特許第6981359号(P6981359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981359
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20211202BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H04B1/04 P
   H03F3/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-88369(P2018-88369)
(22)【出願日】2018年5月1日
(65)【公開番号】特開2019-195129(P2019-195129A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2021年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西森 理人
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−225887(JP,A)
【文献】 特開2018−064248(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/111451(WO,A1)
【文献】 特開2017−212478(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0062323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H03F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
入力される送信信号を増幅して前記アンテナに出力する増幅器と、
電波を前記アンテナから送信しない非送信期間と電波を前記アンテナから送信する送信期間との切り替えを制御するタイミング制御回路と、
前記タイミング制御回路からの制御信号に基づいて、前記非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする電圧制御部とを備える、無線通信装置。
【請求項2】
前記電圧制御部は、前記増幅器のドレイン電流が前記送信期間に一定になるように、前記非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記電圧制御部は、前記非送信期間のうちの特定の期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする、請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記タイミング制御回路からの制御信号に基づいて、前記非送信期間に前記増幅器に印加するバイアス電圧を、前記送信期間よりも低くする第2の電圧制御部を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信における通信データ量の増加に伴い、無線通信装置の送信出力の増大などを図るため、信号を増幅する増幅器を備える無線通信装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−27034号公報
【特許文献2】特開2017−123539号公報
【特許文献3】特開2008−11086号公報
【特許文献4】国際公開第2012/111451号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、RF(Radio Frequency)信号を出力する増幅器では、例えば図1に示されるように、RF信号出力時のRFストレスによってアイドリング電流Idqが変動するIdqドリフトという現象が発生してしまうことがある。アイドリング電流Idqは、増幅器にRF信号の入力がない状態(アイドル状態)において、増幅器のドレインに流れる電流(ドレイン電流)を表す。
【0005】
例えば、送信と受信を時間によって切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式では、図2に示されるように、受信から送信に切り替わると、RF信号出力時のRFストレスによって、増幅器のドレインに流れるドレイン電流は減少する。そして、増幅器に入力されるRF信号がなくなる受信期間では、アイドリング電流Idqは回復に向けて漸増する。
【0006】
アイドリング電流Idqが変動してしまうと、増幅器の入出力特性(増幅特性)が変化するため、増幅器から出力される信号に生ずる歪みが増大しやすくなる。
【0007】
そこで、本開示は、増幅器から出力される信号に生ずる歪みを抑制することができる無線通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、
アンテナと、
入力される送信信号を増幅して前記アンテナに出力する増幅器と、
電波を前記アンテナから送信しない非送信期間と電波を前記アンテナから送信する送信期間との切り替えを制御するタイミング制御回路と、
前記タイミング制御回路からの制御信号に基づいて、前記非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする電圧制御部とを備える、無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、増幅器から出力される信号に生ずる歪みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】アイドリング電流の変動現象の一例を示す概略図である。
