特許第6981523号(P6981523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6981523
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20211202BHJP
【FI】
   H01R12/77
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-210492(P2020-210492)
(22)【出願日】2020年12月18日
【審査請求日】2021年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】宇留鷲 修一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/108506(WO,A1)
【文献】 特開2020−91948(JP,A)
【文献】 特開2006−85989(JP,A)
【文献】 特開2010−267411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77−12/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフレキシブル基板を保持するプラグと、前記プラグと嵌合するソケットと、を有する電気コネクタであって、
前記ソケットは、
前記プラグと嵌合する第1の嵌合凹部と、前記第1の嵌合凹部に突出すると共に前記フレキシブル基板に対向する対向面を有する突出部と、を備える絶縁性の第1のハウジングと、
前記対向面より前記フレキシブル基板との対向方向に突出して前記フレキシブル基板の導電部に接続する接続部と、前記第1のハウシングより外部に突出する端子部と、を備え、前記第1のハウジングに保持される導電性のコンタクトと、
を有し、
前記突出部は、
前記対向面の前記第1の嵌合凹部の第1の開放端部側に前記対向面より前記対向方向に突出するリブを備える、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記プラグは、
前記突出部と嵌合すると共に前記対向面と対向する位置に前記フレキシブル基板を露出させる第2の嵌合凹部と、前記フレキシブル基板の前記対向面と対向する対向部の幅方向の両端部を支持する支持部と、を備える絶縁性の第2のハウジングを有し、
前記リブは、
前記突出部の前記幅方向の中央部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記対向面は、
前記突出部の突出方向の先端部において前記突出方向に向けて前記突出部の上下方向の幅が徐々に小さくなるように傾斜する傾斜面を備え、
前記リブは、
前記傾斜面に設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記リブは、
前記接続部よりも前記第1の開放端部側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記プラグは、
前記突出部と嵌合すると共に前記対向面と対向する位置に前記フレキシブル基板を露出させる第2の嵌合凹部と、前記第2の嵌合凹部の第2の開放端部側に設けられて前記リブと係合する係合溝と、を備える絶縁性の第2のハウジングを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第2のハウジングは、
前記第2の嵌合凹部に設けられると共に前記フレキシブル基板の前記第2の開放端部への移動を規制する規制部を備え、
前記係合溝は、
前記規制部を切り欠いて設けられる、
ことを特徴とする請求項5記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のフレキシブル基板を保持するプラグと、プラグと嵌合するソケットと、を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPC(Flexible printed circuits)又はFFC(Flexible Flat Cable)等の板状のフレキシブル基板を回路基板に接続する電気コネクタが知られている。このような電気コネクタとしては、フレキシブル基板と導電性コンタクトとの接続部に異物等が混入して接続不良とならないように、フレキシブル基板を保持したプラグを、導電性コンタクを有するソケットに嵌合することにより、フレキシブル基板の導電部と導電性コンタクトとを接続する構成を有するものがある。特に、車両に搭載される電気コネクタは、このような構成を有することが多い。
【0003】
このような状況において、特許文献1は、FFCを挿入固定したFFC用挿入ガイドを、FFC用コネクタに挿入して、FFCとFFC用コネクタとを電気的に接続させる電気コネクタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−85989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、種々の要因によってFFCに反りが発生した場合に、FFCを挿入固定したFFC用挿入ガイドをFFC用コネクタに挿入して嵌合する際に、反ったFFCがFFC用コネクタの嵌合面に摺接して挿入力が増大し、FFCの摩耗が促進されてしまうという課題を有する。
