(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、本受信装置の位置情報を測位するための処理を実行しており、本受信装置が静止状態である場合に、測位した位置情報を記憶してから、記憶した位置情報を出力し続けることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
前記制御部は、前記フィルタを通過した信号を前記増幅部に入力させた状態における消費電流の大きさが別のしきい値よりも大きい場合、前記入力部において受けつけた信号を前記増幅部に入力させるように戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、GNSS信号のような信号を受信する受信装置に関する。GNSS信号を受信する場合に、GNSS以外のシステムにおいて使用される信号の1/n倍波等の強い妨害波がアンテナから入力されると、LNA(Low Noise Amplifier)の飽和による非線形性からGNSS信号の周波数帯に高調波が発生する。この高調波により、受信したGNSS信号の品質が悪化する。GNSS信号の受信における妨害波耐性を向上させるために、アンテナとLNAとの間にSAWフィルタ等のフィルタが配置される。
【0012】
特に、フィルタの多段化により、LNAの飽和耐性が向上することによって、妨害波耐性が向上する。しかしながら、フィルタの多段化によりGNSS信号の通過帯域の損失が増加する。その結果、フィルタの多段化によりGNSS信号を通常受信している場合の受信C/N(Carrier to Noise ratio)が低下する。受信C/Nの低下を抑制するために、フィルタの構成は最小限にする必要がある。つまり、GNSS信号を受信する場合の受信C/N向上と妨害波耐性向上はトレードオフの関係である。
【0013】
ここで、アンテナの近くのLNAに入力されるGNSS信号のパワーは通常小さい。そのため、飽和する様なパワーのGNSS信号は一般的に受信されない。このような状況において、妨害波の影響を受けていると、LNAの電流が増加する。つまり、LNAの電流が増加する状態は異常状態であるといえる。
【0014】
そのため、本実施例に係る受信装置は、LNAの消費電流の大きさを監視し、消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合にフィルタを追加する。一方、受信装置は、消費電流の大きさがしきい値以下である場合にフィルタを追加しない。フィルタを追加した構成と、フィルタを追加していない構成とが頻繁に切り替わることを防止するために、受信装置は、フィルタを追加した構成において、静止状態から動作状態に変わった場合に、フィルタを外して、LNAの消費電流の大きさを再度監視する。消費電流の大きさがしきい値以下である場合に、受信装置は、フィルタを外したままを維持する。一方、消費電流の大きさがしきい値より大きい場合にフィルタを再び追加する。
【0015】
図1は、受信装置100の構成を示す。受信装置100は、アンテナ10、入力部12、第1スイッチ14、第2スイッチ16、フィルタ18、増幅部20、処理部22、抵抗24、測定部26、制御部28を含み、制御部28は、判定部30を含む。受信装置100は、GNSSに対応した装置である。アンテナ10は、信号を受信する。アンテナ10において受信すべき信号は、GNSS信号であるが、前述のごとく、GNSS以外のシステムにおいて使用される信号の1/n倍波等の妨害波を含むこともある。GNSS以外のシステムの一例は、セルラシステムである。入力部12は、アンテナ10において受信した信号を受けつける。
【0016】
第1スイッチ14は、一端側において入力部12に接続され、他端側において第2スイッチ16、フィルタ18に接続される。第2スイッチ16は、一端側において第1スイッチ14、フィルタ18に接続され、他端側において増幅部20に接続される。フィルタ18は、第1スイッチ14と第2スイッチ16との間に配置される。フィルタ18は、帯域通過フィルタであり、GNSS信号の帯域を通過させる。第1スイッチ14と第2スイッチ16は、制御部28からの制御に応じて、連動して動作する。
【0017】
例えば、第1スイッチ14と第2スイッチ16は、直接接続されたり(以下、「第1接続状態」という)、フィルタ18を介して接続されたりする(以下、「第2接続状態」という)。第1接続状態において、第1スイッチ14は、入力部12からの信号を第2スイッチ16に出力する。第2接続状態において、第1スイッチ14は、入力部12からの信号をフィルタ18に出力し、フィルタ18は、受けつけた信号のうちの一部の帯域幅の信号を通過させ、その結果を第2スイッチ16に出力する。初期状態においては第1接続状態にされている。第2スイッチ16は、第2スイッチ16からの信号を増幅部20に出力する。
【0018】
