(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、不安様症状の出現を防止し、または不安様症状を軽減することができ、かつ安全性が高く、継続した摂取または投与が可能な、不安様症状の改善用組成物を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する組成物が、不安様症状の改善作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する、不安様症状の改善用組成物。
[2]ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンを含有する、不安様症状の改善用組成物。
[3]ヒスチジンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、25モル%〜50モル%である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]リシンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、15モル%〜30モル%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]フェニルアラニンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、10モル%〜30モル%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]ロイシンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、10モル%〜30モル%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]さらに、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、それぞれ2モル%〜6モル%、2モル%〜6モル%、および0.1モル%〜2モル%である、[7]に記載の組成物。
[9]下記アミノ酸を、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、下記含有量で含有する、[7]または[8]に記載の組成物。
ヒスチジン 25モル%〜50モル%、
リシン 15モル%〜30モル%、
フェニルアラニン 10モル%〜30モル%、
ロイシン 10モル%〜30モル%、
バリン 2モル%〜6モル%、
イソロイシン 2モル%〜6モル%、および
トリプトファン 0.1モル%〜2モル%。
[10]医薬品である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]食品である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[12]不安様症状を改善する必要のある対象動物に、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する組成物を、当該対象動物の不安様症状を改善するのに有効な量摂取させること、または投与することを含む、不安様症状の改善方法。
[13]不安様症状を改善する必要のある対象動物に、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンを含有する組成物を、当該対象動物の不安様症状を改善するのに有効な量摂取させること、または投与することを含む、不安様症状の改善方法。
[14]ヒスチジンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、25モル%〜50モル%である組成物を摂取させること、または投与することを含む、[12]または[13]に記載の改善方法。
[15]リシンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、15モル%〜30モル%である組成物を摂取させること、または投与することを含む、[12]〜[14]のいずれかに記載の改善方法。
[16]フェニルアラニンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、10モル%〜30モル%である組成物を摂取させること、または投与することを含む、[12]〜[15]のいずれかに記載の改善方法。
[17]ロイシンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、10モル%〜30モル%である組成物を摂取させること、または投与することを含む、[12]〜[16]のいずれかに記載の改善方法。
[18]さらに、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上を含有する組成物を摂取させること、または投与することを含む、[12]〜[17]のいずれかに記載の改善方法。
[19]バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの含有量が、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、それぞれ2モル%〜6モル%、2モル%〜6モル%、および0.1モル%〜2モル%である組成物を摂取させること、または投与することを含む、[18]に記載の改善方法。
[20]下記アミノ酸を、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンの総含有量に対して、下記含有量で含有する組成物を摂取させること、または投与することを含む、[18]または[19]に記載の改善方法。
ヒスチジン 25モル%〜50モル%、
リシン 15モル%〜30モル%、
フェニルアラニン 10モル%〜30モル%、
ロイシン 10モル%〜30モル%、
バリン 2モル%〜6モル%、
イソロイシン 2モル%〜6モル%、および
トリプトファン 0.1モル%〜2モル%。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、不安様症状の出現を防止し、または不安様症状を軽減し得る、不安様症状の改善用組成物を提供することができる。本発明の不安様症状の改善用組成物は、認知機能低下に伴い、もしくは認知機能低下と前後して現れる不安様症状の改善にも、有効である。
さらに、本発明の不安様症状の改善用組成物は、安全性が高く、継続した摂取または投与に適する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の不安様症状の改善用組成物(以下、本明細書において、「本発明の組成物」とも称する)は、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する。
