特許第6981393号(P6981393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981393スイッチング素子の駆動回路及びスイッチング回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981393
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】スイッチング素子の駆動回路及びスイッチング回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20211202BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20211202BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H02M1/08 A
   H03K17/16 H
   H03K17/687 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-201845(P2018-201845)
(22)【出願日】2018年10月26日
(65)【公開番号】特開2020-68631(P2020-68631A)
(43)【公開日】2020年4月30日
【審査請求日】2020年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野坂 紀元
(72)【発明者】
【氏名】岡田 亘
(72)【発明者】
【氏名】田内 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】岩井 聡
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−145091(JP,U)
【文献】 特開2018−33303(JP,A)
【文献】 特開2013−99133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00− 7/98
H03K 17/00−17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を駆動する駆動回路であって、
第1端子と第2端子とを有し、前記スイッチング素子のゲート端子に制御信号を出力する制御部と、
前記制御部の前記第1端子に接続される、前記制御信号を形成する電流を規定する第1抵抗と該第1抵抗に並列に接続された第1コンデンサと、
第2コンデンサと、
直列に接続された第2抵抗及びダイオードと、
前記第1抵抗及び第1コンデンサから前記ゲート端子に至り、前記スイッチング素子のソース端子から前記制御部の前記第2端子に至る電流の経路と、
を備え、
前記第2コンデンサは、前記ソース端子から前記制御部に至る前記経路に挿入され、
前記第1抵抗及び第1コンデンサから前記ゲート端子に至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのカソード端子側を接続し、前記ソース端子から前記第2コンデンサに至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのアノード端子側を接続したことを特徴とするスイッチング素子の駆動回路。
【請求項2】
前記第1コンデンサの容量をC1、前記第2コンデンサの容量をC2、前記スイッチング素子の入力容量をCiss、前記制御信号の電源電圧をVdd、前記スイッチング素子のターンオン時のゲート・ソース間電圧をVdev、該スイッチング素子に印加される負バイアス電圧をVccとしたとき、
【数1】

を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項3】
前記スイッチング素子の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3抵抗を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、電流駆動型又は電圧駆動型であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項5】
前記スイッチング素子の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3コンデンサを接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項6】
前記スイッチング素子及び第2コンデンサを含む経路に並列にミラークランプ回路を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項7】
前記第1コンデンサに直列かつ前記第1抵抗に並列に前記経路に接続された第4抵抗を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項8】
前記ゲート端子にカソード端子が接続され、前記制御部の前記第2端子にアノード端子が接続されるショットキーダイオードを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項9】
