(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1制限抵抗および前記第2制限抵抗の少なくともいずれかの抵抗値は、前記第1および第2の電源ユニットの少なくともいずれかに設けられたハードスイッチにより変更可能に構成されている、請求項3に記載の制御システム。
前記第1蓄電部および前記第2蓄電部の少なくともいずれかの静電容量は、前記第1および第2の電源ユニットの少なくともいずれかに設けられたハードスイッチにより変更可能に構成されている、請求項3または4に記載の制御システム。
前記第1制限抵抗および前記第2制限抵抗の少なくともいずれかの抵抗値は、外部装置からの通信により変更可能に構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の制御システム。
前記第1蓄電部および前記第2蓄電部の少なくともいずれかの静電容量は、外部装置からの通信により変更可能に構成されている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の制御システム。
前記第2の演算ユニットは、前記電力が供給された後に所定の初期処理を実行すると、前記第2の制御演算をサイクリックに実行する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
<PLCシステムの構成例>
最初に
図1を参照してPLCシステム1について説明する。
図1は、本実施の形態に従うPLCシステム1の構成例について説明する模式図である。PLCシステム1は、設備および装置などの制御対象を制御し、生産工程を自動化するための制御システムである。PLCシステム1は、PLC2AおよびPLC2Bの複数のPLCを有する。以下では、PLC2AおよびPLC2Bを総称してPLC2ともいう。また、本実施の形態では、PLCシステム1の一例として、2つのPLC2(PLC2Aおよび2B)について説明する。PLC2は、典型的には、CPUユニット10と、電源ユニット100と、I/O(Input/Output)ユニット200とを含む。CPUユニット10は、制御プログラムに基づく制御演算を実行する演算ユニットである。以下、CPUユニット10を演算ユニット10ともいう。電源ユニット100は、主電源スイッチPSがONになると外部電源(図示しない)からの電力を受け付ける。電源ユニット100は受け付けた電力を変換して、演算ユニット10およびI/Oユニット200に対して供給電力を供給する。I/Oユニット200は、システムバス202を介して演算ユニット10と接続され、演算ユニット10との信号の遣り取りを行うとともに、フィールドからの信号を遣り取りする。
【0032】
<適用例>
次に、
図2を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図2は、本実施の形態に従う各電源ユニット100の電力変換の処理を表わす図である。以下では、PLC2Aの電源ユニット100を第1電源ユニット100A、PLC2Bの電源ユニット100を第2電源ユニット100Bとして説明する。また、以下では、PLC2Aの演算ユニット10を第1演算ユニット10A、PLC2Bの演算ユニット10を第2演算ユニット10Bとして説明する。本実施の形態では、主電源スイッチPSがON状態になると、第1電源ユニット100Aと第2電源ユニット100Bとに外部電源からの電力が供給される。第1電源ユニット100Aおよび第2電源ユニット100Bは、電力変換部201とドライブ制御部301とを含む。電力変換部201は、外部電源からの入力電力を所定電圧に変換し、電圧変換後の電力(供給電力)を演算ユニット10に供給する。より具体的には、第1電源ユニット100Aの電力変換部201は、第1演算ユニット10Aに供給電力を供給し、第2電源ユニット100Bは、第2演算ユニット10Bに供給電力を供給する。このような電力変換部201による電力の電圧変換は、ドライブ制御部301の制御により実行される。
【0033】
ドライブ制御部301は、電力変換部201の駆動を制御する。ドライブ制御部301は、コントローラ31と電力供給部32とを含む。コントローラ31は、PWM信号を電力変換部201に出力して、電力変換部201に含まれるレギュレータを駆動させる制御を行う。電力供給部32は、コントローラ31が動作するための動作電力を供給する。電力供給部32は、蓄電部33を有する。蓄電部33は、たとえばキャパシタであり、外部電源からの入力電力が蓄電される。蓄電部33は、入力電力が蓄電されて所定の蓄電状態となると、コントローラ31に動作電力の供給を開始する。
【0034】
ここで、第1電源ユニット100Aへの入力電力の供給開始後、コントローラ31に動作電力の供給を開始するまでの期間を第1期間T1とする。この第1期間T1の間に、第1電源ユニット100Aに含まれる構成の一つである蓄電部33が所定の蓄電状態となる。また、第2電源ユニット100Bへの入力電力の供給開始後、コントローラ31に動作電力の供給を開始するまでの期間を第2期間T2とする。この第2期間T2の間に、第2電源ユニット100Bに含まれる構成の一つである蓄電部33が所定の蓄電状態となる。なお、第1期間T1と第2期間T2とは異なる期間となる。
【0035】
図3を参照して、第1期間T1と第2期間T2とについて具体的に説明する。
図3は、本実施の形態に従う外部電源からの入力電力の供給が開始されてから各コントローラ31に動作電力が供給されるまでの期間を示すタイムチャートである。
図3では、横軸の時間(msec)に応じた、各電源ユニット100への入力電力の供給開始タイミングと、各コントローラ31への動作電力の供給開始タイミングとが示されている。時刻t0で外部電源から第1電源ユニット100Aの電力供給部32に入力電力の供給が開始される。電力供給部32の蓄電部33は、入力電力の供給により時刻t0から時刻t1までの第1期間T1の間に電力を蓄電する。第1電源ユニット100Aの電力供給部32は、時刻t1で蓄電部33が所定の蓄電状態になると、コントローラ31に動作電力の供給を開始する。これに対して、第2電源ユニット100Bの電力供給部32は、時刻t0で外部電源からの入力電力の供給が開始される。電力供給部32の蓄電部33は、入力電力の供給により時刻t0から時刻t2までの第2期間T2の間に電力を蓄電する。第2電源ユニット100Bの電力供給部32は、時刻t2で蓄電部33が所定の蓄電状態になると、コントローラ31に動作電力の供給を開始する。
【0036】
