(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歩行者の足裏に設置される圧力センサによって前記圧力データを検出し、検出した前記圧力データから前記歩容データを抽出してデータベースに格納する歩容データ生成手段を備え、
前記データ受信手段は、
前記データベースに格納される前記歩容データを受信する請求項2乃至5のいずれか一項に記載の体重推定システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る体重推定システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の体重推定システムは、ユーザの歩容データを用いてそのユーザの体重を推定する。一般に、歩容とは、人間や動物の歩行の様態のことをいう。本実施形態は、人間の歩容に関する。歩容は、歩幅(左か右、一歩分)や、歩幅(二歩分)、リズム、速度、力学的基盤、進行方向、足の角度、腰の角度、しゃがむ能力などを含む。本実施形態の体重推定装置は、ユーザの足裏の荷重経時変化(荷重波形とも呼ぶ)を測定することによって歩容データを取得し、その歩容データの特徴量を抽出してそのユーザの体重を推定する。以下において、歩行者とは、主に歩行中のユーザのことを示すが、停止しているユーザのことを歩行者と呼ぶこともある。
【0022】
(構成)
図1は、本実施形態に係る体重推定システム1の構成の概要を示すブロック図である。
図1のように、体重推定システム1は、データ取得装置11、データ収集装置12、体重推定装置13、および送信装置14を備える。データ取得装置11とデータ収集装置12とは、歩容データ生成部10を構成する。
【0023】
データ取得装置11は、ユーザの足裏から受ける荷重を計測する装置である。データ取得装置11は、ユーザの足裏から受ける荷重を計測する圧力センサを少なくとも一つ含む。データ取得装置11は、圧力センサによって検知されるセンサデータをデータ収集装置12に送信する。データ取得装置11は、個々の圧力センサによって計測されるセンサデータを計測箇所に紐付けて個々に送信してもよいし、全てのセンサデータを一つにまとめてから送信してもよい。
【0024】
データ収集装置12は、データ取得装置11によって検出されるセンサデータを受信する。データ収集装置12は、受信したセンサデータから歩容データを抽出する。データ収集装置12は、抽出した歩容データを格納する。また、学習モードにおいては、データ収集装置12には、センサデータの入力に合わせてユーザの体重情報が入力される。体重情報とは、ユーザの体重を含む情報である。データ収集装置12は、ユーザの体重情報が入力された場合、入力された体重情報を、その体重情報に対応して取得される歩容データに紐付けて格納する。
【0025】
体重推定装置13は、有線通信または無線通信によってデータ収集装置12に接続される。体重推定装置13は、データ収集装置12から歩容データを受信する。体重推定装置13は、受信した歩容データに基づいてユーザの状態を判定する。体重推定装置13は、歩容データに基づいてユーザが歩行中であると判定すると、その歩容データから特徴量を抽出する。学習モードにおいては、体重推定装置13は、抽出した特徴量を記憶する。体重推定装置13は、歩容データが示す特性と体重情報との相関関係を学習して学習モデルを生成し、生成した学習モデルを記憶する。そして、計測モードにおいては、体重推定装置13は、推定対象の歩容データから抽出される特徴量と学習モデルとを用いて体重データを推定する。体重推定装置13は、推定した体重データを送信装置14に送信する。
【0026】
送信装置14は、体重推定装置13に接続される。送信装置14は、体重推定装置13から外部に送信するデータを取得する。送信装置14は、パーソナルコンピュータやサーバなどの据え置き型の情報処理装置や、スマートフォンや携帯電話などの携帯端末、表示装置などのように、表示部を有する装置にデータを送信する。送信装置14の送信形態は、ケーブルを介した有線通信であってもよいし、電磁波や音波などを用いる無線通信であってもよく、その通信形態には特に限定を加えない。例えば、ユーザは、モニタに表示される体重データを参照することによって、自身の体重の状況や変化を把握できる。
【0027】
以上が、体重推定システム1の構成の概要についての説明である。なお、
図1の体重推定システム1の構成は一例であって、本実施形態の体重推定システム1の構成をそのままの形態で限定するものではない。
【0028】
〔歩行周期〕
ここで、人間の歩行周期について図面を参照しながら説明する。
図2は、右足を基準とした人間の歩行周期について説明するための概念図である。