【0011】
ここで、本明細書において「不安様症状」とは、精神症状のうち不安感、焦燥感、恐怖感、緊張感等の状態を表す他、無気力、無関心や、うつ様症状に含まれる抑制性症状、不安による睡眠障害、興奮性症状(焦燥や多動等の異常行動)等を包含する症状をいう。
また、「不安様症状の改善」とは、上記した不安様症状の出現を防止し、または該症状を軽減することをいう。
【0012】
「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」としては、L体、D体およびDL体のいずれを用いてもよいが、L体およびDL体が好ましく用いられ、L体がより好ましく用いられる。
【0013】
また、「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」としては、遊離体のみならず、塩の形態でも用いることができる。本明細書における「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」という語は、それぞれ塩をも包含する概念である。塩の形態としては、薬理学上許容される塩であれば特に制限されず、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができる。
具体的には、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
【0014】
無機塩基との塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α−ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。
アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;チロシン等の芳香族アミノ酸との塩;アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。
【0015】
上記した塩は、それぞれ水和物(含水塩)であってもよく、かかる水和物としては、たとえば1水和物〜6水和物等が挙げられる。
【0016】
本発明においては、「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」として、それぞれ上記した遊離体および塩の形態の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の目的には、「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」のそれぞれについて、遊離体および塩酸塩等が好ましい。
【0017】
本発明の組成物には、「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」からなる群より、任意に2種以上が選択され、組み合わせて含有されるが、不安様症状の改善効果の観点からは、「ヒスチジン」、「リシン」、「フェニルアラニン」および「ロイシン」の全てが含有されることが好ましい。
【0018】
なお、不安様症状の改善効果の観点からは、本発明の組成物におけるヒスチジンの含有量は、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシンおよびトリプトファン(以下、本明細書において「7種のアミノ酸」という)の総含有量に対して、25モル%〜50モル%であることが好ましく、30モル%〜45モル%であることがより好ましい。
本発明の組成物におけるリシンの含有量は、7種のアミノ酸の総含有量に対して、15モル%〜30モル%であることが好ましく、20モル%〜25モル%であることがより好ましい。
本発明の組成物におけるフェニルアラニンの含有量は、7種のアミノ酸の総含有量に対して、10モル%〜30モル%であることが好ましく、15モル%〜25モル%であることがより好ましい。
本発明の組成物におけるロイシンの含有量は、7種のアミノ酸の総含有量に対して、10モル%〜30モル%であることが好ましく、15モル%〜25モル%であることがより好ましい。
【0019】
不安様症状の改善効果の観点からは、本発明の組成物には、7種のアミノ酸の総含有量に対して25モル%〜50モル%のヒスチジン、15モル%〜30モル%のリシンおよびロイシン、10モル%〜30モル%のフェニルアラニン、および10モル%〜30モル%のロイシンを含有させることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の組成物には、上記ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上に加えて、さらにバリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上を含有させることができる。
【0021】
「バリン」、「イソロイシン」および「トリプトファン」としては、上記ヒスチジン等と同様に、L体、D体およびDL体のいずれを用いてもよいが、L体およびDL体が好ましく用いられ、L体がより好ましく用いられる。
また、「バリン」、「イソロイシン」および「トリプトファン」は、それぞれ遊離体のみならず、塩の形態でも用いることができ、それぞれ塩をも包含する概念である。塩の形態としては、上記した無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明の目的には、「バリン」、「イソロイシン」および「トリプトファン」として、遊離体および塩酸塩等が好ましい。
【0022】
また、本発明の組成物において、バリンは、7種のアミノ酸の総含有量に対し2モル%〜6モル%含有されることが好ましく、3モル%〜5モル%含有されることがより好ましい。
イソロイシンは、7種のアミノ酸の総含有量に対し、2モル%〜6モル%含有されることが好ましく、2.5モル%〜5モル%含有されることがより好ましい。
トリプトファンは、7種のアミノ酸の総含有量に対し、0.1モル%〜2モル%含有されることが好ましく、0.1モル%〜1モル%含有されることがより好ましい。
【0023】
不安様症状の改善効果の観点からは、本発明の組成物には、7種のアミノ酸の総含有量に対して25モル%〜50モル%のヒスチジン、15モル%〜30モル%のリシン、10モル%〜30モル%のフェニルアラニンおよび10モル%〜30モル%のロイシン、ならびに2モル%〜6モル%のバリン、2モル%〜6モル%のイソロイシンおよび0.1モル%〜2モル%のトリプトファンを含有させることがさらに好ましい。
【0024】
