の光軸を、それぞれ示す。
図4】本実施形態に係る撮像装置の照準を説明する図であって、(a)は照準の集光を行いながら被写体へ接近する状態を、(b)は被写体を中心位置に捉えた状態を、(c)は撮像素子に映った状態を、それぞれ示す。
図5】従来の撮像装置を模式的に示す側断面図である。
図6】従来の撮像装置を説明する図であって、(a)は被写体へ接近する状態を、(b)は被写体をずれた位置に捉えた状態を、(c)は撮像素子に映った状態を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用したカメラの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、当該カメラは「ほくろ」などの癌(メラノーマ)を診察するための撮像装置であるダーモスコピーカメラや、より一般的に被写体に接触することで撮影する撮像装置であるクローズアップカメラなどに適用されるものであるが、本願明細書では、ダーモスコピーカメラに代表させて説明する。なお、本願明細書では、「マイクロスコープ(Microscope):顕微鏡」及び「マイクロスコピー(Microscopy):顕微鏡による検査又は顕微鏡使用(法)」の使い分けに準じ、「ダーモスコープ(Dermoscope)」及び「ダーモスコピー(Dermoscopy)」の用語を、皮膚検査用の拡大鏡(装置)及び同拡大鏡を用いた皮膚検査又は同拡大鏡使用(行為)という意味で用いている。
【0011】
(ダーモスコピーカメラ1の全体構成)
本実施形態に係るダーモスコピーカメラ1は、内蔵する光源を二次的利用することにより、非常に小さい被写体であっても的確に中心位置に捉えるための照準を備える集光構造を提供するものである。以下、詳しく説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る撮像装置を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る撮像装置を模式的に示す正面図である。図3は、本実施形態に係る撮像装置の照準を説明する図であって、(a)は照準の集光を、(b)は照準の光軸を、それぞれ示す。図4は、本実施形態に係る撮像装置の照準を説明する図であって、(a)は照準の集光を行いながら被写体へ接近する状態を、(b)は被写体を中心位置に捉えた状態を、(c)は撮像素子に映った状態を、それぞれ示す。図5は、従来の撮像装置を模式的に示す側断面図である。図6は、従来の撮像装置を説明する図であって、(a)は被写体へ接近する状態を、(b)は被写体をずれた位置に捉えた状態を、(c)は撮像素子に映った状態を、それぞれ示す。
【0013】
図1図4に示すように、ダーモスコピーカメラ(撮像装置)1は、カメラ本体(撮像装置本体、単に「本体」ともいう)10と、カメラ本体10の前方に設けられたレンズユニット20とによって概略構成されている。レンズユニット20は、「ほくろ」を主な被写体として皮膚疾患部を接触状態で撮影する。
【0014】
なお、以下の説明において、図1に示すように、撮像対象側をダーモスコピーカメラ1の前方(前面、正面)、その反対側を後方とし、ダーモスコピーカメラ1を前方から見たときの上下方向をそのまま上下方向とした直交座標系に基づいて説明するものとする。また、各部材に関する取り付けは、特に言及がない限り、ネジ、ビス等を用いた取り付けや、嵌合等の取り付け等、適宜の方法で行えばよい。
【0015】
(カメラ本体10の構成について)
カメラ本体10は、図1及び図2に示すように、筐体11を有し、この筐体11の内部にズームレンズ部12、ズームレンズ部12の後方に回路配線基板30及び撮像素子31といった種々の構成部品を収容している。筐体11には、上面にシャッタボタン18のほか電源ボタン(不図示)が設けられている。
【0016】
さらに、筐体11の内部には、シャッタボタン18の操作に応じて、撮像素子31が読み取った撮影画像を記憶する記憶部と、上述した各部を制御する制御部と、上述した各部に電源を供給するバッテリー部が設けられているが、これらの図示は省略する。
【0017】
