(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定時間内に所定回数以上の洗浄を行っても前記付着物検出手段からの前記付着物検出信号が発せられた場合には、警報を行うことを特徴とする請求項3に記載の車両用洗浄システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運転支援システムを搭載する車両には多数の車載センサが搭載されており、これらの車載センサのうち特に光学センサのレンズ面やカバーに付着物が付着した場合には、光学センサの検知能力が低下する虞がある。上記特許文献1に記載の技術では1つの光学センサの洗浄については記載されている。ところが、特許文献1の技術は、光学センサを含む多数の車載センサを洗浄することを意図したものではないため、この技術を、運転支援システムを搭載する車両にそのまま使用することは困難である。
【0007】
すなわち、車載センサは車外及び車内に分散して配置されており、例えばフロントグリル、前方角部、フロントウインドウ内面、側方、後方、後部、リアウインドウ内面等に広く分布されている。このため、全ての車載センサを頻繁に洗浄すると、洗浄液を多量に消費することになる。ウォッシャタンクの容量は限られているため、洗浄液の使用量が多くなると、走行中に洗浄液が不足する事態にもなりかねない。特に、運転支援システムを搭載する車両の場合には、洗浄液が不足すると、車載センサの検出能力が低下する可能性があり、運転支援に支障をきたす虞がある。
【0008】
また、多くの洗浄対象を全て洗浄したい場合には、洗浄対象を順番に洗浄していくことになるが、洗浄を始めてから、最後の洗浄対象の洗浄を終えるまでには、洗浄対象の数にもよるが、数秒から数十秒の時間を要することがある。衝突回避用センサのように緊急度の高いセンサを洗浄する場合には、このような洗浄の遅れは好ましくない。
【0009】
また、特許文献1では使用者が手動で洗浄システムを作動させているが、多数の洗浄対象の全ての汚れ具合を使用者が判断することは困難である。このため、手動で洗浄指令を発する場合には、多くの洗浄対象を洗浄させることになりがちである。そこで、各部の洗浄装置を自動的に作動させるための制御装置を設け、各部の洗浄装置を自動制御することが想定される。この場合にも、例えば長期間駐車していた後の車両の始動時、雨天の悪路走行時に大量の泥はねがあった時等には、多くの洗浄対象に対して一斉に洗浄指令が発せられる場合もある。このような場合には、多くの洗浄対象を順番に洗浄していくことになるので、前述の洗浄に時間を要するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、車両に搭載されている複数の洗浄対象を自動で洗浄可能であって、複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、走行状況や環境状況に応じて各洗浄対象の洗浄の優先順位を適切に設定することができる車両用洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の車両用洗浄システムは、
車両に搭載された光学センサのセンサ面を含む洗浄対象を洗浄する複数の洗浄手段と、前記
複数の洗浄手段を自動で制御可能な制御手段と、
を備える車両用洗浄システムにおいて、
前記制御手段は、前記
複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、車両の走行状況及び/又は環境状況に応じて、前記
複数の洗浄手段を作動する優先順位を制御
し、該優先順位に基づいて優先度の高い洗浄対象から順番に洗浄を行うように制御し、2以上の洗浄対象に対して同時に洗浄液を噴射できる場合には、優先度が高い順に複数の洗浄対象を同時に洗浄するように制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様の車両用洗浄システムは、第1の態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、略同時期に複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、前記優先順位に従って、順次、前記
複数の洗浄手段を作動させることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様の車両用洗浄システムは、第1又は第2の態様の車両用洗浄システムにおいて、
前記車両用洗浄システムは前記洗浄対象における付着状況を検出する付着物検出手段をさらに備え、
前記制御手段は前記付着物検出手段からの付着物検出信号に基づいて前記洗浄要求を判断し、前記
複数の洗浄手段を制御することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様の車両用光学装置洗浄システムは、第3の態様の車両用洗浄システムにおいて、所定時間内に所定回数以上の洗浄を行っても前記付着物検出手段からの前記付着物検出信号が発せられた場合には、警報を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様の車両用洗浄システムは、第1〜4のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、車両の進行方向に応じて前記優先順位を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様の車両用洗浄システムは、第1〜第5のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、天候情報に応じて前記優先順位を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の態様の車両用洗浄システムは、第1〜6のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、車両の走行速度に応じて前記優先順位を制御することを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の態様の車両用洗浄システムは、第1〜7のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は車両の走行経路に応じて前記優先順位を制御することを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の態様の車両用洗浄システムは、第1〜8のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、洗浄手段の動作パターンを制御することを特徴とする。
【0020】
本発明の第10の態様の車両用洗浄システムは、第9の態様の車両用洗浄システムにおいて、前記
複数の洗浄手段は、洗浄対象に流体を噴射する手段を含んでおり、前記動作パターンは、流体の噴射期間と噴射休止期間とを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の第11の態様の車両用洗浄システムは、第1〜10のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記車両は運転支援装置又は自動運転装置が搭載されていることを特徴とする。
本発明の第12の態様の車両用洗浄システムは、
車両に搭載された光学センサのセンサ面を含む洗浄対象を洗浄する複数の洗浄手段と、前記複数の洗浄手段を自動で制御可能な制御手段と、
を備える車両用洗浄システムにおいて、
前記制御手段は、前記複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、天候情報又は車両の走行速度又は車両の走行経路に応じて、前記複数の洗浄手段を作動する優先順位を制御することを特徴とする。
本発明の第13の態様の車両用洗浄システムは、第12の態様の車両用洗浄システムにおいて、前記制御手段は、略同時期に前記複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、前記優先順位に従い順次前記複数の洗浄手段を作動させることを特徴とする。
