(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトに対して径方向一方側に位置するピンと前記シャフトの前記中心軸との間の距離は、前記シャフトに対して径方向他方側に位置するピンと前記シャフトの前記中心軸との間の距離と、相違する請求項1から5のいずれか1項に記載の電動オイルポンプ。
前記シャフトに対して径方向一方側に位置する前記ピンと、前記シャフトに対して径方向他方側に位置する前記ピンとは、前記シャフトの前記中心軸を通って直径方向に延びる仮想線上に位置する請求項6に記載の電動オイルポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。本実施形態では、モータ部とポンプ部との間に中間部材(例えば、コネクタアセンブリ)が設けられた電動オイルポンプを例にして説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0014】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向他方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す電動オイルポンプの短手方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0015】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0016】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0017】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係る電動オイルポンプ1の断面図である。本実施形態の電動オイルポンプ1は、
図1に示すように、モータ部10と、ポンプ部40と、中間部材70と、を有する。モータ部10とポンプ部40は、軸方向に沿って配置される。モータ部10は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されたシャフト11を有する。ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側(フロント側)に位置し、モータ部10によってシャフト11を介して駆動されオイルを吐出する。中間部材70は、モータ部10とポンプ部との間に位置して、モータ部10及びポンプ部間に挟まれた状態で固定される。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0018】
<モータ部10>
モータ部10は、
図1に示すように、シャフト11と、ロータ20と、ステータ22、モータハウジング13と、を有する。
【0019】
モータ部10は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト11の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に位置する。
【0020】
(モータハウジング13)
モータハウジング13は、ステータ保持部13aと、中間部材保持部13bと、ベアリング保持部13cと、を有する。モータハウジング13は、金属製である。モータハウジング13は、軸方向他方側(リア側)に底部13fを有した有底筒状である。
【0021】
(ステータ保持部13a)
ステータ保持部13aは、軸方向に延びる円筒状である。ステータ保持部13a内にモータ部10のシャフト11とロータ20とステータ22が配置される。ステータ保持部13aの内周面13a1には、ステータ22の外側面、すなわち、後述するコアバック部22aの外側面が嵌め合わされる。これにより、ステータ保持部13aにステータ22が収容される。
【0022】
(中間部材保持部13b)
図2は、第1実施形態に係る電動オイルポンプ1のリア側から見た平面図である。中間部材保持部13bは、ステータ保持部13aのフロント側端部13a2に繋がる部分である。本実施形態では、中間部材保持部13bは、フロント側端部13a2からフロント側へ延びる筒状の接続部13b1と、接続部13b1のフロント側端部から径方向外側に延びる環状のフランジ部13b2と、を有する。フランジ部13b2は、
図2に示すように、周方向に間隔を有して径方向外側へ突出する複数の突出部13gを有する。本実施形態では、中心軸Jに対してX軸方向の一方側(紙面の左側)に2つの突出部13gが設けられ、中心軸Jに対してX軸方向の他方側(紙面の右側)に2つの突出部13gが設けられる。突出部13gの中央部には、ボルト15を軸方向に貫通するボルト用貫通孔13dが設けられる。