図2の歩行者の下に示す横軸は、人間の歩行に伴う時間経過を正規化した正規化時間である。なお、以下においては右足に着目して説明するが、左足についても同様である。
【0029】
人間の歩行周期は、立脚期と遊脚期とに大別される。右足の立脚期は、右足の踵接地状態から左足の底面が完全に接地し、右足のつま先が離地する状態までの期間である。立脚期は、歩行周期全体の60%を占める。右足の遊脚期は、左足の底面が完全に接地し、右足のつま先が離地した状態から、再び右足の踵が接地する状態までの期間である。遊脚期は、歩行周期全体の40%を占める。
【0030】
図3は、人間が歩行する際に計測される足圧(足裏から受ける圧力)の時間変化の一例を示すグラフである。
図3の横軸は、人間の歩行に伴う時間経過を正規化した正規化時間であり、
図2の横軸に対応する。
図3に示す曲線は、実線が右足部の足圧の時間推移を示し、破線が左足部の足圧の時間推移を示す。
【0031】
歩行時の右足部の垂直分力の時間推移(実線)には、二つの山(第1ピークP
1、第2ピークP
2)と一つの谷(ディップD)が表れる。例えば、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDは、それぞれの示す波形に波形分離できる。第1ピークP
1は、右足の踵接地後の足関節垂直方向回転運動によって、足底全体が地面に接触する際の衝撃によるものである。第2ピークP
2は、右足立脚終期と遊脚前期の間に発生する左足踵接地と右足のつま先離地の前進姿勢の際に右足のつま先が地面に与える圧力によるものである。第2ピークP
2の頂点における足圧の値は、体重による荷重と、歩行者が前進する際に筋肉が発生させる力の垂直分力とを足した値に相当する。ディップDは、右足立脚中期に発生する左足の上向き運動に起因する重力と反対方向の加速度によるものである。
【0032】
歩容データに含まれる第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDは、いずれもユーザの体重に関係するものである。そのため、歩容データ(例えば、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップD)から抽出される特徴量と、体重との相関関係を示す学習モデルを事前に生成しておけば、推定対象の歩容データを学習モデルに入力することによって体重を推定できる。
【0033】
以上が、人間の歩行周期についての説明である。なお、
図2および
図3に示す人間の歩行周期は一例であって、本実施形態の体重推定システム1の検証対象とする歩行周期を限定するものではない。
【0034】
次に、データ取得装置11、データ収集装置12、および体重推定装置13の構成について図面を参照しながら説明する。
【0035】
〔データ取得装置〕
図4は、データ取得装置11の構成の一例を示す概念図である。
図4のように、データ取得装置11は、二つのデータ取得部110と、センサデータ送信部115とを有する。データ取得部110は、本体111と、センサ部112とを含む。データ取得部110は、靴の中に中敷きとして設置された状態で使用される。
【0036】
本体111は、靴の中敷き状の外形を有する。本体111は、左足用と右足用とで異なる形状であってもよいし、同じ形状であってもよい。また、本体111は、一般的な中敷きの素材で構成してもよいし、剛性や機能性を高めた素材で構成してもよい。例えば、本体111は、少なくとも2層の層状構造とし、いずれかの層間にセンサ部112が挿入された構造とする。
【0037】
センサ部112は、本体111の内部や表面に設置される。センサ部112は、センサデータ送信部115に接続される。センサ部112は、少なくとも一つのセンサを含み、人間の歩行様態に関わる物理量やその変化量を検出する。センサ部112は、検出した物理量やその変化量に基づいたセンサデータをセンサデータ送信部115に出力する。
【0038】
例えば、センサ部112は、足圧や、足圧分布、加速度、角速度、筋電強度などに関する物理量やその変化量を検出する。例えば、センサ部112は、データ取得装置11が設置された靴を履いたユーザの足裏から受ける圧力を検出する圧力センサによって構成できる。また、例えば、センサ部112は、圧力分布を測定できるシート状のセンサシートで構成できる。センサ部112として圧力センサシートを用いれば、足裏から受ける圧力分布を計測できる。なお、センサ部112は、単一のセンサで構成してもよいし、複数のセンサを組み合わせて構成してもよい。センサ部112を複数のセンサで構成する場合、センサ部112は、同一種類の複数のセンサで構成してもよいし、異なる種類の複数のセンサで構成してもよい。
