(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981243
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】歯磨剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20211202BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20211202BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20211202BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20211202BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20211202BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20211202BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20211202BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/19
A61K8/24
A61K8/44
A61Q11/00
A61K8/23
A61K8/365
A61K8/362
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-251077(P2017-251077)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-116442(P2019-116442A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 浩
(72)【発明者】
【氏名】成松 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅人
【審査官】
小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−530608(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0239736(US,A1)
【文献】
特開2016−141661(JP,A)
【文献】
特開2003−137755(JP,A)
【文献】
特表2013−535450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性銅化合物、
(B)(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミド、及び
(C)炭素数10以下である有機酸、ポリリン酸、α−アミノ酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上
を含有し、(B)/(A)が質量比として0.00005以上、かつ(C)/(A)が質量比として0.005〜30であることを特徴とする歯磨剤組成物。
【請求項2】
(A)水溶性銅化合物が、グルコン酸銅、クエン酸銅及び硫酸銅から選ばれる1種以上である請求項1記載の歯磨剤組成物。
【請求項3】
上記有機酸が、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びエデト酸から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
【請求項4】
(B)/(A)が質量比として0.0001以上0.5以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項5】
(C)/(A)が質量比として0.1以上5以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項6】
(A)成分を0.01〜5質量%、(B)成分を0.00001〜0.02質量%、(C)成分を0.01〜10質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項7】
練歯磨剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性銅化合物を含有し、優れた口臭抑制効果及びひきしめ感を与え、かつ金属味が軽減し、味の良い使用感を有する歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物は、歯周病に由来する口臭、特に口臭成分であるメチルメルカプタンを抑制する効果があることが知られている。
一方で、水溶性銅化合物には金属味や嫌味があることから、口腔用組成物の使用性改善のため、水溶性銅化合物にキレート剤を併用して錯イオンを形成することで、金属味等をマスキングすることが行なわれている。
しかしながら、金属味をマスキングするにつれて、錯体を形成した水溶性銅塩は口腔内での有効性を十分に発揮できなくなるというトレードオフの関係があり、水溶性銅化合物の効果を最大限に活かすことができなかった。
【0003】
特許文献1(特許第2580657号公報)は、グルコン酸銅等の銅化合物にクエン酸等の多塩基酸又はその塩を併用して配合した、口臭抑制効果が優れる練歯磨を提案している。特許文献2(特開平4−159211号公報)では、アミノ酸の配合によって可溶性銅化合物の残存量を改善し、また、特許文献3(特許第3922329号公報)では、グルコン酸銅等の水溶性遷移金属化合物と縮合リン酸とを配合した歯磨組成物に特定のアミノ酸を配合すると、収斂性及び金属味を改善できることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2580657号公報
【特許文献2】特開平4−159211号公報
【特許文献3】特許第3922329号公報
【特許文献4】特開2014−125440号公報
【特許文献5】特表2012−508741号公報
【特許文献6】特開2003−137755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、水溶性銅化合物を含有し、優れた口臭抑制効果及びひきしめ感を与え、かつ金属味が抑制され、味の良い使用感を有する歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、水溶性銅化合物と特定のキレート作用を有する物質とを配合した歯磨剤組成物に、(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミドを特定の量比で配合すると、水溶性銅化合物による金属味をマスキングして軽減し、かつ水溶性銅化合物による効果を十分に活かして口臭抑制効果及びひきしめ感を向上できることを知見した。即ち、本発明によれば、(A)水溶性銅化合物と、キレート作用を有する物質として(C)炭素数10以下である有機酸、ポリリン酸、α−アミノ酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上とを配合した歯磨剤組成物に、(B)(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミドを配合し、(B)/(A)が質量比として0.00005以上、かつ(C)/(A)が質量比として0.005〜30であることで、優れた口臭抑制効果及びひきしめ感を与え、かつ金属味が抑制され、味の良い使用感を有する歯磨剤組成物を提供できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