【0023】
また、X軸方向左側の突出部13gの径方向内側端部及びX軸方向右側の突出部13gの径方向内側端部には、位置決め用のピン90を軸方向に貫通する位置決め用のモータハウジング貫通孔13eが設けられる。即ち、ピン90は、モータハウジング13の径方向外側部分に設けられる。なお、ピン90の位置は、前述した位置に限るものではく、モータハウジング13の径方向外側の縁部でもよい。具体的には、ピンの位置は、突出部13gの突出方向先端側の周縁部でもよい。以下、ピン90の位置は、ポンプボディ52及びポンプカバー57の場合も同様である。
【0024】
位置決め用のモータハウジング貫通孔13eは、シャフト11に対して径方向一方側及び径方向他方側に配置される。本実施形態では、2つの位置決め用のモータハウジング貫通孔13eの一方は、シャフト11の中心軸Jを通って直径方向に延びる仮想線Ls上に位置し、他方は仮想線Lsから僅かに周方向にずれた位置に配置される。
【0025】
シャフト11に対して径方向一方側に位置する位置決め用のモータハウジング貫通孔13eとシャフト11の中心軸Jとの間の距離r1は、シャフト11に対して径方向他方側に位置する位置決め用のモータハウジング貫通孔13eとシャフト11の中心軸Jとの間の距離r2と、相違する。本実施形態では、距離r1は距離r2よりも小さい。これらの位置決め用のモータハウジング貫通孔13eは、ピン90を嵌め合わが可能な寸法精度を有する。これらの位置決め用のモータハウジング貫通孔13eにピン90が挿入される。
【0026】
接続部13b1は、円環状であり、ステータ保持部13aよりも径方向外側に広がってフロント側へ延びる。接続部13b1の内面には、中間部材70のリア側の壁部70dが挿入されて、中間部材70がモータハウジング13に接続される。
【0027】
(ベアリング保持部13c)
ベアリング保持部13cは、
図1に示すように、モータハウジング13の底部13fに設けられる。ベアリング保持部13cは、モータハウジング13の底部に13fにフロント側が開口してリア側へ窪むベアリング収容部13f1を有する。ベアリング収容部13f1は、フロント側から見たときに円形状である。ベアリング収容部13f1は、シャフト11の中心軸Jと同軸上に配置される。ベアリング収容部13f1内に設けられたベアリング16は、シャフト11のリア側端部を支持する。
【0028】
<中間部材70>
図3は、
図1のIa−Ia矢視に相当する中間部材70の断面図である。
図4は、
図1のIb−Ib矢視に相当する中間部材70の断面図である。中間部材70は、
図1に示すように、本実施形態では、モータ部10の作動を制御するための制御部72を有したコネクタアセンブリである。
【0029】
中間部材70は、樹脂により一体成型される。中間部材70は、
図3及び
図4に示すように、モータ部10とポンプ部40との間に配置される中間部材本体部70aと、中間部材本体部70aの径方向外側端部に繋がって径方向外側に延びるターミナル部70bと、を有する。中間部材本体部70a及びターミナル部70bのリア側には、同一平面上に延びる端面70c(
図1参照)が設けられる。端面70cは、ポンプボディ52のリア側の端面52cに接触して固定される。
【0030】
中間部材本体部70aは、
図1に示すように、円筒状の壁部70dと、壁部70dの軸方向中間部に径方向内側へ延びる環状の仕切り板部70eと、を有する。壁部70dのリア側端部がモータハウジング13の中間部材保持部13bに接続される。仕切り板部70eの中央部には軸方向に貫通する貫通孔70fが設けられる。この貫通孔70fにシャフト11が貫通する。
【0031】
貫通孔70fを通るシャフト11には取付部材74を介して回転角センサ用磁石76が設けられる。また、仕切り板部70eよりもフロント側には、
図3に示すように、制御部72が配置される。制御部72は、中間部材本体部70a内にシャフト11に隣接して配置される。制御部72には、複数の端子部78が電気的に接続される。端子部78は、一端部が制御部72に接続され、他端部が径方向外側へ延びてターミナル部70bに繋がる。
【0032】
複数の端子部78よりもリア側には、
図4に示すように、複数のバスバー80が配置される。バスバー80の一端部には、モータ部10から延びるコイル端が電気的に接続され、バスバー80の他端側は、径方向外側へ延びてターミナル部70bに繋がる。
【0033】
