(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態の構成:
(1)実施形態に共通のハードウェア構成:
実施形態の燃料噴射制御システム10のハードウェア構成について、説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
燃料噴射制御システム10は、
図1に示すように、筒内噴射式の内燃機関である筒内噴射式エンジン11(以下では単に「エンジン11」とも表記する)と、電子制御ユニット(以下「ECU」と表記する)30を備え、エンジン11の挙動をECU30が制御するように構成されている。エンジン11は、例えば4つの気筒40を有する直列4気筒エンジンなどのように複数の気筒40を有するが、
図1では単一の気筒40及びそれに繋がる管系のみが図示されている。
【0012】
エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15により開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
【0013】
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒40に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられている。
【0014】
気筒40は、ピストン40a及びシリンダ40bによって構成されている。エンジン11の各気筒40には、それぞれ筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁50が取り付けられている。燃料噴射弁50には、燃料タンク62から、燃料ポンプ64により燃料が供給される。燃料を供給する燃料供給管65には、燃料の供給圧を検出する圧力センサ66が設けられている。また、シリンダ40bの上方のシリンダヘッド40cには、各気筒40毎に点火プラグ22が取り付けられ、各気筒40の点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0015】
燃料噴射弁50は、周知の電磁駆動式(ソレノイド式)のインジェクタである。燃料噴射弁50は、
図2に示したように、内蔵するソレノイドの駆動コイル60に通電することにより、駆動コイル60が形成する磁束により、燃料の供給路を形成するケース51内に設けられた弁体であるニードル弁54をリフトし、ケース51の先端に設けられた開口部53を開閉し、燃料噴射を実現する。燃料噴射弁50は、弁体としてのニードル弁54の他、ニードル弁54に固定された駆動体としてのプランジャ58と、プランジャ58を全体としては開口部53方向に付勢する2つのコイルばね56,57と、コイルばね57のバックアップ部材として機能する供給孔栓59等を備える。供給孔栓59は、中心に、燃料の供給を受ける供給孔を有する。燃料噴射弁50に供給される燃料は、燃料ポンプ64により、筒内噴射可能な圧力に昇圧され、燃料供給管65を介して、供給される。
【0016】
この燃料噴射弁50では、ソレノイドは燃料噴射弁50に一体に組み込まれているので、単独の構成部品としてのソレノイドは存在しないが、ニードル弁54を駆動する駆動体としてのプランジャ58とこれを吸引する電磁力を発生する駆動コイル60とでソレノイドを構成していると解することができる。ECU30から見れば、制御するのは駆動コイル60への通電時間であり、これをアクチュエータと解することができる。燃料噴射弁50は、内蔵されたソレノイドの駆動コイル60に通電されると、駆動コイル60によって生じる電磁力によってプランジャ58に一体化されたニードル弁54を、その先端が開口部53から離脱する方向にリフトする。ニードル弁54の先端が開口部53から離れると、燃料噴射弁50は、開弁状態となり、供給孔に供給されている高圧の燃料が、エンジン11の筒内に噴射される。燃料噴射弁50は、駆動コイル60への通電が停止されると、ニードル弁54が、コイルばね57の力により開口部53方向に戻って閉弁状態となり、燃料噴射が停止される。燃料噴射弁50には、通電用の端子が設けられ、ECU30に接続されている。駆動コイル60は通電用の端子に接続されており、ECU30は、所望のタイミングで駆動コイル60への通電を行なうことができる。
【0017】
エンジン11の各気筒40には排気管23が繋がれている。排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
【0018】
エンジン11のシリンダ40bには、筒内圧を検出する筒内圧センサ26、冷却水温を検出する冷却水温センサ27が取り付けられている。各ピストン40aには、ピストン40aの往復運動を円運動に変換するクランク軸28が連結されている。クランク軸28の外周側には、クランク軸28が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ29が取り付けられている。また、クランク軸28には、動力を外部に取り出す出力軸43が結合され、ここにトルクセンサ45が設けられている。