前記スイッチング素子の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に並列に、所定電圧に維持する電圧維持手段を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項10】
直列に接続された複数のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を各々駆動する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路と、を備えたことを特徴とするスイッチング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換器等におけるスイッチング素子としてSiC(シリコンカーバイド)を材料としたJFET等を用いる技術が提案されていた。このようなスイッチング素子の駆動回路では、誤動作を防止するために、ドレイン・ゲート間に生じる浮遊容量よりも大きな容量を有するコンデンサをスイッチング素子のゲート・ソース間に設けている。さらに、誤動作を防止するために、スピードアップコンデンサCgDを用いて、負バイアス化を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、同様に、ツェナーダイオードを用いて、負バイアス化を実現する技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
ここで、上述のような従来のスイッチング素子の駆動回路において負バイアス化を用いることで、負バイアス電圧に比例して、スイッチング素子の内部ダイオードによる逆導通損失が増加するという不都合が生じる場合があった。また、逆導通損失は周波数にも比例するため、スイッチングが高周波化する場合にも、逆導通損失の増加は問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−99133号公報
【特許文献2】特開2014−93586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、スイッチング素子の駆動回路において、負バイアス電圧による損失を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、
スイッチング素子を駆動する駆動回路であって、
第1端子と第2端子とを有し、前記スイッチング素子のゲート端子に制御信号を出力する制御部と、
前記制御部の前記第1端子に接続される、前記制御信号を形成する電流を規定する第1抵抗と該第1抵抗に並列に接続された第1コンデンサと、
第2コンデンサと、
直列に接続された第2抵抗及びダイオードと、
前記第1抵抗及び第1コンデンサから前記ゲート端子に至り、前記スイッチング素子のソース端子から前記制御部の前記第2端子に至る電流の経路と、
を備え、
前記第2コンデンサは、前記ソース端子から前記制御部に至る前記経路に挿入され、
前記第1抵抗及び第1コンデンサから前記ゲート端子に至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのカソード端子側を接続し、前記ソース端子から前記第2コンデンサに至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのアノード端子側を接続したことを特徴とするスイッチング素子の駆動回路である。
【0007】
本発明によれば、スイッチング素子のゲートオン時に、制御信号を形成する電流によって、第1コンデンサ、第2コンデンサ及びスイッチング素子の入力容量が充電され、スイッチング素子のゲートオフ時に、蓄積された電荷が第1抵抗及び第2抵抗を介して放電されることにより、スイッチング素子に負バイアス電圧が印加される。この負バイアス電圧は、スイッチング素子がオン・オフされるデューティーに依存するので、デューティーによって、負バイアス電圧を変更することにより損失を低減することができる。
【0008】
また、本発明において、前記第1コンデンサの容量をC1、前記第2コンデンサの容量をC2、前記スイッチング素子の入力容量をCiss、前記制御信号の電源電圧をVdd、前記スイッチング素子のターンオン時のゲート・ソース間電圧をVdev、該スイッチング素子に印加される負バイアス電圧をVccとしたとき、
【数1】
を満たすようにしてもよい。
【0009】
これによれば、負バイアス電圧を2段階で減衰するように設定することができる。これにより、急峻な電圧、電流変動を抑制するように負バイアス電圧を設定することができる。
【0010】
また、本発明において、前記スイッチング素子の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3抵抗を接続してもよい。
【0011】
このようにすれば、デューティーのみならず、第3抵抗の抵抗値によっても負バイアス電圧を変更することができる。
【0012】
また、本発明において、前記スイッチング素子は、電流駆動型又は電圧駆動型であるようにしてもよい。
【0013】
本発明に係るスイッチング素子の駆動回路においては、制御部から第1抵抗及び第1コンデンサを介してスイッチング素子へと流れる電流によって第2コンデンサが充電されるので、電流駆動型のスイッチング素子においては、スイッチング素子のソース端子から第2コンデンサを充電するための電流が流れる。また、電圧駆動型のスイッチング素子においても、第3抵抗を通じて第2コンデンサを充電するための電流が流れる。このように、本発明は、電流駆動型のスイッチング素子のみならず、電圧駆動型のスイッチング素子についても適用できる。電流駆動型のスイッチング素子としては、トランジスタ、JFET等があり、電圧駆動型のスイッチング素子としては、MOSFET、IGBT等があるが、これらに限られない。