【0006】
本発明の目的は、フレキシブル基板に反りが発生した場合であっても、プラグをソケットに挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができる電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気コネクタは、板状のフレキシブル基板を保持するプラグと、前記プラグと嵌合するソケットと、を有する電気コネクタであって、前記ソケットは、前記プラグと嵌合する第1の嵌合凹部と、前記第1の嵌合凹部に突出すると共に前記フレキシブル基板に対向する対向面を有する突出部と、を備える絶縁性の第1のハウジングと、前記対向面より前記フレキシブル基板との対向方向に突出して前記フレキシブル基板の導電部に接続する接続部と、前記第1のハウシングより外部に突出する端子部と、を備え、前記第1のハウジングに保持される導電性のコンタクトと、を有し、前記突出部は、前記対向面の前記第1の嵌合凹部の第1の開放端部側に前記対向面より前記対向方向に突出するリブを備える。
【0008】
プラグとソケットとを嵌合する際にリブによってフレキシブル基板を対向方向に押圧することにより、フレキシブル基板に反りを生じた場合であっても、フレキシブル基板と突出部の対向面とが摺接することに伴うプラグをソケットに挿入して嵌合する際の挿入圧を低減する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレキシブル基板に反りが発生した場合であっても、プラグをソケットに挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る電気コネクタのソケットの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタのソケットの正面図である。
図5図4のB−B断面図である。
図6図4のC−C断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る電気コネクタのプラグの斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る電気コネクタのプラグの平面図である。
図9】本発明の実施形態に係る電気コネクタのプラグの背面図である。
図10】本発明の実施形態に係る電気コネクタのプラグの正面図である。
図11図8のD−D断面図である。
図12図10のE−E断面図である。
図13】本発明の実施形態に係る電気コネクタのプラグの一部の拡大断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る電気コネクタに接続されるフレキシブル基板の斜視図である。
図15】本発明の実施形態に係る電気コネクタのソケットとプラグとの嵌合開始時及び嵌合中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸の正方向を左方向、x軸の負方向を右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0012】
<電気コネクタの構成>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、図1から図14を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0013】
電気コネクタ1は、板状のフレキシブル基板としてのFFC100を保持するプラグ6と、プラグ6と嵌合するソケット2と、を有する。なお、プラグ6は、FFC100を保持する場合に限らず、FPC等のFFC100以外の板状のフレキシブル基板を保持してもよい。
【0014】
ソケット2は、絶縁ハウジング3と、導電性コンタクト4と、導電性コンタクト5と、を有している。
【0015】
絶縁ハウジング3は、嵌合凹部31と、突出部32と、奥壁部33と、底壁部34と、天壁部35と、ロック部36と、ガイド部38と、を備え、絶縁性を有する材料によって形成されている。
【0016】
嵌合凹部31は、前方が外部に開放されており、後述のプラグ6と嵌合可能な大きさに凹設されている。
【0017】
突出部32は、幅方向である左右方向に間隔を設けて一対設けられており、嵌合凹部31を構成している奥壁部33より前方に突出することにより嵌合凹部31に突出している。突出部32は、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際にプラグ6に保持されたFFC100に対向する対向面321及び対向面322を有している。
【0018】
突出部32は、対向面321の嵌合凹部31の開放端部31a側に、対向面321よりFFC100との対向方向(上方向)に突出するリブ323を備えている。突出部32は、対向面322の開放端部31a側に、対向面322よりFFC100との対向方向(下方向)に突出するリブ324を備えている。
