(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
背凭れとなるシートバックを備えるとともに、前記内側カバー部と前記外側カバー部と前記収容部は前記シートバックの後面に設けられている請求項5に記載の乗物用シート。
座部となるシートクッションを備えるとともに、前記内側カバー部と前記外側カバー部と前記収容部は前記シートクッションのシート幅方向における側面に設けられている請求項5に記載の乗物用シート。
前記乗物用シートを乗物室内に設置した状態を基準として、前記内側カバー部にて前記内部構造体を被覆している状態において前記外側カバー部を閉じ姿勢とした場合に、前記内側カバー部の一部は、前記外側カバー部から露出した状態で前記乗物用シートの下面に配置されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで公知技術の構成は、頻繁に出し入れされる他部材を想定して、収容部の開口をシートバックの後面に設けている。しかし捕捉部材のようなシート性能を向上させるための他部材は、頻繁な出し入れが想定されていない場合が多く、収容部内に収容して保持しておくことが望まれる。このため公知技術の構成は、収容すべき他部材の種類が限られ、特にシート性能を向上させるための他部材を収容しておくにはやや不向きの構成となっていた。もっともシートカバーの内側に収容部を設け、この収容部をシートカバーで覆っておくことも考えられる。そして必要に応じて、シートカバーを捲り上げるなどして収容部を露出させ、この収容部に捕捉部材を収容等しておく。しかしシートカバーの内側には、シートフレームやシートパッドなどの内部構造体が配置されている。このため必要に応じて捕捉部材を収容部に収容等する際に、内部構造体が外部に露出するなどして、やや見栄えの悪いシート構成になるおそれがあった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、内部構造体の外部露出を極力回避しつつ、シートカバーの内側に設けられた収容部に他部材を収容して保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シートの意匠面を構成するシートカバーと、シートカバーの内側に配置されている内部構造体と、他部材を収容可能な収容部とを備えている。この種の構成では、内部構造体の外部露出を極力回避しつつ、シートカバーの内側に設けた収容部に他部材を収容して保持することが望ましい。そこで本発明のシートカバーは、意匠面の一部を構成する外側カバー部と、外側カバー部の内側で内部構造体を被覆している内側カバー部と、
外側カバー部及び内側カバー部を除くその他のシートカバー部分とを有し、外側カバー部と内側カバー部の間に収容部が設けられている。そして内側カバー部にて内部構造体を被覆している状態において、外側カバー部は、収容部を覆った状態で意匠面を構成する閉じ姿勢と、収容部をシート外に露出させる開き姿勢との間で変位可能であ
り、内側カバー部は、その他のシートカバー部分とは独立に、内部構造体を被覆する閉じ姿勢と、内部構造体を露出させる開き姿勢との間で変位可能とされている。本発明では、シートカバーに外側カバー部と内側カバー部を設け、外側カバー部は、内側カバー部から独立して開閉可能とされている。そこで内側カバー部で内部構造体を被覆しつつ、外側カバー部を、開き姿勢として収容部を露出させることにより、収容部に他部材を収容して保持することが可能となる。
【0006】
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、大気中の揮発性化合物を捕捉可能な捕捉部材が収容部に収容されている。本発明では、乗物用シートの収容部に捕捉部材を収容することで、シートの性能向上に資する構成となる。そして本発明では、頻繁な出し入れを想定していない捕捉部材を、収容部に収容しつつ外側カバー部で覆っておくことにより、より安定的に収容部に保持しておくことができる。
【0007】
第3発明の乗物用シートは、第1発明又は第2発明の乗物用シートにおいて、乗物用シートを乗物室内に設置した状態を基準として、閉じ姿勢の外側カバー部の上部側は
その他のシートカバー部分に固定されている。そして閉じ姿勢の外側カバー部を捲り上げることによって、外側カバー部を開き姿勢に変位させる構成であり、収容部は、外側カバー部の裏側に設けられているとともに、外側カバー部を捲り上げることによってシート外に露出する構成とされている。本発明では、外側カバー部を捲り上げる比較的簡便な構成にて収容部に他部材を収容することができる。
【0008】
第4発明の乗物用シートは、第1発明〜第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、内側カバー部は
