特許第6981607号(P6981607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981607
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ホームドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   B61B1/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-113591(P2017-113591)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-203172(P2018-203172A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 均
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−166607(JP,A)
【文献】 特開2003−136565(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3139707(JP,U)
【文献】 特開2017−001462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに設置され、プラットホーム上と車両内部との間の通路を遮った状態と通行可能にする状態との間で切り替えるホームドア装置であって;
前記ホームドア装置の作動に関する入力及び出力を中継する操作盤であって、前記プラットホームに対して直接又は間接的に固定される操作盤と;
前記通路を遮る遮断部材の開動作及び閉動作に関する入力を受け付ける開閉操作部と;
前記開閉操作部を、前記操作盤に対して遠ざけ及び近づける往復移動可能に支持する可動支持部材とを備え;
前記可動支持部材は、折り畳み可能なアームを有し;
前記アームは、
2つの棒状の部材から構成された主アームと、
前記主アームの前記2つの棒状の部材の一端同士を接続する連結部材と、
前記連結部材が前記プラットホームにつかないように前記主アームの可動範囲を制限するリンクであって、前記主アームの前記2つの棒状の部材のそれぞれにそれぞれの一端が連結された2つの平棒と、前記連結部材に対して移動及び回動しないように端部が連結された制限板と、を有するリンクと、を含み、
前記2つの平棒は、一端同士が制限ピンによって連結されて前記制限ピンを中心としてなす角を変化させることができるように構成され、前記主アームの前記2つの棒状の部材と協働して菱形を形成するように配置されており、
前記制限板は、前記制限ピンが貫通する長孔が内部に形成され、前記主アームの前記連結部材に接続されたのとは反対側の各端部が離れるように延びる程度は前記制限ピンが前記長孔内を移動できる範囲に規制される;
ホームドア装置。
【請求項2】
プラットホームに設置され、プラットホーム上と車両内部との間の通路を遮った状態と通行可能にする状態との間で切り替えるホームドア装置であって;
前記ホームドア装置の作動に関する入力及び出力を中継する操作盤であって、前記プラットホームに対して直接又は間接的に固定される操作盤と;
前記通路を遮る遮断部材の開動作及び閉動作に関する入力を受け付ける開閉操作部と;
前記開閉操作部を、前記操作盤に対して遠ざけ及び近づける往復移動可能に支持する可動支持部材とを備え;
前記可動支持部材は、前記開閉操作部を案内するガイドレールであって、水平方向に延びるように設けられたガイドレールを有する;
ホームドア装置。
【請求項3】
前記可動支持部材は、前記開閉操作部が前記操作盤から離れた位置で前記開閉操作部を移動させないようにするロック機構を有する;
請求項1又は請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記可動支持部材は、前記開閉操作部が前記操作盤から離れた位置で外力が取り除かれたときに前記開閉操作部が前記操作盤に近づいた位置に前記開閉操作部を戻す引寄部材を有する;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記開閉操作部からの指令により開閉制御される前記遮断部材を複数備え;
