(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981149
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】部品切れ予告装置および部品切れ予告方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-189424(P2017-189424)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-67838(P2019-67838A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 右一
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−251092(JP,A)
【文献】
特開2005−244055(JP,A)
【文献】
特開平03−182463(JP,A)
【文献】
特開平09−202502(JP,A)
【文献】
実開平04−072699(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0040117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の土台となるベースと、
前記ベースに固定された固定軸に一端を軸支された基準棒と、
前記基準棒を、前記固定軸を中心として、リールに巻回したテープ部品の表面に当接するように付勢する基準棒付勢手段と、
前記基準棒の前記固定軸とは反対側の端部に配置され前記基準棒と共に遊動する遊動軸によって、軸支された表示棒と、
前記遊動軸を中心に前記基準棒と前記表示棒とのなす角が大きくなる方向に、前記表示棒を付勢する表示棒付勢手段と、
前記基準棒の前記ベースの表面とのなす角が所定値未満の場合に、前記表示棒の前記遊動軸とは反対側の端部と前記固定軸との距離が所定値以上にならないように、前記表示棒の動きを規制し、前記基準棒の前記ベースの表面とのなす角が所定値以上となった場合に、前記表示棒の動きの規制を解除するストッパーと
を有することを特徴とする部品切れ予告装置。
【請求項2】
前記基準棒付勢手段と前記表示棒付勢手段とが圧縮バネである
ことを特徴とする請求項1に記載の部品切れ予告装置。
【請求項3】
前記基準棒の色と前記表示棒の色や色のパターンが異なる
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の部品切れ予告装置。
【請求項4】
前記基準棒および前記表示棒が、前記リールを構成する一対の側板の間隔より小さい幅を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の部品切れ予告装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の部品切れ予告装置と、
前記リールの上方から前記部品切れ予告装置を撮影する撮像装置と
を有することを特徴とする部品切れ予告システム。
【請求項6】
前記テープ部品を巻回した前記リールを、前記リールの幅方向に複数配列し、それぞれの前記リールに対応して、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の部品切れ予告装置が配置されている
ことを特徴とする部品切れ予告システム。
【請求項7】
前記部品切れ予告装置を前記リールの上方から撮影する撮像装置を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の部品切れ予告システム。
【請求項8】
前記撮像装置が撮影した画像における前記表示棒の画像の大きさに基づいて、
前記部品切れの発生タイミングを推定する
ことを特徴とする請求項7に記載の部品切れ予告システム。
【請求項9】
装置の土台となるベースに固定された固定軸に基準棒の一端を軸支し、
前記基準棒を、前記固定軸を中心として、リールに巻回したテープ部品の表面に当接するように付勢し、
前記基準棒の前記固定軸とは反対側の端部に前記基準棒と共に遊動する遊動軸を配置し、
前記遊動軸に表示棒の一端を軸支し、
前記遊動軸を中心に前記基準棒と前記表示棒とのなす角が大きくなる方向に、前記表示棒を付勢し、
前記基準棒の前記ベースの表面とのなす角が所定値以下の場合に、前記表示棒の前記遊動軸とは反対側の端部と前記固定軸との距離が所定値以上にならないように、前記表示棒の動きを規制し、前記基準棒の前記ベースの表面とのなす角が所定値以上となった場合に、前記表示棒の動きの規制を解除する
ことを特徴とする部品切れ予告方法。
【請求項10】
前記リールの上方から前記表示棒が配置された領域の画像を撮影し、
撮影した前記画像に基づいて部品切れ予告の有無を判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の部品切れ予告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品切れ予告装置および部品切れ予告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品搭載機への部品供給では、テープに部品を収納し、このテープをリールに巻回する形態が多用されている。なお、以降では部品を収容したテープのことをテープ部品と称する。部品搭載機の運転では、テープ部品を巻回したリールを部品実装機の部品供給部にセットし、フィーダーでテープを引き出して部品を取り出している。このような方式でリールの最後まで部品を使い切ると部品切れとなる。この時、テープの終端が部品実装機に入ってしまうと、新たに部品をセットするのに多大な時間と工数を要する。このため、部品が完全に切れる前に、古いテープ部品の終端と新しいテープ部品の先端とをつなぐスプライシングが行われている。スプライシングを用いると、簡単な作業と、短い停止時間で当該部品の供給を再開することができる。このため、部品が完全に切れる前に部品切れを予知し、部品の供給を指示する方法が考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、部品搭載機に装着するリールの部品収納数を記録し、外部から読み出した生産管理情報を用いてリールの部品残数を算出して、部品が無くなる前に警告を出力する方法が開示されている。この技術では、部品搭載機が、生産管理情報やリールの部品収容数などを外部とやり取りする通信機能を有するヘッドが用いられる。