【0019】
これら各種センサからの出力され検出信号は、ECU30に入力される。具体的には、エアフローメータ14が検出する吸入空気量、スロットル開度センサ17が検出するスロットルバルブ16の開度、吸気管圧力センサ19が検出する吸気管圧力、5、排出ガスセンサ24が検出する空燃比、筒内圧センサ26が検出する筒内圧、冷却水温センサ27が検出する冷却水温、クランク角センサ29が検出するクランク角度、圧力センサ66が検出する燃料供給圧、トルクセンサ45が検出するエンジン11の出力トルクなどを、ECU30は読み取り、エンジン11の運転状態を知ることができる。また、ECU30は、燃料噴射弁50のソレノイドを構成する駆動コイル60に関して、駆動コイル60に印加される電圧および駆動コイル60に流れる電流の少なくとも一方をモニタすることができる。これら駆動コイル60への印加電圧や電流は、後述する駆動コイル60への通電時間と燃料噴射量との対応関係の決定に利用される。ECU30に入力される出力信号には、この他、図示しないアクセルペダルの踏込量(アクセル操作量)を検出するアクセルセンサ41からの信号がある。
【0020】
これらの信号を受け付けるECU30は、マイクロコンピュータ(CPU)31を主体として構成され、内蔵されたメモリ32に記憶された各種のエンジン制御用のプログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度(吸入空気量)等を制御する。燃料噴射量は、燃料噴射弁50の開弁時間により制御する。また、点火時期は、ピストン40aの上死点(UDC)に対して所定の角度で、点火プラグ22に、図示しないイグナイタを用いて火花点火することにより制御する。スロット開度は、アクセルセンサ41が検出したアクセルペダルの踏込量と連動するようモータ15を駆動することにより、調整する。各制御のためのアクチュエータは、周知のものなので、モータ15や燃料噴射弁50を除いて図示は省略した。また、これらのアクチュエータは、ECU30内蔵されたドライバを介して、駆動される。燃料噴射弁50の駆動コイル60には、このドライバを介して、噴射パルスが印加される。噴射パルスの詳細については、後述する。
【0021】
(2)燃料噴射弁50の動作の詳細:
次に、燃料噴射弁50の動作とその特性について説明する。燃料噴射弁50は、上述したように、内蔵するソレノイドの駆動コイル60に通電することにより、プランジャ58に固定されたニードル弁54をリフトし、開口部53から燃料を噴射する。その噴射量は、供給される燃料の圧力が一定であれば、ニードル弁54がリフトして開口部53が開口している時間に比例する。こうしたニードル弁54のリフトには、フルリフトとパーシャルリフトとがある。
【0022】
フルリフトは、駆動コイル60に十分な電流を供給できる電圧で、かつ十分なパルス幅の通電パルスが印加される場合のニードル弁54の動きのことである。駆動コイル60に供給されるエネルギは、駆動コイル60に流れる電流(通電電流)とパルス幅で決まる。ECU30からみれば、印加する電圧とパルス幅が直接の制御対象であり、印加する電圧は一定と見なせるので、以下の説明では、パルス幅によってニードル弁54の動きを制御するものとして説明する。パルス幅は、以下、駆動コイル60に噴射パルスが印加される時間である通電時間とも呼ぶ。駆動コイル60への通電時間が十分にあれば、プランジャ58はコイルばね57の付勢力に抗してリフトされ、プランジャ58の背面がケース51の内側の停止位置に突き当たるまで移動し、その状態で一定時間保持される。印加された電圧による駆動コイル60への通電時間が経過して、プランジャ58およびニードル弁54が元の位置に戻ると、燃料噴射は終了する。
【0023】
フルリフトとパーシャルリフトの場合のニードル弁54のリフト量、つまりは燃料噴射量との関係を、
図3を用いて説明する。
図3の最上段にはフルリフトの場合の通電パルスを、
図3の中断にはパーシャルリフトの場合の通電パルスを、それぞれ示した。
図3の最下段には、それぞれの通電パルスに対応したニードル弁54のリフト量を示した。駆動コイル60に印加される通電パルスが十分なパルス幅を備えていれば、ニードル弁54はプランジャ58の背面がケース51に突き当たるまで引き上げられ、その状態に維持され、通電パルスの終了後、元の位置に戻る。この場合、燃料噴射弁50の個体差により、ニードル弁54の動きにバラツキが生じるものの、フルリフトの場合のニードル弁54の挙動は、
図3に符号FLで示したように、一定のバラツキの範囲に収まる。
【0024】