カメラ本体10には、通常の撮影に用いられる公知の撮影装置、例えば市販されているデジタルカメラの構成を採用することができ、例えば、ズームレンズ部12、回路配線基板30、及び撮像素子31は、公知の部品を用いることができる。ズームレンズ部12は公知の光学レンズを有している。また、撮像素子31としては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。また、カメラ本体10には、撮像した画像を表示するとともに、ダーモスコピーカメラ1の各種設定を実行するためのタッチパネル式の画面(不図示)が設けられている。
【0018】
(レンズユニット20の構成について)
レンズユニット20は、図1及び図2に示すように、円錐体の先端がカットされたような筒状体のカバー体(レンズカバー)40と、カバー体40の開口41bに嵌め込まれたカバー部材24と、を有している。
【0019】
カバー体40は、例えばポリ塩化ビニル誘導体やアクリル系樹脂などの樹脂から構成されている。カバー体40の外形は、前方に向かうにつれて先細形状を有し、その内部は中空である。また、カバー体40の中空部も、前方に向かうにつれて縮径した形状を有している。
【0020】
カバー体40のカバー部材24の後方には、図1に示すように、ズームレンズ部12を取り囲むように、LED13aが設けられている。LED13aは、LED基板(不図示)上に実装されている。LED基板は円環状をなし、その前面には複数のLED13aが搭載されている。複数のLED13aは、LED基板の中心に対して同心円上に等間隔で配置されている。これにより、LED13aを搭載するLED基板は、ズームレンズ部12の外周位置から光を前方に向けて出射するリングフラッシュとして機能する。LED13aは、白色光を発するLEDから構成されている。
【0021】
本実施形態では、LED13aをカバー体40の内側に設けているが、LED13aは、カメラ本体10の側に設けてもよい。例えば、レンズユニット20をカメラ本体10に対して回動可能に設けたような場合に、LED13aをカメラ本体10に設けておくことにより、カメラ本体10で皮膚疾患部を含む広い皮膚表面を照明して撮影することができる。
【0022】
カバー部材24は、カバー体40の先端に形成された開口41bに嵌合されており、LED13aの前方に近接して配置されている。カバー部材24は、透明のガラス又はアクリルなどの合成樹脂から構成されており、撮影時には、カバー部材24は、被写体に接触された状態にされる。ダーモスコピーカメラ1は、撮影後、殺菌、洗浄なども行うため、カバー部材24とカバー体40は確実に密封する。
【0023】
ここで、図1及び図2に示すように、カバー体40の外側の先端には照準器13cが設けられている。照準器13cは、LED13aに対応する前方の位置に設けられており、照準器13cの内部には、LED13aから出射される光の一部をカバー部材24の外側の前方に集光するための導光部材13bが収容されている。なお、図1及び図2では、2つのLED13aと、それらに対応する2つの照準器13c/導光部材13bを図示しているが、これらの配置数は2つに限られるものではなく、必要に応じて任意に設定することができる。
【0024】
LED13aをカメラ本体10の側に設けた場合には、照準器13cはカバー体40の外側の先端ではなく後端又は中間位置に設けるようにしてもよい。
【0025】
なお、図1及び図2では図示していないが、カバー体40には、以上のほかに、コンバージョンレンズ、LED13aから出射される光の一部を被写体照明用としてカバー部材24に向かわせる導光板や、カバー部材24の内側に偏光フィルタを設けてもよい。
【0026】
(ダーモスコピー撮影時におけるLED光の進行について)
図3は、本実施形態に係るダーモスコピーカメラ1のLED光の進行を示している。図3(a)に示すように、ダーモスコピーカメラ1を被写体に対してX方向(前方方向)に接近させていくと、被写体上に中心領域Aが認識される。これは、LED13aから出射された光が前述の照準器13cによって集光された結果、形成されるものである。
【0027】
具体的には、図3(b)に示すように、LED13aから出射された光の一部は、カバー部材24に向かって矢印L1に示すように進行し、カバー部材24を通過して矢印L2に示すように前方へと出射される。カバー部材24から出射された光は、被写体を照明する。一方、LED13aから出射された光の一部は、照準器13cの導光部材13bに向かって矢印L3に示すように進行し、導光部材13bを通過して矢印L4に示すように前方へと出射される。複数の導光部材13bから出射された光は、ダーモスコピーカメラ1の中心軸延長線上の一定距離の位置すなわち照準点Sに集光される。