本発明において、遊離体および塩の形態の上記各アミノ酸は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、あるいは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法等によって得られるもののいずれを使用してもよいが、各社より提供されている市販の製品を利用してもよい。
【0025】
なお、本明細書において、ヒスチジンをはじめ、本発明の組成物における各アミノ酸の含有量は、当該アミノ酸が塩の形態で含有される場合、遊離体に換算した含有量で表す。
【0026】
本発明の組成物は、上記アミノ酸の他に、さらに糖質、脂質、タンパク質、上記アミノ酸以外の必須アミノ酸(メチオニン、スレオニン)、非必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル等の他の栄養成分を含有することができる。
【0027】
本発明の組成物は、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上に、必要に応じて、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種または2種以上、他の栄養成分、薬学的に許容される添加剤等を加えて、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条に記載された方法等により、溶液、懸濁液、乳濁液等の液状;ゲル、クリーム等の半固形状;粉末、顆粒、錠剤、カプセル等の固形状等、種々の形態とすることができる。
【0028】
上記薬学的に許容される添加剤は、本発明の組成物の形態に応じて適宜選択することができ、たとえば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、基剤、溶剤、溶解補助剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、粘稠剤、無痛化剤、等張化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤等が挙げられる。
【0029】
具体的には、賦形剤としては、たとえば、炭酸マグネシウム、糖類(グルコース、ラクトース、コーンスターチ等)、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール等)等が挙げられる。
結合剤としては、たとえば、ゼラチン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、セルロースおよびその誘導体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
崩壊剤としては、たとえば、クロスポビドン、ポビドン、結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
被覆剤としては、たとえば、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等が挙げられる。
【0030】
基剤としては、たとえば、動植物性油脂(オリブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ油、硬化油、ヒマシ油等)、ロウ(カルナウバロウ、ミツロウ等)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
溶剤としては、たとえば、精製水、注射用水、一価アルコール(エタノール等)、多価アルコール(グリセリン等)等が挙げられる。
溶解補助剤としては、たとえば、プロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
【0031】
可溶化剤、乳化剤、分散剤および懸濁化剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
【0032】
安定化剤としては、たとえば、アジピン酸、β−シクロデキストリン、エチレンジアミン、エデト酸ナトリウム等が挙げられる。
粘稠剤としては、たとえば、水溶性高分子(ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等)、多糖類(アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガント等)等が挙げられる。
無痛化剤としては、たとえば、アミノ安息香酸エチル、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
等張化剤としては、たとえば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、生理食塩水等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0033】
抗酸化剤としては、たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸等が挙げられる。
防腐剤および保存剤としては、たとえば、パラベン(メチルパラベン等)、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
【0034】
矯味剤としては、たとえば、アスコルビン酸、エリスリトール、L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
甘味剤としては、たとえば、アスパルテーム、カンゾウエキス、サッカリン等が挙げられる。
香料としては、たとえば、l−メントール、d−カンフル、バニリン等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、タール色素(食用赤色2号、食用青色1号、食用黄色4号等)、無機顔料(三二酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、天然色素(ウコン抽出液、β−カロテン、銅クロロフィリンナトリウム等)等が挙げられる。
【0035】
本発明においては、上記添加剤は、1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、またはヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、ならびにバリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上の本発明の組成物における総含有量は、組成物の全量に対し、通常30重量%〜100重量%であり、好ましくは50重量%〜100重量%である。
【0037】