【0039】
センサデータ送信部115は、センサ部112に接続される。また、センサデータ送信部115は、有線通信または無線通信によってデータ収集装置12に接続される。例えば、センサデータ送信部115は、無線LAN(Local Area Network)や近距離無線通信などによってデータ収集装置12に接続される。センサデータ送信部115は、各センサ部112からセンサデータを取得する。センサデータ送信部115は、取得したセンサデータをデータ収集装置12に送信する。なお、
図4には、センサデータ送信部115を一つしか図示していないが、左足用と右足用のそれぞれのデータ取得部110にセンサデータ送信部115を設けてもよい。
【0040】
以上が、データ取得装置11の構成についての説明である。なお、
図4のデータ取得装置11の構成は一例であって、本実施形態のデータ取得装置11の構成をそのままの形態で限定するものではない。
【0041】
〔データ収集装置〕
図5は、データ収集装置12の構成の一例を示すブロック図である。
図5のように、データ収集装置12は、センサデータ受信部121、歩容データ抽出部122、体重情報入力部123、データベース124を有する。
【0042】
センサデータ受信部121は、有線通信または無線通信によって、データ取得装置11のセンサデータ送信部115に接続される。センサデータ受信部121は、データ取得装置11から送信されたセンサデータを受信する。センサデータ受信部121は、受信したセンサデータを歩容データ抽出部122に出力する。
【0043】
歩容データ抽出部122は、センサデータ受信部121に接続される。歩容データ抽出部122は、センサデータ受信部121からセンサデータを取得する。歩容データ抽出部122は、取得したセンサデータから歩容データを抽出する。例えば、歩容データ抽出部122は、足圧や足圧分布、加速度、角速度、筋電強度などのような人間の歩行様態に関わるデータを歩容データとして抽出する。歩容データ抽出部122は、抽出した歩容データをデータベース124に格納する。
【0044】
体重情報入力部123は、ユーザから体重情報の入力を受け付ける。例えば、体重情報入力部123には、図示しないキーボードやタッチパネルなどを介して体重情報が入力される。体重情報入力部123は、体重情報が入力されると、その体重情報を対応する歩容データに紐付けてデータベース124に格納する。
【0045】
データベース124は、歩容データ抽出部122に接続される。また、データベース124は、有線通信または無線通信によって体重推定装置13に接続される。データベース124には、特定領域における歩行と関連するデータが格納される。特定領域とは、測定対象のユーザの生体領域のうちいずれかの領域のことである。本実施形態では、足裏を特定領域とし、特定領域における歩行と関連するデータとして、足の離地時および着地時に足裏がセンサ部112に与える圧力を示す足圧データを歩容データとしてデータベース124に格納させる。
【0046】
以上が、データ収集装置12の構成についての説明である。なお、
図5のデータ収集装置12の構成は一例であって、本実施形態のデータ収集装置12の構成をそのままの形態で限定するものではない。
【0047】
〔体重推定装置〕
図6は、体重推定装置13の構成の一例を示すブロック図である。
図6のように、体重推定装置13は、データ受信部131、第1計算部132、特徴量記憶部133、第2計算部134、学習モデル記憶部135、推定部136、データ送信部137を備える。
【0048】
データ受信部131は、特定領域で取得された歩容データをデータベース124から取得する。例えば、データ受信部131は、一次データである足圧や、足圧分布、加速度、角速度、筋電強度などのような人間の歩行様態に関わる歩容データを取得する。データ受信部131は、取得した歩容データを、第1計算部132に出力する。
【0049】
第1計算部132は、データ受信部131から歩容データを取得する。第1計算部132は、取得した歩容データから歩容の特性を表す特徴量を抽出する。第1計算部132は、抽出した特徴量を特徴量記憶部133に記憶させる。また、歩容データに体重情報が紐づけられている場合、その歩容データの特徴量と体重情報とを紐付けて特徴量記憶部133に記憶させる。また、第1計算部132は、推定対象の歩容データを取得した場合、その推定対象の歩容データを推定部136に出力する。
【0050】
例えば、第1計算部132は、一次データである歩容データから、歩行速度や、歩幅、歩行軌跡、両足のバランス、足の接地時間、滞空時間、立脚期時間、遊脚期時間などの特徴量を抽出する。
【0051】