【0004】
また特許文献2には、テープ部品にスライド式の部品カウンタを設置し、カウンタを通過した部品数を計測することで、部品残数を正確に求める技術が開示されている。この技術では、予め入力された収容数からスライドを通過した部品数を減算し、部品の残数が所定数以下になった場合に警告を行っている。
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の技術では、予め部品搭載機に、計数機能や通信機能を持たせる必要があり、装置自体が高価となってしまう問題がある。また、これらの機能を持たない既存の設備には適用できないという問題がある。
【0006】
他方、簡単に部品切れを予知する方法として、テープ部品の巻き径が所定値より小さくなったことを検出して、部品切れを予知する方法が検討されている。例えば特許文献3には、リールの一対の側板間を通過する光を検出する光センサを設ける方法が開示されている。この技術では、リールの一対の側板間を通過する光を出射し、テープ部品の巻き径が所定値より大きいうちは反射光が返らず、巻き径が所定値より小さくなると反射光が返ってくる位置に反射板を設けている。このため、反射光が検出された場合は、テープ部品の巻き径が所定値小さくなったこと、すなわち残量が所定量より少なくなったことを検出する。こうして、部品切れが近いことを簡単に予知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2001−203493号公報
【特許文献2】特開2006−190818号公報
【特許文献3】特開平5−167298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように特許文献1および2の方法は装置が高価になるという問題がある。また、特許文献3の技術では、リールの数だけ光センサを設ける必要があり、リールの数が増えるほど、光センサの数が多くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、部品切れが近いリールを予告する部品切れ予告装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の部品切れ予告装置は、ベースと、基準棒と、基準棒付勢手段と、表示棒と、表示棒付勢手段と、ストッパーとを有する。基準棒はベース面に固定された固定軸に軸支されている。基準棒付勢手段は、基準棒を、リールに巻回したテープ部品に当接するように付勢する。表示棒は、基準棒の固定軸とは反対側の端部に軸支されている。表示棒付勢手段は、基準棒とのなす角が大きくなる方向表示棒をする。ストッパーは、基準棒とベースの表面とのなす角が所定値未満の場合には、表示棒の先端が固定軸から離れないように表示棒の動きを規制し、なす角が所定値以上となった時に規制を解除する。以上の構成とすることにより、テープ部品の残量が所定値以下となったことを検出し、部品切れを予告することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、簡易な構成で、部品切れが近いリールを予告する部品切れ予告装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態の部品切れ予告装置を示すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態の部品切れ予告装置を示す側面図である。
【
図3】第2の実施形態の部品切れ予告装置の中間動作状態を示す側面図である。
【
図4】第2の実施形態の部品切れ予告装置の部品切れ予告状態を示す側面図である。
【
図5】第2の実施形態の部品切れ予告装置の上方から見た画像を示す平面図である。
【
図6】第3の実施形態の部品切れ予告装置を示す側面図である。
【
図7】第3の実施形態の部品切れ予告装置の中間動作状態を示す側面図である。
【
図8】第3の実施形態の部品切れ予告装置の部品切れ予告状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の部品切れ予知装置を示す側面模式図である。部品切れ予告装置は、ベース1と、基準棒2と、基準棒付勢手段3と、表示棒4と、表示棒付勢手段5と、ストッパー6とを有する。
【0015】
基準棒2はベース1に固定された固定軸11に軸支され、固定軸11を中心にリール12に巻回したテープ部品13の表面に当接するように基準棒付勢手段3によって付勢されている。
【0016】
表示棒4は、基準棒2の固定軸11とは反対側の端部に、基準棒と共に遊動する遊動軸14に軸よって軸支され、遊動軸14を中心に基準棒2とのなす角が大きくなる方向に、表示棒付勢手段5によって付勢されている。ストッパー6は、基準棒2のベース1の表面とのなす角が所定値以下の場合に、表示棒4の遊動軸14とは反対側の端部と固定軸11との距離が所定値以上にならないように、表示棒4の動きを規制する。
【0017】
以上の構成とすると、テープ部品13の巻き径が所定値より大きい、すなわち、部品残量が所定値より多い時には、表示棒4が基準棒2の下に収容された状態となる。そして、テープ部品13の巻き径が所定値未満となった場合、すなわち、部品残量が所定値より少なくなった場合に、表示棒4がストッパー6を超えて、基準棒2の外側に張り出す。この動作により、部品切れ予告装置は、部品切れを予告することができる。
