(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トナーの誘電正接tanθtの、1V、100kHzにおける測定値が0.005〜0.01、前記キャリアの誘電正接tanθcの、1V、100kHzにおける測定値が0.05〜0.2である前記二成分現像剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した潜像を現像装置により現像し、トナー像として可視化することを行っている。このような現像装置として、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像式の現像装置が用いられている。
【0003】
二成分現像式の現像装置としては、現像剤を収容する現像容器と、現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材および第2攪拌搬送部材と、第2攪拌搬送部材から供給される現像剤を担持する現像ローラー(現像剤担持体)と、を備える現像装置が知られている。第1攪拌搬送部材は、現像剤を現像ローラーの軸方向の一方側に搬送し、第2攪拌搬送部材は、現像剤を他方側(一方側とは反対側)に搬送しながら現像ローラーに供給する。現像剤は現像器内の攪拌部で混合搬送され、現像ローラー上に汲み上げられて磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは規制部材で層厚を規制され、磁気ブラシ中のトナーが現像電界により感光体上の静電潜像を顕像する。現像に用いられなかったトナーは現像ローラーから回収され、攪拌部に送られて新たに供給されたトナーと混合搬送されて再び現像に用いられる。
【0004】
上記のような従来の現像装置では、高画像面積の現像に供された現像剤を現像スリーブから分離させ、現像剤搬送部材(スクリュー)へと回収する部分と、新たな現像剤を現像スリーブへと汲み上げ供給する部分が比較的近くに存在するため、分離回収された現像剤が再度現像スリーブへ汲み上げ供給されてしまい、新しいトナーが補給されないまま現像に供されてしまうために画像濃度ムラとなってしまう不具合が生じていた。また、現像剤の少ない部分に新たなトナーが補給されると、補給トナー濃度が局所的に高い部分が発生する。補給トナーはキャリアと十分に混合されておらず帯電量が低いため、補給トナー濃度が高い部分が現像に用いられるとカブリ画像や画像濃度ムラが発生する。
【0005】
そこで、現像装置内の現像剤と補給トナーとを十分に混合する方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、現像剤の供給区画と回収区画とは別に、攪拌させるための迂回搬送区画を設けて攪拌手段によって濃度の低下した回収現像剤と補充されたトナーの混合、分散を改善し、画像濃度の均一化を図った現像装置が開示されている。さらに、現像装置で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることも記載されている。
【0006】
特許文献1の方法によれば、混合、分散性のやや劣るトナーにおいてもトナー濃度(キャリアに対するトナーの重量比)を精度良く検知させることで、現像剤中のトナーの濃度ムラやそれに起因する画像濃度ムラを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の現像装置3a〜3dを備えたカラープリンター100の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、Pd〜Paの順に搬送方向上流側(
図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアン)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0014】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dがそれぞれ配設されており、さらに
図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
【0015】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、トナーコンテナ4a〜4dによりブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置3a〜3dによって感光体ドラム1a〜1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0016】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
【0017】