また、例えば、第1計算部132は、
図3のような歩行時の足圧の時間推移から特徴量を抽出する。
図3の歩行時の右足部の垂直分力の時間変化において、通常、第1ピークP
1は歩行周期の0〜20%の間に現れ、ディップDは歩行周期の20〜40%の間に現れ、第2ピークP
2は歩行周期の40〜60%の間に現れる。例えば、歩行時の右足部の垂直分力の時間変化の波形から抽出できる特徴量としては、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値などが挙げられる。また、第1ピークP
1、第2ピークP
2、およびディップDの半値幅や、それらの少なくとも二つの特徴量の和、平均値、差、比、積、時間差、立脚期歩行波形の積分値なども特徴量として抽出できる。左足部に関しても、右足部と同様に特徴量を抽出できる。
【0052】
特徴量記憶部133(第1記憶部とも呼ばれる)には、第1計算部132によって抽出される歩容に関する特徴量が記憶される。特徴量記憶部133に記憶される特徴量は、第2計算部134および推定部136によって用いられる。また、歩容データに体重情報が紐づけられていた場合、特徴量記憶部133には、その歩容データから抽出される特徴量に体重情報が紐付けられて記憶される。
【0053】
第2計算部134は、データ受信部131から少なくとも一つの歩容データをサンプルデータとして取得する。第2計算部134は、取得したサンプルデータが示す特性と体重情報との相関関係を学習して学習モデルを生成する。第2計算部134は、生成した学習モデルを学習モデル記憶部135に記憶させる。
【0054】
例えば、第2計算部134は、データ受信部131から複数のサンプルデータを受け取り、特徴量記憶部133に記憶された特徴量を教師データとして各サンプルデータを機械学習する。例えば、第2計算部134は、決定木やサポートベクトルマシン、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、最近傍分類法、アンサンブル分類学習法、判別分析などの手法を用いて、各サンプルデータを機械学習する。
【0055】
例えば、第2計算部134は、サポートベクトルマシンに各サンプルデータを与えて、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値などと体重との関係のように、第1計算部132が示す歩行特性と体重データとの関係を学習する。そして、第2計算部134は、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDにおける足圧の値が入力されると、入力値に応じて体重データを出力する学習モデルを生成する。第2計算部134は、生成した学習モデルを学習モデル記憶部135に記憶させる。
【0056】
また、例えば、第2計算部134は、各サンプルデータを用いてディープラーニングを行ない、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値などに応じて、体重データを決定する分類器を作成する。第2計算部134は、作成した分類器を学習モデルとして学習モデル記憶部135に記憶させる。
【0057】
学習モデル記憶部135(第2記憶部とも呼ばれる)には、第2計算部134によって生成される学習モデルが記憶される。学習モデル記憶部135に記憶された学習モデルは、推定部136によって用いられる。
【0058】
推定部136は、推定対象の歩容データの特徴量を第1計算部132から取得する。推定部136は、学習モデル記憶部135に記憶された学習モデルを用いて、推定対象の歩容データの取得元のユーザの体重を推定する。推定部136は、推定した体重を示す体重データをデータ送信部137に出力する。
【0059】
データ送信部137は、推定部136から体重データを取得する。データ送信部137は、取得した体重データを送信装置14に送信する。なお、データ送信部137は、特徴量記憶部133に記憶された特徴データを送信装置14に出力するように構成してもよい。
【0060】
以上が、本実施形態に係る体重推定装置13の構成についての説明である。なお、
図6に示す体重推定装置13の構成は一例であって、本実施形態に係る体重推定装置13の構成を限定するものではない。
【0061】
(動作)
次に、本実施形態に係る体重推定システム1の動作について説明する。以下においては、データ収集装置12、体重推定装置13に含まれる第1計算部132、第2計算部134、および推定部136の動作の一例について説明する。
【0062】
〔データ収集装置〕
図7は、データ収集装置12の動作の一例について説明するためのフローチャートである。以下の
