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特許6981600表示基板及びその製造方法、表示装置及びその駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981600
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】表示基板及びその製造方法、表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20211202BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20211202BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G02F1/13 505
   G02F1/1347
   G02F1/1334
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-550711(P2017-550711)
(86)(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公表番号】特表2019-537037(P2019-537037A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】CN2017078559
(87)【国際公開番号】WO2018068480
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2020年3月5日
(31)【優先権主張番号】201610898157.X
(32)【優先日】2016年10月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512116114
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲顯▼示技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE DISPLAY TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】王 明 超
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−046224(JP,A)
【文献】 特開2014−021200(JP,A)
【文献】 特開昭51−005039(JP,A)
【文献】 特開2004−272204(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0077525(US,A1)
【文献】 特開2005−157133(JP,A)
【文献】 特開平08−051075(JP,A)
【文献】 特開平10−048605(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102455565(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
G02F 1/13,1/137−1/141
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/15−1/19
G02F 1/00−1/125,1/21−7/00
G09F 9/00
G02B26/00−26/08
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を含む表示基板であって、
各画素領域は、
ベース基板上にある反射膜層と、
前記反射膜層から離れ、前記ベース基板とは反対側の表面を有する半透過層と、
前記反射膜層と前記半透過層の間にあり、前記半透過層に面した表面を有する第一スペーサ層とを含み、
前記半透過層の前記表面から前記第一スペーサ層の前記表面までの第一距離はkλ/2であり、前記半透過層の前記表面から前記反射膜層の前記表面までの第三距離はkλ/2であり、λとλのいずれも色光の波長であり、kとkのそれぞれは正の整数である、表示基板。
【請求項2】
前記反射膜層と前記半透過層の間にあり、前記半透過層に面した表面を有する第二スペーサ層をさらに含み、
前記半透過層の前記表面から前記第二スペーサ層の前記表面までの第二距離はkλ/2であり、λは色光の波長であり、kは正の整数である、請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
λは450nmであり、λは520nmであり、λは675nmである、請求項2に記載の表示基板。
【請求項4】
前記半透過層は、金属誘起多結晶シリコンからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の表示基板。
【請求項5】
前記半透過層は、前記半透過層の上面に照射される光の一部を透過し、前記半透過層の前記上面に照射される前記光の一部を反射するように構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の表示基板。
【請求項6】
前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層のそれぞれは、透過モードと反射モードとの2つの動作モードの間を切り替えるように構成される、請求項2に記載の表示基板。
