特許第6981492号(P6981492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981492
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/22 20060101AFI20211202BHJP
   H01S 5/028 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H01S5/22
   H01S5/028
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-36620(P2020-36620)
(22)【出願日】2020年3月4日
(62)【分割の表示】特願2019-506748(P2019-506748)の分割
【原出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-107900(P2020-107900A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 仁
【審査官】 大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/109982(WO,A1)
【文献】 特開2005−116659(JP,A)
【文献】 特開2005−167118(JP,A)
【文献】 特開平11−186219(JP,A)
【文献】 特開平10−303179(JP,A)
【文献】 特開2016−167486(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/109857(WO,A1)
【文献】 特表2013−514642(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/172995(WO,A1)
【文献】 特開2012−234862(JP,A)
【文献】 特開2010−245378(JP,A)
【文献】 特開2010−016281(JP,A)
【文献】 特開2009−212521(JP,A)
【文献】 特開2008−277492(JP,A)
【文献】 特開2008−235319(JP,A)
【文献】 特開2006−324427(JP,A)
【文献】 特開2006−086218(JP,A)
【文献】 特開2006−012899(JP,A)
【文献】 特開2005−303272(JP,A)
【文献】 特開2005−085977(JP,A)
【文献】 特開2003−347674(JP,A)
【文献】 特開2003−283039(JP,A)
【文献】 特開平11−330610(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0054271(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0040240(US,A1)
【文献】 米国特許第07567601(US,B1)
【文献】 国際公開第01/026193(WO,A1)
【文献】 特許第6385633(JP,B1)
【文献】 特許第6705554(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 − 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
InP基板の上に、下部クラッド層、活性層及び上部クラッド層が積層した積層構造に対しドライエッチングを施すことで左右に前記積層構造のいずれかの層の表面が露出したメサストライプ構造を形成することと、
前記メサストライプ構造の側面と、前記メサストライプ構造の左右の前記メサストライプ構造より低い低地部分とに、ALD法で第1絶縁膜を形成することと、
スパッタ法で前記第1絶縁膜の上に前記第1絶縁膜より厚い第2絶縁膜を形成することと、
前記メサストライプ構造の上面に第1電極を形成し、前記InP基板の裏面に第2電極を形成することと、を備え
前記メサストライプ構造は垂直メサであることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜の成膜温度は140−160℃であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1絶縁膜の膜厚は100nm以下であり、前記第2絶縁膜の膜厚は300−700nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、半導体レーザ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ装置は、大容量データを通信するための超高速かつ高効率な光ネットワークのキーデバイスとなっており、その信頼性はますます重要になってきている。例えば通信用のリッジ型半導体レーザ装置では、活性層の近傍に絶縁膜が配置されている。これはリッジとその両側との屈折率差を利用して光を導波路に閉じ込めるためである。活性層で発生した光は絶縁膜まで染み出し、一部が絶縁膜上の電極にまで漏れて、吸収され、効率が低下する。これを防ぐには絶縁膜を厚くすればよいが、そうすると活性層に印加されるストレスが増大し、特性の変化又は結晶欠陥が発生する。また、絶縁膜をプラズマで形成すると、活性層にダメージを与えるため信頼性を確保できない問題があった。