本発明の第14の態様の車両用洗浄システムは、第12又は第13の態様の車両用洗浄システムにおいて、
前記車両用洗浄システムは前記洗浄対象における付着物の付着状況を検出する付着物検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記付着物検出手段からの付着物検出信号に基づいて前記洗浄要求を判断し、前記複数の洗浄手段を制御することを特徴とする。
本発明の第15の態様の車両用洗浄システムは、第14の態様の車両用洗浄システムにおいて、所定時間内に所定回数以上の洗浄を行っても前記付着物検出手段からの前記付着物検出信号が発せられた場合には、警報を行うことを特徴とする。
本発明の第16の態様の車両用洗浄システムは、第12〜第15のいずれかの態様の車両用洗浄システムは、前記制御手段は、洗浄手段の動作パターンを制御することを特徴とする。
本発明の第17の態様の車両用洗浄システムは、第16の態様の車両用洗浄システムにおいて、前記複数の洗浄手段は、洗浄対象に流体を噴射する手段を含んでおり、前記動作パターンは、流体の噴射期間と噴射休止期間とを含むことを特徴とする。
本発明の第18の態様の車両用洗浄システムは、第12〜第17のいずれかの態様の車両用洗浄システムにおいて、前記車両は運転支援装置又は自動運転装置が搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様の車両用洗浄システムによれば、洗浄手段を自動で制御可能な制御手段を設けることにより、車両に搭載されている複数の洗浄対象(光学センサのセンサ面を含む)を自動で洗浄可能である。また、制御手段は、洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、車両の走行状況及び/又は環境状況に応じて、洗浄手段を作動する優先順位を制御するため、車両の走行状況及び/又は環境状況に応じて常に適切な優先順位に基づいて優先度の高い洗浄対象から順番に洗浄を行うことができる。さらに、自動洗浄により必要な洗浄対象だけが洗浄されているため、車両の洗浄液の消費量を抑えることができる。
また、ウォッシャポンプの容量に余裕があり、2以上の洗浄対象に対して同時に洗浄液を噴射することができる場合には、優先度が高い順に複数の洗浄対象を同時に洗浄することができる。
【0023】
本発明の第2の態様の車両用洗浄システムによれば、略同時期に複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、所定の優先順位に従って、順次、洗浄手段を作動させることができるため、多数の洗浄要求が重なったような場合でも、常に、優先度の高い洗浄対象は速やかに洗浄することができる。このため、特に運転支援システムを搭載した車両においては、運転支援に必要となる光学センサ等における付着物に起因した検知能力の低下を抑制することができるので、運転支援への影響をも抑制することができる。
【0024】
本発明の第3の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は付着物検出手段からの付着物検出信号に基づいて洗浄要求を判断し、洗浄手段を制御するため、必要な洗浄手段だけを、必要な洗浄度合いで作動させることができる。これにより、光学センサ等の洗浄対象に付着物がない状態(光学センサ等が好適に使用できる状態)を保ちながら、洗浄液の消費を低減することができる。
【0025】
本発明の第4の態様の車両用洗浄システムによれば、所定時間内に所定回数以上の洗浄を行っても付着物検出手段からの付着物検出信号が発せられた場合には、警報が報知されるので、運転者はこの警報により、特定の洗浄対象を手動で洗浄する必要があることを知ることができる。
【0026】
本発明の第5の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は車両の進行方向に応じて車両の各洗浄対象の洗浄を必要とする優先順位を制御するので、車両の進行方向に関わらず、常に適切な優先順位に基づいて洗浄対象を洗浄することができる。
【0027】
本発明の第6の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は、天候情報に応じて車両の各洗浄対象の洗浄を必要とする優先順位を制御するため、天候に関わらず、常に適切な優先順位に基づいて洗浄対象を洗浄することができる。
【0028】
本発明の第7の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は車両の走行速度に応じて車両の各洗浄対象の洗浄を必要とする優先順位を制御することにより、車両の走行速度に関わらず、常に適切な優先順位に基づいて洗浄対象を洗浄することができる。
【0029】
本発明の第8の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は車両の走行経路に応じて車両の各洗浄対象の洗浄を必要とする優先順位を制御することにより、車両の走行経路に関わらず、常に適切な優先順位に基づいて洗浄対象を洗浄することができる。
【0030】
本発明の第9の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は洗浄手段の動作パターンを制御することができるため、洗浄の度合いを適切に設定することが可能である。そのため、洗浄対象の付着物を好適に除去することができる。
【0031】
本発明の第10の態様の車両用洗浄システムによれば、洗浄手段の動作パターンは、流体(洗浄液や空気)の噴射期間と噴射休止期間とを含むため、流体の噴射期間、及び、休止期間を組み合わせて、様々な洗浄パターンを設定することができるので、必要とされる洗浄度合いに応じた適切な洗浄を行うことができる。
【0032】
本発明の第11の態様の車両用洗浄システムによれば、運転支援装置又は自動運転装置に適した車両用光学装置洗浄システムを提供することができる。すなわち、車両の走行状況及び/又は環境状況に応じて、洗浄手段を作動する優先順位を制御することにより、常に必要性の高い光学センサ等が付着物により検知能力が低下することを抑制し、各センサの検知能力の低下に起因して自動運転が異常終了することを避けることができる。
本発明の第12の態様の車両用洗浄システムによれば、洗浄手段を自動で制御可能な制御手段を設けることにより、車両に搭載されている複数の洗浄対象(光学センサのセンサ面を含む)を自動で洗浄可能である。また、制御手段は、洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、天候情報又は車両の走行速度又は車両の走行経路に応じて、洗浄手段を作動する優先順位を制御するため、天候情報又は車両の走行速度又は車両の走行経路に応じて常に適切な優先順位に基づいて優先度の高い洗浄対象から順番に洗浄を行うことができる。さらに、自動洗浄により必要な洗浄対象だけが洗浄されているため、車両の洗浄液の消費量を抑えることができる。
本発明の第13の態様の車両用洗浄システムによれば、略同時期に複数の洗浄手段に対する洗浄要求があった場合には、所定の優先順位に従って、順次、洗浄手段を作動させることができるため、多数の洗浄要求が重なったような場合でも、常に、優先度の高い洗浄対象は速やかに洗浄することができる。このため、特に運転支援システムを搭載した車両においては、運転支援に必要となる光学センサ等における付着物に起因した検知能力の低下を抑制することができるので、運転支援への影響をも抑制することができる。
本発明の第14の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は付着物検出手段からの付着物検出信号に基づいて洗浄要求を判断し、洗浄手段を制御するため、必要な洗浄手段だけを、必要な洗浄度合いで作動させることができる。これにより、光学センサ等の洗浄対象に付着物がない状態(光学センサ等が好適に使用できる状態)を保ちながら、洗浄液の消費を低減することができる。
