(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鍛造工程において形成される前記突出部のうち前記円板状部の側又は前記中空円板状部の側の面は、前記中空円錐台状部の前記円板状部の側又は前記中空円板状部の側の面を構成しており、
前記切削工程において、前記突出部のうち、前記円板状部とは反対側又は前記中空円板状部とは反対側の面が切削されて前記リム部が形成される請求項2に記載の歯車の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の歯車及びその製造方法の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る歯車としての外歯車100の断面図であり、
図2は、本実施形態に係る歯車としての内歯車200の断面図である。
図1(a)は、歯部130Aの形状が谷型となる外歯車100Aを示し、
図1(b)は、歯部130Bの形状が山型となる外歯車100Bを示す。
図2(a)は、歯部230Aの形状が山型となる内歯車200Aを示し、
図2(b)は、歯部230Bの形状が谷型となる内歯車200Bを示す。
先ず、
図1を参照して、外歯車100の構成について詳しく説明する。
【0020】
外歯車100Aは、
図1(a)に示すように、中空円板状部110と、リム部120Aと、歯部130Aと、を備える。
【0021】
中空円板状部110は、所定の板厚を有し、中心部に軸穴が形成された円板状の板により構成される。中空円板状部110の板厚は、該板厚方向のリム部120Aの大きさよりも薄く構成される。
【0022】
リム部120Aは、中空円板状部110の径方向外側の端部において中空円板状部110の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部120Aは、2つの中空円錐台状部を有しており、更に詳しく説明すると、
図1(a)において、上部側に第1の中空円錐台状部121Aと下部側に第2の中空円錐台状部122Aとを備える。第1の中空円錐台状部121A及び第2の中空円錐台状部122Aは、中空円板状部110との成す角度θ1が鈍角となるように延びている。これにより、リム部120Aの径方向外側の面は谷型に構成される。
尚、中空円錐台状部とは、所定の肉厚で円錐台形に形成され内部が中空のものをいう。以下の説明においても同様である。
【0023】
また、径方向外側における第1の中空円錐台状部121Aと第2の中空円錐台状部122Aとの間の挟角θ2(以下、リム部120Aの挟角θ2とする)は、歯部130Aを形成可能な角度に設定すればよく、製造時の加工条件から75°以上とすることが可能である。本実施形態では、90°とした。
また、リム部120Aのうち径方向内側の面、即ち、中空円板状部110側の面が円錐台側面形状を有するように形成されるので、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0024】
歯部130Aは、リム部120Aの径方向外側の面(中空円板状部110とは反対側の面)に設けられ、この歯部130Aには、複数の歯が形成される。歯部130Aの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0025】
本実施形態では、第1の中空円錐台状部121A及び第2の中空円錐台状部122Aが、中空円板状部110に対して対称となるように構成した。よって、リム部120Aは、歯部130Aにかかる荷重を軸方向について均等に受けることができる。尚、第1の中空円錐台状部121A及び第2の中空円錐台状部122Aがそれぞれ中空円板状部110となす角度を異なるように構成してもよい。
【0026】
外歯車100Bは、
図1(b)に示すように、中空円板状部110と、リム部120Bと、歯部130Bと、を備える。中空円板状部110の構成は、外歯車100Aで説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0027】
リム部120Bは、中空円板状部110の径方向外側の端部において中空円板状部110の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部120Bは、2つの中空円錐台状部を有しており、更に詳しく説明すると、
図1(b)において、上部側に第1の中空円錐台状部121Bと下部側に第2の中空円錐台状部122Bとを備える。第1の中空円錐台状部121B及び第2の中空円錐台状部122Bは、中空円板状部110との成す角度θ3が鋭角となるように延びている。これにより、リム部120Bの径方向外側の面は山型に構成される。
また、径方向内側における第1の中空円錐台状部121Bと第2の中空円錐台状部122Bとの成す角(以下、リム部120Bの挟角とする)は、製造時の加工条件から30°以上とすることが可能である。本実施形態では、90°とした。
また、リム部120Bのうち径方向内側の面、即ち、中空円板状部110側の面が円錐台側面形状を有するように形成されるので、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0028】
歯部130Bは、リム部120Bの径方向外側の面(中空円板状部110とは反対側の面)に設けられ、この歯部130Bには複数の歯が形成される。歯部130Bの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0029】
本実施形態では、第1の中空円錐台状部121B及び第2の中空円錐台状部122Bが、中空円板状部110に対して対称となるように構成した。よって、リム部120Bは、歯部130Bにかかる荷重を軸方向について均等に受けることができる。尚、第1の中空円錐台状部121B及び第2の中空円錐台状部122Bがそれぞれ中空円板状部110となす角度を異なるように構成してもよい。
【0030】
以上説明した外歯車100は、
図2(a)に示すように、所定の径を有する外歯車100Aと、該所定の径よりも小さい径を有する外歯車100Bとを、軸を平行にして組み合わせることで、平行軸の歯車として用いることができる。また、
図2(b)に示すように、複数の外歯車100Bの軸を平行にして組み合せることで、平行軸の歯車として用いることができる。また、
図2(c)に示すように、2つの外歯車100Bの軸を交差させて組み合わせることで、交差軸の歯車として用いることができる。また、本発明の外歯車100を、従来の歯車と組み合わせて用いることもできる。