増幅部20は、LNAであり、第2スイッチ16からの信号を増幅する。そのため、フィルタ18を通過した信号、あるいは入力部12において受けつけられフィルタ18を通過していない信号が増幅される。増幅部20は、増幅した信号を処理部22に出力する。処理部22は、増幅部20において増幅された信号を受けつける。処理部22は、受けつけた信号を処理する。受信装置100がGNSSに対応した装置である場合、処理部22は、処理として受信装置100の位置情報を測位する。受信装置100の位置を測位するための処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0019】
抵抗24は増幅部20に接続され、抵抗24には増幅部20の電流が流れる。測定部26は、抵抗24における電位差を測定することによって、増幅部20の消費電流の大きさを測定する。測定部26は、測定した消費電流の大きさを制御部28に順次出力する。制御部28は、測定部26において測定した消費電流の大きさを順次受けつける。前述のごとく、アンテナ10がGNSS信号だけを受信していれば、第1接続状態であっても、増幅部20に入力される信号のパワーは通常小さい。例えば、−130dBm程度である。増幅部20が飽和する様なGNSS信号、例えば、−20dBm程度のGNSS信号は増幅部20に入力されない。ここで、増幅部20に入力される信号のパワーが大きくなるにつれて増幅部20を流れる消費電流の大きさは増加する。つまり、近辺または高出力GNSS関連周波数の無線装置で送信された妨害波の影響を受けている異常状態になると、増幅部20を流れる消費電流の大きさが増加する。
【0020】
制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合、第1接続状態を第2接続状態に変更するように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。切替により、増幅部20には、フィルタ18を通過した信号が入力される。一方、制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値以下である場合、第1接続状態を維持する。つまり、制御部28は、測定部26において測定した消費電流の大きさをもとに、フィルタ18を通過した信号あるいはフィルタ18を通過していない信号を増幅部20に入力させる。
【0021】
第2接続状態に変更した後、判定部30は、処理部22から位置情報を順次受けつける。受けつけた位置情報は一定間隔で並ぶ。判定部30は、連続して受けつけた位置情報間の差分値を導出する。差分値は、受信装置100の移動速度に応じた値を示す。判定部30は、差分値が所定の値(以下、「静止状態判定用しきい値」という)よりも小さい場合、受信装置100が静止状態であると判定する。一方、判定部30は、差分値が静止状態判定用しきい値以上である場合、受信装置100が移動状態であると判定する。
【0022】
制御部28は、判定部30において静止状態であると判定された場合、そのときの位置情報を処理部22に記憶させる。処理部22は、静止状態が継続する間にわたって、記憶した位置情報を出力し続ける。なお、その状況においても、処理部22は、位置情報の測位を継続し、位置情報を判定部30に出力し続ける。一方、制御部28は、判定部30において移動状態であると判定された場合、測位した位置情報を処理部22に出力させる。
【0023】
制御部28は、判定部30における判定結果が静止状態から移動状態に変わった場合、第2接続状態を第1接続状態に変更するように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。つまり、制御部28は、第2接続状態において、本受信装置100が静止状態から移動状態に変わった場合に、フィルタ18を通過していない信号を増幅部20に入力させる。測定部26は、第1接続状態において増幅部20の消費電流の大きさを測定する。制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合、第1接続状態を第2接続状態に戻すように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。切替により、増幅部20には、フィルタ18を通過した信号が再び入力される。一方、制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値以下である場合、第1接続状態を維持させるために、第1スイッチ14、第2スイッチ16をそのまま維持する。これにより、増幅部20には、フィルタ18を通過していない信号が入力され続ける。
【0024】
第1スイッチ14、第2スイッチ16が、第1接続状態から第2接続状態に切りかわった後、測定部26は、第2接続状態における消費電流の大きさを測定してもよい。制御部28は、第2接続状態における消費電流の大きさが別のしきい値よりも大きい場合、第2接続状態を第1接続状態に戻すように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。切替によって、増幅部20には、フィルタ18を通過していない信号が入力される。フィルタ18を使用しても増幅部20の消費電流の大きさが大きい場合、異常状態の原因は、妨害波でない、もしくは組み込まれたフィルタでは防ぎきれないレベルの妨害波があるといえるからである。