本発明の第15の態様の車両用洗浄システムによれば、所定時間内に所定回数以上の洗浄を行っても付着物検出手段からの付着物検出信号が発せられた場合には、警報が報知されるので、運転者はこの警報により、特定の洗浄対象を手動で洗浄する必要があることを知ることができる。
本発明の第16の態様の車両用洗浄システムによれば、制御手段は洗浄手段の動作パターンを制御することができるため、洗浄の度合いを適切に設定することが可能である。そのため、洗浄対象の付着物を好適に除去することができる。
本発明の第17の態様の車両用洗浄システムによれば、洗浄手段の動作パターンは、流体(洗浄液や空気)の噴射期間と噴射休止期間とを含むため、流体の噴射期間、及び、休止期間を組み合わせて、様々な洗浄パターンを設定することができるので、必要とされる洗浄度合いに応じた適切な洗浄を行うことができる。
本発明の第18の態様の車両用洗浄システムによれば、運転支援装置又は自動運転装置に適した車両用光学装置洗浄システムを提供することができる。すなわち、車両の走行状況及び/又は環境状況に応じて、洗浄手段を作動する優先順位を制御することにより、常に必要性の高い光学センサ等が付着物により検知能力が低下することを抑制し、各センサの検知能力の低下に起因して自動運転が異常終了することを避けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る車両用洗浄システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例として自動運転システムを有する車両を例にとって説明するものであって、本発明をこの実施形態に示したものに特定することを意図するものではない。本発明は、自動運転システムを備えていなくても、例えば光学センサ等の洗浄対象を備えている車両等、特許請求の範囲に含まれる車両洗浄システムにも等しく適用し得るものである。
【0035】
最初に、本発明の理解のために、自動運転のレベルについて説明する。米国のSAEインターナショナル(モビリティ専門家を会員とする米国の非営利団体)が定めた「SAE J3016」によれば、自動運転レベルは以下のように分類されている。
・レベル0(運転自動化なし)
・レベル1(運転支援)
・レベル2(部分運転自動化)
・レベル3(条件付き自動運転)
・レベル4(高度自動運転)
・レベル5(完全自動運転)
【0036】
レベル0の車両は、運転者が全ての運転操作を実施する必要がある車両であり、運転自動化システムが付いていない一般の車両が該当する。レベル1の車両は、運転自動化システムが車両のハンドル操作及び加速・減速のいずれかの制御を行うものであり、他の操作は運転者が行うものである。このレベルの車両は、運転者が周囲の現象に応じて適宜に車両を制御し、自動運転システムの操作を監視している必要がある。これにはアダプティブ・クルーズ・コントロール機能(定速走行・車間距離制御装置)を有する車両が該当する。レベル2の車両は、運転自動化システムが車両のハンドル操作及び加速・減速の両方の制御を行うものであり、他の操作は運転者が行うものである。このレベルの車両でも、運転者が周囲の状況に応じて車両を制御し、自動運転システムの操作を監視している必要がある。
【0037】
レベル3〜レベル5までの車両がいわゆる自動運転システムを備えた車両に分類されるものである。レベル3の車両は、運転自動化システムが周囲の状況に対応して全ての運転操作を行うが、緊急時には運転者の介入が必要なものである。レベル4の車両は、運転自動化システムが周囲の状況に対応して全ての運転操作を行うものであり、運転者の介入は期待されていないものである。このレベル4の車両では、周囲の環境にもよるが、一応の無人運転が可能となる。レベル5の車両は、運転自動化システムが周囲の状況に対応して無条件で全ての運転操作を行うものであり、完全な無人運転が可能となる。
【0038】
ここで、実施形態の車両における車両用洗浄システムを、
図1を用いて説明する。なお、
図1は実施形態の車両用洗浄システムの模式平面図である。
【0039】
図1において、車両用洗浄システム1は、フロント制御部2及びリア制御部3からなる。まず、フロント制御部2の洗浄手段について説明する。
【0040】
車両のフロントウインドウ20の上部内側にフロントカメラ21が配置されている。フロントカメラ21は、車室内のフロントウインドウ20の上方、ルームミラーの裏に車両の前方に向けて設置され、フロントウインドウ20のガラス越しに前方を撮影する。フロントカメラ21によって撮影された画像は、フロントカメラ21内に内蔵された画像処理用プロセッサにより、あるいは、ADAS(先進運転支援システム:Advanced Driver Assistance System)−ECU(エレクトロニックコントロールユニット:Electronic Control Unit)に送られた後に画像認識処理が行われる。なお、フロントカメラ21をルームミラーの裏に設置するとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フロントカメラ21がフロントウインドウ20の車室内側の上方に直接取付いていてもよい。また、実施形態では、フロントカメラ21を1つ設けたが、役割に応じて2つ以上備えていてもよい。
【0041】
フロントカメラ21による物体の検出は、物体の識別が可能であり、車両や歩行者などを他の物体と区別して検出することができ、また、道路標識や路面上のレーンマークの認識も可能である。
【0042】
フロントカメラ21としては、単眼カメラが多く用いられ、物体の検出の目的に利用される。ただし、フロントカメラ21は単願カメラに限定されるものではなく、複数(例えば2台)のカメラ機能を備える所謂ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラにて撮影して視差から物体までの距離を推測するようにしてもよい。
【0043】
カメラのレンズ又はレンズの前方を覆っている透光性のカバー(センサ面又は撮像面)等が泥等で汚れた場合には、画像に影が映り込むことになる。また、降雨時には水滴が付着することも想定される。この結果、画像が不明瞭になると共に、画像解析に支障をきたすことになる。このため、カメラのレンズ又はレンズの前方を覆っている透光性のカバーを洗浄する要請がある。
【0044】
そこで、フロントカメラ21の前面に配置されているフロントウインドウ20を洗浄するために、ワイパ40及びウォッシャノズル40aがフロントウインドウ20の前方下部に設けられている。ウォッシャノズル40aから洗浄液を噴射すると共に、ワイパ40により、フロントカメラ21の前面を含むフロントウインドウ20の付着物を払拭することができる。
【0045】
フロントグリル25の前面側には、中央部にライダ(LIDAR;Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging)26、フロントグリルカメラ27及び長距離用ミリ波レーダ28が設けられ、両端部には中距離用ミリ波レーダ29が設けられ、さらに、一対のヘッドライト30が設けられている。
【0046】
ライダ26は、例えば赤外線のレーザ光をパルス状に照射し、物体に反射されて帰ってくるまでの時間から距離を計測するセンサであり、細く絞った赤外線のレーザ光を可動ミラーによって方向を変えてスキャンすることで物体の方位も検出することができる。
【0047】
ライダ26は、赤外線のレーザ光を用いているため、電波の反射率が低い物体も検出でき、特に段ボール箱、木材、発泡スチロールなどの路上散乱物として走行の妨げになる物体も検出可能である。さらに、ライダ26は、高い空間分解能で距離と方位を検出できるため、物体検出だけでなく、それらの間のフリースペースの検出も可能である。
【0048】
ライダ26は例えば赤外線等の光を用いているセンサであるため、センサ面に汚れが付着すると検知能力が低下するおそれがある。このため、ライダ26のセンサ面を洗浄する要請がある。
【0049】