図7のフローチャートに沿った説明においては、データ収集装置12を動作の主体とし、データ取得装置11から歩容データとして荷重波形を受信する例について例示する。荷重波形とは、ユーザが歩行する際に、データ取得装置11によって取得される足圧の時間変化を示す波形である。
【0063】
図7において、まず、データ収集装置12は、データ取得装置11から歩容データとして荷重波形を受信する(ステップS111)。
【0064】
ここで、データ収集装置12は、受信した荷重波形に基づいて、ユーザが歩行しているか否かを判断する(ステップS112)。例えば、データ収集装置12は、データ取得装置11のセンサ部112に含まれる全てのセンサの総和を計算し、圧力値の時間変化によって歩行開始の是非を判断する。また、例えば、立脚期の始まりの時点で床反動力が急激に上昇することを検出するための閾値を設定し、床反動力が閾値を超えた時点を歩行開始と判断することもできる。
【0065】
ユーザが歩行していると判断した場合(ステップS112でYes)、データ収集装置12は、ユーザの歩行時の荷重波形の記録を開始する(ステップS113)。なお、ステップS113で記録される荷重波形のことを歩行波形とも呼ぶ。一方、データ収集装置12によってユーザが歩行していないと判断された場合(ステップS112でNo)、ステップS111に戻る。
【0066】
ステップS113の後、データ収集装置12は、受信した荷重波形に基づいて、ユーザの歩行が終了しているか否かを判断する(ステップS114)。例えば、データ収集装置12は、歩行開始後に一定の時間が経過した時点や、歩行波形が一定時間の安定に達した時点を歩行終了と判断する。
【0067】
データ収集装置12がユーザの歩行が終了していると判断した場合(ステップS114でYes)、
図7のフローチャートに沿った処理は終了である。一方、データ収集装置12がユーザの歩行が終了していないと判断した場合(ステップS114でNo)、ステップS113に戻り、荷重波形の記録を継続する。
【0068】
以上が、データ収集装置12の動作の一例についての説明である。なお、
図7のフローチャートに沿ったデータ収集装置12の動作は一例であって、本実施形態のデータ収集装置12の動作を限定するものではない。
【0069】
〔第1計算部〕
図8は、体重推定装置13の第1計算部132の動作の一例について説明するためのフローチャートである。以下の
図8のフローチャートに沿った説明においては、第1計算部132を動作の主体とする。
【0070】
図8において、まず、第1計算部132は、データ受信部131から歩行波形を取得する(ステップS121)。
【0071】
次に、第1計算部132は、取得した歩行波形から一歩ごとの波形を切り出す(ステップS122)。例えば、
図3に示す歩行波形は、立脚期の開始後に急激に立ち上がり、遊脚期の開始前に急激に立ち下がる。そのため、歩行波形の急激な立ち上がりから立ち下がりまでの範囲を一歩の波形の範囲と特定できる。
【0072】
次に、第1計算部132は、一歩ごとの波形から特徴量を抽出する(ステップS123)。一歩ごと(右足)の波形から特徴量を抽出するためには、
図3に示す歩行波形に表れる第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値を特定すればよい。一般に、第1ピークP
1は歩行周期の0〜20%の間に発生し、ディップDは歩行周期の20〜40%の間に発生し、第2ピークP
2は歩行周期の40〜60%の間に発生する。歩行周期の0〜20%の間における足圧の最大値、歩行周期の20〜40%の間における足圧の最小値、歩行周期の40〜60%の間における足圧の最大値をそれぞれ特定すれば、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値を特定できる。また、第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値を特定できれば、それらの頂点が表れる時間を発生時間として特定できる。なお、歩行周期の60〜100%の間のデータをベースラインとして取り扱う。第1ピークP
1、第2ピークP
2、ディップDの頂点における足圧の値を組み合わせ、四則演算を行えば特徴量を抽出できる。
【0073】
そして、第1計算部132は、自身(第1計算部132)が抽出した特徴量(説明変数)と、第2計算部134が学習モデルを作成する際に取得した体重データ(応答変数)と合わせた特徴量ベクトルを特徴量記憶部133に記憶させる(ステップS124)。
図9は、ステップS124において特徴量記憶部133に記憶される特徴量ベクトル330の一例である。特徴量ベクトル330は、少なくとも第1ピークP
