【文献】
鈴木 武志,画顔認証を中心とした生体認証技術,情報管理,日本,国立研究開発法人科学技術振興機構,2017年11月01日,第60巻 第8号,564〜573
【文献】
A S Raju et al,Biometric Person Authentication: A Review,2014 International Conference on Contemporary Computing and Informatics (IC3I),米国,IEEE,2014年11月29日,https://ieeexplore.ieee.org/document/7019771
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の生体情報および前記第2の生体情報を含む複数の生体情報を、前記複数の認証対象者それぞれから同時に取得する生体情報取得部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証装置。
複数の認証対象者のうち第1の認証対象者から取得された第1の生体情報の第1の特徴量と、前記複数の認証対象者のうち第2の認証対象者から取得された第2の生体情報の第2の特徴量との間の第1の類似度を算出し、
前記第1の特徴量と、複数の登録者それぞれから取得された生体情報の登録特徴量それぞれとの間の複数の第2の類似度を算出し、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記第1の認証対象者に対する認証を行い、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第1の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から類似度算出対象特徴量を選択し、
前記第2の特徴量と前記類似度算出対象特徴量との間の第3の類似度を算出し、
前記第3の類似度に基づいて、前記第2の認証対象者に対する認証を行う
処理をコンピュータに実行させるための生体認証プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、実施の形態に係る生体認証装置の構成図である。
生体認証装置101は、生体情報取得部111、特徴量抽出部121、登録部131、類似度算出部141、類似度マップ生成部151、選択部161、認証部171、および記憶部181を備える。
【0018】
生体情報取得部111は、登録処理の対象者(登録者)または認証処理の対象者(認証対象者)の生体情報を取得する。生体情報は、例えば、対象者の顔画像、指紋、または手のひらの静脈パターン等である。生体情報取得部111は、例えば、カラーカメラ、指紋センサ、赤外線カメラ、Depthカメラ、サーマルカメラ等である。
【0019】
特徴量抽出部121は、取得された生体情報から生体情報の特徴を示す特徴量を抽出する。特徴量は、例えば、m個(mは2以上の整数)の要素を有する実ベクトルで表される。
【0020】
登録部131は、生体情報の登録処理において、登録者の生体情報から抽出された特徴量を、登録特徴量としてデータベース(DB)191に登録する。
【0021】
生体認証装置101において、類似度算出部141と認証部171とが連携して、認証対象者の特徴量の照合処理を行い、認証対象者の認証の成否を判定する。照合処理には、類似度算出部141による認証対象者の特徴量と登録特徴量または照合対象特徴量との間の類似度を算出する処理、および認証部171による算出された類似度が閾値以上であるか否かを判定する処理が含まれる。類似度算出部141と認証部171それぞれの動作の詳細は後述する。尚、照合対象特徴量は、類似度算出対象特徴量である。
【0022】
類似度算出部141は、認証対象者に対する認証処理において、各認証対象者の生体情報から抽出された複数の特徴量のうちの基準特徴量と、DB191に記録された複数の登録者の登録特徴量それぞれとの間の類似度S
aを算出する。また、類似度算出部141は、複数の認証対象者の生体情報それぞれから抽出された複数の特徴量のうちの基準特徴量と、抽出された複数の特徴量のうちの基準特徴量以外の特徴量との間の類似度S
bを算出する。また、類似度算出部141は、複数の特徴量のうちの基準特徴量以外の特徴量と選択部161により選択された照合対象特徴量との間の類似度を算出する。
【0023】
実施の形態において、特徴量同士が類似しているほど、類似度は大きくなり、特徴量同士が相違しているほど、類似度は小さくなる。類似度の計算には様々な方法を用いることができ、例えば、L2ノルムの逆数、L1ノルムの逆数、またはコサイン類似度を用いることができる。例えば、特徴量A=(a1,a2,...,am)、特徴量B=(b1,b2,...,bm)とし、類似度としてL2ノルムの逆数を用いると、特徴量Aと特徴量B間の類似度は、類似度=1/((a1-b1)
2+(a2-b2)
2+...+(am-bm)
2)
1/2となる。
【0024】
類似度マップ生成部151は、類似度算出部141により算出された類似度S