【0025】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0026】
以上の構成による受信装置100の動作を説明する。
図2は、受信装置100による受信手順を示すフローチャートである。測定部26は、増幅部20の消費電流の大きさを測定する(S10)。消費電流の大きさがしきい値よりも大きくなければ(S12のN)、処理部22は、測位を実行し(S14)、位置情報を出力して(S16)、ステップ10に戻る。消費電流の大きさがしきい値よりも大きければ(S12のY)、制御部28は、フィルタ18有りに切りかえる(S18)。判定部30が静止状態であると判定した場合(S20のY)、位置情報が記憶済でなければ(S22のN)、処理部22は、測位を実行し(S24)、位置情報を記憶して(S26)、位置情報を出力する(S28)。位置情報が記憶済であれば(S22のY)、処理部22は位置情報を出力する(S28)。これに続いて、ステップ20に戻る。
【0027】
判定部30が静止状態でないと判定した場合(S20のN)、前回も移動状態であれば(S30のY)、処理部22は、測位を実行し(S32)、位置情報を出力する(S34)。これに続いて、ステップ20に戻る。前回が移動状態でなければ(S30のN)、処理部22は位置情報を破棄し(S36)、制御部28はフィルタ18無しに切りかえて(S38)、ステップ10に戻る。
【0028】
図3は、受信装置100による切替手順を示すフローチャートである。制御部28は、フィルタ18有りに切りかえる(S50)。測定部26は、増幅部20の消費電流の大きさを測定する(S52)。消費電流の大きさがしきい値よりも大きければ(S54のY)、制御部28は、フィルタ18無しに切りかえる(S56)。消費電流の大きさがしきい値よりも大きくなければ(S54のN)、ステップ56をスキップする。
【0029】
本実施例によれば、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合、第2接続状態に切りかえるので、妨害波による影響を低減できる。また、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値以下である場合、第1接続状態を維持するので、受信C/Nの低下を抑制できる。また、第2接続状態において、静止状態から移動状態に変わった場合に、第1接続状態に戻して消費電流の大きさを測定するので、消費電流の大きさの測定機会を制限できる。また、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合、第2接続状態に戻すので、妨害波による影響を引き続き低減できる。また、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値以下である場合、第1接続状態を維持するので、第2接続状態を第1接続状態に切りかえることができる。
【0030】
また、第1接続状態を第2接続状態に変えた後、静止状態から移動状態に変わった場合に、第1接続状態に戻す機会を制限するので、受信した信号の品質を向上させながら、受信動作を安定化できる。また、第2接続状態において静止状態であれば、記憶した位置情報を出力し続けるので、位置情報の揺らぎを防止できる。また、第2接続状態における消費電流の大きさが別のしきい値よりも大きい場合、第1接続状態に戻すので、妨害波による影響でない場合、もしくは組み込まれたフィルタでは防ぎきれないレベルの妨害波がある場合に受信C/Nの低下を抑制できる。
【0031】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、GNSS信号のような信号を受信する受信装置において、LNAの消費電流の大きさを監視し、消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合にフィルタを追加する。実施例1では、フィルタを追加する、あるいはフィルタを追加しないのどちらかだけが選択されているが、実施例2では、フィルタが多段構成を有し、フィルタの数が調節される。実施例2に係る受信装置100は、
図1と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0032】
図4は、受信装置100の構成を示す。これは、
図1における第1スイッチ14と第2スイッチ16とに挟まれた部分の構成に対応し、残りの部分は
図1と同一であるので省略される。
図1において、第1スイッチ14と第2スイッチ16との間には、フィルタ18だけが含まれる。一方、
図4において、第1スイッチ14と第2スイッチ16との間には、第1フィルタ40、中間スイッチ42、第2フィルタ44が含まれる。第1スイッチ14は、一端側において入力部12(図示せず)に接続され、他端側において第2スイッチ16、第1フィルタ40に接続される。中間スイッチ42は、一端側において第1フィルタ40に接続され、他端側において第2スイッチ16、第2フィルタ44に接続される。第2スイッチ16は、一端側において第1スイッチ14、中間スイッチ42、第2フィルタ44に接続され、他端側において増幅部20(図示せず)に接続される。
【0033】