ここで、外部電源からの入力電力が同じタイミングで供給されているにもかかわらず、第1電源ユニット100Aのコントローラ31に動作電力の供給が開始されるタイミング(時刻t1)と、第2電源ユニット100Bのコントローラ31に動作電力の供給が開始されるタイミング(時刻t2)とが異なるのは、たとえば、次の理由による。PLC2AとPLC2Bとのそれぞれが制御対象を有しており、演算ユニット10が連携してこれらの制御対象を動作させる場合に、それぞれの制御対象を運転する順番(運転順序の条件)が予め定まっていることがある。運転順序の条件としては、たとえば、PLC2Aの制御対象を先に運転可能な状態とし、その後にPLC2Bの制御対象を運転可能な状態とするという条件である。このような運転順序の条件を満たすためには、PLC2Bの第2電源ユニット100BよりもPLC2Aの第1電源ユニット100Aへの動作電力の供給開始タイミングを早いタイミングとする必要がある。すなわち、PLC2Aの第1演算ユニット10AがPLC2Bの第2演算ユニット10Bよりも先に制御対象が運転可能な状態となるように電力の供給が行われる必要がある。このような理由により、PLCシステム1は、第1電源ユニット100Aのコントローラ31に動作電力が供給されるまでの期間と、第2電源ユニット100Bのコントローラ31に動作電力が供給されるまでの期間とを異なる期間とする。これにより、PLCシステム1は、各演算ユニット10が連携して処理を行う場合に、電源ユニット100の起動タイミングを適正なタイミングに設定できる。
【0037】
<電源ユニットの構成例>
次に、
図4を参照して電源ユニット100の構成例について説明する。
図4は、本実施の形態に従う電源ユニット100の回路構成の一例を表わす図である。電源ユニット100は、たとえばスイッチング電源装置である。電源ユニット100は、入力部11Aと、電源部20Bと、出力部30Cとを含む。
【0038】
入力部11Aは、交流電源(たとえば、50Hz/60Hz、100V/200Vの商用電源)に接続される。入力部11Aは、入力端子14と、入力端子14に接続されたヒューズ55とを含む。ヒューズ55は、本実施の形態における保護回路の一例である。
【0039】
電源部20Bは、入力部11Aから入力された電力に基づいて、演算ユニット10を駆動させる電力を発生させる。一例として、電源部20Bは、整流回路21と、トランス22と、スイッチング素子としてのMOSFET23と、整流・平滑回路24と、ノイズフィルタ25と、キャパシタ27と、過電流検出回路29と、電圧検出回路44と、フォトカプラ43と、キャパシタ45と、キャパシタ46と、ドライブ制御部301とを含む。なお、電源部20Bの電力変換部201を構成する要素としては、整流回路21と、トランス22と、MOSFET23と、整流・平滑回路24と、キャパシタ27と、過電流検出回路29と、電圧検出回路44と、フォトカプラ43とがあげられる。
【0040】
ノイズフィルタ25は、INPUTに入力された交流電圧に重畳した高周波のノイズ成分に対してフィルタリングを施し、ノイズ成分を除去した交流電圧を整流回路21に供給する。キャパシタ27は、全波整流後の電圧をチャージするとともにトランス22に供給する。より具体的には、キャパシタ27は、全波整流後の一部の電圧をチャージするとともに、残りの電力の電圧を平滑化してトランス22に供給する。なお、整流回路21は、全波整流後の電力をキャパシタ27とともにドライブ制御部301にも供給する。
【0041】
トランス22は、一次巻線22p,二次巻線22sおよび補助巻線22aを備え、一次巻線22pに発生した高周波パルス電圧を二次巻線22sおよび補助巻線22aに誘導する。二次巻線22sに誘導された高周波パルス電圧は、直流出力に利用され、補助巻線22aに誘導された高周波パルス電圧は、ドライブ制御部301の供給される。
【0042】
整流・平滑回路24は、ダイオードの半波整流回路およびキャパシタで構成され、トランス22の二次巻線22sに誘導された高周波パルス電圧を半波整流した後に平滑して所定の出力電圧および出力電流を有する直流出力の電力を発生させる。電圧検出回路44は、直流電圧を検出する。フォトカプラ43は、検出された電圧に応じた信号をドライブ制御部301に出力する。
【0043】
ドライブ制御部301は、整流回路21により全波整流された電力や、補助巻線22aに誘導された高周波パルス電圧の入力を受けて、電力変換部201での電力変換動作を制御する。ドライブ制御部301は、コントローラ31を含む。コントローラ31は、PWM(Pulse Width Modulation)信号発生器、フィードバック制御回路、OCP(Over Current Protect)端子、スイッチング駆動端子、駆動電源端子などを備えた制御ICで構成される。コントローラ31は、PWM信号をMOSFET23のゲートに供給してMOSFET23を駆動する。より具体的には、電圧検出回路44で検出された二次側の電圧が、フォトカプラ43を介して、ドライブ制御部301に帰還される。コントローラ31は、帰還された電圧に基づいて、PWM信号のデューティ比を変更し、出力電圧が所定の電圧となるようにMOSFET23を駆動する。
【0044】
MOSFETは23は、トランス22の一次巻線22pと直列に接続される。MOSFET23は、コントローラ31から供給されたPWM信号に応答して一次側電圧を断続して、トランス22の一次巻線22pに高周波パルス電圧を発生させる。電源部20Bで発生した電圧は、出力部30Cから出力される。出力部30Cは、電源部20Bにより生成された電圧を出力する。出力部30Cは、出力端子37(DC OUTPUT)および出力端子47(電断検出信号)を含む。
図3に示された構成では、出力電圧として直流電圧が出力される。
【0045】
また、ノイズフィルタ25によりノイズ成分が除去された交流電圧は、ダイオード28を介して、電断検出回路601に入力される。電断検出回路601は、入力電力の供給の有無を検出する回路である。電断検出回路601は、入力電力が供給されると電源が遮断されていないことを示す信号(電断検出信号)を演算ユニット10に出力する。
【0046】
<ドライブ制御部の回路構成>
次に、
図5〜
図9を参照して、ドライブ制御部301の具体的な構成例について説明する。
図5は、本実施の形態に従う抵抗値が変更可能な制限抵抗34を含む回路構成の一例を示す図である。
図5のドライブ制御部301は、コントローラ31と、電力供給部32と、ダイオード35と定電圧回路36とを含む。コントローラ31は、電力供給部32から供給される電力を定電圧回路36を介して受け付けることで駆動するための制御電圧Vccを確保する。定電圧回路36は、トランジスタと抵抗とツェナーダイオードとで構成される安定化回路である。コントローラ31に供給される制御電圧Vccの電圧値は、たとえば5Vである。また、コントローラ31には、補助巻線22aに誘導される高周波パルス電圧がダイオード35を介して入力される。
【0047】