bを類似度マップ192に記録する。
【0025】
選択部161は、類似度マップ192と、類似度S
aと、に基づいて、複数の認証対象者のうちの基準特徴量に対応する認証対象者以外の認証者対象者の認証の成否の判定に用いる照合対象特徴量を、DB191から選択する。照合対象特徴量としては、少なくとも1人以上の登録者の登録特徴量が選択される。
【0026】
認証部171は、複数の認証対象者それぞれについて、各認証対象者の認証の成否を判定する。詳細には、例えば、複数の認証対象者のうちの第1の認証対象者について、認証部171は、第1の認証対象者の特徴量とDB191に記録された複数の登録特徴量それぞれとの間の類似度に基づいて、第1の認証対象者の認証の成否を判定する。また、複数の認証対象者のうちの第2の認証対象者について、認証部171は、第2の認証対象者の特徴量と選択部161により選択された照合対象特徴量それぞれとの間の類似度に基づいて、第2の認証対象者の認証の成否を判定する。
【0027】
認証部171は、例えば、第1の認証対象者の特徴量とDB191に記録された複数の特徴量それぞれとの間の類似度のいずれかが閾値以上である場合に、第1の認証対象者の認証が成功したと判定する。また、認証部171は、例えば、第2の認証対象者の特徴量と選択部161により選択された照合対象特徴量それぞれとの間の類似度のいずれかが閾値以上である場合に、第2の認証対象者の認証が成功したと判定する。 記憶部181は、生体認証装置101で利用される情報を記憶する記憶装置である。記憶部181は、DB191および類似度マップ192を記憶する。
【0028】
DB191は、登録者の生体情報の登録特徴量が記録されたデータベースである。
図2は、DB191の例である。
【0029】
図2のDB191には、IDと登録特徴量とが対応付けられて記録されている。
IDは、生体認証装置101の登録者を識別する情報(識別子)である。
【0030】
登録特徴量は、登録者の生体情報の特徴を示す特徴量である。
図2のDB191には、N人(Nは2以上の整数)の登録者それぞれの生体情報の特徴量が登録特徴量t
1〜t
Nとして記録されている。
【0031】
類似度マップ192には、基準特徴量と基準特徴量以外の特徴量との間の類似度S
bが記録されている。
【0032】
図3は、類似度マップ192の例である。
実施の形態の生体認証処理において、3人の認証対象者それぞれから取得された生体情報から、3つの特徴量f
1、f
2、f
3が抽出されたとする。
図3の類似度マップ192には、特徴量f
1を基準特徴量としたときの特徴量f
1と特徴量f
2間の類似度S
1_2、および特徴量f
1と特徴量f
3間の類似度S
1_3が記録されている。
【0033】
上述の生体認証装置101の構成は一例であり、これに限られるものではない。例えば、生体情報取得部111が複数あり、複数の生体情報取得部111がそれぞれ異なる認証対象者の生体情報を取得してもよい。また、生体情報取得部111、特徴量抽出部121、登録部131、類似度算出部141、類似度マップ生成部151、選択部161、認証部171、および記憶部181のそれぞれまたは任意の組合せが異なる装置に具備され、複数の装置がネットワークを介して接続されることにより、生体認証装置101と同様の機能を有するシステムとして構成されてもよい。例えば、生体認証装置101は、生体情報取得部111を具備せず、ネットワークを介して接続された生体情報取得部111から生体情報を受信してもよい。
【0034】
次に、特徴量抽出部121による特徴量の抽出の処理を説明する。
図4は、特徴量の抽出の処理を示す図である。
【0035】
図4では、一人の対象者(登録者または認証対象者)の特徴量を抽出する場合を説明する。ここで、生体情報取得部111は、カラーカメラであるとする。
(i)生体情報取得部111は、対象者を撮影し、生体情報Iを含む取得画像201を取得する。取得画像201には、対象者の顔が含まれ、当該顔の画像(顔画像)が生体情報Iに相当する。
(ii)特徴量抽出部121は、顔検出技術により、取得画像201に含まれる対象者の顔を検出し、検出した顔を含む矩形の領域を顔領域211として検出する。
(iii)特徴量抽出部121は、顔領域211に含まれる顔の特徴点P1〜P5を検出する。顔の特徴点は、例えば、目、鼻、および口の両端である。
(iv)特徴量抽出部121は、顔領域211を正規化し、正規化画像221を生成する。すなわち、特徴量抽出部121は、顔領域211に対して拡大、縮小、または回転などの処理を行い、顔の特徴点P1〜P5の位置(目、鼻、および口の位置)が、所定の位置となる正規化画像221を生成する。
(v)特徴量抽出部121は、正規化画像221の画像特徴量を抽出する。画像特徴量として、例えば、Local Binary Pattern(LBP)、またはHistogram of Gradient(HoG)等が用いられる。抽出された画像特徴量が対象者の生体情報Iの特徴量fとして用いられる。
【0036】
