特許第6981418号(P6981418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000002
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000003
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000004
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000005
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000006
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000007
  • 特許6981418-燃料電池システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981418
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20211202BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20211202BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20211202BHJP
   H01M 8/04029 20160101ALI20211202BHJP
   C01B 3/32 20060101ALI20211202BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20211202BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/04 N
   H01M8/0612
   H01M8/04014
   H01M8/04029
   C01B3/32
   !H01M8/12 101
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-539458(P2018-539458)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2016077298
(87)【国際公開番号】WO2018051468
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年2月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正光
【審査官】 西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0064259(US,A1)
【文献】 特開2009−277621(JP,A)
【文献】 特開2003−187835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 − 8/0668
C01B 3/32
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
前記燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、
前記酸化剤ガスを加圧して供給する酸化剤ガス供給源と、
前記燃料タンク及び前記酸化剤ガス供給源に接続され、前記燃料電池に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、
前記燃料タンクと前記捕集器とに接続され、前記気化燃料を前記捕集器に導く導入路と、
前記捕集器に捕集された前記気化燃料を前記給排機構に排出する排出路と、
前記捕集器に接続され、前記捕集器が捕集した前記気化燃料を前記排出路に押し出すパージ用ガスを前記捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備え、
前記給排機構は、
前記燃料タンクに接続され前記燃料電池のアノードに前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給系と、
前記酸化剤ガス供給源に接続され前記燃料電池のカソードに前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給系と、
前記燃料電池から排出された燃料オフガス及び酸化剤オフガスを排気するシステム排気系と、を含み、
前記パージ用ガス供給部は、前記酸化剤ガス供給源を兼ねており、
前記供給路は、前記酸化剤ガス供給系に接続され、
前記排出路は前記システム排気系に接続され、
前記燃料タンクと前記捕集器が前記導入路により前記燃料ガス供給系を介することなく直接接続され、
前記導入路と前記燃料ガス供給系は前記燃料タンクに対して並列に接続され、
前記燃料タンク内の前記気化燃料は前記導入路を介して前記捕集器に供給される
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記捕集器には、前記酸化剤ガスが前記パージ用ガスとして供給される燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記捕集器をバイパスするように前記供給路及び前記排出路に接続された第1バイパスラインを備える燃料電池システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、
前記第1バイパスラインは、前記捕集器よりも前記パージ用ガスの流通量が多くなるように構成される燃料電池システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の燃料電池システムにおいて、
前記捕集器の前記パージ用ガスの導入側及び前記気化燃料の排出側の少なくとも一方には、前記捕集器に供給される前記パージ用ガスの流量を制御するバルブが設けられている燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記捕集器をバイパスするように前記供給路及び前記排出路に接続された第2バイパスラインと、
前記第2バイパスラインと前記捕集器との間で前記パージ用ガスの流通経路を切り替える切替弁と、を備え、
前記捕集器と前記第2バイパスラインの前記パージ用ガスの流通量が略同一である燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記システム排気系は、前記燃料電池よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器を備え、
前記排出路は、前記排気燃焼器に前記気化燃料を供給するように構成されている燃料電池システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記酸化剤ガス供給系は、前記酸化剤ガス供給源と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記酸化剤ガスに燃焼用燃料を混合して着火することにより燃焼ガスを生成して前記燃料電池に供給する起動燃焼器を備え、
前記排出路は、前記起動燃焼器に前記気化燃料を排出するように構成されている燃料電池システム。
【請求項9】
燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
前記燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、
前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給源と、