そのため、第1フィルタ40は、第1スイッチ14と中間スイッチ42との間に配置され、第2フィルタ44は、中間スイッチ42と第2スイッチ16との間に配置される。第1フィルタ40、中間スイッチ42は、帯域通過フィルタであり、GNSS信号の帯域を通過させる。これらの特性は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1スイッチ14と第2スイッチ16と中間スイッチ42は、制御部28からの制御に応じて、連動して動作する。
【0034】
例えば、第1スイッチ14と第2スイッチ16は、直接接続されたり(以下、「第1接続状態」という)、第1フィルタ40と中間スイッチ42とを介して接続されたり(以下、「第2−1接続状態」という)、第1フィルタ40と中間スイッチ42と第2フィルタ44とを介して接続される(以下、「第2−2接続状態」という)。第1接続状態において、第1スイッチ14は、入力部12からの信号を第2スイッチ16に出力する。第2−1接続状態において、第1スイッチ14は、入力部12からの信号を第1フィルタ40に出力し、第1フィルタ40は、受けつけた信号のうちの一部の帯域幅の信号を通過させ、その結果を中間スイッチ42経由で第2スイッチ16に出力する。
【0035】
第2−2接続状態において、第1スイッチ14は、入力部12からの信号を第1フィルタ40に出力し、第1フィルタ40は、受けつけた信号のうちの一部の帯域幅の信号を通過させ、その結果を中間スイッチ42経由で第2フィルタ44に出力する。第2フィルタ44は、受けつけた信号のうちの一部の帯域幅の信号を通過させ、その結果を第2スイッチ16に出力する。ここでも、初期状態においては第1接続状態にされている。
【0036】
制御部28は、しきい値として、第1しきい値と第2しきい値とを保持する。ここで、第1しきい値と第2しきい値とは同一の値でもよい。制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさが第1しきい値よりも大きい場合、第1接続状態を第2−1接続状態に変更するように、第1スイッチ14、中間スイッチ42、第2スイッチ16を切りかえる。切替により、増幅部20には、第1フィルタ40を通過した信号が入力される。一方、制御部28は、第1接続状態における消費電流の大きさがしきい値以下である場合、第1接続状態を維持する。
【0037】
制御部28は、第2−1接続状態における消費電流の大きさが第2しきい値よりも大きい場合、第2−1接続状態を第2−2接続状態に変更するように、中間スイッチ42、第2スイッチ16を切りかえる。切替により、増幅部20には、第1フィルタ40および第2フィルタ44を続けて通過した信号が入力される。一方、制御部28は、第2−1接続状態における消費電流の大きさが第2しきい値以下である場合、第2−1接続状態を維持する。
【0038】
第2−1接続状態あるいは第2−2接続状態に変更した後、判定部30は、処理部22から順次受けつけた位置情報をもとに、受信装置100が静止状態であるか、受信装置100が移動状態であるかを判定する。判定部30において静止状態であると判定された場合、あるいは判定部30において移動状態であると判定された場合における制御部28、処理部22の処理は、これまでと同一である。また、判定部30における判定結果が静止状態から移動状態に変わった場合における制御部28の処理も、これまでと同一である。
【0039】
本実施例によれば、増幅部における消費電流の大きさに応じて、第2−1接続状態と第2−2接続状態とを切りかえるので、受信C/Nの低下を抑制しながら、妨害波の影響を抑制できる。
【0040】
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、GNSS信号のような信号を受信する通信装置において、LNAの消費電流の大きさを監視し、消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合にフィルタを追加する。フィルタを追加することによって妨害波の影響を低減している場合、LNAの消費電流は一般的に正常な値となる。これまでは、静止状態から動作状態に変わった場合に、フィルタを外して、LNAの消費電流の大きさを再度監視している。一方、妨害波の影響がもととも小さい環境においては、受信C/Nを考慮すると、フィルタが追加されない方が好ましい。実施例3は、フィルタを追加している状況において、フィルタの追加が不要であると判定する機会を増加することを目的とする。これに対応するために、実施例3の通信装置には、GNSS信号の妨害波となりうる信号を送受信する通信システム、例えばセルラに対応した通信回路も含まれる。通信装置は、LNAの消費電流の大きさだけではなく、通信回路において受信される信号の強度も利用して、フィルタの追加あるいはフィルタの追加不要を決定する。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0041】
図5は、通信装置200の構成を示す。通信装置200は、