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0018】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0019】
図2は、カラープリンター100に搭載される本発明の一実施形態に係る現像装置3aの構成を示す側面断面図である。
図3は、現像装置3aの第3搬送室22c、第4搬送室22dの構造を示す平面断面図(
図2のYY′矢視断面図)である。なお、ここでは
図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。また、
図2では現像装置3aを
図1の裏面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は
図1と左右が逆になっている。
【0020】
図2に示すように、現像装置3aは、現像ローラー(現像剤担持体)20と、現像容器21と、規制ブレード25と、5本の攪拌搬送スクリュー42a〜42eとを備えている。現像容器21は、現像装置3aの外郭を構成し、内部は仕切り部23によって第1搬送室22a〜第5搬送室22eに区画されている。現像容器21内にはキャリアおよびトナーからなる二成分現像剤が収容される。また、現像容器21は、現像ローラー20、規制ブレード25、および攪拌搬送スクリュー42a〜42eを回転可能に保持している。
【0021】
現像ローラー20は、固定軸(図示せず)と現像スリーブ20aとを備える。固定軸には、複数の磁極を有するマグネット(図示せず)が固定されるとともに現像スリーブ20aが回転可能に保持される。現像スリーブ20aの近傍には、現像スリーブ20aから所定の距離を隔てて配置され、現像スリーブ20a表面の磁気ブラシを層厚規制する規制ブレード25が設けられている。現像スリーブ20aは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、
図2の矢印方向(反時計回り方向)に回転する。また、現像スリーブ20aには、直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧が印加される。
【0022】
現像電圧を印加された現像スリーブ20aが
図2の反時計回り方向に回転すると、現像スリーブ20aの電位と感光体ドラム1aの露光部の電位との電位差により、現像スリーブ20a表面に担持されたトナーが感光体ドラム1aに供給される。トナーは時計回り方向に回転する感光体ドラム1a上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0023】
攪拌搬送スクリュー42a〜42eは、それぞれ第1搬送室22a〜第5搬送室22e内に設けられる。攪拌搬送スクリュー42a〜42eは現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。
【0024】
図3に示すように、第3搬送室22cと第4搬送室22dとを仕切る仕切り部23の長手方向の一端部(
図3の左端部)には連通部23aが設けられている。また、第1搬送室22aと第2搬送室22bとを仕切る仕切り部23の一端部(
図2の紙面手前側)、第1搬送室22aと第5搬送室22eとを仕切る仕切り部23の一端部(
図2の紙面奥側)にも連通部23aが形成されている。これにより、現像剤が第1搬送室22a〜第5搬送室22eを循環する。そして、第2搬送室22bに配置された攪拌搬送スクリュー42bから現像ローラー20に現像剤が供給され、現像ローラー20上に磁気ブラシが形成される。
【0025】
また、第1搬送室22aの一端部(
図3の左端部)には、現像容器21内にトナーを補給するトナー補給口30が設けられている。トナー補給口30には、トナーコンテナ4a(
図1参照)に連接されたトナー補給経路(図示せず)が接続されている。トナー補給口30から補給されたトナーは第1搬送室22aおよび第2搬送室22b内の現像剤と混合、攪拌されながら現像ローラー20に供給される。なお、トナー補給口30から現像ローラー20までの搬送経路を第1搬送経路A(
図3の白矢印で表示)と称し、第1搬送経路Aの搬送経路長を第1搬送経路長L1と称する。第2搬送室22bは現像ローラー20と対向しているため、第1搬送経路L1は、具体的には第1搬送室22aの長さとなる。
【0026】
一方、現像に用いられなかった現像ローラー20上の現像剤は、現像ローラー20から引き剥がされて第3搬送室22cに回収される。そして、攪拌搬送スクリュー42c、42dが回転すると、第3搬送室22c内の現像剤が一方向(
図3の右から左方向)に搬送され、仕切り部23に設けられた連通部23aを通過して第4搬送室22dに搬送される。そして、第4搬送室22d内の現像剤が逆方向(
図3の左から右方向)に搬送され、連通部23aと反対側の端部に形成された開口部24から第5搬送室22e内に落下する。
【0027】
第5搬送室22e内の現像剤は攪拌搬送スクリュー42eにより一方向(