【0019】
対向面321は、突出部32の上面であり、突出部32の突出方向である前方の前端部において前方に向けて突出部32の上下方向の幅が徐々に小さくなるように傾斜する傾斜面325を備えている。
【0020】
対向面322は、突出部32の下面であり、突出部32の前端部において前方に向けて突出部32の上下方向の幅が徐々に小さくなるように傾斜する傾斜面326を備えている。
【0021】
リブ323は、突出部32の左右方向の中央部に設けられている。リブ323は、対向面321の前端から後方に延設されていることにより、傾斜面325にも設けられている。リブ323は、導電性コンタクト4の接続部41よりも開放端部31a側に設けられている。リブ323は、導電性コンタクト4の接続部41の間に設けられている。リブ323は、ここでは一対の突出部32の各々に3つ設ける場合を例示する。
【0022】
リブ324は、突出部32の左右方向の中央部に設けられている。リブ324は、対向面322の前端から後方に延設されていることにより、傾斜面326にも設けられている。リブ324は、導電性コンタクト5の接続部51よりも開放端部31a側に設けられている。リブ324は、導電性コンタクト5の接続部51の間に設けられている。リブ324は、ここでは一対の突出部32の各々に3つ設ける場合を例示する。
【0023】
ロック部36は、後述のプラグ6のロック片部77と係脱自在に係合している。
【0024】
ガイド部38は、嵌合凹部31の正面視においてロック部36を挟んで一対設けられており、嵌合凹部31を構成している天壁部35に形成されている。
【0025】
導電性コンタクト4は、導電性を有する材料によって形成されている。導電性コンタクト4は、絶縁ハウジング3に保持及び固定されており、接続部41と、端子部42と、を備えている。
【0026】
接続部41は、対向面321よりFFC100との対向方向である上方向に移動可能に突出して、FFC100の導電部102に接続する。接続部41は、FFC100と接続していない状態において、リブ323よりも上方に突出している。
【0027】
端子部42は、絶縁性ハウシング3より外部に突出して左右方向に沿って間隔を有して配列していると共に、図示しない回路基板の導電部に半田付け等によって接続される。
【0028】
導電性コンタクト5は、導電性を有する材料によって形成されている。導電性コンタクト5は、絶縁ハウジング3に保持及び固定されており、接続部51と、端子部52と、を備えている。
【0029】
接続部51は、対向面322よりFFC100との対向方向である下方向に移動可能に突出して、FFC100の導電部102に接続する。接続部51は、図4に示す正面視において接続部41の間に配置されている。接続部51は、FFC100と接続していない状態において、リブ324よりも下方に突出している。
【0030】
端子部52は、絶縁性ハウシング3より外部に突出して左右方向に沿って間隔を有して配列していると共に、図示しない回路基板の導電部に半田付け等によって接続される。端子部52は、図5に示すように端子部42よりも前方において配列していると共に、図6に示すように端子部42の間に配置されている。
【0031】
プラグ6は、絶縁ハウジング7を有している。
【0032】
絶縁ハウジング7は、嵌合凹部71と、支持部72aと、支持部72bと、支持部72cと、支持部72dと、支持部72eと、支持部72fと、支持部72gと、支持部72hと、規制部73と、規制部74と、仕切部75と、挿入孔76uと、挿入孔76dと、ロック片部77と、を備えており、絶縁性を有する材料によって形成されている。
【0033】
嵌合凹部71は、突出部32と嵌合する。嵌合凹部71は、挿入孔76uに挿入されているFFC100の対向部103及び対向部104(図14参照)を天壁部78の下方に露出させていると共に、挿入孔76dに挿入されているFFC100の対向部103及び対向部104を底壁部79の上方に露出させている。
【0034】
嵌合凹部71は、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際に、天壁部78の下方に露出させているFFC100の対向部103を、図4において右側の突出部32の対向面321に対向させると共に、天壁部78の下方に露出させているFFC100の対向部104を、図4において左側の突出部32の対向面321に対向させる。また、嵌合凹部71は、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際に、底壁部79の上方に露出させているFFC100の対向部103を、図4において右側の突出部32の対向面322に対向させると共に、底壁部79の上方に露出させているFFC100の対向部104を、図4において左側の突出部32の対向面321に対向させる。
【0035】