【0028】
(ダーモスコピーカメラ1の使用例)
ダーモスコピーカメラ1を用いてダーモスコピー撮影を行う場合、撮影者は、図1に示すように、カメラ本体10にレンズユニット20を取り付ける。その際、レンズユニット20をカメラ本体10に取り付ける態様については、公知の構成を採用することができる。例えば、レンズユニット20をカメラ本体10に螺合させてもよいし、磁性体によって磁着させてもよい。また、レンズユニット20に回動部(不図示)を、カメラ本体10に回動支持部をそれぞれ設けることにより、レンズユニット20をカメラ本体10に回動可能に取り付けてもよい。
【0029】
そして、撮影者は、電源ボタンを押して電源を入れ、例えばシャッタボタン18を半押しすることによりLED13aを発光させる。その際、図5に示すような照準器13cのないダーモスコピーカメラ1’の場合、図6(a)に示すように、皮膚疾患部Mにダーモスコピーカメラ1’をX方向(前方方向)に近接させていく過程において、ダーモスコピーカメラ1’が皮膚疾患部Mに対して下方にずれていても、撮影者は、図6(b)に示すように、皮膚疾患部Mがカバー部材24の中心に位置するように調整することが困難であり、図6(c)に示すように、皮膚疾患部Mは、カメラ本体10の撮像素子31上の上方にずれた位置に結像する。中心位置に調整するためには、撮影者は、何回もトライアンドエラーを繰り返す必要がある。
【0030】
これに対し、本実施形態に係るダーモスコピーカメラ1は、図4(a)に示すように、皮膚疾患部Mにダーモスコピーカメラ1を一定の幅Wの範囲内でX方向(前方方向)に近接させていく過程において、照準器13cから出射された光が被写体上に中心領域Aを表示する。撮影者は、図4(b)に示すように、カメラ本体10のタッチパネル式の画面によって、ダーモスコピーカメラ1が皮膚疾患部Mに対して下方にずれている状況を確認し、ダーモスコピーカメラ1をY方向(上方方向)へ移動させ、図4(c)に示すように、皮膚疾患部Mがカバー部材24の中心に位置するように調整できる。
【0031】
そして、皮膚疾患部にカバー部材24を接触させる。カバー部材24から出射された光は、皮膚疾患部Mの表面での乱反射を抑制しながら皮膚下に到達し、皮膚下の物質によって反射される。この反射光は、カバー部材24を介してダーモスコピーカメラ1内に取り込まれる。取り込まれた光は、コンバージョンレンズ及びズームレンズ部12を介して10〜30倍に拡大され、カメラ本体10の撮像素子31上の中心位置に結像する。任意のタイミングでカメラ本体10のシャッタボタン18を全押しすると、撮像素子31が読み取った撮像画像がカメラ本体10の記憶部に記憶される。このように記憶された撮像画像は、例えば、色素細胞母斑、悪性黒色腫、脂漏性角化症、基底細胞癌、血管病変及びボーエン病などの検査、及び診断に用いることができる。
【0032】
(実施形態の効果について)
以上説明したように、本実施形態に係るダーモスコピーカメラ1においては、レンズユニット20又はカメラ本体10に内蔵された光源のLED13aを照準としても二次利用することにより、被写体を接触させたときに撮影範囲の中心に捉えことができる。
【0033】
また、ダーモスコピーカメラ1は、LED13aによる被写体の照明と、そのLED13aの光を集光しての照準が同じタイミングとなることにより、照明と照準のスイッチを各別に設ける必要がなく、撮影者は、照準を行うための特別な操作を行う必要がない。
【0034】
このように、ダーモスコピー撮影時のレンズユニット20の照準を確実に行い得ることから、撮影媒体に中心に位置する画像を記録することができ、撮影のやり直しを行う必要性が削減されて診療時間の短縮が可能になるとともに、的確な診断を行うことができる。
【0035】
また、ダーモスコピーカメラ1は、照準器13cと導光部材13b以外は、特別な機能やデバイスを必要としないことから、簡単かつ安価な構造によって、照明と照準を両立させたダーモスコピーカメラ1を提供することができる。
【0036】
(実施形態の変形について)
