特許第6981548号(P6981548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981548
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】カスコード型増幅器、及び無線通信機
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/22 20060101AFI20211202BHJP
   H03F 1/48 20060101ALI20211202BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20211202BHJP
   H03F 3/217 20060101ALI20211202BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H03F1/22
   H03F1/48
   H03F3/24
   H03F3/217 180
   H03K17/687 F
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-522139(P2020-522139)
(86)(22)【出願日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】JP2019020448
(87)【国際公開番号】WO2019230555
(87)【国際公開日】20191205
【審査請求日】2020年10月2日
(31)【優先権主張番号】特願2018-104349(P2018-104349)
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】堀 真一
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−152845(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/021092(WO,A1)
【文献】 特開2014−220735(JP,A)
【文献】 特開2010−141496(JP,A)
【文献】 特開2012−238929(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/185716(WO,A1)
【文献】 米国特許第06137367(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/22
H03F 1/48
H03F 3/24
H03F 3/217
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子からの入力信号がゲートに入力される第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタと出力端子との間に縦続接続された第1導電型の第2トランジスタと、前記入力端子からの入力信号がゲートに入力される第2導電型の第3トランジスタと、前記第3トランジスタと前記出力端子との間に縦続接続された第2導電型の第4トランジスタを含む、カスコード型増幅器であって、
抵抗分割回路で構成され、一端は前記出力端子に接続され、他端は第1電源、又は第2電源と第3電源との間に接続された2つの抵抗の中点に接続され、抵抗分割回路の出力信号を抵抗分割により減衰させて、抵抗分割されたノードを前記第2トランジスタと前記第4トランジスタの各ゲートに帰還する構成と、
前記抵抗分割されたノードと前記第1トランジスタのゲートとの間に接続された第1抵抗と、
前記第1トランジスタのゲートと前記第2電源との間に接続された第2抵抗と、
前記抵抗分割されたノードと前記第3トランジスタのゲートとの間に接続された第3抵抗と、
前記第3トランジスタのゲートと前記第3電源との間に接続された第4抵抗と、
を含む、カスコード型増幅器。
【請求項2】
第5抵抗と、
抵抗と、
を含み、
前記第抵抗は、
前記出力端子と、前記抵抗分割されたノードと、の間に接続され、
前記第抵抗は、
前記第1電源と、前記抵抗分割されたノードと、の間に接続されている、請求項1に記載のカスコード型増幅器。
【請求項3】
第5抵抗と、
抵抗と、
を含み、
前記第抵抗は、
前記出力端子と、前記抵抗分割されたノードと、の間に接続され、
前記第抵抗は、
前記第2電源と前記第3電源との間に直列接続された前記2つの抵抗の接続点と、前記抵抗分割されたノードと、の間に接続されている、請求項1に記載のカスコード型増幅器。
【請求項4】
第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
を含み、
前記第1キャパシタは、
前記第2トランジスタのゲートと、前記第3電源と、の間に接続され、
前記第2キャパシタは、
前記第4トランジスタのゲートと、前記第3電源と、の間に接続されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のカスコード型増幅器。
【請求項5】
第3キャパシタと、
第1ラッチ回路と、
を含み、
前記第3キャパシタは、
前記入力端子と、前記第1トランジスタのゲートと、の間に接続され、
前記第1ラッチ回路は、
一端が、前記第1トランジスタのゲートに、接続されている、請求項に記載のカスコード型増幅器。
【請求項6】
第4キャパシタ
を含み、
前記第4キャパシタは、
前記第1ラッチ回路の前記一端とは異なる他端と、所定の電位が与えられる配線と、の間に接続されている、請求項に記載のカスコード型増幅器。
【請求項7】
第5キャパシタと、
第2ラッチ回路と、
を含み、
前記第5キャパシタは、
前記入力端子と、前記第3トランジスタのゲートと、の間に接続され、
前記第2ラッチ回路は、
一端が、前記第3トランジスタのゲートに、接続されている、請求項に記載のカスコード型増幅器。
【請求項8】
前記入力端子は、
第1入力端子と、
第2入力端子と、
を含み、前記カスコード型増幅器は、
第6キャパシタと、
第7キャパシタと、
を含み、
前記第6キャパシタは、
前記第1ラッチ回路の前記一端とは異なる他端と、前記第2入力端子と、の間に接続され、
前記第7キャパシタは、
前記第2ラッチ回路の前記一端とは異なる他端と、前記第2入力端子と、の間に接続されている、請求項に記載のカスコード型増幅器。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれかに記載のカスコード型増幅器と、
前記カスコード型増幅器の出力に接続されたアンテナと、
を含む無線通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスコード型増幅器、及び無線通信機に関し、特にカスコード型増幅器の広帯域化に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信機器の送信部には、出力電力の大きさに関係なく、送信信号の精度を確保しつつ、低消費電力で動作することが求められる。特に、無線通信機器の送信部最終段の電力増幅器は、無線通信機器全体の消費電力の50%以上を占めるため、高い電力効率であることが求められる。
【0003】
近年、高い電力効率を有していると期待される電力増幅器として、スイッチング増幅器が注目されている。このスイッチング増幅器は、入力信号としてパルス波形信号を想定し、入力信号の波形を維持して電力増幅することが可能である。スイッチング増幅器によって増幅されたパルス波形信号は、フィルタ素子により所望の周波数成分以外の周波数成分を十分に抑圧した後、アンテナより空中に放射される。
【0004】
特許文献1は、このようなスイッチング増幅器に関するものであり、電源とグランド(GND)との間に、2つのスイッチ素子が直列に挿入され、スイッチ素子の接続点を出力端子とするD級増幅器によるスイッチング増幅器が提案されている。特許文献1のスイッチング増幅器では、2つのスイッチ素子には相補的なパルス信号が入力され、2つのスイッチ素子のうちいずれか一方のスイッチ素子のみがON状態となるように制御される。さらに特許文献1ではD級増幅器の耐圧を、D級増幅器を構成するスイッチ素子の耐圧以上に向上させる回路技術として、各スイッチ素子と出力端子との間にカスコードトランジスタを挿入したカスコード型増幅器と呼ばれる構成が、提案されている。しかしながら、特許文献1では挿入されたカスコードトランジスタに印加される電圧を耐圧以下に維持する、具体的な構成は見当たらない。
【0005】
