特許第6981349号(P6981349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981349
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】情報伝達票を備えた物品
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/28 20060101AFI20211202BHJP
   B65D 75/14 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B65D77/28
   B65D75/14
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-78521(P2018-78521)
(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公開番号】特開2019-182525(P2019-182525A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 健太
(72)【発明者】
【氏名】小島 康伸
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩
(72)【発明者】
【氏名】松永 智弘
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3203623(JP,U)
【文献】 特開2015−013438(JP,A)
【文献】 特開2017−186487(JP,A)
【文献】 特開2015−193121(JP,A)
【文献】 特開2015−179193(JP,A)
【文献】 特開2010−254365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/28
B65D 75/14
B65D 83/08
B65D 5/62
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品であって、
前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、
前記貼着部はスチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含み、
前記コーティング剤は、スチレン系またはオレフィン系のコーティング剤であることを特徴とする物品。
【請求項2】
前記貼着材の160℃における粘度が15000mPa・sよりも低く、100mPa・sよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基材の表面粗さは、0.50μm未満であることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の物品。
【請求項4】
前記貼着部は複数であり、1つの貼着部の面積は1〜1500mm2であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記1つの貼着部に塗布される貼着材の量は0.001〜0.05gであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記基材が衛生用紙入りカートンである請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
複数の基材が積層され、透光性樹脂フィルムで包装された被包装積層体であって、
前記基材のうち、少なくとも一つの基材の表面に、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票が貼着部を介して担持され、
前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、
前記貼着部はスチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含み、
前記コーティング剤は、スチレン系またはオレフィン系のコーティング剤であることを特徴とする被包装積層体。
【請求項8】
基材と、
前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品を製造する方法であって、
前記基材を提供する工程と、
前記情報伝達票を提供する工程と、
前記情報伝達票に貼着材を付与する工程と、
前記貼着材が付与された情報伝達票を前記基材に貼付する工程と、を含み、
前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、
前記貼着部はスチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含み、
前記コーティング剤は、スチレン系またはオレフィン系のコーティング剤であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝達票を備えた物品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品に、消費者の購買意欲を促進する目的で広告や懸賞応募等に関する情報表示を付与することがある。
【0003】
例えば、広告用のパンフレットや懸賞応募はがきが、連続的に行われる商品の包装過程で、商品に貼付されることとなる。商品がティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンである場合には、包装体生産時のリードタイムを削減する目的で、衛生用紙入りカートンの生産の各工程において衛生用紙や衛生用紙入りカートン、衛生用紙入りカートンの包装体等を搬送路上で高速かつ連続的に移動させて処理するシステムが運用されている。
【0004】