図2】送受信の切り替えとアイドリング電流の変動との関係の一例を示す概略図である。
図3】無線通信装置の第1の構成例を示す図である。
図4】無線通信装置の第1の制御例を示すタイミングチャートである。
図5】無線通信装置の第2の制御例を示すタイミングチャートである。
図6】無線通信装置の第3の制御例を示すタイミングチャートである。
図7】無線通信装置の第2の構成例を示す図である。
図8】無線通信装置の第4の制御例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態における無線通信装置について説明する。
【0012】
図3は、本実施形態における無線通信装置の第1の構成例を示す図である。図3に示される無線通信装置100は、増幅器10により増幅された高周波信号に基づいて、アンテナ40から電波を間欠的に送信する。無線通信装置100は、例えば、所定の繰り返し周期で信号の送受信を行うTDD方式で無線通信を行う。
【0013】
無線通信装置100の具体例として、無線基地局、携帯電話、スマートフォン、IoT(Internet of Things)機器などが挙げられるが、その具体例は、これらに限られない。無線通信装置100は、アンテナ40と、増幅器10と、ドレイン電圧制御部20と、タイミング制御回路30とを備える。
【0014】
アンテナ40は、増幅器10により増幅された送信信号が供給されることにより、当該送信信号に対応する電波を送信する素子である。アンテナ40は、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子のうちの一つでもよい。
【0015】
増幅器10は、入力される送信信号を増幅してアンテナ40に出力する。増幅器10により増幅された送信信号がアンテナ40に供給されることにより、当該送信信号に対応する電波がアンテナ40から送信されるので、無線送信が可能となる。なお、増幅器10とアンテナ40との間には、フィルタ等の素子が挿入されてもよい。
【0016】
増幅器10は、例えば、GaN(窒化ガリウム)デバイス等のトランジスタにより形成されるパワーアンプである。GaNデバイスは、他の半導体デバイス(例えば、Si−LDMOS(シリコン横方向拡散金属酸化膜半導体)やGaAs−FET(ガリウム砒素電界効果トランジスタ)等)と比較し、バンドギャップが広くて移動度も高いため、優れた高周波出力特性を有する。
【0017】
しかしながら、GaNデバイス等のトランジスタでは、図1に示した場合と同様に、送信信号の増幅出力時のRFストレスによってアイドリング電流Idqが変動するIdqドリフトという現象が発生してしまうことがある。この場合のアイドリング電流Idqは、トランジスタのゲートに対して増幅すべき送信信号の入力がない状態(アイドル状態)において、電源電圧が印加されるドレインから、増幅後の送信信号を出力するソースに流れる電流(ドレイン電流)を表す。
【0018】
そのため、図2に示した場合と同様に、非送信期間から送信期間に切り替わり、送信信号が増幅器10のトランジスタのゲートに入力されると、送信信号の増幅出力時のRFストレスによって、当該トランジスタのドレインに流れるドレイン電流は減少する。そして、当該トランジスタのゲートに入力される送信信号がなくなる非送信期間では、アイドリング電流Idqは回復に向けて漸増する。
【0019】
ここで、アイドリング電流Idqが変動する理由についてより詳細に説明する。トランジスタが送信信号を増幅して出力する時、外部から印加されているドレイン電圧の3倍程度の電圧が、当該トランジスタのドレイン電極に短時間生じるRFストレスが発生する。基本的に、ドレイン電圧が大きいほどGaNの半導体層のトラップ準位に捕獲される電子の量が増加し、アイドリング電流Idqが減少する。このため、図1,2に示されるように、トランジスタが送信信号を増幅して出力するRF ON時は、アイドリング電流Idqが減少する。一方、送信信号がトランジスタに入力されないRF OFF時は、RFストレスの発生が無いことによりドレイン電圧がRF ON時よりも低くなる。そのため、図1,2に示されるように、アイドリング電流Idqは元の設定電流値に戻るように回復に向けて漸増し始める。
【0020】
このように、アイドリング電流Idqが変動してしまうと、増幅器10のトランジスタの増幅特性が変化するため、増幅器10から出力される信号に生ずる歪みが増大しやすくなる。特に、アイドリング電流Idqの変動中は、増幅器10の利得や増幅器10から出力される信号の位相の変動が大きくなるため、DPD(Digital Pre-Distortion)による歪み補償が行われても、その補償精度は低下しやすくなる。
【0021】
そこで、図3の本実施形態の無線通信装置100は、電波をアンテナ40から送信しない非送信期間に増幅器10内のトランジスタのドレインに印加するドレイン電圧を、電波をアンテナ40から送信する送信期間よりも高くするドレイン電圧制御部20を備える。ドレイン電圧制御部20は、非送信期間に増幅器10に印加する電源電圧を、送信期間に増幅器10に印加する電源電圧よりも高くする電圧制御部の一例である。
【0022】
非送信期間に増幅器10に印加するドレイン電圧が、送信期間に増幅器10に印加するドレイン電圧よりも高くなることにより、図4に示されるように、非送信期間におけるアイドリング電流Idqの回復が抑制される。ドレイン電圧が大きいほどGaNの半導体層のトラップ準位に捕獲される電子の量が増加し、アイドリング電流Idqが減少するからである。非送信期間におけるアイドリング電流Idqの回復が抑制されることにより、アイドリング電流Idqが減少したまま一定に保たれた状態で、増幅器10は送信期間に送信信号を増幅して出力することができる。これにより、増幅器10から出力される信号にIdqドリフトにより生ずる歪みを抑制することができる。
