(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封口板を平面視したとき、前記封口板の短手方向における前記第1凹部の幅は、前記封口板の長手方向における前記第1凹部の幅よりも小さい請求項1又は2に記載の角形二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態に係る角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0016】
図1は角形二次電池20の斜視図である。
図2は
図1のII−II断面の断面図である。
図1及び
図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板がセパレータを介して積層された積層型の電極体3が電解液と共に収容されている。電極体3と角形外装体1の間には樹脂製の絶縁シート14が配置されている。
【0017】
電極体3の封口板2側の端部には、正極タブ40及び負極タブ50が設けられている。正極タブ40は第2正極集電体6b及び第1正極集電体6aを介して正極端子7に電気的に接続されている。負極タブ50は第2負極集電体8b及び第1負極集電体8aを介して負極端子9に電気的に接続されている。ここで、第1正極集電体6a及び第2正極集電体6bが、正極集電部材6を構成している。また、第1負極集電体8a及び第2負極集電体8bが、負極集電部材8を構成している。なお、正極集電部材6を一つの部品とすることもできる。また、負極集電部材8を一つの部品とすることもできる。
【0018】
正極端子7は、樹脂製の外部側絶縁部材11を介して封口板2に固定されている。負極端子9は、樹脂製の外部側絶縁部材13を介して封口板2に固定されている。正極端子7は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。負極端子9は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることがより好ましい。
【0019】
正極板と正極端子7の間の導電経路には、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に作動し、正極板と正極端子7の間の導電経路を遮断する電流遮断機構60が設けられることが好ましい。なお、負極板と負極端子9の間の導電経路に電流遮断機構を設けてもよい。
【0020】
封口板2には電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。なお、ガス排出弁17の作動圧は、電流遮断機構60の作動圧よりも大きい値に設定する。
【0021】
封口板2には電解液注液孔15が設けられている。電解液注液孔15から電池ケース100内に電解液を注液した後、電解液注液孔15は封止栓16により封止される。封止栓16としてはブラインドリベットを用いることが好ましい。
【0022】
次に角形二次電池20の製造方法及び各構成の詳細を説明する。
【0023】
[正極板の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含む正極スラリーを作製する。この正極スラリーを、正極芯体としての厚さ15μmの矩形状のアルミニウム箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、正極スラリー中のNMPを取り除き、正極芯体上に正極活物質合剤層を形成する。その後、正極活物質合剤層を所定厚みになるように圧縮処理を行う。このようにして得られた正極板を所定の形状に切断する。
【0024】
図3は、上述の方法で作製した正極板4の平面図である。
図3に示すように、正極板4は、矩形状の正極芯体4aの両面に正極活物質合剤層4bが形成された本体部を有する。本体部の端辺から正極芯体4aが突出しており、この突出した正極芯体4aが正極タブ40を構成する。なお、正極タブ40は、
図3に示すように正極芯体4aの一部であっても良いし、他の部材を正極芯体4aに接続し、正極タブ40としてもよい。また、正極タブ40において正極活物質合剤層4bと隣接する部分には、正極活物質合剤層4bの電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する正極保護層4dが設けられることが好ましい。
【0025】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を含む負極スラリーを作製する。この負極スラリーを、負極芯体としての厚さ8μmの矩形状の銅箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、負極スラリー中の水を取り除き、負芯体上に負極活物質合剤層を形成する。その後、負極活物質合剤層を所定厚みになるように圧縮処理を行う。このようにして得られた負極板を所定の形状に切断する。
【0026】
図4は、上述の方法で作製した負極板5の平面図である。
図4に示すように、負極板5は、矩形状の負極芯体5aの両面に負極活物質合剤層5bが形成された本体部を有する。本体部の端辺から負極芯体5aが突出しており、この突出した負極芯体5aが負極タブ50を構成する。なお、負極タブ50は、
図4に示すように負極芯体5aの一部であっても良いし、他の部材を負極芯体5aに接続し、負極タブ50としてもよい。
【0027】
[電極体要素の作製]
50枚の正極板4及び51枚の負極板5を上述の方法で作製し、これらをポリオレフィン製の方形状のセパレータを介して積層し積層型の電極体要素(3a、3b)を作製する。
図5に示すように、積層型の電極体要素(3a、3b)は、一方の端部において、各正極板4の正極タブ40が積層され、各負極板5の負極タブ50が積層されるように作製される。電極体要素(3a、3b)の両外面にはセパレータが配置され、テープ等により各極板及びセパレータが積層された状態に固定することができる。あるいは、セパレータに接着層を設け、セパレータと正極板4、セパレータと負極板5がそれぞれ接着されるようにしてもよい。
【0028】
なお、セパレータの平面視の大きさは負極板5と同じ、あるいは負極板5よりも大きくすることが好ましい。2枚のセパレータの間に正極板4を配置し、セパレータの周縁を熱溶着した状態とした後、正極板4と負極板5を積層してもよい。なお、電極体要素(3a、3b)を作製するに当たり、長尺状のセパレータを用い、長尺状のセパレータを九十九折状にしながら正極板4及び負極板5を積層することもできる。また、長尺状のセパレータを用い、長尺状のセパレータを巻回しながら正極板4及び負極板5を積層することもできる。
【0029】
[封口板への各部品取り付け(正極側)]
図2、
図6〜
図8を用いて、封口板2への正極端子7及び第1正極集電体6a等の取り付け方法、及び正極端子7の近傍の構成について説明する。