前記燃料タンク及び前記酸化剤ガス供給源に接続され、前記燃料電池に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、
前記燃料タンクと前記捕集器とに接続され、前記気化燃料を前記捕集器に導く導入路と、
前記捕集器に捕集された前記気化燃料を前記給排機構に排出する排出路と、
前記捕集器に接続され、前記捕集器が捕集した前記気化燃料を前記排出路に押し出すパージ用ガスを前記捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備え、
前記給排機構は、前記酸化剤ガス供給源と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記燃料電池から排出された排ガスにより前記酸化剤ガスを加熱する熱交換器と、
前記熱交換器と前記燃料電池の間となる位置に配置され前記酸化剤ガスに燃焼用燃料を混合して燃焼ガスを生成して前記燃料電池に供給する触媒燃焼器と、を備え、
前記排出路は、前記熱交換器に前記気化燃料を排出するように構成されている燃料電池システム。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料ガス供給系は、前記燃料タンクと前記燃料電池との間となる位置に配置され、前記液体燃料を前記燃料ガスに改質する改質器を備え、
前記排出路は、前記改質器に前記気化燃料を排出するように構成されている燃料電池システム。
【請求項11】
燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
前記燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、
前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給源と、
前記燃料タンク及び前記酸化剤ガス供給源に接続され、前記燃料電池に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、
前記燃料タンクと前記捕集器とに接続され、前記気化燃料を前記捕集器に導く導入路と、
前記捕集器に捕集された前記気化燃料を前記給排機構に排出する排出路と、
前記捕集器に接続され、前記捕集器が捕集した前記気化燃料を前記排出路に押し出すパージ用ガスを前記捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備え、
前記給排機構は、前記燃料タンクと前記燃料電池との間となる位置に配置され、前記液体燃料を前記燃料ガスに改質する改質器と、前記燃料電池よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器と、前記燃料タンクと前記改質器の間となる位置に配置され前記排気燃焼器による排ガス燃焼時の熱により前記液体燃料を加熱する熱交換器と、を備え、
前記排出路は、前記改質器に前記気化燃料を排出するように構成され、前記熱交換器より上流に前記気化燃料を供給する燃料電池システム。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記システム排気系は、前記燃料電池よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器を備え、
前記燃料ガス供給系は、前記燃料タンクと前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記液体燃料を前記燃料ガスに改質する改質器を備え、
前記酸化剤ガス供給系は、前記酸化剤ガス供給源と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記燃料電池から排出された排ガスにより前記酸化剤ガスを加熱する熱交換器と、
前記熱交換器と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記熱交換器で加熱された前記酸化剤ガスに燃焼用燃料を混合して燃焼ガスを生成し、前記燃焼ガスを前記燃料電池に供給する起動燃焼器と、を備え、
前記排出路は、前記改質器、前記熱交換器、前記起動燃焼器、及び前記排気燃焼器のうちの少なくとも2つに前記気化燃料を排出するように構成されている燃料電池システム。
【請求項13】
燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
前記燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、
前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給源と、
前記燃料タンク及び前記酸化剤ガス供給源に接続され、前記燃料電池に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、
前記燃料タンクと前記捕集器とに接続され、前記気化燃料を前記捕集器に導く導入路と、
前記捕集器に捕集された前記気化燃料を前記給排機構に排出する排出路と、
前記捕集器に接続され、前記捕集器が捕集した前記気化燃料を前記排出路に押し出すパージ用ガスを前記捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備え、
前記給排機構は、前記燃料電池よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器を備え、
前記燃料電池及び前記排気燃焼器は、断熱ケースに収容され、
前記捕集器は、前記断熱ケースの外部に配置され、
前記排出路は、前記断熱ケースを貫通している燃料電池システム。
【請求項14】
燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
前記燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、
前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給源と、
前記燃料タンク及び前記酸化剤ガス供給源に接続され、前記燃料電池に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、
前記燃料タンクと前記捕集器とに接続され、前記気化燃料を前記捕集器に導く導入路と、
前記捕集器に捕集された前記気化燃料を前記給排機構に排出する排出路と、
前記捕集器に接続され、前記捕集器が捕集した前記気化燃料を前記排出路に押し出すパージ用ガスを前記捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備え、
前記給排機構は、前記燃料電池よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器と、
前記燃料タンクと前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記液体燃料を加熱するとともに前記燃料ガスに改質する燃料改質系と、
前記酸化剤ガス供給源と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記酸化剤ガスを加熱する熱交換器と、
前記熱交換器と前記燃料電池の間となる位置に配置され、前記熱交換器で加熱された前記酸化剤ガスに燃焼用燃料を混合して燃焼ガスを生成し、前記燃焼ガスを前記燃料電池に供給する起動燃焼系と、を備え、
前記燃料電池、前記燃料改質系、前記熱交換器、前記起動燃焼系、及び前記排気燃焼器は断熱ケースに収容され、
前記捕集器は、前記断熱ケースの外部に配置され、
