(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信制御部は、前記光信号を受信した前記RFタグから前記識別情報を含む信号を受信し、前記識別情報を含む信号を送信した前記RFタグに対して前記通信部を介してデータの読み取りまたは書き込みを行う、請求項1に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下では、本発明を生産ラインに応用した例に基づいて説明を進める。しかし、特許請求の範囲に記載の本発明の構成は、生産ラインの他にも、種々の産業分野に応用可能であることを理解されたい。
【0019】
(参考例)
図8は、本参考例に係る通信システムにおける通信の手順の一例を表すタイミングチャートである。なお、
図8では、光信号による通信を一点鎖線の矢印で示し、光信号を用いない無線通信を実線または破線の矢印で示している。
【0020】
当該通信システムには、生産ライン上の各物品に装着され、生産ラインに沿って移動するRFID(Radio Frequency Identification)タグAおよびBと、当該生産ラインに沿って配置されたR/W(リーダライタ)01および02が含まれる。この通信システムによれば、R/W01および02によりRFIDタグAおよびBに対するデータの書き込みや、RFIDタグAおよびBからのデータの読み取りを行うことにより、各製品を適切に管理することができる。なお、通信システムに含まれるR/WおよびRFIDタグの数は任意である。また、以下の説明では、R/W01とR/W02を区別する必要がないときには単にR/Wと表記する。同様に、RFIDタグAとRFIDタグBを区別する必要がないときには単にRFIDタグと表記する。
【0021】
R/Wは、無線通信によって、RFIDタグに格納されているデータの読み取り・書き込み等を行う。一般に、無線通信には無指向性あるいは指向性の低い通信手段が使用されるため、生産ライン上に複数のRFIDタグが存在する場合、意図しないRFIDタグが無線通信の対象となる可能性がある。このような問題を避けるために、R/Wは、無線通信の対象とするRFIDタグを正確に識別しなければならない。当該参考例において、R/Wは、RFIDタグと無線通信及び光通信を行うことによって、無線通信の対象とするRFIDタグを識別する。
【0022】
R/Wは、RFIDタグと無線通信を行うためのR/W無線通信部と、R/W無線通信部の通信可能範囲より狭い範囲に光信号の送信を行う光信号送信部とを備えている。RFIDタグは、R/Wと無線通信を行うためのタグ無線通信部と、前記光信号を受信する光信号受信部とを備えている。
【0023】
図8に示すように、R/W01は、無線通信を開始するにあたり、まず、無線通信可能範囲内にあるRFIDタグの探査を行う。この探査は、無線通信可能範囲内に、R/W無線通信部を介して応答要求を送信することによって行う。なお、RFIDタグがパッシブ型のタグである場合、R/W01は、電磁誘導によって電力を発生させた上で前記探査を行う。
【0024】
この例では、R/W無線通信部の無線通信可能範囲内にRFIDタグAおよびBの両方が存在しているから、RFIDタグAおよびBの両方が前記応答要求を受信する。そして、RFIDタグAは、R/W01に対して、タグ無線通信部を介して、RFIDタグAの識別情報を含む応答を返信する。同様に、RFIDタグBもRFIDタグBの識別情報を含む応答を返信する。
【0025】
これらの応答を受信したR/W01は、前記識別情報から、無線通信可能範囲内にRFIDタグAとBが存在することを特定する。そして、R/W01は、前記識別情報により特定したRFIDタグの中から無線通信による交信の対象とするRFIDタグを決定するための処理を行う。具体的には、R/W01は、光信号送信部が送信する光信号の送信範囲内に位置するRFIDタグを交信の対象とする。
【0026】
このため、R/W01は、図中に一点鎖線で示す光信号を送信する。この光信号は、RFIDタグAを無線通信可能な状態に遷移させるための信号である。
図8の例では、光信号の送信範囲内にはRFIDタグAが存在し、RFIDタグBは当該範囲外であることを想定している。このため、前記光信号は、RFIDタグAには受信されるが、RFIDタグBには受信されない。よって、前記光信号を受信したRFIDタグAにおける光信号の受信フラグはONになる。
【0027】