実施形態の車両では、ライダ26のセンサ面の近傍に、ライダ26のセンサ面を洗浄するために、センサ面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル26a及びセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル26bが設けられている。
【0050】
電波センサとしてのミリ波レーダ28、29は、ミリ波と呼ばれる非常に波長の短い電波を照射し、物体に反射されて帰ってくる電波を検出することにより、物体までの距離と方向を検出することができる。
【0051】
ミリ波レーダ28、29は、自らの発する電波を利用して検出しているため、光源や天候に左右されず良好な検出特性を維持でき、物体までの距離も正確に計測できる。特に長距離用ミリ波レーダ28によれば、激しい雨、濃霧や降雪時を走行中でも、前方車両を正確に検知することができる。
【0052】
ミリ波レーダ28、29は電波を利用しているため、検知面に汚れや水滴等の付着物が付着したとしても、電波を通す限りは検出に支障がない。このため、検出面に対して洗浄手段を設ける必要性は低い。ただし、必要に応じてウォッシャノズルやエアーノズル等の洗浄手段を設けておくことも可能である。
【0053】
フロントグリル25の中央部にはフロントグリルカメラ27が設けられている。フロントグリルカメラ27は、物体の識別が可能であり、車両や歩行者などを他の物体と区別して検出することができ、また、道路標識や路面上のレーンマークの認識も可能である。さらに、ラウンドビュー用としても用いることができる。フロントグリルカメラ27のレンズ又はレンズの前方を覆っている透光性のカバー(センサ面又は撮像面)等が泥等で汚れた場合には、画像に影が映り込むことになる。また、降雨時には水滴が付着することも想定される。この結果、画像が不明瞭になると共に、画像解析に支障をきたすことになる。このため、フロントグリルカメラ27のレンズ又はレンズの前方を覆っている透光性のカバーを洗浄する要請がある。
【0054】
そこで、フロントグリルカメラ27のレンズ又はカバーを洗浄するために、フロントグリルカメラ27のレンズ又はカバーに向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル27a、及び、フロントグリルカメラ27のレンズ又はカバーに向けてエアーを噴射するエアーノズル27bが設けられている。
【0055】
ヘッドライト30は、フロントグリル25の前面側の左右両側に設けられており、夜間や雨天時に車両前方を照らす。ヘッドライト30はフロントグリル25の両端部付近に設けられており、例えば悪路走行時や、降雨時には泥はね等で汚れると、光量不足となるおそれがあるため、洗浄手段を設ける要請がある。
【0056】
実施形態の車両では、ヘッドライト30の近傍には、ヘッドライト30の照射面を洗浄するために、照射面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル30aが設けられている。なお、ヘッドライト30だけでなく、車幅灯、ウインカー等の照明に対して、ウォッシャノズルを設けることも可能である。
【0057】
車両のドアミラー35には後方を撮影するドアミラーカメラ36が設けられており、運転者に対して車内に撮影した画像を表示することができる。また、ドアミラーの下方にはドアミラー下方カメラ37を設けることにより、周囲の車両や歩行者等を検出することができる。
【0058】
ドアミラーカメラ36及びドアミラー下方カメラ37に対しても、洗浄手段を設けることが想定されるが、実施形態の車両では洗浄手段を設けていない。ただし、必要に応じてエアーノズル等の洗浄手段を設けておくことも可能である。
【0059】
さらに、必要な場合には、ドアミラーやフェンダーミラーの反射面に対して、エアーノズル等の洗浄手段を設けることも可能である。例えば、水滴などによりミラーが見にくい場合には、エアーノズルによりエアーを噴射することにより、ミラーの反射面の水滴を吹き飛ばすことができる。
【0060】
また、車両の側方には、側方ライダ38が設けられており、側方の車両や歩行者等を検出することができる。ライダは例えば赤外線等の光を用いているセンサであるため、センサ面に汚れが付着すると検知能力が低下するおそれがある。このため、側方ライダ38のセンサ面を洗浄する要請がある。
【0061】
実施形態の車両では、側方ライダ38のセンサ面の近傍に、側方ライダ38のセンサ面を洗浄するために、センサ面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル38aやセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル(図示省略)が設けられている。
【0062】
次に、リア制御部3の洗浄手段について説明する。
【0063】
リアウインドウ45の中央上面の内側にはリアカメラ46が設けられている。リアカメラ46は、いわゆるインナーミラー用のカメラであり、例えばバックミラーの位置にリアカメラ46の映像を運転者に対して映し出すことにより、バックミラーの替わりに利用される。さらに、自動運転システムにおいては、リアカメラ46の映像を画像解析することにより、イメージセンサとして用いることも可能である。また、リアカメラ46には、ラウンドビュー用のカメラとしての機能を持たせることもできる。
【0064】
実施形態の車両では、リアカメラ46の撮像面側に配置されているリアウインドウ45を洗浄するために、リアウインドウ45の上方中央にはウォッシャノズル46aが設けられ、リアウインドウ45の下方中央にはリアワイパ47が設けられている。ウォッシャノズル46aから洗浄液を噴射すると共に、リアワイパ47により、リアカメラ46の撮像面側を含むリアウインドウ45の汚れを払拭することができる。
【0065】
また、リアカメラ46は、リアバンパ50の中央部に設けてもよい。この場合、リアカメラ46のレンズ面又はカバー面を洗浄するために、レンズ面又はカバー面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル及びレンズ面又はカバー面に向けてエアーを噴射するエアーノズルを設けてもよい。
【0066】
リアバンパ50の中央には、ライダ52が設けられている。ライダ52は例えば赤外線等の光を用いているセンサであるため、センサ面に汚れ等の付着物が付着すると検出能力が低下するおそれがある。
【0067】
そこで、実施形態の車両では、ライダ52のセンサ面の近傍に、ライダ52のセンサ面を洗浄するために、センサ面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル52a及びセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル52bが設けられている。
【0068】
なお、実施形態の車両では、後部側方の車両や歩行者等を検出するため、後部側面にも側方ライダ56が設けられている。この側方ライダ56のセンサ面の近傍にも、側方ライダ56のセンサ面を洗浄するために、センサ面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル56aやセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル(図示省略)が設けられている。
【0069】
また、リアバンパ50の中央には、リアカメラ53が設けられている。リアカメラ53は、後進時に運転席のモニターに表示するための車両後方の画像を撮影するために用いられる。なお、自動運転システムにおいては、リアカメラ46の映像を画像解析することにより、イメージセンサとして用いることも可能である。
【0070】
実施形態の車両では、リアカメラ53の近傍に、リアカメラ53のレンズ面又はカバー面を洗浄するために、レンズ面又はカバー面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズル53a及びレンズ面又はカバー面に向けてエアーを噴射するエアーノズル53bが設けられている。