他方、駆動コイル60に印加される通電パルスが、ニードル弁54がフルリフトの位置まで引き上げられるに足りない程度のパルス幅とされている場合には、ニードル弁54はプランジャ58の背面がケース51に突き当たるまで引き上げられず、通電パルスが終了すると、その位置から元の位置に戻る。これがパーシャルリフトの場合のニードル弁54の動きである。この場合、燃料噴射弁50の個体差により、ニードル弁54の動きには、フルリフトの場合のバラツキFLより大きなバラツキが生じる。パーシャルリフトの場合のニードル弁54の挙動は、
図3に符号PLで示したように、比較的な大きなバラツキを示す。
【0025】
通電パルスのパルス幅を、パーシャルリフトの場合のパルス幅Tpから、フルリフの場合のパルス幅Tfに向けて延ばしていくと、ニードル弁54が引き上げられてプランジャ58の背面がケース51に当たる寸前とか、当たった瞬間、あるいは当たった直後に、通電が終了する場合が生じ得る。プランジャ58の背面がケース51に当たった直後に、駆動コイル60への通電が終了すると、プランジャ58、延いてはニードル弁54が保持されるということがなく、プランジャ58の跳ね返りにより、ニードル弁54はフルリフトの終了の場合の閉弁速度より速い速度で閉弁する場合がある。この様子を
図3に破線SLで示した。
【0026】
燃料噴射弁50には上述したように、個体差があるから、
図4に例示するように、通電パルスのパルス幅と燃料噴射弁との関係は、固体毎に異なる場合がある。関係の違いを符号A、B、Cで例示した。燃料噴射弁50への通電は、駆動体であるプランジャ58が弁体であるニードル弁54の開方向に移動されて移動範囲の端部に到達すると想定されるタイミングで駆動コイル60への通電を終了する境界通電と、プランジャ58がニードル弁54の開方向の端部に相当する位置に移動した状態となった後の所定のタイミングで通電を終了する第1通電と、プランジャ58が開方向の端部に移動する以前に通電を終了する第2通電とがある。第1通電における通電時間の長さと燃料噴射量との関係は、フルリフトに対応し、通電時間が長くなるに従って所定の傾きで燃料噴射量が増加する。こうした第1通電が行なわれ範囲を、以下、第1領域と呼ぶ。また、第2通電における通電時間の長さと燃料噴射量との関係は、パーシャルリフトに対応し、通電時間が長くなるに従って第1領域とは異なる傾きで燃料噴射量が増加する。こうした第2通電が行なわれる範囲を第2領域と呼ぶ。更に、両者の中間の範囲であって、境界通電が行なわれる範囲を、境界領域と呼ぶ。
【0027】
境界領域は、通電パルスのパルス幅と燃料噴射量との関係に、何らかの変曲点が見られる領域である。境界領域は、プランジャ58の背面がケース51に当たる寸前とか、当たった瞬間、あるいは当たった直後となるようなパルス幅Tbの範囲に相当するが、燃料噴射弁50の個体差によるバラツキもあるため、第1領域と第2領域との間に所定の幅を持って存在する。この境界領域の真ん中辺りに変曲点が存在する特性を、
図4に符号Aを付して示した。この特性Aにより特定される通電パルス幅、つまり燃料噴射弁50の駆動コイル60への通電時間と燃料噴射量との対応関係を、燃料噴射弁50のデフォルトの対応関係と呼ぶ。このデフォルトの対応関係は、燃料噴射弁50の設計値を元に予め作成された対応関係であり、ECU30のメモリ32に不揮発的に記憶されている。
【0028】
この境界領域における通電パルスの終了時のニードル弁54の挙動は、
図3に特性SLとして示したように、第1,第2領域でのニードル弁54の挙動とは異なる。この結果、通電パルスのパルス幅Tbの近傍では、通電時間とニードル弁54のリフト量、つまりは燃料噴射弁との関係は、線形な対応関係とならないことがある。この様子を
図5に例示した。図示するように、通電時間が増えているにもかかわらず、境界領域では、時に燃料噴射量が減少してしまう領域SCが存在する場合がある。以下、燃料噴射弁50が備えるこうした特性の測定を含めて、ECU30が行なう燃料噴射制御について説明する。
【0029】
(3)燃料噴射制御:
ECU30は、図示しないイグニッションキーがオンにされると、
図6に示した燃料噴射制御ルーチンを繰り返し実行する。この制御ルーチンを開始すると、ECU30は、まず目標燃料噴射量を取得する(ステップS100)。目標燃料噴射量は、アクセルセンサ41が検出したアクセルペダルの踏込量や、クランク角センサ29による検出されたクランク角度に基づいて求められた車速などに基づいて求められる。もとより、目標燃料噴射量は、冷却水温センサ27を用いて検出した冷却水温などによっても補正される。
【0030】