さらに、前記遮断部材を支持する遮断支持部材を複数備える;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホームドア装置に関し、特にプラットホームに停車した車両の乗務員室から離れた場所に操作盤が設けられていてもホームドア装置の遮断部材の操作と車両の扉の操作を行うことが可能なホームドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラットホームには、乗降客と車両との接触防止やプラットホームからの乗降客の転落防止等の安全性を向上させる観点から、ホームドア装置を設置する事例が増加している。ホームドア装置として、車両の乗降口に対応する位置に設けられたホームドアと、ホームドアを収納可能なホームドア用戸袋とを備え、ホームドアがホームドア用戸袋に収納された位置とホームドア用戸袋から引き出された位置との間を往復動するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−247742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなホームドア装置には、ホームドアの開閉を、乗務員操作盤に配置されたスイッチの操作で行うものがある。乗務員操作盤は、典型的には、プラットホームに停車した車両の乗務員用扉の近傍に設置されている。ところで、車輌製造年月の違いや近年の異なる鉄道会社による相互乗り入れの増加等に起因した、1つの路線に異なる種類の車両が運行されることに伴い、プラットホームの所定の位置に車両を停止させたときに、車両の乗務員用扉の位置が特定の場所に定まらない場合がある。このため、乗務員がホームドアを開閉しようとするときに、ホームドア装置に設置された乗務員操作盤が車両の乗務員用扉から離れた位置に存在し、車両の乗務員室から移動してホームドアを操作しなければならない場合があった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、プラットホームに停車した車両の乗務員室から離れた場所に操作盤が設けられている場合であっても車両の乗務員室内又はその近傍からホームドアの開閉操作と車両の扉の開閉操作とを行うことが可能なホームドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るホームドア装置は、例えば図1及び図2に示すように、プラットホームPHに設置され、プラットホームPH上と車両T内部との間の通路Wを遮った状態と通行可能にする状態との間で切り替えるホームドア装置1であって;ホームドア装置1の作動に関する入力及び出力を中継する操作盤11であって、プラットホームPHに対して直接又は間接的に固定される操作盤11と;通路Wを遮る遮断部材6の開動作及び閉動作に関する入力を受け付ける開閉操作部13と;開閉操作部13を、操作盤11に対して遠ざけ及び近づける往復移動可能に支持する可動支持部材15とを備える。
【0007】
このように構成すると、プラットホームに停車した車両の乗務員室から離れた場所に操作盤が設けられている場合であっても、開閉操作部を移動させて車両の乗務員室内又はその近傍からホームドア装置の遮断部材の操作と車両の扉の操作を行うことが可能になる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係るホームドア装置は、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係るホームドア装置1(例えば図1参照)において、可動支持部材15は、開閉操作部13が操作盤11から離れた位置で開閉操作部13を移動させないようにするロック機構18を有する。
【0009】
このように構成すると、開閉操作部が意図せずに移動してしまうことを回避することができ、開閉操作部を安定して操作することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係るホームドア装置は、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係るホームドア装置1(例えば図1参照)において、可動支持部材15は、開閉操作部13が操作盤11から離れた位置で外力が取り除かれたときに開閉操作部13が操作盤11に近づいた位置に開閉操作部13を戻す引寄部材17を有する。
【0011】
このように構成すると、開閉操作部を操作盤から離れた位置に移動させて使用した後に、簡便に操作盤の近くに戻すことができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係るホームドア装置は、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係るホームドア装置1(例えば図1参照)において、可動支持部材15は、折り畳み可能なアーム16を有する。
