特許第6981470号(P6981470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981470
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】分配器及び車載システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20211202BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H02J1/00 304H
   H02J1/00 306J
   B60R16/02 620S
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-525147(P2019-525147)
(86)(22)【出願日】2018年4月16日
(86)【国際出願番号】JP2018015654
(87)【国際公開番号】WO2018230132
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-114884(P2017-114884)
(32)【優先日】2017年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】安則 裕通
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−060427(JP,A)
【文献】 特開2010−023727(JP,A)
【文献】 特開2008−269494(JP,A)
【文献】 特開2008−213517(JP,A)
【文献】 特開2014−024417(JP,A)
【文献】 特開2012−054688(JP,A)
【文献】 特開2002−274292(JP,A)
【文献】 特開2007−237868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配器を複数個有し、
前記分配器は、
車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、
前記電源配線から前記負荷へ供給される電力を前記稼働情報に基づいて分配し、
前記車両の隅に配置され、
複数の前記分配器が前記稼働信号線の幹線及び前記電源配線の幹線で相互に接続され、 3個以上の前記分配器を有し、
前記分配器の各々は2個以上の他の前記分配器とそれぞれ1つずつの前記稼働信号線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項2】
分配器を複数個有し、
前記分配器は、
車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、
前記電源配線から前記負荷へ供給される電力を前記稼働情報に基づいて分配し、
前記車両の隅に配置され、
複数の前記分配器が前記稼働信号線の幹線及び前記電源配線の幹線で相互に接続され、 3個以上の前記分配器を有し、
前記分配器の各々は2個以上の他の前記分配器と前記電源配線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項3】
分配器を複数個有し、
前記分配器は、
車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、
前記電源配線から前記負荷へ供給される電力を前記稼働情報に基づいて分配し、
前記車両の隅に配置され、
複数の前記分配器が前記稼働信号線の幹線及び前記電源配線の幹線で相互に接続され、 前記車両の前方右側の隅に配置される前記分配器と、前記車両の前方左側の隅に配置される前記分配器と、前記車両の後方中央側の隅に配置される前記分配器とを有し、
前記分配器の各々は他の2個の前記分配器とそれぞれ1つずつの前記稼働信号線の前記幹線によって相互に接続され、前記分配器の各々は他の2個の前記分配器と前記電源配線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項4】
請求項1、請求項2、請求項3のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記分配器は、
前記電源配線からの電力を前記稼働情報に基づいて分配するための制御を行う分配制御部と、
前記分配制御部に接続され、前記分配制御部による制御下で電力を分配して前記負荷に供給する電源供給部と
を備える、車載システム。
【請求項5】
車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、
前記電源配線から前記負荷へ供給される電力を前記稼働情報に基づいて分配し、
前記車両の隅に配置される分配器であって、
前記電源配線からの電力を前記稼働情報に基づいて分配するための制御を行う分配制御部と、
前記分配制御部に接続され、前記分配制御部による制御下で電力を分配して前記負荷に供給する電源供給部と
を備え、
前記稼働信号線は前記稼働情報が入力される入力稼働信号線と、前記稼働情報を出力する出力稼働信号線とから構成され、
前記入力稼働信号線と前記出力稼働信号線とに接続され、前記入力稼働信号線から入力された前記稼働情報を前記出力稼働信号線に出力する入出力部
を更に備える分配器。
【請求項6】
請求項に記載の分配器であって、
前記入出力部は前記入力稼働信号線から入力された前記稼働情報を通信方式を変換して前記出力稼働信号線に出力する、分配器。
【請求項7】
車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、
前記電源配線から前記負荷へ供給される電力を前記稼働情報に基づいて分配し、
前記車両の隅に配置される分配器であって、
前記電源配線からの電力を前記稼働情報に基づいて分配するための制御を行う分配制御部と、
前記分配制御部に接続され、前記分配制御部による制御下で電力を分配して前記負荷に供給する電源供給部と、
前記負荷を追加して接続するコネクタと
を備え、
前記分配制御部は、前記コネクタに接続された前記負荷の稼働種別を、追加された前記負荷から前記コネクタを介して取得し、
前記電源供給部は、前記コネクタに接続された前記負荷に対して、前記コネクタを介して、前記稼働種別を示す情報及び前記稼働情報に基づいて前記電力を分配し、
前記稼働信号線は前記稼働情報が入力される入力稼働信号線である、分配器。
【請求項8】
請求項または請求項に記載の分配器であって、
前記負荷を追加して接続するコネクタ
を更に備え、