目標燃料噴射量を取得した後、ECU30は、燃料噴射弁50に印加する通電パルスとのパルス幅と燃料噴射量との対応関係が作成済みであるか否かの判断を行なう(ステップS110)。エンジン11が起動した直後で、対応関係が作成済みでなければ、メモリ32に記憶されたデフォルトの対応関係DCを参照して、目標燃料噴射量を実現する通電時間を取得する処理を行なう(ステップS120)。目標燃料噴射量を実現する通電時間とは、燃料噴射弁50の駆動コイル60に印加する通電パルスの通電時間であって、デフォルトの対応関係DCから求められる通電時間である。この通電時間は、駆動コイル60に通電パルスを印加してからニードル弁54が動き始めるまでの遅れ時間などを見込んで定められている。
【0031】
通電パルスの通電時間を取得すると、次に燃料噴射を実施する(ステップS130)。ECU30は、燃料噴射弁50の駆動コイル60に通電パルスを印加して圧縮行程後半の所定のタイミングで、筒内に直接燃料を噴射する。このとき、燃料噴射は、必要な燃料噴射量を一度に筒内に噴射するようにフルリフトで行なっても良いし、1回以上のパーシャルリフトをフルリフトに組み合わせて行なっても良いし、複数回のパーシャルリフトにより行なっても良い。複数回の燃料噴射による場合は、複数のニードル弁54のリフトにより行なわれる燃料噴射量の総和が、目標燃料噴射量となるように行なえば良い。複数回に分けた燃料噴射の各回の通電パルスの通電時間は、デフォルトの対応関係DCを参照して、それぞれの燃料噴射量に基づいて求めればよい。
【0032】
燃料噴射の実施(ステップS130)に伴って、実際に噴射された燃料噴射量を取得する処理を行なう(ステップS140)。燃料噴射量は、次のようにして求める。燃料噴射の実施(ステップS130)の後、その燃料噴射によって生じたクランク軸28の挙動変化、詳しくはその燃料噴射によるエンジン回転速度の上昇量を、クランク軸28の回転速度の上昇量をクランク角センサ29により実測して算出する。そして、予め用意したマップや数式に基づいて、エンジン回転速度の上昇量から噴射量を求める。これにより、燃料噴射弁50により噴射されて燃焼に関与した燃料噴射量を求めることができる。なお、こうしたマップや数式は、例えば燃料噴射により出力軸43のトルクも含めて作成しておき、トルクセンサ45により検出したトルクの増加量も加味して求めるようにしてもよい。
【0033】
燃料噴射を実施し(ステップS130)、その際に噴射された燃料噴射量を取得した後(ステップS140)、対応関係決定処理(ステップS200)を実行する。この処理は、燃料噴射量と通電パルスの通電時間との対応関係を決定する処理である。その詳細は、後述するが、一般、どのような条件で燃料噴射が行なわれたかを判断し、デフォルトの対応関係を修正して、実際に燃料噴射を行なった燃料噴射弁50についての燃料噴射量と通電パルスの通電時間との対応関係LCを作成するのである。作成した対応関係LCは、メモリ32に記憶される。その後、「NEXT」に抜けて本制御ルーチンを終了する。
【0034】
こうして燃料噴射量と通電パルスの通電時間との対応関係LCが作成され、メモリ32に記憶されるていると、次に本制御ルーチンが開始され、目標燃料噴射量を取得した直後のステップS100での判断は「YES」となる。そこで、ECU30は、続いて、作成済みの対応関係を参照して、目標燃料噴射量を実現する通電パルスの通電時間を取得する(ステップS150)。先に実行された対応関係決定処理(ステップS200)により作成された対応関係LCを参照して、通電時間を取得するのである。その後、燃料噴射を実施し(ステップS160)、「NEXT」に抜けて本制御ルーチンを終了する。
【0035】
以上燃料噴射制御ルーチンを説明したが、この制御ルーチンにおけるステップS200,つまり対応関係決定処理について、
図7を用いて説明する。第1実施形態では、対応関係決定処理は、境界領域における通電パルスの通電時間とこれに対応し噴射量とを知ることにより行なわれる。対応関係決定処理が開始されると、まず燃料噴射が境界領域で行なわれたか否かを判断する(ステップS210)。境界領域とは、
図4に示したように、フルリフトにより燃料噴射が行なわれる第1領域と、パーシャルリフトにより燃料噴射が行なわれる第2領域との間の領域である。
【0036】
燃料噴射が境界領域で行なわれていなければ(ステップS210:「NO」)、「NEXT」に抜けて、対応関係決定処理を一旦終了する。他方、燃料噴射が境界領域で行なわれていれば(ステップS210:「YES」)、境界領域での通電パルスの通電時間と実際の燃料噴射量とから求めた検出点とデフォルトの対応関係DCとを用いて、通電パルスの通電時間と実際の燃料噴射量との対応関係を決定する処理を行なう(ステップS220)。第1実施形態では、
図8に示したように、境界領域で求めた検出点SD0を利用し、デフォルトの対応関係DCに対して、これを修正した対応関係LCを作成する。対応関係LCの作成は、デフォルトの対応関係DCにおいて、第1領域のデフォルトの特性のうち最も境界領域寄りの特性点DC1と、第2領域のデフォルトの特性のうち、最も境界領域寄りの特性点DC2と、境界領域における実測した検出点SD0とを直線補間することにより行なう。