尚、取得画像201に複数の対象者の顔画像が含まれている場合には、特徴量抽出部121は、複数の対象者それぞれの顔画像から特徴量を抽出することで、複数の特徴量を抽出する。
【0037】
図5は、実施の形態に係る生体認証処理のフローチャートである。
図6〜9は、実施の形態に係る生体認証処理を説明する図である。
【0038】
実施の形態に係る生体認証処理では、生体認証装置101が一度に3人の認証対象者の顔を含む画像を撮影し、3人の認証対象者それぞれの認証を行い、3人の認証対象者の認証が成功した場合に所定の処理を行なう場合について説明する。
【0039】
ステップS501において、生体情報取得部111は、3人の認証対象者A
1〜A
3それぞれの生体情報I
1〜I
3を取得する。詳細には、生体情報取得部111は、3人の認証対象者A
1〜A
3の顔を一度に撮影し、撮影画像202を生成する(
図6)。
図6に示すように撮影画像202には、生体情報I
1〜I
3として、3人の認証対象者A
1〜A
3の顔画像が含まれている。顔認証では、一台のカメラ(生体情報取得部111)で複数人の生体情報を同時に取得できるので、効率的に認証を実行できる。
【0040】
ステップS502において、特徴量抽出部121は、生体情報I
1〜I
3それぞれから特徴量f
1〜f
3を抽出する(
図6)。
【0041】
ステップS503において、類似度算出部141は、特徴量f
1〜f
3から基準特徴量を選択する。ここでは、基準特徴量として特徴量f
1が選択される。類似度算出部141は、例えば、撮影画像202に含まれる生体情報に対応する顔画像のうち一番大きいサイズの顔画像の特徴量を基準特徴量として選択する。
【0042】
ステップS504において、類似度算出部141は、ステップS502で抽出された特徴量において、基準特徴量と基準特徴量以外の特徴量との間の類似度を算出する。すなわち、類似度算出部141は、基準特徴量である特徴量f
1と特徴量f
2間の類似度S
1_2、および基準特徴量である特徴量f
1と特徴量f
3間の類似度S
1_3を算出する。類似度マップ生成部151は、算出された類似度を類似度マップ192に記録する(
図7)。これにより、基準特徴量である特徴量f
1と特徴量f
2間の類似度S
1_2、および基準特徴量である特徴量f
1と特徴量f
3間の類似度S
1_3が、類似度マップ192に記録される。
【0043】
ステップS505において、類似度算出部141と認証部171は、基準特徴量である特徴量f
1をDB191に記録されている登録特徴量t
1〜t
Nと照合し、ステップS506において、認証部171は、認証対象者A
1の認証が成功したか否かを判定する。詳細には、類似度算出部141は、基準特徴量である特徴量f
1と登録特徴量t
1〜t
Nそれぞれとの間の類似度St
1〜St
Nを算出する。認証部171は、類似度St
1〜St
Nを参照し、類似度St
1〜St
Nのいずれかが閾値以上である場合、認証対象者A
1の認証が成功したと判定する。認証部171は、類似度St
1〜St
Nの全てが閾値未満である場合、認証対象者A
1の認証が失敗したと判定する。また、類似度算出部141は、類似度St
1〜St
Nを登録特徴量t
1〜t
Nにそれぞれ対応付ける。
【0044】
ステップS506において、認証対象者A
1の認証が成功した場合、制御はステップS507に進み、認証対象者A
1の認証が成功しない場合、制御はステップS514に進む。
【0045】
ステップS507において、選択部161は、登録特徴量t
1〜t
Nを類似度の降順にソートする(
図8)。
図8では、登録特徴量t
1〜t
nは、類似度の降順で左から右へ並んでいる。
【0046】
図8では、類似度は、St
5、St
3、St
9,St
12、St
2、St
8、St
N、St
14、St
11、St
1、・・・の順に小さくなっている。よって、登録特徴量t
1〜t
Nは、t
5、t
3、t
9,t
12、t
2、t
8、t
N、t
14、t
11、t
1、・・・の順にソートされている。
【0047】
以下、ステップS508、S509とステップS510,S511は、並列に実行される。また、ステップS508〜S511は、直列に実行されてもよい。
【0048】
ステップS508において、選択部161は、ソートされた登録特徴量から特徴量f
2との間で類似度を算出する照合対象T1を選択する。詳細には、選択部161は、類似度S
1_2と最も近い類似度St
x(x=1〜Nのいずれか)に対応付けられた登録特徴量t
xを検出する。選択部161は、登録特徴量t
xと、ソートされた登録特徴量において、登録特徴量t
xの位置から類似度の昇順方向にα個の登録特徴量と、登録特徴量t
xの位置から類似度の降順方向にα個の登録特徴量と、を照合対象T1として選択する。尚、αは、例えば、登録特徴量t
1〜t
Nの数Nのa(aは、例えば10)%とする。また、α=0として、選択部161は、類似度S
1_2と最も近い類似度St
xに対応付けられた登録特徴量t