このような高速かつ連続的な作業工程で、情報伝達票を商品に担持させるため、溶媒系または水系接着剤を使用すると、塗布後に乾燥工程が必要となり、より多くの時間や、コスト、およびエネルギーなどが必要とされる。そこで、情報伝達票の担持のために、ホットメルト系接着剤の使用が提案されている(特許文献1および特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−254365号公報
【特許文献2】特開2011−6138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、酢酸ビニル樹脂接着剤またはアクリル樹脂系粘着剤を用いた場合、これらの接着剤を情報伝達票に直接塗布すると、剥離後に情報伝達票に粘着層が残存してべたついたり、他の物品に意図せず付着するといった不具合が生じやすい。そのため、ホットメルト系接着剤を用いた粘着テープを作成し、該テープを貼付する工程を追加する必要があった(特許文献2参照)。
【0007】
そこで、本発明の目的は、運搬時や商品陳列時にははがれず、一方、剥離した場合には、商品に貼着部が残らない、情報伝達票を備えた物品を提供すること、および当該物品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基材と、前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品であって、前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、前記貼着部は、スチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含む物品を提供することによって上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明の物品は、基材と、前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品であって、前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、前記貼着部は、スチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含むことを特徴とする。
【0010】
また、他の実施態様において、本発明は、当基材と、前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品を製造する方法に関し、前記基材を提供する工程と、前記情報伝達票を提供する工程と、前記情報伝達票に貼着材を付与する工程と、前記貼着材が付与された情報伝達票を前記基材に貼付する工程と、を含み、前記基材は、少なくとも前記貼着部に接する表面がコーティング剤によりコーティングされ、前記貼着部はスチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直接情報伝達票に貼着材が付与され、基材に貼付され、運搬時や商品陳列時には情報伝達票がはがれず、一方、基材から情報伝達票を剥離した場合には、基材に貼着部が残らない物品が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による情報伝達票を備えた物品の平面図(a)および断面図(b)、ならびに該物品から情報伝達票を剥離する際の断面図(c)である。
図2】本発明の貼着部の例である。
図3】本発明の被包装積層体の全体図である。
図4】本発明の物品の製造装置である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明は、基材と、前記基材に貼着部を介して担持された、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、を含む物品に関する。
【0015】
図1は本発明の一実施態様を示す。図1(a)および(b)は、基材21上に貼着部22が形成され、情報伝達票23が担持されている本発明の物品10を、情報伝達票23が担持された面から見た透視図とその断面図である。
【0016】
本発明の基材21は、少なくとも、貼着部22に接する表面がコーティング剤によりコーティングされている。該コーティング剤は、基材21の全面をコーティングしてもよい。
【0017】
該コーティングにより、基材21の表面粗さは低下する。コーティングされた基材21の表面粗さは、0.50μm以下である。好ましくは、0.05μm〜0.50μmである。さらに好ましくは、0.25μm〜0.40μmである。
【0018】
基材21の材料は、該コーティングを行うことができる材料であれば特に限定されない。例えば、ボール紙等の箱材に使用される紙などを用いてもよい。また、基材21の表面には、該コーティングとともに、インク等で模様や文字が印刷されていてもよい。好ましくは、基材21はティッシュペーパー等の衛生用紙入りのカートンである。
【0019】
基材21に塗布されるコーティング剤は、基材21の材料およびその表面粗さを考慮して、適宜選択することができる。好ましくは、スチレン系またはオレフィン系のコーティング剤を用いることができる。
【0020】
本発明の貼着部22は、それにより、上記コーティングされた基材21の表面に情報伝達票23を担持することができる部位である。貼着部22は、スチレン系、またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を含む。例えば、スチレン系ホットメルト系貼着材として、主成分としてスチレン系ブロック共重合体を含むものが挙げられる。また、オレフィン系ホットメルト系貼着材として、例えば主成分として、エチレン、プロピレン等またはそれらの誘導体の重合体(または共重合体)を含むものが挙げられる。好ましくは、該ホットメルト系貼着材は、160℃における粘度が15000mPa・sよりも低く、100mPa・sよりも高い。また、該ホットメルト系貼着材は、無色透明のもの、または半透明のものが好ましい。
【0021】