、内側カバー部に設けられた内側係止部を乗物用シートに設けられた被係止部に係止することで閉じ姿勢を維持する構成とされている。そして外側カバー部は、外側カバー部に設けられた外側係止部を被係止部に係止することで閉じ姿勢を維持する構成とされている。本発明では、外側カバー部と内側カバー部の双方を被係止部に係止することが可能であるため、両カバー部をそれぞれ別の箇所に係止する場合に比してシート構成をシンプル化することが可能となる。
【0009】
第5発明の乗物用シートは、第1発明〜第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、外側カバー部と内側カバー部と収容部は、シートの着座面とは異なる箇所に配置されている。本発明では、外側カバー部と内側カバー部と収容部を、シートの着座面とは異なる箇所に設けることにより、シートの着座面の性能を適切に維持しておくことが可能となる。
【0010】
第6発明の乗物用シートは、第5発明の乗物用シートにおいて、背凭れとなるシートバックを備えるとともに、外側カバー部と内側カバー部と収容部はシートバックの後面に設けられている。本発明では、外側カバー部と内側カバー部と収容部を、シートバックの着座面とは異なる箇所に設けることにより、シートバックの着座面の性能を適切に維持しておくことが可能となる。
【0011】
第7発明の乗物用シートは、第5発明の乗物用シートにおいて、座部となるシートクッションを備えるとともに、外側カバー部と内側カバー部と収容部はシートクッションのシート幅方向における側面に設けられている。本発明では、外側カバー部と内側カバー部と収容部を、シートクッションの着座面とは異なる箇所に設けることにより、シートクッションの着座面の性能を適切に維持しておくことが可能となる。
【0012】
第8発明の乗物用シートは、第1発明〜第7発明のいずれかの乗物用シートにおいて、乗物用シートを乗物室内に設置した状態を基準として、内側カバー部にて内部構造体を被覆している状態において外側カバー部を閉じ姿勢とした場合に、内側カバー部の一部は、外側カバー部から露出した状態で乗物用シートの下面に配置されている。本発明では、内側カバー部の一部を、相対的に目立ちにくい下面で外側カバー部から露出させておく。そして外側カバー部と内側カバー部を外部に露出させておくことで、これら各カバー部の区別が容易となり、使い勝手の良いシート構成となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る第1発明によれば、内部構造体の外部露出を極力回避しつつ、シートカバーの内側に設けた収容部に他部材を収容して保持することができる。また第2発明によれば、収容部に他部材としての捕捉部材を収容して保持することができる。また第3発明によれば、比較的簡便な構成によって、収容部に他部材を収容して保持することができる。また第4発明によれば、比較的シンプルな構成によって、内部構造体の外部露出を極力回避しつつ、収容部に他部材を収容して保持することができる。また第5発明によれば、シート性能を極力維持しつつ、収容部に他部材を収容して保持することができる。また第6発明によれば、シートバックの性能を極力維持しつつ、収容部に他部材を収容して保持することができる。また第7発明によれば、シートクッションの性能を極力維持しつつ、収容部に他部材を収容して保持することができる。そして第8発明によれば、シートの使い勝手を向上させつつ、収容部に他部材を収容して保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜
図8を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートが乗物室内に設置されている状態を基準として、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。また
図4では、便宜上、外側カバー部を捲り上げて開き姿勢としている。また
図5では、便宜上、外側カバー部と内側カバー部に異なるハッチを付けて図示している。
【0016】
[実施例1]
図1の乗物用シート2は、乗物室内に設置される部材であり、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4の後部にシートバック6(詳細後述)の下部が起倒可能に連結され、シートバック6の上部にヘッドレスト8が設けられている。
【0017】
[シートバック・他部材(捕捉部材)]
シートバック6は、乗員の背凭れとなる部材であり、
図1及び
図2を参照して、上述の基本構成6F,6P,6Sと、他部材の一例である捕捉部材10と、収容部26と、外側カバー部20と、内側カバー部30を有している(各部材の詳細は適宜後述)。そしてシートバック6では、シートカバー6Sにて意匠面が構成されるとともに、このシートカバー6Sによって、内部構造体IMとなるシートフレーム6Fとシートパッド6Pが被覆されている。さらにシートカバー6Sの内側には収容部26が設けられており、この収容部26に、板状の捕捉部材10が収容されて保持されている。ここで捕捉部材10は、大気中の揮発性化合物を捕捉可能な活性炭などの部材であり、典型的に乗員による出し入れが想定されておらず、収容部26内に収容された状態を維持しておくことが望まれる。すなわち捕捉部材10を収容部26内に保持しておくことにより、例えばホルムアルデヒドを捕捉することで乗物室内が清浄化されたり、におい成分を捕捉することで乗物室内の快適性が向上したりする。そして必要に応じて(本実施例では後述するシートバック6の形成時に)収容部26に捕捉部材10を収容するのであるが、このとき内部構造体IMが極力外部に露出しないように配慮すべきである。そこで本実施例では、後述する構成(内側カバー部30,外側カバー部20)によって、内部構造体IMの外部露出を極力回避しつつ、シートカバー6Sの内側に設けた収容部26に捕捉部材10を収容して保持することとした。以下、各構成について詳述する。