前記排出路は、前記断熱ケースを貫通している燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物型燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)は、高効率、長時間の安定性等の観点から車両に搭載すべき燃料電池として期待されている。特に、燃料電池の燃料としては液体燃料を用いることができ、燃料ガスをタンクに貯蔵する場合よりも安全に管理することができる。液体燃料は揮発性を有するため、液体燃料を貯蔵した燃料タンク内においてその一部が気化する場合があるが、この気化成分を大気に放出することは大気汚染の観点から好ましくはない。
【0003】
このような問題を解決するため、特開2000−192863号公報は、燃料タンク内で気化した気化燃料をキャニスタに吸着させ、キャニスタをポンプで吸引してパージ用ガスをキャニスタに導入し、吸着させた燃料を離脱させてパージ用ガス(パージガス)とともに改質器に供給し、改質器において燃焼用燃料とともに改質させる技術を開示している。
【発明の概要】
【0004】
しかし、上記技術においては、ポンプが燃料に直接接触することになり、ポンプが気化燃料との接触で劣化する場合がある。
【0005】
本発明は、キャニスタに吸着した気化燃料を離脱させるパージ用ガスの供給手段の劣化を抑制可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様における燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、燃料ガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンクと、酸化剤ガスを加圧して供給する酸化剤ガス供給源と、燃料タンク及び酸化剤ガス供給源に接続され、燃料電池に対して燃料ガス及び酸化剤ガスを給排する給排機構と、を備える燃料電池システムである。この燃料電池システムは、燃料タンク内で気化した気化燃料を捕集する捕集器と、燃料タンクと捕集器とに接続され、気化燃料を捕集器に導く導入路と、捕集器に捕集された気化燃料を給排機構に排出する排出路と、捕集器に接続され、捕集器が捕集した気化燃料を排出路に押し出すパージ用ガスを捕集器に供給する供給路及びパージ用ガス供給部と、を備える。給排機構は、燃料タンクに接続され燃料電池のアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給系と、酸化剤ガス供給源に接続され燃料電池のカソードに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給系と、燃料電池から排出された燃料オフガス及び酸化剤オフガスを排気するシステム排気系と、を含む。パージ用ガス供給部は、酸化剤ガス供給源を兼ねている。供給路は酸化剤ガス供給系に接続され、排出路はシステム排気系に接続される。燃料タンクと捕集器が導入路により燃料ガス供給系を介することなく直接接続される。導入路と燃料ガス供給系は燃料タンクに対して並列に接続され、燃料タンク内の気化燃料は導入路を介して捕集器に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の燃料電池システムの起動制御の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態の燃料電池システムの停止制御の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。
図5図5は、第3実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。
図6図6は、第4実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。
図7図7は、第5実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
[燃料電池システムの構成]
図1は、第1実施形態における燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池スタック1にアノードガス(燃料ガス)を供給するアノードガス供給系2(給排機構)と、燃料電池スタック1にカソードガス(酸化剤ガス)を供給するカソードガス供給系3(給排機構)と、燃料電池スタック1から排出された燃料オフガス及び酸化オフガスを排気するシステム排気系(給排機構)と、燃料電池スタック1から電力を取り出して動力を得るシステム駆動系5から構成される。
【0010】
アノードガス供給系2は、燃料タンク20に接続され、フィルタ21、ポンプ22、蒸発器24、熱交換器25、改質器26等からなりこれらを直列に接続する経路23(経路23A)が燃料電池スタック1に接続されている。アノードガス供給系のうち、蒸発器24、熱交換器25、改質器26は、燃料改質系を構成する。カソードガス供給系3は、コンプレッサー31(酸化剤ガス供給源)に接続され、熱交換器33、起動燃焼器34、触媒燃焼器35等からなり、これらを直列に接続する経路32(経路32A)が燃料電池スタック1に接続されている。カソードガス供給系3のうち、起動燃焼器34、触媒燃焼器35は、起動燃焼系を構成する。システム排気系は、排気燃焼器4等からなる。システム駆動系5は、DC−DCコンバータ50、バッテリ51、駆動モータ52等からなる。また、燃料電池システム100は、燃料タンク20に接続された後述の捕集機構7、システム全体の動作を制御する制御部9を備えている。
【0011】
上記構成要素のうち、燃料電池スタック1、給排機構(蒸発器24、熱交換器25、改質器26、熱交換器33、起動燃焼器34、触媒燃焼器35、排気燃焼器4)は、断熱ケース8に収容され、外部への熱の放出を低減して、通常発電時におけるそれぞれの温度低下を抑制している。
【0012】
燃料電池スタック1は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であり、セラミック等の固体酸化物で形成された電解質層を、改質器26により改質されたアノードガスが供給されるアノード電極(燃料極)と、カソードガスとして酸素を含む空気が供給されるカソード電極(空気極)により挟み込んで得られるセルを積層したものである。
【0013】
ここで、アノードとは、燃料電池スタック1を構成するアノード電極のみならず、アノード電極にアノードガスを供給する燃料電池スタック1内の通路、及びアノード電極で反応後のアノードオフガスを排出させる燃料電池スタック1内の通路も含むものとする。同様に、カソードとは、燃料電池スタック1を構成するカソード電極のみならず、カソード電極にカソードガスを供給する燃料電池スタック1内の通路、及びカソード電極で反応後のカソードオフガスを排出させる燃料電池スタック1内の通路も含むものとする。
【0014】
燃料電池スタック1では、アノードガス中に含まれる水素とカソードガス中の酸素とを反応させて発電を行うとともに、反応後に生成されるアノードオフガスとカソードオフガスを排出する。また、燃料電池スタック1には、燃料電池スタック1内の温度を測定する温度センサ10が取り付けられている。
【0015】
燃料電池スタック1(マニホールド)には、燃料電池スタック1のアノードにアノードガスを供給する経路23A、燃料電池スタック1の起動制御時に燃焼ガスを燃料電池スタック1のカソードに供給し発電制御時にカソードガスを燃料電池スタック1のカソードに供給する経路32A、燃料電池スタック1のアノードから排出されたアノードオフガス(燃料オフガス)を排気燃焼器4に導入する排気経路27、燃料電池スタック1のカソードから排出されたカソードオフガス(酸化オフガス)を排気燃焼器4に導入する排気経路36が接続されている。
