(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981167
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20211202BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20211202BHJP
F21V 11/16 20060101ALI20211202BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20211202BHJP
E01F 9/615 20160101ALI20211202BHJP
【FI】
E01F13/02 A
F21S2/00 661
F21V11/16
E01F9/608
E01F9/615
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-201746(P2017-201746)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-73936(P2019-73936A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 慶一
(72)【発明者】
【氏名】松葉 健志
(72)【発明者】
【氏名】和田 久美子
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−006882(JP,A)
【文献】
米国特許第05577824(US,A)
【文献】
特開2006−045939(JP,A)
【文献】
実開平05−016486(JP,U)
【文献】
特開2014−047556(JP,A)
【文献】
特開平08−260425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00−15/14
E01F 9/00−11/00
E01F 1/00
F21V 1/00−15/04
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−45/70
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に配置されるコーンの上部に取り付けられ、発光部の発光を放射する窓部を前面に備え前記発光部の発光に関連する回路基板アセンブリを収納する筐体を含むアンテナ機器又は無線通信機器の電子機器であって、
前記筐体の前面において、前記窓部の左方及び上方のみから前方に突出する厚さが厚いオーバーハング部と、前記オーバーハング部に隣接し且つ前記窓部が位置する前記オーバーハング部より厚さが薄い凹部と、を備え、
前記オーバーハング部によって前記オーバーハング部の左方からは前記発光部の視認ができないと共に、前記凹部の右方からは前記発光部の視認ができるように、前記コーンに取り付けられる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電子機器は、前記コーンが車道上に配置された場合に、前記筐体の前面が、前記コーンが配置された車道の進行方向を向くように前記コーンに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器は、前記コーンに工事灯と共に取り付けられる場合に、前記筐体の前面が、前記工事灯の発光面とは反対方向を向くように取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器は、前記コーンが車道上に工事を伴う規制のために車両が走行可能な車道との境界に配置される場合に、前記コーンに取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記オーバーハング部の前記窓部に沿った部分に前記窓部の下方に傾斜する曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体の後面に前記筐体の保持手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置され発光部を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置され発光部を有する電子機器として、道路等の工事現場においてその境界線上に配置されるカットコーンの上部に装着されるカットコーン用の転倒検出機能付発光灯がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3199430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の転倒検出機能付発光灯は、走行車両の運転手等の目視者からの視認性向上の為、発光面を走行車両に正対する方向(目視者から目視できる方向)に取り付けられている。昼間の晴天時、発光面への日差しにより発光面が目視でき難くなる問題がある。また、夜間の場合、当該発光灯の脇を走行する車両の運転手の脇見運転を誘発する可能性があるという問題点もある。
【0005】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、屋外に設置される電子機器の発光部の視認性を確保しつつ、視認性を可変できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、発光部の発光を放射する窓部を前面に備え前記発光部の発光に関連する回路基板アセンブリを収納する筐体を含む電子機器であって、
前記筐体の前面において、前記窓部の一方の側方及び上方から前方に突出するオーバーハング部と、前記オーバーハング部に隣接し且つ前記窓部が位置する凹部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器によれば、オーバーハング部があることで直射日光が当たりにくくなり、発光部の視認性が向上するとともに、オーバーハング部に隣接する窓部が位置する凹部があることで、発光部を臨む位置に応じて目視しにくくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】路上における工事灯とこれが装着されるコーンを使用する例を説明する図である。
【
図2】路上における電子機器とこれが装着されるコーンを使用する例を説明する図である。
【