【0003】
特許文献1では、上記のような問題を解決するために絶縁膜を2層構造とし、第1層目として成膜温度600℃前後の熱CVD法により膜厚50nmのSiN膜を形成し、第2層目として成膜温度300℃前後のプラズマCVD法により、膜厚100nmのSiN膜を形成している。特許文献1には、第2層目のSiN膜の成膜温度を第1層目のSiN膜の成膜温度よりも低くすることで、第2層目のSiN膜を厚くしても半導体層に印加されるストレスが低くなるため信頼性を確保できることが記載されている。さらに、特許文献1には、第2層目のSiN膜のプラズマCVD法による成膜時に、第1層目のSiN膜が有るため、プラズマが半導体層に直接に当たらず、プラズマダメージによる信頼性の低下を防ぐこともできることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−16281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばInP系の通信用半導体レーザでは、熱CVDのような600℃前後の高温成膜によって絶縁膜を形成すると、半導体材料が熱分解してしまう問題があった。
【0006】
本開示は上述の問題を解決するためになされたものであり、活性層へのストレス及びダメージを低減させて信頼性を向上させることができる半導体レーザ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、InP基板の上に、下部クラッド層、活性層及び上部クラッド層が積層した積層構造に対しドライエッチングを施すことで左右に該積層構造のいずれかの層の表面が露出したメサストライプ構造を形成することと、該メサストライプ構造の側面と、該メサストライプ構造の左右の該メサストライプ構造より低い低地部分とに、ALD法で第1絶縁膜を形成することと、スパッタ法で該第1絶縁膜の上に該第1絶縁膜より厚い第2絶縁膜を形成することと、該メサストライプ構造の上面に第1電極を形成し、該InP基板の裏面に第2電極を形成することと、を備え、前記メサストライプ構造は垂直メサであることを特徴とする。
【0008】
本開示のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
この開示によれば、例えば、最初にスパッタ法で第1絶縁膜を形成し、その後、第1絶縁膜を形成したときよりも高い成膜温度のプラズマCVD法で第1絶縁膜の上に第1絶縁膜より薄い第2絶縁膜を形成することで、活性層へのストレス及びダメージを低減させて半導体レーザ装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1、2に係る半導体レーザ装置の断面図である。
図2】製造途中の半導体レーザ装置の断面図である。
図3】製造途中の半導体レーザ装置の断面図である。
図4】製造途中の半導体レーザ装置の断面図である。
図5】実施の形態3に係る製造途中の半導体レーザ装置の断面図である。
図6】実施の形態3に係る半導体レーザ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法と半導体レーザ装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の断面図である。この半導体レーザ装置はn型のInPで形成されたInP基板11を備えている。InP基板11の上にはn型の下部クラッド層12が形成されている。下部クラッド層12の上には活性層13が形成されている。活性層13の上にはp型の第1上部クラッド層14とp型の第2上部クラッド層15がこの順に形成されている。第1上部クラッド層14と第2上部クラッド層15は、別々に形成された2つの層である。しかし、形状を維持しつつこれらの層を1つの層に集約してもよい。第2上部クラッド層15の上には、p型のコンタクト層16が形成されている。
【0013】
このように、InP基板11の上に、下部クラッド層12、活性層13、第1第2上部クラッド層14、15及びコンタクト層16が積層した積層構造が形成されている。この積層構造は、メサストライプ構造を有する形状で形成されている。図1の例では、第1上部クラッド層14の上に、第2上部クラッド層15とコンタクト層16を有するメサストライプ構造が形成されている。積層構造の中でどの層をメサストライプ構造にするかは任意である。例えば、積層構造を構成する全ての層でメサストライプ構造を形成してもよい。この積層構造は、例えばGaInAsP系の半導体材料で形成することができる。
【0014】
積層構造の上に第1絶縁膜17と第2絶縁膜18の2層の絶縁膜が形成されている。第1絶縁膜17と第2絶縁膜18は、コンタクト層16の上面を露出させつつ、メサストライプ構造を覆う。第1絶縁膜17と第2絶縁膜18から露出したコンタクト層16には第1電極19が形成されている。第1電極19はp側電極として機能する。InP基板11の裏面には第2電極20が形成されている。第2電極20はn側電極として機能する。半導体レーザ装置の動作時には、第1電極19と第2電極20の間に電圧を印加し、図1の紙面手前方向又は紙面奥行き方向にレーザ光を放出させる。