【請求項7】
前記第一スペーサ層又は前記第二スペーサ層が前記透過モードである場合、対応する第一スペーサ層又は第二スペーサ層の光透過率は第一透過率よりも大きく、
前記第一スペーサ層又は前記第二スペーサ層が前記反射モードである場合、対応する第一スペーサ層又は第二スペーサ層の光透過率は第二透過率よりも小さい、請求項6に記載の表示基板。
【請求項8】
前記第一透過率は約90%であり、前記第二透過率は約10%である、請求項7に記載の表示基板。
【請求項9】
前記透過モードと前記反射モードを切り替えるように構成される制御ユニットをさらに含む、請求項6に記載の表示基板。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記第一スペーサ層の一方の表面にある第一透明電極と、前記第一スペーサ層の他方の表面にある第二透明電極とを含み、
前記第一スペーサ層の前記動作モードは、前記第一透明電極と前記第二透明電極に印加される電圧を制御することで切り替わるように構成される、請求項9に記載の表示基板。
【請求項11】
前記制御ユニットは、前記第二スペーサ層の一方の表面にある別の第一透明電極と、前記第二スペーサ層の他方の表面にある別の第二透明電極とをさらに含み、
前記第二スペーサ層の前記動作モードは、前記別の第一透明電極と前記別の第二透明電極に印加される電圧を制御することで切り替わるように構成される、請求項10に記載の表示基板。
【請求項12】
前記第一スペーサ層及び前記第二スペーサ層はそれぞれ高分子分散型液晶からなる、請求項2に記載の表示基板。
【請求項13】
前記高分子分散型液晶は、液晶と第一ポリマーからなる、請求項12に記載の表示基板。
【請求項14】
前記第一ポリマーはアクリレートポリマーである、請求項13に記載の表示基板。
【請求項15】
前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層はそれぞれ、フォトニック結晶材料又はフォトリフラクティブ結晶材料からなる、請求項2に記載の表示基板。
【請求項16】
前記半透過層と前記第一スペーサ層の間、又は前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層の間、又は前記第二スペーサ層と反射光学層の間に、絶縁層が配置されている、請求項2に記載の表示基板。
【請求項17】
前記複数の画素領域のそれぞれの前記反射膜層は、同じ反射膜層の一部である、請求項1〜16のいずれかに記載の表示基板。
【請求項18】
前記複数の画素領域のそれぞれの前記半透過層は、同じ半透過層の一部である、請求項1〜17のいずれかに記載の表示基板。
【請求項19】
全ての画素領域が同じ構造を有する、請求項1〜18のいずれかに記載の表示基板。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の表示基板を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2016年10月14日に提出された中国特許出願第201610898157.X号明細書の優先権を主張し、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は表示技術に関するものであり、特に表示基板及びその製造方法、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IMOD(Interferometric Modulator、干渉変調器)表示技術は新しい反射式表示技術である。伝統的なIMOD表示デバイスの主な構造は、互いに一定の距離離れている2つの平行した反射面を含む。2つの反射面によって反射された光が互いに干渉し合う。光の波長と2つの反射面間の距離が特定の条件を満たす場合、干渉が強くなる。そのため、反射光の色は、2つの表面間の距離を変更することによって選択できる。
【0003】
現在、IMODは、2つの反射面間の間隔を、主にMEMS(micro-electromechanical system、微小電気機械システム)を介して調節している。MEMSは、各種ギア、スプリング、カンチレバー、チャンネルおよび他の小さな部材を主に含む。これらの小さな部材は、伝統的なIMOD表示デバイスの構造を非常に複雑化させており、生産プロセスを煩雑化させている。また、この小さなモータドライブを用いて基板を正確な位置に移動させることは難しい。これらの欠点により、IMOD技術の幅広い適用が妨げられている。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本開示の一例は表示基板である。前記表示基板は複数の画素領域を含んでいてよい。画素領域はそれぞれ、ベース基板の上にある反射膜層、前記反射膜層から離れている半透過層、及び前記反射膜層と前記半透過層間にある第一スペーサ層を含んでいて良い。前記半透過層は、前記ベース基板とは反対側の表面を有する。前記第一スペーサ層は、前記半透過層に面した表面を有する。前記半透過層の前記表面から前記第一スペーサ層の前記表面までの第一距離はkλ/2であってよい。前記半透過層の前記表面から前記反射膜層の前記表面までの第三距離はkλ/2であってよい。λ及びλのいずれも色光の波長であり、k及びkのいずれも正の整数である。