非特許文献1は、ミリ波の高出力DAC(Digital to Analog Converter)送信器に関するものであり、出力段のD級CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)増幅器が提案されている。非特許文献1のD級CMOS増幅器では、45GHz、90GHz、110GHzや138GHzといった周波数の入力信号に対し、D級CMOS増幅器を構成する抵抗、キャパシタやインダクタなどの回路素子を用いることにより高利得のD級CMOS増幅器を実現することができる。
【0006】
図18は、非特許文献1が提案する出力段のD級CMOS増幅器と同様な回路構成のカスコード型増幅器の一例を示す回路図である。図18のカスコード型増幅器は、信号源からの例えば1Vと0Vとの間で変化するサイン波を反転して増幅する増幅器である。図18のカスコード型増幅器は、入力信号を第4電源V4(VDD×3)によってレベルシフトした信号をゲートに入力するP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。さらに図18のカスコード型増幅器は、入力信号をゲートに入力するN型の第1トランジスタMN11と、第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。第1トランジスタMP11、第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、第4トランジスタMP14、第1トランジスタMN11、第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14は、第2電源V2(VDD×4)と第3電源V3(GND)との間に縦続接続されている。
【0007】
さらに図18のカスコード型増幅器は、隣接するカスコードトランジスタのゲート間に接続された抵抗を含む。例えば、第3トランジスタMP13のゲートと、第4トランジスタMP14のゲートとの間や、第4トランジスタMP14のゲートと、第4トランジスタMN14のゲートとの間にはそれぞれ抵抗が接続されている。さらに図18のカスコード型増幅器は、カスコードトランジスタのゲート端子とGNDとの間に接続されたキャパシタを含む。
【0008】
図18のカスコード型増幅器によれば、信号源からの例えば1Vから0Vの間で変化するサイン波の入力信号を反転増幅して、出力端子から0Vから4Vの間で変化するサイン波の出力信号を得ることができる。さらに、隣接するカスコードトランジスタのゲート間に接続された抵抗によって、カスコード型増幅器を構成するカスコードトランジスタに印加される電圧を、耐圧以下に維持しながらバイアスすることができる。また、高周波では、ドレイン端子の電位が大きく振れても、カスコードトランジスタとGNDとの間に接続された容量を適切な値に設定しておくことで、本容量のアドミタンスと、各トランジスタのドレイン−ゲート間容量のアドミタンスの比率により、ドレイン−ゲート間の電位差を耐圧内に収めるように、ゲートの振幅を適切な値に設計することができる。なお、ゲート端子に接続された抵抗のアドミタンスは、各容量に比較して、無視できるほど小さくなる値に設計されることが条件である。
【0009】
特許文献2は、複数の差動増幅器が遅延素子を介在させて互いに並列に接続された進行波型増幅器に関するものであり、カスコードトランジスタのコレクタ出力がベース入力に抵抗分圧回路を介して帰還されるように構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2016/021092号
【特許文献2】特開2014−220770号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】S.P. Voinigescu et al., "Mm-Wave Power-DAC transmitters with Transistor and Antenna Segmentation", 2014 IEEE International Microwave and RF Conference (IMaRC), pp.57-60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
無線通信の5G基地局へのスイッチング増幅器の適用を想定すると、スイッチング増幅器は例えば20Gbpsまでに到る広帯域の1bit変調信号を増幅できることが求められる。本変調信号は、直流(=0Hz)から10GHz以上の高周波帯までの信号成分を持つ。
【0013】
図18のような回路接続のカスコード型増幅器では、無線通信の5G基地局へのスイッチング増幅器に適用した場合、各カスコードトランジスタのゲートに接続されたキャパシタの容量を設定することにより、高周波領域の特定周波数帯の信号に対しては、各トランジスタの端子間電位が素子耐圧以内に収まるように、設計することができる。
【0014】
しかしながら、特に、低周波信号に対しては、トランジスタのドレイン−ゲート間容量のアドミタンスが小さくなり、ゲートに接続された抵抗のアドミタンスに比較しても小さくなると、ドレイン端子の振幅が大きくなっても、ゲートの振幅は小さく、ドレイン−ゲート端子間で、素子耐圧を超えてしまう電位が発生する。
【0015】
結果として、図18のような回路接続のカスコード型増幅器に、直流から10GHz以上にまでわたる信号成分を持つ20Gbpsまでに到る広帯域の1bit変調信号を入力した場合、各素子において、耐圧以下での動作が保証されなくなる。
【0016】
本発明の目的は、構成素子に印加される電圧を耐圧以下に維持しつつ、直流から高周波領域までの広帯域化を実現するカスコード型増幅器、及び無線通信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するため、本発明に係るカスコード型増幅器は、
複数のトランジスタ
を含む、カスコード型増幅器であって、
出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成
を含む。
【0018】
また本発明に係る無線通信機は、
上記カスコード型増幅器と、
上記カスコード型増幅器の出力に接続されたアンテナと、
を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現するカスコード型増幅器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】上位概念による実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図2】(a)は図1などの帰還回路の回路ブロックであり、(b)は(a)の帰還回路の具体的構成例1を示す回路図であり、(c)は(a)の帰還回路の具体的構成例2を示す回路図である。
図3】第1実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図4】第1実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図5】第2実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図6】第2実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図7】第3実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図8】第4実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図9】第5実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図10】第5実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図11】第6実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図12】第6実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図13】第7実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図14】第7実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図15】第8実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
図16】第8実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
図17】実施形態のカスコード型増幅器を用いた無線通信機を説明するためのブロック図である。
図18】背景技術のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的な実施形態を説明する前に、上位概念による実施形態について説明する。図1は、本発明の上位概念による実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