【0018】
[シートフレーム・シートパッド(内部構造体)]
シートバック6では、
図2に示すように、内部構造体IMとしてのシートフレーム6Fとシートパッド6Pがシートカバー6Sの内側に配置される。シートフレーム6Fは、典型的に正面視で略矩形又はアーチ状の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。このシートフレーム6Fの適宜の位置には各種の電装部品やワイヤハーネス等(図示省略)を配設することが可能である。またシートパッド6Pは、シートバック6の外形形状をなしている部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m
3〜60kg/m
3)などの発泡樹脂で形成できる。このシートパッド6Pには、
図1及び
図2を参照して、シートの着座面となる天板メイン部6a及び左右の天板サイド部6bと、左右のカマチ面6cと、後面6dが形成されている。天板メイン部6aは、シート幅方向中央に形成された乗員の着座が可能な部位である。また左右の天板サイド部6bは、天板メイン部6aの側方で相対的に前方に向けて山なりに盛り上がっている部位である。また左右のカマチ面6cは、それぞれシート幅方向におけるシートバック6の側面をなす部位である。また後面6dは、シートバック6の後側の面を構成する部位であり、この後面6dの下部側には切欠き部(図示省略)が設けられている。このためシートバック6をシートフレーム6F上に配置した状態では、シートパッド6Pの後面6dの下部側からシートフレーム6Fの一部が後方に露出した状態となる。
【0019】
[シートカバー]
またシートカバー6Sは、シートの意匠面を構成する面材であり、
図1及び
図4に示すように複数の表皮ピースを縫合することで形成されている。例えばシートカバー6Sをなす表皮ピースは、メイン表皮ピースSP1と、左右のサイド表皮ピースSP2,SP3と、左右のカマチ表皮ピースSP4,SP5と、リア表皮ピースSP6に大別できる。各表皮ピースSP1〜SP6の素材として、シートの意匠面を構成可能な面材を用いることができ、例えば皮革(天然皮革,合成皮革)や布帛(織物,編物,不織布)を適宜選択して用いることができる。
【0020】
ここで
図1に示すメイン表皮ピースSP1は、天板メイン部6aを被覆する表皮ピースであり、左右のサイド表皮ピースSP2,SP3は、それぞれ対応する天板サイド部6bを被覆する表皮ピースである。また
図4に示す左右のカマチ表皮ピースSP4,SP5は、それぞれ対応するカマチ面6cを被覆する表皮ピースであり、リア表皮ピースSP6(詳細後述)は、シートパッド6Pの後面6d側を被覆する表皮ピースである。これら各表皮ピースSP1,SP6等は、
図2に示すように複数又は単数の表皮片Sx,Sa〜Sdを縫合することで形成されている(
図2では、便宜上、特定の表皮片に特定の符号Sa,Sb,Sc,Sdを付し、その他の表皮片には共通の符号Sxを付す)。また隣り合う表皮片の間には、互いの縫い代部分を中表状に縫合する縫合線SEWが設けられている。
【0021】
そしてリア表皮ピースSP6は、
図2を参照して、複数の表皮片(第一表皮片Sa,第二表皮片Sb,第三表皮片Sc,ポケット表皮片Sd)と、後述する外側カバー部20及び内側カバー部30とを有している。ここで第一表皮片Sa〜第三表皮片Scは、各々、左右方向に長尺な矩形状をなす面材であり、リア表皮ピースSP6の上端から下部にかけての部分を構成している。第一表皮片Saは、リア表皮ピースSP6の上端から下方に延びている面材であり、第二表皮片Sbは、第一表皮片Saの下縁に縫合され且つその下方に配置されている面材である。また第三表皮片Scは、第一表皮片Saと第二表皮片Sbの裏側に配置されている面材である。この第三表皮片Scの上端は、第一表皮片Saの上端側に上側継ぎ布JC1を介して取り付けられており、第三表皮片Scの下端は、第二表皮片Sbの下端側に下側継ぎ布JC2を介して取り付けられている。そして各表皮片Sa,Sb,Scの左右端は、それぞれ