本発明では、(A)及び(C)成分に(B)成分を組み合わせると、(B)/(A)及び(C)/(A)の質量比がそれぞれ特定範囲内で、(B)成分によって(A)成分による金属味が特異的にマスキングされて軽減し、同時に、キレート剤である(C)成分が併用されていても(A)成分による作用効果が満足かつ十分に発揮され、これにより、口臭抑制効果及びひきしめ感の向上と金属味の抑制とを両立できた。
後述の比較例にも示すように、(A)、(B)及び(C)成分が配合されていても、(B)/(A)の質量比又は(C)/(A)の質量比が不適切であると金属味のなさが劣り(×、比較例8、9)、(B)成分が配合されていないと、(A)及び(C)成分が配合され、メンタンカルボキサミド類のN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドが配合されていても、あるいは歯磨剤用の香料として一般的なメントールが配合されていても金属味のなさが劣り(×、比較例3〜5)、これらの場合は本発明の作用効果が劣るものであった。これに対して、実施例に示すように、本発明の(A)、(B)及び(C)成分を特定量比で含有する歯磨剤組成物は、口臭抑制効果及びひきしめ感が優れ、金属味も少ないものであった。
本発明によれば、キレート剤の配合量を抑えることも可能であり、水溶性銅化合物の効果への悪影響を防止することもできる。
口腔用組成物において、冷感剤のメンタンカルボキサミド類が、使用感の改善に応用されることは公知(特許文献4〜6;特開2014−125440号公報、特表2012−508741号公報、特開2003−137755号公報)であり、特許文献6ではグルコン酸銅を配合した練歯磨剤の金属味の改善に、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド及びメントールを使用している。しかし、本発明では、(B)成分によって、口臭抑制効果及びひきしめ感と金属味とが改善し、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドやメントールを使用した場合には達成できない格別な作用効果を奏するものである。なお、特許文献6では、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドの配合量が比較的多く、冷感が非常に強い香味に制限される場合があるが、本発明では(B)成分の配合量が少なくても作用効果が得られるため、上記のような課題も生じ難い。
【0008】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)水溶性銅化合物、
(B)(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミド、及び
(C)炭素数10以下である有機酸、ポリリン酸、α−アミノ酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上
を含有し、(B)/(A)が質量比として0.00005以上、かつ(C)/(A)が質量比として0.005〜30であることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)水溶性銅化合物が、グルコン酸銅、クエン酸銅及び硫酸銅から選ばれる1種以上である〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
上記有機酸が、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びエデト酸から選ばれる1種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
(B)/(A)が質量比として0.0001以上0.5以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
(C)/(A)が質量比として0.1以上5以下である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔6〕
(A)成分を0.01〜5質量%、(B)成分を0.00001〜0.02質量%、(C)成分を0.01〜10質量%含有する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔7〕
練歯磨剤である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた口臭抑制効果及びひきしめ感を与え、かつ金属味が軽減し、味の良い使用感を有する水溶性銅化合物含有の歯磨剤組成物を提供できる。この歯磨剤組成物は、口臭抑制用として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)水溶性銅化合物、(B)(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミド、及び(C)特定の有機酸、ポリリン酸、α−アミノ酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上を含有し、各成分の量比がそれぞれ特定割合であることを特徴とする。
【0011】
(A)水溶性銅化合物は、口臭抑制効果及びひきしめ感の付与作用を有する。
水溶性銅化合物は、具体的にはグルコン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅、塩化銅、銅クロロフィリンナトリウム、酢酸銅等の水溶性の銅塩が挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。中でも、グルコン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅が好ましい。
(A)水溶性銅化合物の配合量は、組成物全体の0.01〜5%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.1〜1%である。0.01%以上であると、十分な口臭抑制効果及びひきしめ感が得られる。5%以下であると、(A)成分による金属味を十分に抑制することができる。
【0012】