前記分配制御部は、前記コネクタに接続された前記負荷の稼働種別を、追加された前記負荷から前記コネクタを介して取得し、
前記電源供給部は、前記コネクタに接続された前記負荷に対して、前記コネクタを介して、前記稼働種別を示す情報及び前記稼働情報に基づいて前記電力を分配する、分配器。
【請求項9】
請求項または請求項に記載の分配器であって、
前記稼働種別を示す情報を外部に出力し、前記稼働種別に基づいた稼働プログラムが外部から入力され、
前記コネクタに接続された前記負荷は前記稼働プログラムによって稼働する、分配器。
【請求項10】
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の分配器であって、
前記車両の後方の隅に配置される、分配器。
【請求項11】
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の分配器であって、
前記車両の車幅方向の左右いずれかの隅に配置される、分配器。
【請求項12】
請求項から請求項11までのいずれか一項に記載の分配器であって、
前記車両の屋根の隅に配置される、分配器。
【請求項13】
請求項から請求項12までのいずれか一項に記載される分配器を複数個有し、
複数の前記分配器が前記稼働信号線の幹線及び前記電源配線の幹線で相互に接続される、車載システム。
【請求項14】
請求項13に記載の車載システムであって、
3個以上の前記分配器を有し、
前記分配器の各々は2個以上の他の前記分配器とそれぞれ1つずつの前記稼働信号線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の車載システムであって、
3個以上の前記分配器を有し、
前記分配器の各々は2個以上の他の前記分配器と前記電源配線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項16】
請求項13に記載の車載システムであって、
前記車両の前方右側の隅に配置される前記分配器と、前記車両の前方左側の隅に配置される前記分配器と、前記車両の後方中央側の隅に配置される前記分配器とを有し、
前記分配器の各々は他の2個の前記分配器とそれぞれ1つずつの前記稼働信号線の前記幹線によって相互に接続され、前記分配器の各々は他の2個の前記分配器と前記電源配線の前記幹線によって相互に接続される、車載システム。
【請求項17】
請求項3、請求項4、請求項16のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記電源配線の前記幹線は、前記車両に対して平面視でT字状に敷設され、
前記分配器を相互に接続する3つの前記稼働信号線の前記幹線が、前記電源配線の前記幹線と重ねて敷設される、車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両において電力及び情報を分配する分配器及び車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に設けられた複数の車内ネットワークの間での情報の送受信を中継するゲートウェイが開示されている。特許文献2には、床面中央部上に延設された金属配線を基幹電源線として、各負荷への電源供給をワイヤーハーネスを介して行なう自動車用電源供給装置が開示されている。非特許文献1には、情報の送受信における冗長構成を構築する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−193654号公報
【特許文献2】特開2016−120901号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”ルーター開発の最前線第9回 LAN経路の冗長化を実現するリング・プロトコル[1]仕組みを独自開発し,高速処理のためにハード化 信頼性の高いネットワークを構築するために(その3)”、[online]、2009年1月14日、日経NETWORK、[平成29年5月1日検索]、インターネット(URL:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090105/322216/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のゲートウェイは、複数の車内ネットワークの間で情報を分配する分配器として機能している。しかし、このような分配器と、複数の車内ネットワークにおける各負荷に電力を分配する分配器とを、車内に別体に設ける場合、車内ネットワークを構成する部材(例えば、ワイヤーハーネス、通信線)が増加するという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の自動車用電源供給装置のように、基幹電源線が床面中央部上に配索される構成では、基幹電源線と各負荷を接続する場合には中央部まで配索しなければならないという課題があった。特に、後付けで追加される負荷が車両の隅に配置される場合には、このような配索距離の増大が顕著になる。これは、車内ネットワークを構成する部材の増大を招来する。
【0007】
そこで、本発明は、車内ネットワークを構成する部材を削減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、分配器は、車両に敷設される電源配線と、前記電源配線から電力が供給される車両用の負荷と、前記負荷が稼働すべきか停止すべきかの基準となる稼働情報が伝達される稼働信号線とに接続され、前記電源配線から前記負荷へ供給する電力を前記稼働情報に基づいて分配し、前記車両の隅に配置される。
前記分配部は、前記電源配線からの電力を前記稼働情報に基づいて分配するための制御を行う分配制御部と、前記分配制御部に接続され、前記分配制御部による制御下で電力を分配して前記負荷に供給する電源供給部とを備える。
前記稼働信号線は前記稼働情報が入力される入力稼働信号線と、前記稼働情報を出力する出力稼働信号線とから構成される。前記分配部は、前記入力稼働信号線と前記出力稼働信号線とに接続され、前記入力稼働信号線から入力された前記稼働情報を前記出力稼働信号線に出力する入出力部を更に備える。

【発明の効果】
【0009】
本発明では、分配器が、稼働信号線により稼働情報を通信する機能と、この稼働情報に基づいて車両用の負荷に電力を分配する機能とを有する。よって、これらの機能を別体に設ける態様に比べて、車内ネットワークを構成する部材を削減することが可能である。
【0010】