【0005】
前記表示基板は、前記反射膜層と前記半透過層間に、第二スペーサ層をさらに含んでいてもよい。前記第二スペーサ層は、前記半透過層に面した表面を有する。前記半透過層の前記表面から前記第二スペーサ層の前記表面までの第二距離はkλ/2であってよい。λは色光の波長であり、kは正の整数である。前記半透過層は、反射膜層、前記第一スペーサ層、及び前記第二スペーサ層と実質的に平行であってよい。一実施形態では、λは450nm、λは520nm、λは675nmである。
【0006】
前記半透過層は金属誘起多結晶シリコン(metal-induced polycrystalline silicon)からなるものであってよい。前記半透過層は、前記半透過層の表面に照射される光の一部を透過し、前記半透過層の表面に照射される光の一部を反射するように構成される。
【0007】
前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層のそれぞれは、透過モードと反射モードの2つの動作モードの間を切り替えるように構成される。前記第一スペーサ層又は前記第二スペーサ層が透過モードである時、対応する第一スペーサ層又は第二スペーサ層の光透過率は第一透過率よりも大きい。前記第一スペーサ層又は前記第二スペーサ層が反射モードである時、対応する第一スペーサ層又は第二スペーサ層の光透過率は第二透過率よりも小さい。一実施形態では、前記第一透過率は約90%であり、前記第二透過率は約10%である。
【0008】
前記表示基板は、制御ユニットをさらに含んでいてもよい。前記制御ユニットは、透過モードと反射モードを切り替えるように構成される。前記制御ユニットは、前記第一スペーサ層の一方の表面上にある第一透明電極と、前記第一スペーサ層の他方の表面上にある第二透明電極とを含んでいてよい。前記第一スペーサ層の動作モードは、前記第一透明電極及び前記第二透明電極に印加される電圧の制御の下で切り替わるように構成される。前記制御ユニットは、前記第二スペーサ層の一方の表面上にある別の第一透明電極と、前記第二スペーサ層の他方の表面上にある別の第二透明電極とをさらに含んでいて良い。前記第二スペーサ層の動作モードは、前記別の第一透明電極及び前記別の第二透明電極に印加される電圧の制御の下で切り替わるように構成される。
【0009】
一実施形態では、前記第一スペーサ層と前記第二層はそれぞれ高分子分散型液晶からなる。前記高分子分散型液晶は、液晶と第一ポリマーとからなる。前記第一ポリマーはアクリレートポリマー又はカーボネートポリマーであってよい。液晶は前記第一ポリマーに良好に分散されるものである。
【0010】
別の実施形態においては、前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層のそれぞれが、フォトニック結晶材料又はフォトリフラクティブ結晶材料からなる。
【0011】
前記半透過層と前記第一スペーサ層の間、又は前記第一スペーサ層と前記第二スペーサ層の間、又は前記第二スペーサ層と前記反射光学層との間に絶縁層を配置してもよい。絶縁層は、SiN、SiO、SiN、又はエポキシ樹脂等からなる。
【0012】
複数の画素領域のそれぞれの反射膜層は、同じ反射膜層の一部であってもよい。複数の画素領域のそれぞれの半透過層は、同じ半透過層の一部であってもよい。全ての画素領域が同じ構造を有していてもよい。
【0013】
本開示の他の例は、本開示の一実施形態による表示基板を含む表示装置である。
本発明とみなされる主題は、本明細書の結びの請求項において、特に指摘され、明確に請求される。前述及び本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかである。添付の図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態による表示基板の概略構造図を示す。
図2】本開示の一実施形態による画素領域の概略構造図を示す。
図3】本開示の一実施形態による画素領域の概略構造図を示す。
図4】本開示の一実施形態による画素領域の概略構造図を示す。
図5】本開示の一実施形態によるスペーサ層の動作モードの切り替えの模式図を示す。
図6】本開示の一実施形態による画素領域の動作を示す。
図7】本開示の一実施形態による画素領域の動作を示す。
図8】本開示の一実施形態による画素領域における反射光の波形図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
開示されている実施形態を参照して本発明を説明する。図1〜8は、本開示の説明を通して参照される。図面に言及する場合、全体にわたって示された同様の構造及び要素は、同様の符号で示される。
【0016】
第一実施形態
図1は、本開示の一実施形態による表示基板の概略構造図を示す。図1に示すように、前記表示基板は、複数の画素領域100を画定するための、ベース基板10に配置されたオペークな画定層11を含む。各画素領域100はそれぞれ一色の光を反射し、複数の画素領域100が協力してカラー表示を実現している。
【0017】
一実施形態では、前記表示基板は、赤い光を反射する画素領域Rと、緑の光を反射する画素領域Gと、青い光を反射する画素領域Bとを含む。反射された三原色R、G、Bに基づいて、カラー表示を実現できる。
【0018】