(B)(1R,2S,5R)−N−(4−(シアノメチル)フェニル)メンチルカルボキサミドは、金属味のマスキング剤であり、(A)成分による金属味を抑制する作用を奏する。(B)成分は市販品を使用できる。
(B)成分の配合量は、組成物全体の0.00001〜0.02%が好ましく、より好ましくは0.00003〜0.01%である。0.00001%以上であると、十分なマスキング効果が得られる。0.02%以下であると、(B)成分自体の刺激や味の発現を十分に防止して良い使用感を維持できる。
【0013】
(C)成分は、炭素数10以下である有機酸、ポリリン酸、α−アミノ酸及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である。これらは、キレート作用を有する物質である。
炭素数10以下の有機酸は、具体的には、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フタル酸、サリチル酸、エデト酸、安息香酸等が挙げられる。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩である。これらの中でも、特にクエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、エデト酸又はこれらの塩が好ましく、より好ましくはクエン酸、乳酸、エデト酸又はこれらのアルカリ金属塩、特にクエン酸のアルカリ金属塩である。
ポリリン酸は、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラポリリン酸、ペンタポリリン酸等が挙げられ、塩はナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩である。これらの中でも、特にトリポリリン酸ナトリウムが好ましい。
α−アミノ酸又はその塩は、グリシン、アラニン、ヒスチジン等やこれらの塩が挙げられ、これらの中でも、特にグリシン又はその塩(好ましくは塩酸塩)が好ましい。
(C)成分としては、炭素数10以下の有機酸、特にクエン酸のアルカリ金属塩が、口臭抑制効果及びひきしめ感、金属味のなさの点で、とりわけ好ましい。
(C)成分は、市販品を使用できる。
【0014】
(C)成分の配合量は、組成物全体の0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.05〜1%である。0.01%以上であると、金属味のマスキング効果が十分に得られる。10%以下であると、口臭抑制効果やひきしめ感の付与効果を十分に確保できる。
【0015】
本発明において、(A)成分と(B)成分との量比を示す(B)/(A)は、質量比として0.00005以上であり、好ましくは0.0001以上、特に0.0005以上である。また、上限値は特に限定されないが、香味のバランスの点から、0.5以下が好ましく、より好ましくは0.1以下である。(B)/(A)の質量比が0.00005未満であると、(A)成分による金属味が強く、使用感が劣る。
【0016】
また、(A)成分と(C)成分との量比を示す(C)/(A)は、質量比として0.005〜30であり、好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜5である。(C)/(A)の質量比が0.005未満であると、(A)成分による金属味が強く、使用感が劣る。30を超えると、口臭抑制効果及びひきしめ感の付与効果が弱くなる。
【0017】
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等として調製でき、特に練歯磨が好適である。また、上記成分に加えて、必要に応じて、歯磨剤組成物に通常、使用されているその他の公知成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合し、水を配合して通常の方法で調製することができる。配合できる任意成分としては、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、香料、pH調整剤、防腐剤、薬効成分等が挙げられる。
【0018】
研磨剤は、第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤;沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のシリカ系研磨剤;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ハイドロキシアパタイトが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。これらの中では、特に沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のケイ酸塩を主成分とするシリカ系研磨剤や炭酸カルシウム系研磨剤、とりわけ沈降性シリカ等のシリカ系研磨剤が、口臭抑制効果及びひきしめ感の付与の点で、好ましい。沈降性シリカは、例えば、粒径が1〜40μm、BET比表面積が1gあたり80〜250平方メートルのものが好ましい。
これら研磨剤の配合量は、組成物全体の8〜70%が好ましい。
【0019】
また、研磨剤は顆粒であってもよく、研磨性を有する成分として、顆粒剤を配合できる。顆粒剤としては、水不溶性粉体を顆粒状に形成させた造粒粒子であり、粒状化には結合剤を用いても良い。特に、シリカ顆粒、ゼオライト顆粒が好適である。
水不溶性粉体としては、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、水不溶性メタリン酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ベンガラ、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、アルミノ珪酸塩、炭酸マグネシウム、ジルコノシリケート、硫酸カルシウム等の無機粉体やこれらの混合物が挙げられる。
顆粒剤の体積平均粒径(メジアン径d50)は、50〜500μmであることが好ましい。前記体積平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)による測定値である。
また、顆粒剤の平均崩壊強度は、10〜200g/個であることが好ましい。前記平均崩壊強度は、レオメーター(サンレオメーターCR−200D、サン科学社製)による、顆粒30個の自動破断強度測定値(顆粒1個を10mm/分の速度で圧縮した時に本顆粒が崩壊する時の荷重を測定した値。)の平均値である。
シリカ顆粒としては、湿式法のゲル法シリカ、沈降法シリカが好適に用いられ、一次粒子径は3〜15nm程度、好ましくは4〜10nmが良好である。例えば、ゲル法で4〜10nm程度に一次粒子径を成長させたシリカゲルの塊を洗浄、乾燥させた後に粉砕して平均粒径が50〜500μmであるシリカ顆粒に分級する方法、シリカヒドロゾルを空気中に噴霧させゲル化させることで顆粒を調製する方法、また、沈降法で一次粒子の成長を抑えながら凝集させた後に一次粒子径を4〜10nm程度に成長させることで調製する方法などが知られており、これらの方法でシリカ顆粒を調製できる。