【0031】
次に、
図3を参照して内歯車200の構成について詳しく説明する。
内歯車200Aは、
図3(a)に示すように、中空円板状部210と、リム部220Aと、歯部230Aと、を備える。
【0032】
中空円板状部210は、所定の板厚を有し、径方向内側にリム部220Aが配置されるように、円環状に形成された板により構成される。中空円板状部210の板厚は、該板厚方向のリム部220Aの大きさよりも薄く構成される。
【0033】
リム部220Aは、中空円板状部210の径方向内側の端部において中空円板状部210の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部220Aは、2つの中空円錐台状部を有しており、更に詳しく説明すると、
図3(a)において、上部側に第1の中空円錐台状部221Aと下部側に第2の中空円錐台状部222Aとを備える。第1の中空円錐台状部221A及び第2の中空円錐台状部222Aは、中空円板状部210と成す角度θ4が鋭角となるように延びている。これにより、リム部220Aの径方向内側の面は山型に構成される。
【0034】
また、径方向外側における第1の中空円錐台状部221Aと第2の中空円錐台状部222Aとの成す角(以下、リム部220Aの挟角とする)は、製造時の加工条件から75°以上とすることが可能である。本実施形態では、90°とした。
また、リム部220Aのうち径方向外側の面、即ち、中空円板状部210側の面が円錐台側面形状を有するように形成されるので、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0035】
歯部230Aは、リム部220Aの径方向内側の面(中空円板状部210とは反対側の面)に設けられ、この歯部230Aには複数の歯が形成される。歯部230Aの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0036】
本実施形態では、第1の中空円錐台状部221A及び第2の中空円錐台状部222Aが、中空円板状部210に対して対称となるように構成した。よって、リム部220Aは、歯部230Aにかかる荷重を軸方向について均等に受けることができる。尚、第1の中空円錐台状部221A及び第2の中空円錐台状部222Aがそれぞれ中空円板状部210となす角度を異なるように構成してもよい。
【0037】
内歯車200Bは、
図3(b)に示すように、中空円板状部210と、リム部220Bと、歯部230Bと、を備える。中空円板状部210の構成は、内歯車200Aで説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0038】
リム部220Bは、中空円板状部210の径方向内側の端部において中空円板状部210の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部220Bは、2つの中空円錐台状部を有しており、更に詳しく説明すると、
図3(b)において、上部側に第1の中空円錐台状部221Bと下部側に第2の中空円錐台状部222Bとを備える。第1の中空円錐台状部221B及び第2の中空円錐台状部222Bは、中空円板状部210との成す角θ5が鈍角となるように延びている。これにより、リム部220Bの径方向内側の面は谷型に構成される。
【0039】
また、径方向内側における第1の中空円錐台状部221Bと第2の中空円錐台状部222Bとの間の挟角θ6(以下、リム部220Bの挟角θ6とする)は、歯部230Bを形成可能な角度に設定すればよく、製造時の加工条件から30°以上とすることが可能である。本実施形態では、90°とした。
また、リム部220Bのうち径方向外側の面、即ち、中空円板状部210側の面が円錐台側面形状を有するように形成されるので、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0040】
歯部230Bは、リム部220Bの径方向内側の面(中空円板状部210とは反対側の面)に設けられ、この歯部230Bには複数の歯が形成される。歯部230Bの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0041】
本実施形態では、第1の中空円錐台状部221B及び第2の中空円錐台状部222Bが、中空円板状部210に対して対称となるように構成した。よって、リム部220Bは、歯部230Bにかかる荷重を軸方向について均等に受けることができる。尚、第1の中空円錐台状部221B及び第2の中空円錐台状部222Bがそれぞれ中空円板状部210となす角度を異なるように構成してもよい。
【0042】
以上、説明した内歯車200は、
図4(a)に示すように、所定の径を有する内歯車200Aと、該所定の径よりも小さい径を有する外歯車100Aとを、軸を平行にして組み合わせることで、平行軸の歯車として用いることができる。また、同様に
図4(b)に示すように所定の径を有する内歯車200Bと、該所定の径よりも小さい径を有する外歯車100Bとを、軸を平行にして組み合わせることで、平行軸の歯車として用いることができる。また、
図4(c)に示すように、内歯車200Bと、外歯車100Bとを軸を交差させて組み合わせることで、交差軸の歯車として用いることができる。また、本実施形態の内歯車200を、従来の外歯車と組み合わせて用いることもできる。
【0043】
以上説明した本実施形態の歯車100及び200(外歯車100A及び100B、内歯車200A及び200B)によれば、以下のような効果を奏する。
【0044】
(1)歯車100(又は200)を、所定の板厚を有する中空円板状部110(又は210)と、中空円板状部110の径方向外側又は中空円板状部210の径方向内側の端部において中空円板状部110(又は210)の板厚方向の両側に突出するように設けられ、中空円板状部110(又は210)側の面が円錐台側面形状を有するリム部120A、120B(又は220A、220B)と、リム部120A、120B(又は220A、220B)のうち中空円板状部110(又は210)とは反対側の面に設けられる歯部130A、130B(又は230A、230B)と、備えるものとした。これにより、中空円板状部110(又は210)が所定の板厚を有するので、歯車100(又は200)の強度を保つことができ、中空円板状部110(又は210)の板厚をリム部120A、120B(又は220A、220B)よりも薄肉に構成して軽量化し、且つ、リム部のうち中空円板状部側の面を円錐台側面形状とすることで、従来の円筒形状のリム部に比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0045】