図6は、組立て前の正極端子7、外部側絶縁部材11、封口板2、第1絶縁部材10、導電部材61の斜視図である。
図7は、各部品が取り付けられた後の封口板2の電池内面側を示す図である。なお、
図7においては、正極タブ40及び負極タブ50は図示していない。
図8Aは、
図7におけるVIIIA−VIIIA線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
図8Bは、
図7におけるVIIIB−VIIIB線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
図8Cは、
図7におけるVIIIC−VIIIC線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
【0030】
封口板2において、正極端子取り付け孔2aの近傍の電池外面側に外部側絶縁部材11を配置し、正極端子取り付け孔2aの近傍の電池内面側に第1絶縁部材10及び導電部材61を配置する。次に、正極端子7において鍔部7aの一方側に設けられた挿入部7bを、外部側絶縁部材11の第1端子挿入孔11a、封口板2の正極端子取り付け孔2a、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔10d及び導電部材61の第3端子挿入孔61cのそれぞれに挿入する。そして、挿入部7bの先端を導電部材61上にカシメる。これにより、正極端子7、外部側絶縁部材11、封口板2、第1絶縁部材10及び導電部材61が固定される。なお、正極端子7の挿入部7bがカシメられることにより、挿入部7bの先端側に、導電部材61の第3端子挿入孔61cの内径よりも大きな外径を有する拡径部が形成される。正極端子7の挿入部7bにおいてカシメられた部分と導電部材61はレーザ溶接等により溶接されることが好ましい。また、第1絶縁部材10及び外部側絶縁部材11はそれぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0031】
なお、
図6及び
図8に示すように、第1絶縁部材10は、封口板2と対向するように配置される第1絶縁部材本体部10aを有する。第1絶縁部材本体部10aの封口板2の長手方向における両端部には、一対の第1側壁10bが設けられている。第1絶縁部材本体部10aの封口板2の短手方向における両端部には、一対の第2側壁10cが設けられている。第1絶縁部材本体部10aには、第2端子挿入孔10dが設けられている。第2側壁10cの外面側には、第1接続部10eが設けられている。第1接続部10eは、封口板2の長手方向において、第2側壁10cの中央部に設けられることが好ましい。また、第2側壁10cの外面側には、第2接続部10fが設けられている。第2接続部10fは、封口板2の長手方向において、第2側壁10cの端部に設けられることが好ましい。第1絶縁部材本体部10aの封口板2側の面には第1溝部10xが設けられ、第1絶縁部材本体部10aの導電部材61側の面には、第2溝部10yが設けられている。第2溝部10yは、第1溝部10xよりも外周側に位置する。第1絶縁部材本体部10aの封口板2側の面には、隅部に凹部10gが設けられている。
【0032】
図6及び
図8に示すように、導電部材61は、第1絶縁部材本体部10aと対向するように配置される導電部材ベース部61aと、導電部材ベース部61aの縁部から電極体3に向かって延びる管状部61bを有する。なお、管状部61bの封口板2に平行な断面形状は、円形であってもよいし角形であってもよい。管状部61bの電極体3側の端部には、フランジ部61dが設けられている。管状部61bの電極体3側の端部には導電部材開口部61fが設けられている。導電部材ベース部61aの第1絶縁部材10と対向する面には押圧突起61eが設けられている。押圧突起61eは第1絶縁部材10を、封口板2側に押圧している。なお、押圧突起61eは、第3端子挿入孔61cの縁部、あるいはその近傍に形成されることが好ましい。
【0033】
次に、変形板62を、導電部材61の導電部材開口部61fを塞ぐように配置し、変形板62の周縁を導電部材61にレーザ溶接等により溶接する。これにより、導電部材61の導電部材開口部61fが変形板62により密閉される。なお、導電部材61及び変形板62はそれぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金であることがより好ましい。
【0034】
図9は変形板62の斜視図である。なお、
図9において上方が電極体3側であり、下方が封口板2側である。
図9に示すように、変形板62の中央部には、電極体3側に突出する段付き突起62aが設けられている。この段付き突起62aは、第1突出部62a1と、第1突出部62a1よりも外径が小さく第1突出部62a1から電極体3側に突出する第2突出部62a2を含む。変形板62は外周縁に、電極体3側に突出する環状リブ62bを有する。変形板62の電極体3側の面には、環状の環状薄肉部62cが設けられている。なお、変形板62は、導電部材61の導電部材開口部61fを封止できる形状であればよい。
【0035】
次に、
図10を用いて、第2絶縁部材63と第1正極集電体6aの固定方法を説明する。なお、
図10において、角形二次電池20において電極体3側に配置される面が上方に位置し、封口板2側に配置される面が下方に位置している。
【0036】
図10Aに示すように、第1正極集電体6aは、接続用孔6cを有する。この接続用孔6cの縁部が変形板62に溶接接続される。第1正極集電体6aにおいて、接続用孔6cの周囲には、4つの固定用孔6dが設けられている。なお、固定用孔6dは一つであっても良いが、好ましくは2つ以上設けられていることが好ましい。第1正極集電体6aにおいて、接続用孔6cの周囲には、ずれ防止用孔6eが設けられている。ずれ防止用孔6eは一つでも良いが、少なくとも2つ設けられることが好ましい。ずれ防止用孔6eは、固定用孔6dと固定用孔6dの間に配置されることが好ましい。また、固定用孔6dは、小径部6d1と、小径部6d1よりも内径の大きい大径部6d2を有することが好ましい。大径部6d2は小径部6d1よりも電極体3側に配置されることが好ましい。
【0037】
図8及び