【0016】
燃料タンク20は、例えばエタノールと水を混合させた液体からなる改質用燃料を蓄えるものであり、ポンプ22は、改質用燃料を吸引して所定の圧力で燃料供給系に改質用燃料を供給するものである。フィルタ21は、燃料タンク20とポンプ22の間に配置され、ポンプ22に吸引される改質用燃料内のごみを除去するものである。なお、燃料タンク20内では、改質用燃料が気化して気化燃料が蓄積される。よって、燃料タンク20の上部には、気化燃料を導入するベーパライン71が設けられ、このベーパライン71が後述の捕集器73に接続されている。
【0017】
燃料タンク20から改質用燃料を供給する経路23は、蒸発器24に改質用燃料を供給する経路23A、起動燃焼器34に燃焼用燃料(改質用燃料)を供給する経路23B、触媒燃焼器35に燃焼用燃料を供給する経路23C、排気燃焼器4に燃焼用燃料を供給する経路23Dに分岐する。経路23Aの蒸発器24よりも改質用燃料の上流側となる位置には、経路23Aの流路を開放・閉止可能な開閉弁61Aが取り付けられ、その後段に改質用燃料を蒸発器24に噴射するインジェクタ60Aが取り付けられている。
【0018】
同様に、経路23Bには、開閉弁61Bが取り付けられ、その後段には起動燃焼器34に燃焼用燃料を噴射するインジェクタ60Bが取り付けられている。経路23Cには、開閉弁61Cが取り付けられ、その後段には触媒燃焼器35に燃焼用燃料を噴射するインジェクタ60Cが取り付けられている。経路23Dには、開閉弁61Dが取り付けられ、その後段には排気燃焼器4に燃焼用燃料を噴射するインジェクタ60Dが取り付けられている。
【0019】
開閉弁61Bは、燃料電池システム100の起動制御時に経路23Bを開放して燃焼用燃料を流通させ、起動制御終了後に経路23Bを閉止する。同様に、開閉弁61Cは、燃料電池システム100の起動制御時に経路23Cを開放して燃焼用燃料を流通させ、起動制御終了後に経路23Cを閉止する。また、開閉弁61Aは、起動制御時は経路23Aを閉止しているが、起動制御終了後に経路23Aを開放して改質用燃料を流通させる。開閉弁61Dは、燃料電池システム100の起動制御時に経路23Dを所定の開度で開放して燃焼用燃料を流通させるが、排気燃焼器4が触媒燃焼可能な所定温度に到達すると経路23Dを閉止する。
【0020】
蒸発器24は、排気燃焼器4から排気される排気ガスの熱を利用して改質用燃料を気化させるものである。熱交換器25は、排気燃焼器4から熱が供給され、気化した改質用燃料を改質器26において改質するためにさらに加熱するものである。
【0021】
改質器26(燃料改質機構)は、触媒反応により改質用燃料を、水素を包含するアノードガスに改質して燃料電池スタック1のアノードに供給するものである。
【0022】
コンプレッサー31は、フィルタ30を通じて外気を取り入れて空気を燃料電池スタック1に供給するものである。コンプレッサー31が排出された空気を供給する経路32には、リリーフバルブ64が取り付けられ、経路32内の圧力が所定値を超えると経路32を開放し、コンプレッサー31に対する所定以上の負荷を回避している。また、経路32は、空気(カソードガス)を熱交換器33に供給する経路32A、空気を起動燃焼器34に供給する経路32B、空気を熱交換器25(改質器26)に供給する経路32C、空気を排気燃焼器4に供給する経路32Dに分岐する。
【0023】
経路32Aには、スロットル62Aが取り付けられ、経路32Bには、スロットル62Bが取り付けられ、経路32Cには、スロットル62Cが取り付けられ、経路32Dには、スロットル62Dが取り付けられ、それぞれ制御部9の制御により空気(カソードガス)の流量が調整できるようになっている。さらに各経路の各スロットルよりも空気の下流となる位置には、火炎をせき止める逆火防止装置63が取り付けられている。
【0024】
スロットル62Aは、燃料電池スタック1の起動制御時に経路32Aを開放して所定量の空気を流通させるが、起動制御終了後は経路32Aを閉止する。同様に、スロットル62Bは、燃料電池スタック1の起動制御時に経路32Bを開放して所定量の空気を流通させるが、起動制御終了後は経路32Bを閉止する。スロットル62Cは、燃料電池スタック1の起動制御時は開放せず、燃料電池スタック1の発電制御時に、必要に応じて経路32Cを開放して所定量の空気(改質調整用の酸素)を流通させる。スロットル62Dは、燃料電池スタック1の起動制御時に経路32Dを開放して所定量の空気を流通させるが、排気燃焼器4が触媒燃焼可能な温度に到達したときに経路32Dを閉止する。
【0025】
熱交換器33は、排気燃焼器から排出された排気ガスの熱を利用して、燃焼ガス用の空気またはカソードガス用の空気を加熱するものである。
【0026】
起動燃焼器34は、燃料電池システム100の起動制御時において、熱交換器33により加熱された空気と、インジェクタ60Bから供給された燃焼用燃料と、が供給され両者を混合する。そして、起動燃焼器34に付属する着火装置により空気と燃焼用燃料の混合物が着火して高温の燃焼ガスを生成する。また起動燃焼器34には、経路32Bから空気が導入され、燃焼ガスと空気との混合ガスを触媒燃焼器35に供給する。
【0027】
触媒燃焼器35は、燃料電池システム100の起動制御時において、起動燃焼器34から供給された燃焼ガスと空気との混合ガスとインジェクタ60Cから供給された燃焼用燃料とを混合し触媒反応を利用して大量の燃焼ガスを生成して燃料電池スタック1に供給するものである。ここで、触媒燃焼器35は、起動燃焼器34から供給された当該混合ガスにより触媒が加熱されるものであるが、ヒータにより触媒を加熱するようにしてもよい。
【0028】
なお、起動制御終了後は、燃焼ガスの生成は終了し、熱交換器33、起動燃焼器34、触媒燃焼器35を通過した空気がカソードガスとして引き続き用いられ燃料電池スタック1に供給されて発電制御に移行する。
【0029】
排気燃焼器4は、発電制御時において、排気経路27から供給されたアノードオフガスと排気経路36から供給されたカソードオフガスを混合してその混合ガスを触媒燃焼させ、二酸化炭素や水を主成分とする排気ガスを生成するとともに、触媒燃焼による熱を熱交換器25等に伝達するものである。また、排気燃焼器4は、起動制御時においてインジェクタ60Dから供給された燃焼用燃料と、経路32Dから供給された空気とを混合し、これを付属の着火装置を用いて燃焼し、前述同様の排気ガスを生成する。さらに、排気燃焼器4は、燃焼後の排気ガスを排気する排出経路41に接続され、排出経路41が蒸発器24、熱交換器33を通過し、マフラー(不図示)に接続している。よって、蒸発器24、熱交換器33は排気ガスにより加熱される。なお、排気燃焼器4には、排気燃焼器4の温度を測定する温度センサ40が取り付けられている。
【0030】
捕集機構7は、燃料タンク20に接続されたベーパライン71(導入路)と、ベーパライン71から供給された気化燃料を捕集する捕集器73と、パージ用ガス(空気)を捕集器73に供給するための供給路72と、捕集器73からパージガスを排出する排出路74により構成されている。図1においては、供給路72及び排出路74は経路32Dに組み込まれている。そして、捕集機構7のパージ用ガス供給部はコンプレッサー31を兼ねている。
【0031】
ベーパライン71には、逆流防止用バルブ710が取り付けられている。逆流防止用バルブ710は、圧力差により開閉する弁であり、燃料タンク20側の圧力が高い場合は、ベーパライン71を開放し、逆に捕集器73側の圧力が高い場合はベーパライン71を閉止する。よって、燃料タンク20から捕集器73に向かう気化燃料の流通を許容するが、その逆方向のパージ用ガス(パージガス)等の流通を禁止する。