また、本発明では、分配器が車両の隅に配置されている。よって、車両の隅に後付けで負荷を追加する場合であっても、分配器と負荷とを接続する部材の配索距離を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車載システムの構成例を模式的に示す説明図である。
図2】電源幹線の構成例を示す縦断面図である。
図3】ECUの機能構成の一例を示す図である。
図4】電源分配部の構成例を模式的に示す図である。
図5】本実施形態の比較例に係る車載システムの構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
{実施形態}
<全体の構成>
図1は、車載システム1の構成例を模式的に示す説明図である。車載システム1は、車両2に搭載されるシステムであり、電力供給の対象である車両用の複数の負荷3と、各負荷3の動作を制御する3つのECU4と、電力の供給源であるバッテリー5とを有する。
【0013】
ECU4は、車両2の前方右側の隅に配されるライトECU(Engine Control Unit)41と、車両2の前方左側の隅に配されるレフトECU42と、車両2の後方中央側の隅に配されるリアECU43とを総称する概念である。このように、3つのECU4はそれぞれ、車両2の前後方向又は車幅方向の隅に配されている。なお、車両2についての「隅」とは床面における隅のみならず、屋根における隅をも含む概念である。
【0014】
3つのECU4は、電源配線61,62によって電源供給可能に接続され、かつ3つの通信線63によって情報通信可能に接続されている。より具体的には、電源配線61,62は3つのECU4を相互に接続しており、各通信線63は3つのECU4のうちの各2つを相互に接続している。
【0015】
電源配線61は、車幅方向に伸びてライトECU41及びレフトECU42を繋ぐ部分と、車両2の前後方向に伸びて上記部分の中央位置とリアECU43とを繋ぐ部分とを有し、車両2に対して平面視でT字状に敷設される。電源配線62は、電源配線61と同様にT字状に敷設され、図1では平面視で電源配線61と重なっている状況が示される。
【0016】
通信線63は、ライトECU41とレフトECU42とを接続する通信線631と、レフトECU42とリアECU43とを接続する通信線632と、リアECU43とライトECU41とを接続する通信線633とを総称する概念である。図1では、3つの通信線63が、平面視で電源配線61,62と重なっている状況が示される。例えば、電源配線61は車両2のボディ側に配置され、電源配線6が通信線63と電源配線61とに挟まれる。
【0017】
図2は、図1のII-II断面から視た電源配線61,62及び通信線63の縦断面図である。なお、図2では、3つの通信線63のうちの2つ(具体的には、通信線632,633)が図示されている。
【0018】
図2に示すように、電源配線61及び該電源配線61の周囲に設けられた絶縁被覆61aと、電源配線62及び該電源配線62の周囲に設けられた絶縁被覆62aと、2つの通信線63及び該2つの通信線63の周囲に設けられた絶縁被覆63aとが積層されている。図1では図示の簡単のため、絶縁被覆61a,62a,63aを省略している。
【0019】
電源配線61は、その延在方向(図における紙面前後方向)に垂直な断面において扁平な形状を有している。
【0020】
電源配線61は、導電性を有する材料によって形成される。例えば、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属を、電源配線61の材料に採用することができる。絶縁被覆61aは、電源配線61の延在方向に直交する断面において、電源配線61の周囲(全周)を覆っている。電源配線61は、例えば、その一端がバッテリー5に接続されて、プラスあるいはマイナスの電源幹線として利用される。
【0021】
電源配線62及び絶縁被覆62aも、電源配線61及び絶縁被覆61aと同様に構成される。電源配線62は、例えば、その一端が接地されてアース用の幹線として利用される。
【0022】
電源配線61,62は、互いに平行に設けられる。より具体的には、絶縁被覆61a,62aを介して電源配線61の図中で上側となる面と電源配線62の図中で下側となる面とが対向するように、電源配線61,62が積層される。
【0023】
2つの通信線63は、その断面が例えば円形状をなし、導電性を有する材料によって形成される。例えば、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属を、通信線63の材料に採用することができる。当該断面は電源配線と類似してその延在方向に垂直な断面において扁平な形状を有していてもよい。
【0024】
例えば2つの通信線63は、電源配線61,62の幅方向(図2における左右方向)に沿って間隔をあけて互いに平行に設けられる。絶縁被覆63aは、2つの通信線63の延在方向に直交する断面において、2つの通信線63の周囲(全周)を覆っている。
【0025】
2つの通信線63は、電源配線61,62と平行に設けられる。より具体的には、絶縁被覆62a,63aを介して電源配線62の上面と2つの通信線63の下面とが対向するように、電源配線61,62に通信線63が積層される。
【0026】
ここまで、電源配線61,62と通信線632,633との配置関係について説明したが、電源配線61,62と通信線631,632との配置関係、及び電源配線61,62と通信線633,631との配置関係も上記と同様である。このように、平面視でT字状に配された省スペースな電源配線61,62及び3つの通信線63によって、3つのECU4が電源供給及び情報通信可能に接続される。3つの通信線63は、後述する稼働情報を伝達するための幹線として利用される。
【0027】
3つの通信線63の通信方式には、例えば、1Gイーサネット(1Giga_Ethernet)(以下「1Gイーサ」と称す)方式が利用される。よって、この通信方式では、後述するCAN(Controller Area Network)方式又はCAN FD(CAN with Flexible Data Rate)方式や100Mイーサネット(100Mega_Ethernet)(以下「100Mイーサ」と称す)方式よりも通信帯域が広く、安定して大容量の通信を行うことができる。なお、「イーサネット」及び「Ethernet」は登録商標である。
【0028】