本実施形態では、中間部材本体部70a及びターミナル部70bには、径方向外側へ突出する複数の突出部70gを有する。複数の突出部70gは、モータ部10に中間部材70を接続させた状態で、モータ部10の複数の突出部13gと軸方向において重なる位置に配置される。複数の突出部70gの夫々には、ボルト15が貫通するボルト用貫通孔82が設けられる。これらのボルト用貫通孔82は、モータ部10に中間部材70を接続させた状態で、モータ部10の突出部13gに設けられたボルト用貫通孔13dと連通する。
【0034】
中間部材70には、複数のピン90の夫々が貫通して通る複数の貫通孔81を有する。本実施形態では、
図4に示すように、X軸方向左側に配置された突出部70gの径方向内側端部及びX軸方向右側に配置された突出部70gの径方向内側端部には、ピン90を軸方向に貫通する貫通孔81が設けられる。これらの貫通孔81は、モータ部10に中間部材70を接続させた状態で、モータ部10の位置決め用のモータハウジング貫通孔13eと連通する。貫通孔81の詳細は後述する。
【0035】
(ロータ20)
ロータ20は、
図1に示すように、ロータコア20aと、ロータマグネット20bと、を有する。ロータコア20aは、シャフト11を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト11に固定される。ロータマグネット20bは、ロータコア20aの軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア20a及びロータマグネット20bは、シャフト11と共に回転する。なお、ロータ20は、ロータ20の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型でもよい。埋込磁石型のロータ20は、永久磁石をロータ20の表面に設けた表面磁石型と比較して、遠心力によって磁石が剥がれる虞を軽減することができ、また、リラクタンストルクを積極的に利用することができる。
【0036】
(ステータ22)
ステータ22は、ロータ20を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ20を中心軸J周りに回転させる。ステータ22は、コアバック部22aと、ティース部22cと、コイル22bと、インシュレータ(ボビン)22dと、を有する。
【0037】
コアバック部22aの形状は、シャフト11と同心の円筒状である。ティース部22cは、コアバック部22aの内側面からシャフト11に向かって延びる。ティース部22cは、複数設けられ、コアバック部22aの内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル22bは、インシュレータ(ボビン)22dの周囲に設けられ、導電線22eが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)19は、各ティース部22cに装着される。
【0038】
(シャフト11)
シャフト11は、
図1に示すように、中心軸Jに沿って延びてモータ部10を貫通する。シャフト11のフロント側(−Z側)は、モータ部10から突出して、中間部材70を貫通してポンプ部40内に延びる。シャフト11のフロント側が後述するベアリング55で支持される。このため、シャフト11は、両端支持の状態となる。
【0039】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、
図1に示すように、中間部材の軸方向一方側(フロント側)に位置する。ポンプ部40は、モータ部10によってシャフト11を介して駆動される。ポンプ部40は、ポンプロータ47と、ポンプハウジング51と、を有する。ポンプハウジング51は、ポンプボディ52と、ポンプカバー57と、を有する。以下、各部品について詳細に説明する。
【0040】
(ポンプボディ52)
図5は、
図1のIc−Ic矢視に相当するポンプボディ52の断面図である。ポンプボディ52は、
図1に示すように、中間部材70のフロント側(−Z側)において中間部材70のフロント側(−Z側)の端面70cに固定される。ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の端面52cからフロント側(−Z側)に窪む凹部54を有する。凹部54内にはリア側からフロント側へ向かってベアリング55及びシール部材59が順に収容される。
【0041】
ポンプカバー57は、中間部材70に対してフロント側(−Z側)から覆うことで、中間部材70との間に凹部54内のベアリング55を軸方向に位置決めする。
【0042】