【0022】
図1のカスコード型増幅器10は、複数のトランジスタを含むカスコード型増幅器であって、出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成を含むものである。
【0023】
図1のカスコード型増幅器10は、入力端子からの入力信号がゲートに入力する第1導電型の第1トランジスタM1と、第1トランジスタM1と出力端子との間に縦続接続された第1導電型の第2トランジスタM2と、を含む。さらに図1のカスコード型増幅器10は、入力端子からの入力信号がゲートにされる第2導電型の第3トランジスタM3と、第3トランジスタM3と出力端子との間に縦続接続された第2導電型の第4トランジスタM4と、を含む。
【0024】
さらに図1のカスコード型増幅器10は、第1ノードNと第1トランジスタM1のゲートとの間に接続された第1抵抗R1と、第1トランジスタM1のゲートと第2電源V2との間に接続された第2抵抗R2と、を含む。さらに図1のカスコード型増幅器10は、第1ノードNと第3トランジスタM3のゲートとの間に接続された第3抵抗R3と、第3トランジスタM3のゲートと第3電源V3との間に接続された第4抵抗R4と、を含む。
【0025】
さらに図1のカスコード型増幅器10は、出力信号を帰還回路を介して第2トランジスタM2のゲート及び第4トランジスタM4のゲートに帰還する構成を含む。帰還回路は、抵抗分割回路で構成され、出力信号を抵抗分割により減衰させて、第2トランジスタM2/第4トランジスタM4の各ゲート端子に帰還する。帰還回路としては、図2の(b)や図2の(c)のような回路構成とすることができる。図2の(a)は図1などの帰還回路の回路ブロックであり、図2の(b)は図2の(a)の帰還回路の具体的構成例1を示す回路図であり、図2の(c)は図2の(a)の帰還回路の具体的構成例2を示す回路図である。
【0026】
図1のカスコード型増幅器10では、入力信号を増幅して出力することができる。その際、第1抵抗R1乃至第4抵抗R4により、カスコード型増幅器10に含まれる第1トランジスタM1乃至第4トランジスタM4のゲート・ソース間電圧、ゲート・ドレイン間電圧を、第1トランジスタM1乃至第4トランジスタM4の素子耐圧未満に維持することができ、第1トランジスタM1乃至第4トランジスタM4の破壊を防止することができる。
【0027】
抵抗は周波数特性を持たないので、図1のカスコード型増幅器10の帰還回路、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、第4抵抗R4などは周波数特性を持たない。これにより第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第3トランジスタM3、第4トランジスタM4の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器を広帯域化することができる。
【0028】
以下、より具体的な実施形態について説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
次に、第1実施形態によるカスコード型増幅器について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。図4は、第1実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
【0030】
図3のカスコード型増幅器1は、入力端子からの入力信号がゲートに入力される第1導電型の一例としてのP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。なおここで、2つの入力信号のうち一方の信号は、第4電源V4を介してP型の第1トランジスタMP11のゲートへ与えられるものとする。
【0031】
さらに図3のカスコード型増幅器1は、入力端子からの入力信号がゲートに入力される第2導電型の一例としてのN型の第1トランジスタMN11と、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。
【0032】
さらに図3のカスコード型増幅器1は、カスコード型増幅器1の出力信号を抵抗分割して、各トランジスタのゲートに帰還する構成を持つ。
【0033】
図3のカスコード型増幅器1では、出力端子と第1ノードNとの間に接続された第1抵抗R11と、第1電源V1(VDD×2)と第1ノードNとの間に接続された第2抵抗R12と、を含んで、出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成を実現している。この構成は、図2の(b)に示される帰還回路の具体的構成例1に対応する。
【0034】
さらに図3のカスコード型増幅器1は、第1ノードNとP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に直列接続された第3抵抗R13、第4抵抗R14、第5抵抗R15を含む。さらに図3のカスコード型増幅器1は、P型の第1トランジスタMP11のゲートと第2電源V2(VDD×4)との間に接続された第6抵抗R16と、を含む。さらに図3のカスコード型増幅器1は、第1ノードNとN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に直列接続された第7抵抗R17、第8抵抗R18、第9抵抗R19を含む。さらに図3のカスコード型増幅器1は、N型の第1トランジスタMN11のゲートと第3電源V3(GND)との間に接続された第10抵抗R20と、を含む。
【0035】
なおここで、第3抵抗R13と第4抵抗R14との接続点は、P型の第3トランジスタMP13のゲートに接続されており、第4抵抗R14と第5抵抗R15との接続点は、P型の第2トランジスタMP12のゲートに接続されている。なおここで、第7抵抗R17と第8抵抗R18との接続点は、N型の第3トランジスタMN13のゲートに接続されており、第8抵抗R18と第9抵抗R19との接続点は、N型の第2トランジスタMN12のゲートに接続されている。
【0036】
さらにP型の第1トランジスタMP11のソースは、第2電源V2(VDD×4)に接続されており、N型の第1トランジスタMN11のソースは、第3電源V3(GND)に接続されている。
【0037】
(実施形態の動作)
次に図3のカスコード型増幅器1の動作について、図4を参照して説明する。図4では、図3のカスコード型増幅器1の入力端子に信号源6が接続された状態を示す。信号源6は、例えば20Gbpsまでに到る広帯域の1bit変調信号である”0”又は”1”のパルス信号を出力するものとする。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。また、以下、電源電圧VDDは、素子耐圧と等しい値に設定されており、1Vであるものとして説明する。
【0038】
電源電圧VDDを基準として、第1電源V1乃至第3電源V3は次の電圧を出力するものとする。すなわち、第1電源V1は電源電圧VDDの2倍のVDD×2の電圧を出力する。第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第4電源V4は電源電圧VDDの3倍のVDD×3の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。
【0039】
信号源6からの”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0040】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、図3の第2抵抗R12、及び図3の第1抵抗R11の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、信号源6からの”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図4のカスコード型増幅器1の出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0041】
(実施形態の効果)
以上、図3のカスコード型増幅器1の、信号源6からのパルス信号(0Vまたは1V)に応じた動作において、各トランジスタが持つ3つの端子である、ドレイン、ソース、ゲートの、どの端子間の電圧も、1Vもしくは、それ以下になる。すなわち、本カスコード型増幅器1においては、構成素子に印加される電圧は、耐圧以下に維持される。
【0042】