【0013】
このように構成すると、可動支持部材の構成を簡素化すると共に可動支持部材の設置スペースを小さくすることができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係るホームドア装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係るホームドア装置1において、開閉操作部13からの指令により開閉制御される遮断部材6を複数備え;さらに、遮断部材6を支持する遮断支持部材8を複数備える。
【0015】
このように構成すると、プラットホームに入った車両の扉ごとに遮断可能な通路を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラットホームに停車した車両の乗務員室から離れた場所に操作盤が設けられている場合であっても、開閉操作部を移動させて車両の乗務員室内又はその近傍からホームドア装置の遮断部材の操作と車両の扉の操作とを行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るホームドア装置の部分平面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るホームドア装置の操作盤及び開閉操作部まわりの正面図であり、(A)はアームを曲げた状態の正面図、(B)はアームを延ばした状態の正面図である。
図3】アームのリンクまわりの概略図であり、(A)は概略正面図、(B)は概略背面図である。
図4】(A)はロック機構まわりを示す可動支持部材の部分正面図、(B)はロック溝の概略構成図である。
図5】可動支持部材の変形例を示す図であり、(A)は第1の変形例に係るジャバラ式の可動支持部材の正面図、(B)は第2の変形例に係るスライド式の可動支持部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係るホームドア装置1を説明する。図1はホームドア装置1の部分平面図である。図1は、あらかじめ定められた位置に車両Tが停車したときの進行方向後端部側のホームドア装置1の部分を示している。ホームドア装置1は、プラットホームPH上に開閉可能に設置されたホーム扉6と、ホーム扉6を収納可能なホーム戸袋8と、ホームドア装置1の作動に関する指令の入出力を中継する操作盤11と、ホーム扉6の開閉動作の指令の入力を受け付ける開閉操作部13とを備えている。
【0020】
ホーム扉6は、本実施の形態では、板状の部材で形成されている。ホーム扉6は、プラットホームPH上と車両T内部との間の通路Wを遮断可能な部材であり、遮断部材に相当する。通路Wは、本実施の形態では、プラットホームPH上で明確に区画されているのではなく、車両Tがあらかじめ定められた位置(典型的には軌道R上の停止位置表示が設置された位置)に合わせて停止したときに、車両扉TDが開いた乗降口からプラットホームPHに延びる、概念上規定した部分である。ホーム扉6は、軌道R側のプラットホームPHの端に、板状の部材の面の法線が水平になるように設けられている。
【0021】
ホーム戸袋8は、ホーム扉6を収納可能な空間を内部に有し、全体としてホーム扉6よりも厚い板状に形成されている。ホーム戸袋8は、ホーム扉6を出し入れ可能に支持するように構成されており、遮断支持部材に相当する。ホーム扉6及びホーム戸袋8は、軌道R側のプラットホームPHの側縁に沿って延びるように配置されている。そのうえで、ホーム扉6は、閉じている状態(ホーム戸袋8に収納されていない状態)で、停止位置に停止した車両Tの車両扉TDに対応する位置に配置されている。車両扉TDは、通常、1つの車両Tに複数が設けられているので、ホーム扉6も車両扉TDに対応して複数が配置されている。ホーム戸袋8は、各ホーム扉6の間に配置されている。本実施の形態では、ホーム扉6が閉じている状態で、軌道Rに入り込むことができないように、軌道R側のプラットホームPHの側縁全体にわたってホーム扉6及びホーム戸袋8による壁が形成されている。
【0022】