また、顆粒剤は着色したものも使用することができる。
これら顆粒剤の配合量は、組成物全体の0.1〜20%が好ましい。
【0020】
粘稠剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ソルビット、キシリット等の糖アルコールが挙げられる。粘稠剤の配合量は、組成物全体の5〜50%、特に20〜45%が好ましい。
【0021】
粘結剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、カーボポール、ビーガム、アルギン酸プロピレングリコール等の有機粘結剤、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤を配合できる。これらは1種又は2種以上で使用できる。これら粘結剤の配合量は、組成物全体の1.4〜10%、特に1.4〜8%が好ましい。
【0022】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性活性剤が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン塩等のN−アシルタウレート、アシルサルコシン塩、N−アシル−L−グルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩が挙げられる。中でも、泡立ち、泡質が良い、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩である。前記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。
アルキル硫酸塩は、アルキル基の炭素数が好ましくは12〜14であり、具体的にはラウリル硫酸ナトリウム、ミリストイル硫酸ナトリウムが挙げられる。
α−オレフィンスルホン酸塩は、炭素数が14〜16のα−オレフィンスルホン酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましく、特に炭素数14のα−オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。
これら界面活性剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.6〜2.5%、特に1〜2.5%が好ましい。
【0023】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、グリセリン、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
【0024】
香料は、公知の香料、例えばメントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油が挙げられる。
【0025】
pH調整剤は、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物が挙げられる。
防腐剤は、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムが挙げられる。
【0026】
任意の薬効成分は、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩等の抗炎症剤;塩化ナトリウム、ビタミン類等の細胞賦活剤;イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;ゼオライト等の歯石予防剤;ビタミンE等の血行促進剤を配合できる。なお、薬効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0027】
更に、任意成分として、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末;寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物;ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン末、ポリエチレン末等の合成高分子化合物又はそれらの共重合体;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、シリコーン、天然ゴムなどを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0029】
[実施例、比較例]
表1〜4に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を通常の方法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
【0030】
<評価方法>
被験者5人による使用感の評価を行った。歯ブラシ(クリニカアドバンテージハブラシ、4列コンパクトふつうタイプ、ライオン(株)製)にサンプルの歯磨剤組成物1gを載せ、3分間歯みがきを行った。すすぎ後の口臭抑制効果と、使用感として金属味(金属味のなさ)及びひきしめ感について、それぞれ下記の評点基準を用いて評価した。5人の評点の平均値から、下記の評価基準によって評価した。
なお、口臭抑制効果は、被験者の口臭を以下の基準に従って専門パネラーが評価し、金属味(金属味のなさ)及びひきしめ感については、被験者がそれぞれを評価した。
【0031】
口臭抑制効果の評点基準
1.口臭を非常に感じる
2.口臭をかなり感じる
3.口臭をやや感じるが問題ないレベルである
4.口臭をほとんど感じない
5.口臭を感じない
口臭抑制効果の評価基準
◎:5人の平均点が4点以上
○:5人の平均点が3点以上4点未満
×:5人の平均点が3点未満
【0032】
金属味(金属味のなさ)の評点基準
1.金属味を感じる
2.金属味をかなり感じる
3.金属味をやや感じるが、許容範囲で問題ないレベルである
4.金属味をほとんど感じない
5.金属味を感じない
金属味(金属味のなさ)の評価基準
◎:5人の平均点が4.5点以上
○:5人の平均点が4点以上4.5点未満
△:5人の平均点が3点以上4点未満
×:5人の平均点が3点未満
【0033】
ひきしめ感の評点基準
1.ひきしめ感を感じなかった
2.ひきしめ感をほとんど感じなかった
3.ひきしめ感をやや感じた
4.ひきしめ感を感じた
5.ひきしめ感を非常に感じた
ひきしめ感の評価基準
◎:5人の平均点が4.5点以上
○:5人の平均点が4点以上4.5点未満
△:5人の平均点が3点以上4点未満
×:5人の平均点が3点未満
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】