また、抵抗は周波数特性を持たないので、図3のカスコード型増幅器1の第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14に印加される電圧を耐圧以下に維持しつつ、カスコード型増幅器を直流から高周波領域まで広帯域化することができる。
【0043】
なお図3のカスコード型増幅器1では、P型の第1トランジスタMP11と出力端子との間に3つのトランジスタが縦続接続され、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に3つのトランジスタが縦続接続された場合を示しているが、縦続接続されるトランジスタの段数はこれに限られない。
【0044】
入力信号に対してより高出力のカスコード型増幅器を構成したいときは、P型の第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されるトランジスタと、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されるトランジスタの段数を増やすなどすればよい。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態によるカスコード型増幅器について、図面を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。図6は、第2実施形態のカスコード型増幅器の信号波形を説明するための説明図である。
【0046】
第2実施形態のカスコード型増幅器は、第1実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第1実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0047】
図5のカスコード型増幅器2は第1実施形態と同様に、第1導電型の一例としてのP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。
【0048】
さらに図5のカスコード型増幅器2は第1実施形態と同様に、第2導電型の一例としてのN型の第1トランジスタMN11と、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。
【0049】
さらに図5のカスコード型増幅器2は第1実施形態と同様に、出力端子と第1ノードNとの間に接続された第1抵抗R11と、第1電源V1と第1ノードNとの間に接続された第2抵抗R12と、を含む。さらに図5のカスコード型増幅器2は、第1ノードNとP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に直列接続された第3抵抗R13、第4抵抗R14、第5抵抗R15を含む。さらに図5のカスコード型増幅器2は、P型の第1トランジスタMP11のゲートと第2電源V2との間に接続された第6抵抗R16と、を含む。さらに図5のカスコード型増幅器2は、第1ノードNとN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に直列接続された第7抵抗R17、第8抵抗R18、第9抵抗R19を含む。さらに図5のカスコード型増幅器2は、N型の第1トランジスタMN11のゲートと第3電源V3との間に接続された第10抵抗R20と、を含む。
【0050】
さらに図5のカスコード型増幅器2では、P型の第4トランジスタMP14のゲートとGNDとの間に接続された第1キャパシタC1と、P型の第3トランジスタMP13のゲートとGNDとの間に接続された第2キャパシタC2と、P型の第2トランジスタMP12のゲートとGNDとの間に接続された第3キャパシタC3と、を含む。
【0051】
さらに図5のカスコード型増幅器2では、N型の第4トランジスタMN14のゲートとGNDとの間に接続された第4キャパシタC4と、N型の第3トランジスタMN13のゲートとGNDとの間に接続された第5キャパシタC5と、N型の第2トランジスタMN12のゲートとGNDとの間に接続された第6キャパシタC6と、を含む。
【0052】
図5のカスコード型増幅器2では第1実施形態と同様に、出力端子と第1ノードNとの間に接続された第1抵抗R11と、第1電源V1(VDD×2)と第1ノードNとの間に接続された第2抵抗R12と、を含んで、出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成を実現している。この構成は、図2の(b)に示される帰還回路の具体的構成例1に対応する。
【0053】
(実施形態の動作)
次に図5のカスコード型増幅器2の動作について、図6を参照して説明する。図6では、図5のカスコード型増幅器2の入力端子に信号源6が接続された状態を示す。信号源6は第1実施形態と同様に、”0”又は”1”のパルス信号を出力するものとする。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。また、以下、電源電圧VDDは、素子耐圧と等しい値に設定されており、1Vであるものとして説明する。
【0054】
電源電圧VDDを基準として、第1電源V1乃至第3電源V3は次の電圧を出力するものとする。すなわち、第1電源V1は電源電圧VDDの2倍のVDD×2の電圧を出力する。第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第4電源V4は電源電圧VDDの3倍のVDD×3の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。
【0055】
信号源6からの”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0056】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、第2抵抗R12、及び第1抵抗R11の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、信号源6からの”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図6のカスコード型増幅器2の出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0057】
(実施形態の効果)
以上、図6のカスコード型増幅器2の、信号源6からのパルス信号(0Vまたは1V)に応じた動作において、各トランジスタが持つ3つの端子である、ドレイン、ソース、ゲートの、どの端子間の電圧も、1Vもしくは、それ以下になる。すなわち、本カスコード型増幅器2においては、構成素子に印加される電圧は、耐圧以下に維持される。
【0058】
また、抵抗は周波数特性を持たないので、図5のカスコード型増幅器2の第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器を直流から高周波まで広帯域化することができる。また、図6のカスコード型増幅器においては、各トランジスタのゲート端子とGND間に容量が挿入されているが、本容量は、高周波領域では、図18に示した背景技術と同様に、各トランジスタのドレイン−ゲート間容量のアドミタンスの比率を適切に設定することで、耐圧以内に収める働きをする。よって、本容量を含まない図3図4に記載のカスコード型増幅器に比較して、図6のカスコード型増幅器は、より高周波領域まで対応することができる。
【0059】
本実施形態では、P型の第4トランジスタMP14のゲートに第1キャパシタC1が接続され、P型の第3トランジスタMP13のゲートに第2キャパシタC2が接続され、P型の第2トランジスタMP12のゲートに第3キャパシタC3が接続されている。さらに本実施形態では、N型の第4トランジスタMN14のゲートに第4キャパシタC4が接続され、N型の第3トランジスタMN13のゲートに第5キャパシタC5が接続され、N型の第2トランジスタMN12のゲートに第6キャパシタC6が接続されている。
【0060】
例えば、第3キャパシタC3はP型の第2トランジスタMP12のゲートに接続されて、P型の第2トランジスタMP12のゲート・ソース間の寄生容量や、ゲート・ドレイン間の寄生容量と容量分割する。第4抵抗R14や第5抵抗R15による抵抗分割と、P型の第2トランジスタMP12のゲートに接続された第3キャパシタC3による容量分割との組合せにより、P型の第2トランジスタMP12のゲートへ与えられる電圧が安定する。この第3キャパシタC3による効果は、P型の第4トランジスタMP14のゲートに接続された第1キャパシタC1や、P型の第3トランジスタMP13のゲートに接続された第2キャパシタC2においても同様である。またN型の第4トランジスタMN14のゲートに接続された第4キャパシタC4、N型の第3トランジスタMN13のゲートに接続された第5キャパシタC5や、N型の第2トランジスタMN12のゲートに接続された第6キャパシタC6においても同様である。これにより、カスコード型増幅器2の全体の動作を安定させることができる。