【0014】
また、本発明においては、
前記スイッチング素子の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3コンデンサを接続してもよい。
【0015】
このようにすれば、デューティーのみならず、第3抵抗の抵抗値によっても負バイアス電圧を変更することができる。
【0016】
また、本発明において、前記スイッチング素子及び第2コンデンサを含む経路に並列に
ミラークランプ回路を設けてもよい。
【0017】
このようにすれば、スイッチング素子にサージ電圧等の大きな電圧が印加されることを防止することができる。
【0018】
また、本発明において、前記第1コンデンサに直列かつ前記第1抵抗に並列に前記経路に接続された第4抵抗を備えるようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、第4抵抗により、スイッチング素子のゲートサージを低減することができる。また、スイッチング素子に生じるスイッチングノイズを低減することもできる。
【0020】
また、本発明において、前記第2抵抗と前記スイッチング素子に対して、前記第1抵抗及び前記第1コンデンサ側の経路にカソード端子が接続され、前記制御部側の経路にアノード端子が接続されるショットキーダイオードを設けてもよい。
【0021】
このようにすれば、スイッチング素子のゲートサージを低減することができる。ここでは、第2コンデンサとスイッチング素子とは、経路上において直列に接続されている。この第2コンデンサ及びスイッチング素子の両者を跨ぐようにして、ショットキーダイオードのカソード端子及びアノード端子を経路にそれぞれ接続する。
【0022】
また、本発明においては、
前記スイッチング素子に並列に、所定電圧に維持する電圧維持手段を接続してもよい。
【0023】
このようにすれば、電圧維持手段によって、スイッチング素子のゲート電圧を所定電圧に維持することができるので、ゲートサージを低減することができる。
ここでは、電圧維持手段としては、例えば、ツェナーダイオードを用いることができる。
【0024】
また、本発明は、
直列に接続された複数のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を各々駆動する前記スイッチング素子の駆動回路と、を備えたことを特徴とするスイッチング回路である。
【0025】
本発明によれば、スイッチング回路を構成するスイッチング素子において、デューティーを変更することによってゲートオフ時の負バイアス電圧を変更し損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、スイッチング素子の駆動回路において、負バイアス電圧による損失を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例1に係るゲート駆動回路100の回路構成を示す図である。
図2】実施例1に係るゲート駆動回路100の動作原理を説明する図である。
図3】実施例1に係るスイッチング素子1のゲート電圧のプロファイルを示すグラフである。
図4】駆動回路100の期間(ア)における電流の流れと簡易等価回路を示す図である。
図5】駆動回路100の期間(イ)における電流の流れと簡易等価回路を示す図である。
図6】駆動回路100の期間(ウ)における電流の流れと簡易等価回路を示す図である。
図7】駆動回路100の期間(エ)における電流の流れと簡易等価回路を示す図である。
図8】実施例2に係るゲート駆動回路200の回路構成を示す図である。
図9】実施例3に係るゲート駆動回路300の回路構成を示す図である。
図10】実施例4に係るゲート駆動回路400の回路構成を示す図である。
図11】実施例4に係るスイッチング素子1のゲート電圧のプロファイルを示すグラフである。
図12】実施例5に係るゲート駆動回路500の回路構成を示す図である。
図13】実施例6に係るゲート駆動回路600の回路構成を示す図である。
図14】実施例7に係るゲート駆動回路700の回路構成を示す図である。
図15】シミュレーションのためのモデル回路を示す図である。
図16】スイッチング素子のゲート電圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
図17】スイッチング素子のゲート電圧の他のシミュレーション結果を示すグラフである。
図18】実施例8に係る同期整流型昇圧チョッパ回路の回路構成を示す図である。
図19】デューティーが異なる場合のゲート駆動回路の動作を説明するグラフである。
図20】従来例に係るスイッチング素子のゲート電圧のプロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、例えば、図1に示すような、スイッチング素子のゲート駆動回路100に適用される。
スイッチング素子1では、直列に接続された他のスイッチング素子から発生するノイズ等の要因によって、ゲートオフ時に誤点弧しないように負バイアス電圧を印加することが行われている。