【0015】
次に、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明する。まず、InP基板11の上に、下部クラッド層12、活性層13、第1第2上部クラッド層14、15及びコンタクト層16が積層した積層構造を形成する。この積層構造に対しフォトリソグラフィ及びドライエッチングを施すことで、積層構造をメサストライプ構造を有する形状とする。図2は、InP基板11の上にメサストライプ構造を有する積層構造が形成されたことを示す半導体レーザ装置の断面図である。
【0016】
次いで、第1絶縁膜17と第2絶縁膜18を形成する。図3は、第1絶縁膜17と第2絶縁膜18が形成された半導体レーザ装置の断面図である。第1絶縁膜17は、積層構造の上にスパッタ法で形成する。第1絶縁膜17の成膜温度は150℃前後とすることができる。第1絶縁膜17の成膜温度は例えば140−160℃の範囲である。第1絶縁膜17の膜厚は例えば300−700nmである。第1絶縁膜17の材料は、絶縁膜であれば特に限定されないが、例えば、SiO膜などの酸化膜である。
【0017】
第2絶縁膜18は、第1絶縁膜17を形成したときよりも高い成膜温度のプラズマCVD法で第1絶縁膜17の上に形成する。第2絶縁膜18の成膜温度は300℃前後とすることができる。第2絶縁膜18の成膜温度は例えば290−310℃の範囲である。第2絶縁膜18は第1絶縁膜17より薄い。第2絶縁膜18の膜厚は例えば100nm以下である。第2絶縁膜18の材料は、絶縁膜であれば特に限定されないが、例えば、SiO膜などの酸化膜である。
【0018】
次いで、コンタクト層16を露出させる。図4は、コンタクト層16の上面が露出した半導体レーザ装置の断面図である。この工程では、第1絶縁膜17と第2絶縁膜18のうち、メサストライプ構造の上に形成された部分を除去して、コンタクト層16の上面を露出させる。
【0019】
次いで、第1電極19と第2電極20を形成する。図1は、第1電極19と第2電極20が形成された半導体レーザ装置の断面図である。p側電極として機能する第1電極19は第2上部クラッド層15の上にコンタクト層16と接して形成されるとともに、第2絶縁膜18の全体を覆う。第1電極19の膜厚は例えば400nm−500nmの範囲とすることができる。第1電極19の表面にAuメッキを形成してもよい。その後、InP基板11を薄板化し、InP基板11の裏面に直接又は導電層を介して第2電極20を形成する。こうして、リッジが形成された半導体層が絶縁膜で覆われたInP系の半導体レーザ装置が製造される。この半導体レーザ装置は例えば通信用途に用いることができる。
【0020】
実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法では、第1絶縁膜17をスパッタ法で形成し、第1絶縁膜17より薄い第2絶縁膜18をプラズマCVD法で形成した。スパッタ法を採用することで、低い成膜温度でストレスの小さい第1絶縁膜17を形成することができる。他方、成膜温度が高くストレスの大きいプラズマCVD法で形成される第2絶縁膜18を第1絶縁膜17より薄くする。上述の例では、第1絶縁膜17の膜厚を300−700nmとし、第2絶縁膜18の膜厚を100nm以下とした。これにより、第1絶縁膜17と第2絶縁膜18を形成することによる活性層13へのストレスを低減できる。
【0021】
また、半導体層である積層構造に接する絶縁膜としてスパッタ法で第1絶縁膜17を形成することで、第1絶縁膜をプラズマCVD法で形成する場合と比べて、半導体層へのダメージを低減できる。一方で、スパッタ法ではカバレッジが悪いため、絶縁層を第1絶縁膜だけとしてしまうと、電極と半導体層の接触による特性劣化が起こりえる。そこで、カバレッジのよい成膜方法であるプラズマCVD法で第2絶縁膜18を形成することで電極と半導体層の接触を抑制している。そのため、半導体レーザ装置の信頼性を高めることができる。
【0022】
実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法と半導体レーザ装置は様々な変形が可能である。例えば、半導体レーザ装置の各層の導電型を反転させることができる。コンタクト層16を省略した積層構造を採用してもよい。実施の形態1で言及した変形は以下の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法と半導体レーザ装置にも応用できる。なお、以下の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法と半導体レーザ装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法では、メサストライプ構造を有する形状で積層構造を形成し、図2の構成を得る点は実施の形態1と同じである。しかしながら、実施の形態2の第1絶縁膜17は、積層構造の上にALD(Atomic Layer Deposition)法で形成する。第1絶縁膜17の成膜温度は150℃前後とすることができる。第1絶縁膜17の成膜温度は例えば140−160℃の範囲である。第1絶縁膜17の膜厚は例えば100nm以下である。第1絶縁膜17の材料は、絶縁膜であれば特に限定されないが、例えば、SiO膜などの酸化膜である。