(2)リム部120A、120B(又は220A、220B)を、中空円板状部110の径方向外側又は中空円板状部210の内側の端部において板厚方向の両側にそれぞれ2つ中空円錐台状部121A、122A、121B、122B(又は221A、222A、221B、222B)を有するものとした。これによりリム部120A、120B(又は220A、220B)が薄肉状に構成されるので、更にリム部の軽量化が可能である。
【0046】
(3)2つの中空円錐台状部121A及び122A、121B及び122B(又は221A及び222A、221B及び222B)を、中空円板状部110(又は210)に対して対称に形成するものとした。これにより、リム部は、歯部にかかる荷重を軸方向について均等に受けることができるので、歯車100(又は200)の強度を高めることができる。
【0047】
次に、本実施形態の歯車を製造する第1の製造方法について、
図5〜
図10を参照して説明する。
図5は、第1の製造方法における外歯車100A、100B及び内歯車200A、200Bの製造工程について、概略を示したものである。
図5に示すように、製造工程は、(1)ブランク加工工程、(2)鍛造工程、(3)曲げ加工工程(4)歯切り工程及び(5)穴開け工程を経て、必要に応じて焼入れ工程及び仕上げ加工工程を行う。
【0048】
以下、各工程について詳細に説明する。
<ブランク加工工程>
1つの原素材から外歯車用の歯車用素材11と、内歯車用の歯車用素材21とを、打ち抜き加工やワイヤー放電加工により得る。原素材としては、機械構造用炭素鋼、工具鋼、軸受鋼等の特殊鋼の鋼板やステンレス鋼の鋼板、丸棒材を切断して据込んで円盤状にしたもの等を用いることができる。ここで、本発明の製造方法によれば、歯車用素材11、21の板厚は、リム部の軸方向の大きさと同程度のものではなく、薄肉に構成される中空円板状部110、210の板厚に近く、やや厚いものを用いる必要がある。よって、丸棒材から薄い円盤状の原素材を得るよりは、所定の板厚を有する鋼板を用いる方が好ましい。
本実施形態では、1枚の鋼板からワイヤー放電加工により歯車用素材11及び21を得る。歯車用素材11及び21を鋼板から加工して得ることで、丸棒材を切断する工程や据込み工程が不要となり、製造工程を簡素化することができる。
本実施形態では、
図6(a)に示す外歯車の歯車用素材11は、一例として、厚さt=4mm、直径D=24mmの円盤状の形状を有し、
図6(b)に示す内歯車の歯車用素材21は、厚さt=4mm、外径D=48mm、内径d=32mmの中空円盤状の形状を有する。
【0049】
鍛造工程以降の各工程について、まず外歯車100(100A、100B)について説明し、後に内歯車200(200A、200B)について説明する。
<鍛造工程(外歯車)>
図7を参照して、外歯車100の鍛造工程について説明する。
ブランク加工工程で得られた外歯車の歯車用素材11に対して鍛造工程を行う。
図7に示すように、外歯車用の分流鍛造金型1200は、歯車用素材11の上部に配置される上部金型1210と、下部に配置される下部金型1220と、径方向外側に配置される側面金型1230と、で構成される。歯車用素材11、上部金型1210、下部金型1220及び側面金型1230は、それぞれの中心軸が一致するように配置される。
上部金型1210は、歯車用素材11の外径(D=24mm)よりも小さい所定の直径(D=18mm)の円柱形状部分を有し、上下に移動可能である。
下部金型1220は、歯車用素材11の外径よりも小さい上部金型1210と一致する所定の直径(D=18mm)の円柱形状部分を有し、下部に固定される。
側面金型1230は、歯車用素材11の外径と一致する内径(d=24mm)の円環形状を有し、下部に固定される。
【0050】
図7(a)に示すように歯車用素材11を外歯車用の分流鍛造金型1200に配置して、
図7(b)に示すように、上部金型1210を所定量押し込むことにより、
図7(c)に示す鍛造成形体12が形成される。
鍛造成形体12は、中空円板状部110となる所定の直径及び所定の板厚を有する円板状部110’と、円板状部110’の外周に軸方向の両側に突出した突出部120と、を備える。
円板状部110’の板厚H3は、上部金型1210の押し込み量H1によって調整することができ、歯車用素材11の板厚tから押し込み量H1を減ずることにより算出することができる(
図7(c)参照)。
突出部120は、軸方向に所定の大きさH2を有し、
図7(c)において上部に突出した第1の突出部121と下部に突出した第2の突出部122で構成される。
【0051】
<曲げ加工工程(外歯車)>
次に
図8Aを参照して、外歯車100Aの曲げ加工工程について説明する。
図8Aに示すように、外歯車用の曲げ加工金型1300Aは、鍛造成形体12の上部に配置される上部金型1310Aと、下部に配置される下部金型1321A及び下部金型1322A、で構成される。
上部金型1310Aは、小径が分流鍛造金型1200の上部金型1210の直径(D=18mm)と一致し、母線が中心軸に対して所定の角度θをなす円錐台形状部分を有し、上下に移動可能である。
下部金型1321Aは、直径が分流鍛造金型1200の下部金型1220の直径(D=18mm)と一致する円柱形状部分を有し、下部に固定される。
下部金型1322Aは、上部金型1310Aを上下反転させたものと同様の形状の部分を有し、下部に固定される。
【0052】
鍛造工程で得られた鍛造成形体12を、
図8A(a)に示すように上部金型1310A及び下部金型1321Aとの間に配置して、
図8A(b)に示すように、上部金型1310Aで鍛造成形体12を加圧して、第1の突出部121を径方向外側に変形させて、第1の中空円錐台状部121Aを形成する。その後、
図8A(c)に示すように下部に配置する金型を下部金型1322Aに換えて、鍛造成形体12を上下反転させ、
図8A(d)に示すように、上部金型1310Aで鍛造成形体12を加圧して、第2の突出部122を径方向外側に変形させて、第2の中空円錐台状部122Aを形成して、リム部形成体13Aを得る。このように、第1の中空円錐台状部121A及び122Aからなるリム部120Aは、突出部120が外径方向に伸びが生じる伸びフランジ変形により、径方向外側の面が谷型となるように形成される。尚、上部金型1310A及び下部金型1322Aを用いて、同時に第1の突出部121及び第2の突出部122を径方向に変形させてもよい。