図4の各サイド表皮ピースSP2,SP3の後端に縫合されている。またポケット表皮片Sdは、第一表皮片Saと第二表皮片Sbの後側に対面状に配置された二重の表皮片である。このポケット表皮片Sdは、第一表皮片Sa及び第二表皮片Sbとの間にポケット状の空間部を形成するようにリア表皮ピースSP6に設けられている。すなわちポケット表皮片Sdの上縁は、第一表皮片Saと第二表皮片Sbには縫合されておらず開閉可能な状態となっている。なおポケット表皮片Sdの上縁は袋状となっており、この袋状となった上縁部分には、左右に長尺な板状の樹脂板12が挿設されている。そしてポケット表皮片Sdの下端は、第二表皮片Sbの下端に第一縫合線SEW1で縫合され、ポケット表皮片Sdの左右端は、
図4の各カマチ表皮ピースSP4,SP5に縫合されている。
【0022】
[外側カバー部]
外側カバー部20は、
図1を参照して、シートバック6の下端からシートクッション4の下面にかけての部分(境目部分)を後方から覆う面材であり、
図2〜
図4に示す後述の収容部26を裏側に有している。この外側カバー部20は、
図2及び
図3を参照して、シートカバー6Sの他の部位をなす第二表皮片Sbの下端に第一縫合線SEW1で縫合されている。そして外側カバー部20は、第二表皮片Sbに隣接している上側部位20aと、この上側部位20aに一体となっている下側部位20bとを有している。上側部位20aは、
図3及び
図4を参照して、第二表皮片Sbと概ね左右の寸法が同一とされた略矩形の面状部位である。この上側部位20aの上縁は、外側カバー部20を下方に垂下させた状態において、第一縫合線SEW1で第二表皮片Sbの下端に縫合されている。また下側部位20bは、上側部位20aよりも左右の寸法が狭小とされた面状部位であり、外側カバー部20を下方に垂下させた状態で上側部位20aの下方に配置されている。この下側部位20bの下縁には、バンド状の外側係止部22が取り付けられている。そして外側係止部22は、左右に長尺なゴム弾性を有する帯材であり、
図5に示すように概ねU字をなした状態でその左右端が外側カバー部20の下縁側に固定されている。なお外側カバー部20の素材は特に限定しないが、表皮ピースで例示の素材を用いることができ、表皮ピースの素材よりも剛性に優れる素材(例えば厚手の布帛)を用いることもできる。
【0023】
[収容部]
収容部26は、
図2〜
図4を参照して、捕捉部材10を収容するための部位であり、収容当て材24と当て面材28とを有して、外側カバー部20と内側カバー部30の間に配置されている。ここで収容当て材24は、上下に長尺な帯状の面材であり、外側カバー部20の裏面に接した状態で取り付けられている。この収容当て材24は、
図4に示すように外側カバー部20の左右の中央に配置されているとともに、外側カバー部20を上下に横断している。そして
図3に示す外側カバー部20を下方に垂下させた状態において、収容当て材24の下端は、下側部位20bの下縁側に取り付けられている。本実施例では、下側部位20bの下縁側に、左右に長尺な当て面材28が縫合されており、これら下側部位20bの下縁と収容当て面材28の双方に、収容当て材24の下端が縫合されて取り付けられている。そして収容部26は、左右方向に長尺な面材で構成されており、収容当て材24との間にポケット状の空間部を形成するように外側カバー部20の裏側に設けられている。すなわち収容部26の下縁は、収容当て材24と外側カバー部20には縫合されておらず開閉可能な状態となっている。そして収容部26の上縁は、
図3に示すように収容当て材24の上縁に連結縫合線SEW3にて縫合されており、収容部26の左縁と右縁は、
図4に示す上側部位20aの対応する縁に縫合線sewで縫合されている。なお収容部26及び当て面材28の素材は特に限定しないが、表皮ピースで例示の素材を用いることができ、表皮ピースの素材よりも剛性に優れる素材(例えば厚手の布帛)を用いることもできる。
【0024】
そして外側カバー部20は、閉じ姿勢と開き姿勢との間で変位可能な状態とされてリア表皮ピースSP6に設けられている。閉じ姿勢の外側カバー部20は、
図1に示すようにシートバック6とシートクッション4の境目部分を後方から覆うことでシートの意匠面の一部を構成している。この閉じ姿勢の外側カバー部20は、
図2及び
図3を参照して、第二表皮片Sbの下端(第一縫合線SEW1)から下方に垂下した状態となって、収容部26を覆うようにシートバック6の最も外側に配置されている。そして外側カバー部20の外側係止部22を、
図5に示すようにシートクッション4側(後述の各被係止部44,46)に係止することで、この外側カバー部20の閉じ姿勢が維持される。また開き姿勢の外側カバー部20は、
図4に示すように捲り上げられた状態となっており、上側部位20aと下側部位20bの位置が逆転し、さらに外側カバー部20の裏面が外部に露出した状態となっている。このため開き姿勢の外側カバー部20では、裏側に配置する収容部26が外部に露出した状態となり、さらに収容部26の開口が上方を向いた状態となる。
【0025】
[内側カバー部]
内側カバー部30は、
図2〜
図4を参照して、外側カバー部20の内側に配置されている面材であり、シートバック6の内部構造体IMを覆うことができる。この内側カバー部30は、概ね矩形状の面材であり、外側カバー部20よりも上下の寸法がやや長尺とされている。また内側カバー部30の左右の寸法は、外側カバー部20の上側部位20aよりも短尺であるが、下側部位20bよりは長尺とされている。そして内側カバー部30は、