本発明の組成物の1日あたりの摂取量または投与量は、適用される対象(以下本明細書において、「適用対象」ともいう)の性別、年齢、適用対象に観察される不安様症状の種類、状況およびその程度、ならびに本発明の組成物の形態、投与方法等により適宜決定されるが、適用対象がヒト成人である場合、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)、または、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、ならびにバリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)にして、通常0.5g〜22g、好ましくは1g〜20g、より好ましくは3g〜16gである。
上記の量は、1回で摂取させまたは投与してもよく、1日数回(2〜4回)に分けて摂取させまたは投与してもよい。
また、本発明の組成物の摂取期間または投与期間も、適用対象の不安様症状の種類、状況、程度等に応じて適宜設定される。不安様症状が、種々のストレスや疾病、けが等の心的または身体的要因に起因して一定の期間持続すること、また、不安様症状が認知機能の低下に伴い、もしくは認知機能の低下と前後して現れ、長期間持続することを考慮すると、不安様症状を改善するためには、長期間にわたり、本発明の組成物を継続して摂取させまたは投与することが好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、単位包装形態とすることができる。本明細書において「単位包装形態」とは、特定量(たとえば、1回あたりの摂取量または投与量等)を1単位とし、該1単位または2単位以上が一つの容器に充填され、または包装体に包装される等して収容された形態をいい、たとえば、1回あたりの摂取量または投与量を1単位とする単位包装形態は、「1回あたりの摂取量または投与量単位の包装形態」と称する。単位包装形態に用いられる容器または包装体は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択し得るが、たとえば、紙製の容器または袋体、プラスチック製の容器または袋体、パウチ、アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、ペットボトル、PTP(press through pack)包装シート等が挙げられる。
【0039】
本発明の組成物の適用対象としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)等が挙げられる。
本発明の組成物をヒト以外の適用対象動物(以下、単に「対象動物」ともいう)に適用する場合、本発明の組成物の摂取量または投与量は、対象動物の種類、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
本発明の組成物は、不安様症状の改善作用を有し、不安、焦燥等の不安様症状の出現の予防または前記症状の軽減に有効である。
また、本発明の組成物は、認知機能の低下に伴い、もしくは認知機能の低下と前後して現れる不安様症状の出現の予防または前記症状の軽減に有効である。
さらに、本発明の組成物は、食品中に含有され、食経験も豊富なアミノ酸を有効成分とするため、安全性が高く、継続した摂取または投与に適するため、長期間持続する不安様症状の改善に適する。
【0041】
従って、本発明の組成物は、上記した不安様症状を呈する者や、ストレス等の心的要因、または疾病、けが等の身体的要因を有し、不安様症状が出現するおそれのある者、あるいは、認知機能の低下に伴い、もしくは認知機能の低下と前後して現れる不安様症状を呈する高齢者や中・壮年者、または該不安様症状の出現するおそれのある高齢者や中・壮年者等に、好適に摂取させまたは投与され得る。
【0042】
本発明の組成物は、そのまま、またはさらに上記した薬学的に許容される添加剤を加えて、医薬品(以下、本明細書において「本発明の医薬品」とも称する)として提供することができる。
本発明の医薬品は、錠剤、被覆錠剤、チュアブル錠、丸剤、(マイクロ)カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、リモナーゼ剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、経口ゼリー剤等の経口製剤、溶液状、懸濁液状、乳液状等の注射剤、用時溶解または懸濁して用いる固形状の注射剤、輸液剤、持続性注射剤等の注射用製剤、経管液剤等の剤形とすることができる。
【0043】
本発明の医薬品は、上記した不安様症状を呈する者や、認知機能の低下に伴い、もしくは認知機能の低下と前後して現れる不安様症状を呈する高齢者や中・壮年者等に、好適に投与され得る。
【0044】
本発明の医薬品は、上記適用対象に対し、1日あたりに、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)、または、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、ならびにバリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)が、上記した1日あたりの投与量となるように、投与される。
【0045】
さらに、本発明の組成物は、各種食品に添加して摂取させることができる。本発明の組成物が添加される食品は特に制限されず、一般的に食事やデザートに供される形態の食品であれば如何なるものでもよい。
たとえば、本発明の組成物を清涼飲料水等の飲料に添加し、所望により適当な風味を加えて、ドリンク剤とすることができる。
より具体的には、本発明の組成物は、たとえば、果汁飲料、スポーツ飲料等の清涼飲料水;牛乳、ヨーグルト等の乳製品;ゼリー、チョコレート、キャンディ、ビスケット等の菓子等に添加することができる。
【0046】
本発明の組成物は、1日あたりに摂取される量の上記各種食品に対し、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上の総量、または、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、ならびにバリン、イソロイシン、ヒスチジンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)が、上記した1日あたりの摂取量となるように添加されることが好ましい。
【0047】
また、本発明の組成物は、そのまま、または必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、通常の食品製造技術により、食品(以下、本明細書において「本発明の食品」とも称する)として提供することができる。
本発明の食品は、液状、懸濁液状、乳状、ゲル状、クリーム状、粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状等、種々の形態とすることができる。