各ECU4は、各枝線7aを介して自身に接続された各負荷3に対して電源供給を行い、かつ各枝線7bを介して自身に接続された各負荷3に対して情報通信を行って、各負荷3を制御する制御部として機能する。本明細書において、幹線とは各ECU4を相互に接続する電源配線又は通信線に用いる用語であり、枝線とは各ECU4と各負荷3とを接続する電源配線又は通信線に用いる用語である。具体的には、枝線7aとは、電源配線における枝線であり、後述する枝線714,724,734を総称する概念である。枝線7bとは、通信線における枝線であり、後述する枝線711〜713,722〜723,732〜733を総称する概念である。
【0029】
ライトECU41には、負荷3として、インターネット用のディスプレイ311と、ブルートゥース(Bluetooth)又はワイファイ(Wi-Fi)の無線通信(図中「近接無線」として示した)により外部の機器と接続するための機器接続部312と、LTE(Long Term Evolution)方式又は5G(5th Generation)方式(図中「LTE/5G」として示した)により外部の機器と接続するためのTCU(Telematics Control Unit)313とが接続されている。ライトECU41とこれらの負荷3とを接続する枝線711の通信方式には、例えば、1Gイーサ方式が利用される。よって、この通信方式では、後述するCAN方式又はCAN FD方式や100Mイーサ方式よりも通信帯域が広く、安定して大容量の通信を行うことができる。なお、「ブルートゥース」、「Bluetooth」、「LTE」は登録商標である。
【0030】
また、ライトECU41には、負荷3として、車両2の右前方に対して光を用いたリモートセンシングにより画像検出及び測距を行うLIDAR(Light Imaging Detection and Ranging)を採用するユニット(以下では単に「LIDAR」と称する)314と、車両2の右側を撮像するカメラ315と、イーサネット方式の通信を経由して車両の診断を行うDoIP(Diagnostics over Internet Protocol)を採用するユニット(以下及び図中では単に「DoIP」と称する)316とが接続されている。ライトECU41とこれらの負荷3とを接続する枝線712の通信方式には、例えば、100Mイーサ方式が利用される。
【0031】
また、ライトECU41には、負荷3として、各負荷の稼働情報を検出するBCM(Body Control Module)317と、種々の負荷318〜320とが接続されている。ライトECU41とこれらの負荷3とを接続する枝線713の通信方式には、例えば、CAN方式又はCAN FD方式が利用される。
【0032】
また、ライトECU41には、負荷3として、負荷321が接続されている。ライトECU41と負荷321とを接続する枝線714は電力供給用の電源配線として機能する。なお、図1では図示を省略しているが、枝線7aとして、ディスプレイ311、機器接続部312、TCU313、LIDAR314、カメラ315、DoIP316、BCM317、及び負荷318〜320のそれぞれとライトECU41とを接続する電源配線が設けられてもよい。
【0033】
レフトECU42には、負荷3として、電子ミラー用のディスプレイ322と、ナビゲーション用のディスプレイ323と、車両2の中央前方に対して画像検出及び測距を行うLIDAR324と、車両2の前方側を撮像するカメラ325と、車両2の左前方に対して画像検出及び測距を行うLIDAR326と、車両2の左側を撮像するカメラ327と、負荷328とが接続されている。レフトECU42とこれらの負荷3とを接続する枝線722の通信方式には、例えば、100Mイーサ方式が利用される。
【0034】
また、レフトECU42には、負荷3として、種々の負荷329〜331が接続されている。レフトECU42とこれらの負荷3とを接続する枝線723の通信方式には、例えば、CAN方式又はCAN FD方式が利用される。
【0035】
また、レフトECU42には、負荷3として、負荷332,333が接続されている。レフトECU42と負荷332,333とを接続する枝線724は電力供給用の電源配線として機能する。なお、図1では図示を省略しているが、枝線7aとして、ディスプレイ322,323、LIDAR324,326、カメラ325,327、及び負荷328〜331のそれぞれとレフトECU42とを接続する電源配線が設けられてもよい。
【0036】
リアECU43には、負荷3として、車両2の中央後方に対して画像検出及び測距を行うLIDAR334と、車両2の後方側を撮像するカメラ335と、車両2の位置情報を管理するロケータ336と、車両2の自動運転、例えば自動ブレーキを管理する自動運転部337とが接続されている。リアECU43とこれらの負荷3とを接続する枝線732の通信方式には、例えば、100Mイーサ方式が利用される。
【0037】
また、リアECU43には、負荷3として、種々の負荷338〜340が接続されている。リアECU43とこれらの負荷3とを接続する枝線733の通信方式には、例えば、CAN方式又はCAN FD方式が利用される。
【0038】
また、リアECU43には、負荷3として、負荷341が接続されている。リアECU43と負荷341とを接続する枝線734は電力供給用の電源配線として機能する。なお、図1では図示を省略しているが、枝線7aとして、LIDAR334、カメラ335、ロケータ336、自動運転部337、及び負荷338〜340のそれぞれとリアECU43とを接続する電源配線が設けられてもよい。
【0039】
また、リアECU43には電源配線735を介してバッテリー5が接続され、バッテリー5には電源配線736を介して降圧用のDC/DC降圧コンバーター50が接続されている。
【0040】
<ECUの機能構成>
次に、図3を参照して、ECU4の機能構成を説明する。
【0041】
図3は、ECU4の機能構成の一例を示す図である。本実施形態では、ライトECU41、レフトECU42、及びリアECU43は同様の機能構成であるので、これらのいずれもが図3に示す第1ECU4a、第2ECU4b、及び第3ECU4cとして機能しうる。以下では、代表として第1ECU4aの機能構成について詳細に説明し、第2ECU4b、第3ECU4cの機能構成について重複説明を省略する。各ECU4において、例えば、通信制御部45は各負荷3の稼働情報を通信するためのマイクロコンピュータを含んで構成され、電源分配部46は各負荷3への電力を分配するための半導体リレーを含んで構成される。
【0042】
第1ECU4aは、通信制御部45と、電源分配部46と、アドオン部47と、セキュリティ部48と、を有する。以下、各部の機能について詳述する。
【0043】