図2の手前から奥方向)に搬送され、トナー補給口30が形成された第1搬送室22aの一端部に合流する。なお、現像ローラー20からトナー補給口30までの搬送経路を第2搬送経路B(
図2、
図3の黒矢印で表示)と称し、第2搬送経路Bの搬送経路長を第2搬送経路長L2と称する。第2搬送経路L2は、具体的には第3搬送室22c〜第5搬送室22eの長さの合計となる。
【0028】
前述したように、キャリアに担持されたトナーは現像ローラー20上の磁気ブラシ中で動きを制限される(磁気的拘束力を受ける)ため、規制ブレード25(規制部)を通過する際にトナーが受ける物理的ストレスは大きくなる。一方、第1搬送室22a〜第5搬送室22e内(攪拌部)ではトナーが自由に動けるため、トナーが受ける物理的ストレスは小さくなる。そのため、規制部と攪拌部とでトナー粒子−キャリア粒子間の接触距離が異なり、規制部ではトナーおよびキャリアの静電容量が増加する。また、規制部ではトナー表面に存在するトナー外添剤の劣化、変質も発生する。その結果、規制部では攪拌部に比べてトナー自体のイオン化ポテンシャルが低下する。
【0029】
即ち、現像容器22内に存在するトナー(以下、滞留トナーという)が規制部と攪拌部とを循環するとき、トナー粒子−キャリア粒子間の接触距離の変化がキャリアとトナーとの接触面の静電容量の変化をもたらし、静電容量が上昇する規制部では帯電が進行して帯電量が上昇し、静電容量が低下する攪拌部で帯電が緩和されて帯電量が低下する。
【0030】
従って、トナーコンテナ4aから新たに補給されたトナー(以下、補給トナーという)は、キャリアとの間で電子の授受を行うとともに、イオン化ポテンシャルが低下して電子を受け取り易くなっている滞留トナーとの間でも電子の授受を行う。
【0031】
具体的には、現像剤中の滞留トナーの帯電の緩和が進行しつつある第1搬送室22a内でトナー補給口30からトナーが補給されると、補給トナーはキャリアに電子を付与して帯電(正帯電)するが、補給トナーから滞留トナーにも電子が付与される。これにより、滞留トナーの正帯電量が低下し、帯電不足のトナーによるトナー飛散や、逆帯電(負帯電)トナーによる地肌かぶりが発生する。
【0032】
そこで、本実施形態の現像装置3aでは、第2搬送経路長L2を一定長さ以上として滞留トナーの帯電緩和時間を確保することとしている。具体的には、現像ローラー20の軸方向(長手方向)の長さをXとするとき、以下の式(1)
L2≧2X・・・(1)
を満たすように第2搬送経路長L2を決定する。
【0033】
この構成によれば、現像ローラー20から引き剥がされた現像ローラー20上の現像剤は、トナー補給口30の位置まで十分な距離を攪拌されながら搬送される。従って、滞留トナーの帯電緩和時間を確保することができ、帯電不足のトナーによるトナー飛散や、逆帯電(負帯電)トナーによる地肌かぶりの発生を抑制することができる。
【0034】
また、トナー補給口30から現像容器22内に補給された補給トナーが滞留トナーと十分に攪拌されずに現像ローラー20へ供給されると、補給トナーの帯電量が十分に上昇せず、トナー飛散や地肌かぶりが発生する。そこで、第1搬送経路長L1、現像ローラー20の軸方向の長さXが以下の式(2)を満足する必要がある。
L1≧X・・・(2)
【0035】
本発明は、上述したように規制ブレード25(規制部)において現像剤に付与される大きな物理ストレス(トナー粒子−キャリア粒子間の距離低下による静電容量増加)により帯電量が上昇したトナーが、現像ローラー20からトナー補給口30までの第2搬送経路Bを搬送される際の帯電緩和を促進するものである。この帯電緩和には現像剤の電気特性が影響する。現像剤中のトナーおよびキャリアの帯電緩和現象は指数関数的に起こり、指数関数の速度定数である時定数は1/tanδに比例することが知られている。即ち、トナーおよびキャリアのtanδが小さ過ぎると帯電緩和が起こらず、大き過ぎると緩和経路(第2搬送経路B)を延長する必要がなくなる。時定数をτとするとき、帯電量Qが減衰する過程を時間tの関数で示すと以下の式(3)のようになる。
Q=Qmax
*exp(−t/τ) ・・・(3)
【0036】
本発明の現像装置3a〜3dでは、現像容器22内の場所(位置)による物理的ストレスの変化によって現像剤が帯電量の変化を起こしにくい構成とするために、トナーの誘電正接tanθtの、1V、100kHzにおける測定値が0.005〜0.01、キャリアの誘電正接tanθcの、1V、100kHzにおける測定値が0.05〜0.2であるような現像剤を用いることが好ましい。このようなトナーおよびキャリアを用いることで、トナーおよびキャリアが現像容器22内のどの場所においても必要十分な帯電量を保持することができる。