【0053】
次に
図8Bを参照して、外歯車100Bの曲げ加工工程について説明する。
図8Bに示すように、外歯車用の曲げ加工金型1300Bは、鍛造成形体12の上部に配置される上部金型1310Bと、下部に配置される下部金型1321B、下部金型1322B及び側面金型1330で構成される。
【0054】
上部金型1310Bは、分流鍛造金型1200の側面金型1230の内径と一致する直径の円柱形状から、上方側を上面、下方側を底面とする円錐台がくり抜かれた形状部分と、該円錐台がくり抜かれた部分に配置される円柱形状部分と、を備え、上下に移動可能である。くり抜かれた円錐台の底面の直径は、分流鍛造金型1200の側面金型1230の内径(d=24mm)と一致し、円錐台の母線は中心軸に対して所定の角度θをなす。また、くり抜かれた円錐台の上面の直径は、分流鍛造金型1200の上部金型1210の円柱形状の直径よりも小さい。また、円錐台がくり抜かれた部分に配置される円柱形状の直径は、くり抜かれた円錐台の上面の直径よりも小さい。この円柱形状部分は、第1の突出部121及び第2の突出部122の径方向の変形を拘束するために配置される。
【0055】
下部金型1321Bは、分流鍛造金型1200の下部金型1220の直径と一致する直径を有する上部円柱形状部分と、該上部円柱形状部分の下部に配置され分流鍛造金型1200の側面金型1230の内径と一致する直径を有する下部円柱形状部分と、を備え、下部に固定される。上部円柱形状部分は、円板状部110’及び第2の突出部122の内径側の面を拘束し、下部円柱形状部分は、第2の突出部122の軸方向の下端を支持する。
下部金型1322Bは、上部金型1310Bを上下反転させたものと同様の形状を有し、下部に固定される。
【0056】
側面金型1330は、分流鍛造金型1200の側面金型1230と同様の形状を有し、下部に固定される。側面金型1330は、突出部120の径方向外側を拘束する。
【0057】
鍛造工程で得られた鍛造成形体12を、
図8B(a)に示すように上部金型1310B及び下部金型1321Bの間に配置して、
図8B(b)に示すように、上部金型1310Bで鍛造成形体12を加圧して、第1の突出部121を径方向内側に変形させて、第1の中空円錐台状部121Bを形成する。その後、
図8B(c)に示すように下部に配置する金型を下部金型1322Bに換えて、鍛造成形体12を上下反転させ、
図8B(d)に示すように、上部金型1310Bで鍛造成形体12を加圧して、第2の突出部122を径方向内側に変形させて、第2の中空円錐台状部122Bを形成して、リム部形成体13Bを得る。このように、第1の中空円錐台状部121B及び122Bからなるリム部120Bは、突出部120が内径方向に縮みが生じる縮みフランジ変形により、径方向外側の面が山型となるように形成される。
【0058】
<歯切り工程>
曲げ加工工程で得られたリム部形成体13A及び13Bの径方向外側の面に、ホブ盤やラック盤等を用いた歯切り加工により複数の歯で構成される歯部130A、130Bを形成する。
【0059】
<穴開け工程>
鍛造工程又は曲げ加工工程の後に、鍛造成形体12を構成する円板状部110’の中心部に所定の直径を有する円形の穴を開けて中空円板状部110が形成される。
【0060】
以上、説明したブランク加工工程、鍛造工程、曲げ加工工程、歯切り工程及び穴開け工程を経て、外歯車100A、100Bが得られる。外歯車100A、100Bについて、硬度を高める必要があるものは、次の工程で焼入れを行う。また、歯部130A、130Bについて、より高精度に形成する必要があるものは、軽度に切削、研削及び研磨等の仕上げ加工工程を行う。
【0061】
次に、内歯車200の鍛造工程以降の各工程について説明する。
<鍛造工程(内歯車)>
図9を参照して、内歯車200の鍛造工程について説明する。ブランク加工工程で得られた内歯車の歯車用素材21に対して鍛造工程を行う。
【0062】
図9に示すように、内歯車用の分流鍛造金型2200は、内歯車の歯車用素材21の上部に配置される上部金型2210と、内歯車の歯車用素材21に貫通して下部に配置される下部金型2220と、内歯車の歯車用素材21の外周側の下部に配置される側面金型2230と、で構成される。内歯車の歯車用素材21、上部金型2210、下部金型2220及び側面金型2230は、それぞれの中心軸が一致するように配置される。
【0063】
上部金型2210は、上部円環部分2211と下部円環部分2212とを含んで構成される。上部円環部分2211は、内歯車の歯車用素材21の外径(D=48mm)よりも小さく、内歯車の歯車用素材21の内径よりも大きい所定の内径(d=38mm)を有する。下部円環部分2212は、内歯車の歯車用素材21の外径と一致する所定の内径(d=48mm)を有する。
【0064】
下部金型2220は、内歯車の歯車用素材21の内径(d=32mm)と一致する所定の直径(D=32mm)の円柱形状部分を有し、下部に固定される。
【0065】
側面金型2230は、円環状の形状を有し、下部に固定される。側面金型2230は、内歯車の歯車用素材21の外径と一致する所定の外径(D=48mm)を有し、上部円環部分2211の内径と一致する所定の内径(d=38mm)を有する。
【0066】
図9(a)に示すように、内歯車の歯車用素材21は、下部金型2220が貫通した状態で、側面金型2230により支持されて配置される。
図9(b)に示すように、上部金型2210を所定量押し込むことにより、
図9(c)に示す鍛造成形体22が形成される。
鍛造成形体22は、中空円板状部210と、中空円板状部210の内周に軸方向の両側に突出した突出部220と、備える。
中空円板状部210の板厚H3は、上部金型2210の押し込み量H1によって調整することができ、内歯車の歯車用素材21の板厚tから押し込み量H1を減ずることにより算出することができる(
図9(c)参照)。
突出部220は、軸方向に所定の大きさH2を有し、上部に突出した第1の突出部221と下部に突出した第2の突出部222で構成される。
【0067】
<曲げ加工工程(内歯車)>
次に
図10Aを参照して、内歯車200Aの曲げ加工工程について説明する。
図10Aに示すように、内歯車用の曲げ加工金型2300Aは、鍛造成形体22の上部に配置される上部金型2310Aと、下部に配置される下部金型2321Aと、下部に配置される下部金型2322Aと、側面金型2330と、で構成される。