【0023】
図4は、図3に示される無線通信装置100の第1の制御例を示すタイミングチャートである。上から1段目の波形において、データ送信がONの期間は、電波をアンテナ40から送信する送信期間を表し、データ送信がOFFの期間は、電波をアンテナ40から送信しない非送信期間を表す。上から2段目の波形は、ドレイン電圧制御部20が増幅器10のトランジスタのドレインに印加する電圧(ドレイン電圧)を表す。ドレイン電圧制御部20は、送信期間に増幅器10に印加するドレイン電圧の値を電圧値Vd1に設定し、非送信期間に増幅器10に印加するドレイン電圧の値を電圧値Vd2に設定する。電圧値Vd2は、電圧値Vd1よりも大きい。上から3段目の波形は、増幅器10のトランジスタのゲートに抵抗を介して印加されるバイアス電圧(ゲートバイアス電圧)を表す。図4の第1の制御例では、トランジスタの閾値電圧よりも電圧値が大きな一定の電圧値Vg1のバイアス電圧が、送信期間と非送信期間とに常に印加される。
【0024】
ドレイン電圧制御部20は、増幅器10に送信期間に印加する電源電圧よりも電圧値が高い電源電圧を増幅器10に非送信期間に印加する。ドレイン電圧制御部20が非送信期間のドレイン電圧を増加させることにより、非送信期間のアイドリング電流Idqの回復を抑制することができる。送信期間に発生するRFストレスによりドレインに発生する電圧と同程度の電圧を当該ドレインに非送信期間に外部から印加すると、非送信期間でのアイドリング電流Idqの回復が抑制される。よって、非送信期間に印加されるドレイン電圧の電圧値Vd2は、送信期間に印加されるドレイン電圧の電圧値Vd1の2倍程度が好ましい。ドレインに印加する電圧が高すぎると、増幅器10の消費電力が増加し、増幅器10の寿命が低下するおそれがあるためである。
【0025】
ドレイン電圧制御部20は、図4に示されるように、増幅器10のドレイン電流が送信期間に一定になるように、非送信期間に増幅器10に印加するドレイン電圧を、送信期間よりも高くする。これにより、送信期間でのアイドリング電流Idq(ドレイン電流)が一定になるため、増幅器10の出力信号に生ずる歪みを抑制する効果が一層高まる。ドレイン電圧制御部20の具体例として、スイッチングレギュレータ等のDC−DCコンバータが挙げられる(DC:Direct Current)。しかし、ドレイン電圧制御部20は、これに限られない。
【0026】
図3に示されるように、ドレイン電圧制御部20は、例えば、タイミング制御回路30からの制御信号に基づいて、増幅器10に印加するドレイン電圧の電圧値を送信期間と非送信期間とで切り替える。タイミング制御回路30は、電波をアンテナ40から送信する送信期間と、電波をアンテナ40から送信しない非送信期間との切り替えを制御する。
【0027】
タイミング制御回路30は、電波をアンテナ40から送信するタイミングのときは、送信期間を知らせる制御信号を出力し、電波をアンテナ40から送信しないタイミングのときは、非送信期間を知らせる制御信号を出力する。送信期間は、送信信号が増幅器10に入力され得る期間であり、非送信期間は、送信信号が増幅器10に入力されない期間である。
【0028】
図5は、図3に示される無線通信装置100の第2の制御例を示すタイミングチャートである。アイドリング電流Idqは、送信期間が始まるまでに、その送信期間にRFストレスによりドレイン電流が低下する電流値まで抑制されていればよい。
【0029】
そこで、図5の第1の制御例では、ドレイン電圧制御部20は、非送信期間のうちの特定の期間(図5の場合、送信期間が開始する直前の期間)に増幅器10に印加するドレイン電圧を、送信期間よりも高くする。第1の制御例では、この直前の期間は、一の非送信期間の中央タイミングと、その一の非送信期間の次の送信期間の開始タイミングとの間に含まれる期間を表す。ドレイン電圧制御部20は、非送信期間の開始を知らせる制御信号をタイミング制御回路30から受信してから所定の遅延時間の経過時にドレイン電圧を増加させ、ドレイン電圧を増加させてから所定の増加期間の経過時にドレイン電圧を元の電圧に減少させる。
【0030】
図5に示されるように、非送信期間のうちドレイン電圧を増加させない期間は、アイドリング電流Idqは、回復し始めるが、ドレイン電圧を増加させる期間にアイドリング電流Idqは再度減少し始める。その結果、送信期間の開始タイミングまでにはアイドリング電流Idqが送信期間での電流値まで低下するので、増幅器10から送信期間に出力される信号に生ずる歪みを抑制することができる。また、図5の第2の制御例では、図4の第1の制御例と比較して、ドレイン電圧を増加させる時間が短いので、増幅器10の消費電力を抑制できる。
【0031】
図6は、図3に示される無線通信装置100の第3の制御例を示すタイミングチャートである。アイドリング電流Idqは、送信期間が始まるまでに、その送信期間にRFストレスによりドレイン電流が低下する電流値まで抑制されていればよい。また、上述の図5では、送信期間の開始直前の期間のみドレイン電圧を増加させているが、増幅器のIdqドリフトの特性によっては、アイドリング電流Idqの回復が遅い場合がある。この場合、例えば図6のように、送信期間の終了直後の期間のみドレイン電圧を増加させてもよい。
【0032】