支持部72aは、図11に示すように、側壁部80に設けられており、上方の挿入孔76u及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76uに挿入されているFFC100の対向部103の左右方向の一方の端部100a(図14参照)を支持している。
【0036】
支持部72bは、仕切部75に設けられており、上方の挿入孔76u及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76uに挿入されているFFC100の対向部103の左右方向の他方の端部100cを支持している。
【0037】
支持部72cは、仕切部75に設けられており、上方の挿入孔76u及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76uに挿入されているFFC100の対向部104の左右方向の一方の端部100dを支持している。
【0038】
支持部72dは、側壁部81に設けられており、上方の挿入孔76u及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76uに挿入されているFFC100の対向部104の左右方向の他方の端部100bを支持している。
【0039】
支持部72eは、側壁部81に設けられており、下方の挿入孔76d及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76dに挿入されているFFC100の対向部104の左右方向の一方の端部100bを支持している。
【0040】
支持部72fは、仕切部75に設けられており、下方の挿入孔76d及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76dに挿入されているFFC100の対向部104の左右方向の他方の端部100dを支持している。
【0041】
支持部72gは、仕切部75に設けられており、下方の挿入孔76d及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76dに挿入されているFFC100の対向部103の左右方向の一方の端部100cを支持している。
【0042】
支持部72hは、側壁部80に設けられており、下方の挿入孔76d及び嵌合凹部71に連通して、挿入孔76dに挿入されているFFC100の対向部103の左右方向の他方の端部100aを支持している。
【0043】
規制部73は、嵌合凹部71の側壁部80と仕切部75との間及び側壁部81と仕切部75との間において、左右方向に延設されていると共に、嵌合凹部71の開放端部71a側(図12参照)に設けられてFFC100の開放端部71aへの移動(後方への移動)を規制している。規制部73には、規制部73を切り欠いて形成された係合溝731が設けられている。係合溝731には、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際に、リブ323が係合する。
【0044】
規制部74は、嵌合凹部71の側壁部80と仕切部75との間及び側壁部81と仕切部75との間において、左右方向に延設されていると共に、FFC100の開放端部71aへの移動を規制している。規制部74には、規制部74を切り欠いて形成された係合溝741が設けられている。係合溝741には、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際に、リブ324が係合する。
【0045】
係合溝731は、図13に示すように、正面視においてFFC100の挿入孔76uに対する挿入方向の先端部を露出させている。係合溝741は、正面視においてFFC100の挿入孔76dに対する挿入方向の先端部を露出させている。
【0046】
仕切部75は、嵌合凹部71の左右方向の中央にもうけられて嵌合凹部71を左右に二分している。仕切部75は、ソケット2とプラグ6とが嵌合した際に、一対の突出部32の間に配置される。
【0047】
挿入孔76uは、背面壁部82を板厚方向に貫通する貫通孔であり、嵌合凹部71、支持部72a、支持部72b、支持部72c及び支持部72dに連通している。挿入孔76uには、FFC100が挿通されている。
【0048】
挿入孔76dは、背面壁部82を板厚方向に貫通する貫通孔であり、嵌合凹部71、支持部72e、支持部72f、支持部72g及び支持部72hに連通している。挿入孔76dには、FFC100が挿通されている。
【0049】
ロック片部77は、板厚方向に貫通する貫通孔である係合孔771を左右に間隔を有して一対備えている。係合孔771には、ロック部36が係合する。
【0050】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、図15を更に参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0051】
絶縁ハウジング3に導電性コンタクト4及び導電性コンタクト5を一体成型によって固定したソケット2を予め生成すると共に、プラグ6を予め成型によって生成しておく。
【0052】