【0068】
上部金型2310Aは、分流鍛造金型2200の上部金型2210が有する下部円環部分2212と同様の形状の円環部分2311Aと、該円環部分2311Aの内側に配置され下方側を上面、上方側を底面とする円錐台形状部分2312Aと、を備え、上下に移動可能である。円錐台形状部分2312Aの底面の直径は、円環部分2311Aの内径と一致し、上面の直径は、分流鍛造金型2200の下部金型2220の直径と一致し、円錐台の母線は中心軸に対して所定の角度θをなす。
【0069】
下部金型2321Aは、鍛造成形体22を貫通する円柱形状部分2324Aと、鍛造成形体22の中空円板状部210及び第2の突出部222の径方向外側の面を拘束する円環形状部分2325Aと、突出部220の下端を支持する下部円柱形状部分2326Aと、を備え、下部に固定される。円柱形状部分2324Aは、突出部220のうち第1の突出部221を除く径方向内側の面を拘束し、下部円柱形状部分2326Aは、第2の突出部122の軸方向の下端を支持する。
下部金型2322Aは、上部金型2310Aを上下反転させたものと同様の形状を有し、下部に固定される。
【0070】
側面金型2330は、分流鍛造金型2200の上部金型2210が有する下部円環部分2212の内径と一致する内径を有する円環形状を有しており、下部に固定される。側面金型2330は、中空円板状部210の径方向外側の端部を拘束する。
【0071】
鍛造工程で得られた鍛造成形体22を、
図10A(a)に示すように上部金型2310A及び下部金型2321Aとの間に配置して、
図10A(b)に示すように、上部金型2310Aで鍛造成形体22を加圧して、第1の突出部221を径方向外側に変形させて、第1の中空円錐台状部221Aを形成する。その後、
図10A(c)に示すように下部に配置する金型を下部金型2322Aに換えて、鍛造成形体22を上下反転させ、
図10A(d)に示すように、上部金型2310Aで鍛造成形体22を加圧して、第2の突出部222を径方向に変形させて、第2の中空円錐台状部222Aを形成して、リム部形成体23Aを得る。このように、第1の中空円錐台状部221A及び第2の中空円錐台状部222Aからなるリム部220Aは、突出部220が外径方向に伸びが生じる伸びフランジ変形により、リム部220Aの径方向内側の面が山型となるように形成される。
【0072】
次に
図10Bを参照して、内歯車200Bの曲げ加工工程について説明する。
図10Bに示すように、内歯車用の曲げ加工金型2300Bは、鍛造成形体22の上部に配置される上部金型2310Bと、下部に配置される下部金型2321Bと、下部に配置される下部金型2322Bと、で構成される。
【0073】
上部金型2310Bは、上方側を上面、下方側を底面とする円錐台がくり抜かれた形状の部分を備え、上下に移動可能である。くり抜かれた底面の直径は、分流鍛造金型2200の上部金型2210の上部円環部分2211の内径と一致し、円錐台の母線は中心軸に対して所定の角度θをなす。
下部金型2321Bは、直径が分流鍛造金型2200の側面金型2230の内径(d=38mm)と一致する円環形状部分を有し、下部に固定される。
下部金型2322Bは、上部金型2310Bを上下反転させたものと同様の形状を有し、下部に固定される。
【0074】
鍛造工程で得られた鍛造成形体22を、
図10B(a)に示すように上部金型2310B及び下部金型2321Bとの間に配置して、
図10B(b)に示すように、上部金型2310Bで鍛造成形体22を加圧して、第1の突出部221を径方向内側に変形させて、第1の中空円錐台状部221Bを形成する。その後、
図10B(c)に示すように下部に配置する金型を下部金型2322Bに換えて、鍛造成形体22を上下反転させ、
図10B(d)に示すように、上部金型2310Bで鍛造成形体22を加圧して、第2の突出部222を径方向内側に変形させて、第2の中空円錐台状部222Bを形成して、リム部形成体23Bを得る。このように、第1の中空円錐台状部221B及び第2の中空円錐台状部222Bからなるリム部220Bは、突出部220が内径方向に縮みが生じる縮みフランジ変形により、リム部220Bのうち径方向内側の面が谷型となるように形成される。尚、上部金型2310B及び下部金型2322Bを用いて、同時に第1の突出部221及び第2の突出部222を径方向に変形させてもよい。
【0075】
<歯切り工程>
曲げ加工工程で得られたリム部形成体23A及び23Bの径方向内側の面に、ピニオンカッタ等を用いた歯切り加工により複数の歯で構成される歯部230A、230Bを形成する。
【0076】
以上、説明したブランク加工工程、鍛造工程、曲げ加工工程及び歯切り工程を経て、内歯車200が得られる。内歯車200について、硬度を高める必要があるものは、次の工程で焼入れを行う。また、歯部230A、230Bについて、より高精度に形成する必要があるものは、軽度に切削、研削及び研磨等の仕上げ加工工程を行う。
【0077】
以上、説明した本発明の外歯車100及び内歯車200の第1の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
【0078】
(4)歯車100(又は200)の製造方法を、歯車用素材11(又は21)を鍛造して中空円板状部110となる円板状部110’又は中空円板状部210を形成すると共に、円板状部110’の径方向外側の端部又は中空円板状部210の径方向内側の端部において板厚方向の両側に突出してリム部120A、120B(又は220A、220B)及び歯部130A、130B(又は230A、230B)となる突出部120(又は220)を形成する鍛造工程と、突出部120(又は220)のうち円板状部110’側とは反対側の面又は中空円板状部210とは反対側の面を切削して、歯部130A、130B(又は230A、230B)を形成する歯切り工程と、を含むものとした。これにより、径方向についてリム部120A、120B(又は220A、220B)のうち歯部130A、130B(又は230A、230B)が設けられる側とは反対側の面を切削等によらずに形成することができる。また、中空円板状部110(又は210)を切削によらず薄肉に形成することができる。よって、中空円板状部及びリム部を鍛造によらず全て切削により形成する場合に比べて、製造時間を短縮でき、切削量を減らすことができるので、工具寿命の低下を抑制し、材料歩留まりを向上させることができる。
【0079】