続いて、R/W01は、R/W無線通信部を介して、RFIDタグAに対して、光信号の受信フラグがONであるかを問い合わせる信号を送信する。この問い合わせに対し、RFIDタグAは、光信号の受信フラグがONであることを返信する。この後、R/W01は、RFIDタグAと交信し、交信が終了するとRFIDタグAは光信号の受信フラグをOFFに戻す。なお、前記交信においては、無線通信によるRFIDタグAからのデータの読み取りおよび無線通信によるRFIDタグAへのデータの書き込みの少なくとも何れかが行われる。
【0028】
また、R/W01は、タグ探査によって検出されたRFIDタグBについても、上述した処理と同様の処理を行う。具体的には、R/W01は、図中に一点鎖線で示すように、RFIDタグBを無線通信可能な状態に遷移させるための光信号を送信する。この光信号は、RFIDタグAには受信されるが、R/W01の光通信可能範囲外にあるRFIDタグBには受信されない。このため、この光信号によっては、RFIDタグBにおける光信号の受信フラグはONにならず、よって、RFIDタグBは、R/W01によるデータの読み取り・書き込みの対象にならない。
【0029】
しかし、このときRFIDタグBがR/W02の光通信可能範囲内にあった場合、R/W02からの光信号を受信することにより、光信号の受信フラグがONになっていることがある。そうすると、RFIDタグBは、光信号の受信フラグがONであるかを問い合わせるR/W01からの信号に対して、受信フラグがONであることを返信する。その結果、R/W01とRFIDタグBとの間で意図しない交信が行われる可能性がある。
【0030】
(適用例)
図2に基づいて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る通信システム100における通信の手順の一例を表すタイミングチャートである。
図2に示すR/W1aおよび2aと、RFIDタグ2aおよび2bは、通信システム100の構成要素である。なお、以下の説明では、R/W1aと1bを区別する必要がないときには単にR/W1と表記する。同様に、RFIDタグ2aと2bを区別する必要がないときには単にRFIDタグ2と表記する。
【0031】
R/W1は、前記参考例のR/Wと同様に、無線通信を行うことができると共に、光信号を送信することができる。また、RFIDタグ2は、前記参考例のRFIDタグと同様に、無線通信を行うことができると共に、光信号を受信することができる。以下では、RFIDタグ2が、R/W1から電磁誘導により電力の供給を受けて動作するパッシブ型のRFIDタグである例を説明する。なお、RFIDタグ2は、バッテリ等を備えたいわゆるアクティブ型やセミアクティブ型のRFIDタグであってもよい。また、本発明は、RFIDタグ2に限られず、任意のRFタグに適用可能である。以下では、タイミングチャートの説明の前に、通信システムの前記各構成要素の位置関係と通信範囲について
図3に基づいて説明する。
【0032】
図3は、R/W1aおよび2aと、RFIDタグ2aおよび2bの位置関係と通信範囲の例を示す図である。
図3の例において、R/W1aの無線通信可能範囲R1は、R/W1aの周囲全方向に拡がっている。一方、R/W1aの光通信可能範囲r1は、無線通信可能範囲R1の一部であり、より詳細にはR/W1aの正面方向に直線状に延在する範囲である。R/W1bの無線通信可能範囲R2および光通信可能範囲r2も同様である。
【0033】
RFIDタグ2aは、R/W1aの正面方向に位置しており、この位置は無線通信可能範囲R1内であり、かつ光通信可能範囲r1内である。同様に、RFIDタグ2bは、R/W1bの正面方向に位置しており、この位置は無線通信可能範囲R2内であり、かつ光通信可能範囲r2内である。
【0034】
また、
図3の例では、無線通信可能範囲R1と無線通信可能範囲R2は、その一部が互いに重なり合っており、その重なり合う範囲にRFIDタグ2aおよび2bは位置している。このため、RFIDタグ2aの位置は無線通信可能範囲R2内でもある。同様に、RFIDタグ2bの位置は無線通信可能範囲R1内でもある。以下では、R/W1aおよび2aと、RFIDタグ2aおよび2bの位置関係と通信範囲が、以上説明したような状態(
図3に示す状態)であるとして説明を行う。
【0035】
図2の説明に戻る。
図2の例では、R/W1aは、まず、電磁誘導により、無線通信可能範囲R1内にあるRFIDタグ2に電力を発生させる。
図3に示したように、無線通信可能範囲R1内にはRFIDタグ2aおよび2bが存在するので、RFIDタグ2aおよび2bにおいて電力が発生し、RFIDタグ2aおよび2bの両方が動作可能な状態となる。
【0036】
RFIDタグ2に電力を発生させる前記処理の後、R/W1aは、RFIDタグ2を無線通信可能な状態に遷移させるための光信号を光通信可能範囲r1内に送信する。この光信号は、R/W1aの識別情報を含んでいる点で、上述の参考例における光信号と相違している。