図2は、本開示の一実施形態による画素領域100の概略構造図を示す。画素領域100は、ベース基板10に配置された反射膜層3と、半透過層1と、反射膜層3と半透過層1の間に配置された第一スペーサ層2-1とを含む。前記半透過層は、前記ベース基板とは反対側の上面を有する。前記第一スペーサ層2-1は前記半透過層に面した上面を有する。前記半透過層の上面から前記第一スペーサ層2-1の上面までの第一距離はkλ/2である。前記半透過層の上面から前記反射膜層の上面までの第三距離はkλ/2。λとλのいずれも色光の波長であり、kとkのそれぞれは正の整数である。ここで、2つの層の間の距離とは、2つの層の間の垂直距離を指す。
【0019】
図3は、本開示の一実施形態による画素領域100の概略構造図を示す。画素領域100は、ベース基板10に配置された反射膜層3と、半透過層1と、反射膜層3と半透過層1の間に配置された少なくとも2つのスペーサ層2であって、第一スペーサ層2-1及び第二スペーサ層2-2とを含む。前記半透過層は、前記ベース基板とは反対側の上面を有する。前記第一スペーサ層2-1及び前記第二スペーサ層2-2は、それぞれ前記半透過層に面した上面を有する。前記半透過層の上面から前記第一スペーサ層2-1の上面までの第一距離はkλ/2である。前記半透過層の上面から前記第二スペーサ層2-2の上面までの第二距離はkλ/2である。前記半透過層の上面から前記反射膜層の上面までの第三距離はkλ/2である。λ、λ、λのいずれも色光の波長であり、k、k及びkのいずれも正の整数である。ここで、2つの層の間の距離とは、2つの層の間の垂直距離を指す。
【0020】
光が半透過層1の上面に照射されると、図6に示すように、半透過層は、光の一部を透過し、光の一部を反射する。スペーサ層2はそれぞれ透過モードと反射モードの2つの動作モードを有する。透過モードでは、スペーサ層2の光透過率は第一透過率よりも大きい。反射モードでは、対応するスペーサ層2の光透過率第二透過率はよりも小さい。一実施形態では、前記第一透過率は約90%であり、前記第二透過率は約10%である。
【0021】
透過モードにおけるスペーサ層2の光透過率は、できるかぎり大きい方が好ましい。例えば、70%より大きく、90%より大きいことが好ましい。反射モード状態におけるスペーサ層2の光透過率は、できるかぎり小さい方が好ましい。例えば、30%より小さく、10%より小さいことが好ましい。
【0022】
画素領域100は、制御ユニットをさらに含んでいて良い。制御ユニットはスペーサ層2の動作モードを切り替えるために用いられる。一実施形態では、図3〜5に示すように、スペーサ層2の動作モードを切り替えるために用いられる制御ユニットは、第一透明電極4と、第二透明電極5とを含んでいる。スペーサ層2は前記第一透明電極4と前記第二透明電極5の間に配置されている。前記第一透明電極4と前記第二透明電極5に電圧が印加されると、スペーサ層2を透過モードに切り替えることができる。一方、前記第一透明電極4と前記第二透明電極5に電圧が印加されない場合は、スペーサ層2は初期の反射モードに戻る。
【0023】
本実施形態では、光干渉に基づいてカラー表示を実現する、表示基板を提供する。強め合う干渉を利用して、画素領域によって光の色を選択的に反射させるために、前記半透過層の上面から前記第一スペーサ層2-1の上面までの第一距離はkλ/2であり、前記半透過層の上面から前記第二スペーサ層2-2の上面までの第二距離はkλ/2であり、前記半透過層の上面から前記反射膜層の上面までの第三距離はkλ/2である。λ、λ、λのいずれも色光の波長であり、k、k及びkのそれぞれは正の整数である。すなわち、画素領域において干渉し合う可能性のある光とは、半透過層1によって反射された光と第一スペーサ層2-1と第二スペーサ層2-2のいずれかによって反射された光、或いは、半透過層1によって反射された光と反射膜層3によって反射された光である。
【0024】
以下、半透過層1によって反射された光と第二スペーサ層2-2によって反射された光との間の画素領域において強め合う干渉が生じる例を用いて、表示基板の動作原理を詳細に説明する。
【0025】
図6に示すように、光が半透過層1に照射されると、光の一部が半透過層1を透過し、光の一部が半透過層1によって反射されて戻り、半透過層1による反射光を形成する。第二スペーサ層2-2の動作モードは反射モードである。第二スペーサ層2-2と半透過層1の間にある第一スペーサ層2-1を含む全てのスペーサ層の動作モードは、透過モードである。このように、半透過層1を透過した光の一部は第一スペーサ層2-1を通過し、第二スペーサ層2-2に照射される。そして、第二スペーサ層2-2は照射された光のほとんどを反射し、第二スペーサ層2-2による反射光を形成する。そして、第二スペーサ層2-2による反射光と半透過層1による反射光が干渉する。前記半透過層1の上面から前記第二スペーサ層2-2の上面までの距離がkλ/2であるため、第二スペーサ層2-2によって反射された光(図8中の破線7)と、半透過層1によって反射された光(図8中の鎖線8)との間の光路差はkλである。そのため、波長λを有する2つの反射光によって、強め合う干渉が生じる(図8中の実線9が、強め合う干渉が生じた後の光を示す)。そのため、画素領域では、第二スペーサ層2-2によって反射された光と半透過層1によって反射された光とが干渉して強め合うことで、画素領域により反射光の色を選択できるようになる。画素領域による反射光の色はλの透過率に依存する。一実施形態では、λが520nmであり、画素領域は緑の光を反射する。