通信制御部45は、第1ECU4aによる通信を行うための機能部として、イーサ送受信部451と、イーサゲートウェイ452と、CAN−イーサ変換部453と、CANゲートウェイ454と、CAN送受信部455とを有する。また、通信制御部45は、第1ECU4aの通信経路が失陥した場合に通信経路を切替えるための機能部として、通信失陥検出部456と、経路切替部457とを有する。
【0044】
イーサ送受信部451は、1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式によって外部と情報を送受信する機能部である。
【0045】
第1ECU4aのイーサ送受信部451は、第2ECU4b及び第3ECU4cのイーサ送受信部と、1Gイーサ方式によって通信される通信線63で接続されている。また、第2ECU4bのイーサ送受信部及び第3ECU4cのイーサ送受信部も、通信線63で相互に接続されている。
【0046】
また、第1ECU4aのイーサ送受信部451は、複数の負荷3と、イーサ方式によって通信される複数の枝線74で接続されている。第1ECU4aがライトECU41である場合、100Mイーサ方式での通信が行われる構成として、図3で示された上記複数の負荷3は図1で示されたLIDAR314、カメラ315、及びDoIP316を含み、図3で示された上記複数の枝線74は図1で示された複数の枝線712を含む。また、1Gイーサ方式での通信が行われる構成として、図3で示された上記複数の負荷3がディスプレイ311、機器接続部312、及びTCU313を含み、図3で示された上記複数の枝線74は、図1で示された複数の枝線711をさらに含む(図1も参照)。
【0047】
第1ECU4aがレフトECU42である場合、図3で示された上記複数の負荷3は、図1で示されたディスプレイ322,323、LIDAR324,326、カメラ325,327、及び負荷328に相当する。図3で示された上記複数の枝線74は、図1で示された複数の枝線722に相当する。
【0048】
第1ECU4aがリアECU43である場合、図3で示された上記複数の負荷3は、図1で示されたLIDAR334、カメラ335、ロケータ336、及び自動運転部337に相当する。図3で示された上記複数の枝線74は、図1で示された複数の枝線732に相当する。
【0049】
イーサゲートウェイ452は、第1ECU4aにおいて、情報の送受信を1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式によって中継する機能部である。イーサゲートウェイ452は、イーサ送受信部451から受信した情報をCAN−イーサ変換部453又は後述する電源供給部462に送信する。同様に、イーサゲートウェイ452は、CAN−イーサ変換部453から受信した情報を電源供給部462又はイーサ送受信部451に送信する。
【0050】
CAN−イーサ変換部453は、通信プロトコルを変換する機能部である。CAN−イーサ変換部453は、イーサゲートウェイ452から受信した情報の通信プロトコルを、1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式からCAN方式又はCAN FD方式に変換し、変換後の情報をCANゲートウェイ454に送信する。同様に、CAN−イーサ変換部453は、CANゲートウェイ454から受信した情報通信プロトコルを、CAN方式又はCAN FD方式から1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式に変換し、変換後の情報をイーサゲートウェイ452に送信する。
【0051】
CANゲートウェイ454は、第1ECU4aにおいて、情報の送受信をCAN方式又はCAN FD方式によって中継する機能部である。CANゲートウェイ454は、CAN送受信部455から受信した情報をCAN−イーサ変換部453又は後述する電源供給部462に送信する。同様に、CANゲートウェイ454は、CAN−イーサ変換部453から受信した情報を電源供給部462又はCAN送受信部455に送信する。
【0052】
CAN送受信部455は、CAN方式又はCAN FD方式によって外部と情報を送受信する機能部である。
【0053】
第1ECU4aのCAN送受信部455は、複数の負荷3と、CAN方式又はCAN FD方式によって通信される複数の枝線75で接続されている。第1ECU4aがライトECU41である場合、図3で示された上記複数の負荷3は、図1で示されたBCM317及び負荷318〜320に相当する。図3で示された上記複数の枝線75は、図1で示された複数の枝線713に相当する。
【0054】
第1ECU4aがレフトECU42である場合、図3で示された上記複数の負荷3は、図1で示された負荷329〜331に相当する。図3で示された上記複数の枝線75は、図1で示された複数の枝線723に相当する。
【0055】
第1ECU4aがリアECU43である場合、図3で示された上記複数の負荷3は、図1で示された負荷338〜340に相当する。図3で示された上記複数の枝線75は、図1で示された複数の枝線733に相当する。
【0056】
また、第1ECU4aのCAN送受信部455は、後述するコネクタ471とCAN方式又はCAN FD方式によって枝線75で接続されている。
【0057】
このように、イーサ送受信部451、イーサゲートウェイ452、CAN−イーサ変換部453、CANゲートウェイ454、及びCAN送受信部455は、1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式とCAN方式又はCAN FD方式との通信方式を変換可能に信号の入出力(送受信ともいう)を行う入出力部45aとして機能する。
【0058】
通信失陥検出部456は、第1ECU4aに接続される2本の通信線63の通信失陥を検出する機能部である。このような通信失陥が生じた事態としては、例えば、上記2本の通信線63のうち1本の通信線63が破断し、該1本の通信線63による情報通信が不能となる事態が挙げられる。通信失陥検出部456は、上記のような通信失陥を検出すると、経路切替部457に対して切替信号を出力する。
【0059】
経路切替部457は、通信失陥検出部456から切替信号が入力されることにより、3本の通信線63による通信経路を切替える機能部である。
【0060】
3本の通信線63が正常に機能している場合には、図1を参照して、ライトECU41とレフトECU42とが通信線631を介して1Gイーサ方式で通信され、レフトECU42とリアECU43とが通信線632を介して1Gイーサ方式で通信され、リアECU43とライトECU41とが通信線633を介して1Gイーサ方式で通信される。