(5)歯車の製造方法を、鍛造工程の後であって歯切り工程の前に、突出部120(又は220)を径方向に変形させて、円板状部110’又は中空円板状部210の軸方向の両側それぞれに2つの中空円錐台状部を有するリム部120A、120B(又は220A、220B)を形成する曲げ加工工程と、を含むものとした。これにより、リム部120A、120B(又は220A、220B)を切削によらずに形成することができる。よって、製造時間を短縮でき、切削量を減らすことができるので、工具寿命の低下を抑制し、材料歩留まりを更に向上させることができる。
【0080】
(6)歯車用素材11(又は21)を、特殊鋼又はステンレス鋼からなるものとした。特殊鋼又はステンレス鋼を用いて高強度の歯車100(又は200)を製造する場合であっても、小さい製造負荷で製造することができる。
【0081】
次に、本実施形態の外歯車100及び内歯車200を製造する第2の製造方法について、
図11〜
図15を参照して説明する。
【0082】
図11は、第2の製造方法における外歯車100A及び内歯車200Bの製造工程について、概略を示したものである。
図11に示すように、製造工程は、(1)ブランク加工工程、(2)鍛造工程、(3)切削工程、(4)歯切り工程及び(5)穴開け工程を経て、必要に応じて焼入れ工程及び仕上げ加工工程を行う。(1)ブランク加工工程、(4)歯切り工程及び(5)穴開け工程は、第1の製造方法におけるものと同様であるので説明を省略し、(2)鍛造工程及び(3)切削工程について、以下に詳しく説明する。
【0083】
<鍛造工程(外歯車)>
図12を参照して、外歯車100Aの鍛造工程について説明する。ブランク加工工程で得られた歯車用素材11に対して鍛造工程を行う。
【0084】
図12に示すように、外歯車用の分流鍛造金型1200’は、外歯車用の歯車用素材11の上部に配置される上部金型1210’と、下部に配置される下部金型1220’と、径方向外側に配置される側面金型1230’と、で構成される。歯車用素材11、上部金型1210’、下部金型1220’及び側面金型1230’は、それぞれの中心軸が一致するように配置される。
【0085】
上部金型1210’は、上面を歯車用素材11側に向けた逆円錐台形状部分1211’と、この逆円錐台形状部分1211’の上部(底面側)に配置される円柱形状(円板形状)部分1212’と、を備え、上下に移動可能である。逆円錐台形状部分1211’は、母線が中心軸に対して所定の角度θをなし、所定の直径(D=18mm)の上面と、歯車用素材11の外径(D=24mm)と一致する直径の底面と、を有する。円柱形状部分1212’は、歯車用素材11の外径(D=24mm)と一致する直径を有する。
【0086】
下部金型1220’は、上部金型1210’を上下反転させたものと同様の形状を有し、下部に固定される。
側面金型1230’は、歯車用素材11の外径と一致する内径(d=24mm)の円環形状を有し、下部に固定される。
【0087】
図12(a)に示すように歯車用素材11を外歯車用の分流鍛造金型1200’に配置して、
図12(b)に示すように、上部金型1210’を所定量押し込むことにより、
図12(c)に示す鍛造成形体12’が形成される。
鍛造成形体12’は、中空円板状部110となる所定の直径及び所定の板厚を有する円板状部110’と、円板状部110’の外周に軸方向の両側に突出した突出部120’と、を備える。
円板状部110’の板厚H3は、上部金型1210’の押し込み量H1によって調整することができ、歯車用素材11の板厚tから押し込み量H1を減ずることにより算出することができる(
図12(c)参照)。
突出部120’は、軸を含む面で切断された断面形状が三角形状となるように形成され、軸方向に所定の大きさH2を有する。また、突出部120’のうち径方向内側の面(円板状部110’側の面)は、後に説明する切削工程によらず、鍛造工程だけで、リム部120Aの径方向内側の面を構成する。
【0088】
<切削工程(外歯車)>
次に
図13を参照して、外歯車100Aの切削工程について説明する。第2の製造方法では、鍛造工程により形成された突出部120’(
図13(a)参照)のうち径方向外側の面を切削することにより、円板状部110’の軸方向の両側それぞれに第1の中空円錐台状部121A及び第2の中空円錐台状部122Aを形成してリム部120Aとし、リム部形成体13Aを得る。
図13(b)に示すように、リム部120Aは、径方向外側の面が谷型となるように形成される。
【0089】
尚、第2の製造法の鍛造工程において、第1の製造方法の鍛造工程で用いられる金型と同様の金型を用いて突出部を形成後、切削工程において、突出部の全面を切削することによりリム部120Aを形成してもよい。しかしながら、上述のように鍛造工程においてリム部120Aの片面側を形成し、切削工程においてもう片面側を切削により形成してリム部120Aを得る方が、切削量を低減することができるため好ましい。
【0090】
以上、説明したブランク加工工程、鍛造工程、切削工程、歯切り工程及び穴開け工程を経て、外歯車100Aが得られる。外歯車100Aについて、硬度を高める必要があるものは、次の工程で焼入れを行う。また、歯部130Aについて、より高精度に形成する必要があるものは、軽度に切削、研削及び研磨等の仕上げ加工工程を行う。
【0091】
次に、第2の製造方法における内歯車200Bの(2)鍛造工程及び(3)切削工程について、以下に詳しく説明する。
<鍛造工程(内歯車)>
図14を参照して、内歯車200Bの鍛造工程について説明する。ブランク加工工程で得られた内歯車用の歯車用素材21に対して鍛造工程を行う。
【0092】
図14に示すように、内歯車用の分流鍛造金型2200’は、歯車用素材21を貫通するように歯車用素材21の上部に配置される上部金型2210’と、歯車用素材21の外周側の下部に配置される下部金型2220’と、径方向外側に配置される側面金型2230’と、で構成される。歯車用素材21、上部金型2210’、下部金型2220’及び側面金型2230’は、それぞれの中心軸が一致するように配置される。
【0093】
上部金型2210’は、歯車用素材21を貫通する円柱形状部分2211’と、歯車用素材21の外周側の上部に配置される円環形状部分2212’と、を備え、上下に移動可能である。円柱形状部分2211’は、歯車用素材21の内径(d=32mm)と一致する所定の直径(D=32mm)を有する。円環形状部分2212’は、歯車用素材21の外径(D=48mm)と一致する直径の円柱から、上方側を上面、下方側を底面とする円錐台がくり抜かれた形状の小径部分と、この小径部分の上部に配置され小径部分よりも大径の大径部分とを有する。くり抜かれた円錐台の底面の直径は、内歯車200Bの中空円板状部210の内径と一致し、上面の直径は、歯車用素材21の内径(d=32mm)と一致し、円錐台の母線は中心軸に対して所定の角度θをなす。