さらに、本発明の食品は、本発明の組成物を各種食品原材料に加え、必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、清涼飲料水(果汁飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶系飲料等)、乳製品(乳酸菌飲料、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ハンバーグ等)、魚肉練り製品(蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等)、卵製品(だし巻き、卵豆腐等)、菓子(クッキー、ゼリー、チューイングガム、キャンディ、スナック菓子、冷菓等)、パン、麺類、漬物、干物、佃煮、スープ、調味料等、種々の形態の食品とすることができ、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルトパウチ食品であってもよい。
【0048】
上記食品添加物としては、製造用剤(かんすい、結着剤等)、増粘安定剤(キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、ゲル化剤(ゼラチン、寒天、カラギーナン等)、ガムベース(酢酸ビニル樹脂、ジェルトン、チクル等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等)、保存料(安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ε−ポリリシン等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン等)、光沢剤(セラック、パラフィンワックス、ミツロウ等)、防かび剤(チアベンタゾール、フルジオキソニル等)、膨張剤(炭酸水素ナトリウム、グルコノδ−ラクトン、ミョウバン等)、甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物等)、苦味料(カフェイン、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物等)、酸味料(クエン酸、酒石酸、乳酸等)、調味料(L−グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸二ナトリウム等)、着色料(アナトー色素、ウコン色素、クチナシ色素等)、香料(アセト酢酸エチル、アニスアルデヒド等の合成香料、オレンジ、ラベンダー等の天然香料)等が挙げられる。
本発明において、上記食品添加物は、1種または2種以上を用いることができる。
【0049】
本発明の食品は、不安様症状を呈する者や、ストレス等の心的要因または疾病、けが等の身体的要因を有し、不安様症状が出現するおそれのある者等、幅広い対象者に好適に摂取させ得る。
また、本発明の食品は、認知機能低下に伴い、もしくは認知機能低下と前後して現れる不安様症状を呈する高齢者や中・壮年者等、前記不安様症状が出現するおそれのある高齢者や中・壮年者等、さらには、前記不安様症状の出現の予防を目的として、幅広い対象者に摂取させることができる。
【0050】
従って、本発明の食品は、不安様症状の改善用の特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の保健機能食品、病者用食品、高齢者用食品等の特別用途食品、健康補助食品等としても提供され得る。
【0051】
本発明の食品は、上記適用対象に、1日あたりに、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)、または、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上、ならびにバリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上の総量(遊離体に換算した量の総量)が、上記した1日あたりの摂取量となるように摂取させることが好ましい。
【0052】
さらに本発明は、不安様症状を改善する必要のある対象動物の不安様症状の改善方法(以下、本明細書において「本発明の方法」ともいう)をも提供する。
【0053】
本発明の方法は、不安様症状を改善する必要のある対象動物に、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する組成物を、当該対象動物の不安様症状を改善するのに有効な量摂取させること、または投与することを含む。
本発明の方法においては、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を、上記した含有量で含有する組成物を摂取させること、または投与させることが好ましく、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンを含有する組成物を摂取させること、または投与することがより好ましく、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンを上記した含有量で含有する組成物を摂取させること、または投与することがさらに好ましい。
また、本発明の方法において、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上に加えて、さらに、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上を含有する組成物を摂取させること、または投与することが好ましい。
不安様症状の改善効果の観点からは、本発明の方法において、上記含有量のヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンと、バリン、イソロイシンおよびトリプトファンからなる群より選択される1種以上とを含有する組成物を摂取させること、または投与することがより好ましく、上記含有量のヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンと、上記含有量のバリン、イソロイシンおよびトリプトファンとを含有する組成物を摂取させること、または投与することが特に好ましい。
【0054】
本発明の方法における対象動物としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)等が挙げられる。
【0055】
本発明の方法は不安様症状の改善、すなわち、上記した不安様症状の出現の予防または上記した不安様症状の軽減に有効であり、認知機能低下に伴い、もしくは認知機能低下と前後して現れる不安様症状の出現の予防または前記不安様症状の軽減に特に有効である。