【0061】
他方、通信線63の1本(例えば、通信線631)による通信が失陥した場合には、通信失陥検出部456がイーサ送受信部451を介してその通信失陥を検出する。通信失陥検出部456は、その検出情報を含む切替信号を出力し、該切替信号を入力した経路切替部457が通信経路の切替を行う。その結果、ライトECU41とレフトECU42との通信経路が、通常の経路(通信線631のみの経路)から新たな経路(通信線632、リアECU43、及び通信線633を経由する経路)に切り替えられる。このように、3個のECU4をリング状の通信経路で接続することにより、各ECU4が他の2個のECU4とそれぞれ1つずつの通信線63によって接続される。このような冗長構成を構築する技術としては、例えば、非特許文献1に開示される技術を利用することができる。また、3個以上のECU4を接続することにより、各ECU4が他の2個以上のECU4と接続される態様であってもよい。
【0062】
図4は、電源分配部46の構成例を模式的に示す図である。電源分配部46は、電源配線61から供給された電力を各負荷3に分配するための構成として、分配制御部461と、電源供給部462とを有する。
【0063】
分配制御部461は、電源配線61からの電力を稼働情報に基づいて分配するための制御を行う機能部である。ここで、稼働情報とは、各負荷3が稼働すべきか停止すべきかの基準となる情報である。例えば稼働情報は、車両2が常時電源(図3中「+B」と表記)を使用すべき状態(以下「+B状態」と称す)であるという情報、車両2がアクセサリ電源(図3中「ACC」と表記)を使用すべき状態(以下「ACC状態」と称す)であるという情報、及び、車両2がイグニッション電源(図3中「IG」と表記)を使用すべき状態(以下「IG状態」と称す)であるという情報を含む。稼働情報の取得については後述する。
【0064】
分配制御部461は、リレー制御部461aを含んで構成される。リレー制御部461aは、通信線78によってイーサゲートウェイ452と接続され、かつ通信線79によってCANゲートウェイ454と接続される。通信線78,79の少なくとも一方を介して、リレー制御部461aに稼働情報を含む信号が入力される。また、通信線79を介してリレー制御部461aに後述する種別信号が入力される。
【0065】
電源供給部462は、分配制御部461に接続され、分配制御部461による制御下で電力を分配して各負荷3に供給する機能部である。例えば電源供給部462は、電源配線61から供給される電力が分配される4つの電源配線64a〜64dと、3つの電源配線64b〜64dにそれぞれ設けられる3つの半導体リレー462b〜462dとを有する。3つの半導体リレー462b〜462dは、それぞれ通信線700b〜700dを介してリレー制御部461aに接続されている。
【0066】
電源配線64aは、常時電源を負荷3aに供給するための電源経路であり、+B状態、ACC状態、IG状態のいずれにおいても導通している。電源配線64bは、アクセサリ電源を負荷3に供給するための電源経路であり、半導体リレー462bによって、+B状態においては非導通となり、ACC状態、IG状態においては導通する。半導体リレー462bは、通信線700bを介して取得した稼働情報を基に電源配線64bの開閉制御(導通/非導通の制御)を行う。電源配線64cは、イグニッション電源を負荷3cに供給するための電源経路であり、半導体リレー462cによって、+B状態、ACC状態においては非導通となり、IG状態において導通する。半導体リレー462cは、通信線700cを介して取得した稼働情報を基に電源配線64cの開閉制御(導通/非導通の制御)を行う。電源配線64dは、常時電源、アクセサリ電源、又はイグニッション電源のいずれかを負荷3に供給するための電源経路であり、半導体リレー462dによってその導通/非導通が制御(開閉制御)される。半導体リレー462dは、通信線700dを介して取得した稼働情報及び後述する種別信号を基に電源配線64dの開閉制御を行う。
【0067】
図3に示す例では、電源供給部462から出力される電力が、負荷3a〜3c及びコネクタ471に供給される。負荷3aは、例えばBCM317のように、車両2が+B状態、ACC状態、IG状態である際に電力が供給されて稼働する機器である。負荷3bは、例えばナビゲーション用のディスプレイ323のように、車両2がACC状態、IG状態である際に電力が供給されて稼働する機器である。負荷3cは、例えば自動運転部337のように、車両2がIG状態である際に電力が供給されて稼働する機器である。なお、電源供給部462と各負荷3a〜3cの間には、それぞれヒューズ463a〜463cが設けられる。より具体的には図4を参照して、負荷3aはヒューズ463aを介して電源配線64aと、負荷3bはヒューズ463bを介して電源配線64bと、負荷3cはヒューズ463cを介して電源配線64cと、それぞれ接続される。
【0068】
アドオン部47は、負荷3として負荷3dを第1ECU4aの外部から追加して接続するコネクタ471と、負荷3dを稼働プログラムによって稼働するOTA(Over The Air)部472と、を有する。コネクタ471及びOTA部472を用いて、第1ECU4aに機能を追加するアドオン処理については後述する。
【0069】
セキュリティ部48は、第1ECU4aの外部との通信の際に、外部に対する認証処理、及び外部から入力された情報が正規のものであるか否かを判定する処理を行う。図1を参照して、いずれも外部と無線通信を行う機器接続部312及びTCU313と枝線711を介して接続されるライトECU41では、レフトECU42又はリアECU43に比べて、セキュリティ部48のセキュリティ基準が高く設定される。これにより、外部から車載システム1への不正アクセス、例えばハッキングの侵入を防止する機能が高められる。本実施形態のように車載システム1の外部と通信を行う機能が1つのECU4(具体的には、ライトECU41)に集約されていれば、該1つのECU4のみでセキュリティ基準を高く設定すればよく、簡易な構成で不正アクセスの侵入を防止することができる。
【0070】
<電源供給処理及び情報通信処理>
次に、図1及び図3を参照しつつ、利用者が車両2を+B状態からACC状態に切り替えた際に車載システム1で行われる処理の一例について説明する。この例では、第1ECU4aがライトECU41に相当し、第2ECU4bがレフトECU42に相当し、第3ECU4cがリアECU43に相当するものとする。