【0032】
供給路72には、開閉弁720が取り付けられている。開閉弁720は、スロットル62DをONにする際に供給路72を開放し、燃料電池スタック1の停止制御において、コンプレッサー31をOFFにしたのち供給路72を閉止する。
【0033】
捕集器73は、ベーパライン71から供給された気化燃料を捕集するものである。捕集器73は、前室731と後室732に仕切られ、前室731と後室732が連絡通路733により連通している。前室731には供給路72が接続する導入口736が設けられ、後室732には排出路74が接続する排出口737が設けられている。また後室732には、ベーパライン71が接続する接続口738が設けられている。
【0034】
前室731には、活性炭等で形成されたキャニスタ734が充填され、同様に、後室732にはキャニスタ735が充填されている。キャニスタ734,735は、ベーパライン71から供給された気化燃料を吸着させるが、パージ用ガスが導入されることにより、吸着させた吸着燃料を離脱させる。
【0035】
気化燃料を吸着し始めた段階では、後室732のキャニスタ735において吸着した気化燃料はキャニスタ735内の接続口738付近に分布する。そして、気化燃料の吸着量の増加により、キャニスタ735内における気化燃料の分布は、連絡通路733側に拡大していき、連絡通路733に到達した気化燃料は連絡通路733を通過し、前室731のキャニスタ734に到達して吸着される。キャニスタ734に吸着した気化燃料は、はじめキャニスタ734内の連絡通路付近に分布するが、吸着量の増加によりキャニスタ734内の導入口736側に分布が拡大していく。
【0036】
一方、導入口736からパージ用ガスを導入すると、パージ用ガスが前室731に入り込んでキャニスタ734内を通過して連絡通路733に到達する。そして、後室732に入り込んでキャニスタ735内を通過して排出口737からパージガスとして排出される。その際、キャニスタ734,735に吸着した気化燃料は、パージ用ガスによりキャニスタ734,735から離脱し、当該気化燃料がパージガスに包含されて排出口737から排出される。なお、コンプレッサー31がON状態のときは、スロットル62Dの開閉状態に関わらず。パージ用ガス(パージガス)による圧力が接続口738を通じて逆流防止用バルブ710に印加されるため、逆流防止用バルブ710がベーパライン71を閉止する。
【0037】
前述のように、捕集機構7の供給路72及び排出路74は経路32Dに組み込まれ一体となっており、排出路74は排気燃焼器4に接続されることになる。このため、燃料電池スタック1の起動制御において、排気燃焼器4には、経路23Dから燃焼用燃料が供給され、経路32Dからパージ用ガスが供給される。捕集器73から排出されるパージガスには気化燃料が含まれているので、その分、経路32Dから供給する燃焼用燃料の供給量を削減することができる。
【0038】
ところで、本実施形態において、捕集機構7(捕集器73)は、断熱ケース8の外部に配置され、排出路74(経路32D)が断熱ケース8を貫通した構成となっている。これにより、捕集機構7は、燃料電池スタック1や排気燃焼器4等の熱源からほぼ断熱されるので、キャニスタ734735の熱による劣化を回避することができる。
【0039】
図1に示すように、本実施形態では、捕集機構7(捕集器73)を、経路32D以外にも、経路32A、経路32B、経路32C、経路32に組み込むことができる。捕集機構7を経路32Aに組み込むと、供給路72及び排出路74は経路32Aと一体となり熱交換器33に接続されることになる。捕集機構7を経路32Bに組み込むと、供給路72及び排出路74は経路32Bと一体となり起動燃焼器34に接続されることになる。捕集機構7を経路32Cに組み込むと、供給路72及び排出路74は経路32Cと一体となり熱交換器25(改質器26)に接続されることになる。捕集機構7を経路32に組み込むと、供給路72及び排出路74は経路32と一体となるととともに分岐して、熱交換器33、起動燃焼器34、熱交換器25(改質器26)、排気燃焼器4に接続されることになる。さらに、捕集機構7の供給路72を経路32、経路32A〜経路32Dの少なくともいずれか1つに組み込み、排出路74を、排気経路27、及び/若しくは、排気経路36に接続することも可能である。また、捕集機構7のうち、供給路72を経路32から分岐させ、排出路74を経路32から独立させるとともに任意に分岐させて経路32A、経路32B、経路32C、経路32Dの少なくともいずれか2つに合流させるようにしてもよい。
【0040】
捕集機構7を経路32Aに組み込んだ場合は、燃料電池スタック1の起動制御時、及び発電制御時において気化燃料を経路32Aに排出することができる。捕集機構7から排出された気化燃料は熱交換器33により加熱される。起動制御時においては、起動燃焼器34または触媒燃焼器35で燃焼される。よって、その分、起動燃焼器34及び触媒燃焼器35への燃焼用燃料の供給量を削減することができる。一方、発電制御時において、気化燃料は燃料電池スタック1を通過し排気燃焼器4で燃焼される。
【0041】
捕集機構7を経路32Bに組み込んだ場合は、燃料電池スタック1の起動制御時において気化燃料を経路32Bに排出して起動燃焼器34に供給することができる。よって、その分、起動燃焼器34及び触媒燃焼器35への燃焼用燃料の供給量を削減することができる。
【0042】
捕集機構7を経路32Cに組み込んだ場合は、燃料電池スタック1の発電制御時において気化燃料を経路32Cに排出して熱交換器25(改質器26)に供給することができる。よって、その分、改質器26への改質用燃料の供給量を削減することができる。
【0043】
捕集機構7を経路32に組み込んだ場合は、燃料電池スタック1の起動制御時及び発電制御時において気化燃料を経路32に排出することができる。このとき、排出路74は分岐して、排気燃焼器4、起動燃焼器34、熱交換器33、及び改質器26にそれぞれ接続された形となる。このように組み込むことで、捕集機構7が捕集した気化燃料の供給先が分散され、その分供給先に供給される気化燃料が少なくなるので、供給先にある機器の状態変化を小さくしてシステム全体を安定的に動作させることができる。また、コンプレッサー31からの空気(パージ用ガス)の流量が最も多くなるので、キャニスタ734,735から気化燃料を効率的に排出することができる。
【0044】
いずれにしても、本実施形態では、捕集機構7が捕集した気化燃料を燃焼させて外部に排出させる配置が必要である。このため、少なくとも、排出路74は、前述の給排機構、すなわち、アノードガスが流通する経路(経路23、経路23A〜23D、排気経路27)またはカソードガスが流通する経路(経路32、経路32A〜32D、排気経路36)において排気燃焼器4の出口よりも上流となる位置に接続されていればよい。
【0045】
DC−DCコンバータ50は、燃料電池スタック1に接続され、燃料電池スタック1の出力電圧を昇圧してバッテリ51または駆動モータ52に電力を供給するものである。バッテリ51は、DC−DCコンバータ50から供給された電力を充電するとともに、駆動モータ52に電力を供給するものである。駆動モータ52は、インバータ(不図示)を介してバッテリ51及びDC−DCコンバータ50に接続され、車両の動力源となっている。また、車両のブレーキ時において、駆動モータ52は回生電力を発生させるが、これをバッテリ51に充電させることができる。
【0046】
バッテリ51及び駆動モータ52は、DC−DCコンバータ50を介して、燃料電池スタック1に接続された負荷となる。一方、ポンプ22やコンプレッサー31等の燃料電池スタック1を発電させるための補機も負荷として燃料電池スタック1に接続し燃料電池スタック1からの電力供給により駆動することができるが、バッテリ51からの電力供給により駆動することもできる。