【0026】
同様に、第一スペーサ層2-1が反射モードであると、半透過層1を透過した光は第一スペーサ層2-1に照射され、第一スペーサ層2-1によって反射される。前記半透過層1の上面から前記第一スペーサ層2-1の上面までの距離がkλ/2であるため、第一スペーサ層2-1によって反射された光と、半透過層1によって反射された光との間の光路差はkλである。そのため、波長λを有する2つの反射光によって、強め合う干渉が生じる。そのため、画素領域では、第一スペーサ層2-1によって反射された光と半透過層1によって反射された光とが干渉して強め合うことで、画素領域により反射光の色を選択できるようになる。画素領域による反射光の色はλの透過率に依存する。一実施形態では、λが450nmであり、画素領域は青い光を反射する。
【0027】
同様に、図7に示すように、画素領域において、反射膜層3によって反射された光と、半透過層1によって反射された光とが干渉して強め合うことで、画素領域によって反射される光の色を選択できるようになる。半透過層1と反射膜層3の間にある全てのスペーサ層2が透過モードであるため、半透過層1を透過した光は反射膜層3に照射される。前記半透過層1の上面から前記反射膜層3の上面までの距離がkλ/2であるため、反射膜層によって反射される光と半透過層1によって反射される光との間の光路差はkλである。そのため、波長λを有する2つの反射光によって、強め合う干渉が生じる。そのため、画素領域では、反射膜層3によって反射された光と半透過層1よって反射された光が干渉して強め合うことで、画素領域により反射光の色を選択できるようになる。画素領域による反射光の色はλの透過率に依存する。一実施形態では、λが675nmであり、画素領域は赤い光を反射する。
【0028】
本開示の上述実施形態では、一つのスペーサ層のみ反射モードで制御し、このスペーサ層と半透過層との間に位置する他のスペーサ層は全て透過モードで制御するか、或いは、反射膜層が光を反射するように、全てのスペーサ層を透過モードで制御する必要があるため、特定の色を持つ光に対して強め合う干渉が生じ、反射光の光を選択できるようになる。半透過層、スペーサ層又は反射膜層の位置を調節する必要がなく、これらの位置は固定されている。その結果、本開示のこの実施形態は、構造がシンプルであり、製造が容易であり、位置決め精度が高く、表示品質が良好であるなどの利点を有する。
【0029】
半透過層1は金属誘起多結晶シリコンからなるものであってよい。溶液法-金属誘起結晶化技術(S−MIC)は、コストが低く品質が高いなどの利点を有する。本実施形態では、金属誘起多結晶シリコンはS−MIC法により調製することができる。調製プロセスにおいてホウ素(B)をドープして、厚さ50nmを有する高品質な金属誘起多結晶シリコン薄膜を形成してもよい。金属誘起多結晶シリコン膜からなる半透過層1は、可視光帯域において、低吸収であること及びほぼ半透過半反射であるという特徴を有する。一実施形態では、全ての画素領域100の半透過層1は一体構造を有している。すなわち、全ての画素領域100の半透過層1は同じ半透過膜、例えば同じ金属誘起多結晶シリコン薄膜の一部である。
【0030】
構造及び生産プロセスを簡略化するために、複数の画素領域100の反射膜層3は一体構造を有し、同じ反射膜から作られてもよい。反射膜層3は、Ag金属膜又は銀メッキ膜であってよく、電解メッキプロセス又はマグネトロンスッパッタリングプロセスにより調製される。一実施形態では、反射膜層3はスペーサ層2と同じ材料からなり、制御ユニットにより、反射モードでのみ動作するように制御してもよい。
【0031】
別の実施形態では、図3に示すように、透明な絶縁層を、前記半透過層と前記第一スペーサ層2-1の間、2つの隣接するスペーサ層2の間、及び前記第二スペーサ層2-2と前記反射膜層の間に配置することで(例えば、それぞれ図3に示す第一絶縁層101、第二絶縁層102、及び第三絶縁層103)、半透過層1、2つの隣接するスペーサ層2、及び反射膜層3の間の距離を調節して一定の光路差を設け、異なる色を有する光の干渉を実現することができる。
【0032】
隣接する2つのスペーサ層2を一定の距離に保つ方法は、上述のものに限定されない。一実施形態では、図4に示すように、第一スペーサ層2-1及び第二スペーサ層2-2は、それぞれセルの第一基板20と第二基板21の間に設けることができる。前記第一基板20と前記第二基板21は、隣接する2つのスペーサ層2の間の一定の距離が確保されるように、画定層11に固定される。前記第一基板20及び前記第二基板21は透明なガラス基板又は石英基板であってよい。
【0033】
一実施形態では、前記表示基板の構造を簡略化するために、全ての画素領域100を同じ構成とすることができる。同じ構成とは、スペーサ層2の数を同じにすること、半透過層1から、半透過層1に隣接するスペーサ層2までの距離を同じにすること、隣接する2つのスペーサ層2の間の距離を同じにすること、及び反射膜層3から、反射膜層3に隣接するスペーサ層2までの距離を同じにすることを含む。各画素領域100において、半透過層1の上面からいずれかのスペーサ層2の上面までの距離は、表示にしたい色の光の半波長の整数倍とすることができる。さらに、半透過層1の上面から反射膜層3の上面までの距離も、表示にしたい色の光の半波長の整数倍とすることができる。このように、スペーサ層2の動作モードを制御することによって、各画素領域100は、表示にしたい色の光を選択的に反射することができる。