xのみを照合対象T1として選択してもよい。最も本人の可能性が高いと合理的に考えられる登録特徴量が選択され、一度の照合で認証成功する確率を上げるこができる。
【0049】
図9において、類似度S
1_2と最も近い類似度は、類似度St
2であるとする。また、α=1とする。選択部161は、類似度St
2に対応付けられた特徴量t
2と、ソートされた登録特徴量において、登録特徴量t
2の位置から類似度の昇順方向に1個の登録特徴量t
12と、登録特徴量t
2の位置から類似度の降順方向に1個の登録特徴量t
8と、を照合対象T1として選択する。
【0050】
ステップS509において、類似度算出部141と認証部171は、特徴量f
2を照合対象T1と照合し、認証対象者A
2の認証が成功したか否かを判定する。詳細には、類似度算出部141は、特徴量f
2と照合対象T1として選択された登録特徴量それぞれとの間の類似度を算出する。認証部171は、ステップS509において算出した類似度のうちいずれかが閾値以上であるか否かを判定し、当該類似度のうちいずれかが閾値以上である場合、認証対象者A
2の認証が成功したと判定する。認証部171は、ステップS509において算出した類似度の全てが閾値未満である場合、認証対象者A
2の認証が失敗したと判定する。
【0051】
認証対象者A
2の認証が成功する場合、すなわち特徴量f
2との間の類似度が閾値以上となる登録特徴量t
zがある場合、特徴量f
1と特徴量f
2間の類似度St
1_2と特徴量f
1と登録特徴量t
z間の類似度St
zは、近い値であると考えられる。逆に言えば、特徴量f
1と登録特徴量t
A間の類似度St
Aと類似度St
1_2が遠い値であれば、認証対象者A
2の認証は成功しないと考えられるので、登録特徴量t
Aは照合対象から除外されてもよいと考えられる。そこで、選択部161は、登録特徴量t
i(i=1〜N)のうち、特徴量f
1との間の類似度が類似度St
1_2と近い値である登録特徴量を、特徴量f
2との照合対象T1として選択することで、類似度の算出に用いられる登録特徴量の数を削減する。それにより、類似度の算出処理の回数が削減され、認証処理が高速化される。
【0052】
ステップS510において、選択部161は、ソートされた登録特徴量から、特徴量f
3との間で類似度を算出する照合対象T2を選択する。詳細には、選択部161は、類似度S
1_3と最も近い類似度St
y(y=1〜Nのいずれか)に対応付けられた登録特徴量t
yを検出する。選択部161は、登録特徴量t
yと、ソートされた登録特徴量において、登録特徴量t
yの位置から類似度の昇順方向にα個の登録特徴量と、登録特徴量t
yの位置から類似度の降順方向にα個の登録特徴量と、を照合対象T2として選択する。
【0053】
図9において、類似度S
1_3と最も近い類似度は、類似度St
11であるとする。また、
図9において、α=1とする。選択部161は、類似度St
11に対応付けられた特徴量t
11と、ソートされた登録特徴量において、登録特徴量t
11の位置から類似度の昇順方向に1個の登録特徴量t
14と、登録特徴量t
11の位置から類似度の降順方向に1個の登録特徴量t
1と、を照合対象T2として選択する。認証対象者A
3の認証においても、特徴量f
1との類似性に基づいて照合対象T2を選択するので、認証対象者A
2の認証において用いた登録特徴量t
i(i=1〜N)の並びを流用できる。登録特徴量全てとの類似性の算出及び登録特徴量との類似性に基づくソートを再度実行しなくてもよく、認証対象者が増えても認証時間の増加量を抑えることができる。
【0054】
ステップS511において、類似度算出部141と認証部171は、特徴量f
3を照合対象T2と照合し、認証対象者A
3の認証が成功したか否かを判定する。詳細には、類似度算出部141は、特徴量f
3と照合対象T2として選択された登録特徴量それぞれとの間の類似度を算出する。認証部171は、ステップS511において算出した類似度のうちいずれかが閾値以上であるか否かを判定し、当該類似度のうちいずれかが閾値以上である場合、認証対象者A
3の認証が成功したと判定する。認証部171は、ステップS511において算出した類似度の全てが閾値未満である場合、認証対象者A
3の認証が失敗したと判定する。
【0055】
ステップS512において、認証部171は、ステップS509およびステップS511における認証が成功したか否かを判定する。ステップS509およびステップS511における認証が両方成功した場合、制御はステップS513に進む。ステップS509およびステップS511における認証の少なくとも一方が成功しなかった場合、制御はステップS514に進む。
【0056】
ステップS513において、認証部171は、3人の認証成功時の所定の処理を実行する。認証部171は、例えば、セキュリティエリアである部屋のドアのロック解除などの処理を行う。
【0057】
ステップS514において、認証部171は、3人の認証失敗時の所定の処理を実行する。認証部171は、例えば、認証対象者に対する認証失敗の通知や生体情報の再入力の要求などの処理を行う。
【0058】