図3に示したように、光通信可能範囲r1内にはRFIDタグ2aが存在し、RFIDタグ2bは存在していない。このため、前記光信号は、RFIDタグ2aには受信されるが、RFIDタグ2bには受信されない。このため、前記光信号を受信したRFIDタグ2aのみが光信号の受信フラグをONに切り替える。また、RFIDタグ2aは、前記光信号に含まれていたR/W1aの識別情報を記憶する。
【0037】
続いて、R/W1aは、R/W1aの識別情報を含む返答要求を無線通信可能範囲R1内に送信する。ここで、
図3に示したように、無線通信可能範囲R1内にはRFIDタグ2aおよび2bが存在するので、RFIDタグ2aおよび2bの両方が前記返答要求を受信する。しかし、前記返答要求にはR/W1aの識別情報が含まれているため、光信号に含まれていたR/W1aの識別情報を記憶しているRFIDタグ2aのみがこの返答要求に対して返答を送信する。なお、図示していないが、RFIDタグ2aが送信する前記返答には当該RFIDタグ2aの識別情報が含まれている。
【0038】
前記の返答を受信したR/W1aは、該返答に含まれる識別情報から、交信対象とすべきRFIDタグがRFIDタグ2aであることを特定できるので、RFIDタグ2aと交信する。この交信においては、RFIDタグ2aからのデータの読み取りおよびRFIDタグ2aへのデータの書き込みの少なくとも何れかが行われる。交信が終了するとRFIDタグ2aは光信号の受信フラグをOFFに戻す。
【0039】
一方、R/W1bもR/W1aと同様に、R/W1bの識別情報を含む光信号を光通信可能範囲r2内に送信する。この光信号は、RFIDタグ2bのみに受信され、RFIDタグ2bが光信号の受信フラグをONに切り替える。また、RFIDタグ2bは、前記光信号に含まれていたR/W1bの識別情報を記憶する。
【0040】
続いて、R/W1bは、R/W1bの識別情報を含む返答要求を無線通信可能範囲R2内に送信する。RFIDタグ2aおよび2bの両方がこの返答要求を受信するが、光信号に含まれていたR/W1bの識別情報を記憶しているRFIDタグ2bのみがこの返答要求に対して返答を送信する。これにより、R/W1bは、RFIDタグ2bとの交信を行い、交信が終了するとRFIDタグ2bは光信号の受信フラグをOFFに戻す。
【0041】
以上のように、R/W1aは、無線通信可能範囲R1の一部に対して、光信号の送信元を識別するための識別情報を含む光信号を送信する。そして、R/W1aは、前記光信号を受信したRFIDタグ2aから、前記光信号を受信したことを示す返答を受信し、RFIDタグ2aに対してデータの読み取りまたは書き込みを行う。したがって、R/W1aは、R/W1bからの光信号によってRFIDタグ2bにおける光信号の受信フラグがONとなっていたとしても、RFIDタグ2aと交信を行うことができる。これにより、不所望なデータの読み取りまたは書き込みを防ぐことができる。
【0042】
(構成例)
(R/WおよびRFIDタグの要部構成)
図1は、通信システム100に含まれるR/W1およびRFIDタグ2の要部構成の一例を示すブロック図である。通信システム100は、R/W1とRFIDタグ2との間で無線通信を行うことにより、RFIDタグ2からのデータの読み取りやRFIDタグ2へのデータの書き込みを行うシステムである。なお、通信システム100に含まれるR/W1とRFIDタグ2の個数は何れも任意である。
【0043】
R/W1は、R/W1の各部を総括して制御するR/W制御部11と、R/W1が使用する各種データを記憶するR/W記憶部12とを備えている。また、R/W制御部11には、R/W通信制御部111と情報送信制御部112が含まれている。さらに、R/W1は、RFIDタグ2と無線通信を行うためのR/W通信部13と、RFIDタグ2に光信号を送信する光信号送信部14とを備えている。R/W通信部13を介した通信は典型的には電磁波による通信である。また、光信号は典型的には赤外線信号である。無論、可視光などの他の波長域の光信号を適用することも可能である。
【0044】
R/W通信制御部111は、R/W通信部13を介した通信を制御するものであり、光信号送信部14が送信する光信号を受信したRFIDタグ2に対して、R/W通信部13を介してデータの読み取りまたは書き込みを行う。また、R/W通信制御部111は、R/W通信部13を介して、電磁誘導によってRFIDタグ2が動作するための電力をRFIDタグ2に発生させる。
【0045】