本発明の貼着部22は、運搬時や商品陳列時など、担持された情報伝達票23が意図的にはがされることのない状態では、情報伝達票21を保持することができる。一方、担持された情報伝達票23を基材21の表面から剥離した場合(図1(c))には、剥離される情報伝達票23に伴い貼着部22が基材21から離れるため、基材21表面には貼着部22が残らない物品が提供できる。すなわち、貼着部22は情報伝達票23を保持するのに十分な接着強度を有し、かつ貼着部22の接着強度は基材21表面の破壊強度よりも弱い。
【0022】
本発明の貼着部22が形成される箇所は、貼着部22が上記接着強度を満たすものであれば、一か所であっても、または複数であってもよい。例えば、図1に示すように、2か所であってもよい。また、貼着部22の形状は、貼着材を塗布するノズルの形状または塗布装置の態様に合わせて、適宜選択することができる(図2参照)。例えば、円形(ドット)(図2(a))であってもよく、帯状(図2(b))であってもよい。また、貼着部22は破線状であってもよい(図2(c))。好ましくは、貼着部22は、2点の円形(ドット)状に形成される。
【0023】
1つの貼着部22の面積は1〜1500mm2であることが好ましい。より好ましくは、10〜500mm2である。また、1つの貼着部22に塗布される1つの貼着材の量は、0.01〜0.30gであることが好ましい。より好ましくは、0.01g〜0.05gである。
【0024】
本発明の情報伝達票23は、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有する。情報の種類は特に限定されないが、顧客の購買意欲を喚起し得る情報であることが好ましい。例えば、情報伝達票23として、懸賞応募はがきやアンケートカード、商品説明用パンフレット等の他、磁気カード、ICカード、非接触カード等の多種多様な情報伝達手段を用いることができる。また情報伝達表示部30の少なくとも一部に、機械読み取り可能な情報としてのバーコード情報、QRコード(登録商標)情報や、スクラッチ印刷を設けたり、少なくともその一部が割引券、引換券、回数券、優待券、会員証、入店証、アンケート用紙、広告チラシ、葉書、または懸賞応募用紙とすることで消費者の購買意欲を促進することもできる。また、情報伝達票23は、種々の大きさであってもよい。例えば、情報伝達票23は写真L版〜A4サイズの大きさとすることができる。また、情報伝達票23は、担持される基材21の表面を超える大きさであってもよい。
【0025】
本発明の情報伝達票23は、貼着部22が十分な接着強度を有するようにするため、その表面のうち少なくとも貼着部22と接する部分が平滑面となっていることが好ましい。特に情報伝達票23として紙片を用いる場合には、非塗工紙に比して表面平滑性に優れるという理由から、その紙片を塗工紙により構成することが好ましい。塗工紙としては、従来公知の塗工紙、例えば、ポリエチレンラミネート、水系樹脂コート、フィルムタイプその他の塗工紙を用いることができる。
【0026】
本発明の他の実施態様において、本発明は、複数の基材21が積層され、少なくとも一つの基材21の表面に情報伝達票23が付与され、透光性樹脂フィルムで包装された被包装積層体30に関する(図3参照)。
【0027】
図3では5つの基材21が積層され、積層体50を形成しているが、積層する個数は任意に選択することができる。
【0028】
情報伝達票23は、積層体50を形成する複数の基材21のうち、少なくとも一つの基材21の表面に担持される。積層体50を形成する基材21のうち、複数の基材21に担持されてもよい。
【0029】
また、情報伝達票23は積層体50の任意の表面に担持させることができる。例えば、情報伝達票23は、積層体50のいずれかの表面の中央部に担持されてもよく、また、積層体50のいずれかの表面の上部中央、もしくは下部中央に担持されてもよい。本発明の一実施態様において、基材21は衛生用紙入りカートンであり、それを5つ重ねた積層体50の側面に、情報伝達票23は、左右0〜70mm、上部40〜63mm、下部97〜124mmの間隔を設け、担持される。
【0030】
本発明の被包装積層体30を構成する透光性樹脂フィルム40の材質については、情報伝達票23が判読可能な透光性を有しておれば良い。この透光性樹脂フィルム40の透光性を表す具体的な値としては、透明性の指標としてJISK7105に準拠して測定したヘイズ値が3〜5%の範囲にあることが特に好ましい。透光性樹脂フィルム40の材質についてはこのように情報伝達票23が判読可能な透光性を有している他は特に制限はなく、通常、包装袋に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。中でも、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが好ましい。フィルムの厚さは、基材21の種類や重量によっても異なるが、衛生用紙入りカートンを基材21とする場合には、フィルムの厚さを20〜40μmとすることが好ましい。
【0031】
本発明の被包装積層体30の天面41および底面42はキャラメル包装により封止されていてもよい。具体的には、積層体50の天面41および底面に延出した透光性樹脂フィルム40のうち、積層体50の短側面側から延出した部分が、積層体50の天面41および底面42に向かってそれぞれ折り込まれ、同様に透光性樹脂フィルム40の、積層体50の長側面側から延出した部分が、その上に折り込まれる。さらに、この対向する2つの積層体50長側面側に折り込まれた部分同士が互いに貼り合わされている。このような構造により、積層体50が所定以上の強度を有する箱状体(略直方体形状のもの)であれば、包装時の破損の懸念が無く、透光性樹脂フィルム40によって積層体50をその形状に沿ってぴったりと覆うことができる。
【0032】
さらに、図3に示すような本発明の被包装積層体30の天面41に運搬時の把手43を形成することもできる。また、本発明の被包装積層体30の製造時における透光性樹脂フィルム40の接着は、例えば、熱シール、超音波溶着、接着剤による接着等の従来公知の方法を用いることができるが、設備が簡便で確実に接着できることから、熱シールにて溶着することが好ましい。熱シールでの溶着条件としては、天面41及び底面42の封止並びに天面41への把手43の形成には、180〜210℃で1秒間、胴接着部の形成には、180〜220℃で3秒程度加熱することが好ましい。