尚、上記の実施の形態に係る生体認証処理では、認証対象者が3人の場合を説明したが、認証対象者は3人に限られず、2人または4人以上であってもよい。
【0059】
実施の形態に係る生体認証装置によれば、複数人を同時に認証する場合の認証処理を高速化できる。M人(Mは2以上の整数)の同時認証を行う場合、登録されている生体情報の特徴量をN個とすると、従来の生体認証装置では、M人それぞれの特徴量とN個の特徴量それぞれとの間の類似度の算出を行うため、類似度の算出回数はM*N回となる。一方、実施の形態に係る生体認証装置では、一人目の認証の判定では、一人目の特徴量とN個の特徴量との間の類似度の算出を行い、2人目以降の認証の判定では、二人目以降の特徴量それぞれとN個の生体情報のうちの2α+1個の特徴量それぞれとの間の類似度の算出を行う。よって、実施の形態に係る生体認証装置における類似度の算出回数は、N+(M−1)*(2α+1)回となり、類似度の算出回数を削減できる。このように、認証処理における類似度の算出回数が削減されるため、認証処理は高速化される。
【0060】
また、従来技術では、画像のサムネイルのような低精度な特徴量を利用したり、パラレル処理を行ったりすることで、認証処理の高速化が試みられている。しかし、低精度な特徴量には大規模な人数からの絞り込み精度が劣化する問題があり、パラレル処理には多くの計算機が必要となり、コストが増えるという問題がある。
【0061】
実施の形態に係る生体認証装置によれば、低精度な特徴量を用いず、またパラレル処理を行うための追加の計算機を用いることなく、複数人を同時に認証する場合の認証処理を高速化できる。
【0062】
図10は、情報処理装置(コンピュータ)の構成図である。
実施の形態の生体認証装置101は、例えば、
図10に示すような情報処理装置(コンピュータ)1によって実現可能である。
【0063】
情報処理装置1は、Central Processing Unit(CPU)2、メモリ3、入力装置4、出力装置5、記憶部6、記録媒体駆動部7、及びネットワーク接続装置8を備え、それらはバス9により互いに接続されている。
図1の生体情報取得部111は、バス9に接続されていてもよい。
【0064】
CPU2は、情報処理装置1全体を制御する中央処理装置(プロセッサ)である。CPU2は、特徴量抽出部121、登録部131、類似度算出部141、類似度マップ生成部151、選択部161、および認証部171として動作する。
【0065】
メモリ3は、プログラム実行の際に、記憶部6(あるいは可搬記録媒体10)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRead Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等のメモリである。CPU2は、メモリ3を利用してプログラムを実行することにより、上述した各種処理を実行する。
【0066】
入力装置4は、ユーザ又はオペレータからの指示や情報の入力、情報処理装置1で用いられるデータの取得等に用いられる。入力装置4は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0067】
出力装置5は、ユーザ又はオペレータへの問い合わせや処理結果を出力したり、CPU2による制御により動作する装置である。出力装置5は、例えば、ディスプレイ、またはプリンタ等である。
【0068】
記憶部6は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、テープ装置等である。情報処理装置1は、記憶部6に、上述のプログラムとデータを保存しておき、必要に応じて、それらをメモリ3に読み出して使用する。記憶部6は、記憶部181に対応する。
【0069】
記録媒体駆動部7は、可搬記録媒体10を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬記録媒体としては、メモリカード、フレキシブルディスク、Compact Disk Read Only Memory(CD−ROM)、光ディスク、光磁気ディスク等、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体が用いられる。ユーザは、この可搬記録媒体10に上述のプログラムとデータを格納しておき、必要に応じて、それらをメモリ3に読み出して使用する。
【0070】
ネットワーク接続装置8は、Local Area Network(LAN)やWide Area Network(WAN)等の任意の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換を行う通信インターフェースである。ネットワーク接続装置8は、通信ネットワークを介して接続された装置へデータを送信したり、通信ネットワークを介して接続された装置からデータを受信したりする。
【0071】
尚、情報処理装置1が
図10のすべての構成要素を含む必要はなく、用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略することも可能である。