電力供給部32は、蓄電部33と制限抵抗34とを含む。蓄電部33は、整流回路21からの全波整流後の電力の電圧をチャージするキャパシタである。蓄電部33の静電容量は、たとえば10μFである。蓄電部33が所定の蓄電状態となるまでの時間は、制限抵抗34の抵抗値が大きいほど長い時間となる。ドライブ制御部301は、たとえば、第2電源ユニット100Bの電力供給部32における制限抵抗34の抵抗値を、第1電源ユニット100Aの電力供給部32における制限抵抗34の抵抗値よりも大きい値に設定する。このような設定により、第2電源ユニット100Bの蓄電部33が所定の蓄電状態となるまでの時間は、第1電源ユニット100Aの蓄電部33が所定の蓄電状態となるまでの時間よりも長い期間となる(第2期間T2>第1期間T1)。このように、各蓄電部33が所定の蓄電状態となるタイミングに差を設けることで、コントローラ31への動作電力の供給タイミングを異ならせることができる。
【0048】
上述のように、第1電源ユニット100Aの制限抵抗34の抵抗値と、第2電源ユニット100Bの制限抵抗34の抵抗値とを異なる値に設定することで、蓄電部33に蓄電する際の時定数が異なる値となる。これにより、PLCシステム1は、各蓄電部33が所定の蓄電状態となるまでの時間を個別に調整できる。より具体的には、PLCシステム1は、第1電源ユニット100Aの電力供給部32の蓄電部33と制限抵抗34とに基づく時定数と、第2電源ユニット100Bの電力供給部32の蓄電部33と制限抵抗34とに基づく時定数とを異ならせる。このように、PLCシステム1は、RC回路における制限抵抗の抵抗値を変更することで、各蓄電部への電力供給のタイミングを異なるタイミングに調整できる。
【0049】
また、抵抗値以外にも蓄電部33の静電容量を変更することで、各電源ユニット100の蓄電部33における時定数を異なるようにしてもよい。
図6を参照して静電容量の変更について説明する。
図6は、本実施の形態に従う静電容量が変更可能な蓄電部33を含む回路構成例を示す図である。
図6では、上述の
図5の回路構成について、制限抵抗34を抵抗値が固定値の制限抵抗34aとし、蓄電部33を静電容量が可変となる蓄電部33aの回路構成を例に説明する。
【0050】
ドライブ制御部301は、たとえば、第2電源ユニット100Bの電力供給部32における蓄電部33の静電容量を、第1電源ユニット100Aの電力供給部32における蓄電部33aの静電容量よりも大きい値に設定する。このような設定により、第2電源ユニット100Bの蓄電部33aが所定の蓄電状態となるまでの時間は、第1電源ユニット100Aの蓄電部33aが所定の蓄電状態となるまでの時間よりも長い期間となる(第2期間T2>第1期間T1)。このように、各蓄電部33が所定の蓄電状態となるタイミングに差を設けることで、コントローラ31への動作電力の供給タイミングを異ならせることができる。
【0051】
このように第1電源ユニット100Aの蓄電部33aの静電容量と、第2電源ユニット100Bの蓄電部33aの静電容量とを異なる値に設定することで、蓄電部33aに蓄電される電圧の時定数が異なる値となる。これにより、PLCシステム1は、各蓄電部33が所定の蓄電状態となるまでの時間を個別に調整できる。より具体的には、PLCシステム1は、第1電源ユニット100Aの電力供給部32の蓄電部33aと制限抵抗34aとに基づく時定数と、第2電源ユニット100Bの電力供給部32の蓄電部33aと制限抵抗34aとに基づく時定数とを異ならせる。このように、PLCシステム1は、RC回路における制限抵抗の抵抗値を変更することで、各蓄電部33aが所定の蓄電状態となるまでの時間を個別に調整できる。なお、これまで説明した制限抵抗34の抵抗値の変更や、蓄電部33aの静電容量の変更による時間の調整は、ユーザがPLCシステム1を運用する段階で行うことが可能である。具体的には、PLCシステム1の設計段階後のユーザによる運用段階で、PLC2の電源ユニット100に設けられた後述するハードスイッチや、外部装置(たとえば、
図13に示すサポート装置300)を用いた時間の調整が可能となる。
【0052】
次に、
図7を参照して蓄電部33への蓄電開始時と蓄電完了後とで電力の供給経路を変更する回路構成について説明する。
図7は、本実施の形態に従う整流回路21から蓄電部33への電力の供給経路を変更(切断)する回路構成例を示す図である。電力供給部32は、制限抵抗34と、MOSFET40と、ツェナーダイオード38と、ダイオード39とを含む。制限抵抗34の一端は、MOSFET40のソースと接続されている。制限抵抗34の他端は、ダイオード39を介して蓄電部33と直列に接続されている。また、制限抵抗34にはツェナーダイオード38が並列に設けられており、制限抵抗34の他端とツェナーダイオード38のアノードとが接続されている。ツェナーダイオード38のカソードはMOSFETのゲートと接続されている。MOSFETのドレインはノードaと接続され、ノードaよりも前段(上流側)のノードbとノードcとの間には、第1複合回路41が接続されている。第1複合回路41は、直列に接続された複数のツェナーダイオードと複数の抵抗を含む回路である。また、ノードcとグランドとの間には、第2複合回路42が接続されている。第2複合回路42は、直列に接続された複数のツェナーダイオードを含む回路である。このような回路構成において、整流回路21により全波整流された電力がノードbから第1複合回路41を介してMOSFET40に入力される。整流回路21からの電力によりMOSFET40のゲートはON状態となる。
【0053】
また、全波整流された電力は、ノードa、制限抵抗34、およびダイオード39を介して、蓄電部33に蓄電される。蓄電部33が所定の蓄電状態となると、コントローラ31への動作電力の供給が開始される。コントローラ31への電力の供給開始後は、MOSFET40がOFFとなり、整流回路21により全波清流された電力は、ノードb、ノードc、およびツェナーダイオード38、およびダイオード39を介して蓄電部33に蓄電される。このように、ドライブ制御部301は、蓄電部33への蓄電開始時の電力供給経路と、蓄電完了後の電力供給経路とが異なる。これにより、ドライブ制御部301は、蓄電開始時はできるだけ短時間で蓄電部33への蓄電を完了させることができるとともに、蓄電完了後は電力の損失を軽減させることができる。
【0054】
<抵抗値と静電容量の変更の具体的な構成例>
次に、
図8および
図9を参照して、上述の
図5の回路構成を前提とする制限抵抗34の具体的な構成例について説明する。
図8は、本実施の形態に従う制限抵抗34の抵抗値を変更する構成例を示す図である。
図8に示す電力供給部32の構成では、制限抵抗34の抵抗値を変更する構成の一例として、ロータリースイッチ341が設けられている。制限抵抗34の抵抗値は、ユーザによるロータリースイッチ341の操作に基づき、任意の値に変更可能となる。また、
図9は、本実施の形態に従う制限抵抗34の抵抗値を変更する他の構成例を示す図である。