情報送信制御部112は、R/W通信部13の通信範囲の一部に対して、送信元の識別情報を含む光信号を光信号送信部14に送信させる。送信元の識別情報は、具体的には、R/W1の識別子である。なお、前記識別情報は、光信号の送信元を識別できる情報であればよく、R/W1の識別子に限られない。例えば、R/W1の通信アドレス(MAC(Media Access Control)アドレスやIP(Internet Protocol)アドレス等)を前記識別情報として用いることもできる。また、例えば、情報送信制御部112がランダムに生成した文字列を前記識別情報として用いることもできるし、前記光信号の送信時刻を示す情報を前記識別情報として用いることもできる。
【0046】
RFIDタグ2は、RFIDタグ2の各部を総括して制御するタグ制御部21と、RFIDタグ2が使用する各種データを記憶するタグ記憶部22とを備えている。また、タグ制御部21には、識別情報取得部212と、一致判定部213と、タグ通信制御部211とが含まれる。さらに、RFIDタグ2は、R/W1と無線通信を行うためのタグ通信部23と、R/W1からの光信号を受信する光信号受信部24とを備えている。
【0047】
タグ通信制御部211は、タグ通信部23を介した通信を制御する。また、識別情報取得部212は、前記光信号に含まれる識別情報を取得する。この識別情報は、前記光信号を送信した通信装置であるR/W1と前記光信号を送信していない他のR/Wとを識別するための情報である。そして、一致判定部213は、タグ通信部23を介して通信の要求を受信した場合に、前記要求の送信元のR/Wが、前記識別情報で識別されるR/W1と一致するか否かを判定する。
【0048】
(処理の流れ)
図4に基づいて、通信システム100における処理の流れを説明する。
図4は、通信システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本例では、RFID2が、R/W1の無線通信可能範囲内であり、かつ光通信可能範囲内に存在することを想定している。また、本例では、R/W1がRFID2タグに電力を発生させた後の処理を示している。
【0049】
S11において、R/W1の情報送信制御部112は、R/W通信部13の無線通信可能範囲の一部である光通信可能範囲に対して、R/W1の識別情報を含む光信号を、光信号送信部14を介して送信する。なお、識別情報としてランダム文字列を用いる場合、情報送信制御部112は、ランダム文字列を生成し、生成したランダム文字列を含む光信号を送信する。また、識別情報として送信時刻を用いる場合、情報送信制御部112は、現在時刻を特定し、特定した当該時刻を示す情報を含む光信号を送信する。
【0050】
S21において、RFIDタグ2の光信号受信部24は、S21で送信された光信号を受信する。この光信号には、上述のようにR/W1の識別情報が含まれている。識別情報取得部212は、S21で受信した光信号からこの識別情報を取得し、タグ記憶部22に記憶する。
【0051】
S22において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、S21で光信号を受信したことに応じて、光信号の受信フラグをONにする。
【0052】
S12において、R/W1のR/W通信制御部111は、R/W通信部13を介してR/W1の識別情報と返答要求を送信する。この識別情報と返答要求は、R/W通信部13の通信可能範囲内にブロードキャスト送信される。
【0053】
S23において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、S12で送信された返答要求を受信する。この返答要求には、R/W1の識別情報が含まれている。なお、S12では返答要求と識別情報がブロードキャスト送信されるため、R/W通信部13の通信可能範囲内に他のRFIDタグが存在した場合、当該他のRFIDタグにも識別情報と返答要求が受信される。
【0054】
S24において、RFIDタグ2の一致判定部213は、S21で識別情報取得部212が取得した識別情報と、S23で受信した識別情報とが一致するか否かを判定する。一致すると判定された場合(S24でYES)、S25の処理に進む。一方、一致しないと判定された場合(S24でNO)、タグ通信制御部211は処理を終了する。この場合、R/W1とRFIDタグ2との間で交信は行われない。
【0055】
S25において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、タグ通信部23を介してS23で受信した返答要求に対する返答を送信する。なお、タグ通信制御部211は、この返答と共に、RFIDタグ2の識別情報を送信する。
【0056】