図1に示した受信装置100に加えて、追加アンテナ50、追加入力部52、追加処理部54を含む。追加アンテナ50は、GNSS以外のシステム、例えば、セルラ等の通信システムにおける信号を送受信する。当該信号は、1/n倍波等がGNSS信号の妨害波となりうる周波数を有する。以下では、追加アンテナ50から信号を送信する場合の説明を省略し、追加アンテナ50において信号を受信する場合を説明の対象にする。
【0042】
追加入力部52は、一端側において、追加アンテナ50に接続されるとともに、他端側において追加処理部54に接続され、追加アンテナ50において受信した信号を入力する。追加処理部54は、追加入力部52において入力した信号を処理する。例えば、追加処理部54は、受信強度の測定機能、増幅機能、復調機能等を実行する。受信機能の測定機能は、追加アンテナ50において受信した信号の強度を測定する。測定される強度は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)として示される。追加入力部52は、測定した強度を制御部28に出力する。
【0043】
制御部28は、第1接続状態において、判定部30における判定結果が静止状態から移動状態に変わった場合、第1接続状態における消費電流の大きさと、追加処理部54において測定された信号の強度とを確認する。制御部28は、消費電流の大きさがしきい値よりも大きく、かつ信号の強度が増加すれば、消費電流と信号の強度とが同期している状態(以下、「同期状態」という)であると判定する。一方、制御部28は、消費電流の大きさがしきい値よりも大きく、かつ信号の強度が増加しなければ、消費電流と信号の強度とが同期していない状態(以下、「非同期状態」という)であると判定する。同期状態では、追加アンテナ50で受信した信号と同一の電波により、増幅部20の消費電流が増加している可能性が高いといえる。つまり、消費電流の増加は、別の信号か、別の信号のスプリアス(高調波や他周波との相互変調ひずみ等による)か、別の信号の発射源起因のノイズによるものかと推定される。また、制御部28は、同期状態であるか、非同期状態であるかにかかわらず、消費電流の大きさがしきい値よりも大きい場合、第1接続状態を第2接続状態に変更するように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。
【0044】
制御部28は、第2接続状態において、非同期状態と判定されていれば、実施例1において説明した処理を実行する。一方、制御部28は、第2接続状態において、同期状態と判定されていれば、追加処理部54において測定された信号の強度を確認する。制御部28は、信号の強度が減少すれば、第2接続状態を第1接続状態に変更するように、第1スイッチ14、第2スイッチ16を切りかえる。ここで、追加処理部54において測定された信号の強度が増加あるいは減少する場合には、時間の経過にともなって信号の強度が相対的に増加あるいは減少する場合、信号の強度が所定の値よりも大きくなったり、小さくなったりする場合が含まれてもよい。
【0045】
以上の構成による通信装置200の動作を説明する。
図6は、通信装置200による切替手順を示すフローチャートである。制御部28は、フィルタ18無しを設定する(S100)。測定部26は、増幅部20の消費電流の大きさを測定する(S102)。追加処理部54は、RSSIを測定する(S104)。消費電流の大きさがしきい値よりも大きく(S106のY)、かつRSSIも増加した場合(S108のY)、制御部28は同期状態であると判定する(S110)。RSSIが増加しない場合(S108のN)、制御部28は非同期状態であると判定する(S112)。制御部28はフィルタ18有りに切りかえる(S114)。消費電流の大きさがしきい値よりも大きくない場合(S106のN)、処理は終了される。
【0046】
図7は、通信装置200による別の切替手順を示すフローチャートである。制御部28は、フィルタ18有りを設定する(S150)。同期状態である場合(S152のY)、追加処理部54は、RSSIを測定する(S154)。RSSIが減少すれば(S156のY)、制御部28は、フィルタ18無しに切りかえる(S158)。RSSIが減少しなければ(S156のN)、処理は終了される。同期状態でない場合(S152のN)、実施例1の処理が実行される(S160)。
【0047】
本実施例によれば、消費電流と信号の強度が同期している場合に、信号の強度をもとに、第2接続状態を第1接続状態に変更するので、第1接続状態を長くできる。また、第1接続状態が長くなるので、受信C/Nを改善できる。
【0048】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
実施例1から3における判定部30は、位置情報をもとに、受信装置100が静止状態であるか、移動状態であるかを判定している。しかしながらこれに限らず例えば、判定部30は、受信装置100に搭載されたセンサにおいて取得した値をもとに、受信装置100が静止状態であるか、移動状態であるかを判定してもよい。センサは、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、車速センサである。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。