【0071】
利用者が車両2を駆動するための処理、例えばキーの挿入及び回動又はプッシュスタートボタンの操作により、車両2が+B状態からACC状態に切り替えられる。BCM317はこの切替を検出し、車両2がACC状態であるという稼働情報を含む信号を生成する。生成された信号は、BCM317から出力されて、枝線713を経由して、ライトECU41のCAN送受信部455に入力される。ここでは、各通信線のうち稼働情報が伝達される線を特に「稼働信号線」と称する。このとき、枝線713は、稼働信号線のうち、特に稼働情報をライトECU41に入力する入力稼働信号線として機能する。
【0072】
この信号は、CAN送受信部455から出力されて、CANゲートウェイ454に入力される。CANゲートウェイ454では、入力された信号を基に、車両2がACC状態であるという稼働情報を含む信号を生成する。
【0073】
この信号は、CANゲートウェイ454から出力されて分配制御部461に入力される。そして、電源供給部462は、上述した分配制御部461の制御下で分配された各電力を各負荷3に供給する。具体的には上記稼働情報は、車両2がACC状態であるということを示しており、リレー制御部461aは通信線700bを介して半導体リレー462bを制御して電源配線64bと電源配線61とを導通させる。これにより、電源が負荷3bに供給される。但し、リレー制御部461bは、通信線700cを介して半導体リレー462cを制御して電源配線64cと電源配線61とを遮断するので、電源は負荷3cには供給されない。
【0074】
この信号は、CANゲートウェイ454から出力されてCAN−イーサ変換部453にも入力される。CAN−イーサ変換部453は、入力された上記信号の通信方式を、CAN方式又はCAN FD方式から1Gイーサ方式に変換する。
【0075】
変換後の信号は、CAN−イーサ変換部453から出力されて、イーサゲートウェイ452に入力される。
【0076】
この信号は、イーサゲートウェイ452から出力されて、イーサ送受信部451に入力される。イーサ送受信部451は、入力された信号を基に、車両2がACC状態であるという稼働情報を含む信号を生成する。
【0077】
この信号は、イーサ送受信部451から出力されて、通信線631を経由してレフトECU42に入力される。このとき、通信線631は、ライトECU41の観点では稼働信号線のうち特に稼働情報をライトECU41から出力する出力稼働信号線として機能し、レフトECU42の観点では稼働信号線のうち特に稼働情報をレフトECU42に入力する入力稼働信号線として機能する。
【0078】
この信号は、レフトECU42におけるイーサ送受信部(図3で示される「イーサ送受信部451」に相当)及びイーサゲートウェイ(図3で示される「イーサゲートウェイ452」に相当)を経由して分配制御部(図3で示される「分配制御部461」に相当)に入力される。そして、レフトECU42では、入力された信号に含まれる稼働情報に基づいて分配制御部の制御下で分配された電力を、電源供給部(図3で示される「電源供給部462」に相当)が各負荷3に供給する。図3では、図示が煩雑になるのを防ぐ目的で、レフトECU42に相当する第2ECU4bが枝線76を介して1つの負荷3に接続される様子を示している。なお、第2ECU4bが複数の枝線を介して複数の負荷に接続されていてもよい。
【0079】
稼働情報を含んでイーサ送受信部451から出力された信号は、通信線633を経由してリアECU43にも入力される。このとき、通信線633は、ライトECU41の観点では稼働信号線のうち特に稼働情報をライトECU41から出力する出力稼働信号線として機能し、リアECU43の観点では稼働信号線のうち特に稼働情報をリアECU43に入力する入力稼働信号線として機能する。
【0080】
この信号は、リアECU43におけるイーサ送受信部(図3で示される「イーサ送受信部451」に相当)及びイーサゲートウェイ(図3で示される「イーサゲートウェイ452」に相当)を経由して分配制御部(図3で示される「分配制御部461」に相当)に入力される。そして、リアECU43では、入力された信号に含まれる稼働情報に基づいて分配制御部の制御下で分配された電力を、電源供給部(図3で示される「電源供給部462」に相当)が各負荷3に供給する。図3では、図示が煩雑になるのを防ぐ目的で、リアECU43に相当する第3ECU4cが枝線77を介して1つの負荷3に接続される様子を示している。なお、第3ECU4cが複数の枝線を介して複数の負荷に接続されていてもよい。

【0081】
ここまで、稼働情報がACC状態を示す態様について説明したが、稼働情報がIG状態を示す態様であってもよい。この態様においても、上記と同様に、あるECU4から他の2つのECU4に稼働情報が伝達され、各ECU4において稼働情報を基に各負荷3への電源供給が行われる。例えば図4に即してみれば、リレー制御部461aは通信線700b,700cを介して半導体リレー462b,462cを制御して電源配線64b,64cと電源配線61とを導通させる。これにより、電源が負荷3b,3cに供給される。
【0082】
このように、稼働信号線は稼働情報を入力する入力稼働信号線と稼働情報を出力する出力稼働信号線とから構成される。ライトECU41の入出力部45aは、入力稼働信号線たる枝線713と出力稼働信号線たる通信線631,633とに接続されて、入力稼働信号線から入力された稼働情報を出力稼働信号線に出力する機能を有する。また、レフトECU42の入出力部(ライトECU41の入出力部45aに相当する機能部)は、入力稼働信号線たる通信線631に接続されて入力稼働信号線から稼働情報を得る機能を有する。また、リアECU43の入出力部(ライトECU41の入出力部45aに相当する機能部)は、入力稼働信号線たる通信線633に接続されて入力稼働信号線から稼働情報を得る機能を有する。
【0083】
本実施形態では、各ECU4が、複数の車内ネットワークの間で稼働情報を分配する通信分配の機能と、この稼働情報に基づいて各負荷3に電力を分配する電力分配の機能とを有する。よって、本実施形態の態様では、これらの機能を別個に設ける態様(例えば後述する図5の態様)に比べて、車内ネットワークを構成する部材を削減することが可能である。
【0084】
図5は、本実施形態の比較例に係る車載システム1Aを示す。この車載システム1Aでは、車両2Aの前方左側に配されるバッテリー5Aから電源ボックス51A,52A及び各電源配線80A,80Bを経由して、負荷300〜303に電力が分配される。なお、電源ボックス51Aから電力が分配される負荷の図示は省略している。