【0047】
制御部9は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と周辺機器から構成され、特定のプログラムを実行することにより燃料電池システム100を制御するための処理を実行する。また制御部9は、燃料電池システム100を構成する構成要素の駆動・停止制御(ON・OFF制御)を行うことができる。後述のように制御部9が行う燃料電池システム100の制御としては、燃料電池スタック1が発電できるように加熱する起動制御、通常の発電を行う発電制御、システムを停止させる停止制御がある。なお、燃料電池スタック1の停止制御においては、アノード(アノード電極)の劣化を抑制するため、燃料電池スタック1の開放電圧程度の電圧を保護電圧として印加する必要がある。このため、当該保護電圧を印加する保護回路(不図示)を燃料電池スタック1に接続しておき、燃料電池スタック1の停止制御中に制御部9が保護回路(不図示)を駆動させるようにしてもよい。
【0048】
[燃料電池システムの起動制御の手順]
次に、燃料電池システム100の起動制御の手順を図2のフローチャートに従って説明する。初期状態において、開閉弁61A〜61D、スロットル62A〜62DはOFFになっている。図2に示すように、システムが起動制御を開始すると、ステップS101において、制御部9は、コンプレッサー31、スロットル62A、スロットル62Bを一定の開度でONにする。これにより、経路32、経路32A、経路32Bに空気が供給される。
【0049】
ステップS102において、制御部9は、ポンプ22、起動燃焼器34をONにし、開閉弁61B、開閉弁61C、開閉弁61DをONにする。これにより、起動燃焼器34は、燃焼ガスを生成し、触媒燃焼器35は大量の燃焼ガスを生成して燃料電池スタック1に供給され、燃料電池スタック1が加熱される。そして、燃料電池スタック1を通過した燃焼ガス(排気ガス)は排気経路36を通って排気燃焼器4に到達する。
【0050】
ステップS103において、制御部9は、排気燃焼器4、開閉弁61D、開閉弁720、スロットル62DをONにする。これにより、経路32Dから供給された空気(パージ用ガス)と経路32Dから供給された燃焼用燃料とを混合して燃焼させて排気ガスを発生させる。ここで、捕集器73を通過した空気(パージガス)は気化燃料を包含するが、この気化燃料も排気燃焼器4で燃焼される。排気燃焼器4で生成された排気ガスは、排気燃焼器4自身を加熱する。また、排気燃焼器4は、燃料電池スタック1から排出された燃焼ガス(排気ガス)によっても加熱される。排気燃焼器4で生成された熱は熱交換器25、及び改質器26に伝達される。そして、排気燃焼器4から排出された排気ガスは蒸発器24、熱交換器33を通過して外部に排出される。よって、蒸発器24及び熱交換器33は、排気ガスにより加熱される。なお、ステップS102とステップS103は同時に行ってもよい。
【0051】
ステップS104において、制御部9は、温度センサ40が測定した温度に基づいて、排気燃焼器4の温度が触媒燃焼可能な所定温度に到達したか否か判断し、YES(是)であれば次のステップS105に移行し、NO(否)であれば、ステップS103後の状態を維持する。
【0052】
ステップS105において、制御部9は、排気燃焼器4の着火装置をOFFにし、開閉弁61D、スロットル62DをOFFにする。これにより、捕集機構7からの気化燃料の排出は停止する。一方、排気燃焼器4は、燃料電池スタック1から供給される燃焼ガス(排気ガス)により引き続き加熱される。
【0053】
ステップS106において、制御部9は、温度センサ10が測定した温度に基づいて、燃料電池スタック1が発電可能な所定温度に到達したか否かを判断し、YES(是)であれば、次のステップS107に移行し、NO(否)の場合は、ステップS105後の状態を維持する。
【0054】
ステップS107において、制御部9は、開閉弁61B、開閉弁61CをOFFにして起動燃焼器34及び触媒燃焼器35への燃焼用燃料の供給を停止し、スロットル62BをOFFにして起動燃焼器34への空気の供給を停止し、燃焼ガスの生成を停止する。一方、制御部9は、スロットル62AのON状態を維持する。これにより、熱交換器33により加熱された空気(カソードガス)が燃料電池スタック1に供給される。
【0055】
ステップS108において、制御部9は、開閉弁61AをONにして改質用燃料を蒸発器24に供給する。これにより、改質用燃料は、蒸発器24で加熱・気化され、熱交換器25でさらに加熱され、改質器26でアノードガスに改質され燃料電池スタック1に供給される。以上より、燃料電池スタック1はアノードに供給されたアノードガスとカソードに供給されたカソードガスにより発電することができる状態となり、起動制御が終了する。
【0056】
[燃料電池システムの発電制御時における動作]
次に、燃料電池システム100の発電制御時における動作について説明する。システムの発電制御時には、まず、燃料タンク20から供給された改質用燃料が改質器26によりアノードガスに改質されて燃料電池スタック1のアノードに供給される。一方、カソードガスとしての空気が熱交換器33により加熱されて燃料電池スタック1のカソードに供給される。
【0057】
アノードガスとカソードガスが供給された燃料電池スタック1は、電気化学反応により発電し、バッテリ51及び駆動モータ52(DC−DCコンバータ50)の要求電力、さらにはポンプ22やコンプレッサー31等の補機の要求電力に応じて電力を供給するとともに、電気化学反応に使用されたアノードオフガスとカソードオフガスは排気燃焼器4に導入される。
【0058】
排気燃焼器4は、アノードオフガス、カソードオフガスを混合した状態で燃焼して排気ガスを生成し、これが蒸発器24及び熱交換器33を加熱しながら通過して外部に排出される。このとき、図1に示すように、捕集機構7を経路32Cに組み込んだ場合は、必要に応じて制御部9がスロットル62CをONにすることにより、気化燃料を改質器26に供給することができる。
【0059】
[燃料電池システムの停止制御の手順]
次に、燃料電池システム100の停止制御の手順を図3のフローチャートに従って説明する。システムが停止制御を開始すると、ステップS201において、制御部9は、ポンプ22をOFFにし、開閉弁61AをOFFにしてアノードガスの供給を停止する。これにより、燃料電池スタック1の発電が停止する。また、制御部9は、スロットル62AのON状態を維持する。これにより、燃料電池スタック1にはカソードガスが冷却ガスとして引き続き導入され、燃料電池スタック1の温度が低下する。さらに、燃料電池スタック1に保護電圧を印加する保護回路(不図示)を駆動させる。これにより、アノード電極の劣化を回避する。
【0060】
ステップS202において、制御部9は、温度センサ10が測定する温度に基づいて燃料電池スタック1の温度がアノードの劣化を回避できる上限温度にまで低下したか否か判断する。NO(否)と判断した場合は、ステップS201後の状態を維持し、YESと判断した場合は、次のステップS203に移行する。
【0061】
ステップS203において、制御部9は、保護回路(不図示)をOFFにして保護電圧の印加を停止する。また制御部9は、コンプレッサー31、スロットル62AをOFFにする。これにより、経路32、経路32A〜32D内の圧力は、大気圧に戻り、燃料タンク20内の圧力と同じか、若しくは小さくなる。よって、逆流防止用バルブ710がペーパラインを開放し、燃料タンク20内で気化した気化燃料は、再びベーパライン71を通じて捕集機構7に到達し、捕集機構7による気化燃料の捕集が再開される。