図9に示す電力供給部32の構成では、制限抵抗34の抵抗値を変更する構成の別の例として、ディップスイッチ342が設けられている。制限抵抗34の抵抗値は、ユーザによるディップスイッチ342の操作に基づき任意の値に変更可能となる。このように、第1電源ユニット100Aの電力供給部32における制限抵抗34と、第2電源ユニット100Bの電力供給部32における制限抵抗34との抵抗値の少なくともいずれかは、電源ユニット100に設けられたハードスイッチにより変更可能となる。より具体的には、抵抗値の異なる各抵抗のうち、スイッチの切替えにより選択された抵抗が導通する。これにより、PLCシステム1は、ユーザによるハードスイッチを用いた制限抵抗34の抵抗値の変更を容易に受け付けることができる。
【0055】
なお、上述の内容は制限抵抗34について説明したが、ロータリースイッチ341やディップスイッチ342等のハードスイッチを電源ユニット100に設けて蓄電部33aの静電容量を変更する構成としてもよい。このように、第1電源ユニット100Aの電力供給部32における蓄電部33aと、第2電源ユニット100Bの電力供給部32における蓄電部33aとの静電容量の少なくともいずれかを電源ユニット100に設けられたハードスイッチにより変更可能としてもよい。ユーザのハードスイッチの操作により、たとえば、並列に設けられ、静電容量の異なる複数のキャパシタの電気的な接続を切替えることで、静電容量の変更を可能とする。これにより、PLCシステム1は、ユーザによるハードスイッチを用いた蓄電部33の静電容量の変更を容易に受け付けることができる。
【0056】
<演算ユニットのハードウェア構成>
次に、
図10を参照して演算ユニット10の構成について説明する。
図10は、本実施の形態に従う演算ユニット10のハードウェア構成と演算ユニット10と通信する他の装置の構成の一例を表わす図である。演算ユニット10は、演算処理部であり、プロセッサ11と、電源回路120と、チップセット130と、ストレージ150と、主メモリ161と、内部バスコントローラ162と、上位ネットワークコントローラ163と、フィールドネットワークコントローラ165と、USBインターフェース51と、USBコントローラ180と、メモリカードインターフェース52と、メモリカードコントローラ190とを含む。
【0057】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。プロセッサ11としては、複数のコアを有する構成を採用してもよいし、プロセッサ11を複数配置してもよい。すなわち、CUPユニット10は、1または複数のプロセッサ11、および/または、1または複数のコアを有するプロセッサ11を有している。チップセット130は、プロセッサ11および周辺エレメントを制御することで、演算ユニット10全体としての処理を実現する。ストレージ150は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性記憶装置などで構成される。主メモリ161は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置などで構成される。
【0058】
プロセッサ11は、ストレージ150に格納された各種プログラムを読出して、主メモリ161に展開して実行することで、制御対象に応じた制御、および、各種処理を実現する。ストレージ150には、基本的な機能を実現するためのシステムプログラム153に加えて、制御対象の製造装置や設備に応じて作成されるシーケンスプログラム152、ユーザプログラム151、および設定情報154が格納される。システムプログラム153は、演算ユニット10として機能を提供するためのソフトウェア群である。
【0059】
ユーザプログラム151は、ユーザにおける制御目的に応じて作成される。すなわち、PLCシステム1を用いて制御する対象のライン(プロセス)などに応じて、任意に設計されるプログラムである。ユーザプログラム151は、シーケンスプログラム152と協働して、ユーザにおける制御目的を実現する。すなわち、ユーザプログラム151は、シーケンスプログラム152によって提供される命令、関数、機能モジュールなどを利用することで、プログラムされた動作を実現する。
【0060】
設定情報154は、演算ユニット10を含むPLCシステム1の構成や設定を定義する情報を含む。設定情報154は、フィールドネットワークN2に接続されているフィールド機器222に関連付けられた、ユーザプログラムや設定値の情報、および、上位ネットワークN1に接続されている装置に関連付けられた、ユーザプログラムや設定値の情報を含む。上位ネットワークコントローラ163は、上位ネットワークN1を介して、サーバ装置などの他の装置との間のデータの遣り取りを制御する。
【0061】
内部バスコントローラ162は、演算ユニット10に装着されるI/Oユニット200との間のデータの遣り取りを制御する。より具体的には、内部バスコントローラ162は、I/Oユニット200へ出力されるデータ(出力データ)の送信バッファ、および、I/Oユニット200から入力されるデータ(入力データ)の受信バッファとして機能する。なお、プロセッサ11の演算処理によって生成された出力データは、ストレージ150に格納される。そして、特定のI/Oユニット200へ転送されるべき出力データは、ストレージ150から読み出されて、送信バッファに一時的に保持される。また、I/Oユニット200から転送された入力データは、受信バッファに一時的に保持された後、ストレージ150に移される。
【0062】
内部バスコントローラ162は、さらに、I/Oユニット200との間で、送信バッファの出力データを送信する処理、および入力データを受信して受信バッファに格納する処理を行なう。典型的には、内部バスコントローラ162は、内部バスにおける物理層およびデータリンク層の機能を提供する。
【0063】
フィールドネットワークコントローラ165は、フィールドネットワークN2を介したフィールド機器222との間のデータの遣り取りを制御する。すなわち、フィールドネットワークコントローラ165は、フィールドネットワークN2の規格に従い、出力データの送信および入力データの受信を制御する。具体的には、フィールドネットワークコントローラ165は、フィールド機器222へ出力されるデータ(出力データ)の送信バッファ、および、フィールド機器222から入力されるデータ(入力データ)の受信バッファとして機能する。
【0064】
USBコントローラ180は、USBインターフェース51を介してサポート装置300との間のデータの遣り取りを制御する。プロセッサ11は、サポート装置300を用いてユーザにより入力された情報をUSBインターフェース51を介して受け付けることで処理を実行する。
【0065】
メモリカードコントローラ190は、メモリカードインターフェース52を介して、メモリカード178とのデータの遣り取りを制御する。
【0066】