図2及び
図3に示すように外側カバー部20よりもシート内(各図では前側)に配置された状態で、第二表皮片Sbの下側に取り付けられている。本実施例においては、第二表皮片Sbと外側カバー部20を縫合する第一縫合線SEW1に下端継ぎ布JC3が共縫いされており、この下端継ぎ布JC3に対して第二縫合線SEW2で内側カバー部30の上縁が縫合されている。そして内側カバー部30の下縁には、バンド状の内側係止部32が取り付けられている。この内側係止部32は、左右に長尺なゴム弾性を有する帯材であり、
図5に示すように概ねU字をなした状態でその左右端が内側カバー部30の下縁側に固定されている。なお内側カバー部30の素材は特に限定しないが、表皮ピースで例示の素材を用いることができ、表皮ピースの素材よりも剛性に優れる素材(例えば厚手の布帛)を用いることもできる。
【0026】
そして本実施例では、内側カバー部30も、閉じ姿勢と開き姿勢との間で変位可能な状態とされてリア表皮ピースSP6に設けられている。閉じ姿勢の内側カバー部30は、
図1に示すように外側カバー部20の内側に配置された状態で、シートバック6とシートクッション4の境目部分に配置されている。この閉じ姿勢の内側カバー部30は、
図2及び
図3を参照して、下端継ぎ布JC3(第二縫合線SEW2)から下方に垂下した状態となって、シートバック6を後方から見た場合に内部構造体IMを被覆した状態となっている。そして内側カバー部30の内側係止部32を、
図5に示すようにシートクッション4側(後述の各被係止部44,46)に係止することで、この内側カバー部30の閉じ姿勢が維持される。また開き姿勢の内側カバー部30(図示省略)は、下端継ぎ布JC3(第二縫合線SEW2)を基点に捲り上げられた状態となる。このように内側カバー部30を開き姿勢とすることで、シートバック6を後方から見た場合に内部構造体IMが外部に露出した状態となる。
【0027】
[シートクッション]
シートクッション4は、
図1及び
図5を参照して、座部となる上方視で略矩形の部材であり、上述の基本構成4F,4P,4Sと、左右一対のSバネ41,42と、左右一対の被係止部44,46を有している。そしてシートクッション4のシートフレーム4Fは、
図5を参照して、フロントフレーム4Faと、一対のサイドフレーム4Fbと、補強フレーム4Fcと、リアフレーム4Fdを有している。フロントフレーム4Faは、シートフレーム4F前部を構成する板状の部材である。また一対のサイドフレーム4Fbは、それぞれシートフレーム4F側部を構成する板状の部材であり、左右に分かれた状態で対面状に配置されている。また補強フレーム4Fcは、左右方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4Fbの前端に配置してこれらの間に橋渡し状に設けられている。またリアフレーム4Fdは、左右方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4Fbの後部でこれらの間に橋渡し状に設けられている。このリアフレーム4Fdは、シート前後方向において補強フレーム4Fcから適宜の間隔で離間しており、これら両フレーム4Fc,4Fdの間に後述する各Sバネ41,42が配設される。
【0028】
左右一対のSバネ(右側Sバネ41,左側Sバネ42)は、
図5を参照して、シートクッション4のシートパッド(図示省略)を裏側から支持する部材である。右側Sバネ41は、シート右側に配置する上方視で略U字状の線バネであり、右側の線バネ部分41aと左側の線バネ部分41bとが左右対称に配置されている。また左側Sバネ42は、シート左側に配置する上方視で略U字状の線バネであり、左側の線バネ部分42aと右側の線バネ部分42bとが左右対称に配置されている。これら各Sバネの線バネ部分41a,41b,42a,42bは、概ねS字等をなすように左右方向に適宜の位置で湾曲しつつ前後方向に延びている。また右側Sバネ41と左側Sバネ42の下側には、左右方向に延びている連結部材43が横断するように配置されている。これら連結部材43と各Sバネ41,42とは、これらの交わる箇所で複数の樹脂製のブラケットBM,BM1,BM2にて連結されている(
図5では、便宜上、特定のブラケットに特定の符号BM1,BM2を付し、その他のブラケットには共通の符号BMを付す)。
【0029】
[被係止部]
そして左右一対の被係止部44,46は、外側係止部22と内側係止部32とを引掛けた状態で係止する部位である。これら左右一対の被係止部44,46は、特定のブラケット(BM1,BM2)に一体的に設けられて左右対称に配置されている。すなわち右側の被係止部44は、右側Sバネ41の右側の線バネ部分41bに設けられた右ブラケットBM1の一部をなしている。この右側の被係止部44は、下面視で左右に長尺な矩形の板状部位であり、右ブラケットBM1から右方に突出している。また左側の被係止部46は、左側Sバネ42の線バネ部分42bに設けられた左ブラケットBM2の一部をなしている。この左側の被係止部46は、下面視で左右に長尺な矩形の板状部位であり、右側の被係止部44と左右対称となるように左ブラケットBM2から左方に突出している。