【0018】
(第2の実施形態)
図2は本実施形態の部品切れ予知装置を示す側面図である。なお
図2では、各要素が見えるように、リールを構成する一対の側板のうち手前側の側板を除いた状態を描いている。
【0019】
部品切れ予告装置は、部品供給装置のベース101に固定された固定軸102に一端を軸支された基準棒103と、基準棒103の、固定軸102とは反対の端部に配置された遊動軸104に軸支された表示棒105とを有する。また、基準棒103を、リール201に巻回されたテープ部品202の表面に当接するように付勢する第1の圧縮バネ106と、表示棒105を基準棒103から離れるようにベース101に向かって付勢する第2の圧縮バネ107とを有する。さらに、基準棒103がベース101の表面となす角が所定値以下の時に、表示棒105の先端を、固定軸102との距離が所定値未満となるように制限するストッパー108を有している。なお、リール201は、重力によってリール支持体203に押し付けられて、支持されている。また、リール201の上方から表示棒105を検知するためにカメラ300を設けておいてもよい。
【0020】
上記のテープ部品202を図示しないフィーダーで取り出し、テープ部品202が消費されると、テープ部品202の巻き径が小さくなり、基準棒103とベース101表面とのなす角が大きくなっていく。また、基準棒103と表示棒105とのなす角も大きくなっていく。
図3は、テープ部品202が消費され、テープ部品202の巻き径が小さくなった状態を示す属面図である。
図3の状態では、表示棒105の遊動軸104と反対側の先端は、ストッパー108に係止されている。この時、カメラ300で、リール201の上方から画像を撮影すると、表示棒105は、ほとんど写らない。
【0021】
さらにテープ部品202が消費されると、巻き径がさらに小さくなるため、基準棒104とベース101の表面とのなす角が大きくなり、表示棒105の先端がストッパー108から外れる。この状態を示したのが
図4の側面図である。この状態では、表示棒105
が、第2の圧縮バネ107の付勢力によって、基準棒103の下から外方に飛び出す。そして、カメラ300で撮影した画像に表示棒105が写るようになる。すなわち、表示棒105が上方から見えるようになったことで、部品切れが近いことを検知することができる。なお、基準棒103と表示棒105の色や色のパターンを異なるようにしておくと、表示棒105の出現を明確に把握できる。
【0022】
次に、テープ部品202を巻回した複数のリール201を、リールの幅方向に複数配列した、部品供給装置1000に、上記の部品切れ予告装置を適用した例を示す。
図5は、上記の部品供給装置1000を、リール201の上方からカメラ300が撮影した画像の一例を示す平面図である。
【0023】
この例ではリール201に巻回された9つのテープ部品202を示している。それぞれのテープ部品(202a、202b、・・・、202i)の下からは基準棒103が露出している。テープ部品202が消費されるにつれ、テープ部品202の巻き径が小さくなるので、基準棒103の露出量は多くなる。そして、さらにテープ部品202が消費されると、上述したように、表示棒105が露出する。
図5の例では、テープ部品202cと202eの消費が進み、表示棒205c、205eが画像に写っている。これらの部品切れが近いことを、この画像から把握することができる。なお、テープ部品の種類ごとに、固有の外観(色、色のパターンなど)の表示棒を用意しておけば、表示棒の種類から、部品切れが近い部品の品種を把握することも可能である。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡易な構成で、部品切れを予告する部品切れ予告装置を提供することができる。
【0025】
(第3の実施形態)
テープ部品を巻回するリールの径には種々のものがある。このため、リール径に適合する基準棒および表示棒のセットが必要になる。ただし、一般的には、リールの径は標準化されているので、標準化された規格に合わせて、数種類のセットを用意すれば、多くの範囲をカバーすることができる。
【0026】
図6に第2の実施形態より径の小さいリール211に巻回されたテープ部品212を用いる時の構成例を示す。リール211に合わせて、第2の実施形態とは長さの異なる基準棒113と表示棒115を用いている。また、それに合わせて、第1の圧縮バネ116と第2の圧縮バネ117のセットを用いている。このような道具立てとすると、第2の実施形態とまったく同様に、部品切れ予告を行うことができる。
【0027】
図7は、ある程度テープ部品212が消費され、表示棒114がストッパー118に係止された時の側面を表している。
【0028】
図8は、テープ部品212の消費がさらに進み、表示棒115がストッパー118から外れた状態を示している。この状態では、表示棒115が基準棒113の下から外方に露出しているので、カメラ300の撮影した画像から部品切れが近いことを検知することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、リールの径が変わっても、第2の実施形態と同様に、部品切れを予告することができる。
【0030】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1、101 ベース
2、103、113 基準棒
3 基準棒付勢手段
4、105、115 表示棒
5 表示棒付勢手段
6、108、118 ストッパー
11、102 固定軸
12、201、211 リール
13、202、212 テープ部品
14、104 遊動軸
106 第1の圧縮バネ
107 第2の圧縮バネ
203 リール支持体
300 カメラ
1000 部品供給装置