【0037】
こうして修正した対応関係LCが作成されると、以後の通電パルスの通電時間の決定は、この対応関係LCを参照して行なわれるから、少なくとも境界領域における通電パルスの決定は、デフォルトの対応関係DCよりも実際の対応関係に近い特性を元に行なわれることになる。この結果、少なくとも境界領域での燃料噴射量を、目標燃料噴射量に近付けることができるという効果を奏する。また、第1実施形態では、検出点の測定を一点のみにしているので、メモリ32に新たに記憶するデータ量の増加を抑制することができる。デフォルトの対応関係DCに対して加えられた検出点SD0は1点なので、新たな対応関係LCを改めてメモリ32に記憶しなくても、もともと不揮発的に記憶されていたデフォルトの対応関係DCと検出点SD0とを用いて、毎回直線補間を行なって、通電時間をも取ることも十分に可能である。
【0038】
B.第2実施形態:
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態の燃料噴射制御システム10は、第1実施形態と同様のハードウェア構成を備え、ECU30が実行する処理が相違する。ECU30が実行する処理のフローチャートを
図9に示した。第2実施形態においても、
図7に示した燃料噴射制御ルーチンを実行するが、その中の対応関係決定処理(ステップS200)が、第1実施形態と相違する。
【0039】
第2実施形態では、ECU30は、対応関係決定処理として、
図9に示した処理を実行する。この処理を開始すると、まず燃料噴射がいずれの領域で行なわれたかを判断する(ステップS310)。いずれの領域かを判断するとは、フルリフトで燃料噴射が行なわれる第1領域か、パーシャルリフトで燃料噴射が行なわれる第2領域か、あるいは第1,第2領域との間である境界領域か、を判断することである。
【0040】
燃料噴射が、第1領域で行なわれたと判断すると、次に通電パルスとの通電時間と燃料噴射量との関係を第1領域において記憶する処理を行なう(ステップS321)。燃料噴射量は、エンジン11の出力の変化を検出することにより検出できることは、第1実施形態で説明した通りである。同様に、燃料噴射が、第2領域で行なわれたと判断すると、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係を第2領域において記憶する処理を行なう(ステップS322)。燃料噴射が、境界領域で行なわれたと判断すると、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係を境界領域において記憶する処理を行なう(ステップS323)。
【0041】
いずれかの領域での関係の記憶を行なった後、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との対応関係を作成可能か否かの判断行なう(ステップS340)。新たな対応関係を作成できる条件が整っていなければ、「NEXT」に抜けて、対応関係決定処理を一旦終了する。他方、対応関係を作成する条件が整っていると判断すれば、少なくとも境界領域での検出点を用いて対応関係を作成し(ステップS350)、作成済みの対応関係LCをメモリ32に保存する処理を行なう(ステップS360)。その後、「NEXT」に抜けて、本ルーチンを終了する。
【0042】
このように、新たな対応関係を作成する条件が整っていれば、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との対応関係が作成され、これがメモリ32に記憶されるので、その後の燃料噴射においては、作成済の対応関係LCが参照されることになる(
図6、ステップS100,110,150)。この結果、デフォルトの対応関係ではなく、使用されている燃料噴射弁50について作成された対応関係に従って、目標燃料噴射量に対応した通電時間が求められ、燃料噴射が行なわれる(ステップS160)。従って、使用される燃料噴射弁50の実際の特性に近い特性を反映した燃料噴射が行なわれることになり、燃料噴射制御の精度を高めることができる。
【0043】
ステップS340に示した対応関係が作成可能となる条件と、その際にステップS350で作成される対応関係とには、種々の態様がある。以下、まとめて説明する。
[1]作成可能条件1:
第1領域、第2領域、境界領域について、一つずつ、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が検出されたことで、作成可能となったと判断する。