なお、プロセッサ11の演算処理によって生成された出力データは、ストレージ150に格納される。そして、特定のフィールド機器222へ転送されるべき出力データは、ストレージ150から読み出されて、送信バッファに一時的に保持される。また、フィールド機器222から転送された入力データは、受信バッファに一時的に保持された後、ストレージ150に移される。フィールドネットワークコントローラ165は、さらに、フィールド機器222との間で、送信バッファの出力データを送信する処理、および入力データを受信して受信バッファに格納する処理を行なう。典型的には、フィールドネットワークコントローラ165は、フィールドネットワークN2における物理層およびデータリンク層の機能を提供する。
【0067】
電源回路120は、電源ユニット100の電力変換部201により電力の電圧が変換された供給電力を出力端子37介して取得し、取得した電力をプロセッサ11に供給する。
【0068】
<演算ユニットの連携>
次に、
図11を参照して、適用例で説明したPLCシステム1における各演算ユニット10の連携について、具体例を挙げて説明する。
図11は、本実施の形態に従う各PLC2が連携して制御対象を制御する場合の処理について説明する図である。第1演算ユニット10Aのプロセッサ11は、第1電源ユニット100Aの電力変換部201からの供給電力を受け付けると制御演算を開始する。プロセッサ11は、制御演算を実行することで、ドライブ回路221aに電力を供給する。より具体的には、プロセッサ11は、リレー220aをON状態として、ドライブ回路221aに電力を供給する。ドライブ回路221aは電力が供給されることで、モータM1を制御可能な状態にする。なお、リレー220a、ドライブ回路221a、およびモータM1は、フィールド機器222の構成要素の一部である。
【0069】
また、第2演算ユニット10Bのプロセッサ11は、第2電源ユニット100Bの電力変換部201からの供給電力を受け付けると制御演算を開始する。プロセッサ11は、制御演算を実行することで、ドライブ回路221bに電力を供給する。より具体的には、プロセッサ11は、リレー220bをON状態として、ドライブ回路221bに電力を供給する。ドライブ回路221bは電力を供給されることで、制御対象であるモータM2を制御可能な状態とする。なお、リレー220b、ドライブ回路221b、およびモータM2は、フィールド機器222の構成要素の一部である。
【0070】
ここで、たとえば、モータM1およびM2が1台のアームロボットAMに設けられたモータの場合、モータM1およびM2は、アームロボットAMを予め定められた座標位置に移動させるために予め定められた運転順序の条件を満たすように駆動する。一例として、モータM1が駆動した後にモータM2を駆動する運転順序の条件の場合、モータM1を駆動させるドライブ回路221aは、モータM2を駆動させるドライブ回路221bよりも前のタイミング(早いタイミング)でに電力が供給されている必要がある。第2演算ユニット10Bのプロセッサ11は、運転順序の条件に基づき、第1演算ユニット10Aにより電力が供給されるドライブ回路221aに駆動されるモータM1が制御可能な状態か否かをドライブ回路221aの制御信号を取得して判定する。第2演算ユニット10Bのプロセッサ11は、ドライブ回路221aに電力が供給されている状態、すなわち、ドライブ回路221aの制御対象であるモータM1が制御可能な状態の場合は、リレー220bをON状態としてドライブ回路221bに電力を供給する。これにより、第2演算ユニット10Bの制御対象であるモータM2が制御可能な状態となる。
【0071】
第2演算ユニット10Bのプロセッサ11は、ドライブ回路221aに電力が供給されていない状態、すなわち、ドライブ回路221aの制御対象であるモータM1が制御不可能な状態の場合は、運転順序の条件を満たしていないため、ドライブ回路221bに電力を供給することなく、エラー状態であると判定する。運転順序の条件を満たすためには、第2電源ユニット100Bのコントローラ31よりも第1電源ユニット100Aのコントローラ31への動作電力の供給開始タイミングを早いタイミングとする起動順序の条件を設定する必要がある。このように、運転順序の条件とは、各演算ユニット10がドライブ回路に電力を供給して、制御対象(たとえば、モータ)を運転させる順序を規定したものである。起動順序の条件とは、各電源ユニット100のコントローラ31に動作電力を供給する順序を規定したものである。言い換えると、各演算ユニット10のプロセッサ11に供給電力を供給する順序を規定したものである。
【0072】
図12を参照して、ドライブ回路221aおよび221bの運転順序の条件と、各電源ユニット100の起動順序の条件との関係について具体的に説明する。
図12は、本実施の形態に従う運転順序の条件を満たす場合の起動順序の条件と、満たさない場合の起動順序の条件とについて説明する図である。より具体的には、
図12(A)は、運転順序の条件を満たす場合の起動順序の条件について説明するタイムチャートである。
図12(B)は、運転順序の条件を満たさない場合の起動順序の条件について説明するタイムチャートである。
図12(A)の内容は、
図3で説明した内容と基本的には同じ内容である。時刻t0で外部電源から第1電源ユニット100Aの電力供給部32に入力電力の供給が開始される。電力供給部32の蓄電部33は、入力電力の供給により時刻t0から時刻t1までの第1期間T1の間に電力を蓄電する。第1電源ユニット100Aの電力供給部32は、時刻t1で蓄電部33が所定の蓄電状態になると、コントローラ31に動作電力の供給を開始する。これに対して、第2電源ユニット100Bの電力供給部32は、時刻t0で外部電源からの入力電力の供給が開始される。電力供給部32の蓄電部33は、入力電力の供給により時刻t0から時刻t2までの第2期間T2の間に電力を蓄電する。第2電源ユニット100Bの電力供給部32は、時刻t2で蓄電部33が所定の蓄電状態になると、コントローラ31に動作電力の供給を開始する。第1電源ユニット100Aと第2電源ユニット100Bとは、このような起動順序の条件に基づいて電力の供給が実行される。
【0073】
また、時刻t1の後の時刻tpに第1演算ユニット10Aは、ドライブ回路221aに電力を供給する。より具体的には、時刻t1で第1電源ユニット100Aのコントローラ31に動作電力が供給される。そして、時刻t1の後の時刻tpで第1演算ユニット10Aのプロセッサ11が制御演算を開始する。これにより、第1演算ユニット10Aからドライブ回路221aに電力が供給され、ドライブ回路221aにより駆動されるモータM1は運転可能な状態となる。そして、時刻t2の後の時刻tqに第2演算ユニット10Bは、ドライブ回路221aの状態を判定する。より具体的には、時刻t2で第2電源ユニット100Bのコントローラ31に動作電力が供給される。そして、時刻t2の後の時刻tqで第2演算ユニット10Bのプロセッサ11は制御演算を開始して、ドライブ回路221aの電力の供給状態からモータM1が運転可能な状態か否かを判定する。時刻tpでドライブ回路221aに電力が供給されており、モータM1は運転可能な状態である。そのため、時刻trで第2演算ユニット10Bが制御演算を実行して、第2演算ユニット10Bのドライブ回路221bに電力を供給されることで、ドライブ回路221bにより駆動させるモータM2は運転可能な状態となる。このような運転順序の条件を満たすように、各演算ユニット10が各電源ユニット100のコントローラ31に動作電力を供給することで、起動順序の条件を満たすこととなる。すなわち、各演算ユニット10が適正に連携して処理を実行していることとなる。