【0034】
一実施形態では、前記表示基板は、赤い光を反射する画素領域Rと、緑の光を反射する画素領域Gと、青い光を反射する画素領域Bとを含む。具体的には、図3に示すように、各画素領域は2つのスペーサ層2を含む。半透過層1の上面から一つの第一スペーサ層(もう一つのスペーサ層に対して半透過層に近い側)の上面までの距離は、Kλ/2とする。半透過層の上面から第二スペーサ層の上面までの距離は、Kλ/2とする。半透過層1の上面から反射膜層3の上面までの距離は、Kλ/2とする。この場合、画素領域において、半透過層に近い前記第一スペーサ層2が反射モードになるように制御されると、当該画素領域は選択的に青い光を反射し、青色を呈する。第二スペーサ層2が反射モードになるように制御され、半透過層に近い第一スペーサ層2が透過モードになるように制御されると、画素領域は選択的に緑の光を反射し、緑色を呈する。スペーサ層2が両方とも透過モードになるように制御されると、反射膜層3が光を反射し、画素領域は選択的に赤い光を反射して赤色を呈する。全ての画素領域の構造の設定を同じにすることができるため、前記表示基板の構造は非常にシンプルであり、前記表示基板の製造プロセスが簡略化される。
【0035】
前記表示基板の画素領域100の構造がすべて同じである場合、半透過層1から反射膜層3までの距離が同じであるため、全ての画素領域100の半透過層は、図1に示すように、同一の金属誘起多結晶シリコン膜からなる一体構造とすることができる。同様に、全ての画素領域100の反射膜層3も、同じ反射膜からなる一体構造とすることができる。
【0036】
別の実施形態では、反射層によって反射された光と半透過層によって反射された光が干渉して強め合い、異なる画素領域において異なる色を有する必要がある場合、全ての画素領域の半透過層を一体構造とすることができない。その場合、半透過層と反射膜層間の距離は、選択的に反射する光の色に応じて設計することができる。つまり、異なる画素領域における半透過層は互いに独立していてもよい。
【0037】
スペーサ層の2つの動作モード、即ち反射モードと透過モードを実現するには、多くの方法がある。具体的には、スペーサ層の動作モードは、光制御又は電気的制御によって切り替えることができる。
【0038】
一実施形態では、図5に示すように、スペーサ層2は高分子分散型液晶からなる。高分子分散型液晶では、ミクロンオーダーの大きさの液晶の小さな液滴が有機固体ポリマー母材内に分散している。液晶分子で構成される小さな液滴の光軸は不規則に配向しており、小さな液滴の屈折率は母材の屈折率とは一致しない。母材を通過する光が液晶滴によって強く散乱すると、スペーサ層がオペークとなり反射モードを実現する。電極に電界を印加して液晶滴の光軸の配向を調節し、液晶滴の屈折率と母材の屈折率を一致させると、スペーサ層は透明となり、透過モードを実現する。電界を取り除くと、液晶滴は初期の不規則な配向に戻る。
【0039】
高分子分散型液晶は、第一ポリマーと液晶とで作成することができる。第一ポリマーはアクリレートポリマーとすることができる。アクリレートポリマーは、粘度が低く、硬化速度が速く、耐UV性が良く、透明な導電層、ガラス及びプラスチックへの粘着力が強いことから、優れた総合的性能を供する。アクリレートポリマーと液晶とからなる高分子分散型液晶には、コントラストが大きい、駆動電圧が低いなどの利点を有する。
【0040】
なお、スペーサ層の材料は、高分子分散型液晶層に限定されない。例えば、フォトニック結晶材料又はフォトリフラクティブ結晶材料を用いることができ、スペーサ層の動作モードは、光制御によって切り替えることができる。例えば、液晶分子中に少量(約1%)の感光性アゾポリマー(例えばアゾベンゼン)を混合して調製したフォトニック結晶材料については、以下に、光制御によるスペーサ層の動作モード切り替えの原理を示す。直線偏光紫外光(波長:366nm)でアゾポリマーを照射すると、アゾポリマーは可逆的なシス‐トランス異性化を生じる。すなわち、湾曲したシス構造が棒状のトランス構造に転換されることにより、液晶分子は光の偏光方向に垂直に配向する。こうして、スペーサ層は透過モードとなる。可視光(波長>400nm)でアゾポリマーを照射すると、アゾポリマーの構造はトランス型からシス型に変化し、液晶分子は不規則な状態に戻り、スペーサ層は反射モードとなる。
【0041】
一実施形態では、図1〜3及び4に示すように、表示基板は、赤い光を反射する画素領域Rと、緑の光を反射する画素領域Gと、青い光を反射する画素領域Bとを含む。前記表示基板は、反射膜層3上に設けられ、複数の画素領域100を画定するためのオペークな画定層11を含む。反射膜層3は、半透過層に面し、銀でコーティングされた上面を有する。全ての画素領域100の反射膜層を一体構造とすることができる。つまり、反射膜層の全てが同じ層の一部とすることができる。一実施形態では、図2に示すように、各画素領域100は、反射膜層3上にこの順に配置された、第一絶縁層101と、第三絶縁層103とを含む。スペーサ層として、アクリレートポリマー分散液晶層2が用いられる。前記スペーサ層は、前記第一絶縁層101と前記第三絶縁層103の間に配置されている。第一透明電極4は、スペーサ層2の一方の側に接して配置されている。第二透明電極5は、スペーサ層2のもう一方の側に接して配置されている。半透過層1は、第三絶縁層103上に配置されている。半透過層1の上面からスペーサ層2の上面までの距離は、Kλ/2である。半透過層1の上面から反射膜層3の上面までの距離は、Kλ/2である。具体的には、λ=450nm、λ=675nmである。本実施形態による前記表示基板は、二色表示を実現でき、道路標識などに適用できる。