【0033】
本発明の物品は、例えば、図4に記載の装置により製造することができる。図4に示すように、基材21が装置に提供され(工程(a))、次いで、情報伝達票23が提供され(工程(b))、該情報伝達票23に貼着材が付与され(工程(c))、該貼着材が付与された情報伝達票23が前記基材21に貼付され、物品10が製造される(工程(d))。
【0034】
工程(a)において、基材21は、搬送路により装置に提供される。好ましくは、基材21は複数個が積層されて、装置に提供される。
【0035】
次いで、工程(b)において、情報伝達票23は、非粘着面側から回転貼付ユニット60のアーム先端部に吸引固定される。
【0036】
工程(c)では、情報伝達票23をアームに固定した回転貼付ユニット60が、情報伝達票23の粘着面を貼着材ノズル70に面するように、アームを回転させ、次いで、ノズル70から加熱された貼着材を情報伝達票23に付与する。吐出圧および吐出時間、ならびにノズル径は塗布する貼着材の量により、適宜選択することができる。また、貼着部22の形状により、複数のノズルを使用してもよい。貼着材ノズル70は、好ましくは加熱要素を備え、貼着材を加熱しながら付与することができる。
【0037】
上述の通り、貼着材が付与された情報伝達票23は、工程(d)において、回転貼付ユニット60により、さらにアームが回転され、基材21に貼付され、物品10が製造される。
【0038】
さらに、上述のようにして情報伝達票23が貼付された物品10は、情報伝達票23が貼付されていない基材21とともに透光性樹脂フィルムで包装され、被包装積層体30を構築してもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。ただし、本発明は、下記の実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
【0040】
(表面粗さの測定)
白紙にインクおよびスチレン系コーティング剤を印刷した表面(表面1)と、白紙にスチレン系コーティング剤のみを印刷した表面(表面2)と、何もコーティング処理を行わなかった白紙表面(表面3)との表面粗さを表面粗さは共焦点顕微鏡(キーエンス社製VR3000シリーズなど)による非接触測定により求めた(観察領域:約630μm×630μm)。表面粗さは表面1および表面2については、2ロット3点ずつ測定し、その平均を計算した。表面3については、2ロット2点ずつ測定し、1ロットずつ、その平均を計算した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】

(実施例1)
スチレン系ホットメルト系貼着材(軟化点:76℃、160℃での粘度:650mPa・s)を、リーフレット23に貼着材ノズル70(ノズル温度150℃)を用いて塗布し、リーフレット23(150×150mm)の表面にドット状の貼着部22を2点作成し、表面をスチレン系コーティング剤でコーティングした衛生用紙入りカートン21に貼付した。貼着部22に用いられた貼着材の量は1本あたり0.01g、貼着部22の面積は合計50mm2であった。
【0043】
貼付後、3時間放置し、物品10からリーフレット23を剥離した(3方向、N=16ずつ)。その結果を表2に示す。
【0044】
(実施例2)
スチレン系ホットメルト系貼着材をオレフィン系ホットメルト系貼着材(軟化点:122℃、160℃での粘度:1600mPa・s)にした以外は実施例1と同様に物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0045】
(実施例3)
スチレン系ホットメルト系貼着材をオレフィン系ホットメルト系貼着材(軟化点:106℃、160℃での粘度:3900mPa・s)にした以外は実施例1と同様に物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0046】
(実施例4)
スチレン系ホットメルト系貼着材をオレフィン系ホットメルト系貼着材(軟化点:110℃、160℃での粘度:12000mPa・s)にした以外は実施例1と同様に物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0047】
(比較例1)
エチレン−酢酸ビニル(EVA)系エマルション系貼着材(粘度:25℃での粘度450mPa・s)をリーフレット23に塗布した後、乾燥させ、リーフレット23の表面に帯状の貼着部22を2本作成し、衛生用紙入りカートン21に貼付した。
【0048】
貼付後、3時間放置し、物品10からリーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0049】
(比較例2)
EVA系エマルション系貼着材を酢酸ビニル系エマルション系貼着材(25℃での粘度:2500mPa・s)にした以外は比較例1と同様に物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0050】
(比較例3)
EVA系エマルション系貼着材をアクリル系エマルション系貼着材(25℃での粘度:2000mPa・s)にした以外は比較例1と同様に物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
表2の結果から、スチレン系またはオレフィン系のホットメルト系貼着材を用いた本願発明の物品10は、リーフレット23を剥離後も、カートン表面を破損せず、さらにカートン表面に貼着部22が残存しないため、べたつきを与えなかった。一方、エマルション系貼着材を用いた比較例1〜3では、リーフレット23を剥離後、カートン表面に貼着部22が残存したり、カートン表面が破損された。
【0053】
(実施例5)
温度を170℃にした以外は実施例1と同様に、物品10を作成し、その後、リーフレット23を剥離した。その結果、リーフレット23を剥離後も、カートン表面を破損せず、さらにカートン表面に貼着部22が残存しないため、べたつきを与えなかった。
図1
図2
図3
図4