【0074】
これに対して、
図12(B)の内容は、
図12(A)の第2電源ユニット100Bのコントローラ31への動作電力の供給タイミングが、第1電源ユニット100Aのコントローラ31への動作電力の供給タイミングよりも早いタイミングとなる場合を示すものである。このように、第2電源ユニット100Bのコントローラ31への供給タイミングが早い場合(第2期間T2<第1期間T1)は、第1演算ユニット10Aは、ドライブ回路221aに電力が供給されるタイミング(時刻tp)よりも前のタイミング(時刻t1)で、ドライブ回路221aの状態判定を実行する。そして、時刻tpよりも前のタイミング(時刻ts)で運転順序の条件が満たされていないことに基づき、エラー通知をユーザに対して行う。エラー通知は、たとえば、画像情報や音響情報等で行われる。このように各演算ユニット10が起動順序の条件を満たさない場合は、運転順序の条件が満たされておらず、各演算ユニット10の連携が適正に行われていない状態といえる。
【0075】
一般的に処理を実行する装置の起動はできる限り早くすることが望ましいと考えられるが、このように複数の演算ユニット10が連携して処理を実行する場合は、運転順序の条件に適合するように、ある演算ユニット10の起動を他の演算ユニット10の起動よりもあえて遅らせるような起動順序の条件を設定する。これにより、PLCシステム1は、複数の演算ユニット10が連携して行う処理を適正な順序で実行させることができる。
【0076】
<サポート装置のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、サポート装置300の構成の一例について説明する。
図13は、本実施の形態に従うPLCシステム1に適用されるサポート装置300のハードウェア構成例を示す模式図である。サポート装置300は、典型的には、汎用のコンピュータで構成される。なお、PLCシステム1が配置される製造現場では可搬性に優れたノート型のパーソナルコンピュータの形態で提供されてもよい。サポート装置300は、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムを実行するCPU302と、BIOSや各種データを格納するROM(Read Only Memory)304と、CPU302でのプログラムの実行に必要なデータを格納するための作業領域を提供するメモリRAM306と、CPU302で実行されるプログラムなどを不揮発的に格納するハードディスク(HDD)308とを含む。サポート装置300は、さらに、ユーザからの操作を受け付けるキーボード310およびマウス312と、情報をユーザに提示するためのディスプレイ314とを含む。サポート装置300は、演算ユニット10や電源ユニット100などと通信するための通信インターフェース318を含む。サポート装置300は、記録媒体350からそれに格納されているサポートプログラムを読み取るための記録媒体読取装置317を含む。
【0077】
ユーザは、サポート装置300のキーボード310やマウス312等の入力部を用いて、各PLC2の起動順序の条件を設定することが可能である。より詳細には、各PLC2が起動する時間をユーザが入力部を用いて入力することで、起動順序が設定される。このような起動時間の設定に応じて、ドライブ制御部301の制限抵抗34の抵抗値および蓄電部33aの静電容量の少なくともいずれかが変更され、コントローラ31への動作電力の供給タイミングが設定される。
図14を参照して各PLC2の起動順序の設定方法について説明する。
図14は、本実施の形態に従うサポート装置300を用いた起動順序の設定について説明する図である。演算ユニット10のUSBコントローラ180は、USBインターフェース51を介してサポート装置300と通信する。サポート装置300は、ユーザが入力部を操作して入力した情報をディスプレイ314に表示するとともに、ユーザが入力部を操作して入力した情報を演算ユニット10のプロセッサ11に出力する。これにより、PLCシステム1は、サポート装置300のディスプレイ314に表示された画像を見ながら、各電源ユニット100に関する設定を容易に行えるシステム環境をユーザに提供できる。
【0078】
図15を参照して、ディスプレイ314に表示される画像の一例について説明する。
図15は、本実施の形態に従う起動順序の入力画面511の一例を表わす図である。サポート装置300は、ディスプレイ314に各PLC2の起動順序の入力画面511を出力する。入力画面511は、PLC名を示す「PLCネーム」項目、PLCの型番を示す「PLC機種」項目、ネットワークの種類を示す「ネットワーク種別」項目、およびPLC2の起動順序を示す「起動順序」項目等の設定情報を含む。
図15に示す例では、「PLCネーム」項目にユーザが入力部を用いて入力した「PLC2B」が表示され、PLC機種およびネットワーク種別にもユーザが入力した情報が表示される。そして、「起動順序」項目にはユーザが入力した「2」の情報が表示される。「2」の情報は、電源ユニット100のコントローラ31への動作電力の供給を2番目に実行することを示す情報である。
図15に示すOKボタンが押下されると、設定情報が
図14に示すUSBインターフェース51を介してプロセッサ11に出力される。
【0079】
プロセッサ11は、設定情報を電源ユニット100の制御部321に出力する。制御部321は、演算部322と記憶部323とを含む。演算部322は、プロセッサ11からの設定情報を取得すると、設定情報と時間情報とを対応付けて記憶部323に格納する。また、演算部322は、設定情報と時間情報とに基づく制限抵抗34の抵抗値および蓄電部33aの静電容量の少なくともいずれかの変更指示を、電力供給部32に出力する。時間情報は、記憶部323に格納されており、設定情報と対応付けが行われる場合に記憶部323から読み出される。演算部322が記憶部323は、たとえば、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置などで構成される。電力供給部32は、演算部322からの設定情報と時間情報とに基づく変更指示により抵抗値および静電容量の少なくともいずれかを変更して、コントローラ31への動作電力の供給タイミングを変更する。