【0072】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の登録者それぞれから取得された生体情報の登録特徴量を記憶する記憶部と、
複数の認証対象者のうち第1の認証対象者から取得された第1の生体情報の第1の特徴量と、前記複数の認証対象者のうち第2の認証対象者から取得された第2の生体情報の第2の特徴量との間の第1の類似度と、前記第1の特徴量と前記登録特徴量それぞれとの間の複数の第2の類似度と、を算出する類似度算出部と、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記第1の認証対象者に対する認証を行う認証部と、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第1の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から類似度算出対象特徴量を選択する選択部と、
を備え、
前記類似度算出部は、前記第2の特徴量と前記類似度算出対象特徴量との間の第3の類似度を算出し、
前記認証部は、前記第3の類似度に基づいて、前記第2の認証対象者に対する認証を行うことを特徴とする生体認証装置。
(付記2)
前記複数の第2の類似度それぞれは、前記登録特徴量それぞれと対応付けられ、
前記選択部は、前記複数の第2の類似度のうち前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量として選択することを特徴とする付記1記載の生体認証装置。
(付記3)
前記選択部は、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量をソートし、
前記ソートされた登録特徴量において、前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量のソート位置から前記第2の類似度が大きくなる方向に所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択し、前記ソート位置から前記第2の類似度が小さくなる方向に前記所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択することを特徴とする付記2記載の生体認証装置。
(付記4)
前記複数の認証対象者のうち前記第1の認証対象者および前記第2の認証対象者以外の残りの各認証対象者について、
前記類似度算出部は、前記第1の特徴量と前記残りの各認証対象者から取得された第3の生体情報の第3の特徴量との間の第4の類似度を算出し、
前記選択部は、前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第4の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から他の類似度算出対象特徴量を選択し、
前記類似度算出部は、前記第3の特徴量と前記他の類似度算出対象特徴量との間の第5の類似度を算出し、
前記認証部は、前記第5の類似度に基づいて、前記残りの各認証対象者に対する認証を行うことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の生体認証装置。
(付記5)
前記第1の生体情報および前記第2の生体情報を含む複数の生体情報を、前記複数の認証対象者それぞれから同時に取得する生体情報取得部をさらに備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証装置。
(付記6)
コンピュータが、
複数の認証対象者のうち第1の認証対象者から取得された第1の生体情報の第1の特徴量と、前記複数の認証対象者のうち第2の認証対象者から取得された第2の生体情報の第2の特徴量との間の第1の類似度を算出し、
前記第1の特徴量と、複数の登録者それぞれから取得された生体情報の登録特徴量それぞれとの間の複数の第2の類似度を算出し、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記第1の認証対象者に対する認証を行い、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第1の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から類似度算出対象特徴量を選択し、
前記第2の特徴量と前記類似度算出対象特徴量との間の第3の類似度を算出し、
前記第3の類似度に基づいて、前記第2の認証対象者に対する認証を行う
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記7)
前記複数の第2の類似度それぞれは、前記登録特徴量それぞれと対応付けられ、
前記選択する処理は、前記複数の第2の類似度のうち前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量として選択することを特徴とする付記6記載の生体認証方法。