まず、プラグ6の挿入孔76uに対して、FFC100を前方から挿入し、FFC100の挿入孔76uに対する挿入方向の先端が規制部73に当接するまでFFC100を後方に向けて挿入する。これに伴って、FFC100の端部100aが支持部72aに支持され、FFC100の端部100bが支持部72dに支持され、FFC100の端部100cが支持部72bに支持されると共に、FFC100の端部100dが支持部72cに支持される。また、仕切部75がFFC100のスリット部101に挿入される。
【0053】
また、プラグ6の挿入孔76dに対して、FFC100を前方から挿入し、FFC100の挿入孔76dに対する挿入方向の先端が規制部74に当接するまでFFC100を挿入する。これに伴って、FFC100の端部100aが支持部72hに支持され、FFC100の端部100bが支持部72eに支持され、FFC100の端部100cが支持部72gに支持されると共に、FFC100の端部100dが支持部72fに支持される。また、仕切部75がFFC100のスリット部101に挿入される。
【0054】
次に、プラグ6の嵌合凹部71に対して、ソケット2の突出部32を嵌合させる。この際に、一対の突出部32の間に仕切部75を挿入することにより、嵌合凹部71に対する突出部32の嵌合を仕切部75によってガイドすることができる。
【0055】
ここで、プラグ6に保持されているFFC100は、端部100a、端部100b、端部100c及び端部100dが支持部72aから支持部72hによって支持されているものの、端部100aと端部100cとの間及び端部100bと端部100dとの間は支持されていない。これにより、挿入孔76uに挿入されているFFC100の端部100aと端部100cとの間及び端部100bと端部100dとの間は、下方に反り易いと共に、挿入孔76dに挿入されているFFC100の端部100aと端部100cとの間及び端部100bと端部100dとの間は、上方に反り易い。
【0056】
FFC100に反りを生じた場合には、図15(a)に示すように、挿入孔76uに挿入されたFFC100は天壁部78から下方に浮き上がった状態になると共に、挿入孔76dに挿入されたFFC100は底壁部79から上方に浮き上がった状態になる。
【0057】
図15(a)に示す状態になった場合には、ソケット2とプラグ6とを嵌合する際に、図15(b)に示すように、リブ323が挿入孔76uに挿通されているFFC100を天壁部78に当接させる上方に押圧すると共に、リブ324が挿入孔76dに挿通されているFFC100を底壁部79に当接させる下方に押圧する。
【0058】
これにより、FFC100に反りが発生した場合であっても、FFC100の反りを矯正することができるため、FFC100の反った部分が突出部32の対向面321及び対向面322に摺接しないようにすることができる。また、FFC100の反った部分とリブ323及びリブ324とを摺接させながら、ソケット2とプラグ6とを嵌合することにより、FFC100の反った部分と対向面321及び対向面322とが摺接する場合に比べて、摺接する面積を少なくすることができるため、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができる。
【0059】
この際に、リブ323及びリブ324の各々を突出部32の左右方向の中央に設けることにより、左右方向の全体に設ける場合に比べて、リブ323及びリブ324が絶縁ハウジング7に摺接することに伴って生じる、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができる。
【0060】
また、プラグ6とソケット2との嵌合を開始する際において、リブ323は係合溝731に係合すると共に、リブ324は係合溝741に係合することにより、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を更に抑制することができる。
【0061】
また、リブ323を係合溝731に係合させることにより、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができるため、リブ323の上方への突出量を大きくすることができることにより、反りを生じたFFC100をより上方に押圧することができ、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を確実に抑制することができる。同様に、リブ324を係合溝741に係合させることにより、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができるため、リブ324の下方への突出量を大きくすることができることにより、反りを生じたFFC100をより下方に押圧することができ、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を確実に抑制することができる。
【0062】
また、突出部32に傾斜面325及び傾斜面326を設け、傾斜面325にリブ323を設けると共に傾斜面326にリブ324を設けることにより、プラグ6とソケット2との嵌合を開始する際の挿入力の増大を抑制することができる。