【0061】
なお図5のカスコード型増幅器では、P型の第4トランジスタMP14のゲートとN型の第4トランジスタMN14のゲートはいずれも第1ノードNに接続されているので、第1キャパシタと第4キャパシタとをそれぞれ設ける構成とする代わりに、第1ノードNとGNDとの間に接続された一つのキャパシタを設ける構成としてもよい。
【0062】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図7は、第3実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。
【0063】
第3実施形態のカスコード型増幅器は、第1実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第1実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0064】
図7のカスコード型増幅器3は第1実施形態と同様に、第1導電型の一例としてのP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。
【0065】
さらに図7のカスコード型増幅器3は第1実施形態と同様に、第2導電型の一例としてのN型の第1トランジスタMN11と、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。
【0066】
さらに図7のカスコード型増幅器3は第1実施形態と同様に、出力端子と第1ノードNとの間に接続された第1抵抗R11と、第1ノードNに接続された第2抵抗R12と、を含む。さらに図7のカスコード型増幅器3は、第1ノードNとP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に直列接続された第3抵抗R13、第4抵抗R14、第5抵抗R15を含む。さらに図7のカスコード型増幅器3は、P型の第1トランジスタMP11のゲートと第2電源V2との間に接続された第6抵抗R16と、を含む。さらに図7のカスコード型増幅器3は、第1ノードNとN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に直列接続された第7抵抗R17、第8抵抗R18、第9抵抗R19を含む。さらに図7のカスコード型増幅器3は、N型の第1トランジスタMN11のゲートと第3電源V3との間に接続された第10抵抗R20と、を含む。
【0067】
さらに図7のカスコード型増幅器3では、VDD×4とGNDとの間に直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23を含む。そして第2抵抗R12は、第1ノードNと、直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23の接続点との間に接続されている。
【0068】
図7のカスコード型増幅器3では、第1抵抗R11、第2抵抗R12、第11抵抗R21、及び第13抵抗R23を含んで、出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成を実現している。この構成は、図2の(c)に示される帰還回路の具体的構成例2に対応する。
【0069】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図7のカスコード型増幅器3の第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R13、第7抵抗R17、第11抵抗R21、第13抵抗R23などは周波数特性を持たない。これにより本実施形態のカスコード型増幅器によれば、第1実施形態と同様に、P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器を広帯域化することができる。
【0070】
さらに本実施形態では、VDD×4とGNDとの間に直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23の抵抗分割によって、第1実施形態や第2実施形態の第1電源V1(VDD×2)に対応する電圧を発生させている。これにより第1電源V1(VDD×2)のための専用の電圧源を省略し、電源ユニットの共有化を図ることができる。
【0071】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図8は、第4実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。第4実施形態のカスコード型増幅器は、第2実施形態や第3実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第2実施形態や第3実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0072】
図8のカスコード型増幅器4は第2実施形態と同様に、第1導電型の一例としてのP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。
【0073】
さらに図8のカスコード型増幅器4は第2実施形態と同様に、第2導電型の一例としてのN型の第1トランジスタMN11と、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。
【0074】
さらに図8のカスコード型増幅器4は第2実施形態と同様に、出力端子と第1ノードNとの間に接続された第1抵抗R11と、第1ノードNに接続された第2抵抗R12と、を含む。さらに図8のカスコード型増幅器4は、第1ノードNとP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に直列接続された第3抵抗R13、第4抵抗R14、第5抵抗R15を含む。さらに図8のカスコード型増幅器4は、P型の第1トランジスタMP11のゲートと第2電源V2との間に接続された第6抵抗R16と、を含む。さらに図8のカスコード型増幅器4は、第1ノードNとN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に直列接続された第7抵抗R17、第8抵抗R18、第9抵抗R19を含む。さらに図8のカスコード型増幅器4は、N型の第1トランジスタMN11のゲートと第3電源V3との間に接続された第10抵抗R20と、を含む。
【0075】
さらに図8のカスコード型増幅器4では、第2実施形態と同様に、P型の第4トランジスタMP14のゲートとGNDとの間に接続された第1キャパシタC1と、P型の第3トランジスタMP13のゲートとGNDとの間に接続された第2キャパシタC2と、P型の第2トランジスタMP12のゲートとGNDとの間に接続された第3キャパシタC3と、を含む。さらに図8のカスコード型増幅器4では、第2実施形態と同様に、N型の第4トランジスタMN14のゲートとGNDとの間に接続された第4キャパシタC4と、N型の第3トランジスタMN13のゲートとGNDとの間に接続された第5キャパシタC5と、N型の第2トランジスタMN12のゲートとGNDとの間に接続された第6キャパシタC6と、を含む。
【0076】
ここで図8のカスコード型増幅器4は、第2抵抗R12の接続が第2実施形態とは異なる。図8のカスコード型増幅器4では第3実施形態と同様に、VDD×4とGNDとの間に直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23を含む。そして第2抵抗R12は、第1ノードNと、直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23の接続点との間に接続されている。
【0077】
図8のカスコード型増幅器4では第3実施形態と同様に、第1抵抗R11、第2抵抗R12、第11抵抗R21、及び第13抵抗R23を含んで、出力信号を抵抗分割してカスコードトランジスタのゲートに帰還する構成を実現している。この構成は、図2の(c)に示される帰還回路の具体的構成例2に対応する。
【0078】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図8のカスコード型増幅器4の第1抵抗R11、第2抵抗R12、第3抵抗R13、第7抵抗R17、第11抵抗R21、第13抵抗R23などは周波数特性を持たない。これにより本実施形態のカスコード型増幅器によれば、第1実施形態と同様に、P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器を広帯域化することができる。
【0079】