【0071】
リアバンパ50の両端部付近、又は、リアフェンダーの後方寄りには、中距離用ミリ波レーダ55が設けられており、主として後方から側方にかけての車両の検出、又は、車間距離の測定に用いられる。
【0072】
ミリ波レーダは電波を利用しているため、検知面に汚れが付着したとしても、電波を通す限りは検出に支障がない。このため、検出面に対して洗浄手段を設ける必要性は低い。そこで、実施形態では、中距離用ミリ波レーダ55には洗浄手段を設けていない。ただし、必要に応じてウォッシャノズルやエアーノズル等の洗浄手段を設けておくことも可能である。
【0073】
また、ブレーキランプや後方のウインカーや後方の車幅灯に対しても、必要に応じてウォッシャノズルやエアーノズル等の洗浄手段を設けておくことも可能である。例えば、雨天に泥跳ねによりブレーキランプが汚れた場合には、エアーノズルからエアーを噴射することにより、雨水と共に泥汚れを吹き飛ばすことができる。
【0074】
次にウォッシャ装置について説明する。車両のエンジンルーム内には貯蔵手段としてのウォッシャタンク12が設けられており、このウォッシャタンク12にはウォッシャタンク12内の洗浄液の残量を検知するためのレベルセンサ13が設けられている。ウォッシャタンク12には、あるいは、ウォッシャタンク12の近傍には、フロント用マルチバルブ16にウォッシャタンク12の洗浄液を供給するための加圧手段として、フロント用ウォッシャポンプ14が設けられている。フロント用ウォッシャポンプ14とフロント用マルチバルブ16との間は導通手段としてのホースで接続されている。
【0075】
また、同様に、ウォッシャタンク12には、あるいは、ウォッシャタンク12の近傍には、加圧手段としてのリア用マルチバルブ17にウォッシャタンク12の洗浄液を供給するためのリア用ウォッシャポンプ15が設けられている。リア用ウォッシャポンプ15とリア用マルチバルブ17との間は導通手段としてのホースで接続されている。
【0076】
フロント用マルチバルブ16には、ウォッシャタンク12からフロント用ウォッシャポンプ14によりホースを介して洗浄液が供給されている。フロント用マルチバルブ16の出力側にはそれぞれ個別に開閉制御可能な複数のバルブが設けられており、各バルブの出力側には、フロントグリル25の前面側の中央部に設けられたライダ26用のウォッシャノズル26a、フロントグリル25の前面側の中央部に設けられたフロントグリルカメラ27用のウォッシャノズル27a、左右両側のヘッドライト30用のウォッシャノズル30a、側方ライダ38のセンサ面を洗浄するためのウォッシャノズル38a、及び、フロントウインドウの前方下部に設けられているウォッシャノズル40aがそれぞれ個別に導通手段としてのホースを介して接続されている。洗浄液は加圧された状態で、ウォッシャノズル26a、ウォッシャノズル27a、ウォッシャノズル30a、ウォッシャノズル38a、及び、ウォッシャノズル40aに供給されるため、バルブが開制御された時には、対応するウォッシャノズル26a、27a、30a、38a、40aから洗浄液が洗浄対象へ噴射される。
【0077】
リア用マルチバルブ17には、ウォッシャタンク12からリア用ウォッシャポンプ15によりホースを介して洗浄液が供給されている。リア用マルチバルブ17の出力側にはそれぞれ個別に開閉制御可能な複数のバルブが設けられており、各バルブの出力側には、リアウインドウ45の上方中央に設けられたウォッシャノズル46a、ライダ52のセンサ面を洗浄するためのウォッシャノズル52a、リアカメラ53のレンズ面又はカバー面を洗浄するためのウォッシャノズル53a、及び、側方ライダ56のセンサ面を洗浄するためのウォッシャノズル56aがそれぞれ個別に導通手段としてのホースを介して接続されている。洗浄液は加圧された状態で各ウォッシャノズル46a、52a、53a、56aに供給されるため、バルブが開制御された時には、対応するウォッシャノズル46a、52a、53a、56aから洗浄液が洗浄対象へ噴射される。
【0078】
次に、エアーノズルについて説明する。フロント制御部2において、フロントグリル25の前面側の中央部に設けられたライダ26のセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル26b、フロントグリル25の前面側の中央部に設けられたフロントグリルカメラ27のレンズ又はカバーに向けてエアーを噴射するエアーノズル27b、及び、側方ライダ38のセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル(図示省略)は共に、エアーアクチュエータエアポンプ41にエアホースを介して接続されている。エアーアクチュエータエアポンプ41にて加圧されたエアーが、エアホースを介して、各エアーノズル26b、27b等に供給される。
【0079】
リア制御部3において、リアバンパ50の中央に設けられたライダ52のセンサ面に向けてエアーを噴射するエアーノズル52b、リアバンパ50の中央に設けられたリアカメラ53のレンズ面又はカバー面に向けてエアーを噴射するエアーノズル53b、及び、側方ライダ56のセンサ面を洗浄するためのエアーノズル(図示省略)は共に、エアーアクチュエータエアポンプ49にエアホースを介して接続されている。エアーアクチュエータエアポンプ49にて加圧されたエアーが、エアホースを介して、各エアーノズル52b、53b等に供給される。
【0080】
次に制御部について説明する。各車載センサ(フロントカメラ21やライダ26等)からの信号は運転支援用制御装置としてのADAS−ECU10に送られ、ADAS−ECU10において自動運転システムのために利用される。また、ADAS−ECU10では各車載センサから送られてきた信号を利用して、センサ面等の洗浄対象の洗浄の必要性を判定することができる。
【0081】
例えばライダのセンサ面に汚れが付着すると、汚れの付着している方位についてのみライダの出力信号が汚れの量に応じて減衰する特性がある。この特性を分析することにより、ライダのセンサ面に所定の汚れが付着しているかどうかを判定することができる。また、例えばカメラのセンサ面(カメラの撮像面)に汚れが付着すると、汚れが付着した部分だけに固定された特定の影が映ることになる。この特定の影のパターンを分析することにより、カメラのセンサ面に所定の汚れが付着しているかどうかを判定することができる。このように各車載センサの出力信号を分析することにより、その車載センサのセンサ面に汚れ等の付着物が付着したか否かを判定することができる。つまり、各カメラ及び各ライダが本発明の付着物検出部に対応している。
【0082】
なお、洗浄対象となるセンサ面の汚れ等の付着物を検知するための別途付着物検出部としての付着物検知手段(図示省略)を設けることも可能である。例えば、ヘッドライトの汚れを検知するために別途の付着物検知手段を設けることもできる。この場合には、付着物検知手段の検知信号をADAS−ECU10に送信するようにしておく。
【0083】
また、ヘッドライトの照射範囲及び照度(輝度)をフロントカメラ21の撮像画像から判定して、ヘッドライトに汚れが付着したことを判定することも可能である。この場合には、ヘッドライトの付着物検出手段を別途設ける必要がなくなる。
【0084】
ADAS−ECU10から出力された各洗浄手段への洗浄指令は、フロントワイパECU11及びリアワイパECU48へ送信される。すなわち、フロント制御部2における洗浄制御はフロントワイパECU11により行われ、リア制御部3における洗浄制御はリアワイパECU48により行われる。
【0085】
レベルセンサ13の検出信号はフロントワイパECU11に入力されている。また、フロントワイパECU11は、フロント用ウォッシャポンプ14、リア用ウォッシャポンプ15、及び、フロント用マルチバルブ16を駆動制御可能に信号線又は電源線により接続されている。例えば、フロント用マルチバルブ16の複数のバルブは、フロントワイパECU11により個別に開閉制御可能となっている。また、フロントワイパECU11は、フロント用ウォッシャポンプ14及びリア用ウォッシャポンプ15の駆動及び停止を制御可能である。さらに、フロントワイパECU11は、フロント制御部2に対応する各エアーノズル26b、27b等を個別に制御可能に、信号線又は電源線により接続されている。加えて、フロントワイパECU11は、ワイパ40の制御も行うことにより、フロントウインドウの前方下部に設けられているウォッシャノズル40a及びワイパ40を用いて、フロントウインドウ20を払拭して洗浄することができる。