本実施形態は上述した態様に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上述の実施形態では、カメラ本体10に対してレンズユニット20を回動可能に取り付けてもよい旨を説明したが、レンズユニット20の移動態様は、このような回動だけでなく、例えば、カメラ本体10に対してスライドさせる態様であってもよい。要するに、ダーモスコピー撮影の際に、ズームレンズ部12の前方をレンズユニット20で覆うように配置すればよい。なお、ズームレンズ部12は、ダーモスコピーカメラ1の用途等を勘案して、固定倍率のレンズ部として構成しても差し支えない。
【0037】
また、上記実施形態では、光源は、円周上に配されたLED13aであると説明したが、他の光源を採用してもよい。例えば、ハロゲンランプなどの高輝度ライト、半導体発光素子、及び有機エレクトロルミネッセンスなどの発光素子を用いることができる。
【0038】
また、LED13aは、白色光を発するLEDから構成されていると説明したが、例えば紫外線光源、青色光光源、あるいは緑色光光源を採用してもよい。また発する光の色が互いに異なる光源を設けるようにして、異なる色の光源ごとに独立して発光できる態様であってもよい。このように、異なる色の光を照射して撮像画像を得ることで、異なる像をえることができ、異なる像を比較したり、像を重ね合わせたりすることで、皮膚疾患部の検査、及び診断を容易なものとすることができる。
【0039】
また、レンズユニット20に、LED13aからの光を先端に向けて被写体照明用に集光する導光部材としては、導光板の代わりに他の公知の導光部材を設けるようにしてもよい。例えば、先端に向けて光を導光する光ファイバーを設けてもよい。
【0040】
また、本実施形態に係る撮像装置は、上記実施形態で説明したダーモスコピーカメラ1のように、ダーモスコピー撮影のための撮像装置に限定されない。また、被写体としても皮膚疾患部に限定されない。例えば、構造物等の維持管理のため、非常に小さなひび割れ、孔などを検査するときに、撮像素子の中心位置に被写体を正確に撮影するような撮像装置等にも、本発明を適用することができる。
【0041】
また、上記のダーモスコピーカメラ1においては、カメラ本体10に、シャッタボタン18や、ダーモスコピーカメラ1の各種設定を実行するためのタッチパネル式の画面(不図示)が設けられていると説明した。しかしながら、シャッタボタン18やタッチパネル式の画面(不図示)等の操作受付部を、カメラ本体とは物理的に分離した操作部に設けるようにしてもよい。カメラ本体と操作部とは、既存の通信技術を用いて双方向に通信可能である。撮影者は、操作部を操作することにより、カメラ本体の各種設定やシャッタ操作等を行うことができる。
【0042】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
[請求項1]
撮像装置であって、
被写体照明用の光源と、
前記光源の光を撮影中心軸上前方に照準として集光させる導光部材と、を備えることを特徴とする撮像装置。
[請求項2]
レンズカバーをさらに備え、
前記光源が前記レンズカバーの内側に設けられ、前記導光部材が前記レンズカバーの外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
[請求項3]
レンズカバーをさらに備え、
前記光源が前記撮像装置の本体に設けられ、前記導光部材が前記レンズカバーの外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
[請求項4]
前記光源が複数個実装され、前記導光部材が各光源に対応して少なくとも2個設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
[請求項5]
ダーモスコピー撮影に対応することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0043】
1…ダーモスコピーカメラ
10…カメラ本体、11…筐体、12…ズームレンズ部、13a…LED、13b…導光部材、13c…照準器、18…シャッタボタン
20…レンズユニット、24…カバー部材
30…回路配線基板、31…撮像素子
40…カバー体、41b…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6