図10に例示するように、第1領域において通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が一つ(検出点DD1)検出され、第2領域において同様に両者の関係が一つ(検出点DD2)検出され、更に境界領域において両者の関係が一つ(検出点SD0)検出された場合、対応関係の作成が可能となったと判断し、デフォルトの対応関係DCに代える新たな対応関係LCを決定する。この時、第2領域の対応関係は原点と検出点DD2とを繋ぐものとして設定し、第1領域の対応関係は、検出点DD1を通り、デフォルトの対応関係DCと同じ傾きをもつものとして設定する。境界領域の対応関係は、検出点DD2・SD0・DD1を繋いで直線補間することにより設定する。
【0044】
こうすれば、僅か3点の検出点において、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係を検出するだけで、目標燃料噴射量を実現する通電パルスの通電時間を、デフォルトの対応関係DCを用いる場合と比べて、精度良く設定することができる。現出点は3つだが、実測した関係を用いるので、検出点の周辺における精度は確実に改善される。なお、このようにして対応関係を作成する場合は、第1,第2領域の検出点は、できるだけ境界領域に近い方が望ましい。境界領域に近い検出点で検出するには、例えば
図9、ステップS321およびS322において、目標燃料噴射量が境界領域から明らかに隔たっている場合には、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係を記憶しないようにすればよい。
【0045】
[2]作成可能条件2:
第1領域、第2領域については複数の、境界領域については一つの、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が検出されたことで、作成可能となったと判断する。
図11に例示するように、第1領域において通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が複数(検出点列DG1)検出され、第2領域において同様に両者の関係が複数(検出点列DG2)検出され、更に境界領域において両者の関係が一つ(検出点SD0)検出された場合、対応関係の作成が可能となったと判断し、デフォルトの対応関係DCに代える新たな対応関係LCを決定する。第1領域および第2領域それぞれの検出点列DG1、DG2に含まれる複数の検出点の計測は、それぞれ異なる通電時間で行なわれる。この時、第1,第2領域の対応関係は、それぞれ検出点列DG1,DG2に含まれ複数の検出点を繋ぐものとして設定する。境界領域の対応関係は、第2領域の検出点列DG2のうち最も境界領域に近い検出点と、境界領域の検出点SD0と、第1領域の検出点列DG1のうち最も境界領域に近い検出点とを繋いで直線補間することにより設定する。このように、複数の検出点での検出を行なって検出点列DG1,DG2が求められた状態を、各領域での特性が学習済みとなった状態と呼ぶことがある。
【0046】
検出点列DG1,DG2が、第1,第2領域に属しているものであるとして学習することは、次のように行なわれる。ECU30は、燃料噴射弁50の駆動コイル60に印加される電圧および駆動コイル60に流れる電流の少なくとも一方をモニタしている。開弁時には、駆動コイル60に電圧を印加すると、プランジャ58が吸引されてニードル弁54がリフトアップする。プランジャ58が引き上げられて、その移動を制限するケース51の着座面に衝突すると、移動速度が急激に変化するため、誘導起電力が大きく変化する。他方、プランジャ58が着座する前に駆動コイル60への通電を終了して、プランジャ58がケース51の着座面に衝突しない場合には、誘導起電力の変化は緩やかなものとして検出される。こうした変化は、駆動コイル60の両端電圧や、電流値をモニタすることにより、検出できる。ECU30は、こうした信号を読み取ることで、所定の通電時間で駆動コイル60に電圧を印加した場合の燃料噴射が、第1領域で行なわれたものか、第2領域で行なわれたものかを判別することができる。こうした手法は、例えば特開2015−96720号公報などに記載されている公知のものである。ECU30は、実施された燃料噴射における燃料噴射弁50への通電時間と燃料噴射量との関係を求め、これが第1,第2領域のいずれで行なわれたかを判別し、各領域での検出点列DG1,DG2として学習する。もとよりこうした学習は、他の方法によってもよい。例えば、ニードル弁54またはプランジャ58にその移動量を検出するセンサを設け、直接これらの移動速度を検出することにより、実施された燃料噴射が第1,第2領域のいずれに属しているかを判別して学習を行なうものとしてもよい。
【0047】
こうすれば、境界領域については一つの検出点SD0を検出するだけで、目標燃料噴射量を実現する通電パルスの通電時間を、デフォルトの対応関係DCを用いる場合と比べて、精度良く設定することができる。境界領域での検出点は、上記[1]の場合と同様に1つなので、境界領域についての精度は同様に改善される。更に、第1,第2領域については、複数の検出点を求め、これを直線補間しているので、第1,第2領域での対応関係は、燃料噴射弁50の個体差を反映したものとなり、これらの領域では、目標燃料噴射量に対する通電時間の設定を高い精度で行なうことができる。