図10Aに示すように、第2絶縁部材63は、変形板62と対向するように配置される絶縁部材第1領域63xと、封口板2と対向するように配置される絶縁部材第2領域63yと、絶縁部材第1領域63xと絶縁部材第2領域63yを繋ぐ絶縁部材第3領域63zを有する。絶縁部材第1領域63xの中央には絶縁部材第1開口63aが設けられている。絶縁部材第1領域63xにおいて、封口板2の長手方向における端部には第3壁部63bが設けられている。第3壁部63bには、第3接続部63dが設けられている。また、絶縁部材第1領域63xにおいて、封口板2の短手方向における両端部には第4壁部63cが設けられている。第4壁部63cには、第4接続部63eが設けられている。また、絶縁部材第1領域63xにおいて電極体3側の面には、4つの固定用突起63fが設けられている。また、2つのずれ防止用突起63gが設けられている。絶縁部材第1領域63xにおける封口板2側の面には、4つの爪部63hが設けられている。絶縁部材第2領域63yは、絶縁部材第1領域63xよりも封口板2に近い位置に配置されている。絶縁部材第2領域63yにおいて、封口板2に設けられた電解液注液孔15と対向する位置には絶縁部材第2開口63iが設けられている。絶縁部材第2開口63iの縁部には電極体3側に向かって延びる絶縁部材環状リブ63kが設けられている。
【0038】
図10Bに示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fが第1正極集電体6aの固定用孔6d内に配置され、第2絶縁部材63のずれ防止用突起63gが第1正極集電体6aのずれ防止用孔6e内に配置されるように、第2絶縁部材63上に第1正極集電体6aを配置する。そして、第2絶縁部材63の固定用突起63fの先端部を熱カシメ等することにより変形させる。これにより、
図8C及び
図10Cに示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fの先端部に拡径部63f1が形成され、第2絶縁部材63と第1正極集電体6aが固定される。
【0039】
なお、
図8Cに示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fの先端部に形成される拡径部63f1が、固定用孔6dの大径部6d2内に配置されることが好ましい。
【0040】
第2絶縁部材63のずれ防止用突起63gは、固定用突起63fのように熱カシメされない。
【0041】
なお、固定用突起63fの外径は、ずれ防止用突起63gの外径よりも大きいことが好ましい。また、第1正極集電体6aの固定用孔6dの小径部6d1の内径は、第1正極集電体6aのずれ防止用孔6eの内径よりも大きいことが好ましい。
【0042】
次に、
図8A〜
図8Cに示すように、第1正極集電体6aが固定された第2絶縁部材63を、第1絶縁部材10と導電部材61に接続する。
【0043】
図8Bに示すように、第2絶縁部材63の第4接続部63eが第1絶縁部材10の第1接続部10eに接続される。また、
図8Cに示すように、第2絶縁部材63の爪部63hが、導電部材61のフランジ部61dに接続される。これにより、第2絶縁部材63は、第1絶縁部材10及び導電部材61のそれぞれに接続される。なお、第2絶縁部材63は、必ずしも第1絶縁部材10及び導電部材61の両方に接続される必要がない。但し、第2絶縁部材63は、第1絶縁部材10及び導電部材61の少なくとも一方に接続されることが好ましい。これにより、角形二次電池20に強い衝撃や振動が加わった場合でも、第1正極集電体6aの脆弱部に負荷が加わることを抑制できる。よって、第1正極集電体6aの脆弱部の損傷や破損を抑制できる。
【0044】
変形板62は、第1正極集電体6aと溶接接続される。
図11は、
図8Aにおける変形板62と第1正極集電体6aの接続部近傍の拡大図である。
図11に示すように、変形板62の第2突出部62a2が、第1正極集電体6aの接続用孔6c内に配置される。そして、変形板62の第2突出部62a2と第1正極集電体6aの接続用孔6cの縁部がレーザ溶接等により溶接接続される。なお、変形板62と第1正極集電体6aの接続部は、第2絶縁部材63の絶縁部材第1開口63aと対応する位置に形成される。
【0045】
なお、第1正極集電体6aにおいて、接続用孔6cの周囲には、薄肉部6fが設けられている。薄肉部6fには、接続用孔6cを囲むように環状のノッチ6gが設けられている。接続用孔6cの縁部には、環状の接続リブ6hが形成されている。この接続リブ6hが変形板62と溶接接続される。なお、第1正極集電体6aと変形板62は、接続用孔6cの全周において環状に溶接接続されていてもよいし、環状ではなく一部溶接されていない部分があってもよい。また、第1正極集電体6aと変形板62が、接続用孔6cの縁部において、離間した複数個所で溶接されていてもよい。
【0046】
ここで、電流遮断機構60の作動について説明する。電池ケース100内の圧力が上昇することにより、変形板62の中央部が封口板2側に移動するように変形する。そして、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったとき、変形板62の変形に伴い、第1正極集電体6aの薄肉部6fに設けられたノッチ6gが破断する。これにより、正極板4から正極端子7への導電経路が切断される。このように、電流遮断機構60は、第1正極集電体6a、変形板62及び導電部材61を含む。角形二次電池20が過充電状態となり電池ケース100内の圧力が上昇したとき、電流遮断機構60が作動し、正極板4から正極端子7への導電経路が切断されることにより、更なる過充電の進行が防止される。なお、電流遮断機構60が作動する作動圧は適宜決定できる。
【0047】
変形板62と第1正極集電体6aの溶接接続を行う前に、正極端子7に形成された端子貫通孔7cを通じて導電部材61の内部側にガスを送り込むことにより、導電部材61と変形板62に溶接部のリーク検査を行える。端子貫通孔7cは、端子封止部材7xにより封止される。なあ、端子封止部材7xは、金属部材7yとゴム部材7zからなることが好ましい。
【0048】
図12は、第1絶縁部材10、導電部材61、変形板62、第2絶縁部材63及び第1正極集電体6aが取り付けられた封口板2の斜視図である。
図12に示すように、第2絶縁部材63において封口板2の長手方向の端部に第3接続部63dが設けられている。第1絶縁部材10において封口板2の短手方向の両端には第2接続部10fが設けられている。
【0049】
[封口板への各部品取り付け(負極側)]
図2及び
図13を用いて、封口板2への負極端子9及び第1負極集電体8aの取り付け方法を説明する。封口板2に設けられた負極端子取り付け孔2bの近傍の電池外面側に外部側絶縁部材13を配置し、負極端子取り付け孔2bの近傍の電池内面側に内部側絶縁部材12及び第1負極集電体8aを配置する。次に、負極端子9を、外部側絶縁部材13の貫通孔、封口板2の負極端子取り付け孔2b、内部側絶縁部材12の貫通孔及び第1負極集電体8aの貫通孔のそれぞれに挿入する。そして、負極端子9の先端を第1負極集電体8a上にカシメる。これにより、外部側絶縁部材13、封口板2、内部側絶縁部材12及び第1負極集電体8aが固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と第1負極集電体8aはレーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。また、内部側絶縁部材12及び外部側絶縁部材13はそれぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0050】