【0030】
[シートバックの形成作業]
図1〜
図3を参照して、シートバック6の形成に際しては、シートフレーム6F上のシートパッド6Pをシートカバー6Sにて被覆し、さらにシートカバー6Sの内側に設けられた収容部26に捕捉部材10を収容して保持しておく。このときシートカバー6Sの一部を捲り上げるなどして収容部26に捕捉部材10を収容するのであるが、この種の作業では、内部構造体IMとしてのシートフレーム6Fやシートパッド6Pが極力外部に露出しないように配慮すべきである。そこで本実施例のシートカバー6Sは、意匠面の一部を構成する外側カバー部20と、外側カバー部20の内側で内部構造体IMを被覆している内側カバー部30とを有し、外側カバー部20と内側カバー部30の間に収容部26が設けられている。そして内側カバー部30にて内部構造体IMを被覆している状態において、外側カバー部20は、収容部26を覆った状態で意匠面を構成する閉じ姿勢と、収容部26をシート外に露出させる開き姿勢との間で変位可能である。
【0031】
すなわち本実施例では、
図2及び
図5を参照して、内側カバー部30を閉じ姿勢とすることで、この内側カバー部30が、内部構造体IMを後方から覆いつつ、シートバック6の下端からシートクッション4の下面に回り込んだ状態となっている。そして内側カバー部30の内側係止部32が、前方に牽引された状態で左右の被係止部44,46に掛け回して係止されることで、この内側カバー部30の閉じ姿勢が維持されている。このように内側カバー部30を閉じ姿勢で維持することにより、この内側カバー部30で内部構造体IMが外部に露出しないように被覆しておくことができる。
【0032】
そして内側カバー部30にて内部構造体IMを被覆している状態において、外側カバー部20を、
図4に示す開き姿勢に変位させることができる。すなわち外側カバー部20を、上方に捲り上げて開き姿勢とすることにより、外側カバー部20の裏側に設けられている収容部26が外部に露出する。この開き姿勢の外側カバー部20では、上側部位20aと下側部位20bの位置が逆転して、外側カバー部20の裏面が外部に露出した状態となっている。このため収容部26は、収容部26の開口が上方を向いた状態で、上側部位20aとともに相対的に上方に配置されて作業者の手元付近に配置される。こうして本実施例では、内側カバー部30にて内部構造体IMの外部露出を回避しつつ、収容部26に捕捉部材10を収容することができる。このとき収容部26を、外側カバー部20を捲り上げて作業者の手元近くに配置させることにより、捕捉部材10を収容部26にスムーズに収容することが可能となる。
【0033】
そして収容部26に捕捉部材10を収容したのち、外側カバー部20を下方に垂下させて閉じ姿勢とする。このとき本実施例では、
図2及び
図5に示すように、外側カバー部20が、シートバック6とシートクッション4の境目部分を覆いつつ、シートクッション4の下面側に回り込む。この状態で外側カバー部20の外側係止部22を、内側カバー部30と同様に左右の各被係止部44,46に係止することで、外側カバー部20の閉じ姿勢を維持することができる。そして閉じ姿勢の外側カバー部20によって収容部26を被覆することにより、捕捉部材10をより安定的に収容部26に収容しておくことができる。こうして捕捉部材10を収容部26内に安定的に保持して、乗物室内の清浄化や快適性を向上させることにより、シート性能の向上に資する構成となる。また本実施例では、外側カバー部20と内側カバー部30と収容部26を、シートバック6の後側(シートパッド6Pの後面6d)に設けている。このためシートバック6の着座面(6a,6b)の着座性や意匠性が、各カバー部20,30や捕捉部材10等によって影響を受けるといった事態を好適に回避することができる。
【0034】
なお乗物用シート2では、通常時における捕捉部材10の乗員による出し入れを想定していないが、シートのメンテナンスや修理時などには捕捉部材10を出し入れすることがある。このとき本実施例では、
図5に示すように内側カバー部30の下部が、外側カバー部20の下側部位20bよりも幅広とされて外部に露出している。このため各カバー部20,30を目視で確認することが可能となり(各カバー部の区別が容易となり)、外側カバー部20のみを手早く開き姿勢とすることが可能となる。さらに内側カバー部30の露出している部分に、LEDなどの発光部材(図示省略)を取り付けておくことも可能である。こうすることで通常時において発光部材で乗物床面に光を当てることが可能となり、乗員の使い勝手が向上するとともに、シートの意匠性をより向上させることができる。
【0035】