ホーム扉6の開閉は、典型的には、車両Tに乗車している乗務員C(典型的には車掌)によって、操作盤11あるいは開閉操作部13を介して行われる。操作盤11は、本実施の形態では、末端(進行方向後端)のホーム戸袋8(これを特に「末端ホーム戸袋8e」として他のホーム戸袋8と区別する場合がある)の軌道R側の壁面に取り付けられている。開閉操作部13は、本実施の形態では、後述する可動支持部材15(図2参照)を介して、末端ホーム戸袋8eの軌道R側の壁面あるいは操作盤11の筐体に取り付けられている。車両Tの運行時、乗務員Cは、ホーム扉6の開閉に加えて、車両扉TDの開閉も行う。しかし、1つの路線に異なる種類の車両が運行されることにより、車両Tが停止位置に停止した状態で、車両Tの乗務員室TCの操作盤11に対する位置が変化する場合があり、乗務員室TCにいながら操作盤11を操作することが困難な場合がある。仮にホーム扉6の開閉を操作盤11でしか行えない場合、車両Tの乗務員室TCから操作盤11が離れていると、場合によっては乗務員室TCと操作盤11との間を乗務員Cが何度も往復し、その度に乗務員Cはホーム扉6付近の乗降客から目を離すこととなり、乗務員Cは何度も安全確認を行わなければならないことがある。本実施の形態に係るホームドア装置1では、乗務員室TCの操作盤11に対する位置が変化しても、乗務員室TCにいながらホーム扉6を開閉することができるように、以下の構成を採用している。
【0023】
図2は、ホームドア装置1の操作盤11及び開閉操作部13まわりの正面図であり、図2(A)は開閉操作部13が操作盤11に隣接している状態、図2(B)は開閉操作部13が操作盤11から離れている状態を示している。このように、開閉操作部13は、可動支持部材15によって、操作盤11に対して離れ及び近づくことができるように構成されている。開閉操作部13が操作盤11に対して移動可能なことで、乗務員室TCの操作盤11に対する位置が変化しても、開閉操作部13を適切な位置に移動させて、乗務員室TCにいながらホーム扉6を開閉することを可能にしている。以下、操作盤11、開閉操作部13、可動支持部材15の詳細を説明する。
【0024】
操作盤11は、ホームドア装置1の作動に関する指令の入力及び出力を中継する装置である。操作盤11を介したホームドア装置1の作動に関する入力として、ホーム扉6を動かす各種のスイッチがある。各種のスイッチの例として、各ホーム扉6を一括して又は任意に選択して開ける開ボタン及び閉める閉ボタンや、非常時に手動で開閉できるようにホーム扉6を切り替える非常操作スイッチや駅の監視室に通報する通報ボタン等が設けられている。操作盤11を介したホームドア装置1の作動に関する出力として、各ホーム扉6の状態を表示する表示部がある。表示部の例として、各ホーム扉6が開いているか閉じているかを表示する部分や、故障が発生したホーム扉6の箇所を表示する部分等が設けられているものがある。
【0025】
開閉操作部13は、乗務員Cがホーム扉6の開閉に関する指令を入力するものである。開閉操作部13は、ホーム扉6を開ける指令を入力する開ボタン13aと、ホーム扉6を閉じる指令を入力する閉ボタン13bとを有している。開閉操作部13は、操作盤11が備えているホーム扉6を開閉させる機能を、乗務員Cの便宜のためにさらに別途設けたものである。開閉操作部13は、本実施の形態では、操作盤11と有線又は無線で電気的に接続されており、開ボタン13a及び閉ボタン13bが押されたことによるホーム扉6の作動を、操作盤11を介して行わせるように構成されている。開閉操作部13は、概ね掌大の直方体の箱状部材の一つの面に、開ボタン13aと閉ボタン13bとが並べて配置されている。開閉操作部13は、直方体の両側面(開ボタン13a及び閉ボタン13bが設けられている面の両側の面)に取っ手13hが設けられている。開閉操作部13は、プラットホームPH上に立った乗務員Cの概ね腰の高さに配置されている。
【0026】
可動支持部材15は、開閉操作部13を支持する部材である。可動支持部材15は、曲げ伸ばし(折り畳み)可能なアーム16と、アーム16を曲げた状態に付勢するばね17と、アーム16を所定の状態で一時的に固定するロック機構18とを有している。アーム16は、主アーム16aと、副アーム16bと、連結部材16cと、リンク16dと、端部接続部材16jとを含んでいる。
【0027】
主アーム16aは、本実施の形態では、2つの棒状の部材から構成されている。主アーム16aは、各棒状の部材が同じ長さに形成されており、2つの合計長さが、開閉操作部13の最大水平移動距離以上となるように構成されている。主アーム16aは、本実施の形態では、軽量化を図る観点から、中空四角筒状のアルミニウムで形成されている。主アーム16aは、各筒状部材の一端同士が連結部材16cで接続されている。主アーム16aは、連結部材16cに対して、回転可能に接続されている。この構成により、主アーム16aは、2つの筒状部材がそれぞれの長さ全体にわたって接近した曲げた状態と、2つの筒状部材の連結部材16cに接続されたのとは反対側の各端部が離れた延ばした状態との間で、曲げ延ばしすることができるように構成されている。2つの筒状部材が連結部材16cで接続された主アーム16aの、一方の筒状部材の連結部材16cに接続されたのとは反対側の端部は端部接続部材16jを介して末端ホーム戸袋8eの操作盤11の近傍に固定されており、他方の筒状部材の連結部材16cに接続されたのとは反対側の端部には端部接続部材16jを介して開閉操作部13が取り付けられている。