さらに第2実施形態のカスコード型増幅器2と同様に、第1キャパシタC1乃至第6キャパシタC6を接続したことによる容量分割と、第4抵抗R14や第5抵抗R15などによる抵抗分割との組合せによって、カスコードトランジスタのゲートへ与えられる電圧が安定し、カスコード型増幅器4の全体の動作を安定させることができる。
【0080】
さらに本実施形態では、VDD×4とGNDとの間に直列接続された第11抵抗R21及び第13抵抗R23の抵抗分割によって、第1実施形態や第2実施形態の第1電源V1(VDD×2)に対応する電圧を発生させている。これにより第1電源V1(VDD×2)のための専用の電圧源を省略し、電源ユニットの共有化を図ることができる。
【0081】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図9は、第5実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。第5実施形態のカスコード型増幅器は、第4実施形態などのカスコード型増幅器の変形例である。第4実施形態などのカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0082】
図9のカスコード型増幅器5aは第4実施形態と同様に、第1導電型の一例としてのP型の第1トランジスタMP11と、第1トランジスタMP11と出力端子との間に縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12、第3トランジスタMP13、及び第4トランジスタMP14と、を含む。
【0083】
さらに図9のカスコード型増幅器5aは第4実施形態と同様に、第2導電型の一例としてのN型の第1トランジスタMN11と、N型の第1トランジスタMN11と出力端子との間に縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12、第3トランジスタMN13、及び第4トランジスタMN14と、を含む。
【0084】
さらに図9のカスコード型増幅器5aは、出力端子と第1ノードNとの間に接続された帰還回路を含む。さらに図9のカスコード型増幅器5aは、第1ノードNとP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に直列接続された第3抵抗R13、第4抵抗R14、第5抵抗R15を含む。さらに図9のカスコード型増幅器5aは、P型の第1トランジスタMP11のゲートと第2電源V2との間に接続された第6抵抗R16と、を含む。さらに図9のカスコード型増幅器5aは、第1ノードNとN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に直列接続された第7抵抗R17、第8抵抗R18、第9抵抗R19を含む。さらに図9のカスコード型増幅器5aは、N型の第1トランジスタMN11のゲートと第3電源V3との間に接続された第10抵抗R20と、を含む。
【0085】
さらに図9のカスコード型増幅器5aでは、第2実施形態や第4実施形態と同様に、P型の第4トランジスタMP14のゲートとGNDとの間に接続された第1キャパシタC1と、P型の第3トランジスタMP13のゲートとGNDとの間に接続された第2キャパシタC2と、P型の第2トランジスタMP12のゲートとGNDとの間に接続された第3キャパシタC3と、を含む。さらに図9のカスコード型増幅器5aでは、第2実施形態や第4実施形態と同様に、N型の第4トランジスタMN14のゲートとGNDとの間に接続された第4キャパシタC4と、N型の第3トランジスタMN13のゲートとGNDとの間に接続された第5キャパシタC5と、N型の第2トランジスタMN12のゲートとGNDとの間に接続された第6キャパシタC6と、を含む。
【0086】
さらに図9のカスコード型増幅器5aは、カスコード型増幅器5aの出力信号を抵抗分割してP型の第4トランジスタMP14のゲート及びN型の第4トランジスタMN14のゲートに帰還する構成を持つ。言い換えると、図9のカスコード型増幅器5aでは、出力端子とP型の第4トランジスタMP14のゲート及びN型の第4トランジスタMN14のゲートとの間に接続された帰還回路を含む。この図9のカスコード型増幅器5aの帰還回路としては、第3実施形態や第4実施形態で用いた、図2の(c)に示される帰還回路を用いることができる。
【0087】
さらに図9のカスコード型増幅器5aは、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、入力端子とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に挿入された第11キャパシタC11とをさらに含む。ラッチ回路LATCH1は、例えば図9に示すような入力が出力に接続された一対のインバータ回路から構成される。ラッチ回路LATCH1は、P型の第1トランジスタMP11のゲートへ与えられるハイレベル又はローレベルの電圧を保持する。
【0088】
(実施形態の動作)
次に図9のカスコード型増幅器5aの動作について、図10を参照して説明する。図9のカスコード型増幅器5aの入力には”0”又は”1”のパルス信号が入力される。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。
【0089】
電源電圧VDDを基準として、第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。P型の第1トランジスタMP11のゲートには、第2電源V2を図9の第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vが与えられる。
【0090】
入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0091】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、第1キャパシタC1の一端、及び第4キャパシタC4の一端の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図9のカスコード型増幅器5aの出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0092】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図9のカスコード型増幅器5aの帰還回路、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器5aを広帯域化することができる。
【0093】
さらに図9のカスコード型増幅器5aでは、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、入力端子とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に挿入された第11キャパシタC11と、を含んでいる。カスコード型増幅器5aの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートに、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vを与えることができる。P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1によって、カスコード型増幅器5aの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0094】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図11は、第6実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。第6実施形態のカスコード型増幅器は、第5実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第5実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0095】
図11のカスコード型増幅器5bは第5実施形態と同様な構成に加えて、第13キャパシタC13をさらに含む。第13キャパシタC13は、ラッチ回路LATCH1のP型の第1トランジスタMP11のゲートに接続された一端とは別の一端と、所定の電位が与えられる配線との間に挿入されている。言い換えると、所定の電位が与えられる配線とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に、ラッチ回路LATCH1と第13キャパシタC13とが直列接続されている。
【0096】
(実施形態の動作)