図6の第3の制御例では、ドレイン電圧制御部20は、非送信期間のうちの特定の期間(図6の場合、送信期間が終了した直後の期間)に増幅器10に印加するドレイン電圧を、送信期間よりも高くする。第3の制御例では、この直後の期間は、一の送信期間の終了タイミングと、その一の送信期間の次の非送信期間の中央タイミングとの間に含まれる期間を表す。ドレイン電圧制御部20は、非送信期間の開始を知らせる制御信号をタイミング制御回路30から受信した時にドレイン電圧を増加させ、ドレイン電圧を増加させてから所定の増加期間の経過時にドレイン電圧を元の電圧に減少させる。
【0033】
図6に示されるように、アイドリング電流Idqの回復が送信期間の終了から遅れる増幅器10であっても(点線参照)、アイドリング電流Idqの増加は、ドレイン電圧の増加により送信期間が始まるまでに抑制される。その結果、送信期間の開始タイミングまでにはアイドリング電流Idqが送信期間での電流値まで低下するので、増幅器10から送信期間に出力される信号に生ずる歪みを抑制することができる。また、図6の第3の制御例では、図4の第1の制御例と比較して、ドレイン電圧を増加させる時間が短いので、増幅器10の消費電力を抑制できる。
【0034】
図7は、本実施形態における無線通信装置の第2の構成例を示す図である。第1の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。図7に示される無線通信装置200は、図3の構成に対して、ゲート電圧制御部50が追加されている。
【0035】
ゲート電圧制御部50は、非送信期間に増幅器10内のトランジスタのゲートに抵抗を介して印加するバイアス電圧を、送信期間よりも低くする回路である。ゲート電圧制御部50は、増幅器10に非送信期間に印加するバイアス電圧を、送信期間よりも低くする第2の電圧制御部の一例である。
【0036】
非送信期間に増幅器10に印加するバイアス電圧が送信期間に増幅器10に印加するバイアス電圧よりも低くなることにより、図8に示されるように、非送信期間でのアイドリング電流Idqを低減することができる。ゲート電圧制御部50は、非送信期間でのアイドリング電流Idqの低減度合いを高めるため、非送信期間に増幅器10に印加するバイアス電圧の電圧値を閾値電圧まで低下させるとよい。
【0037】
図8は、図7に示される無線通信装置200の第4の制御例を示すタイミングチャートである。各波形の凡例は、上述の図4と同様である。ゲート電圧制御部50は、送信期間に増幅器10に印加するバイアス電圧の値を電圧値Vg1に設定し、非送信期間に増幅器10に印加するバイアス電圧の値を電圧値Vg2に設定する。電圧値Vg2は、電圧値Vg1よりも小さい。図8の第4の制御例では、図4の第1の制御例と比較して、非送信期間でのバイアス電圧とアイドリング電流Idqが低くなるので、増幅器10の消費電力を更に抑制できる。ゲート電圧制御部50は、例えば、タイミング制御回路30からの制御信号に基づいて、増幅器10に印加するバイアス電圧の電圧値を送信期間と非送信期間とで切り替える。
【0038】
以上、無線通信装置を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0039】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
アンテナと、
入力される送信信号を増幅して前記アンテナに出力する増幅器と、
電波を前記アンテナから送信しない非送信期間と電波を前記アンテナから送信する送信期間との切り替えを制御するタイミング制御回路と、
前記タイミング制御回路からの制御信号に基づいて、前記非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする電圧制御部とを備える、無線通信装置。
(付記2)
前記電圧制御部は、前記増幅器のドレイン電流が前記送信期間に一定になるように、前記非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする、付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)
前記電圧制御部は、前記非送信期間のうちの特定の期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信期間よりも高くする、付記1又は2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記特定の期間は、前記送信期間が開始する直前の期間である、付記3に記載の無線通信装置。
(付記5)
前記特定の期間は、前記送信期間が終了した直後の期間である、付記3に記載の無線通信装置。
(付記6)
前記タイミング制御回路からの制御信号に基づいて、前記非送信期間に前記増幅器に印加するバイアス電圧を、前記送信期間よりも低くする第2の電圧制御部を更に備える、付記1から5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記7)
アンテナと、
入力される送信信号を増幅して前記アンテナに出力する増幅器と、
前記送信信号が前記増幅器に入力されない非入力期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、前記送信信号が前記増幅器に入力される入力期間よりも高くする電圧制御部とを備える、無線通信装置。
(付記8)
入力される送信信号を増幅してアンテナに出力する増幅器を制御する方法であって、
電波を前記アンテナから送信しない非送信期間に前記増幅器に印加する電源電圧を、電波を前記アンテナから送信する送信期間よりも高くする、増幅器制御方法。
【符号の説明】
【0040】
10 増幅器
20 ドレイン電圧制御部
30 タイミング制御回路
40 アンテナ
50 ゲート電圧制御部
100,200 無線通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8