このような負バイアス電圧として、図20に示すようなプロファイルの電圧をゲート・ソース間に印加することが行われていた。誤点弧を防止するためには、負バイアス電圧を大きくすることが望ましいが、単に負バイアス電圧を大きくするだけでは、後述するように、損失が大きくなってしまう。
このため、本発明は、負バイアス電圧を適切に変更することによって、損失を低減しようとするものである。このとき、スイッチング素子に負バイアス電圧を印加する本来の目的である誤動作抑制をするように変更することもできる。
【0029】
図1に示すゲート駆動回路によって負バイアス電圧が印加される場合の、スイッチング素子のゲート・ソース間電圧Vgsは、図3に示すようなプロファイルとなる。本発明においては、スイッチング素子に供給されるゲート電流を規定する第1抵抗と、この第1抵抗に並列に接続された第1コンデンサを備える。このような第1抵抗及び第1コンデンサは、それぞれ制限抵抗及びスピードアップコンデンサと呼ばれるものである。
スイッチング素子のゲートを制御するための制御部から出力される制御信号を形成する電流は、制限抵抗及びスピードアップコンデンサを介して、スイッチング素子のゲート端子へと流れる。そして、この電流はスイッチング素子のソース端子から制御部へと流れる。本発明は、この制限抵抗及びスピードアップコンデンサとスイッチング素子を介して制御部へと至る電流の経路に、第2コンデンサを挿入するとともに、直列に接続された第2抵抗とダイオードを、第1抵抗及び第1コンデンサからゲート端子に至る経路にダイオー
ドのカソード端子側を接続し、ソース端子から第2コンデンサに至る経路にダイオードのアノード端子側を接続することにより、デューティーによって負バイアス電圧を可変とした。
【0030】
経路に直列に接続されるスピードアップコンデンサ、スイッチング素子の入力容量、第2コンデンサが、ゲートオン時に流れるゲート電流によって充電され、ゲートオフ時には、充電された電荷が、制限抵抗及び第2抵抗を通じて放電される。このようなスピードアップコンデンサ、スイッチング素子の入力容量、第2コンデンサに蓄積された電荷の放電の態様によって、図3に示すプロファイルの負バイアス電圧が印加される。
そして、後述するように負バイアス電圧の平均値であるVccは、スイッチング素子をオン・オフするデューティーに依存するため、デューティーによって負バイアス電圧を変更することができる。また、Vccは、第2抵抗の抵抗値にも依存するため、第2抵抗の抵抗値によって負バイアス電圧を変更することができる。
【0031】
本発明は、また、直列に接続されたスイッチング素子を含み、これらのスイッチング素子を本発明に係る駆動回路によって駆動するスイッチング回路として構成することもできる。このようなスイッチング回路では、スイッチング素子がオフされているときに、他のスイッチング素子が相補的にオンされることによるサージ電圧やノイズが生じる場合でも、負バイアス電圧を適切に変更することにより、誤点弧等の誤動作を防止することができる。また、スイッチング素子に大きな電流が流れる場合でも、負バイアス電圧を適切に変更することにより、損失を低減することができる。このように、スイッチング回路に、バイアスを可変とした駆動回路を用いることにより、種々の効果を実現することができる。このようなスイッチング回路としては、複数のスイッチング素子を直列に接続してスイッチングを行う回路であればよく、同期整流型昇圧チョッパ回路や、DC/DCコンバータや、インバータ等を含むがこれらに限られない。
【0032】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係るゲート駆動回路について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0033】
<装置構成>
図1は、本実施例に係るゲート駆動回路100を示す。
【0034】
スイッチング素子1のゲート端子には、スピードアップコンデンサとして機能するコンデンサ11の一端が接続されている。そして、このコンデンサ11の他端は、ドライブ回路12の出力電圧Voutが出力される端子123(以下「Vout端」という。)に接続されている。このコンデンサ11には、スイッチング素子1のオン時に微小電流を流すための制限抵抗として機能する抵抗13が並列に接続されている。スイッチング素子1のソース端子には、コンデンサ14の一端が接続されている。このコンデンサ14の他端はドライブ回路12の端子124(以下「Vee端」という。)に接続されている。そして、スイッチング素子1のゲート端子とコンデンサ11及び抵抗13の一端の間と、スイッチング素子1のソース端子とコンデンサ14の一端の間とに、直列に接続されたダイオード15と抵抗16が接続されている。ダイオード15のカソード端子はゲート側に接続され、アノード端子は抵抗16の一端に接続され、抵抗16の他端はスイッチング素子1のソース側に接続されている。ドライブ回路12は、電圧源Vddに接続される端子(以下「Vdd端」という。)125とVee端124との間に直列に接続された二つのnチャネルMOSFET121,122を有する。二つのMOSFET121,122の中点がVout端123としてコンデンサ11及び抵抗13の他端に接続されている。ドライブ回路12は、入力信号V_sigに基づいて、MOSFET121,122のオン・オフを切り替える。MOSFET121をオンし、MOSFET122をオフすることにより