【0080】
図16を参照して、記憶部323に格納される設定情報と時間情報の一例について説明する。
図16は、本実施の形態に従う起動順序の設定データの一例を表わす図である。
図16の起動順序データ512は、上述の設定情報に属する各PLC2の「PLCネーム」項目および「起動順序」項目と、時間情報に属する「起動時間」項目、「累積時間」項目、および「設定値」項目とを含む。起動順序データ512は、ユーザにより設定された設定情報と、設定情報に対応付けられた時間情報とで構成される。設定情報は、PLCネームと、起動順序とを含む情報である。
図16の例では、PLCネームは、PLC2AおよびPLC2Bの情報が登録されている。起動順序は、PLC2Aが「1」で、PLC2Bが「2」とする情報が登録されている。これらの情報は、PLC2Aの第1電源ユニット100Aのコントローラ31への動作電力の供給を1番目に実行され、PLC2Bの第2電源ユニット100Bのコントローラ31への動作電力の供給を2番目に実行されることを示す情報である。
【0081】
時間情報は、標準起動時間と、累積時間と、設定値とを含む情報である。標準起動時間は、各PLC2(各電源ユニット100)が標準状態で起動する時間である。設定値は、起動順序に応じて各PLC2のコントローラ31に動作電力が供給されるタイミングを調整するための時間である。PLC2の起動順序が早いほど他のPLC2の設定値よりも小さい設定値が設定される。またPLC2の起動順序が遅いほど他のPLC2の設定値よりも大きい設定値が設定される。なお、設定値には所定の値(たとえば、0.1)が乗算されて時間(設定時間)に変換される。累積時間は、標準起動時間と設定時間と足し合わせた時間である。累積時間は、PLC2のコントローラ31に動作電力が供給される時間を表わす。各PLC2の累積時間を足し合わせたトータル時間は、起動順序が最初のコントローラ31に動作電力を供給してから、起動順序が最後のコントローラ31に動作電力を供給するまでに要する時間を示す。演算部322は、
図16を用いて説明した設定情報および時間情報に基づき、電力供給部32の抵抗値および静電容量の少なくともいずれかを変更し、各PLC2のコントローラ31に動作電力の供給が開始されるタイミングを設定する。
【0082】
このように、各PLC2の電源ユニット100は、制限抵抗34の抵抗値を外部装置であるサポート装置300を用いたユーザの操作により変更可能に構成されている。これにより、PLCシステム1は、制限抵抗34の抵抗値を容易に変更可能な環境をユーザに提供できる。また、各PLC2は、蓄電部33aの静電容量を外部装置であるサポート装置300を用いたユーザの操作により変更可能に構成されている。これにより、PLCシステム1は、蓄電部33aの静電容量を容易に変更可能な環境をユーザに提供できる。
【0083】
また、各電源ユニット100の起動順序が設定されて、コントローラ31に電力の供給が開始されると、各演算ユニット10は、初期処理を実行する。初期処理の実行後、それぞれのプロセッサ11は、制御演算をサイクリックに実行する。このように、各演算ユニット10に電力が供給されて初期処理が実行された後は、ユーザの操作が介入することなく、処理が自動的に繰り返し実行される。すなわち、処理が周期的に行われる。これにより、PLCシステム1は、各演算ユニット10が連携して行う処理を繰り返し実行させることができる。
【0084】
<電力供給から制御演算の実行開始までの時間計測>
次に、
図17および
図18を参照してPLC2が入力電力の供給を受けてから制御演算の実行を開始するまでの時間を計測する処理について説明する。
図17は、本実施の形態に従うPLC2が入力電力の供給を受けてから制御演算の実行を開始するまでの処理を示す図である。また、
図18は、本実施の形態に従う演算ユニット10の状態とタイマー602の計測状態とを示すタイムチャートである。
図17の電源ユニット100は、外部電源からの入力電力を受けると、電力変換部201は所定電圧の電力に変換した供給電力を演算ユニット10のプロセッサ11に供給する。演算ユニット10は、供給電力の供給を受けたことを検出する(
図18の時刻t11で供給電力ON)。また、入力電力は、電源ユニット100の電断検出回路601にも供給される。電断検出回路601は、入力電力の供給の有無を検出する回路である。電断検出回路601は、入力電力が供給されると電源が遮断されていないことを示す信号(電断検出信号)を出力する。演算ユニット10は、電断検出回路601から出力された電断検出信号を検出する(時刻t12で電断検出ON)。なお、演算ユニット10のプロセッサ11に電圧変換後の所定電力が供給されてから、電源の遮断が発生していないことを検出するまでは、たとえば、時刻t11から時刻t12までの時間差(時間T11)が存在する。
【0085】
また、
図17の電断検出回路601から出力される電断検出信号は、演算ユニット10に設けられているタイマー602に入力される。タイマー602は電断検出信号の入力を受け付けると、時間の計測を開始する(
図18の時刻t12)。
図17のプロセッサ11は、電断検出信号の入力を受け付けた後、制御演算が開始されると、演算処理に関するデータを外部に出力する(
図18の時刻t13で演算実行ON)。タイマー602は演算実行に関するデータの入力を受け付けると、時間の計測を終了する(
図18の時刻t13)。なお、タイマー602は、時刻t13以降にリセットされる。このように、タイマー602により電断検出信号が検出されてから演算実行に関するデータが検出されるまでの時間は、入力電力の供給が開始されてからプロセッサ11に動作電力が供給開始されるまでの時間(時間T12)に相当する。このように、PLCシステム1は、プロセッサ11が電力の供給を受けてから制御演算を開始するまでの実際の時間を正確に算出できる。
【0086】
<変形例>
本実施の形態では、PLCシステム1を構成する複数のPLC2は、PLC2AおよびPLC2Bの2つの場合を例に説明を行ったが、複数のPLC2は3つ以上のPLCであってもよい。3つ以上のPLC2の場合も本実施の形態で説明した内容が適用可能である。
【0087】
本実施の形態では、これまで説明した運転順序の条件および起動順序の条件以外に、各PLC2のうちのあるPLC2をマスター、他のPLC2をスレーブとして予め設定し、マスターのPLC2の制御演算が開始された後に、スレーブのPLC2の制御演算を開始することを条件としてもよい。このような条件の場合は、マスターに設定されているPLC2のコントローラ31への動作電力の供給開始期間が、スレーブに設定されているPLC2のコントローラ31への動作電力の供給開始期間よりも短い期間となるように起動順序の条件が設定される。
【0088】
本実施の形態では、