次に図11のカスコード型増幅器5bの動作について、図12を参照して説明する。図12のカスコード型増幅器5bの入力には”0”又は”1”のパルス信号が入力される。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。
【0097】
電源電圧VDDを基準として、第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。一端が第13キャパシタC13に接続される所定の電位が与えられる配線には、カスコード型増幅器5bの入力”0”又は”1”のパルス信号を反転した電位が与えられるものとする。P型の第1トランジスタMP11のゲートには、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vが与えられる。
【0098】
入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0099】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、第1キャパシタC1の一端、及び第4キャパシタC4の一端の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図12のカスコード型増幅器5bの出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0100】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図11のカスコード型増幅器5bの帰還回路、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器5bを広帯域化することができる。
【0101】
さらに図11のカスコード型増幅器5bでは第5実施形態と同様に、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、入力端子とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に挿入された第11キャパシタC11と、を含んでいる。カスコード型増幅器5bの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートに、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vを与えることができる。P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1によって、カスコード型増幅器5bの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0102】
さらに図11のカスコード型増幅器5bでは、一端が第13キャパシタC13に接続される所定の電位が与えられる配線には、カスコード型増幅器5bの入力”0”又は”1”のパルス信号を反転した電位が与えられる。これにより、ラッチ回路LATCH1が保持し、P型の第1トランジスタMP11のゲートへ与えられる電圧について、カスコード型増幅器5bの入力”0”又は”1”の変化への追従性が図9のカスコード型増幅器5aより向上させることができる。
【0103】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図13は、第7実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。第7実施形態のカスコード型増幅器は、第5実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第5実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0104】
図13のカスコード型増幅器5cは第5実施形態と同様な構成に加えて、N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2と、入力端子とN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に挿入された第12キャパシタC12とをさらに含む。ラッチ回路LATCH2は、例えば図13に示すような入力が出力に接続された一対のインバータ回路から構成される。ラッチ回路LATCH2は、N型の第1トランジスタMN11のゲートへ与えられるハイレベル又はローレベルの電圧を保持する。
【0105】
(実施形態の動作)
次に図13のカスコード型増幅器5cの動作について、図14を参照して説明する。図14のカスコード型増幅器5cの入力には”0”又は”1”のパルス信号が入力される。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。
【0106】
電源電圧VDDを基準として、第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。P型の第1トランジスタMP11のゲートには、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vが与えられる。
【0107】
入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0108】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、第1キャパシタC1の一端、及び第4キャパシタC4の一端の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、入力の”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図14のカスコード型増幅器5cの出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0109】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図13のカスコード型増幅器5cの帰還回路、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器5cを広帯域化することができる。
【0110】
さらに図13のカスコード型増幅器5cでは第5実施形態と同様に、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、入力端子とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に挿入された第11キャパシタC11と、を含んでいる。カスコード型増幅器5cの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートに、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vを与えることができる。P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1によって、カスコード型増幅器5cの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0111】
さらに図13のカスコード型増幅器5cでは、N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2と、入力端子とN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に挿入された第12キャパシタC12と、を含んでいる。カスコード型増幅器5cの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、N型の第1トランジスタMN11のゲートに、第3電源V3を第10抵抗R20などで抵抗分割した電圧として、1V又は0Vを与えることができる。N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2によって、カスコード型増幅器5cの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0112】
さらに図13のカスコード型増幅器5cでは、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2とを含んで構成することにより、カスコード型増幅器5cの全体の回路構成の対称性が向上する。
【0113】
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態によるカスコード型増幅器について、説明する。図15は、第8実施形態のカスコード型増幅器を説明するための回路図である。第8実施形態のカスコード型増幅器は、第5実施形態乃至第7実施形態のカスコード型増幅器の変形例である。第5実施形態乃至第7実施形態のカスコード型増幅器と同様な要素に対しては、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略することとする。