、コンデンサ11の他端はVout端123を介してVdd端125に接続され、コンデンサ11及び抵抗13を介してスイッチング素子1にゲート電流が流れる。そして、MOSFET121をオフし、MOSFET122をオンすることにより、コンデンサ11の他端はVout端123を介してVee端124及びコンデンサ14の他端に接続され、スイッチング素子1のゲート・ソース間に負バイアス電圧が印加される。ここでは、コンデンサ11は第1コンデンサ、抵抗13は第1抵抗、コンデンサ14は第2コンデンサ、抵抗16は第2抵抗、抵抗16と直列に接続されたダイオード15が、第2抵抗と直列に接続されるダイオード、ドライブ回路12は制御部、Vout端123が第1端子、Vee端124が第2端子に対応する。また、コンデンサ11及び抵抗13からスイッチング素子1のゲート端子に至り、スイッチング素子1のソース端子からドライブ回路12に至るまで接続された回路が経路に相当する。また、ドライブ回路12のMOSFET121,122のオン・オフを切り替えることにより、スイッチング素子1のゲート端子に入力される電流が制御信号に相当する。
【0035】
<動作原理>
図2に、スイッチング素子1のゲート端子とソース端子間の電圧(ゲート電圧)Vgsと、スイッチング素子1のゲート端子に流れる電流Ig、コンデンサ14に流れる電流Icを示す。スイッチング素子1としてJFETを用いる場合には、JFETはゲート・ソース間がオーミック接合であるため、ゲート端子にはターンオン時に定常的に電流Igonが流れる。このとき
【数2】
で表される。ここで、Vdevはターンオン時のゲート端子とソース端子間の電圧、Rigは抵抗13の抵抗値である。
このとき、ゲート駆動回路100では、コンデンサ14に電流Icが流れる。
コンデンサ14への充電電荷をQcharge、放電電荷をQdischargeとおくと、コンデンサ14の充電電荷と放電電荷が等しいことは以下の(1)式で表される。これは、図2に示すIcの波形において、Icと座標軸とで囲まれる斜線が付された二か所の領域の面積が等しいことを意味している。
【数3】
そして、負バイアス電圧の平均値をVcc、デューティーをD、周波数をf、抵抗16の抵抗値をRとおくと、ターンオン時のコンデンサ14の充電電流をIcであるから、
【数4】
【数5】
である。従って、(1)式は、
【数6】
と表せる。両辺の積分を実行すると
【数7】
となる。
(2)式をVccについて整理すると
【数8】
となるので、デューティーDと抵抗16の抵抗値Rによって負バイアス電圧値Vccを変更できる。
【0036】
以下、ゲート駆動回路の動作原理について詳細に説明する。
図3は、ゲート駆動回路100によって駆動されるスイッチング素子1のゲート電圧Vgsのプロファイルを示す。
コンデンサ11、コンデンサ14、スイッチング素子1の入力容量をそれぞれC1、C2、Ciss、ターンオン時のゲート・ソース間電圧をVdevとおく。上述したように、Vddはゲート電源電圧、Vgsはゲート電圧、Vccは負バイアス電圧値である。
まず、(ア)で示すゲートオン期間は、スイッチング素子1はJFETであるため、定常オン電流が流れる。このとき、図4(a)のゲート駆動回路100上に破線の矢印で示した電流の流路の簡易等価回路を図4(b)に示す。このとき、コンデンサ11、コンデンサ14、スイッチング素子1の入力容量には、図4(b)の簡易等価回路に示すような極性の電荷がそれぞれ充電される。
【0037】
次に、(イ)に示す期間では、コンデンサ11、コンデンサ14、スイッチング素子1の入力容量の電荷が釣り合うまで、電荷の充放電が発生する。スイッチング素子1の入力容量Cissは負の方向に充電されるためVgsは小さくなる。
このとき、下記条件を満たすことで、ゲート電圧は2段階で減少する。
【数9】
このとき、図5(a)のゲート駆動回路上に破線の矢印で示した電流の流路の簡易等価回路を図5(b)に示す。コンデンサ11、コンデンサ14、スイッチング素子1の入力容量の電荷の極性は、図5(b)の簡易等価回路に示すようになる。ここでは、簡易等価回路における電流を破線の矢印で示している。
【0038】
次に、(ウ)に示す期間では、抵抗13を介して、コンデンサ11の電荷が放電される。このとき、図6(a)のゲート駆動回路上に破線の矢印で示した電流の流路の簡易等価回路を図6(b)に示す。図6(b)の簡易等価回路において、抵抗13を流れる電流を破線の矢印で示している。放電は、コンデンサ11の電荷が0になるまで行われる。このときスイッチング素子1は負の方向に充電されるためゲート電圧Vgsは小さくなる。
【0039】
次に、(エ)に示す期間では、抵抗16を介してコンデンサ14の電荷が放電される。このとき、図7(a)のゲート駆動回路上に破線の矢印で示した電流の流路の簡易等価回路を図7(b)に示す。スイッチング素子1の電荷が放電するため、ゲート電圧Vgsは+方向へ増加する。
このように、本実施例に係るゲート駆動回路100によれば、デューティーを変更することにより、負バイアス電圧値を変更することができる。これによって、スイッチング素子1の誤動作を防止しつつデッドタイム時(逆導通時)の損失を低減することができる。また、本実施例によれば、図3に示すようなプロファイルでゲート電圧を制御することができる。(イ)及び(ウ)の期間におけるように、スイッチング素子1のゲートオフ時に2段階でゲート電圧を減衰させるので、ゲートサージを低減することができ、また低ノイズ化を実現することもできる。
【0040】
〔実施例2〕