[集電体とタブの接続]
図14は、第2正極集電体6bへの正極タブ40の接続方法、第2負極集電体8bへの負極タブ50の接続方法を示す図である。上述の方法で2つの電極体要素を作製し、それぞれ第1の電極体要素3a、第2の電極体要素3bとする。なお、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bは全く同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。ここで、第1の電極体要素3aの複数枚の正極タブ40が第1正極タブ群40aを構成する。第1の電極体要素3aの複数枚の負極タブ50が第1負極タブ群50aを構成する。第2の電極体要素3bの複数枚の正極タブ40が第2正極タブ群40bを構成する。第2の電極体要素3bの複数枚の負極タブ50が第2負極タブ群50bを構成する。
【0051】
第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bの間に、第2正極集電体6bと第2負極集電体8bを配置する。そして、第1の電極体要素3aから突出する積層された複数枚の正極タブ40からなる第1正極タブ群40aを第2正極集電体6b上に配置し、第1の電極体要素3aから突出する積層された複数枚の負極タブ50からなる第1負極タブ群50aを第2負極集電体8b上に配置する。また、第2の電極体要素3bから突出する積層された複数枚の正極タブ40からなる第2正極タブ群40bを第2正極集電体6b上に配置し、第2の電極体要素3bから突出する積層された複数枚の負極タブ50からなる第2負極タブ群50bを第2負極集電体8b上に配置する。第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bはそれぞれ第2正極集電体6bに溶接接続され溶接接続部90が形成される。第1負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bはそれぞれ第2負極集電体8bに溶接接続され溶接接続部90が形成される。溶接接続は、次のように行うことができる。
【0052】
上下から溶接治具により積層されたタブ(第1正極タブ群40a、第2正極タブ群40b、第1負極タブ群50a、第2負極タブ群50b)と集電体(第2正極集電体6b、第2負極集電体8b)を挟み込み、溶接を行う。ここで溶接方法は、超音波溶接、あるいは抵抗溶接が好ましい。なお、一対の溶接治具は、抵抗溶接の場合は一対の抵抗溶接用電極であり、超音波溶接の場合はホーン及びアンビルである。なお、タブ(第1正極タブ群40a、第2正極タブ群40b、第1負極タブ群50a、第2負極タブ群50b)と集電体(第2正極集電体6b、第2負極集電体8b)の接続は、レーザ溶接で接続することもできる。
【0053】
図14に示すように、第2正極集電体6bは、集電体第1領域6b1と集電体第2領域6b2を有する。集電体第1領域6b1には正極タブ40が接続される。集電体第1領域6b1には集電体第2開口6zが設けられている。集電体第1領域6b1と集電体第2領域6b2は、集電体第3領域6b3により繋がれている。第2正極集電体6bを第1正極集電体6aに接続した後、集電体第2開口6zは封口板2に設けられた電解液注液孔15と対応する位置に配置される。集電体第2領域6b2には、集電体第1開口6yが設けられている。そして、集電体第1開口6yの周囲には、集電体第1凹部6mが設けられている。また、封口板2の短手方向において、集電体第1開口6yの両側にはターゲット孔6kが設けられている。
【0054】
図14に示すように、第2負極集電体8bは、集電体第1領域8b1と集電体第2領域8b2を有する。集電体第1領域8b1には負極タブ50が接続される。集電体第2領域8b2には、集電体第1開口8yが設けられている。そして、集電体第1開口8yの周囲には、集電体第1凹部8fが設けられている。また、封口板2の短手方向において、集電体第1開口8yの両側にはターゲット孔8eが設けられている。
【0055】
[第1正極集電体と第2正極集電体の接続]
図2、
図7、
図8等に示すように、第1正極集電体6aの集電体突起6xが、第2正極集電体6bの集電体第1開口6y内に位置するようにして、第2正極集電体6bを第2絶縁部材63上に配置する。そして、第1正極集電体6aの集電体突起6xと第2正極集電体6bの集電体第1開口6yの縁部をレーザ等のエネルギー線の照射により溶接する。これにより、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bが接続される。なお、集電体第1凹部6mにおいて、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bが溶接接続されていることが好ましい。
【0056】
図2及び
図8に示すように、封口板2に対して垂直な方向において、封口板2と集電体第1領域6b1の距離は、封口板2と集電体第2領域6b2の距離よりも小さい。このような構成であると、集電部が占めるスペースをより小さくでき、より体積エネルギー密度の高い角形二次電池となる。
【0057】
第1正極集電体6aと第2正極集電体6bをレーザ等のエネルギー線の照射により溶接する際、ターゲット孔6kを画像補正用のターゲットとすることが好ましい。
【0058】
図8Aに示すように、第1正極集電体6aの第2絶縁部材63と対向する面であって、集電体突起6xの裏側には集電体第2凹部6wが形成されている。これにより、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bの間により大きな溶接接続部を形成し易くなるため好ましい。また、集電体第2凹部6wが形成されていることにより、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bを溶接接続する際に、溶接時の熱により第2絶縁部材63が損傷することを防止できる。
【0059】
[第1負極集電体と第2負極集電体の接続]
図13に示すように、第2負極集電体8bは、集電体第1領域8b1と集電体第2領域8b2を有する。集電体第1領域8b1には負極タブ50が接続される。集電体第2領域8b2には、集電体第1開口8yが設けられている。集電体第1領域8b1と集電体第2領域8b2は、集電体第3領域8b3により繋がれている。
【0060】