ポンプボディ52は、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔56を有する。貫通孔56は軸方向両端が開口してシャフト11が通され、リア側(+Z側)の開口が凹部54に開口し、フロント側(−Z側)の開口がポンプボディ52のフロント側の端面52dに開口する。
【0043】
ポンプボディ52のリア側の径方向外側端部には、
図5に示すように、環状のフランジ部52aが設けられる。フランジ部52aには、周方向に間隔を有して径方向外側へ突出する複数の突出部52bが設けられる。本実施形態では、フランジ部52aには、4つの突出部52bが設けられ、これらの突出部52bは、中間部材70にポンプボディ52を接続させた状態で、中間部材70の複数の突出部70gと軸方向において重なる位置に配置される。複数の突出部52bの夫々には、ボルト15が貫通するボルト用貫通孔52eが設けられる。これらのボルト用貫通孔52eは、中間部材70にポンプボディ52を接続させた状態で、中間部材70の突出部70gに設けられたボルト用貫通孔82と連通する。
【0044】
ポンプボディは、複数の位置決め用のポンプボディ貫通孔52fを有する。本実施形態では、X軸方向左側に配置された突出部52bの径方向内側端部及びX軸方向右側に配置された突出部52bの径方向内側端部には、ピン90を軸方向に貫通するポンプボディ貫通孔52fが設けられる。これらのポンプボディ貫通孔52fは、中間部材70にポンプボディ52を接続させた状態で、中間部材70の貫通孔81と連通する。ポンプボディ貫通孔52fの詳細は後述する。
【0045】
(ポンプカバー57)
図6は、
図1のId−Id矢視に相当するポンプカバー57の断面図である。
図7は、
図1のIe−Ie矢視に相当するポンプカバー57の断面図である。ポンプカバー57は、
図1に示すように、ポンプボディ52のフロント側に取り付けられる。ポンプカバー57は、リア側が開口してフロント側へ窪む収容部60を有する。ポンプカバー57は、ポンプボディ52に対してフロント側から覆うことにより、ポンプボディ52との間に収容部60を設ける。本実施形態では、ポンプカバー57は、リア側にポンプボディ52のフロント側の端面52dに接触する平面状の端面57aを有する。収容部60内にポンプロータ47が配置される。
【0046】
ポンプカバー57のリア側の径方向外側端部には、
図6に示すように、フランジ部57bが設けられる。フランジ部57bには、周方向に間隔を有して径方向外側へ突出する複数の突出部57cが設けられる。本実施形態では、フランジ部52aには、4つの突出部57cが設けられ、これらの突出部57cは、ポンプボディ52にポンプカバー57を接触させた状態で、ポンプボディ52の複数の突出部52bと軸方向において重なる位置に配置される。複数の突出部57cの夫々には、ボルト15が螺合可能な雌ねじ部57dが設けられる。これらの雌ねじ部57dは、ポンプボディ52にポンプカバー57を接触させた状態で、ポンプボディ52の突出部52bに設けられたボルト用貫通孔52eと連通する。このため、ボルト15を、モータハウジング13のボルト用貫通孔13d、中間部材70のボルト用貫通孔82及びポンプボディ52のボルト用貫通孔52eに貫通し、且つポンプカバー57の雌ねじ部57dに螺合することで、モータハウジング13、中間部材70、ポンプボディ52及びポンプカバー57を一体的に固定することができる。
【0047】
また、ポンプカバー57は、複数の位置決め用のポンプカバー貫通孔57eを有する。本実施形態では、
図6に示すように、X軸方向左側に配置された突出部57cの径方向内側端部及びX軸方向右側に配置された突出部57cの径方向内側端部には、ピン90を軸方向に挿入するポンプカバー貫通孔57eが設けられる。これらのポンプカバー貫通孔57e、ポンプボディ52にポンプカバー57を接触させた状態で、ポンプボディ52のポンプボディ貫通孔と52fと連通する。なお、ポンプカバー貫通孔57eは、
図8に示すように、貫通していない穴部でもよい。
【0048】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、
図1及び
図6に示すように、シャフト11に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ47は、シャフト11のフロント側(−Z側)に取り付けられる。ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられるインナーロータ47aと、インナーロータ47aの径方向外側を囲むアウターロータ47bと、を有する。インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0049】