【0094】
下部金型2220’は、歯車用素材21の下部に上部金型2210’の円環形状を上下反転させたものと同様の円環形状部分2221’と、該円環形状部分2221’の下部に上部金型2210’の円柱形状部分2211’が貫通可能であり、歯車用素材21の外径及び内径と一致する外径及び内径を有する円環形状部分2222’と、を備え、下部に固定される。
側面金型2230’は、円環状の形状を有し、歯車用素材21、上部金型2210’の円環形状及び下部金型2220’の側面に配置され、歯車用素材21の外径と一致する所定の内径(D=48mm)を有する。
【0095】
図14(a)に示すように、歯車用素材21は、上部金型2210’が貫通した状態で、下部金型2220’により支持されて配置される。
図14(b)に示すように、上部金型2210’を所定量押し込むことにより、
図14(c)に示す鍛造成形体22’が形成される。
鍛造成形体22’は、中空円板状部210と、中空円板状部210の内周に軸方向の両側に突出した突出部220’と、備える。
中空円板状部210の板厚H3は、上部金型2210’の押し込み量H1によって調整することができ、歯車用素材21の板厚tから押し込み量H1を減ずることにより算出することができる(
図14(c)参照)。
突出部220’は、軸方向に所定の大きさH2を有し、軸を含む面で切断された断面形状が三角形状となるように形成される。また、突出部220’のうち径方向外側の面は、
後に説明する切削工程によらず、鍛造工程だけで、リム部220Bの径方向外側の面を構成する。
【0096】
<切削工程(内歯車)>
次に
図15を参照して、内歯車200Bの切削工程について説明する。第2の製造方法では、鍛造工程により形成された突出部220’(
図15(a)参照)のうち径方向内側の面を切削することにより、中空円板状部210の軸方向の両側それぞれに第1の中空円錐台状部221B及び第2の中空円錐台状部222Bを形成してリム部220Bとし、リム部形成体23Bを得る。
図15(b)に示すように、リム部220Bは、径方向内側の面が谷型となるように形成される。
【0097】
尚、第2の製造法の鍛造工程において、第1の製造方法の鍛造工程で用いられる金型と同様の金型を用いて突出部を形成後、切削工程において、突出部の全面を切削することによりリム部220Bを形成してもよい。しかしながら、上述のように鍛造工程においてリム部220Bの片面側を形成し、切削工程においてもう片面側を切削により形成してリム部220Bを得る方が、切削量を低減することができるため好ましい。
【0098】
以上、説明したブランク加工工程、鍛造工程、切削工程及び歯切り工程を経て、内歯車200Bが得られる。内歯車200Bについて、硬度を高める必要があるものは、次の工程で焼入れを行う。また、歯部230Bについて、より高精度に形成する必要があるものは、軽度に切削、研削及び研磨等の仕上げ加工工程を行う。
【0099】
以上、説明した本発明の外歯車100A及び内歯車200Bの第2の製造方法によれば、上述の効果(4)及び(6)に加えて、以下の効果を奏する。
【0100】
(7)歯車100A(又は200B)を、鍛造工程の後であって歯切り工程の前に、突出部120’(又は220’)を切削して、円板状部110’又は中空円板状部210の軸方向の両側それぞれに2つの中空円錐台状部121A及び122A(又は221B及び222B)を有するリム部120A(又は220B)を形成する切削工程を更に含むものとした。これにより、リム部120A(又は220B)を鍛造及び切削により形成することができる。また、中空円板状部110(又は210)を切削によらず薄肉に形成することができる。よって、中空円板状部及びリム部を鍛造によらず全て切削により形成する場合に比べて、製造時間を短縮でき、切削量を減らすことができるので、工具寿命の低下を抑制し、材料歩留まりを向上させることができる。
【0101】
(8)歯車100A(又は200B)を、鍛造工程において形成される突出部120’(又は220’)のうち円板状部110’側又は中空円板状部210側の面は、中空円錐台状部121A及び122A(又は221B及び222B)の円板状部110’側又は中空円板状部210側の面を構成しており、切削工程において、突出部120’(又は220’)のうち、円板状部110’とは反対側又は中空円板状部210とは反対側の面が切削されてリム部120A(又は220B)が形成されるものとした。これにより、鍛造工程で形成された突出部の全面を切削することによりリム部を形成する場合に比べて、片側の面だけを切削すればよいので、切削量を低減することができる。
【0102】
次に、本実施形態の外歯車100及び内歯車200の変形例に係る外歯車100C及び内歯車200Cと、それら歯車の製造方法について、
図16及び
図17を参照して説明する。
図16は、変形例に係る外歯車100C及び内歯車200Cを説明するための図である。
【0103】
外歯車100Cは、
図16(a)に示すように、中空円板状部110と、リム部120Cと、歯部130Cと、を備える。
【0104】
リム部120Cは、中空円板状部110の径方向外側の端部において中空円板状部110の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部120Cは、軸方向を含む断面形状が三角形状となるように構成され、径方向外側の面が円柱の側面形状を有し、径方向内側の面が円錐台側面形状を有するように形成される。よって、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0105】
歯部130Cは、リム部120Aの径方向外側の面(中空円板状部110とは反対側の面)に設けられ、この歯部130Cには、複数の歯が形成される。歯部130Cの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0106】
内歯車200Cは、
図16(b)に示すように、中空円板状部210と、リム部220Cと、歯部230Cと、を備える。
【0107】