図13に示すように、第1負極集電体8aの集電体突起8xが、第2負極集電体8bの集電体第1開口8y内に位置するようにして、第2負極集電体8bを内部側絶縁部材12上に配置する。そして、第1負極集電体8aの集電体突起8xと第2負極集電体8bの集電体第1開口8yの縁部をレーザ等のエネルギー線の照射により溶接する。これにより、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bが接続される。集電体第1凹部8fにおいて、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bが溶接接続されていることが好ましい。第2負極集電体8bには、第2正極集電体6bと同様にターゲット孔8eが設けられている。封口板2に対して垂直な方向において、封口板2と集電体第1領域8b1の間の距離は、封口板2と集電体第2領域8b2の間の距離より小さい。なお、第1負極集電体8aを用いず、第2負極集電体8bを負極端子9に接続することができる。
【0061】
図13に示すように、第1負極集電体8aの内部側絶縁部材12と対向する面であって、集電体突起8xの裏側には集電体第2凹部8wが形成されている。これにより、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bの間により大きな溶接接続部を形成し易くなるため好ましい。また、集電体第2凹部8wが形成されていることにより、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bを溶接接続する際に、溶接時の熱により内部側絶縁部材12が損傷することを防止できる。
【0062】
なお、集電体突起6x及び集電体突起8xはそれぞれ、平面視の形状が非真円であることが好ましく、方形状、楕円状やトラック形状であることが好ましい。
【0063】
[タブの曲げ及び電極体の作製]
図15A〜
図15Cは、第1の電極体要素3aの第1正極タブ群40a及び第2の電極体要素3bの第2正極タブ群40bが接続された第2正極集電体6bを、第2絶縁部材63を介して封口板2上に配置する工程を示す図である。
【0064】
図15Aに示すように、封口板2の電池内面側に第2絶縁部材63を配置する。ここで、第2絶縁部材63は、ベース部630a(上述の絶縁部材第2領域63yに相当)を有する。ベース部630aにおいて、封口板2の短手方向における一方の端部には、封口板2から離れる方向に延びる第1壁部630bが設けられ、封口板2の短手方向における他方の端部には、封口板2から離れる方向に延びる第2壁部630cが設けられている。ベース部630aにおいて、封口板2の電解液注液孔15と対向する位置には、絶縁部材第2開口63iが設けられている。絶縁部材第2開口63iの周囲には、封口板2から離れる方向に延びる絶縁部材環状リブ63kが設けられている。
【0065】
次に、
図15Bに示すように、第2正極集電体6bを、第2絶縁部材63を介して封口板2上に配置する。第2絶縁部材63のベース部630aは、第2正極集電体6bと封口板2の間に配置される。また、第1壁部630b及び第2壁部630cは、それぞれ、第2正極集電体6bにおいて第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bが接続された面よりも、封口板2から離れる方向に突出した状態となる。なお、
図15Bの状態とした後、第2正極集電体6bが第1正極集電体6aに溶接接続される。
【0066】
次に、
図15Cに示すように、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを一つに纏めるように、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bを湾曲させる。ここで、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bは異なる方向に湾曲している。
【0067】
第1正極タブ群40aは、第2正極集電体6bにおいて、封口板2に沿って配置される領域に接続されている。第1正極タブ群40aの先端部は、封口板2の短手方向における中央側に位置する。第1正極タブ群40aは、第1壁部630bの近傍で折れ曲がり、各正極板に接続されている。そして、第1正極タブ群40aにおける第1壁部630b側の外面が、第1壁部630bの内側面(封口板2の短手方向における中央側の側面)に接している。
【0068】
第2正極タブ群40bは、第2正極集電体6bにおいて、封口板2に沿って配置される領域に接続されている。第2正極タブ群40bの先端部は、封口板2の短手方向における中央側に位置する。第2正極タブ群40bは、第2壁部630cの近傍で折れ曲がり、各正極板に接続されている。そして、第2正極タブ群40bにおける第2壁部630c側の外面が、第2壁部630cの内側面(封口板2の短手方向における中央側の側面)に接している。
【0069】
第1正極タブ群40aにおける第1壁部630b側の外面が、第1壁部630bの内側面に接し、第2正極タブ群40bにおける第2壁部630c側の外面が、第2壁部630cの内側面に接している。このような構成であると、湾曲した第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが意図した形状に湾曲する。したがって、湾曲した第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが、封口板2の短手方向において外側に突出したり、意図しない形状に湾曲したり、折れ曲がったりすることをより効果的に防止できる。例えば、第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが、封口板2の短手方向において外側に突出したり、意図しない形状に湾曲したり折れ曲がったりすると、正極タブ40が破損、損傷したり、あるいは意図しない短絡の原因となり得る。また、封口板2の短手方向において外側に突出した第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bは、電極体3を角形外装体1に挿入する際に、挿入性を低下させる可能性がある。
【0070】
なお、負極側についても正極側と同様の構成とすることが好ましい。内部側絶縁部材12に、封口板2と第2負極集電体8bの間に配置されるベース部、当該ベース部に設けられ封口板2から離れる方向に延びる壁部を設けることが好ましい。そして、第1負極タブ群50aと第2負極タブ群50bをそれぞれ壁部の内側面に接触させることが好ましい。
【0071】
なお、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを、テープ等により一つに纏めることが好ましい。あるいは、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを、箱状ないし袋状に成形した絶縁シート14内に配置して、一つに纏めることが好ましい。あるいは、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを接着により固定することが好ましい。