S13において、R/W1のR/W通信制御部111は、S12で送信した返答要求に対する返答があったか否かを判定する。返答要求の送信後、所定期間以内に返答の受信が確認された場合(S13でYES)、S15の処理に進む。一方、所定期間以内に返答の受信が確認されなかった場合(S13でNO)、S14の処理に進む。
【0057】
S14において、R/W通信制御部111は、交信すべきRFIDタグ2が存在しないと判定し、処理を終了する。この場合、R/W1とRFIDタグ2との間で交信は行われない。
【0058】
S15、S26では、R/W1のR/W通信制御部111とRFIDタグ2のタグ通信制御部211との間で交信が行われる。交信終了により、R/W1が行う処理は終了となる。
【0059】
S27では、S26の交信を終了したタグ通信制御部211が光信号の受信フラグをOFFにする。これにより、RFIDタグ2が行う処理も終了となる。
【0060】
以上のように、R/W1の情報送信制御部112は、R/W通信部13の通信可能範囲(通信範囲)の一部に対して識別情報を含む光信号を光信号送信部14に送信させる(S11)。そして、R/W1のR/W通信制御部111は、RFIDタグ2から前記光信号を受信したことを示す信号(S25で送信される返答)を受信し、RFIDタグ2に対してR/W通信部13を介してデータの読み取りまたは書き込みを行う(S15)。
【0061】
また、RFIDタグ2の識別情報取得部212は、前記光信号に含まれる識別情報を取得する(S21)。そして、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、タグ通信部23を介した通信の要求(S23の返答要求)を受信した場合に、前記要求の送信元の装置が前記識別情報で識別される装置(R/W1)と一致すれば、前記要求に従って通信する(S26)。
【0062】
したがって、R/W1とRFIDタグ2を含む通信システム100によれば、R/W1は、自機が送信した光信号を送信したRFIDタグ2に対してデータの書き込みや読み取りを行うことができる。よって、R/W1からの光信号を受信していないRFタグへの意図しないデータの書き込みや読み取りが行われることを防ぐことができる。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、前記実施形態と同様に、RFIDタグ2aおよび2bがR/W1aおよび1bの光通信可能範囲に入った状態(ただしR/W1aの光通信可能範囲r1とR/W1bの光通信可能範囲r2には重なる部分がない状態。
図3参照。)を想定して説明を行う。実施形態3以降も同様である。
【0064】
(R/WおよびRFIDタグの要部構成)
図5に基づいて、本実施形態の通信システム100に含まれるR/W1とRFIDタグ2の構成を説明する。
図5は、実施形態2に係る通信システム100に含まれるR/W1およびRFIDタグ2の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0065】
本実施形態のR/W1は、R/W制御部11に対象決定部113が含まれている点で実施形態1のR/W1と相違している。また、本実施形態のRFIDタグ2は、タグ制御部21に一致判定部213が含まれていない点で実施形態1のRFIDタグ2と相違している。
【0066】
対象決定部113は、交信対象とするRFIDタグを決定する。つまり、実施形態1の通信システム100では、R/W1からの光信号を受信したRFIDタグ2のみがR/W1に返答を返すことにより意図しない書き込み・読み取りを防いでいたが、本実施形態の通信システム100では、R/W1が交信対象を決定する制御を行うことにより意図しない書き込み・読み取りを防ぐ。
【0067】
(処理の流れ)
図6に基づいて、本実施形態の通信システム100における処理の流れを説明する。
図6は、実施形態2に係る通信システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
S31、S41、およびS42の処理は、
図4のS11、S21、およびS22と同様である。これらの処理により、S31で送信されたR/W1の識別情報がタグ記憶部22に記憶されると共に、RFIDタグ2の光信号の受信フラグがONになる。
【0069】
S32において、R/W1のR/W通信制御部111は、R/W通信部13を介して返答要求を送信する。この返答要求は、R/W通信部13の通信可能範囲内の全てのRFIDタグ2に受信される。S32の処理は、R/W1の識別情報を送信しない点で
図4のS12と異なっている。
【0070】
S43において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、S32で送信された返答要求を受信する。また、R/W通信部13の通信可能範囲内に他のRFIDタグが存在していれば、他のRFIDタグもS32で送信された返答要求を受信する。