図8に、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路200を示す。
実施例1と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、スイッチング素子1のゲート・ソース間に並列に抵抗17を接続している。抵抗17の一端は、スイッチング素子1のゲート端子とダイオード15のカソード端子との間に接続される。そして、抵抗17の他端は、スイッチング素子1のソース端子と抵抗16の他端との間に接続される。ここでは、抵抗17は、第3抵抗に対応する。
本実施例では、実施例1と同様にデューティーによってスイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更できるのみならず、抵抗17の抵抗値によってもスイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更することができる。
本実施例によれば、スイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更することにより、スイッチング素子1の誤動作を防止しつつ損失を低減することができる。
また、このようにスイッチング素子1のゲート・ソース間に並列に抵抗17を接続することにより、スイッチング素子1としてMOSFETやIGBT等の電圧駆動型のスイッチング素子を用いる場合でも、コンデンサ14を充電することができるので、デューティーに応じた負バイアス電圧値の設定が可能となる。従って、電圧駆動型のスイッチング素子のゲートドライブ回路においても、誤動作を防止しつつ損失の低減が可能となる。
【0041】
〔実施例3〕
図9に、本発明の実施例3に係るゲート駆動回路を示す。
実施例2と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、実施例3のスイッチング素子1のゲート・ソース間に接続した抵抗17に並列にコンデンサ18を接続している。ここでは、コンデンサ18は、第3コンデンサに対応する。
本実施例では、実施例1と同様にデューティーによって、さらに実施例2と同様に抵抗17の抵抗値によってスイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更できるのみならず、コンデンサ18の容量値によってもスイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更することができる。
本実施例によれば、スイッチング素子1の負バイアス電圧値を変更することにより、スイッチング素子1の誤動作を防止しつつ損失を低減することができる。
また、コンデンサ18の容量値によってスイッチング素子1のスイッチング速度を変更することもできる。
【0042】
〔実施例4〕
図10に、本発明の実施例4に係るゲート駆動回路400を示す。
実施例3と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、スイッチング素子1のゲート・ソース間に並列にスイッチング素子20を接続している。スイッチング素子20は、ダイオード15のカソード端子とコンデンサ11及び抵抗13の一端の間と、コンデンサ14の他端との間に接続されている。ここでは、スイッチング素子20としてnチャネルMOSFETを用い、ダイオード15のカソード端子とコンデンサ11及び抵抗13の一端との間にドレイン端子を、コンデンサ14の他端側にソース端子を接続している。また、スイッチング素子20のゲート端子はドラ
イブ回路12に接続され、スイッチング素子20はドライブ回路12から入力される信号によって制御される。
スイッチング素子20はミラークランプ回路として機能する。ゲート電圧VgsがVmirror電圧以下(例えばVa(負バイアス電圧値の最小値)+2V)になった場合に、スイッチング素子20がターンオンしてVgs=Vaとなるように設定する。図11
、本実施例に係るゲート駆動回路400によって駆動されるスイッチング素子1のゲート電圧Vgsのプロファイルを示す。図11の(ウ´)に示す期間において、上述のように、ゲート電圧VgsがVmirror以下となった場合に、ゲート電圧VgsがVaに引き下げられている。
本実施例では、スイッチング素子を設けることにより、同期整流型コンバータのスイッチング素子のゲート駆動回路として用いた場合に、対向アームのスイッチング素子がオンであるときに負バイアス電圧値を大きくすることで、誤点弧を防止することができ、ゲートサージが低減する。また、デッドタイム期間の導通損失を低減することができる。
【0043】
〔実施例5〕
図12に、本発明の実施例5に係るゲート駆動回路500を示す。
実施例4と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、コンデンサ11と直列に抵抗21を接続し、この直列に接続されたコンデンサ11及び抵抗21に並列に抵抗13を接続している。ここでは、コンデンサ11に対して、ドライブ回路12のVout端123側に抵抗21を接続している。ここでは、抵抗21が第4抵抗に対応する。
本実施例では、抵抗21の抵抗値を変更することにより、スイッチング素子1のスイッチング速度を変更することができる。これにより、ゲートサージ及びスイッチングノイズを低減することができる。
【0044】
〔実施例6〕