以上説明した通り本実施例では、シートカバー6Sに外側カバー部20と内側カバー部30を設け、外側カバー部20は、内側カバー部30から独立して開閉可能とされている。そこで内側カバー部30で内部構造体IMを覆って保護しつつ、外側カバー部20を、開き姿勢として収容部26を露出させることにより、収容部26に捕捉部材10(他部材)を収容して保持することが可能となる。また本実施例では、頻繁な出し入れを想定していない捕捉部材10を、収容部26に収容しつつ外側カバー部20で覆っておくことにより、より安定的に収容部26に保持しておくことができる。また本実施例では、外側カバー部20を捲り上げる比較的簡便な構成にて収容部26に捕捉部材10を収容することができる。また本実施例では、外側カバー部20と内側カバー部30の双方を被係止部44,46に係止することが可能であるため、両カバー部20,30をそれぞれ別の箇所に係止する場合に比してシート構成をシンプル化することが可能となる。また本実施例では、外側カバー部20と内側カバー部30と収容部26を、シートの着座面とは異なる箇所に設けることにより、シートの着座面の性能を適切に維持しておくことが可能となる。すなわち外側カバー部20と内側カバー部30と収容部26を、シートバック6の着座面(6a,6b)とは異なる箇所(6d)に設けることにより、シートバック6の着座面(6a,6b)の性能を適切に維持しておくことが可能となる。そして本実施例では、内側カバー部30の一部を、相対的に目立ちにくい乗物用シート2の下面で外側カバー部20から露出させておく。そして外側カバー部20と内側カバー部30を外部に露出させておくことで、これら各カバー部20,30の区別が容易となり、使い勝手の良いシート構成となる。このため本実施例によれば、内部構造体IMの外部露出を極力回避しつつ、シートカバー6Sの内側に設けた収容部26に捕捉部材10(他部材)を収容して保持することができる。
【0036】
[変形例1]
ここで収容部の構成は、上述の構成のほか各種の構成を取り得る。例えば
図6に示す変形例1のシートカバー6Sでは、収容部26Aが、外側カバー部20との間にポケット状の空間部を形成するように外側カバー部20の裏側に設けられている点が実施例1と異なっている。この収容部26Aの下縁は、外側カバー部20には縫合されておらず開閉可能な状態となっている。そして収容部26Aの上縁は内折りされているとともに、この内折りされている上縁が、外側カバー部20に複数の連結縫合線SEW3,SEW4にて縫合されており、収容部26Aの左縁と右縁は、
図4に示す上側部位20aの対応する縁に縫合されている。そして本変形例では、実施例1の収容当て材を設ける必要がないため、収容部26Aの構成をシンプル化することができ、シートの部品点数削減に資する構成となっている。
【0037】
[変形例2]
また
図7に示す変形例2では、収容部26Bが、中間カバー部27との間にポケット状の空間部を形成するように設けられている点が実施例1と異なっている。この中間カバー部27は、第一縫合線SEW1に縫合された状態で下方に垂下している面材であり、外側カバー部20と内側カバー部30の間に配置されている。そして収容部26Bの下縁は、中間カバー部27には縫合されておらず開閉可能な状態となっている。また収容部26Bの上縁は中間カバー部27に別の連結縫合線SEW5にて縫合されており、収容部26Bの左縁と右縁は、
図4に示す上側部位20aの対応する縁に縫合されている。本変形例では、収容部26Bとその一部をなす中間カバー部27とを、外側カバー部20と内側カバー部30とは別に設けたことで、外側カバー部20と内側カバー部30の構成をシンプル化することが可能となる。
【0038】
[実施例2]
本実施例の乗物用シート2Aは、実施例1の乗物用シート2とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。実施例2の乗物用シート2Aでは、
図8を参照して、シートクッション4に、外側カバー部20と内側カバー部30と収容部26が設けられている点が実施例1と異なっている。このシートクッション4は、内部構造体として、シートフレーム4Fと、シートパッド4Pを有しており、シートフレーム4Fとシートパッド4Pは、実施例1の対応する部材と概ね同一構成を有している。そしてシートパッド4Pには、シートの着座面となる天板メイン部4a及び左右の天板サイド部4bと、左右のカマチ面4cが形成されている。天板メイン部4aは、シート幅方向中央に形成された乗員の着座が可能な部位である。また左右の天板サイド部4bは、天板メイン部4aの側方で相対的に上方に向けて山なりに盛り上がっている部位である。また左右のカマチ面4cは、それぞれシート幅方向におけるシートクッション4の側面をなす部位である。
【0039】