【0042】
別の実施形態では、図3に示すように、各画素領域100は、反射膜層3上にこの順に配置された、第一絶縁層101と、第二絶縁層102と、第三絶縁層103とを含む。スペーサ層として、2つのアクリレートポリマー分散液晶層2が用いられる。一つのスペーサ層は、前記第一絶縁層101と前記第二絶縁層102の間に配置されている。もう一つのスペーサ層2は、前記第二絶縁層102と前記第三絶縁層103の間に配置されている。第一透明電極4は、各スペーサ層2の一方の側に接して配置されている。第二透明電極5は、各スペーサ層2のもう一方の側に接して配置されている。半透過半反射の半透過層1は、第三絶縁層103に配置されている。半透過層1の上面から一方のスペーサ層2(もう一方のアクリレートポリマー分散液晶層に対して半透過層1に近い側)の上面までの距離は、Kλ/2である。半透過層1の上面からもう一方のスペーサ層2の上面までの距離は、Kλ/2である。半透過層1の上面から反射膜層3の上面までの距離は、Kλ/2である。具体的には、λ=450nm、λ=520nm、λ=675nmである。
【0043】
なお、上述は、本開示の表示基板の一具体例にすぎず、必要に応じて上述の構造を調節することが可能であり、その全てが本開示の範囲に含まれる。
【0044】
別の実施形態では、表示基板の製造方法も提供する。この方法は、複数の画素領域を画定するためにベース基板の上にオペークな画定層を形成する工程と、画素領域を形成する工程とを含む。各画素領域を形成する工程は、前記ベース基板上に反射膜層を形成するステップ、前記反射膜層から離れた位置に半透過層を形成するステップとを含む。前記半透過層は反射膜層とは反対側の上面を有する。前記半透過層は、その上面に照射される光の一部を透過及び反射するために用いられる。
【0045】
各画素領域を形成する工程は、前記反射膜層と前記半透過層の間に少なくとも2つのスペーサ層を形成するステップをさらに含む。前記スペーサ層は透過モードと反射モードの2つの動作モードを有する。スペーサ層の光透過率は透過モードにおける第一透過率より大きい。スペーサ層の光透過率は反射モードにおける第二透過率より小さい。前記ベース基板が配置される面に垂直な方向において、前記半透過層の上面から前記スペーサ層の上面又は前記反射膜層の上面までのそれぞれの距離は、Kλ/2の関係を満たす。λは対応する画素領域によって反射される光の波長であり、Kは正の整数である。
【0046】
各画素領域を形成する工程は、スペーサ層の動作モードを切り替えるための制御ユニットを形成するステップをさらに含む。一実施形態では、前記スペーサ層は高分子分散型液晶からなるものであってよい。スペーサ層以下の方法で作られる。まず、第一ポリマーを調製する。そして、前記第一ポリマーと前記液晶を一定の体積比で均一に混合し、複合材料を形成する。その後、複合材料で第一薄膜を形成し、硬化させてスペーサ層を形成する。液晶はスペーサ層内に無秩序に分布しているため、スペーサ層の初期の動作モードは反射モードである。
【0047】
一実施形態では、アクリレートポリマーを前記第一ポリマーとして用いたスペーサ層を作製するステップは、以下に例示する。
【0048】
まず、モノマー(例えば、トリプロピレングリコールジアクリレート)、オリゴマー(例えば、ウレタンアクリレート)、及び光開始剤(例えば、IRGACURE(登録商標)184)を一定の比率で混合してアクリレートポリマーを形成する。そして、このアクリレートポリマーと液晶を1:1の体積比で均一に混合して複合材料を形成する。その後、この複合材料を用いて透明電極の上に第一薄膜を形成する。最後に、前記第一薄膜を室温で波長365nmの紫外光により硬化して高分子分散型液晶層を形成し、この高分子分散型液晶層からスペーサ層を形成する。
【0049】
上述方法で作製したスペーサ層に透明電極を介して電界を印加すると、電気的な制御により、スペーサ層の動作モードが透過モードに切り替わる。電界を取り除くと、スペーサ層は初期の反射モードに戻る。
【0050】
第二実施形態
本開示の別の例は、本開示の一実施形態による表示基板を含む表示デバイスである。前記表示デバイスは、強め合う干渉を利用して特定の色の光を選択的に反射し、カラー表示を図ることができ、反射構造の位置を調節する必要がない。反射構造の位置が固定されていることから、前記表示デバイスは、構造がシンプルであり、製造が容易であり、位置決め精度が高く、表示品質が良好であるなどの利点を有する。
【0051】
本開示の別の例は、上述の表示デバイスの駆動方法である。前記表示デバイスは、特定の色の光を反射する複数の画素領域を含む。一実施形態では、駆動方法は、画素領域に対して、少なくとも2つのスペーサ層うちの一層の動作モードを反射モードに制御することを含む。反射モードにあるスペーサ層と半透過層の間にある全てのスペーサ層の動作モードは、透過モードに制御される。前記ベース基板の面に垂直な方向において、前記半透過層の表示側に近い上面から反射モードにあるスペーサ層の表示側に近い上面までの距離は、Kλ/2である。
【0052】