インナーロータ47aは、シャフト11に固定される。より詳細には、インナーロータ47aの内側にシャフト11のフロント側(−Z側)の端部が圧入される。インナーロータ47aは、シャフト11と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0050】
インナーロータ47aとアウターロータ47bとは互いに噛み合い、インナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト11の回転によりポンプロータ47は回転する。言い換えると、モータ部10とポンプ部40とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0051】
また、インナーロータ47aとアウターロータ47bとが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域なり、容積が増加する領域が負圧領域となる。ポンプロータ47の負圧領域のリア側(+Z側)には、吸入ポートが配置される。また、ポンプロータ47の加圧領域Apのリア側(+Z側)には、吐出ポートが配置される。ここで、ポンプカバー57に設けられた吸入口57f(
図7参照)から収容部60内に吸入されるオイルは、インナーロータ47aとアウターロータ47bの間の容積部分に収容され、加圧領域に送られる。その後、オイルは、吐出ポートを通ってポンプカバー57に設けられた吐出口57g(
図7参照)から吐出される。
【0052】
また、ポンプカバー57は、
図7に示すように、オイルを流入させる流入口57hと、オイルを流出させる流出口57iと、収容部60と流出口57iとの間を繋ぐ供給油路57jと、供給油路57jに設けられ、供給油路57jを開閉する開閉弁57kと、供給油路57jに設けられ、流出口57i側へのオイルの流れを許容し、または収容部60側へのオイルの流れを遮断する逆止弁57mと、流入口57hと開閉弁57kとの間を繋ぐパイロット油路57nと、を有する。開閉弁57kは、パイロット油路57nを介して圧油が供給された場合には、供給油路57jを開いて流出口57i側へのオイルの流れを許容し、パイロット油路57nからの圧油の供給が無い場合には、供給油路57jを閉じて収容部60側へのオイルの流れを遮断する。
【0053】
図8は、
図2のII−II矢視に相当する電動オイルポンプ1の断面図である。本実施形態に係る電動オイルポンプ1のモータハウジング13、中間部材70、ポンプボディ52、ポンプカバー57には、
図2及び
図8に示すように、モータハウジング13、中間部材70、ポンプボディ52、ポンプカバー57を軸方向に貫通する複数のピン90が設けられる。本実施形態では、2本のピン90が設けられる。
【0054】
複数のピン90は、ポンプボディ52に設けられた複数の位置決め用のポンプボディ貫通孔52fの夫々に圧入される。ポンプボディ52に圧入されたピン90は、ポンプボディ52の軸方向両側の面(端面52c、52d)の夫々から軸方向に突出する。ポンプボディ52のリア側から突出するピン90は、モータハウジング13に設けられた位置決め用のモータハウジング貫通孔13eに嵌め合わされる。ポンプボディ52のフロント側から突出するピン90は、ポンプカバー57に設けられた位置決め用のポンプカバー貫通孔57eに嵌め合わされる。このため、位置決めは、ポンプボディ52が基準となって、ポンプボディ52に対してモータハウジング13及びポンプカバー57が位置決めされる。
【0055】
本実施形態では、ピン90は、金属製であり、位置決め用のモータハウジング貫通孔13e、ポンプボディ貫通孔52f、ポンプカバー貫通孔57eの夫々に嵌め合い可能な精度を有した外径寸法を有する。ピン90の軸方向長さは、モータ部10、中間部材70、ポンプボディ52及びポンプカバー57を軸方向に接合させた状態で、モータハウジング貫通孔13e、ポンプボディ貫通孔52f、ポンプカバー貫通孔57eの夫々の貫通孔を貫通可能な長さを有する。
【0056】
中間部材70の貫通孔81の内径は、モータハウジング貫通孔13eの内径及びポンプカバー貫通孔57eの内径よりも大きい。本実施形態では、中間部材70の貫通孔81の内径は、モータハウジング貫通孔13e及びポンプカバー貫通孔57eにピン90が嵌め合わされた状態で、ピン90が中間部材70の貫通孔81の内面に接触しない大きさを有する。
【0057】