【0062】
ステップS204において、制御部9は、捕集機構7の開閉弁720をOFFにして捕集機構7のパージ用ガスの供給路72を閉止する。これにより、キャニスタ734,735から放出され、導入口736から放出した気化燃料がコンプレッサー31に到達して、コンプレッサー31が劣化することを防止する。以上により、燃料電池スタック1の停止制御が終了する。
【0063】
[第1実施形態の効果]
以上のべたように、第1実施形態に係る燃料電池システム100は、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて発電する燃料電池スタック1と、前記アノードガスとなる液体燃料を蓄える燃料タンク20と、カソードガスを供給するコンプレッサー31と、燃料タンク20及びコンプレッサー31に接続され、燃料電池スタック1に対して前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを給排する給排機構(蒸発器24、熱交換器25、改質器26、熱交換器33、起動燃焼器34、触媒燃焼器35、排気燃焼器4)と、を備える燃料電池システム100である。この燃料電池システム100は、燃料タンク20内で気化した気化燃料を捕集する捕集器73と、燃料タンク20と捕集器73とに接続され、気化燃料を捕集器73に導くベーパライン71と、捕集器73に捕集された気化燃料を給排機構に排出する排出路74と、捕集器73に接続され、捕集器73が捕集した気化燃料を排出路74に押し出すパージ用ガスを捕集器73に供給する供給路72及びパージ用ガス供給部(コンプレッサー31)と、を備える。
【0064】
これにより、パージ用ガス供給部(コンプレッサー31)が燃料に直接接触することがないので、パージ用ガス供給部の劣化を回避できる。さらに、パージ用ガス供給部(コンプレッサー31)は燃料電池スタック1に近接した改質器26等に連通することはないので、燃料電池スタック1及び改質器26からの熱による劣化も回避することができる。
【0065】
パージ用ガス供給部は、コンプレッサー31を兼ねており、捕集器73には、カソードガスがパージ用ガスとして供給される。これにより、カソードガスを供給する供給源と、パージ用ガスを供給する供給源が一体となるのでシステム全体を小型化することができる。
【0066】
給排機構は、燃料電池スタック1よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器4を備え、排出路74は、排気燃焼器4に気化燃料を供給するように構成されている。これにより、燃焼効率の高い排気燃焼器4において捕集器73が捕集した気化燃料を確実に燃焼させることができる。
【0067】
給排機構は、コンプレッサー31と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、カソードガスに燃焼用燃料を混合して着火することにより燃焼ガスを生成して燃料電池スタック1に供給する起動燃焼器34を備え、排出路74は、起動燃焼器34に気化燃料を排出するように構成されている。これにより、燃料電池システム100の起動制御時において、捕集器73が捕集した気化燃料を起動燃焼器34において確実に燃焼することができる。また、起動燃焼器34においては、気化燃料が供給された分、燃焼用燃料の供給量を削減することができる。
【0068】
給排機構は、コンプレッサー31と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、燃料電池スタック1から排出された排ガスによりカソードガスを加熱する熱交換器33と、熱交換器33と燃料電池スタック1の間となる位置に配置されカソードガスに燃焼用燃料を混合して燃焼ガスを生成して燃料電池スタック1に供給する触媒燃焼器35と、を備え、排出路74は、熱交換器33に気化燃料を排出するように構成されている接続されている。これにより、少なくとも経路32Aよりも下流にある排気燃焼器4で捕集機構7が捕集した気化燃料を燃焼させることができる。また、燃料電池システム100の起動制御時においては、熱交換器33において加熱した気化燃料(起動燃焼器34で未燃となった気化燃料)を触媒燃焼器35に供給するので、気化燃料の燃焼効率を高めることができる。
【0069】
給排機構は、燃料タンク20と燃料電池スタック1との間となる位置に配置され、液体燃料をアノードガスに改質する改質器26を備え、排出路74は、改質器26に気化燃料を排出するように構成されている。これにより、燃料電池システム100の発電制御時において、捕集器73が捕集した気化燃料を改質器26において確実に改質することができる。また、改質器26においては、気化燃料が供給される分、改質用燃料の供給量を削減することができる。
【0070】
給排機構は、燃料電池スタック1よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器4と、燃料タンク20と改質器26の間となる位置に配置され排気燃焼器4による排ガス燃焼時の熱により液体燃料を加熱する熱交換器25と、を備え、排出路74は、熱交換器25より上流に気化燃料を供給する。これにより、捕集器73から排出された気化燃料が熱交換器25で加熱されることで改質器26における気化燃料の改質効率を高めることができる。
【0071】
給排機構は、燃料電池スタック1よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器4と、燃料タンク20と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、液体燃料をアノードガスに改質する改質器26と、コンプレッサー31と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、燃料電池スタック1から排出された排ガスによりカソードガスを加熱する熱交換器33と、熱交換器33と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、熱交換器33で加熱されたカソードガスに燃焼用燃料を混合して着火することにより燃焼ガスを生成し、燃焼ガスを燃料電池スタック1に供給する起動燃焼器34と、を備える。そして、排出路74は、改質器26、熱交換器33、起動燃焼器34、及び排気燃焼器4のうちの少なくとも2つに気化燃料を排出するように構成されている。これにより、捕集器73が捕集した気化燃料の排出先が分散され、その分排出先に供給される気化燃料が少なくなるので、排出先にある機器の状態変化を小さくしてシステム全体を安定的に動作させることができる。
【0072】
給排機構は、燃料電池スタック1よりも下流となる位置に配置された排気燃焼器4と、燃料タンク20と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、液体燃料を加熱するとともにアノードガスに改質する燃料改質機構(蒸発器24、熱交換器25、改質器26)と、コンプレッサー31と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、カソードガスを加熱する熱交換器33と、熱交換器33と燃料電池スタック1の間となる位置に配置され、熱交換器33で加熱されたカソードガスに燃焼用燃料を混合して着火することにより燃焼ガスを生成し、燃焼ガスを燃料電池スタック1に供給する起動燃系(起動燃焼器34、触媒燃焼器35)と、燃料電池スタック1、燃料改質機構、熱交換器33、起動燃焼系、及び排気燃焼器4を収容する断熱ケース8と、を備える。そして、捕集機構7は、断熱ケース8の外部に配置され、排出路74は、断熱ケース8を貫通している。これにより、捕集機構7は、燃料電池スタック1や排気燃焼器4等の熱源からほぼ断熱されるので、捕集機構7(キャニスタ734735)の熱による劣化を回避することができる。なお、断熱ケース8は、少なくとも燃料電池スタック1及び排気燃焼器4を収容する構成であってもよい。
