(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981437
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】故障検出装置
(51)【国際特許分類】
H02H 9/02 20060101AFI20211202BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20211202BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20211202BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20211202BHJP
H02H 7/12 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
H02H9/02 D
H02H7/20 A
H02J1/00 309R
H02H7/00 C
H02H7/12 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-26365(P2019-26365)
(22)【出願日】2019年2月18日
(65)【公開番号】特開2020-137220(P2020-137220A)
(43)【公開日】2020年8月31日
【審査請求日】2020年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅羽 浩太郎
【審査官】
原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2018/047752(WO,A1)
【文献】
特開2008−228415(JP,A)
【文献】
特開2017−099178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
7/10−9/08
H02J 1/00−1/16
H02M 7/00−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突入電流制限対象装置の電源線に挿入された、電流制限抵抗器とリレーとを並列接続した突入電流制限回路の前記リレーの故障を検出する故障検出装置であって、
前記電流制限抵抗器の一端の電圧を所定の分圧比で分圧する第1分圧回路と、
前記電流制限抵抗器の他端の電圧を前記所定の分圧比で分圧する第2分圧回路と、
前記第1分圧回路の出力電圧と前記第2分圧回路の出力電圧とが入力される差動アンプと、
前記差動アンプの出力電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果を表す信号を出力する比較部と、
前記第1分圧回路及び前記第2分圧回路双方の前記電源線とは接続されていない方の端と前記電源線との電圧差を所定電圧差に調整する標準電圧電源と、
を備える故障検出装置。
【請求項2】
前記比較部が、前記差動アンプの出力電圧と2つの閾値電圧とを比較して、前記出力電圧が前記2つの閾値電圧を境界とした電圧範囲内に入っているか否かを表す信号を出力するウィンドウコンパレータである、
請求項1に記載の故障検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突入電流制限回路内のリレーの故障を検出するための故障検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を用いて、突入電流制限回路内のリレーの故障を検出する従来の故障検出装置について説明する。
【0003】
この
図1に示した装置(以下、交流機器と表記する)は、商用電源50からの三相交流が整流器40により整流されて一対の電源線41p及び41nを介して直流負荷42に供給される装置である。図示してあるように、交流機器の電源線41p及び41nの間には、平滑コンデンサ45が設けられている。また、電源線41pには、電流制限抵抗器R0とリレー31とを並列接続した突入電流制限回路30が挿入されている。
【0004】
リレー31は、交流機器の電源投入後にオンされるリレー(メカニカルリレー、ソリッドステートリレー)である。なお、リレー31のオンタイミングは、電源投入後の経過時間や平滑コンデンサ45の充電の程度に基づき、決定される。
【0005】