【0085】
電源ボックス52Aは、+B状態においても電源が供給されるべき負荷300と、電源配線80Aによって接続される。電源ボックス52Aは、+B状態においては電源が供給されず、ACC状態又はIG状態において電源が供給されるべき負荷301,302,303と、電源配線80Bによって接続される。この比較例では上述の稼働情報の伝達及び稼働情報に基づいた電源の供給が行なわれない。この場合、+B状態であるかACC状態であるかに依存した電源の供給は、電源ボックス52Aからの電源配線80A,80Bの実装によって実現される。よって、電源ボックス52Aからの距離が大きい負荷3に対して電力を供給する場合には、各電源配線80A,80Bの配索距離の合計が長くなる。また、負荷3の個数が多い場合にはこの課題が顕著になる。
【0086】
これに対して、本実施形態の車載システム1では、負荷3が集中しやすい箇所(具体的には、車両2の前方右側、前方左側、及び後方中央側)に分配器として3つのECU4を配置する。また、各ECU4は電源配線61,62によって電源供給可能に接続され、かつ3つの通信線63によって情報通信可能に接続されている。さらに、各ECU4は枝線7aを介して各負荷3に電源供給可能に接続され、かつ枝線7bを介して各負荷3に情報通信可能に接続されている。よって、各負荷3にはこれと近接する各ECU4から電源供給及び情報通信を行うことができ、車内ネットワークを構成する部材を削減することが可能である。特に、3つの通信線63が稼働情報を伝達する稼働信号線として機能することで、電源分配のための配線の配索が容易になる。この効果は、負荷3の個数が多い場合であっても同様である。なお、ECU4の個数は3個に限定されず、複数のECU4が稼働信号線及び電源配線で接続される態様であれば、同様の効果が得られる。
【0087】
<アドオン処理>
次に、図1及び図3を参照しつつ、アドオン部47によって実行されるアドオン処理の一例について説明する。
【0088】
コネクタ471に負荷3dが接続されると、負荷3dの稼働種別を情報として含む信号(以下「種別信号」と称する)が負荷3dから出力されて、コネクタ471及び枝線75を経由して、CAN送受信部455に入力される。種別信号は、CAN送受信部455及びCANゲートウェイ454を経由して、CAN−イーサ変換部453に入力される。そして、CAN−イーサ変換部453は、種別信号の通信方式をCAN方式又はCAN FD方式から1Gイーサ方式又は100Mイーサ方式に変換する。変換後の種別信号はCAN−イーサ変換部453から出力されて、イーサゲートウェイ452を経由してイーサ送受信部451に入力される。ここで、稼働種別とは、負荷3dの種別を示す情報であり、例えば、負荷3dが+B状態、ACC状態、及びIG状態のいずれのタイミングで稼働するかを示す。
【0089】
第1ECU4aがライトECU41である場合、種別信号はイーサ送受信部451から出力され、枝線711を経由して、1Gイーサ方式によって機器接続部312又はTCU313に入力される。そして、種別信号が入力された機器接続部312又はTCU313は、上記稼働プログラムを無線通信によってサーバー(図示省略)から受信して出力し、枝線711を経由してこの稼働プログラムを第1ECU4aに入力する。OTA部472がこの稼働プログラムを実行することによって、第1ECU4aは、後から追加された負荷3dを稼働することが可能となる。
【0090】
また、第1ECU4aがレフトECU42又はリアECU43である場合、種別信号はイーサ送受信部451から出力され、通信線631又は通信線633を経由して、1Gイーサ方式によってライトECU41に入力される。そして、ライトECU41は、上記のようにして稼働プログラムを取得する。この稼働プログラムは第1ECU4aから出力され、通信線631又は通信線633を経由して、1Gイーサ方式によってレフトECU42又はリアECU43に入力される。OTA部472がこの稼働プログラムを実行することによって、レフトECU42又はリアECU43は、後から追加された負荷3dを稼働することが可能となる。
【0091】
このように、第1ECU4aの入出力部45aは、コネクタ471に接続された負荷3dの稼働種別を負荷3dからコネクタ471を介して取得し、この稼働種別を示す情報(より具体的には例えば種別信号)を入出力する。
【0092】
また、電源供給部462は、コネクタ471に接続された負荷3dに対して、コネクタ471を介して、上記稼働種別を示す情報及び上記稼働情報に基づいて電力を分配する。例えば、負荷3dがバックカメラの場合、負荷3dは車両2がIG状態である際に電力が供給されて稼働する。よって図3及び図4を参照して、上記種別信号及び上記稼働情報を含む信号が通信線700dを介して伝達されて、分配制御部461によって半導体リレー462dが開閉制御され、電源配線64d及びコネクタ471を介して電源供給部462が負荷3dに電力を供給する。また、負荷3dの電源供給においてコネクタ471は電源配線62を介して接地される。
【0093】
コネクタ471の接続方式としては、種々の方式を利用可能であるが、例えばUSB(Universal Serial Bus)方式が採用される。本実施形態では、アドオン部47によるアドオン処理によって、車載システム1に対して容易に機能を追加することができる。
【0094】
また、本実施形態の車載システム1では、各ECU4が車両の隅に配置されているので、車両の隅に後付けで負荷3dを追加する場合であっても、負荷3dとECU4とを接続する部材の配索距離を抑えることが可能である。
【0095】
以上のように分配器及び車載システムは詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、分配器及び車載システムがそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、分配器及び車載システムの範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0096】
1 車載システム
4,41〜43,4a〜4c 分配器(ECU、ライトECU、レフトECU、リアECU、第1ECU〜第3ECU)
3,3d 車両用の負荷
45a 入出力部
61,62 電源配線
461 分配制御部
462 電源供給部
471 コネクタ
63,631,633 稼働信号線(入力稼働信号線、出力稼働信号線、通信線)
713 稼働信号線(入力稼働信号線、通信線)
図1
図2
図3
図4
図5