【0071】
S44において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、タグ通信部23を介してS43で受信した返答要求に対する返答を送信する。また、R/W通信部13の通信可能範囲内に他のRFIDタグが存在していれば、他のRFIDタグも返答を送信する。
【0072】
S45において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、タグ通信部23を介してRFIDタグ2の識別情報と、S41で受信したR/W1の識別情報を送信する。また、R/W通信部13の通信可能範囲内に他のRFIDタグが存在していれば、他のRFIDタグも当該RFIDタグの識別情報を送信する。ただし、他のRFIDタグは、S41でR/W1の識別情報を受信していないため、R/W1の識別情報は送信できない。なお、RFIDタグ2の識別情報と、S41で受信したR/W1の識別情報は、S44の返答と共に送信してもよい。
【0073】
S33において、R/W1のR/W通信制御部111は、S32で送信した返答要求に対する返答があったか否かを判定する。返答要求の送信後、所定期間以内に返答の受信が確認された場合(S33でYES)、S35の処理に進む。一方、所定期間以内に返答の受信が確認されなかった場合(S33でNO)、S34の処理に進む。S34の処理は
図4のS14と同様である。
【0074】
S35において、R/W1のR/W通信制御部111は、S45で送信されたRFIDタグ2の識別情報とR/W1の識別情報を受信する。上述のように、R/W通信部13の通信可能範囲内に他のRFIDタグが存在していれば、当該他のRFIDタグも返答要求を受信するので、S35においては、S31で送信した光信号を受信していないRFIDタグの識別情報についても受信する可能性がある。
【0075】
S36において、R/W1の対象決定部113は、交信対象とするRFIDタグを決定する。具体的には、対象決定部113は、S35で受信したR/W1の識別情報が、正しい識別情報(S31で送信した識別情報)と一致すれば、RFIDタグ2を交信対象と決定する。言い換えれば、対象決定部113は、R/W1の識別情報を用いて通信相手とするRFIDタグをフィルタリングする。これにより、S35において、S31で送信した光信号を受信していないRFIDタグの識別情報を受信していた場合であっても、そのようなRFIDタグが交信対象とされることはない。この後行われるS37、S46、およびS47の処理は、
図4のS15、S26、およびS27と同様である。
【0076】
以上のように、R/W1の情報送信制御部112は、R/W通信部13の通信可能範囲(通信範囲)の一部に対して識別情報を含む光信号を光信号送信部14に送信させる(S31)。そして、R/W1のR/W通信制御部111は、RFIDタグ2から前記光信号を受信したことを示す信号(S44で送信される返答)を受信する。
【0077】
ここで、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、タグ通信部23を介してRFIDタグ2の識別情報と、S41で受信したR/W1の識別情報を送信する(S45)。そして、R/W1のR/W通信制御部111は、S45で送信された、識別情報を含む信号を受信し、前記識別情報を含む信号を送信したRFIDタグ2に対してR/W通信部13を介してデータの読み取りまたは書き込みを行う(S46)。
【0078】
したがって、本実施形態に係る通信システム100によれば、R/W1は、自機が送信した光信号を送信したRFIDタグ2に対してデータの書き込みや読み取りを行うことができる。そして、R/W1からの光信号を受信していないRFタグへの意図しないデータの書き込みや読み取りが行われることを防ぐことができる。
【0079】
〔実施形態3〕
本実施形態では、実施形態1の通信システム100と比べて通信におけるセキュリティを向上させた例を説明する。本実施形態の通信システム100に含まれるR/W1とRFIDタグ2の構成は
図1の例と同様である。
【0080】
(処理の流れ)
図7に基づいて、本実施形態の通信システム100における処理の流れを説明する。
図7は、実施形態3に係る通信システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0081】