【0037】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、攪拌搬送スクリュー42bから現像ローラー20に現像剤を供給する例について示したが、本発明はこれに限らない。攪拌搬送スクリュー42bと現像ローラー20との間に磁気ローラー等の現像剤担持体をさらに設け、攪拌搬送スクリュー42bから磁気ローラー等に現像剤を供給した後に、磁気ローラー等から現像ローラー20にトナーを供給してもよい。この場合、トナー補給口から磁気ローラーまでの搬送経路が第1搬送経路となり、磁気ローラーからトナー補給口までの搬送経路が第2搬送経路となる。
【0038】
また、本発明は
図1に示したタンデム式のカラープリンター100に限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ等の、トナー補給口30から現像ローラー20まで現像剤を搬送する第1搬送経路Aと、現像ローラー20からトナー補給口30まで現像剤を搬送する第2搬送経路Bと、を含む現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明する。
【実施例】
【0039】
現像ローラー20からトナー補給口30までの第2搬送経路長L2と現像ローラー20の軸方向の長さXとの比率と、トナー帯電量との関係について調査した。試験機として、
図2に示した現像装置3a〜3dが搭載されたカラー複合機(TASKalfa2552ci、京セラドキュメントソリューションズ社製)を用いた。そして、第2搬送経路長L2と現像ローラー20の軸方向の長さXとの比率が3:1(L2=3X)、2:1(L2=2X)である場合(本発明1、2)と、第2搬送経路長L2と現像ローラー20の軸方向の長さXとの比率が1.5:1(L2=1.5X)、1:1(L2=1X)、0.2:X(L2=0.2X)である場合(比較例1〜3)とで、トナーの帯電量分布を比較した。なお、本発明1、2および比較例1〜3において、トナー補給口から現像ローラーまでの第1搬送経路長L1と現像ローラー20の軸方向の長さXとの関係をL1=Xとした。
【0040】
現像剤は、平均粒径が6.5μmの正帯電トナーと、平均粒径が35μmのフェライトキャリアとから成る二成分現像剤を用い、トナーに対するキャリアの割合(重量比、T/C)を8%とした。また、トナーおよびキャリアのtanδ(1V、100kHzにおける測定値)は、それぞれ0.01、0.15であった。現像装置3aへの現像剤の投入量は、第2搬送経路長L2を考慮して、本発明1(L2=3X)で720g、本発明2(L2=2X)で590g、比較例1(L2=1.5X)で520g、比較例2(L2=1X)で450g、比較例3(L2=0.2X)で300gとした。
【0041】
試験方法としては、20℃、65%RHの環境下で印字率1%の文字画像3枚のパターンを500回連続印字した。この状態で、現像ローラー20からトナー補給口30までの第2搬送経路Bでの帯電量変化を実測し、第2搬送経路長L2とトナーの平均帯電量との関係をシミュレートした。その後、印字率30%の原稿を100枚連続印字し、トナーを印字率50%相当で補給したときの帯電量分布の拡がり(Q/S偏差;相対平均偏差)をシミュレートした。
【0042】
トナーの帯電量の測定は、現像剤5mgをネオジム磁石上に固定し、以下の条件で測定を行った。得られた1粒子当たりの電荷量Qと粒子径Dを用いて1粒子毎のQ/Sを計算し、Q/Sの小さい値から順に並べ替え、
図4に示すように、横軸に1粒子当たりの表面積Sの累積値をとり、縦軸に1粒子当たりの帯電量Qの累積値をとってプロットした(
図4の曲線R1)。そして、1粒子毎のQ/Sが一定である理想状態を表す直線をR2とし、R1とR2で囲まれた領域の面積をA、R1とX軸とで囲まれた領域の面積をBとして、R2からのずれ(Q/S偏差)をA+Bに対するAの割合で示した。このQ/S偏差を地肌かぶり・トナー飛散の程度を表す指標として算出した。
【0043】
評価基準は、Q/S偏差が25%未満である場合を○、25%以上30%未満である場合を△、30%以上である場合を×とした。評価結果を平均帯電量、Q/S偏差と併せて表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、第2搬送経路長L2が現像ローラー20の軸方向長さXの2倍以上(L2≧2X)である本発明1、2の現像装置3aでは、それぞれ平均帯電量が26.7μC/g、28.3μC/gであり、第2搬送経路Bでのトナーの帯電が抑制された。また、Q/S偏差がそれぞれ20.3%、21.2であり、地肌かぶりやトナー飛散が抑制されることが確認された。
【0046】
これに対し、第2搬送経路長L2が現像ローラー20の軸方向長さXの2倍未満(L2<2X)である比較例1〜3の現像装置3aでは、それぞれ平均帯電量が31.6μC/g、32.7μC/g、34.2μC/gであり、第2搬送経路Bでトナーの帯電量が大きくなった。また、Q/S偏差がそれぞれ28.7%、33.7%、35.7%となり、地肌かぶりやトナー飛散が発生することが確認された。