図3】本発明による実施例1である電子機器をコーンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明による実施例2である電子機器をコーンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明による実施例3である電子機器をコーンに装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の工事灯アセンブリについて説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図1に示すように、道路RD上での工事現場等では車線規制等の標識目的で複数のコーン10を設置するのが通常である。各コーン10には走行車両からの視認性向上の為、工事灯20の発光面が、走行車両に正対する方向(運転手から目視できる方向)に取り付けられている。
【0011】
一方、コーン10には、工事灯20以外にも、発光部を有する電子機器40を取付ける場合がある。
図2に示すように、電子機器40は、安全上、脇見運転防止の観点で走行車両の運転手が目視しにくいようあえて走行車両とは正対しない側に発光部22を有する電子機器40の正面を向けて設置されている。
【0012】
さらに工事作業者による電子機器40が有する発光部(インジケータ)の昼間の視認性を確保する必要があるが、日光による視認性低下の可能性がある。また電子機器40の発光部の光が対向車線から見えるのは対向車OCCの運転手の安全上、脇見運転を誘発する可能性がある。
【0013】
本発明者等は、発光部22周辺に影を作ることで直射日光の影響を受けにくくなり視認性を向上させ、なお且つ、対向車OCCの運転手の目視がしにくく、気がつかないことで脇見運転を防止する電子機器のオーバーハング部構造を案出した。
【0014】
図3に本発明の実施例を示す。電子機器40は、発光部22の発光を放射する窓部22aを前面に備え発光部22の発光に関連する回路基板アセンブリを収納する筐体40aを含む。筐体40aの前面において、窓部22aの一方の側方及び上方から前方に突出するオーバーハング部41、42と、オーバーハング部41、42に隣接し且つ窓部22aが位置する凹部43と、を備える。筐体40aの正面最外面にて、上部オーバーハング部41と側部オーバーハング部42は、水平方向において左右の部分で厚さが薄くなる曲面HCを有している。筐体40aの後面にコーン10への保持手段を備えている。なお、電子機器40のコーン10への設置方法については従来技術と同様であり、説明は省略する。
【0015】
本実施例において、電子機器40の発光部22の発光面のみが、筐体40aの正面最外面すなわちオーバーハング部41、42より低く、発光部22の発光面の上部オーバーハング部41と側部オーバーハング部42と同じ高さとなっており凹部43に対して凹凸構造となっている。この凹凸構造を実現するためにあえて、電子機器40に搭載する基板(回路基板アセンブリ)の部品配置や電子機器40に内蔵される部品を部品高さで分けて配置している。すなわち、部品高の高い部品は発光部22の発光面の上部オーバーハング部41及び側部オーバーハング部42に配置し、部品高の低い部品は、発光部22の発光面近傍に集中して集め、発光部22の発光面(凹部43)と筐体40aの正面最外面(オーバーハング部41、42)の高さに凹凸を設けている。これにより、上部オーバーハング部41と側部オーバーハング部42つまり対向車線側(対向車OCC側)を高く形成できるため、対向車OCCの運転手から目視しにくくなっている。よって、本実施例では、屋外に設置される電子機器の発光部の視認性を確保しつつ、発光部を臨む位置に応じて目視しにくくなる等、目視者の位置により視認性が変化する。
【0016】
本構造を採用することで発光部22の発光面には上部オーバーハング部41の影響で直射日光が当たりにくくなり、日影になりやすいため発光部22の視認性が向上する。また、側部オーバーハング部42が対向車線側となることで、対向車線の運転手から目視しにくくなる。更に、発光部22の発光面内部には、部品高の低い部品を搭載することで、図示しない基板上のLED部品とLED導光レンズまでの距離を短くし、より少ない消費電力でLEDの輝度を確保することも可能となる。
【実施例2】
【0017】
本実施例は、水平方向において左右の部分が厚さが薄くなる曲面HCに代えて、
図4に示すように、筐体40aの正面最外面にて、上部オーバーハング部41と側部オーバーハング部42は、水平方向において左右の部分が厚さが薄くなる共に鉛直方向において上下の部分が厚さが薄くなる曲面HVCを有している以外、実施例1と同一である。
【実施例3】
【0018】
本実施例は、水平方向において左右の部分が厚さが薄くなる曲面HCに代えて、
図5に示すように、筐体40aの正面最外面にて、上部オーバーハング部41と側部オーバーハング部42は、水平方向及び鉛直方向において厚さが一定な平面PLを有している以外、実施例1と同一である。
【0019】
以上より、以上の実施例により、
1.発光部22の発光面に上部オーバーハング部41があることで直射日光が当たりにくくなり、発光部22の視認性が向上する。発光部の発光面を低く、その上部を高くする凹凸構造とすることで直射日光を当たりにくくし、発光部の視認性を向上させる。
2.発光部22の発光面に側部オーバーハング部42があることで、対向車線の運転手から目視しにくく気がつきにくくなる。発光部の発光面を低く、その左部(左側走行の場合)を高くすることで、対向車線の運転手から目視しにくくする。
3.基板上のLED部品とLED導光レンズまでの距離が短くなるため、より少ない消費電力でLEDの輝度を確保することが可能となる。
4.道路工事時に道路上に設置する機器の発光部の視認性に関する構造において、発光部の視認性向上と対向車線からの視認防止のために、厚さの薄い庇構造を形成する場合も考えられるが、厚さの薄い庇構造ではコーンが横転する場合もあるため、庇の強度が懸念される。しかし、本発明により、破損や破損部による怪我の恐れがなくなり、視認性向上の構造において強度を確保できる。
【0020】
いずれの実施例によっても、筐体におけるオーバーハング部の幅や厚さを確保できるので、アンテナ機器や無線通信機器に好適である。
【0021】
以上、いずれの実施例でも長方体の筐体に適用した例を用い説明したが、筐体の角部を面取りしたり、筐体の幅やアスペクト比を変えることにより、様々な形状の筐体を有している電子装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
22…発光部
22a…窓部
40…電子機器
40a…筐体
41…上部オーバーハング部
42…側部オーバーハング部
43…凹部