【0114】
図15のカスコード型増幅器5dは第5実施形態と同様な構成に加えて、N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2と、入力端子とN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に挿入された第12キャパシタC12とをさらに含む。ラッチ回路LATCH2は、例えば図15に示すような入力が出力に接続された一対のインバータ回路から構成される。ラッチ回路LATCH2は、N型の第1トランジスタMN11のゲートへ与えられるハイレベル又はローレベルの電圧を保持する。
【0115】
さらに入力端子(入力2)とラッチ回路LATCH1の一端との間に挿入された第13キャパシタC13と、入力端子(入力2)とラッチ回路LATCH2の一端との間に挿入された第14キャパシタC14と、をさらに含む。
【0116】
(実施形態の動作)
次に図15のカスコード型増幅器5dの動作について、図16を参照して説明する。図16のカスコード型増幅器5dの入力端子(入力1)には相補的な2つの入力信号のうち一方の信号が入力され、入力端子(入力2)には相補的な2つの入力信号のうち他方の信号が入力される。図16では入力端子(入力1)には”0”又は”1”のパルス信号が入力され、入力端子(入力2)には”1”又は”0”のパルス信号が入力される。P型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧は、一例として1Vであるものとして説明する。
【0117】
電源電圧VDDを基準として、第2電源V2は、電源電圧VDDの4倍のVDD×4の電圧を出力する。第3電源V3はGNDであり、0V(VDD×0)が与えられるものとする。
【0118】
入力端子(入力1)への”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートには4V又は3Vが与えられ、N型の第1トランジスタMN11のゲートには0V又は1Vが与えられる。これに伴って、縦続接続されたP型の第1トランジスタMP11と第2トランジスタMP12との接続点は4Vと3Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第2トランジスタMP12と第3トランジスタMP13との接続点は4Vと2Vとの間で変化し、縦続接続されたP型の第3トランジスタMP13と第4トランジスタMP14との接続点は4Vと1Vとの間で変化する。また、縦続接続されたN型の第1トランジスタMN11と第2トランジスタMN12との接続点は1Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第2トランジスタMN12と第3トランジスタMN13との接続点は2Vと0Vとの間で変化し、縦続接続されたN型の第3トランジスタMN13と第4トランジスタMN14との接続点は3Vと0Vとの間で変化する。
【0119】
さらにP型の第4トランジスタMP14のゲート、N型の第4トランジスタMN14のゲート、第1キャパシタC1の一端、及び第4キャパシタC4の一端の接続点の電位は、3Vと1Vとの間で変化する。その結果、信号源6からの”0”又は”1”のパルス信号(0V又は1V)に応じて、図16のカスコード型増幅器5dの出力端子は4V又は0Vを出力する。
【0120】
(実施形態の効果)
抵抗は周波数特性を持たないので、図15のカスコード型増幅器5dの帰還回路、第3抵抗R13、第7抵抗R17などは周波数特性を持たない。これによりP型の第1トランジスタMP11〜第4トランジスタMP14、N型の第1トランジスタMN11〜第4トランジスタMN14の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、カスコード型増幅器5dを広帯域化することができる。
【0121】
さらに図15のカスコード型増幅器5dでは第5実施形態などと同様に、P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1と、入力端子とP型の第1トランジスタMP11のゲートとの間に挿入された第11キャパシタC11と、を含んでいる。カスコード型増幅器5dの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、P型の第1トランジスタMP11のゲートに、第2電源V2を第6抵抗R16などで抵抗分割した電圧として、4V又は3Vを与えることができる。P型の第1トランジスタMP11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH1によって、カスコード型増幅器5dの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0122】
さらに図15のカスコード型増幅器5dでは、N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2と、入力端子とN型の第1トランジスタMN11のゲートとの間に挿入された第12キャパシタC12と、を含んでいる。カスコード型増幅器5dの入力の”0”又は”1”のパルス信号の変化に応じて、N型の第1トランジスタMN11のゲートに、第3電源V3を第10抵抗R20などで抵抗分割した電圧として、1V又は0Vを与えることができる。N型の第1トランジスタMN11のゲートに接続されたラッチ回路LATCH2によって、カスコード型増幅器5dの入力変化への追従性が向上し、構成素子の素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現することができる。
【0123】
さらに図15のカスコード型増幅器5dでは入力端子(入力2)から、カスコード型増幅器5dの入力端子(入力1)への入力”0”又は”1”のパルス信号を反転した電位が与えられる。これにより、ラッチ回路LATCH1が保持しP型の第1トランジスタMP11のゲートへ与えられる電圧と、ラッチ回路LATCH2が保持しN型の第1トランジスタMN11のゲートへ与えられる電圧がそれぞれ安定する。これにより、カスコード型増幅器5dの入力端子(入力1)への入力”0”又は”1”の変化に対する追従性を、図9のカスコード型増幅器5aなどより向上させることができる。
【0124】
さらに第5実施形態のカスコード型増幅器5aや第6実施形態のカスコード型増幅器5bと比較して、カスコード型増幅器の回路構成の対称性が向上する。
【0125】
〔その他の実施形態〕
上述した第1乃至第8実施形態のカスコード型増幅器は、無線通信機の送信器の出力段に用いることができる。図17は、その他の実施形態の無線通信機を説明するためのブロック図である。
【0126】
図17の無線通信機100は、入力信号を増幅して出力するカスコード型増幅器101と、カスコード型増幅器101の出力に接続されて無線信号を送出するアンテナ102と、を含む。カスコード型増幅器101には、上述した第1乃至第8実施形態のカスコード型増幅器を用いることができる。
【0127】
第1乃至第8実施形態のカスコード型増幅器が素子耐圧を許容範囲内に維持しつつ、広帯域化を実現したことにより、これを採用した図17の無線通信機100は小型化が可能となる。よって図17の無線通信機100によれば、5G基地局の小型化への大きな貢献が期待できる。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述した実施形態では、カスコード型増幅器を構成するトランジスタの素子耐圧が1Vの場合で説明したが、これには限られない。上述した実施形態では、信号源6の出力レベルが0V又は1Vの場合で説明したが、これには限られない。第1電源V1、第2電源V2、第3電源V3、第4電源V4などの電位の具体値は上述した実施形態に限られず、お互いの大小関係を維持しつつ、適宜設定すればよい。請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0129】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0130】
この出願は、2018年5月31日に出願された日本出願特願2018−104349号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0131】
1、2、3、4、5、10、101 カスコード型増幅器
6 信号源
100 無線通信機
102 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18