抵抗器Rc、フォトカプラ51(発光ダイオード51a及びフォトトランジスタ51b),コンパレータ52等からなる回路が、リレー31の故障を検出する従来の故障検出装置である。この故障検出装置は、各部が以下のように機能することにより、リレー31の故障を検出する。なお、以下の説明では、各抵抗器の符号R0、Rcを、各抵抗器の抵抗値を表す記号としても使用する。
【0006】
電流制限抵抗器R0の両端間の電圧Vがフォトカプラ51の発光ダイオード51aの順方向電圧VFより大きくなると、発光ダイオード51aに電流Ic(=(V−VF)/Rc)が流れ、電流Icに応じた強度で発光ダイオード51aが発光する。そして、発光ダイオード51aの、電流Icに応じた発光強度が、フォトトランジスタ51bと抵抗器RLとにより電圧(以下、Ic対応電圧と表記する)に変換される。その後、Ic対応電圧と閾値電圧Vthとがコンパレータ52により比較されて、コンパレータ52の出力信号(図では、状態信号)のレベルで、リレー31の故障の有無が判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−23523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記説明から明らかなように、従来の故障検出装置は、リレー31の故障時に或る程度の電流値の電流Icが発光ダイオード51aに流れないと、リレー31の故障を検出できないものとなっている。そして、リレー31の故障直前のバス電流値が小さくなるにつれ、リレー31の故障時における電流Icの電流値も小さくなるため、従来の故障検出装置には、リレー31の故障を検知できるバス電流値に、各構成要素の仕様(抵抗器Rc、R0の抵抗値等)により定まる限界値(下限値)が存在している。抵抗器Rcの抵抗値を下げれば、リレー31の故障時における電流Icの電流値をより大きくすることが出来るが、低抵抗で突入電流への耐性が高い抵抗器Rcは、サイズが大きなものとなってしまう。そのため、従来の故障検出装置を、低電流時にもリレーの故障を検知できるように、且つ
、コンパクトに構成することは極めて困難であった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、低電流時にもリレーの故障を検知できる、コンパクトな故障検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点に係る故障検出装置は、突入電流制限対象装置の電源線に挿入された、電流制限抵抗器とリレーとを並列接続した突入電流制限回路の前記リレーの故障を検出する装置であって、前記電流制限抵抗器の一端の電圧を所定の分圧比で分圧する第1分圧回路と、前記電流制限抵抗器の他端の電圧を前記所定の分圧比で分圧する第2分圧回路と、前記第1分圧回路の出力電圧と前記第2分圧回路の出力電圧とが入力される差動アンプと、前記差動アンプの出力電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果を表す信号を出力する比較部と、前記第1分圧回路及び前記第2分圧回路双方の前記電源線とは接続されていない方の端と前記電源線との電圧差を所定電圧差に調整する標準電圧電源と、を備える。
【0011】
すなわち、故障検出装置の上記構成は、低抵抗、高耐性の抵抗器を必要としないもの(第1、第2分圧回路を高抵抗の2抵抗器の組み合わせで実現できるもの)となっている。従って、上記構成を採用しておけば、低電流時にもリレーの故障を検知可能、且つ、コンパクトな(実装面積が少ない)故障検出装置を実現することが出来る。
【0012】
比較部は、入力電圧と1つの閾値電圧(基準電圧)とを比較するコンパレータであっても、前記差動アンプの出力電圧と2つの閾値電圧とを比較して、前記出力電圧が前記2つの閾値電圧を境界とした電圧範囲内に入っているか否かを表す信号を出力するウィンドウコンパレータであっても良い。
【0013】
故障検出装置によりリレーの故障が検出される突入電流制限回路は、直流が流れる電源線に挿入された回路であっても、交流が流れる電源線に挿入された回路であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低電流時にもリレーの故障を検知できる、コンパクトな(実装面積が少ない)故障検出装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来の故障検出装置の構成を説明するための交流機器の概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る故障検出装置が用いられた交流機器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図2に、本発明の一実施形態に係る故障検出装置が用いられた交流機器1の概略構成を示す。