【0028】
副アーム16bは、2つの棒状の部材から構成されている。副アーム16bの各棒状の部材は、主アーム16aの各筒状部材と比較して、長さは概ね同じであるが太さは細く形成されている。副アーム16bの各細棒状部材は、主アーム16aの各筒状部材に対して、一端は連結部材16cで連結されており、他端は端部接続部材16jで連結されている。副アーム16bは、主アーム16aに沿って配置されている。副アーム16b及び主アーム16aの隣接する部材同士は、ばね17で連結されている。ばね17は、引っ張りばねが用いられている。ばね17が設けられていることにより、主アーム16aを延ばしたときにばね17が引き伸ばされて主アーム16aを曲げた状態にしようとする付勢力が作用する。このように、ばね17は、アーム16を曲げた状態、すなわち開閉操作部13が操作盤11に隣接した位置に戻すように作用し、引寄部材に相当する。
【0029】
リンク16dは、アーム16の最下部となる連結部材16cが床(プラットホームPH)につかないように、主アーム16aの可動範囲を制限する部材である。リンク16dは、主として主アーム16aに取り付けられている。可動支持部材15の構成要素であるロック機構18は、開閉操作部13の近傍の端部接続部材16j及び主アーム16aの端部に設けられている。以下に、リンク16d及びロック機構18の構成の詳細を説明する。
【0030】
図3は、リンク16dまわりの概略図であり、図3(A)は概略正面図、図3(B)は概略背面図である。リンク16dは、2つの平棒16dfと、制限板16dgとを含んでいる。2つの平棒16dfは、それぞれの一端同士が制限ピン16dpによって連結されている。2つの平棒16dfは、制限ピン16dpを中心として両者のなす角を変化させることができるように構成されている。各平棒16dfは、制限ピン16dpで連結している側とは反対側の端部が、主アーム16aのそれぞれの筒状部材にピンで連結されている。各平棒16dfの主アーム16aに連結している部分は、連結部材16cから少し離れている。リンク16dは、主アーム16aに連結している部分よりも制限ピン16dpが高所に位置するように構成されており、主アーム16aの各筒状部材とリンク16dの各平棒16dfとで菱形を形成するように配置されている。制限板16dgは、概ねT字型に形成された板状の部材であり、背面に取り付けられている(図3(B)参照)。制限板16dgは、幅広の端部の中央から延びる部分が上方に向かって延びる向きで、幅広の端部が連結部材16cに取り付けられている。制限板16dgの幅広の端部は、主アーム16aの各筒状部材の端部が連結部材16cに連結された2箇所で連結部材16cに取り付けられており、連結部材16cに対して移動及び回動しないようになっている。制限板16dgの上方に延びる部分は、高さが制限ピン16dpを越えて上方に延びており、上下方向に延びる長孔16dhが内部に形成されている。制限ピン16dpは、背面において、長孔16dhを貫通して外側に突き出ている(図3(B)の紙面に垂直な方向に延びている)。このような構成により、主アーム16aが延びる程度は制限ピン16dpが長孔16dh内を移動できる範囲に規制されることとなり、主アーム16aが許容範囲を越えて延びようとするときに制限ピン16dpが長孔16dhの下端に当たってそれ以上主アーム16aが開かないように制限するようになっている。また、アーム16が延びる際に制限ピン16dpが長孔16dhに沿って移動することにより、開閉操作部13が取り付けられた端部接続部材16jが、概ね水平に移動することになる。なお、開閉操作部13が取り付けられた端部接続部材16jは、アーム16の開閉に伴って、典型的には水平に移動するように構成されるが、水平方向成分を有しつつ上方又は下方にも移動するように構成されていてもよい。
【0031】