1、第2ピークP
2、およびディップDの頂点における足圧の値と、体重Aとを要素として含む。
【0074】
以上が、第1計算部132の動作についての説明である。なお、
図8のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態の第1計算部132の動作を限定するものではない。
【0075】
〔第2計算部〕
図10は、体重推定装置13の第2計算部134の動作の一例について説明するためのフローチャートである。以下の
図10のフローチャートに沿った説明においては、第2計算部134を動作の主体とする。
【0076】
図10において、まず、第2計算部134は、サンプルデータとして歩容データを取得する(ステップS131)。
【0077】
次に、サンプルデータを用いて、第2計算部134は、第1計算部132によって抽出された特徴量と体重データとの関係から学習モデルを生成する(ステップS132)。
【0078】
そして、第2計算部134は、生成した学習モデルを学習モデル記憶部135に記憶させる(ステップS133)。
【0079】
以上が、第2計算部134の動作についての説明である。なお、
図10のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態の第2計算部134の動作を限定するものではない。
【0080】
〔体重推定部〕
図11は、本発明の第1の実施形態に係る推定部136の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【0081】
図11において、まず、推定部136は、第1計算部132から推定対象の特徴量ベクトルを取得する(ステップS241)。
【0082】
次に、推定部136は、取得した特徴量ベクトルを学習モデル記憶部135に記憶された学習モデルに入力する(ステップS242)。
【0083】
次に、推定部136は、算出した体重データをデータ送信部137に出力する(ステップS243)。データ送信部137に出力された体重データは、送信装置14からユーザ端末に送信される。なお、体重データとともに特徴量ベクトルも送信するように構成してもよい。
【0084】
以上が、推定部136の動作についての説明である。なお、
図11のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態の推定部136の動作を限定するものではない。
【0085】
以上のように、本実施形態の体重推定システムは、データ取得装置、データ収集装置、体重推定装置、送信装置を備える。本実施形態の体重推定システムは、計測器の装着位置がずれたりして計測値が変動することの少ない足圧の時間変化に関する歩容データに関して、体重による影響と体動による影響とを考慮してユーザの体重を推定する。そのため、本実施形態の体重推定システムによれば、歩行者の体重を高精度に推定できる。言い換えると、本実施形態の体重推定システムによれば、特定領域で取得された歩容データを用いて、時間や空間の制限を受けずに、ユーザの体重を推定することが可能になる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る体重推定システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の体重推定システムは、第1の実施形態の体重推定装置13から記憶部や送信部を取り除いた構成である。
【0087】
図12は、本実施形態の体重推定システム20の構成の一例を示すブロック図である。
図12のように、体重推定システム20は、データ受信部21、第1計算部22、第2計算部24、推定部26を備える。
【0088】
データ受信部21は、歩行者の歩行特性を含む歩容データを受信する。例えば、データ受信部21は、歩行者の足裏による圧力データの時間変化に関するデータを歩容データとして受信する。例えば、データ受信部21は、歩行者の足裏による圧力データの時間変化に基づいた荷重波形を歩容データとして受信する。
【0089】
第1計算部22は、歩容データから歩行者の歩行特性に基づいた特徴量を抽出する。例えば、第1計算部22は、圧力データの時間変化に含まれる特徴量を抽出する。例えば、第1計算部22は、荷重波形に含まれる特徴量を抽出する。例えば、第1計算部22は、荷重波形のピーク値およびディップ値の少なくともいずれかを含む特徴量を抽出する。第1計算部22は、荷重波形に含まれる第1ピーク、第2ピーク、およびディップの値と、体重情報とを要素とする特徴量ベクトルを特徴として抽出する。
【0090】