【0086】
リアワイパECU48は、リア用マルチバルブ17を駆動制御可能に信号線又は電源線により接続されている。すなわち、リア用マルチバルブ17の複数のバルブは、リアワイパECU48により個別に開閉制御可能となっている。また、リアワイパECU48は、リア制御部3に対応する各エアーノズル52b、53b等を個別に制御可能に、信号線又は電源線により接続されている。加えて、リアワイパECU48は、リアワイパ47の制御も行うことにより、リアウインドウ45の上方中央に設けられたウォッシャノズル46a及びリアワイパ47を用いて、リアウインドウ45を払拭して洗浄することができる。
【0087】
なお、
図1には図示されていない洗浄手段を備えている場合には、フロント制御部2に対応する洗浄手段はフロントワイパECU11により制御され、リア制御部3に対応する洗浄手段はリアワイパECU48により制御される。
【0088】
実施形態の車両では、フロント制御部2の制御をフロントワイパECU11で行い、リア制御部3の制御をリアワイパECU48で行うと説明したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、フロント制御部2の制御をフロントワイパECU11及びADAS−ECU10とは別の制御手段で行ってもよく、同じく、リア制御部3の制御をリアワイパECU48及びADAS−ECU10とは別の制御手段で行ってもよい。
【0089】
また、実施形態の車両用洗浄システム1は、フロント制御部2及びリア制御部3の2つの制御部からなるものとして説明したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、車両用洗浄システム1は、前方、側方、後方の3つの制御部から構成することもできるし、4つ以上の制御部から構成するようにしてもよい。また、実施形態のリア制御部3は車両後方に配置されたが、これに限定されることもない。例えば、リア制御部3を車両の中央の上部(鉛直方向上側)に配置してもよい。
【0090】
また、実施形態の車両用洗浄システム1は、ウォッシャタンク12を1個設けるものとして説明したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、ウォッシャタンク12を制御部(フロント制御部2及びリア制御部3)の配置に合わせて分散配置することも可能である。具体的には、フロント制御部2の近傍にウォッシャタンクを1個設け、さらに、リア制御部3の近傍にウォッシャタンクを1個設けて、合計2個のウォッシャタンクを設けることも可能である。これにより、車両の前後方向を接続するホースを省略することが可能となると共に、ウォッシャタンクの容量を増大させることが可能である。また、複数個にウォッシャタンクを備える場合、各ウォッシャタンク同士をホースにて接続し、どちらか一方のウォッシャタンクの容量が減った際に、他方のウォッシャタンクから一方のウォッシャタンクに洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0091】
また、実施形態では、フロントワイパECU11がリア用ウォッシャポンプ15の駆動及び停止を制御するものとして説明したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、リアワイパECU48がリア用ウォッシャポンプ15の駆動及び停止を制御するようにしてもよい。この場合には、リアワイパECU48からリア用ウォッシャポンプ15まで信号線又は電源線で接続する必要があるが、例えば、上述のようにウォッシャタンク12を分散配置した場合には、配線をより短くすることが可能である。
【0092】
また、実施形態では、ADAS−ECU10において各センサから送られてきた信号を利用して、センサ面等の洗浄対象の洗浄の必要性を判定しているが、本願発明はこれに特定されるものではなく、例えばフロントワイパECU11及びリアワイパECU48が洗浄の必要性の判定に係る演算の一部又は全部を行うようにすることもできる。例えば、フロントワイパECU11及びリアワイパECU48が洗浄の必要性の判定に係る演算の一部を行うようにすると、その分だけADAS−ECU10の演算負荷が軽減される。各ECUの演算負荷の状況に応じて、洗浄の必要性の判定に係る演算の負荷を、各ECUに割り当てるようにすることができる。
【0093】
また、実施形態では、ADAS−ECU10において各センサから送られてきた信号を利用して、センサ面等の洗浄対象の洗浄の必要性を判定しているが、本願発明はこれに特定されるものではなく、例えば洗浄の必要性を判定するのに併せて、汚れの程度を判定するようにすることも可能である。この場合、例えば汚れの程度に応じて洗浄の程度を調整することもできる。
【0094】
センサ面等の洗浄対象の洗浄の時期としては、
(イ)付着物検知手段により検知信号が発せられ、この検知信号に基づきADAS−ECU10において洗浄対象が判定され、ADAS−ECU10からフロントワイパECU11及びリアワイパECU48へ各洗浄手段への洗浄指令が送信されたタイミング、
だけに限られるものではない。
【0095】
ADAS−ECU10においては、走行状況及び環境状況等の情報を把握することができるので、これらの情報を用いることにより、さらに、センサ面等の洗浄対象の洗浄の時期を自動的に決定することができる。走行状況としては、車両のステータス(洗浄液の残量、イグニッションオンとオフの状態、車種等の情報等)、走行方向、走行速度、走行経路(市街地や高速道路等の経路の区分、渋滞情報等)等の情報が含まれる。環境状況としては、天候、気温、路面の状況等の情報が含まれる。
【0096】
そこで、ADAS−ECU10において走行状況及び環境状況等に基づいて自動的に決定されるセンサ面等の洗浄対象の洗浄の時期としては、特に限定されるものではないが、例えば、
(ロ)イグニッションオフからオンに切り替えられた時、
(ハ)降雨を検出した時、
(ニ)所定速度で所定時間以上の走行が継続した時、
(ホ)走行経路が所定の経路であると判断した時、
(ヘ)ADAS−ECU10にて緊急事態を検出した時、
等が挙げられる。
【0097】
この場合、(イ)〜(ヘ)の洗浄指令が同時に発せられる場合がある。また、例えば長期間駐車していた後の車両の始動時、雨天の悪路走行時に大量の泥はねがあった時等には、多くの洗浄対象に対して一斉に洗浄指令が発せられる場合もある。このような場合には、多くの洗浄対象を順番に洗浄していくことになる。ところが、多くの洗浄対象を全て洗浄したい場合には、洗浄対象を順番に洗浄していくことになるが、洗浄を始めてから、最後の洗浄対象の洗浄を終えるまでには、洗浄対象の数にもよるが、数秒から数十秒の時間を要することがある。そのため、衝突回避用センサのように緊急度の高いセンサを洗浄する場合には、このような洗浄の遅れは好ましくない。
【0098】
そこで、実施形態では、走行状況や環境状況に応じて各洗浄対象の洗浄の優先順位を適切に設定した。すなわち、走行状況や環境状況に応じて各洗浄対象に優先順位を設定し、優先順位に従って各洗浄対象に対して洗浄指令を発するようにした。この場合、複数の洗浄対象に対して、同一の優先順位を付してもよい。また、優先順位に従って各洗浄対象に対して洗浄指令を発する具体例としては、全ての洗浄対象に対して洗浄指令を発するものだけに限られるものではなく、例えば、洗浄液の残量が所定量よりも少ない場合には、優先順位が低い洗浄対象への洗浄指令を中止することもできる。
【0099】
実施形態における具体的な実施例として、実施例1及び実施例2を挙げて説明する。
【0100】
図2を参照して、実施例1について説明する。なお、