【0072】
[カバー部の取り付け]
第2正極集電体6bを第1正極集電体6aに接続し、第2負極集電体8bを第1負極集電体8aに接続した後、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを一つに纏める前に、樹脂製のカバー部80を、第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63に接続することが好ましい。なお、カバー部80は必須の構成ではなく、省略することも可能である。
図2に示すように、角形二次電池20において、第1正極集電体6aと電極体3の間にカバー部80が配置される。なお、カバー部80は、第1絶縁部材10の第2接続部10fと、第2絶縁部材63の第3接続部63dに接続される。なお、カバー部80は第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63の少なくとも一方に接続されていることが好ましい。
【0073】
[角形二次電池20について]
図16は、
図1におけるXVI―XVI断面の封口板2近傍の断面図である。
第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bはそれぞれ湾曲した状態とされ、第2正極集電体6bにおいて封口板2に沿って配置される部分に接続されている。このような構成であるため、角形二次電池20はより体積エネルギー密度の高い角形二次電池となる。
【0074】
絶縁部材としての第2絶縁部材63は、封口板2と正極集電部材6としての第2正極集電体6bの間に配置されたベース部630aと、封口板2の短手方向におけるベース部630aの一方の端部から電極体3に向かって突出する第1壁部630bを有する。そして、第1正極タブ群40aと角形外装体1において第1正極タブ群40aに近い側の側面(
図16においては左側の側面)の間に第1壁部630bが配置されている。このため、第1正極タブ群40aと角形外装体1が直接接触し難い構造となる。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【0075】
絶縁部材としての第2絶縁部材63のベース部630aには、封口板2の短手方向における他方の端部から電極体3に向かって突出する第2壁部630cを有する。そして、第2正極タブ群40bと角形外装体1において第2正極タブ群40bに近い側の側面(
図16においては左側の側面)の間に第2壁部630cが配置されている。このため、第2正極タブ群40bと角形外装体1が直接接触し難い構造となる。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【0076】
第1正極タブ群40aの第1壁部630b側の外面が、第1壁部630bの内側面と接触している。このような構成であると、第1正極タブ群40aが意図しない形状となることを抑制できる。このため、第1正極タブ群40aを構成する正極タブ40が破損や損傷することをより効果的に防止できる。あるいは、予期しない正負極の短絡が生じることをより効果的に防止できる。
【0077】
第2正極タブ群40bの第2壁部630c側の外面が、第2壁部630cの内側面と接触している。このような構成であると、第2正極タブ群40bが意図しない形状となることを抑制できる。このため、第2正極タブ群40bを構成する正極タブ40が破損や損傷することをより効果的に防止できる。あるいは、予期しない正負極の短絡が生じることをより効果的に防止できる。
【0078】
なお、
図16に示すように、絶縁シート14の封口板2側の端部は、第1壁部630bの下端よりも封口板2側に位置することが好ましい。即ち、絶縁シート14は、角形外装体1と電極体3の間から、角形外装体1と第1壁部630bの間まで延びていることが好ましい。また、絶縁シート14の封口板2側の端部は、第2壁部630cの下端よりも封口板2側に位置することが好ましい。即ち、絶縁シート14は、角形外装体1と電極体3の間から、角形外装体1と第2壁部630cの間まで延びていることが好ましい。これにより、封口板2の短手方向において絶縁シート14と第1壁部630bが重なった状態となり、また、封口板2の短手方向において絶縁シート14と第2壁部630cが重なった状態となる。このため、第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが角形外装体1と直接接触することをより確実に防止できる。なお、封口板2の短手方向において、第1壁部630bの厚み、及び第2壁部630cの厚みは、それぞれ、絶縁シート14の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0079】
図16に示すように、封口板2の短手方向において、角形外装体1と第1壁部630bの距離は、角形外装体1と電極体3の距離よりも大きい。また、封口板2の短手方向において、角形外装体1と第2壁部630cの距離は、角形外装体1と電極体3の距離よりも大きい。このような構成であると、第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが角形外装体1と直接接触することをより確実に防止できる。
【0080】
また、正極集電部材6が第1正極集電体6aと第2正極集電体6bからなり、第2正極集電体に第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bが接続されている。このため、より簡単な方法で、より高い体積エネルギー密度を有する角形二次電池を作製することができる。
【0081】
図17に示すように、封口板2の電極体3側の面には、第1凹部2cが設けられている。また、
図6に示すように第2絶縁部材63において封口板2に対向する部分に第1凸部70が設けられている。角形二次電池20において、第1凸部70は、第1凹部2c内に配置される。これにより、封口板2に対して平行な面内において、第2絶縁部材63が封口板2に対して大きくずれることを抑制できる。
【0082】
なお、第1凸部70及び第1凹部2cの形状は特に限定されない。封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第1凸部70の形状が円形であることが好ましい。また、封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第1凹部2cの形状が円形であることが好ましく、長円形状であることがより好ましい。