このため、複数のピン90の夫々を、モータハウジング貫通孔13e、ポンプボディ貫通孔52f、ポンプカバー貫通孔57eに通すことで、複数のピン90により、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57が位置決めされる。本実施形態では、1本のピン90を、モータハウジング貫通孔13e、ポンプボディ貫通孔52f、ポンプカバー貫通孔57eに通すと、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向の位置決めをすることができるが、周方向の位置決めはできない。しかしながら、2本のピン90を、モータハウジング貫通孔13e、ポンプボディ貫通孔52f、ポンプカバー貫通孔57eに通すと、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向及び周方向の位置決めをすることができる。
【0058】
<電動オイルポンプ1の作用・効果>
次に、電動オイルポンプ1の作用・効果について説明する。
図1に示すように、電動オイルポンプ1のモータ部10が駆動すると、モータ部10のシャフト11が回転して、ポンプロータ47のインナーロータ47aの回転にともなってアウターロータ47bも回転する。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40の吸入口57f(
図7参照)から吸引されたオイルは、ポンプ部40の収容部60内を移動して、吐出ポートを通って吐出口57g(
図7参照)から吐出される。
【0059】
(1)ここで、本実施形態に係る電動オイルポンプ1の複数のピン90は、
図2及び
図8に示すように、収容部60よりも、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向外側部分を貫通する。このため、複数のピン90をシャフト11の中心軸Jから離れた位置に配置することができる。したがって、複数のピン90がモータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向内側部分に配置される場合と比較して、ピン90とシャフト11の中心軸Jとの間の距離を増大することができる。このため、例えば、モータハウジング13がポンプボディ52に対して位置ずれを生じる場合、一方のピン90が位置ずれを規制したときに他方のピン90が未だ位置ずれを規制していないときには、一方のピン90を支点としてモータハウジング13が回転して位置ずれが生じる。しかしながら、ピン90とシャフト11の中心軸Jの距離が大きい場合には、回転する角度が抑えられるため、位置ずれが抑制される。よって、シャフト11の同軸度のズレを抑制することができる。
【0060】
(2)また、複数のピン90は、シャフト11に対して径方向一方側及び径方向他方側に配置される。このため、複数のピン90がシャフト11に対して径方向一方側のみに配置される場合と比較して、ピン90同士の距離を増大することができる。このため、例えば、モータハウジング13がポンプボディ52に対して位置ずれを生じる場合、一方のピン90が位置ずれを規制したときに他方のピン90が未だ位置ずれを規制していないときには、一方のピン90を支点としてモータハウジング13が回転して位置ずれが生じる。しかしながら、ピン90同士の距離が大きい場合には、回転する角度が抑えられるため、位置ずれが抑制される。よって、シャフトの同軸度のズレを抑制することができる。
【0061】
(3)また、複数のピン90は、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向外側の縁部を貫通する。このため、ピン90をシャフト11の中心軸Jから最大限に離れた位置に配置することができる。したがって、ピン90同士間の距離がより増大して、位置ずれをより抑制することができる。よって、シャフト11の同軸度のズレを抑制することができる。
【0062】
(4)さらに、
図1に示すように、ポンプカバー57は、軸方向他方側が開口して軸方向一方側へ窪む収容部60を有し、ポンプカバー57は、ポンプボディ52に対して軸方向一方側から覆うことにより、ポンプボディ52との間に収容部60を設ける。このため、収容部60をポンプカバー57に容易に設けることができる。また、ポンプカバー57は、ピン90によりモータハウジング13及びポンプボディ52とともに同軸度のずれ量が抑制されているので、収容部60に収容されるポンプロータ47を精度の高い状態で回転させることができる。
【0063】
(5)また、ポンプカバー57には、