図2は、実施例1の運転車両の一般道前進時の洗浄手段優先順位を示すブロック図である。
【0101】
一般道において車両が前進走行時には、各洗浄対象又は各洗浄装置の優先順位は優先度が高い順に次の(1−1)〜(1−8)のとおりである。
(1−1)フロントグリル中央のライダ26(61)
(1−2)フロントグリル中央のカメラ27(62)
(1−3)フロントガラスウォッシャノズル40a(63)
(1−4)側方のライダ38(64)
(1−5)リアフェンダーのライダ56(65)
(1−6)リアのライダ52(66)
(1−7)リアカメラ46(67)
(1−8)リアカメラ53(68)
【0102】
フロントグリル中央のライダ26は主に、前方の障害物の検出、及び、急な飛び出しの検出等に用いられるため、一般道を前進走行している際には、車両制御の観点からも安全の観点からも最も優先度が最も高い。
【0103】
フロントグリル中央のカメラ27は、前方の障害物の検出、及び、車線や標識の検出等に用いられるため、一般道を前進走行している際には、車両制御の観点から優先度が二番目に高い。
【0104】
フロントガラスウォッシャノズル40aは、ワイパ40と共に、運転者の視界の確保、及び、設置されている場合には、フロントウインドウの上方のフロントカメラ21の前方の付着物の洗浄に用いられるため、3番目に優先度が高い。
【0105】
側方のライダ38は、進路変更時の側方の障害物の検出等に必要となるため、4番目に優先度が高く設定されている。
【0106】
リアフェンダーのライダ56は、後方から側方にかけての障害物の検出等に必要となるため、5番目に優先度が高く設定されている。
【0107】
リアのライダ52は、後方の車両の検出等に用いられるため、前進走行時における重要度は低くなるため、6番目の優先度に設定されている。
【0108】
リアカメラ46は、インナーミラー用のカメラであり、リアカメラ46の映像を画像解析することにより、イメージセンサとして用いることも可能であり、また、リアカメラ46には、ラウンドビュー用のカメラとしての機能を持たせることもできるものであるため、7番目の優先度に設定されている。
【0109】
リアカメラ53は、後進時に運転席のモニターに表示するための車両後方の画像を撮影するために用いられるため、前進走行時には後方の映像を確認することの重要度は低くなるため、8番目の優先度に設定されている。
【0110】
ウォッシャポンプの容量には制限があるため、複数の洗浄対象へ同時に洗浄液を噴射することが困難な場合がある。この場合、例えば、一般道を車両が前進走行しているときに、フロントグリル中央のライダ26と側方のライダ38とに同時期に洗浄要求が生じた場合には、優先度の高いフロントグリル中央のライダ26を先に洗浄し、次に、側方のライダ38を洗浄する。なお、もしもウォッシャポンプの容量に余裕があり、2以上の洗浄対象に対して同時に洗浄液を噴射することができる場合には、優先度が高い順に2つの洗浄対象が同時に洗浄される。
【0111】
また、例えば、一般道を車両が前進走行しているときに、大量の泥水がかかり、全ての洗浄対象に対して洗浄要求が生じた場合には、優先度が高い順に(1−1)〜(1−8)の順に洗浄対象に対してウォッシャノズルから洗浄液が噴射される。なお、もしもウォッシャポンプの容量に余裕があり、2以上の洗浄対象に対して同時に洗浄液を噴射することができる場合には、優先度が高い順に複数の洗浄対象を同時に洗浄することができる。
【0112】
また、エアーノズルについても、エアポンプを共用している場合には、エアポンプの容量に制限があるために、複数の洗浄対象へ同時に空気を噴射することが困難な場合がある。この場合、例えば、フロントグリル中央のライダ26用のエアーノズル26bと、フロントグリル中央のカメラ27用のエアーノズル26bとに対する洗浄要求が同時に生じた場合は、優先度が高いフロントグリル中央のライダ26用のエアーノズル26bにより先に洗浄対象に対して空気を噴射し、次に、フロントグリル中央のカメラ27用のエアーノズル27bにより洗浄対象に対して空気を噴射する。なお、2以上の洗浄対象に対して同時に空気を噴射することができる場合、あるいは、洗浄対象に対して個別にエアポンプが備えられている場合には、優先度が高い順に所定の洗浄パターンに従って複数の洗浄対象に対して同時に空気を噴射することも可能である。
【0113】
洗浄液の噴射による洗浄装置の系統と、空気の噴射による洗浄装置の系統とは別に設けられているため、優先順位に従って洗浄液の噴射によって洗浄対象を洗浄する際、空気の噴射による洗浄を併用する場合には、例えばある洗浄対象に対する空気の噴射による洗浄は、他の洗浄対象に対する洗浄液の噴射による洗浄のタイミングと重なっても構わない。例えば、フロントグリル中央のライダ26の洗浄要求と、フロントグリル中央のカメラ27の洗浄要求が同時に発生した際、例えば各洗浄箇所における洗浄パターンが洗浄液の噴射の次に空気を噴射するパターンであった場合、
<1>まずフロントグリル中央のライダ26に対してウォッシャノズル26aからの洗浄液の噴射によりライダ26を洗浄し、
<2>次には、フロントグリル中央のライダ26に対してエアーノズル26bからの空気の噴射によるライダ26の洗浄が行われるが、このエアーノズル26bによる洗浄の終了を待つことなく、ウォッシャノズル26aの洗浄が終了すると、その後速やかに、フロントグリル中央のカメラ27に対してウォッシャノズル27aからの洗浄液の噴射によりカメラ27の洗浄を開始し、
<3>ウォッシャノズル27aによる洗浄が終わった後には、エアーノズル26bからの空気の噴射によるライダ26の洗浄が終了した後に、フロントグリル中央のカメラ27に対してエアーノズル27bからの空気の噴射によるカメラ27の洗浄が行われる。このように、ある洗浄対象に対するウォッシャノズルからの洗浄液の噴射による洗浄の時期と、他の洗浄対象に対するエアーノズルからの空気の噴射による洗浄の時期とはオーバーラップしていても構わない。ただし、この洗浄シーケンスは一例にすぎず、本発明の洗浄シーケンスはこの例に特定されるものではなく、例えば、ある洗浄対象に対するウォッシャノズルからの洗浄液の噴射による洗浄の時期と、他の洗浄対象に対するエアーノズルからの空気の噴射による洗浄の時期とがオーバーラップしないように設定することも可能である。
【0114】
次に、
図3を参照して、実施例2について説明する。なお、
図3は、実施例2(車両後進時)の洗浄対象の優先順位を示すブロック図である。実験例1と同様の態様については説明を省略する。
【0115】
車両の後進時には、各洗浄対象又は各洗浄装置の優先順位は優先度が高い順に次の(2−1)〜(2−8)のとおりである。
(2−1)リアのライダ52(71)
(2−2)リアカメラ53(72)
(2−3)リアカメラ46(73)
(2−4)リアフェンダーのライダ56(74)
(2−5)側方のライダ38(75)
(2−6)フロントグリル中央のライダ26(76)
(2−7)フロントグリル中央のカメラ27(77)
(2−8)フロントガラスウォッシャノズル40a(78)
【0116】
リアのライダ52は、後方の障害物の検出、及び、急な飛び出しの検出等に用いられるため、車両の後進時には、車両制御の観点からも安全の観点からも最も優先度が最も高い。
【0117】
リアカメラ53は、後進時に運転席のモニターに表示するための車両後方の画像を撮影するために用いられるため、運転者から見渡しにくい後方の映像を運転者に提示できる観点から、2番目に優先度が高い。
【0118】
リアカメラ46は、インナーミラー用のカメラであり、リアカメラ46の映像を画像解析することにより、イメージセンサとして用いることも可能であり、また、リアカメラ46には、ラウンドビュー用のカメラとしての機能を持たせることもできるものであるため、3番目の優先度に設定されている。
【0119】
リアフェンダーのライダ56は、後方から側方にかけての障害物の検出等に用いられるため、後進時の障害物の検出に有用であるため、4番目に優先度が高い。
【0120】
側方のライダ38は、側方から前方にかけての障害物の検出等に用いられるため、後進時の障害物検知にも有用であるため、5番目に優先度が高い。