【0024】
実施の形態2では、スパッタ法で第1絶縁膜17の上に第1絶縁膜17より厚い第2絶縁膜18を形成する。第2絶縁膜18の成膜温度は150℃前後とすることができる。第2絶縁膜18の成膜温度は例えば140−160℃の範囲である。第2絶縁膜18の膜厚は例えば300−700nmである。第2絶縁膜18の材料は、絶縁膜であれば特に限定されないが、例えば、SiO膜などの酸化膜である。
【0025】
次いで、図4に示されるように、コンタクト層16の上の第1絶縁膜17と第2絶縁膜18を除去してコンタクト層16の上面を露出させる。その後、第1電極19と第2電極20を形成し、図1の構成を得る点は実施の形態1と同じである。すなわち、第2上部クラッド層15の上にコンタクト層16と接するように第1電極19を形成し、InP基板11の裏面に直接又は導電層を介して第2電極20を形成する。
【0026】
実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法では、第1絶縁膜17をALD法で形成し、第1絶縁膜17より厚い第2絶縁膜18をスパッタ法で形成した。ALD法を採用することで、カバレッジ性に優れ、成膜温度が低く、ストレスの小さい第1絶縁膜17を形成することができる。さらに、スパッタ法を採用することで、成膜温度が低く、ストレスの小さい第2絶縁膜18を形成することができる。実施の形態2の第1絶縁膜17と第2絶縁膜18は、これらが両方ともプラズマCVD法で形成された膜より低ストレスであるため、活性層13へのストレス及びダメージを低減させて半導体レーザ装置の信頼性を向上させることができる。また、成膜レートが小さいALD法で形成する第1絶縁膜17を薄くし、成膜レートが大きいスパッタ法で形成する第2絶縁膜18を第1絶縁膜17より厚くすることで、成膜に要する時間を短くすることができる。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3に係る半導体レーザ装置の製造方法では、メサストライプ構造を有する形状で積層構造を形成し、図2の構成を得る点は実施の形態1と同じである。図2の構成を形成した後に第1絶縁膜17を形成する。例えば図3の第1絶縁膜17と同じ形状の第1絶縁膜が形成される。第1絶縁膜17の成膜方法、成膜温度、膜厚は例えば実施の形態1の第1絶縁膜17と同じである。
【0028】
この第1絶縁膜17を形成した後、第2絶縁膜18を形成する前に、第1絶縁膜の一部をエッチングして第1絶縁膜17をメサストライプ構造の根元部分に残す。具体的には、第1絶縁膜17にレジストを形成し、フォトリソグラフィおよびドライエッチング処理により、メサスストライプ構造のボトム近傍のみに第1絶縁膜17Aを残す。図5には、エッチングによりメサストライプ構造の根元部分に残った第1絶縁膜17Aが示されている。図5の例では、第1絶縁膜17Aは、メサストライプ構造の側面下部と、第1上部クラッド層14の上に残っている。第1絶縁膜17Aは、例えばメサストライプ構造の側面上部を避けて、メサストライプ構造の根元部分に形成されている。
【0029】
こうして、第1絶縁膜17の一部をエッチングで除去した後に、第2絶縁膜18を形成する。図5には第2絶縁膜18が示されている。第2絶縁膜18は、実施の形態1の第2絶縁膜18と同じ成膜方法、成膜温度、膜厚で形成することができる。
【0030】
次いで、メサストライプ構造の上面の第2絶縁膜18を除去してコンタクト層16を露出させる。これにより、第2絶縁膜18は、第1絶縁膜17と積層構造を、第2上部クラッド層15の上方を露出させつつ覆う。次いで、p側電極として機能し第2上部クラッド層15と電気的に接続された第1電極19をコンタクト層16と接するように形成する。次いで、InP基板11を薄板化し、InP基板11の裏面側に第2電極20を形成し、図6に示す半導体レーザ装置が製造される。
【0031】
第1絶縁膜17Aはスパッタ膜であるのでカバレッジが不十分となり得る。実施の形態3では、第1絶縁膜17Aをメサストライプ構造の根元部分のみに配置している。これにより、カバレッジ性が不十分な第1絶縁膜17Aが原因で、電極と半導体層が接触する可能性を低減し、特性劣化を防ぐことができる。また、第2絶縁膜18はプラズマCVD法で形成される成膜温度が高くストレスの大きい膜である。そこで、この第2絶縁膜18を例えば100nm以下とすることで第1絶縁膜17Aより薄くして、活性層13へのストレスの印加を低減した。他方、絶縁膜全体で十分な厚さを確保するために、成膜温度が低くストレスの小さいスパッタ膜である第1絶縁膜17Aは第2絶縁膜18より厚くした。スパッタ膜を第1絶縁膜17Aとすることで活性層13へのダメージを低減できる。
【符号の説明】
【0032】
11 InP基板、 12 下部クラッド層、 13 活性層、 14 第1上部クラッド層、 15 第2上部クラッド層、 16 コンタクト層、 17 第1絶縁膜、 18 第2絶縁膜、 19 第1電極、 20 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6