図7に示すように、収容部60の他に、流入口57h、流出口57i、供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57m及びパイロット油路57nが設けられる。このため、ポンプボディ52に収容部60を設け、ポンプカバー57に流入口57h、流出口57i、供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57m及びパイロット油路57nを設けた場合には、収容部60と、流入口57h、流出口57i、供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57m及びパイロット油路57nとは別部材に設けられることになるので、ポンプボディ52及びポンプカバー57のスペースが有効に活用できていない。そこで、ポンプカバー57に、収容部60、流入口57h、流出口57i、供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57m及びパイロット油路57nを設けることで、ポンプカバー57のスペースを有効に活用することができる。
【0064】
また、ポンプボディ52に収容部60を設けた場合、ポンプボディ52とポンプカバー57は別部材であるので、収容部60を、供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57mに繋ぐ構成が難しくなる。そこで、ポンプカバー57に収容部60を設けることで、収容部60に供給油路57j、開閉弁57k、逆止弁57mを繋ぐ構成を容易にすることができる。
【0065】
(6)また、ポンプボディ52は、
図5に示すように、複数の位置決め用のポンプボディ貫通孔52fを有し、複数の位置決め用のポンプボディ貫通孔52fの夫々に、ピン90が圧入される。このため、ポンプボディ52を位置決めの基準とすることができる。
【0066】
(7)さらに、ポンプボディ52の軸方向他方側から突出するピン90は、
図8に示すように、モータハウジング13に設けられた位置決め用のモータハウジング貫通孔13eに嵌め合わされ、ポンプボディ52の軸方向一方側から突出するピン90は、ポンプカバー57に設けられた位置決め用のポンプカバー貫通孔57eに嵌め合わされる。このため、モータハウジング13とポンプカバー57は、ポンプボディ52を基準して位置決めされる。したがって、モータハウジング13とポンプボディ52とポンプカバー57を、軸方向に隣接する同士でピン結合した場合と比較して、モータハウジング13とポンプカバー57との位置ずれのズレ量を小さくすることができる。よって、モータハウジング13及びポンプカバー57に貫通するシャフト11の同軸度のずれを抑制することができる。
【0067】
(8)また、モータハウジング13とポンプボディ52との間に中間部材70が配置され、中間部材70は、複数のピン90の夫々が貫通して通る複数の貫通孔81を有する。モータハウジング13とポンプボディ52との間に中間部材70が配置されている場合、ピン90は中間部材70の貫通孔81を貫通して通るので、モータハウジング13とポンプボディ52は、ポンプボディ52を位置決めの基準とする構成は変わらない。このため、中間部材70を設けても、モータハウジング13とポンプボディ52との位置ずれのズレ量が小さくなり、モータハウジング13及びポンプボディ52に貫通するシャフト11の同軸度のずれを抑制可能な電動オイルポンプ1を提供することができる。
【0068】
(9)また、中間部材70の貫通孔81の内径は、モータハウジング貫通孔13eの内径及びポンプカバー貫通孔57eの内径よりも大きい。このため、位置決めの基準位置がポンプボディ52から中間部材70に変わる虞を防止することができる。
【0069】
[第1実施形態の変形例]
図9は、第1実施形態の変形例に係る2つのピン90の配置関係を説明する説明図である。前述した実施形態では、
図2に示すように、2つのピン90の一方は、中心軸Jを通る仮想線Ls上にはなく、シャフト11に対して径方向一方側に位置するピン90とシャフト11の中心軸Jとの間の距離r1は、シャフト11に対して径方向他方側に位置するピン90とシャフト11の中心軸Jとの間の距離r2と相違し、距離r1は距離r2よりも小さい場合を示した。しかしながら、
図9.aに示すように、距離r1と距離r2とが等しい位置に2つのピン90を配置してもよい(変形例1)。
【0070】