図13に、本発明の実施例6に係るゲート駆動回路600を示す。
実施例5と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、スイッチング素子20のドレイン端子と抵抗13及びコンデンサ11の一端の間と、スイッチング素子20のソース端子とVee端124との間に、ショットキーダイオード22を接続した。ショットキーダイオード22は、スイッチング素子20のゲート端子側にカソード端子が、スイッチング素子20のソース端子側にアノード端子が接続される。ショットキーダイオード22を設けることにより、ゲートサージを低減することができる。
【0045】
〔実施例7〕
図14に、本発明の実施例7に係るゲート駆動回路700を示す。
実施例6と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、スイッチング素子1のゲート端子側の抵抗17及びコンデンサ18の一端とダイオード15のカソード端子との間と、スイッチング素子1のソース端子側の抵抗17及びコンデンサ18の他端と、抵抗16の他端との間に、ツェナーダイオード23を接続している。ここでは、ツェナーダイオード23は、電圧維持手段に対応する。ツェナーダイオード23は、ゲート端子側にカソード端子が、ソース端子側にアノード端子が接続される。ツェナーダイオード23を設けることにより、ゲートサージをクランプすることができ、ゲートサージを低減することができる。
【0046】
〔シミュレーション〕
図1に示す実施例1に係るゲート駆動回路100に対応するモデルとして図15に示すゲート駆動回路を作成し、回路シミュレータソフトを用いて、デューティーを変更することにより、負バイアス電圧値を変更できるかを確認した。
回路シミュレータでは、ゲート電圧を12V、駆動周波数を70kHz、デューティーを可変、抵抗13の抵抗値を82Ω、抵抗16の抵抗値を100Ω、コンデンサ11の容量を1nF、コンデンサ14の容量を100nFと設定して、シミュレーションを行った。
図16は、スイッチング素子のゲート・ソース間電圧Vgsのシミュレーション結果の波形を示す。図16(a)がデューティー20%、図16(b)がデューティー40%、図16(c)がデューティー60%、図16(d)がデューティー80%と設定した場合の波形を示す。図16(a)において矢印Aで示す負バイアス電圧値は−1.8V、図16(b)において矢印Bで示す負バイアス電圧値は−2.8V、図16(c)において矢印Cで示す負バイアス電圧値は−3.7V、図16(d)において矢印Dで示す負バイアス電圧値は−4.5Vであった。
このように、モデル回路に関するシミュレーションによっても、デューティーを変更することにより、負バイアス電圧値を変更できることが確認できた。
【0047】
次に、上述の回路シミュレータソフトを用いて、図15に示すモデル回路において、抵抗16の抵抗値を変更することにより、負バイアス電圧値を変更できるかを確認した。
ここでは、デューティーを80%とし、抵抗16の抵抗値を除き、上述と同様に設定した。抵抗16の抵抗値を100Ωと設定した場合と、500Ωに変更した場合とでシミュレーションを行った。抵抗16の抵抗値を100Ωに設定した場合は、図16(d)と同様である。抵抗16の抵抗値を500Ωに設定した場合の、スイッチング素子のゲート・ソース間電圧Vgsのシミュレーション結果の波形を図16に示す。図17において、矢印Eで示した負バイアス電圧値は−7.3Vであった。
このように、モデル回路に関するシミュレーションによっても、抵抗16の抵抗値を変更することにより、負バイアス電圧値を大きく変更できることが確認できた。
【0048】
〔実施例8〕
図18に本実施例8に係る同期整流型昇圧チョッパ回路10を示す。
同期整流型昇圧チョッパ回路10は、スイッチング素子1a,1b、ゲート駆動回路100a,100b、入力電源2、リアクトル3、バイパスコンデンサ4、負荷5等を備える。ゲート駆動回路としては、実施例1に係るゲート駆動装置に限らず、他の実施例に係るゲート駆動回路を用いてもよい。同期整流型昇圧チョッパ回路10機能は公知のものであるため詳細な説明は省略する。
【0049】
図19(a)にハイサイドのスイッチング素子1aのデューティーが小さい場合を示し、図19(b)にハイサイドのスイッチング素子1bのデューティーが大きい場合を示す。図19(a)に示すようにハイサイドのスイッチング素子のデューティーが小さい場合には、電流ILは大きくなる。このときデューティーが小さいので負バイアス電圧Vccも小さくなるので、導通損失を低減することができる。スイッチング素子1aに負バイアス電圧(−Va)を印加した場合に、スイッチング素子1aのオフ動作時の導通損失は以下の式で表される。
【数10】
ここで、Vsd(@Vgs=0)は、Vgsが0の場合のVsdの値を示し、VccはVaの平均値を示す。
上述の導通損失の式からわかるように、電流ILが大きい場合でも、負バイアス電圧VaすなわちVccを小さくすることによって、導通損失を低減できる。図19(b)に示すようにハイサイドのスイッチング素子のデューティーが大きい場合には、スイッチング素子1aの負バイアス電圧値Vccも大きくなるが、この場合には、電流ILは小さくなる
ので、導通損失の低減効果は損なわれない。
また、他のスイッチング素子のスイッチング動作によってノイズが発生する場合にも、負バイアス電圧の平均値であるVccを大きくすることなく、必要なタイミングで負バイアス電圧値を大きくするように設定することで、誤動作を防止しつつ、損失を低減することができる。