第2計算部24は、歩容データをサンプルデータに用いて、第1計算部22によって抽出された特徴量と歩行者の体重情報との相関関係を学習して学習モデルを生成する。
【0091】
推定部26は、推定対象の歩容データを学習モデルに入力して推定対象の歩容データに対応する体重情報を推定する。
【0092】
以上が、本実施形態の体重推定システム20の構成の一例である。なお、
図12の体重推定システム20は一例であって、本実施形態の体重推定システム20の構成をそのままの形態で限定するものではない。
【0093】
体重推定システム20は、歩行者の足裏に設置される圧力センサによって圧力データを検出し、検出した圧力データから歩容データを抽出してデータベースに格納する歩容データ生成部を備えてもよい。この場合、データ受信部21は、データベースに格納される歩容データを受信する。
【0094】
また、体重推定システム20は、第1計算部22によって抽出される特徴量が記憶される第1記憶部と、第2計算部24によって生成される学習モデルが記憶される第2記憶部とを備えてもよい。この場合、第2計算部24は、第1記憶部に記憶された特徴量を用いて学習モデルを生成し、生成した学習モデルを第2記憶部に記憶させる。また、体重推定システム20は、推定部26によって推定される体重情報を含む体重データを送信するデータ送信部を備えてもよい。
【0095】
以上のように、本実施形態の体重推定システムは、歩行者の歩行特性を含む歩容データを受信し、歩容データから歩行者の歩行特性に基づいた特徴量を抽出する。また、本実施形態の体重推定システムは、歩容データをサンプルデータに用いて、第1計算部によって抽出された特徴量と歩行者の体重情報との相関関係を学習して学習モデルを生成する。そして、本実施形態の体重推定システムは、推定対象の歩容データを学習モデルに入力して推定対象の歩容データに対応する体重情報を推定する。
【0096】
例えば、本実施形態の体重推定システムは、学習モードにおいては、歩容データとともに、歩容データに紐付けられた体重情報を受信し、受信した体重情報と、歩容データから抽出された特徴量とを用いて学習モデルを生成する。そして、本実施形態の体重推定システムは、計測モードにおいては、学習モデルを用いて、歩容データに対応する体重情報を推定する。
【0097】
本実施形態の体重推定システムは、歩容データの特性を示す特徴量と体重情報との相関関係が学習される。学習によって得られた学習モデルに、特定領域以外の生体領域から取得される歩容データを適用すれば、特定領域以外の生体領域から取得される歩容データを用いて体重を推定することもできる。すなわち、本実施形態の体重推定システムによれば、学習モデルを用いることにより、第1の実施形態の体重推定システムに比べてより高精度に体重を推定できる。
【0098】
(実施例)
次に、本発明の各実施形態に係る体重推定装置に被験者の歩行の特性を示す特徴量を記録させる手順について図面を参照しながら説明する。本実施例では、分解能1キログラムの足圧測定装置を用いて、被験者の歩行時の足圧データを測定した。
【0099】
図13は、本実施例における特徴量の記録手順について説明するためのフローチャートである。以下の動作の主体は、各実施形態の体重推定装置を扱う作業者とした。
【0100】
図13において、まず、作業者は、被験者の体重を測定した(ステップS31)。このとき、被験者の体重真値に相当する体重データが取得された。作業者は、被験者の体重真値に相当する体重データは体重推定装置に記憶させた。
【0101】
次に、作業者は、被験者にリュックサックを背負わせた(ステップS32)。初期状態では、リュックの中身は空にした。本実施例では、被験者が背負ったリュックサックに重りを追加し、被験者の体重を擬似的に増加させることによって、応答変数のバリエーションを増やした。本実施例では、リュックサックの中に1キログラムの重みを1個ずつ増加して測定を行い、最終的には重りを5キログラムまで増加させた。
【0102】
次に、作業者は、リュックサックを背負った状態の被験者を歩行させ、体重推定装置に歩行波形を記録させた(ステップS33)。作業者は、体重推定装置に、被験者の体重を0〜5キログラムの範囲で変化させて重量ごとの歩行波形を記録させ、それらの歩行波形から特徴量を抽出させた。
【0103】
ここで、リュックサックの中の重りが5キログラム未満の場合(ステップS34でNo)、リュックサックの中に重りを追加した(ステップS35)。ステップS35の後は、ステップS33に戻って歩行波形の記録を継続させた。一方、リュックサックの中の重りが5キログラム以上の場合(ステップS34でYes)、
図13のフローチャートに沿った処理を終了とした。
【0104】