【0048】
上記のようにして対応関係を作成する場合は、第1,第2領域の検出点列の検出は、できるだけ境界領域に近い検出点を含むようにすることが望ましい。
図12は、第1領域での検出点列DG1が境界領域との境界の検出点DL1を含み、第2領域での検出点列DG2が境界領域との境界の検出点DL2を含む場合を示す。こうすれば、境界領域およびその周辺での通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係の精度は十分に高いものとなる。
【0049】
[3]作成可能条件3:
第1領域、第2領域については複数の、境界領域については少なくとも2つの、通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が検出されたことで、作成可能となったと判断する。
図13に例示するように、第1領域において通電パルスの通電時間と燃料噴射量との関係が複数(検出点列DG1)検出され、第2領域において同様に両者の関係が複数(検出点列DG2)検出され、更に境界領域において両者の関係が2つ(検出点SDa,SDb)以上検出された場合、対応関係の作成が可能となったと判断し、デフォルトの対応関係DCに代える新たな対応関係LCLを決定する。この時、第1,第2領域の対応関係は、それぞれ検出点列DG1,DG2に含まれ複数の検出点を繋ぐものとして設定する。境界領域との境界の検出点を含んでもよいし、含まなくてもよい。含んだ方が、全体の精度は改善される。検出点列DG1,DG2の学習については既に説明した手法と同様の方法を用いれば良い。
【0050】
境界領域の対応関係のうち、第2領域側は、第2領域の検出点列DG2のうち最も境界領域に近い検出点と、境界領域での検出点のうち、第2領域側の検出点SDaとを繋いで、直線補間することにより設定する。境界領域の対応関係のうち、第1領域側は、第1領域の検出点列DG1のうち最も境界領域に近い検出点と、境界領域での検出点のうち、第1領域側の検出点SDbとを繋いで、直線補間することにより設定する。境界領域内では、検出点した2以上の検出点SDa,SDbを繋いで直線補間することにより設定する。
【0051】
こうすれば、境界領域については2つ以上の検出点SDa,SDbを検出しているので、目標燃料噴射量を実現する通電パルスの通電時間を、デフォルトの対応関係DCを用いる場合と比べて、格段に精度良く設定することができる。作成した対応関係LCLは、境界領域において、燃料噴射弁50の個体差を一層正確に反映したものとなり、境界領域でも、目標燃料噴射量に対する通電時間の設定を高い精度で実現できる。
【0052】
上記のように、境界領域で少なくとも2つの検出点を検出する場合、境界領域での補間は、
図14に作成済み対応関係LCCとして例示するように、曲線補間として行なってもよい。もとより、第1,第2領域の検出点列DG1,DG2の補間も曲線補間とすることができる。曲線補間は、二次,三次曲線などN次(Nは2以上の整数)によってもよいし、ベジェ曲線やスプライン曲線などを用いてもよい。全てを曲線補間としてもよいし、一部のみ曲線補間としてもよい。
【0053】
C.他の実施形態:
上記実施形態では、アクチュエータとして燃料噴射弁50に組み込まれたソレノイドを用いたが、ソレノイドに代えてリニアモータや、ピエゾ素子を用いることができる。ピエゾ素子を用いる場合は、単一素子の変形量が小さければ、複数のピエゾ素子を積層して用いればよい。
【0054】
上記各実施形態では、燃料噴射量は、エンジン11の回転速度の上昇量等に基づいて求めたが、燃料供給管65において圧力計が検出した燃料供給圧の変動に基づいて検出してもよい。燃料供給管65内の燃料は、燃料ポンプ64により加圧された状態となっているが、燃料噴射弁50が開弁して燃料が噴射されると燃料供給管65内の圧力は一時的に低下する。従って、この燃料供給圧の変換を測定すれば、燃料噴射量を求めることができる。燃料供給圧の変動から燃料噴射量を求める際には、燃料温度の影響や、複数回噴射を行なう場合はその影響などを除くようにすることが望ましい。
【0055】
第1領域,第2領域での検出点の数は、同一でも、異なっていても差し支えない。また、第2領域での検出点が一つで、第1領域での検出点が複数といった関係でも差し支えない。境界領域での検出点SD0やSDa等の検出は、第1領域,第2領域の両方あるはいずれか一方についての検出点または検出点列の検出が終わってから行なうものとしてもよいし、燃料噴射量に従って、随意に行なうものとしてもよい。
【0056】