【0018】
この交流機器1は、電源が投入されると、商用電源50からの三相交流が整流器40により整流されて一対の電源線41p及び41nを介して直流負荷42に供給される装置である。なお、本交流機器1の整流器40は、ダイオードブリッジ整流器であり、直流負荷42は、三相モータとインバータとで構成された負荷(システム)である。また、“交流機器1の電源が投入される”とは、“一対の電源線41p及び41nに電流が流れる状態となる”ということである。従って、交流機器1は、商用電源50、整流器40間に設け
られたブレーカ等がオンされることで電源が投入されるものであっても、直流負荷42が電力を消費する状態に制御されることで電源が投入されるものであっても良い。
【0019】
図示してあるように、交流機器1は、電源線41p及び41nの間に配置された平滑コンデンサ45と、電源線41pに挿入された突入電流制限回路30とを備える。この突入電流制限回路30は、電流制限抵抗器R0とリレー31とを並列接続した回路となっており、交流機器1は、突入電流制限回路30のリレー31のオン/オフ制御や直流負荷42の制御を行うマイクロコントローラ(MCU)18も備えている。
【0020】
本実施形態に係る故障検出装置は、リレー31の故障(オープン故障)を検出するための装置であり、分圧部10と差動アンプ11とウィンドウコンパレータ12と標準電圧電源13と信号伝送回路15とにより構成されている。
【0021】
標準電圧電源13は、差動アンプ11を同相入力電圧範囲内で使うため標準電圧を出力する電源である。この標準電圧電源13としては、例えば、交流機器1の電源投入後にリレー31がオンされて電源線41p、41n間の電圧が安定した状態における電源線41pの電圧を出力するものが使用される。
【0022】
図示してあるように、標準電圧電源13は、電源線41pと、両分圧回路10a、10bの電源線とは接続されていない方の端との間に配置されている。従って、この標準電圧電源13により、電源線41pと、両分圧回路10a、10bの電源線とは接続されていない方の端との電圧差が、標準電圧に調整される。
【0023】
分圧部10は、電流制限抵抗器R0の各端の電圧を、差動アンプ11への入力に適した大きさの電圧に変換するための回路である。分圧部10は、電流制限抵抗器R0の一端(直流負荷42側の端)に接続された、抵抗器R1と抵抗器R2とで構成された第1分圧回路10aと、電流制限抵抗器R0の一端に接続された、抵抗器R3と抵抗器R4とで構成された第2分圧回路10bとにより構成されている。以下、抵抗器Rn(n=1〜4)の抵抗値のことも、Rnと表記する。
【0024】
分圧部10の各抵抗器としては、各分圧回路10a、10bの分圧比rが同一値(例えば、0.01)となるものが採用されている。すなわち、分圧部10には、“R1/(R1+R2)=R3/(R3+R4)”が成立する抵抗器R1〜R4が採用されている。また、分圧部10は、比較的に高抵抗の抵抗器R1〜R4(つまり、サイズの小さな抵抗器R1〜R4)によって構成したものとなっている。
【0025】
図示してあるように、第1分圧回路10aから出力される電圧信号Vout1は、差動アンプ11の+入力端子 (非反転入力端子)に入力されている。また、第2分圧回路10bか
ら出力される電圧信号Vout2は、差動アンプ11の−入力端子 (反転入力端子)に入力さ
れている。以下、電圧信号Vx(x=out1、out2等)の電圧値のことも、Vxと表記する。
【0026】
差動アンプ11は、2つの入力端子への入力電圧の差“Vout1−Vout2”を、所定の差動利得Adで増幅するアンプである。分圧部10の各分圧回路10a、10bの分圧比をrと表記すると、Vout1=V1×r、Vout2=V2×rと表せる。従って、差動アンプ11の出力信号Voutの電圧Voutは、以下の(1)式で示される値、すなわち、電流制限抵抗器R0の両端の電圧差“V1−V2”と比例する値となる。
【0027】
Vout=Ad×r×(V1−V2) …(1)
差動アンプ11が出力する電圧信号Voutは、ウィンドウコンパレータ12に入力さ