図17を用いて外部電源からの入力電力の供給の開始からプロセッサ11の制御演算の実行開始までの実際の時間を算出する処理について説明した。これ以外にも、外部電源からの入力電力の供給開始から電源ユニット100のコントローラ31に動作電力の供給開始までの実際の時間を算出するようにしてもよい。これにより、入力電力が供給されてからプロセッサ11に供給電力が供給されることで、供給電力信号がON状態となるまでの正確な時間を算出できる。
【0089】
本実施の形態では、
図5における回路構成として1つの制限抵抗34の場合を主な例として説明したが、制限抵抗34を直列に複数設けるようにしてもよい。直列に接続された複数の抵抗のそれぞれにスイッチSWを並列に設け、演算部322が設定情報および時間情報に基づいて、各スイッチSWのON/OFFを切替えるようにしてもよい。
【0090】
本実施の形態では、
図6における回路構成として1つの蓄電部33a(1つのキャパシタ)を主な例として説明したが、蓄電部33aを直列に複数設けるようにしてもよい。直列に悦族された複数のキャパシタのそれぞれにスイッチSWを並列に設け、演算部322が設定情報および時間情報に基づいて、各スイッチSWのON/OFFを切替えるようにしてもよい。
【0091】
本実施の形態では、プロセッサ11がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(たとえば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。あるいは、演算ユニット10の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(たとえば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOS(Operating System)を並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。本実施の形態では、PLCシステム1においては、演算ユニット10、サポート装置300がそれぞれ別体として構成されているが、これらの機能の全部または一部を単一の装置に集約するような構成を採用してもよい。
【0092】
<付記>
以上のように、本実施形態は以下のような開示を含む。
【0093】
[構成1]
制御システム(1)であって、
外部電源を受けて、第1の制御演算を実行する第1の演算ユニット(10A)に対して電力を供給する第1の電源ユニット(100A)と、
前記外部電源を受けて、第2の制御演算を実行する第2の演算ユニット(10B)に対して電力を供給する第2の電源ユニット(100B)とを備え、
前記第1および第2の電源ユニットの各々は、
前記外部電源からの電力を所定電圧の電力に変換する電力変換部(201)と、
前記電力変換部での電力変換動作を制御するコントローラ(31)と、
前記コントローラを動作させるための動作電力を供給する電力供給部(32)とを含み、
前記電力供給部(32)の各々は、蓄電部(33)を有するとともに、前記外部電源の供給開始後、前記蓄電部(33)が所定の蓄電状態になった後に、前記動作電力の供給を開始するように構成されており、
前記第1の電源ユニット(100A)の前記電力供給部(32)における前記外部電源の供給開始後の前記動作電力の供給を開始するまでの第1期間は、前記第2の電源ユニット(100B)の前記電力供給部(32)における前記外部電源の供給開始後の前記動作電力の供給を開始するまでの第2期間とは異なるように構成されている、制御システム。
【0094】
[構成2]
前記電力供給部(32)の各々は、前記外部電源から前記蓄電部(33)への電力供給に係る時定数が異なるように構成されている、構成1に記載の制御システム。
【0095】
[構成3]
前記電力供給部(32)の各々は、前記蓄電部(33)に直列に接続された制限抵抗(34a)を有し、
前記第1の電源ユニット(100A)の前記電力供給部における第1蓄電部(33)の静電容量と第1制限抵抗(34a)の抵抗値に基づく前記時定数と、前記第2の電源ユニット(100B)の前記電力供給部の第2蓄電部(33)における静電容量と第2制限抵抗(34a)の抵抗値に基づく前記時定数とが異なる、構成2に記載の制御システム。
【0096】
[構成4]
前記第1制限抵抗(34a)および前記第2制限抵抗(34a)の少なくともいずれかの抵抗値は、前記第1および第2の電源ユニットの少なくともいずれかに設けられたハードスイッチにより変更可能に構成されている、構成3に記載の制御システム。
【0097】
[構成5]
前記第1蓄電部(33a)および前記第2蓄電部(33a)の少なくともいずれかの静電容量は、前記第1および第2の電源ユニットの少なくともいずれかに設けられたハードスイッチにより変更可能に構成されている、構成3または4に記載の制御システム。
【0098】
[構成6]
前記第1制限抵抗(34a)および前記第2制限抵抗(34a)の少なくともいずれかの抵抗値は、外部装置(300)からの通信により変更可能に構成されている、構成3〜5のいずれか1項に記載の制御システム。
【0099】
[構成7]
前記第1蓄電部(33a)および前記第2蓄電部(33a)の少なくともいずれかの静電容量は、外部装置(300)からの通信により変更可能に構成されている、構成3〜6のいずれか1項に記載の制御システム。
【0100】
[構成8]
ユーザに対して前記通信に関する情報を表示する表示部(314)を有する前記外部装置(300)をさらに備える、構成6または7に記載の制御システム。
【0101】
[構成9]
前記第1の制御演算は、第1の制御対象を制御する演算処理であり、
前記第2の制御演算は、前記第1の制御対象(M1)が制御可能な状態であることを条件に、第2の制御対象(M2)を制御する、構成1〜8のいずれか1項に記載の制御システム。
【0102】
[構成10]
前記第2の演算ユニット(10B)は、前記電力が供給された後に所定の初期処理を実行すると、前記第2の制御演算をサイクリックに実行する、構成1〜9のいずれか1項に記載の制御システム。
【0103】
[構成11]
外部電源からの電力を所定電圧の電力に変換する電力変換部(201)と、
前記電力変換部(201)での電力変換動作を制御するコントローラ(31)と、
前記コントローラ(31)を動作させるための動作電力を供給する電力供給部(32)とを含み、
前記電力供給部(32)は、蓄電部(33)を有するとともに、前記外部電源の供給開始後、前記蓄電部(33)が所定の蓄電状態になった後に、前記動作電力の供給を開始するように構成されており、
前記電力供給部(32)における前記外部電源の供給開始後の前記動作電力の供給を開始するまでの第1期間が変更可能に構成されている、電源ユニット。
【0104】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。