【0083】
封口板2の短手方向における第1凹部2cの幅と第1凸部70の幅の差は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。
【0084】
封口板2に対して垂直な方向から見たとき、封口板2の長手方向における第1凹部2cの幅は、封口板2の短手方向における第1凹部2cの幅よりも大きいことが好ましい。
【0085】
封口板2の長手方向における第1凹部2cの幅と第1凸部70の幅の差は、封口板2の短手方向における第1凹部2cの幅と第1凸部70の幅の差よりも大きいことが好ましい。このような構成であると、封口板2の短手方向における、第2絶縁部材63の封口板2に対するずれを抑制できると共に、第2絶縁部材63を容易に封口板2に組み付けることが可能となる。
【0086】
なお、第1凸部70及び第1凹部2cの平面視の形状は、線状や点状とすることが好ましく、点状とすることがより好ましい。
【0087】
封口板2の長手方向において、第1凹部2cは、ガス排出弁17と電解液注液孔15の間に配置されることが好ましい。封口板2の長手方向において、第2絶縁部材63は、電解液注液孔15よりも正極端子7側で他の部品に接続されていることが好ましい。このような構成であると、より離れた複数個所において第2絶縁部材63が封口板2に直接ないし間接的に接続されるため、封口板2に対して平行な面内において、第2絶縁部材63が封口板2に対してずれることをより効果的に抑制できる。なお、角形二次電池20においては、第2絶縁部材63は、封口板2に固定された第1絶縁部材10に接続されている。また、第2絶縁部材63は、封口板2に第1絶縁部材10及び正極端子7を介して固定された導電部材61に固定されている。
【0088】
封口板2の短手方向において、第1凹部2cは封口板2の中心よりも封口板2の端部側にずれていることが好ましい。このような構成であると、封口板2に第1凹部2cを設けた場合であっても、封口板2の強度が低下することを抑制できる。このため、封口板2が変形し難くなる。
【0089】
角形二次電池20では、第2絶縁部材63は、変形板62と第1正極集電体6aの間に配置され、第1正極集電体6aと固定された絶縁部材第1領域63xと、封口板2上に配置される絶縁部材第2領域63yを有する。そして、第2絶縁部材63の絶縁部材第2領域に第1凸部70が形成されている。このため、第2絶縁部材63が封口板2に対してずれることにより、電流遮断機構60の脆弱部に負荷が加わることを抑制できる。あるいは、第1正極タブ群40aないし第2正極タブ群40bが損傷することを防止できる。
【0090】
なお、第1凹部2cの深さは、第1凹部2cの周囲の封口板2の厚みに対して、30%〜70%であることが好ましい。また、封口板2の短手方向において、封口板2の中心から第1凹部2cまでの距離は、封口板2の長さに対して1/10以上であることが好ましく、1/8以上であることがより好ましく、1/5以上であることが更に好ましい。
【0091】
図17に示すように、封口板2の電極体3側の面には、第2凹部2dが設けられている。また、
図6に示すように第1絶縁部材10において封口板2に対向する部分に第2凸部71が設けられている。角形二次電池20において、第2凸部71は、第2凹部2d内に配置される。これにより、封口板2に対して平行な面内において、第1絶縁部材10が封口板2に対して大きくずれることを抑制できる。
【0092】
なお、第2凸部71及び第2凹部2dの形状は特に限定されない。封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第2凸部71の形状が円形であることが好ましい。また、封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第2凹部2dの形状が円形であることが好ましく、長円形状であることがより好ましい。
【0093】
封口板2の短手方向における第2凹部2dの幅と第2凸部71の幅の差は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。
【0094】
なお、第2凸部71及び第2凹部2dの平面視の形状は、線状や点状とすることが好ましく、点状とすることがより好ましい。
【0095】
変形板62と第1正極集電体6aの間に配置されるとともに第1正極集電体6aに固定される第2絶縁部材63は、第1絶縁部材10に接続されることが好ましい。このような場合、第1絶縁部材10に設けた第2凸部71を封口板2に設けた第2凹部2d内に配置し、第1絶縁部材10が封口板2に対して大きくずれることを抑制することにより、電流遮断機構60の脆弱部に負荷が加わることをより効果的に抑制できる。
【0096】
封口板2の長手方向において、第2凹部2dは、正極端子取り付け孔2aよりも外側に配置されることが好ましい。このような構成であると、封口板2の長手方向において、正極端子取り付け孔2aよりも内側に第2凹部2dを設けた場合と比較し、封口板2の強度が低下することを抑制できる。また、封口板2の短手方向において、第2凹部2dは、封口板2の中心よりも封口板2の端部側に配置されることが好ましい。また、封口板2に第1凹部2cが形成される場合、封口板2の短手方向において、封口板2の中心よりも一方側に第1凹部2cが形成され、封口板2の中心よりも他方側に第2凹部2dが形成されることが好ましい。
【0097】
なお、第2凹部2dの深さは、第2凹部2dの周囲の封口板2の厚みに対して、30%〜70%であることが好ましい。また、封口板2の短手方向において、封口板2の中心から第2凹部2dまでの距離は、封口板2の長さに対して1/10以上であることが好ましく、1/8以上であることがより好ましく、1/5以上であることが更に好ましい。
【0098】
図17に示すように、封口板2の電極体3側の面には、第3凹部2eが設けられている。
図18に示すように、封口板2と第2負極集電体8bの間に配置される内部側絶縁部材12において封口板2に対向する部分には、第3凸部72が設けられている。角形二次電池20において、第3凸部72は、第3凹部2e内に配置される。これにより、封口板2に対して平行な面内において、内部側絶縁部材12が封口板2に対して大きくずれることを抑制できる。
【0099】
なお、第3凸部72及び第3凹部2eの形状は特に限定されない。封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第3凸部72の形状が円形であることが好ましい。また、封口板2に対して垂直な方向から見たとき、第3凹部2eの形状が円形であることが好ましく、長円形状であることがより好ましい。
【0100】
封口板2の短手方向における第3凹部2eの幅と第3凸部72の幅の差は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。