さらに、本発明の方法は、食品中に含有され、食経験も豊富なアミノ酸を有効成分とするため、安全性が高く、継続して適用することができる。
【0056】
ヒトの場合、本発明の方法は、不安様症状を呈する者や、種々のストレス、疾病、けが等の心的または身体的要因を有し、不安様症状が出現するおそれのある者等に対し、好適に適用される。
また、本発明の方法は、認知機能低下に伴い、もしくは認知機能低下と前後して現れる不安様症状を呈する高齢者や中・壮年者や、該不安様症状が出現するおそれのある高齢者や中・壮年者等に対し、特に好適に適用される。
【0057】
本発明の方法におけるヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する組成物等の有効量は、対象動物の種類、年齢、性別、不安様症状の種類、状況、程度等に応じて適宜決定されるが、本発明の組成物において、ヒトおよびヒト以外の対象動物について、上記した摂取量または投与量と同様の量を、上記した回数および期間にて摂取させまたは投与することができる。
【0058】
さらに、本発明の方法におけるヒスチジン、リシン、フェニルアラニンおよびロイシンからなる群より選択される2種以上を含有する組成物等の摂取または投与方法としては、経口摂取または経口投与、経腸経管投与、輸液による投与等が挙げられるが、医療機関にて医師の指導監督下に行う必要がなく、簡便に摂取させることができることから、経口摂取または経口投与が好ましい。
【実施例】
【0059】
以下に本発明について、実施例によりさらに詳細に説明する。
【0060】
[実施例1]不安様症状の改善用組成物
表1に示す組成となるように、各成分の所定量を秤量の後、混合して、実施例1の不安様症状の改善用組成物(以下、「実施例1の組成物」という)を調製した。
【0061】
【表1】
【0062】
[試験例1]不安・焦燥および多動症状に対する作用の検討
本発明の実施例1の組成物の不安・焦燥および多動症状に対する作用について、C57Bl/6j高齢マウス(58週齢〜61週齢、雄性)(日本チャールス・リバー株式会社より購入)を用い、高架式十字迷路試験により評価した。
C57Bl/6j高齢マウスを表2に示す通り群分けし(n=12/群)、各群について、実施例1の組成物または溶媒を1ヶ月投与後および2ヶ月投与後に、下記の通り、高架式十字迷路試験を実施した。
【0063】
【表2】
【0064】
すなわち、各群のマウスを、それぞれ高架式十字迷路のニュートラルゾーンに置き、マウスの行動を8分間観察した。マウスが壁のない走路(開放アーム)に進入した回数と、走路内における移動距離を、ビデオトラッキング行動解析ソフトSmart3.0を用いて解析し、開放アーム進入回数(開放アーム滞在率)および総移動距離を算出した。開放アーム滞在率は不安・焦燥症状の指標となり、総移動距離は多動症状の指標となる。2ヶ月投与後の開放アーム滞在率および1ヶ月投与後の総移動距離を、平均値+平均値の標準誤差にて
図1に示した。なお、開放アーム進入回数については、通常タンパク質飼料(カゼイン20重量%含有飼料)で飼育し、溶媒のみを投与した群(NPD+Veh.)と他の各群との間で一元配置分散分析およびダネットの多重比較検定を実施した。総移動距離については、NPD+Veh.と低タンパク質飼料(カゼイン5重量%含有飼料)で飼育し、溶媒のみを投与した群(LPD+Veh.)との間、およびLPD+Veh.と低タンパク質飼料で飼育し、本発明の実施例1の組成物を投与した群(LPD+E1)のそれぞれとの間で、一元配置分散分析およびダネットの多重比較検定を実施した。
【0065】
図1に示されるように、低タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(LPD+Veh.)では、通常タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(NPD+Veh.)に比べて、開放アーム進入回数、総移動距離がともに有意に(p<0.05)上昇した。
一方、低タンパク質飼料で飼育し、本発明の実施例1の組成物を投与した群(LPD+E1)では、開放アーム進入回数は、NPD+Veh.と有意差の見られない程度の上昇にとどまり、総移動距離は、LPD+Veh.に比べて有意に(p<0.05)低下した。
【0066】
[試験例2]脳内神経伝達物質濃度に及ぼす効果の検討
試験例1において、高架式十字迷路試験による評価を行った後、各群のマウスを解剖し、前頭前皮質内における神経伝達物質(ドーパミン、ノルエピネフリン、グルタミン酸)濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)法および液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)法を用いて測定した。各神経伝達物質濃度の測定結果については、通常タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(NPD+Veh.)と、低タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(LPD+Veh.)との間、およびLPD+Veh.と低タンパク質飼料で飼育し、実施例1の組成物を投与した群(LPD+E1)との間で、一元配置分散分析およびテューキー(Tukey)の多重比較検定を実施した。結果は、平均値±平均値の標準誤差にて、
図2に示した。
【0067】
図2に示されるように、低タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(LPD+Veh.)では、通常タンパク質飼料で飼育し、溶媒のみを投与した群(NPD+Veh.)に比べて、脳内のドーパミン、ノルエピネフリンおよびグルタミン酸の各濃度が低下したことが認められた(それぞれp<0.01で有意、p<0.05で有意、p=0.13で有意傾向)。
一方、低タンパク質飼料で飼育し、実施例1の組成物を投与した群(LPD+E1)では、脳内ドーパミン濃度が、LPD+Veh.に比べて有意に上昇することが認められた(p<0.001で有意)。また、脳内ノルエピネフリン濃度ついては、LPD+Veh.群に比べて上昇する傾向が認められた(p=0.25で有意傾向)。
しかし、脳内グルタミン酸濃度については、LPD+E1において、LPD+Veh.に比べて有意な増加は認められなかった。
【0068】
試験例2において、低タンパク質飼料で飼育した群で、脳内の濃度の低下が観察されたドーパミン、ノルエピネフリンおよびグルタミン酸は、いずれも認知症患者にて減少することが知られている脳内神経伝達物質であり、ドーパミンおよびノルエピネフリンの減少は、不安様症状の出現と関連すると考えられる。
試験例2の結果より、本発明の組成物が、不安様症状の出現に関与する脳内神経伝達物質の減少を改善して、不安様症状を改善する可能性が示唆された。