別の実施形態では、反射膜層と半透過層の間にある全てのスペーサ層の動作モードは透過モードに制御される。前記ベース基板が配置される面に垂直な方向において、前記半透過層の表示側に近い上面から前記反射膜層の表示側に近い上面までの距離は、Kλ/2である。ここで、Kは正の整数であり、λは対応する画素領域における反射光の波長である。
【0053】
上述駆動方法では、スペーサ層が反射モードに制御され、反射モードにあるこのスペーサ層と半透過層の間にあるその他の全てのスペーサ層は、透過モードに制御される。あるいは、全てのスペーサ層が透過モードに制御され、反射膜層が光を反射する。こうして、特定の色を有する光が強め合う干渉を実現し、反射光の色を選択できる。スペーサ層と反射膜層の位置を調節する必要はなく、これらの位置は固定されている。本開示は、構造がシンプルであり、製造が容易であり、位置決め精度が高く、表示品質が良好であるなどの利点を有する。
【0054】
反射膜層はスペーサ層と同じ材料からなるものであってもよく、前記駆動方法は前記反射膜層の動作モードを反射モードに制御することをさらに含んでいてよい。
【0055】
本実施形態では、前記スペーサ層は高分子分散型液晶からなるものであってよい。スペーサ層の初期の動作モードは反射モードである。スペーサ層の動作モードは、電気的な制御により透過モードに切り替わることができる。具体的には、スペーサ層に電界が印加されると、スペーサ層の動作モードは透過モードに制御される。電界を取り除いた後、スペーサ層は再び初期の透過モードに戻る。
【0056】
スペーサ層がフォトニック結晶材料又はフォトリフラクティブ結晶材料からなる場合、スペーサ層の動作モードは光制御により切り替えることができる。例えば、液晶分子中に少量(約1%)の感光性アゾポリマー(例えば、アゾベンゼン)を混合して調製されたフォトニック結晶材料からなるスペーサ層に、直線偏光紫外光(波長:366nm)が照射され、アゾポリマーは可逆的なシス‐トランス異性化を呈する。湾曲したシス構造が棒状のトランス構造に転換されることにより、液晶分子は光の偏光方向に垂直に配向する。その結果、スペーサ層は透過モードとなる。スペーサ層に可視光(波長>400nm)が照射されると、アゾポリマーの構造はトランス型からシス型に転換し、液晶分子は不規則な状態に戻り、スペーサ層は反射モードとなる。
【0057】
一実施形態では、表示デバイスは、赤い光を反射する画素領域Rと、緑の光を反射する画素領域Gと、青い光を反射する画素領域Bとを含む。各画素領域は、高分子分散型液晶から作製される、2つのスペーサ層を含む。本実施形態における前記表示デバイスの駆動方法は、画素領域Bにおいて、半透過層に近いスペーサ層を反射モードに制御することを含む。具体的には、このスペーサ層に電界を印加せず、半透過層の表示側に近い上面からスペーサ層の表示側に近い上面までの距離は、Kλ/2である。光が半透過層に照射されると、光の一部が反射され、光の一部は半透過層を透過してスペーサ層に照射される。スペーサ層は光を反射し、半透過層によって反射された青い光とスペーサ層によって反射された青い光が干渉して強め合う。結果として、この画素領域は青い光を反射し青色を呈する。
【0058】
画素領域Gにおいて、半透過層に近いスペーサ層を透過モードに制御し(具体的には、スペーサ層に電界を印加する)、半透過層から離れた他方のスペーサ層を反射状態に制御する。半透過層の表示側に近い上面から他方のスペーサ層の表示側に近い上面までの距離は、Kλ/2である。光が半透過層に照射されると、光の一部が反射され、光の一部は半透過層を透過して他方のスペーサ層に照射され、他方のスペーサ層が光を反射する。半透過層によって反射された緑の光と他方のスペーサ層によって反射された緑の光が干渉して強め合い、これによりこの画素領域は緑の光を反射し、緑色を呈する。
【0059】
画素領域Rにおいて、スペーサ層を両方とも透過モードに制御する。具体的には、2つのスペーサ層の両方ともに電界を印加し、半透過層の表示側に近い上面から反射膜層の表示側に近い上面までの距離は、Kλ/2である。光が半透過層に照射されると、光の一部が反射され、光の一部は半透過層を透過し、反射膜層が光を反射する。半透過層によって反射された赤い光と反射膜層によって反射された赤い光が干渉して強め合い、これによりこの画素領域は赤い光を反射し、赤色を呈する。
【0060】
前述は本開示の好ましい実態にすぎず、当業者によって、本開示の原理から逸脱することなく、修正および置換がなされ得ることに留意すべきである。本開示はこれに限定されないことを理解すべきである。
【0061】
本開示の各種実施形態の説明は、説明のために提示されたものであり、網羅的であるか、または開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者によれば、記載された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの変更および変形が可能であることは明らかである。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用または技術的改善を最もよく説明するために、または当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるように選択された。
図1
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