【0101】
封口板2に対して垂直な方向から見たとき、封口板2の長手方向における第3凹部2eの幅は、封口板2の短手方向における第3凹部2eの幅よりも大きいことが好ましい。
【0102】
封口板2の長手方向における第3凹部2eの幅と第3凸部72の幅の差は、封口板2の短手方向における第3凹部2eの幅と第3凸部72の幅の差よりも大きいことが好ましい。このような構成であると、封口板2の短手方向における、内部側絶縁部材12の封口板2に対するずれを抑制できると共に、内部側絶縁部材12を容易に封口板2に組み付けることが可能となる。
【0103】
なお、第3凸部72及び第3凹部2eの平面視の形状は、線状や点状とすることが好ましく、点状とすることがより好ましい。
【0104】
封口板2の短手方向において、第3凹部2eは封口板2の中心よりも封口板2の端部側にずれていることが好ましい。このような構成であると、封口板2に第3凹部2eを設けた場合であっても、封口板2の強度が低下することを抑制できる。
【0105】
封口板2の短手方向において、封口板2と第2正極集電体6bの間に配置された第2絶縁部材63に設けられた第1凸部70が内部に配置された第1凹部2cが、封口板2の中心よりも一方側に位置し、封口板2と第2負極集電体8bの間に配置された内部側絶縁部材12に設けられた第3凸部72が内部に配置された第3凹部2eが、封口板2の中心よりも他方側に位置することが好ましい。このような構成であると、封口板2の強度が低下することを抑制できる。
【0106】
上述の実施形態に係る角形二次電池20においては、第2絶縁部材63が、封口板2と第2正極集電体6bの間に配置されるベース部630a、第1壁部630b、第2壁部630cを有する例を示した。第2絶縁部材63にベース部及び壁部を設ける代わりに、第1絶縁部材10が、封口板2と第2正極集電体6bの間に配置されるベース部、当該ベース部から電極体3側に延びる壁部を有するようにしてもよい。
【0107】
上述の実施形態に係る角形二次電池20においては、ベース部630aに第1壁部630b及び第2壁部630cを設ける例を示した。しかしながら、第1壁部630b及び第2壁部630cのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。なお、ベース部630aに第1壁部630b及び第2壁部630cの両方を設けることが好ましい。
【0108】
上述の実施形態に係る角形二次電池20においては、複数の正極タブ40を第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bに分ける例を示したが、一つのタブ群とすることもできる。なお、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bを設けることが好ましい。
【0109】
上述の実施形態に係る角形二次電池20は電流遮断機構60を有しているが、電流遮断機構60を設けなくてもよい。電流遮断機構60を設けない場合は、正極側も角形二次電池20の負極側と同様の構成とすることができる。
【0110】
上述の実施形態に係る角形二次電池20では、正極集電部材6が第1正極集電体6a及び第2正極集電体6bの2つの部品からなる例を示したが、正極集電部材6を一つの部品とすることもできる。また、上述の実施形態に係る角形二次電池20では、負極集電部材8が第1負極集電体8a及び第2負極集電体8bの2つの部品からなる例を示したが、負極集電部材8を一つの部品とすることもできる。
【0111】
上述の実施形態に係る角形二次電池20では、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40b、第1負極タブ群50aと第2負極タブ群50bが、それぞれ異なる方向に湾曲する例を示した。しかしながら、これに限定されず、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bが同じ方向に湾曲し、第1負極タブ群50aと第2負極タブ群50bが同じ方向に湾曲するようにしてもよい。
【0112】
上述の実施形態に係る角形二次電池20では、正極端子7及び負極端子9が封口板2と絶縁される例を示したが、正極端子7及び負極端子9の一方を封口板2と電気的に接続することができる。
【0113】
封口板2に設けられるガス排出弁17は、封口板2に設けられた薄肉部であることが好ましい。このようなガス排出弁17としての薄肉部は、例えば、プレス成形により形成される。また、封口板2に貫通孔を設け、当該貫通孔を薄肉の弁体で塞ぎ、当該弁体を封口板2に溶接接続するようにしてもよい。
【0114】
<その他>
変形板の変形に伴い破断する破断予定部は、集電部材に設けられた脆弱部、集電部材と変形板の接続部、ないし、変形板に設けられた脆弱部とすることが好ましい。脆弱部としては、薄肉部やノッチ等が好ましい。
【0115】
第1絶縁部材、第2絶縁部材、カバー部は、樹脂製であることが好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はエチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等からなるものを用いることができる。
【0116】
上述の実施形態においては、電極体3が二つの電極体要素3a、3bからなる例を示したが、これに限定されない。電極体3が一つの積層型電極体であってもよい。また、電極体3が、長尺状の正極板と長尺状の負極板をセパレータを介して巻回した一つの巻回型電極体であってもよい。また、二つの電極体要素3a、3bは、それぞれ積層型電極体に限定されず、長尺状の正極板と長尺状の負極板をセパレータを介して巻回した巻回型電極体であってもよい。
【0117】
電極体が複数枚の正極板及び複数枚の負極板を有する積層型電極体の場合や、電極体が巻回電極体であり、その巻回軸が封口板に対して垂直な方向になるように配置される場合、電極体において、正極板の端部、負極板の端部、及びセパレータの端部が封口板側に位置することが好ましい。このような構成であると、封口板に電解液注液孔が設けられている場合、電極体への電解液の注液性が向上する。このような場合、負極板における負極活物質合剤層の封口板側の端部よりも、セパレータの封口板側の端部が、封口板2側に突出していることが好ましい。また、電極体において、正極板における正極活物質合剤層の封口板側の端部よりも、セパレータの封口板側の端部が、封口板側に突出していることが好ましい。また、正極板とセパレータが接着層により接着され、負極板とセパレータが接着層により接着されていることが好ましい。このような構成であると、第2絶縁部材に、正極活物質合剤層及び負極活物質合剤層が接触し正極活物質合剤層ないし負極活物質合剤層が損傷することを確実に防止できる。