【0121】
フロントグリル中央のライダ26は、前方の障害物の検出や、前方における急な飛び出しの検出等に用いられるが、後進時には車両前方の障害物の情報の有用性は低いため、6番目の優先度に設定される。
【0122】
フロントグリル中央のカメラ27は、前方の映像の検出に用いられるが、後進時には車両前方の映像の有用性は低いため、7番目の優先度に設定される。
【0123】
フロントガラスウォッシャノズル40aは、ワイパ40と共に、運転者の前方の視界、及び、設置されている場合には、フロントウインドウの上方のカメラの映像に影響があるが、後進時には車両前方の視界や車両前方の映像の有用性は低いため、8番目の優先度に設定される。
【0124】
なお、実施例1及び実施例2は、あくまでも一例にすぎず、優先度の設定の仕方は、車両状況及び/又は環境状況に応じて多種多様に変更設定可能である。例えば、上述の例で挙げた進行方向の他に、高速道路、一般道(一般道についても市街地とバイパスや郊外との区別)、渋滞情報等の走行経路による区別、走行速度による区別、晴天時・降雨時・積雪時の天候の区別、路面状況の区別、寒冷地と高温地との区別、車種による区別等の車両状況及び/又は環境状況に応じて、種々の優先順位を設定しておくことができる。
【0125】
例えば、高速道路では一般道よりも長距離用のセンサの優先度が高く、市街地では飛び出し検出用のセンサの優先度が高く、走行速度が高い時には長距離用のセンサの優先度が高く、晴天時には降雨時や積雪時に比べてカメラセンサの優先度が高く設定される。なお、優先順位に係る制御は、ADAS−ECU10が行うことにしてもよいし、その制御の一部又は全部をフロントワイパECU11及びリアワイパECU48が行うようにしてもよい。
【0126】
また、同じ洗浄対象に対して、所定回数以上の洗浄を行っても、洗浄の必要性があるとの判定結果が覆らない時(付着物が除去できない時)には、その洗浄対象に対する洗浄を中止すると共に、手動洗浄等のメンテナンスが必要であることと、その洗浄対象を運転者に報知する警報手段を設けることもできる。これにより、付着物を自動では除去できなかった場合に、頻繁に、かつ、継続的にセンサ面等の洗浄対象に向けて、ウォッシャノズルから洗浄液を噴射し、エアーノズルからはエアーを噴射することが繰り返されることを防止することができる。また、付着物を自動では除去できなかったことが運転者に報知されるので、この運転者はこの警報により、特定の洗浄対象を手動で洗浄する必要があることを知ることができる。なお、付着物を自動では除去できなかった場合に、安全な走行を促すアナウンスを行ってもよいし、車両を安全な場所まで(自動的に)誘導するようにしてもよい。
【0127】
そして、ウォッシャノズルから洗浄液を噴射するパターン、エアーノズルから空気を噴射するパターンは、洗浄対象、汚れの程度、走行状況、環境状況に応じて変更することが可能である。例えば、車両が駐車されていた期間に応じて、洗浄の程度の大、中、小を決定することができる。また、洗浄要求信号に、例えば洗浄の必要性だけでなく、併せて、汚れの程度の情報が付加されている場合には、例えば汚れの程度に応じて洗浄の程度を調整することもできる。
【0128】
洗浄パターンとしては、例えば次のようなパターンが挙げられる。
(a)所定時間連続して噴射するパターン
(b)所定時間噴射と所定時間の休止とを交互に複数回繰り返すパターン
(c)ウォッシャノズルからの洗浄液の噴射だけのパターン
(d)エアーノズルからの空気の噴射だけのパターン
(e)ウォッシャノズルからの噴射の後に、エアーノズルを噴射するパターン
(f)ウォッシャノズルからの噴射を繰り返すパターン
(g)エアーノズルからの空気の噴射を繰り返すパターン
(h)ワイパ又はリアワイパの駆動だけのパターン
(i)ワイパ又はリアワイパの駆動速度と間欠動作の停止時間を可変とするパターン
(j)ウォッシャノズルからの洗浄液の噴射とワイパ又はリアワイパの駆動とを組み合わせたパターン
(k)洗浄液の噴射時間を調整したパターン
(l)洗浄液の噴射強さを可変にしたパターン
(m)エアーノズルからの空気の噴射時間を調整したパターン
(n)エアーノズルからの空気の噴射強さを可変にしたパターン
(o)上記複数のパターンを組み合わせたパターン
【0129】
例えば、洗浄の程度が大きいほど、(a)の所定時間を長く、(b)の繰り返し回数を多く、(f)の繰り返し回数を多く、(g)の繰り返し回数を多く、(i)の駆動速度を速く、又は、停止時間を短く、(k)の噴射時間を長く、(l)の噴射強さを強く、(m)の噴射時間を長く、又は、(n)の噴射強さを強くする。
【0130】
また、例えば(f)ウォッシャノズルからの噴射を繰り返すパターンでは、1回目で湿潤のための予備洗浄と2回目で本洗浄を行うパターンや、1回目で本洗浄と2回目で仕上げ洗浄を行うパターンや、1回目で湿潤のための予備洗浄と2回目で本洗浄と3回目で仕上げ洗浄を行うパターン等の多様なパターンを設けることができる。さらに、予備洗浄と仕上げ洗浄は噴射時間又は噴射強さを小さく設定し、本洗浄の噴射時間又は噴射強さを大きく設定することもできる。
【0131】
例えば、1箇所の洗浄対象に対して、1回目に短く洗浄液を噴射させ、2回目に長く洗浄液を噴射させ、3回目にエアーノズルからの空気を短く噴射させ、4回目にエアーノズルからの空気を長く噴射させるようなパターンも設定できる。
【0132】
また、(l)や(n)においては、噴射強さを時間の関数として変化させることもできる。また、(o)で示したように、(a)〜(n)を組み合わせた多種多様なパターンを設定することができる。
【0133】
車両用洗浄システム1を搭載した車両では、運転者が意識しなくとも光学センサ等の洗浄対象の洗浄が行われるため、運転者が認識している以上に洗浄液が消費され、洗浄液が不足するおそれがある。そこで、ウォッシャタンク12に設けられたレベルセンサ13の検出値に応じで、洗浄液の残量を運転者に報知する手段を設けておくことも有効である。これにより、運転者は洗浄液の残量を常時確認することができる。
【0134】
実施形態の車両には示されていないが、例えば超音波センサを車両の前方、後方又は側方に設置してもよい。超音波センサは周囲に超音波を発しながら他車両等の障害物を検知するものであり、主として走行中の車線に入ってくる車両を検知するために用いられている。他に、駐車支援システムにおける障害物検知にも用いられる。超音波センサは音波を利用しているため、例えセンサ面に対して汚れが付着したとしても、音波が伝達されている限りは障害物の検知が可能である。このため、超音波センサのセンサ面を洗浄する要請は小さい。ただし、必要に応じて、ウォッシャノズルやエアーノズル等の洗浄手段を設けることも可能である。
【0135】
なお、実施形態のエアーノズル26b、27bはエアーアクチュエータエアポンプ41から、エアーノズル52b、53bはエアーアクチュエータエアポンプ49から、それぞれ圧送された空気を各洗浄対象に噴射しているが、本願発明はこれに特定されるものではない。例えば、エアーアクチュエータエアポンプは各エアーノズルに対応して1つ設けられていてもよいし、車両の前方に1つかつ車両の後方に1つ設けられていてもよい。車両の前方と後方とに各1つエアーアクチュエータエアポンプを設ける場合、車両前方に配置されるエアーノズルに対しては車両前方に設けられるエアポンプから空気が供給され、車両後方に配置されるエアーノズルに対しては車両後方に設けられるエアポンプから空気が供給される。
【0136】
なお、車両に配置された各車載センサの位置は、実施形態で説明した位置に限定されるものではない。さらに、実施形態ではフロント用マルチバルブ16及びリア用マルチバルブ17を設けた例を示したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、これらのマルチバルブに換えてフロント用ウォッシャポンプ14ないしリア用ウォッシャポンプ15にそれぞれ複数個のバルブを設け、これらの複数個のバルブをそれぞれワイパECU11、48によって制御することにより、所定のウォッシャノズルに洗浄液を供給するようにしてもよい。