図4(A)は、ロック機構18まわりを示すアーム16の部分正面図である。ロック機構18は、開閉操作部13が取り付けられた側の主アーム16aの端部まわりに設けられている。ロック機構18は、主アーム16aの一端に形成されたロック溝18gと、端部接続部材16jに取り付けられたロック片18hとを含んでいる。ロック溝18gは、概ね、このロック溝18gが形成される筒状部材の連結部材16cとの接続部を中心とした円の円弧の形状に形成されている。また、ロック溝18gは、図4(B)に示すように、その両方の端部において、外側(連結部材16cから遠くなる側)に曲がった部分が形成されており、主アーム16aの他方の筒状部材に近い側の外側に曲がった部分を特に「延フック部18ge」といい、主アーム16aの他方の筒状部材から遠い側の外側に曲がった部分を特に「曲フック部18gs」といい、延フック部18geと曲フック部18gsとの間の円弧状の部分を特に「主ロック溝18gm」ということとする。延フック部18ge、曲フック部18gs、主ロック溝18gmは、それぞれロック溝18gの一部である。ロック片18hは、上面18htが端部接続部材16jを覆うようにして、1つの支持点18fで端部接続部材16jに取り付けられている。上面18htは、本実施の形態では、ロック片18hの平面視における長さの概ね半分の長さとなっている。上面18htは、主アーム16aの他方の筒状部材から遠い側に形成されている。支持点18fは、主アーム16aの他方の筒状部材に近い側のロック片18hの端部に設けられている。ロック片18hの上面18htと端部接続部材16jの上端との間にはばね(不図示)が設けられており、ばね(不図示)によって上面18htが端部接続部材16jから離れる方向(図4(A)の紙面の上側の方向)に付勢されている。ロック片18hは、上面18htを端部接続部材16jに向けて押し込むと、支持点18fを中心として上面18htが端部接続部材16jに近づくように回動し、押し込んでいた外力を開放するとばね(不図示)によって上面18htが端部接続部材16jから離れるように構成されている。ロック片18hには、支持点18fよりも他方の筒状部材から遠い側で上面18htとは反対側の端部に、ロックピン18hpが形成されている。ロックピン18hpは、端部接続部材16jとは反対側に突き出ている。ロック片18hは、ロックピン18hpが、ロック溝18gに嵌め込まれる位置に配設されている。
【0032】
図2乃至図4を参照して可動支持部材15の全体についての説明を補足する。可動支持部材15は、図2(A)に示すようにアーム16が曲げた状態にあるとき、ロック機構18のロックピン18hpは、曲フック部18gs内に位置している。可動支持部材15は、曲フック部18gsに嵌っているロックピン18hpを曲フック部18gsから外し、典型的には開閉操作部13の取っ手13hをつかんで、アーム16を延ばしていくと、主アーム16aと副アーム16bとにわたって架けられたばね17によってアーム16を閉じる方向の力が作用するが、このばね17の力に打ち勝ってアーム16を延ばしていき、図2(B)に示すようにアーム16を延ばした状態になると、ロックピン18hpが延フック部18geに嵌り込む。ロックピン18hpが延フック部18geに嵌り込むと、開閉操作部13の取っ手13hから手を離しても、アーム16を延ばした状態に保たれる(ロックされる)。延ばしたアーム16を曲げた状態にするには、ロック片18hの上面18htを端部接続部材16jに近づけるように押し込む。すると、ロックピン18hpが、延フック部18geから主ロック溝18gmの円弧状の部分に至り、アーム16を曲げた状態にする方向に動かすことが可能になる。アーム16が少し曲げた状態に近づくように動いて、ロックピン18hpが延フック部18geから離れると、ロック片18h及び開閉操作部13から手を離しても、ばね17の力によって、アーム16は曲げた状態に畳まれる。このように、可動支持部材15は、アーム16を延ばした状態で、ばね17を引き伸ばそうとする外力を取り除くと、アーム16が曲げた状態に引き戻される。このときの外力は、アーム16を延ばした状態に維持する、開閉操作部13を押さえる手の力やロック機構18が該当する。
【0033】
引き続き図1乃至図4を参照して、ホームドア装置1の作用を説明する。車両TがプラットホームPHに入ってくる前は、すべてのホーム扉6が閉じられており、可動支持部材15のアーム16が曲げた状態(図2(A)参照)になっている。プラットホームPHに入ってきた車両Tは、あらかじめ定められた停止位置で停止する。すると、各車両扉TDがホーム扉6の位置に対応することとなる。車両TがプラットホームPHで停止したとき、車両Tの乗務員室TCが、操作盤11及び開閉操作部13から離れた位置に存在することとなる場合がある。この場合、乗務員Cは、乗務員室TCから降りて開閉操作部13の位置まで移動し、開閉操作部13の取っ手13hをつかんで開閉操作部13を乗務員室TCの近傍まで引き寄せる。開閉操作部13を引き寄せる際は、ロック片18hの上面18htを押して曲フック部18gsに入っているロックピン18hpを主ロック溝18gmに移動させてからアーム16を延ばし始める。アーム16が延びてロックピン18hpが延フック部18geに入ると、可動支持部材15がロックされ、乗務員Cが開閉操作部13から手を離しても、アーム16が曲がって開閉操作部13が操作盤11の隣まで戻ってしまうことを回避することができる。