【0050】
このように、同期整流型昇圧チョッパ回路10のスイッチング素子1a,1bのゲート駆動回路として、上述の実施例に係るゲート駆動を用いることにより、スイッチング素子1a,1bの誤動作を防止するとともに損失を低減することができる。このため、信頼性が高く、高効率の同期整流型昇圧チョッパ回路10を実現することができる。
ここでは、同期整流型昇圧チョッパ回路を例として説明したが、本発明の実施例に係るゲート駆動回路によって駆動されるスイッチング素子を備えたスイッチング回路はこれに限られず、DC/DCコンバータやインバータにも適用できる。
【0051】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
スイッチング素子(1)を駆動する駆動回路(100,200,300,400,500,600,700)であって、
第1端子(123)と第2端子(124)とを有し、前記スイッチング素子(1)のゲート端子に制御信号を出力する制御部(12)と、
前記制御部(12)の前記第1端子(123)に接続される、前記制御信号を形成する電流を規定する第1抵抗(13)と該第1抵抗(13)に並列に接続された第1コンデンサ(11)と、
第2コンデンサ(14)と、
直列に接続された第2抵抗(16)及びダイオード(15)と、
前記第1抵抗(13)及び第1コンデンサ(11)から前記ゲート端子に至り、前記スイッチング素子(1)のソース端子から前記制御部(12)の前記第2端子(124)に至る電流の経路と、
を備え、
前記第2コンデンサ(14)は、前記ソース端子から前記制御部(12)に至る前記経路に挿入され、
前記第1抵抗(13)及び第1コンデンサ(11)から前記ゲート端子に至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのカソード端子側を接続し、前記ソース端子から前記第2コンデンサに至る経路に、直列に接続された前記第2抵抗及び前記ダイオードにおける前記ダイオードのアノード端子側を接続したことを特徴とするスイッチング素子の駆動回路。
<発明2>
前記第1コンデンサ(11)の容量をC1、前記第2コンデンサ(14)の容量をC2、前記スイッチング素子(1)の入力容量をCiss、前記制御信号の電源電圧をVdd、前記スイッチング素子(1)のターンオン時のゲート・ソース間電圧をVdev、該スイッチング素子に印加される負バイアス電圧をVccとしたとき、
【数11】
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明3>
前記スイッチング素子(1)の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3抵抗(17)を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。<発明4>
前記スイッチング素子(1)は、電流駆動型又は電圧駆動型であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明5>
前記スイッチング素子(1)の前記ゲート端子と前記ソース端子との間に第3コンデンサ(18)を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明6>
前記スイッチング素子(1)及び第2コンデンサ(14)を含む経路に並列にミラークランプ回路(20)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明7>
前記第1コンデンサ(11)に直列かつ前記第1抵抗(13)に並列に前記経路に接続された第4抵抗(21)を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明8>
前記第2抵抗(14)と前記スイッチング素子(1)に対して、前記第1抵抗(13)及び前記第1コンデンサ(11)側の経路にカソード端子が接続され、前記制御部(12)側の経路にアノード端子が接続されるショットキーダイオード(22)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明9>
前記スイッチング素子(1)に並列に、所定電圧に維持する電圧維持手段(23)を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
<発明10>
直列に接続された複数のスイッチング素子(1)と、
前記スイッチング素子を各々駆動する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路(100,200,300,400,500,600,700)と、を備えたことを特徴とするスイッチング回路。
【符号の説明】
【0052】
1 :スイッチング素子
10 :同期整流型昇圧チョッパ回路
11,14,18 :コンデンサ
12 :ドライブ回路
123:Vout端
124:Vee端
13,16,17,21 :抵抗
15 :ダイオード
20 :スイッチング素子
22 :温度検出部
23 :ツェナーダイオード
100,200,300,400,500,600,700: ゲート駆動回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20