【0073】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。なお、第2実施形態(第3実施形態、第4実施形態)においては、捕集機構7周辺にある構成要素の図示を省略している。第2実施形態の基本構成は第1実施形態と共通であるが、捕集機構7の構成が異なっている。
【0074】
捕集機構7は、捕集器73をバイパスするように供給路72及び排出路74に接続された第1バイパスライン75を備えている。第1バイパスライン75は、供給路72の開閉弁720よりも下流となる位置に接続されている。第1バイパスライン75は、捕集器73よりもパージ用ガスの圧力損失が小さく、パージ用ガスの流通量が捕集器73よりも多くなるように内径等が設計されている。これにより、捕集器73による空気(カソードガス)を供給する経路の圧力損失を軽減して、コンプレッサー31(図1)の負担を軽減することができる。また、捕集器73にも大きな圧力が掛からなくなるので、捕集器73(キャニスタ734,735)に対する負担を軽減できる。
【0075】
また、第1バイパスライン75は、捕集器73よりもパージ用ガスの圧力損失が小さく、パージ用ガスの流通量が捕集器73よりも多くなるように内径等が設計されている。これにより、コンプレッサー31のカソードガスの供給量が大きくても捕集器73をカソードガスの圧力から保護することができる。
【0076】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。第3実施形態の基本構成は第2実施形態と共通であるが、捕集器73の導入口736にバルブ76が設けられている。
【0077】
捕集器73にパージ用ガスを供給することによって捕集器73が捕集した気化燃料を排出することができる。しかし、捕集器73にパージ用ガスを供給するとキャニスタ734,735内における気化燃料の分布密度は希薄になる。このため、捕集器73からの気化燃料の排出量は時間経過とともに減少する。そこで、本実施形態では、捕集器73から気化燃料を排出する場合において、はじめはバルブ76の開度を低く設定して捕集器73に導入するパージ用ガスの供給量を低くしておき、時間経過とともにバルブ76の開度を大きくしてパージ用ガスの供給量を多くしていく。これにより、気化燃料の排出量の時間方向のムラを抑制し、排出先の機器の制御を安定させることができる。
【0078】
制御部9(図1)は、開閉弁720、スロットル62DをONにするとともにバルブ76をONにするが、はじめはその開度を小さくしていき、時間経過とともに開度を大きくしていく制御を行う。なお、図5において、バルブ76は、導入口736に取り付けられているが、排出口737に取り付けてもよく、また導入口736及び排出口737に取り付けてもよい。
【0079】
[第4実施形態]
は、第4実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。第4実施形態の基本構成は第2実施形態と共通であるが、供給路72が、三方弁77(切替弁)を分岐点として、捕集器73を流通する分岐経路721と、第2バイパスライン78に分岐している。分岐経路721と第2バイパスライン78は、排出路74において合流する。
【0080】
三方弁77は、制御部9(図1)に制御され、供給路72の連通先の流通経路を分岐経路721と第2バイパスライン78との間で切り替える、または分岐経路721と第2バイパスライン78との間の空気の流通の割合を調整するものである。
【0081】
第2バイパスライン78は、捕集器73とパージ用ガスの圧力損失ほぼ等しく、パージ用ガスの流通量が捕集器73と略同一となるようなダンパー等の構成要素を備えたものである。
【0082】
本実施形態において、初期状態で三方弁77は第2バイパスライン78側を全開としている。これにより、捕集器73は、燃料タンク20に対してのみ開放され、キャニスタ734,735に気化燃料を吸着させることができる。また、このとき、コンプレッサー31、開閉弁720、及びスロットル62DをON状態にすることにより、第1バイパスライン75及び第2バイパスライン78に空気が流通する。このとき、第1バイパスライン75及び第2バイパスライン78から排出口737に空気が導入され、その圧力により逆流防止用バルブ710はベーパライン71を閉止する。
【0083】
この状態で制御部9が、三方弁77を分岐経路721側が全開となるように切替制御する。これにより、第2バイパスライン78に流通した空気がほぼ同じ流量でパージ用ガスとして捕集器73に供給され、捕集器73が捕集した気化燃料を排出口737から排出することができる。このように制御することで、捕集機構7に空気が供給されているときに任意の時間に気化燃料を排出することができる。また、気化燃料の排出の前後において捕集機構7の圧力損失に変化はないので、空気の流量の脈動を抑制して、これに起因する振動、及び機器の劣化を抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態は、第3実施形態と同様に、気化燃料の排出量の時間方向のムラを抑制することができる。すなわち、捕集器73にパージ用ガスを供給する場合において、はじめは三方弁77の分岐経路721側の開度を低く設定し、且つ第2バイパスライン78側の開度を大きくして捕集器73に導入するパージ用ガスの供給量を低くしておく。そして、時間経過とともに分岐経路721側の開度が第2バイパスライン78側の開度よりも大きくなるように三方弁77の開度を制御して捕集器73に導入するパージ用ガスの供給量を増加させる。最後に、三方弁77を、分岐経路721側を全開とし、第2バイパスライン78側を全閉となるように制御すればよい。なお、図6では、バルブ76を取り付けてはいないが、第実施形態同様に捕集器73に取り付けて、三方弁77とバルブ76を連動させて制御してもよい。また、図6においては、第1バイパスライン75は省略してもよい。
【0085】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態の燃料電池システムの主要構成を示すブロック図である。第5実施形態の燃料電池システムの基本構成は、第1実施形態と共通するが、捕集機構7を構成するパージ用ガス供給源(コンプレッサー31)、及びフィルタ30がカソードガス供給系3から分離している。一方、カソードガス供給系3は、専用のコンプレッサー31A、フィルタ30Aを備えている。コンプレッサー31Aは、第1実施形態乃至第4実施形態で用いたコンプレッサー31と同様に制御される。
【0086】
また、捕集機構7を構成する供給路72及び排出路74がカソードガス供給系3の経路32及び経路32から分岐した経路32A〜経路32Dから分離している。図では排出路74は経路32Dに接続した状態を実線で図示している。しかし、図の破線でも示すように、排出路74は、経路32、経路32A、経路32B、経路32C、経路32Dのいずれかに接続することができる。そして、排出路74の接続先の経路に空気が流通しているときに、制御部9は、コンプレッサー31を駆動して捕集機構7が捕集した気化燃料を接続先の経路に排出することができる。
【0087】
このように、燃料電池スタック1に空気(カソードガス)を供給する供給源と、捕集機構7にパージ用ガスを供給する供給源を別にすることにより、各供給源の負担を軽減することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7