リム部220Cは、中空円板状部210の径方向内側の端部において中空円板状部210の板厚方向の両側に突出するように設けられる。リム部220Cは、軸方向を含む断面形状が三角形状となるように構成され、径方向内側の面が円柱の側面形状を有し、径方向外側の面が円錐台側面形状を有するように形成される。よって、リム部の形状が円筒状のものに比べて、リム部の軽量化が可能である。
【0108】
歯部230Cは、リム部220Cの径方向内側の面(中空円板状部210とは反対側の面)に設けられ、この歯部230Cには、複数の歯が形成される。歯部230Cの歯すじは、軸に対して平行であっても斜めであってもよい。
【0109】
以上説明した変形例に係る外歯車100C及び内歯車200Cによれば、上述の効果(1)と同様の効果を奏する。
【0110】
次に、変形例に係る外歯車100C及び内歯車200Cを製造する変形例の製造方法について、
図17を参照して説明する。
図17は、変形例の製造方法における外歯車100C及び内歯車200Cの製造工程について、概略を示したものである。
図17に示すように、製造工程は、(1)ブランク加工工程、(2)鍛造工程、(3)歯切り工程及び(4)穴開け工程を経て、必要に応じて焼入れ工程及び仕上げ加工工程を行う。(1)ブランク加工工程及び(4)穴開け工程は、第1の製造方法におけるものと同様であり、(2)鍛造工程は、第2の製造方法におけるものとの同様であるので説明を省略し、(3)歯切り工程について説明する。
【0111】
<歯切り工程>
鍛造工程で得られた鍛造成形体12’の径方向外側の面に、ホブ盤やラック盤等を用いた歯切り加工により複数の歯で構成される歯部130Cを形成する。
また、鍛造工程で得られた鍛造成形体22’の径方向内側の面に、ピニオンカッタ等を用いた歯切り加工により複数の歯で構成される歯部230Cを形成する。
【0112】
以上、説明した本発明の変形例の外歯車100C及び内歯車200Cの変形例の製造方法によれば、上述の効果(4)及び(6)と同様の効果を奏する。
【実施例】
【0113】
<加工条件>
次に、本発明の第1の製造方法における加工条件を確認した結果について説明する。下記の表1に供試材それぞれについての強度や硬度等を示す。供試材はいずれも素板厚さは4mmである。
鍛造工程及び曲げ加工工程において、プレス装置は、800KNサーボプレス(アイダエンジニアリング株式会社製)を用い、プレスモーションはクランクとした。金型は、SKD材を用いた。潤滑油は、G−3456の工作油を用いた。
【0114】
【表1】
【0115】
表1に示した供試材を用いて、外歯車100Aについて、鍛造工程の加工条件を確認した結果を表2に、曲げ加工工程の加工条件を確認した結果を表3に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
表2において、H1は、上部金型1210の押し込み量(mm)を示し、H2は、突出部120の軸方向における大きさ(mm)を示し、H3は、外歯車100Aの中空円板状部110の板厚と同じとなる円板状部110’の板厚(mm)を示し、H3=t−H1(歯車用素材11の板厚t=4mm)の関係を満たす(
図7参照)。また、〇は、良好に加工できたものを示し、×は、上部金型を押し込めなくなった場合や、金型が破損した場合を示す。
表2に示すように、各供試材とも上部金型1210の押し込み量H1を調整することにより、所定の板厚H3を有する円板状部110’を得ることができる。また、各供試材とも、押し込み量H1を2.8mmよりも大きくして円板状部110’の板厚H3を1.2mmよりも小さく形成しようとした場合、素材の流動が生じなくなるために分流鍛造が行えず、良好に加工することができなかった。尚、第2の製造方法及び変形例の製造方法における分流鍛造金型を用いた場合でも、同様の結果を示した。
【0118】
【表3】
【0119】
表3において、θは、上部金型1210が有する円錐台形状の母線が中心軸に対してなす角度であり、突出部120を外径方向に変形させる量が大きいほど、角度が大きくなる(
図8A参照)。また、〇は、良好に加工できたものを示し、×は、突出部120が伸びフランジ変形により、突出部120と円板状部110’(中空円板状部110)との間で割れが生じたものを示す。
表3に示すように、θが52.5°までは、割れを生じさせずに良好に加工することができた。よって、リム部120Aの挟角は、75°以上とすることが可能である。
【0120】
表1に示した供試材を用いて、内歯車200Bについて、鍛造工程の加工条件を確認した結果を表4に、曲げ加工工程の加工条件を確認した結果を表5に示す。
【0121】
【表4】
【0122】
表4において、H1は、上部金型2210の押し込み量(mm)を示し、H2は、突出部220の軸方向における大きさ(mm)を示し、H3は、内歯車200Aの中空円板状部210の板厚(mm)を示し、H3=t−H1(内歯車200Bの歯車用素材21の板厚t=4mm)の関係を満たす(
図10B参照)。また、〇は、良好に加工できたものを示し、×は、上部金型を押し込めなくなった場合や、金型が破損した場合を示す。
表4に示すように、各供試材とも上部金型2210の押し込み量H1を調整することにより、所定の板厚H3を有する中空円板状部210を得ることができる。また、各供試材とも、押し込み量H1を2.4mmよりも大きくして中空円板状部210の板厚H3を1.6mmよりも小さく形成しようとした場合、素材の流動が生じなくなるために分流鍛造が行えず、良好に加工することができなかった。尚、第2の製造方法及び変形例の製造方法における分流鍛造金型を用いた場合でも、同様の結果を示した。
【0123】
【表5】
【0124】
表5において、θは、上部金型2310Bが有する円錐台形状の母線が中心軸に対してなす角度であり、突出部220を内径方向に変形させる量が大きいほど、角度が大きくなる(
図10B参照)。また、〇は、良好に加工できたものを示し、×は、突出部220が縮みフランジ変形により、突出部220と中空円板状部210との間で割れが生じたものを示す。
表5に示すように、θが52.5°までは、割れを生じさせずに良好に加工することができた。よって、リム部220Bの挟角は、75°以上とすることが可能である。
【0125】
以上、本発明の歯車及びその製造方法について実施形態及び実施例について説明したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0126】
例えば、上述の実施形態では、平行軸の歯車や交差軸の歯車として用いる例を示したが、食い違い軸の歯車として用いてもよい。
また、本発明の歯車を、従来の歯車と組み合わせて用いてもよい。