(付記8)
前記コンピュータは、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量をソートし、
前記ソートされた登録特徴量において、前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量のソート位置から前記第2の類似度が大きくなる方向に所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択し、
前記ソート位置から前記第2の類似度が小さくなる方向に前記所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択することを特徴とする付記7記載の生体認証方法。
(付記9)
前記コンピュータは、
前記複数の認証対象者のうち前記第1の認証対象者および前記第2の認証対象者以外の残りの各認証対象者について、
前記第1の特徴量と前記残りの各認証対象者から取得された第3の生体情報の第3の特徴量との間の第4の類似度を算出し、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第4の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から他の類似度算出対象特徴量を選択し、
前記第3の特徴量と前記他の類似度算出対象特徴量との間の第5の類似度を算出し、
前記第5の類似度に基づいて、前記残りの各認証対象者に対する認証を行うことを特徴とする付記6乃至8のいずれか1項に記載の生体認証方法。
(付記10)
生体情報取得部が、前記第1の生体情報および前記第2の生体情報を含む複数の生体情報を、前記複数の認証対象者それぞれから同時に取得することを特徴とする付記6乃至9のいずれか1項に記載の生体認証方法。
(付記11)
複数の認証対象者のうち第1の認証対象者から取得された第1の生体情報の第1の特徴量と、前記複数の認証対象者のうち第2の認証対象者から取得された第2の生体情報の第2の特徴量との間の第1の類似度を算出し、
前記第1の特徴量と、複数の登録者それぞれから取得された生体情報の登録特徴量それぞれとの間の複数の第2の類似度を算出し、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記第1の認証対象者に対する認証を行い、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第1の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から類似度算出対象特徴量を選択し、
前記第2の特徴量と前記類似度算出対象特徴量との間の第3の類似度を算出し、
前記第3の類似度に基づいて、前記第2の認証対象者に対する認証を行う
処理をコンピュータに実行させるための生体認証プログラム。
(付記12)
前記複数の第2の類似度それぞれは、前記登録特徴量それぞれと対応付けられ、
前記コンピュータは、前記複数の第2の類似度のうち前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量として選択することを特徴とする付記11記載の生体認証プログラム。
(付記13)
前記コンピュータは、
前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量をソートし、
前記ソートされた登録特徴量において、前記第1の類似度に最も近い類似度に対応付けられた登録特徴量のソート位置から前記第2の類似度が大きくなる方向に所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択し、
前記ソート位置から前記第2の類似度が小さくなる方向に前記所定数の登録特徴量を、前記類似度算出対象特徴量としてさらに選択することを特徴とする付記12記載の生体認証プログラム。
(付記14)
前記コンピュータは、
前記複数の認証対象者のうち前記第1の認証対象者および前記第2の認証対象者以外の残りの各認証対象者について、
前記第1の特徴量と前記残りの各認証対象者から取得された第3の生体情報の第3の特徴量との間の第4の類似度を算出し、
前記第1の認証対象者に対する認証が成功した場合、前記第4の類似度および前記複数の第2の類似度に基づいて、前記登録特徴量から他の類似度算出対象特徴量を選択し、
前記第3の特徴量と前記他の類似度算出対象特徴量との間の第5の類似度を算出し、
前記第5の類似度に基づいて、前記残りの各認証対象者に対する認証を行うことを特徴とする付記11乃至13のいずれか1項に記載の生体認証プログラム。
(付記15)
前記コンピュータは、生体情報取得部を制御して、前記第1の生体情報および前記第2の生体情報を含む複数の生体情報を、前記複数の認証対象者それぞれから同時に取得させることを特徴とする付記11乃至14のいずれか1項に記載の生体認証プログラム。