燃料噴射制御は単一のECU30により行なうものとしたが、複数のECUやコンピュータにより分散処理される構成としてもよい。あるいはECU30は、点火時期制御など、エンジン11に対する他の制御も併せ行なうものとしてもよい。
【0057】
〈1〉この燃料噴射制御装置は、このほか、以下の態様で実施可能である。第1の態様では、燃料噴射制御装置が提供される。この燃料噴射制御装置は、燃料噴射弁の燃料の供給を受け、弁体の開閉により燃料噴射を行なう燃料噴射弁と;前記燃料噴射弁の弁体を、前記弁体の開閉方向に駆動する駆動体を備えたアクチュエータと;前記アクチュエータへの通電時間と燃料噴射量との対応関係を参照し、目標噴射量に対応した通電時間で前記アクチュエータに通電して燃料噴射を実施させる通電制御部とを備える。ここで、通電制御部は、前記駆動体が前記弁体の開方向に移動されて移動範囲の端部に到達すると想定されるタイミングで前記アクチュエータへの通電を終了する境界通電を実施し、通電終了までの通電時間と前記燃料噴射量との関係を計測し、該関係を用いて、前記対応関係を決定してよい。
【0058】
〈2〉こうした燃料噴射制御装置において、前記通電制御部を、前記駆動体が前記弁体の開方向の端部に移動した状態となった後の所定のタイミングで通電を終了する第1通電と、前記駆動体が前記端部に移動する以前に通電を終了する第2通電との一方または両方を実施して、前記通電終了までの通電時間と前記燃料噴射量との関係を求め、該関係を、前記境界通電を実施した際の前記通電時間と前記燃料噴射量との関係と共に用いて、前記対応関係を決定するものとしてもよい。こうすれば、少なくとも境界通電を行なう通電時間の近傍での燃料噴射量の制御を正確に行なうことができる。
【0059】
〈3〉こうした燃料噴射制御装置において、前記通電制御部は、前記第1通電を行なう第1領域および前記第2通電を行なう第2領域の一方または両方において、前記通電終了までの通電時間と前記燃料噴射量との関係を学習すると共に、前記第1領域および前記第2領域に挟まれた境界領域において前記境界通電を実施して前記通電時間と前記燃料噴射量との前記関係を計測するものとしてもよい。こうすれば、第1領域および第2領域の一方または両方において通電時間と燃料噴射量との関係の学習が行なわれているので、燃料噴射弁を用いた燃料噴射量の制御をより正確なもとにできる。
【0060】
〈4〉かかる燃料噴射制御装置において、前記通電制御部は、前記学習により、前記第1領域の下限および前記第2領域の上限の一方または両方における前記通電終了までの通電時間と前記燃料噴射量との関係を学習すると共に、前記境界通電を実施して前記通電時間と前記燃料噴射量との前記関係を計測するものとしてもよい。こうすれば、第1領域の下限および第2領域の上限の一方または両方で関係が学習されているので、境界領域での対応関係を一層実際の特性に近づけることができ、燃料噴射量の制御を一層正確に行なうことができる。
【0061】
〈5〉上述した燃料噴射制御装置において、前記境界通電を実施して行なう前記通電時間と前記燃料噴射量との関係の計測を、前記通電時間を異ならせて複数回行なうものとしてもよい。複数回計測することで、複数回の計測を行なった領域での対応関係を、計測を行なった燃料噴射弁の特性に近づけることができる。
【0062】
〈6〉こうした燃料噴射装置において、前記通電制御部は、前記対応関係を、複数の前記計測された関係を直線補間または曲線補間することで決定するものとしてもよい。直線補間を採用すれば、補間を簡易に行なうことができ、曲線補間を採用すれば、実際の特性に一層近づけることができる。
【0063】
〈7〉このほかの態様として、燃料噴射弁の制御方法として実施してもよい。この燃料噴射弁の制御方法は、燃料の供給を受けて燃料噴射を行なう燃料噴射弁の弁体を、前記弁体の開閉方向に駆動する駆動体を備えたアクチュエータに通電することにより開閉駆動可能とし;前記駆動体が前記弁体の開方向に移動されて移動範囲の端部に到達すると想定されるタイミングで前記アクチュエータへの通電を終了する境界通電を実施して、前記通電終了までの通電時間と燃料噴射量との関係を計測し;前記計測した前記関係を用いて、前記アクチュエータへの通電時間と燃料噴射量との対応関係を決定し;目標噴射量が与えられたとき、前記対応関係を参照して前記目標噴射量に対応した通電時間を求め;前記求めた通電時間で前記アクチュエータに通電して、前記燃料噴射弁による燃料噴射を実施するものとしてもよい。こうすれば、精度よく燃料噴射弁を制御して、燃料噴射量を高精度の制御できる。
【0064】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、上記実施形態においてハードウェアにより実現した構成の一部は、ソフトウェアにより実現することができる。また、ソフトウェアにより実現している構成の少なくとも一部は、ディスクリートな回路構成により実現することも可能である。