そして本実施例においては、左側のカマチ面4cに、外側カバー部20と、内側カバー部30と、収容部26が設けられており、これら各部20,30,26の基本構成は、実施例1の対応する部材と概ね同一である。そして外側カバー部20は、左側のカマチ面4cからシートクッション4の下面にかけての部分を覆っており、外側カバー部20の上縁は、天板サイド部4b側のシートカバー部分に取り付けられている。また内側カバー部30は、外側カバー部20の内側に配置されており、内側カバー部30の上縁も、天板サイド部4b側のシートカバー部分に取り付けられている。なおこれら両カバー部20,30の係止構成は実施例1と概ね同一とすることができる。このため本実施例においても、収容部26に捕捉部材10を収容するに際して、内側カバー部30を閉じ姿勢で維持しつつ外側カバー部20を開き姿勢とすることができる。また外側カバー部20を、上側に捲り上げて開き姿勢とすることにより、捕捉部材10を収容部26にスムーズに収容することが可能となる。そして本実施例では、外側カバー部20と内側カバー部30と収容部26を、シートクッション4の着座面(4a,4b)とは異なる箇所(4c)に設けることにより、シートクッション4の着座面(4a,4b)の性能を適切に維持しておくことが可能となる。
【0040】
本実施形態の乗物用シート2,2Aは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、外側カバー部20と内側カバー部30の構成(形状,寸法,配置位置,配置数など)を例示したが、各カバー部の構成を限定する趣旨ではない。例えば内側カバー部は、内部構造体全てが外部に露出しないように被覆する構成でもよく、シートの見栄えを極端に悪化させない程度に内部構造体を被覆する構成(内部構造体の一部の露出を許容する構成)とすることもできる。また内側カバー部は、閉じ姿勢を維持可能な構成であればよく、必ずしも開き姿勢に変位可能な構成とする必要はない。例えばシェル状(樹脂製)の内側カバー部にて内部構造体を被覆しておくこともできる。また外側カバー部と内側カバー部とは、対応する係止部として、バンド状の係止部のほかに、線ファスナや面ファスナや点ファスナ構造を備えた係止部を採用することができ、クリップやボルト材などの他部材を用いた係止部を採用することもできる。また外側カバー部と内側カバー部は、それぞれ乗物用シートの異なる位置に係止して閉じ姿勢を維持する構成とすることもできる。また閉じ姿勢とされた内側カバー部の少なくとも一部を、閉じ姿勢とされた外側カバー部の適宜の位置から露出させることができる。また閉じ姿勢とされた内側カバー部を、閉じ姿勢とされた外側カバー部から露出させない構成とすることも可能である。また係止部を係止すべき被係止部は、シートクッションに設けられている左右一対の被係止部のほか、シートクッションとシートバックの適宜の部材で構成することが可能であり、複数又は単数の被係止部を形成することもできる。
【0041】
また本実施形態では、収容部26等と他部材の構成(形状,寸法,配置位置,形成数など)を例示したが、収容部と他部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば収容部をなす面材の少なくとも一部を、線ファスナや面ファスナや点ファスナなどを用いて収容当て材等に取り付ける構成とすることができる。また収容部の素材として樹脂製又は金属製の板材を用いることが可能であり、この場合には、樹脂製の板材をポケット状に成形したり、金属製の板材をポケット形状に加工したりすることが可能である。そして収容部は、外側カバー部と内側カバー部とともに乗物用シートの適宜の位置に設けることが可能である。また他部材として各種の部材を想定することができ、例えば捕捉部材のほかに通信機器やセンサなどの部材(シート性能の向上に資する部材)を想定可能であるが、これらに限る必要性はない。そして他部材の形状などに応じて収容部の形状等を設定することが可能である。なお捕捉部材の素材として、活性炭のほか、捕捉成分及びその担持体を例示でき、捕捉成分として、揮発性アルデヒド類とシッフ反応可能なアミン化合物を例示できる。なお収容部の開口は、外側カバー部を閉じ姿勢とした場合に収容部の上下左右の適宜の位置に設けておくことができる。
【0042】
そして外側カバー部と内側カバー部と収容部は、乗物用シートの適宜の位置に設けることが可能であり、必要に応じて着座面に設けることも可能である。例えばシートバックの場合には、シートバック後面の下端からシートクッションの下面にかけての部分(外側カバー部を下帯カバーとして機能させる例)だけでなく、着座面、上面、下面、左右のカマチ面及び後面の少なくとも一つに外側カバー部と内側カバー部と収容部を設けることができる。また同様にシートクッションの場合においても、カマチ面の下端からシートクッションの下面にかけての部分だけでなく、着座面、下面、前面、後面、左右のカマチ面の少なくとも一つに外側カバー部と内側カバー部と収容部を設けることができる。
【0043】
また本実施形態では、乗物用シート2,2Aの各種の構成を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。なお各実施例の構成と各変形例の構成は、可能ならば適宜組み合わせて用いることができる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物用シート全般に適用できる。