【0034】
アーム16が延びてロック機構18がロックされると、開閉操作部13は乗務員室TCの近傍で保持されることとなり、乗務員Cは、プラットホームPHの状況を確認しつつ、ホーム扉6を操作しながら車両扉TDを操作することが可能になる。この状況で、乗務員Cは、まず開閉操作部13の開ボタン13aを押してホーム扉6を開放し、次いで乗務員室TCに設置されているスイッチを操作して車両扉TDを開放する。すると、プラットホームPHと車両Tの内部とを遮っていたホーム扉6及び車両扉TDが退避して、通路Wの通行が可能となる。これにより、車両Tに対する乗降客の乗り降りが行われる。乗務員Cは、乗降客の乗降完了を確認すると、まず乗務員室TCに設置されているスイッチを操作して車両扉TDを閉鎖し、次いで開閉操作部13の閉ボタン13bを押してホーム扉6を閉鎖する。乗務員Cは、乗降客による乗降からホーム扉6が閉鎖するまでの間、乗務員室TC及びこの近傍の位置から移動することなくホーム扉6付近の監視を続けることが可能となり、安全確認に掛かる負担が軽減されて、安全が保たれることとなる。
【0035】
乗務員Cは、車両扉TD及びホーム扉6の安全な閉鎖を確認したら、ロック片18hの上面18htを押して延フック部18geに入っているロックピン18hpを主ロック溝18gmに移動させてから、アーム16を曲げ始める。ロックピン18hpが延フック部18geから外れると、ばね17の作用によってアーム16は曲げられていき、この状態になると、乗務員Cは開閉操作部13から手を離しても、開閉操作部13は操作盤11に近づいていく。アーム16が完全に曲げた状態になると、ロックピン18hpは曲フック部18gsに入り、開閉操作部13はアーム16を曲げた状態の位置に保たれる。このように、開閉操作部13を操作盤11の隣に戻すのに(アーム16を曲げた状態にするのに)、乗務員Cが乗務員室TCと操作盤11との間を往復移動する必要がなく、ホーム扉6付近から目を離すことを減らすことができ、安全が保たれることとなる。乗務員Cは、開閉操作部13を操作盤11の隣に戻したら、運転士に出発の合図を送る。出発の合図を受けた運転士は、車両TをプラットホームPHから発車させる。
【0036】
以上で説明したように、本実施の形態に係るホームドア装置1によれば、プラットホームPHに停車した車両Tの乗務員室TCから離れた場所に操作盤11が設けられている場合であっても、開閉操作部13を乗務員室TCの近傍に移動させて乗務員室TC内又はその近傍からホーム扉6及び車両扉TDの操作を行うことができる。
【0037】
以上の説明では、遮断部材が、水平方向に移動することで開閉するホーム扉6であるとして説明したが、鉛直上下に移動することで開閉する柵やロープ等であってもよい。
【0038】
以上の説明では、操作盤11と、開閉操作部13が取り付けられた可動支持部材15とが、末端ホーム戸袋8eの軌道R側の壁面に固定されていることでプラットホームPHに間接的に固定されているとしたが、プラットホームPHに直接固定されていてもよい。
【0039】
以上の説明では、操作盤11あるいは開閉操作部13を介してホーム扉6(遮断部材)の開閉を行う乗務員Cが車掌であるとしたが、典型的には車両Tの運行及び車両扉TDの開閉等を一人で行うワンマン運転の車両Tにおいては、遮断部材の開閉を行う乗務員Cが運転士であってもよい。この場合、操作盤11及び開閉操作部13は、典型的にはプラットホームPHの先端(進行方向前端)に設けられる。
【0040】
以上の説明では、開閉操作部13を操作盤11に対して遠ざけ及び近づける往復移動可能に支持する構成が、アーム16を有する可動支持部材15であることとしたが、図5(A)に示すような複数の平棒部材516Aを組み合わせて平棒部材516Aに囲まれた菱形DRが水平方向に複数形成されるジャバラ式の可動支持部材15Aであってもよく、図5(B)に示すような開閉操作部13を案内するガイドレール516Bを水平方向に延びるように設けたスライド式の可動支持部材15Bであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ホームドア装置
6 ホーム扉
8 ホーム戸袋
11 操作盤
13 開閉操作部
15 可動支持部材
16 アーム
17 ばね
18 ロック機構
PH プラットホーム
T 車両
W 通路
図1
図2
図3
図4
図5