【0063】
また、接続部41よりも開放端部31a側にリブ323を設けると共に、接続部51よりも開放端部31a側にリブ324を設けることにより、反りを生じたFFC100の導電部102が接続部41及び接続部51に接続する前に、FFC100の反りを矯正することができるため、FFC100の導電部102と接続部41及び接続部51との接続時に接続部41及び接続部51に対して大きな負荷が加わることを防ぐことができる。
【0064】
更に、規制部73を切り欠いて係合溝731を設けると共に、規制部74を切り欠いて係合溝741を設けることにより、係合溝731及び係合溝741を形成するためのみの部分を絶縁ハウジング7に設ける必要をなくすることができ、プラグ6を小型化することができる。
【0065】
そして、ソケット2のロック部36がプラグ6のロック片部77に係合することにより、電気コネクタ1は図1及び図2に示す完成した状態になる。
【0066】
因みに、プラグ6にFFC100の反りを矯正するための構成を設ける場合には、FFC100の反りを矯正する構成を、ソケット2とプラグ6とを嵌合する際にソケット2の導電性コンタクト4及び導電性コンタクト5が摺動するプラグ6の嵌合凹部71に設ける必要があるため困難である。
【0067】
このように、本実施形態によれば、FFC100に対向する対向面321の開放端部31a側に対向面321より上方に突出するリブ323を備えると共に、FFC100に対向する対向面322の開放端部31a側に対向面322より下方に突出するリブ324を備える突出部32を設けることにより、FFC100に反りが発生した場合であっても、プラグ6をソケット2に挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制することができる。
【0068】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0069】
具体的には、上記実施形態において、リブ323及びリブ324の各々を突出部32の左右方向の中央に設けたが、これに限らず、リブを突出部32の左右方向の全体に設けてもよいし、リブを突出部の左右方向の両端部又は一端部に設けてもよい。
【0070】
また、上記実施形態において、ソケット2に一対の突出部32を設けたが、これに限らず、1つ又は3つ以上の突出部32を設けることができる。
【0071】
また、上記実施形態において、プラグ6にFFC100を上下に2つ保持したが、これに限らず、1つのFFC100を保持してもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、リブ323及びリブ324を突出部32の前端から後方に延設したが、これに限らず、リブを突出部の開放端部31a側にのみ設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る電気コネクタは、フレキシブル基板に反りが発生した場合であっても、プラグをソケットに挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0074】
1 電気コネクタ
2 ソケット
3 絶縁ハウジング
4 導電性コンタクト
5 導電性コンタクト
6 プラグ
7 絶縁ハウジング
31 嵌合凹部
31a 開放端部
32 突出部
33 奥壁部
34 底壁部
35 天壁部
36 ロック部
38 ガイド部
41 接続部
42 端子部
51 接続部
52 端子部
71 嵌合凹部
72a 支持部
72b 支持部
72c 支持部
72d 支持部
72e 支持部
72f 支持部
72g 支持部
72h 支持部
73 規制部
74 規制部
75 仕切部
76d 挿入孔
76u 挿入孔
77 ロック片部
78 天壁部
79 底壁部
80 側壁部
81 側壁部
82 背面壁部
100 FFC
100a 端部
100b 端部
100c 端部
100d 端部
101 スリット部
102 導電部
103 対向部
104 対向部
321 対向面
322 対向面
323 リブ
324 リブ
325 傾斜面
326 傾斜面
731 係合溝
741 係合溝
771 係合孔
【要約】
【課題】フレキシブル基板に反りが発生した場合であっても、プラグをソケットに挿入して嵌合する際の挿入力の増大を抑制すること。
【解決手段】電気コネクタ1は、FFC100を保持するプラグ6と、プラグ6と嵌合するソケット2と、を有する。ソケット2は、プラグ6と嵌合する嵌合凹部31と、嵌合凹部31に突出すると共にFFC100に対向する対向面321を有する突出部32と、を備える絶縁ハウジング3と、対向面321よりFFC100との対向方向に突出してFFC100の導電部102に接続する接続部41と、絶縁性ハウシング3より外部に突出する端子部42と、を備え、絶縁ハウジング3に保持される導電性コンタクト4と、を有する。突出部32は、対向面321の嵌合凹部31の開放端部31a側に対向面321より対向方向に突出するリブ323を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図15