この変形例では、距離r1と距離r2が等しいので、距離r2が距離r1よりも小さい場合と比較して、2つのピン90間の距離を増大することができる。このため、例えば、モータハウジング13がポンプボディ52に対して位置ずれを生じる場合、一方のピン90が位置ずれを規制したときに他方のピン90が未だ位置ずれを規制していないときには、一方のピン90を支点としてモータハウジング13が回転して位置ずれが生じる。しかしながら、ピン90とシャフト11の中心軸Jの距離が大きい場合には、回転する角度が抑えられるため、位置ずれが抑制される。よって、シャフト11の同軸度のズレを抑制することができる。
【0071】
また、2つのピン90は、
図9.bに示すように、シャフト11に対して径方向一方側に位置するピン90と、シャフト11に対して径方向他方側に位置するピン90とは、シャフト11の中心軸Jを通って直径方向に延びる仮想線Ls上に位置してもよい(変形例2)。
【0072】
この変形例では、シャフト11に対して径方向一方側に位置するピン90と、シャフト11に対して径方向他方側に位置するピンとは、シャフト11の中心軸Jを通って直径方向に延びる仮想線Ls上に位置する。このため、例えば、ポンプボディ52に対してモータハウジング13が位置ずれを生じる場合、位置ずれの生じる方向に沿って2つのピン90がモータハウジング13に同時に接触する。一方、2つのピン90が仮想線Ls上にない場合には、位置ずれの生じる方向に沿って2つのピン90がモータハウジングに接触した際に、モータハウジング13が一方のピン90を支点としてモータハウジング13が回転してさらにずれる虞が生じる。このため、2つのピン90を直径方向に延びる仮想線Ls上に位置することで、位置ずれの増大を抑制することができる。
【0073】
また、2つのピン90は、
図9.bに示すように、シャフト11に対して径方向一方側に位置するピン90と、シャフト11に対して径方向他方側に位置するピン90とは、シャフト11の中心軸Jを通って直径方向に延びる仮想線Ls上に位置するとともに、シャフト11の中心軸Jとの距離が相違してもよい(変形例3)。
【0074】
この変形例では、2つのピン90が仮想線Ls上に位置するとともに、シャフト11の中心軸Jとの距離r1、r2が相違しているので、位置ずれの増大を抑制することができるとともに、誤った組立を防止することができる。
【0075】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る電動オイルポンプ100の断面図である。第2実施形態では、前述した第1実施形態との相違点のみについて説明し、第1実施形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明は省略する。
図10に示すように、第2実施形態の電動オイルポンプ100は、シャフト11の支持がポンプボディ52に設けられたすべり軸受け101によってのみ支持される。
【0076】
ポンプボディ52には、モータ部10から延びるシャフト11の中心軸Jと同軸上に配置されて軸方向に貫通する貫通孔102が設けられる。この貫通孔102にシャフト11が貫通する。貫通孔102はすべり軸受け102として機能する。ポンプボディ52のリア側の端面52cには、リア側が開口してフロント側へ窪む凹部103が設けられる。凹部103内にシール部材59が収容される。
【0077】
第2実施形態に係る電動オイルポンプ100は、シャフト11がポンプボディ52に設けられたすべり軸受け101のみで支持されている。このため、ロータ20及びポンプロータ47は、シャフト11に対して片持ち支持された状態で回転する。したがって、モータ部10のロータ20がステータ22に接触したり、ポンプロータ47のインナーロータ47aがアウターロータ47bに対して押し付けられる等の不都合が生じる虞がある。
【0078】
しかしながら、
図2に示すように、2本のピン90が、収容部60よりも、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向外側部分を貫通する。このため、シャフト11の同軸度のズレを抑制することができる。よって、ロータ20がステータ22に接触したり、ポンプロータ47のインナーロータ47aがアウターロータ47bに対して押し付けられたりする等の不都合を防止することができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
前述した実施形態では、モータ部10とポンプ部40との間に中間部材70が設けられた場合を示したが、中間部材70を取り除き、モータ部10にポンプ部40を直接に接続しもよい。この場合、複数のピン90は、前述した第1実施形態と同様に、収容部60よりも、モータハウジング13、ポンプボディ52、ポンプカバー57の径方向外側部分を貫通する。