れている。このウィンドウコンパレータ12には、正の基準電圧Vpと負の基準電圧Vmとが与えられている。基準電圧Vpは、リレー31が故障したと判定すべき検出電圧(Voutの値)の正側の閾値として予め定められる電圧である。基準電圧Vmは、リレー31が故障したと判定すべき検出電圧の負側の閾値として予め定められる電圧である。基準電圧Vpは、電源線41pに、直流負荷42側への所望量の電流が流れている状態で、リレー31が故障した場合における検出電圧の推定値や実験値に基づき定められる。同様に、基準電圧Vmは、電源線41pに、整流器40側への所望量の電流が流れている状態で、リレー31が故障した場合における検出電圧の推定値や実験値に基づき定められる。なお、電源線41pに整流器40側への電流が流れるのは、直流負荷42側で回生電力が発生している場合である。また、所望量の電流とは、リレー31の故障を検知可能とする最少量の電流のことである。
【0028】
既に説明したように、差動アンプ11からは、電流制限抵抗器R0の両端の電圧差“V1−V2”と比例する電圧Voutの電圧信号Voutが出力される。そして、電圧信号Voutが入力されているウィンドウコンパレータ12には、上記基準電圧Vp、Vmが与えられている。従って、交流機器1の動作中にリレー31にオープン故障が発生すると、ウィンドウコンパレータ12が出力する電圧信号Vsのレベルが、それまでとは異なるレベル(
図2の構成だと、ローレベル)に変化することになる。
【0029】
信号伝送回路15は、ウィンドウコンパレータ12からの電圧信号Vsを、フォトカプラ16により電気的に絶縁しながらMCU18に伝送するための回路である。MCU18は、リレー31がオンとなっている間(交流機器1の動作中)は、電圧信号Vsに基づき、リレー31の状態(故障の有無)を監視し、リレー31が故障した場合には、交流機器1の動作を停止させるための処理や、リレー31が故障した旨をユーザに知らせるための処理を行う。なお、回路構成上、交流機器1の電源が投入されてからリレー31がオンとなるまでの期間中、MCU18には、リレー31が故障したことを示すレベルの電圧信号Vsが入力される。この電圧信号Vsは、リレー31が故障したことを示していないため、MCU18は、リレー31がオンとなる前にリレー31が故障したことを示すレベルの電圧信号Vsが入力されても、特に処理を行わない。
【0030】
以上、説明したように、本実施形態に係る故障検出装置に採用されている構成は、低抵抗、高耐性の抵抗器を使用せずにリレー31の故障を検知するものであると共に、リレー31の故障を検知可能な電流値にも特に制限がないものとなっている。従って、上記構成を採用しておけば、低電流時にもリレーの故障を検知可能、且つ、コンパクトな(実装面積が少ない)故障検出装置を実現することが出来る。
【0031】
《変形形態》
上記した故障検出装置は、各種の変形を行えるものである。例えば、故障検出装置を、交流突入電流を制限するための突入電流制限回路内のリレーの故障を検出する装置として使用しても良い。また、故障検出装置による故障検出対象の突入電流制限回路は、どのような装置に設けられたものであっても良い。
【0032】
故障検出装置を、ウィンドウコンパレータ12の代わりにコンパレータが搭載された装置に変形しても良い。ただし、故障検出装置の故障検出対象が、回生電力が発生する装置の直流突入電流を制限する突入電流制限回路のリレーである場合には、ウィンドウコンパレータ12を採用することで、回生中にもリレーの故障を検知できるようにしておくことが好ましい。
【0033】
《付記》
突入電流制限対象装置(1)の電源線(41p)に挿入された、電流制限抵抗器(R0
)とリレー(31)とを並列接続した突入電流制限回路(30)の前記リレー(31)の故障を検出する故障検出装置であって、
前記電流制限抵抗器(R0)の一端の電圧を所定の分圧比で分圧する第1分圧回路(10a)と、
前記電流制限抵抗器(R0)の他端の電圧を前記所定の分圧比で分圧する第2分圧回路(10b)と、
前記第1分圧回路(10a)の出力電圧と前記第2分圧回路(10b)の出力電圧とが入力される差動アンプ(11)と、
前記差動アンプ(11)の出力電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果を表す信号を出力する比較部(12)と、
前記第1分圧回路(10a)及び前記第2分圧回路(10b)双方の前記電源線(41p)とは接続されていない方の端と前記電源線(41p)との電圧差を所定電圧差に調整する標準電圧電源(13)と、
を備える故障検出装置。
【符号の説明】
【0034】
10 分圧部
11 差動アンプ
12 ウィンドウコンパレータ
13 標準電圧電源
15 信号伝送回路
16 フォトカプラ
18 マイクロコントローラ
30 突入電流制限回路
31 リレー
40 整流器
42 直流負荷