S51において、R/W1の情報送信制御部112は、R/W通信部13の無線通信可能範囲の一部である光通信可能範囲に対して、R/W1の識別情報と復号情報を含む光信号を、光信号送信部14を介して送信する。前記復号情報とは、暗号化通信に用いる情報であり、無線通信においてR/W1が送信する暗号化された情報を復号するためのものである。
【0082】
S61において、RFIDタグ2の光信号受信部24は、S51で送信された光信号を受信する。この光信号には、上述のようにR/W1の識別情報と復号情報が含まれている。識別情報取得部212は、前記光信号からこの識別情報を取得し、タグ記憶部22に記憶する。また、タグ通信制御部211は、前記光信号から復号情報を取得し、タグ記憶部22に記憶する。S62の処理は
図4のS22の処理と同様である。
【0083】
S52において、R/W1のR/W通信制御部111は、R/W1の識別情報と返答要求を暗号化した上でR/W通信部13を介して送信する。この返答要求は、R/W通信部13の通信可能範囲内の全てのRFIDタグ2に受信される。
【0084】
S63において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、S52で送信された返答要求とR/W1の識別情報を受信する。上述のように、これらの情報は暗号化されている。
【0085】
S64において、RFIDタグ2のタグ通信制御部211は、S63で受信した返答要求とR/W1の識別情報を、S61で受信した復号情報を用いて復号する。この後行われるS65、S66、S53、およびS54の処理は、
図4のS24、S25、S13、およびS14の各処理と同様である。
【0086】
S55、S67では、R/W1のR/W通信制御部111とRFIDタグ2のタグ通信制御部211との間で交信が行われる。この交信は暗号化通信により行われる。交信終了により、R/W1が行う処理は終了となる。また、S68では、S67の交信を終了したタグ通信制御部211が光信号の受信フラグをOFFし、RFIDタグ2が行う処理も終了となる。
【0087】
以上のように、本実施形態のR/W1は、光信号によりRFIDタグ2に復号情報を送信し、R/W通信部13を介して送信する各種情報には前記復号情報で復号できる暗号化処理を施す。これにより、復号情報を受信したRFIDタグ2とのR/W通信部13を介した暗号化通信が可能になる。そして、R/W通信部13の通信可能範囲内に存在する意図しない機器に、R/W通信部13を介した通信の内容が傍受されたとしても、その内容が知得されることを防ぐことができる。
【0088】
〔変形例〕
RFIDタグ2の識別情報取得部212は、R/W1から受信した光信号に含まれる識別情報を取得し、記録するが、記録した識別情報は、R/W1との交信終了後に削除してもよい。例えば、識別情報取得部212は、R/W1との交信終了後に、他のR/Wから光信号を受信し、その光信号に含まれる識別情報を取得したときに、先に記録した識別情報を上書きする形で新たに取得した識別情報を記録してもよい。また、識別情報取得部212は、新たに識別情報を取得した場合に、過去に受信した識別情報を上書きせずに記憶させておいてもよい。この場合、RFIDタグ2のユーザは、記憶されている各識別情報をR/W1等の装置により読み取って、RFIDタグ2がどのような機器から光信号を受信したか(受信履歴)を確認することができる。
【0089】
前記受信履歴は、例えばRFIDタグ2の読み飛ばしが発生しているか否かの確認に使用することができる。例えば、製造中の製品にRFIDタグ2を取り付け、該製品の生産ラインに沿って3台のR/W1(R/W1a〜1c)を配置したとする。この場合、R/W1bは、RFIDタグ2と交信する際に、前記受信履歴を読み出し、それまでに交信しているべきR/W1aの識別情報が記憶されているか確認してもよい。そして、R/W1aの識別情報が記憶されていない場合、R/W1bは、読み飛ばしが発生している旨の警告を行ってもよい。R/W1cも同様であり、RFIDタグ2から読み出した受信履歴にR/W1aおよび1bの識別情報の両方が含まれているか否かを判定し、一方でも含まれていなければ警告を行ってもよい。
【0090】
〔ソフトウェアによる実現例〕
R/W1およびRFIDタグ2の制御ブロック(特にR/W制御部11およびタグ制御部21に含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0091】
後者の場合、R/W1およびRFIDタグ2は、前記各実施形態で説明した各処理を実行するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0092】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。