以上が、本実施例における特徴量の記録手順についての説明である。なお、
図13のフローチャートに沿った処理は一例であって、各実施形態における特徴量の記録手順を限定するものではない。
【0105】
図14は、実際に被験者が歩行した際に記録された歩行波形の一例である。
図14のように、理想波形に近い波形が取得できた。
図14の歩行波形から、体重推定装置に特徴量を抽出させることによって、被験者の特徴量ベクトルが得られた。
【0106】
本実施例で、ランダムフォレスト学習器を用いた特徴量重要度分析を行った。その結果、第1ピークと第2ピークとの平均値、一歩の歩行波形の時間積分値が重要であることがわかった。そのため、各実施形態の体重推定装置は、第1ピークおよび第2ピーク、もしくは歩行波形の積分値のいずれかを測定できるように構成することが有用である。
【0107】
図15には、
図13のフローチャートに沿った特徴量の記録を8人の被験者に対して行ったことによって得られた体重真値と予測体重値との相関関係を示した。
図15の例では、8人の被験者に対して、体重を擬似的に増加させ、異なる体重において歩行波形を測定し、それらの特徴量を集計して学習モデルを作成し、交差検定の方法を用いて推定結果の精度を評価した。具体的には、学習用の教師データから15%のデータをランダムに抽出し、残りの85%のデータを用いて学習データを作成した。その後、確保した15%のデータを学習器に入力し、出力した予測体重データと体重の真値と比較し、体重の真値との差の平均二乗誤差で精度を評価した。結果として、平均二乗誤差は1.16キログラムとなり、真値の分解能に近い結果となることが確認できた。
【0108】
(ハードウェア)
ここで、本発明の各実施形態に係る体重推定システムを実現するハードウェア構成について、
図16の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、
図16の情報処理装置90は、各実施形態の体重推定システムの処理を実行するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0109】
図16のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96を備える。
図16においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、バス99を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0110】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係る体重推定システムによる処理を実行する。
【0111】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0112】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0113】
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0114】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0115】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0116】
また、情報処理装置90には、必要に応じて、ディスクドライブを備え付けてもよい。ディスクドライブは、バス99に接続される。ディスクドライブは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。
【0117】
以上が、本発明の各実施形態に係る体重推定システムを可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図16のハードウェア構成は、各実施形態に係る体重推定システムの演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る体重推定システムに関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0118】
各実施形態の体重推定システムの構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、各実施形態の体重推定システムの構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
【0119】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。