【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明
に係るペット用排泄物処理装置は、ペットが排泄できる天板部を設けた台部と、上記台部の一方の縁部から、上記天板部上に繰り出される第1のシート部材と、上記第1のシート部材を繰り出し可能に保持する第1のシート部材保持部と、上記台部の他方の縁部において、排泄物を挟むようにして上記第1のシート部材に重ね合わされる第2のシート部材と、上記第2のシート部材を繰り出し可能に保持する第2のシート部材保持部と、上記他方の縁部において重ね合わされた上記第1のシート部材と上記第2のシート部材とを巻き取るシート巻取り部と、上記シート巻取り部を駆動する駆動手段とを備
えて構成される。上記第1のシート部材保持部は、上記一方の縁部から所定高さに設定されており、上記第1のシート部材は、上記一方の縁部から立ち上がる第2の立壁部の表面を構成するとともに、上記一方の縁部において方向転換されて上記天板部上に繰り出されるように構成されており、上記第2のシート部材保持部は、上記他方の縁部から所定高さに設定されるとともに、上記第2のシート部材は、上記他方の縁部から立ち上がる第1の立壁部の表面を構成している。
【0013】
本願発明では、上記天板部の上に繰り出された第1のシート部材の上に排泄が行われる。上記第1のシート部材は、第1のシート部材保持部から繰り出されるとともに、上記シート巻取り部によって順次巻き取られる。このため、ペットが排泄した後に上記第1のシート部材を巻き取ることにより、排泄物を衛生的に処理できるとともに、シートを交換する労力を軽減することができる。また、排泄物の量に応じてシートを繰り出し、また、巻き取ることができるため、排泄物がシート以外に漏れ出るのを防止することができる。
【0014】
特に、本願発明では、上記第1のシート部材上に排泄された排泄物を、上記第2のシート部材との間に挟むようにして巻き取ることができる。上記第2のシート部材は、防水性を備えたフィルム状のものを採用するのが好ましい。排泄物を上記第1のシート部材と上記第2のシート部材との間に挟んで巻き取ることにより、
上記シート巻取り部を構成する巻取りローラ等に排泄物が付着することなく巻き取ることが可能となり、排泄物を衛生的に処理することができる。
【0015】
また、上記第1のシート部材と上記第2のシート部材に挟圧力を作用させて、排泄物を所定の高さに圧縮変形させながら巻き取ることが可能になる。このため、排泄物を含むシートを容易に巻き取ることができる。しかも、排泄物を巻き込んだ第1のシート部材及び第2のシート部材の厚みが均一化されるため、上記巻取りローラの巻取り量を増加させることもできる。
【0016】
上記
シート巻取り部を構成する巻取りローラの手前に上記第2のシート部材に圧力を作用させることができる圧縮ローラや、所定の開口高さのスリット等を設けることもできる。上記構成を採用することにより、排泄物を挟んだ第1のシート部材及び第2のシート部材を一定の厚み以下にして巻き取ることが可能となり、排泄物が挟まれたシート部材を容易に巻き取ることが可能になるとともに、上記巻取りローラによるシート部材の巻取り可能長さを増加させることもできる。また、糞尿は上記第1のシート部材と第2のシート部材の間に保持されるため、上記圧縮ローラやスリットに糞尿が付着することもない。また、臭いの発生を低減させることもできる。
【0017】
上記
シート巻取り部を駆動する駆動手段は特に限定されることはない。たとえば、上記駆動手段を、上記
シート巻取り部を構成する巻取りローラを回転させる手動ハンドルから構成することができる。この場合、飼い主は、ペットが排尿あるいは排便した後に、上記手動ハンドルを操作することにより、排泄物を上記第1のシート部材と上記第2のシート部材とを所要量巻き取ることができる。
【0018】
また、上記駆動手段を、上記
シート巻取り部を駆動する駆動モータと、上記
天板部上に存在するペットを感知するセンサと、上記ペットが
天板部上からいなくなってから所定時間経過後に上記駆動モータを所定時間駆動させる制御手段とを備えて構成することができる。上記構成を採用することにより、自動的に排泄物を巻き取ることが可能となる。このため、飼い主が留守の場合でも対応が可能となる。
【0019】
また、上記センサとして画像センサを採用し、排泄の種類や排泄が行われた上記シート部材の部位を特定して、上記シート部材の巻取り量を調節するように構成することもできる。すなわち、排泄が行われた部分が巻き取られるように、巻取り量を自動的に調節するのである。この構成を採用すると、上記シート部材の使用量を低減することも可能となる。
【0020】
さらに、上記シート部材上の排泄物を撮像して排便と排尿とを識別し、排便の場合、各排便ごとにシートを巻き取るように制御する一方、排尿のみの場合は、複数回の排尿後に上記シート部材を巻き取るように構成することもできる。
【0021】
さらに、雄犬が排尿するための第2の立壁部を、上記第1のシート部材の繰り出し側にも設け
る。すなわち、上記第1のシート部材保持部を、上記一方の縁部から所定高さに設定し、上記第1のシート部材を、上記一方の縁部(第1のシート部材の繰り出し側縁部)から立ち上がる第2の立壁部の表面を構成するとともに、上記一方の縁部において方向転換されて上記天板部上に繰り出されるように構成することができる。
【0022】
上記第2の立壁部を設けることにより、第2の立壁部にも排尿が可能になる。このため、第1のシート部材の繰り出し側を衛生的に保つことができる。また、第2の立壁部では排尿のみ行われるため、排尿を吸収した部分の第1のシート部材を上記天板部上に繰り出して排便を行わせることもできるし、巻取りローラに巻き取ってしまうこともできる。
【0023】
上記天板部の奥方は開放しておくこともできるし、側縁部から立ち上がる奥方壁部を設けることができる。奥方壁部を設けた場合、ペットが奥方壁部に向けて排尿する恐れがある。
【0024】
上記不都合を回避するため、上記奥方壁部を、上方から下方に向けて繰り出されて上記奥方壁部の表面を構成する第3のシート部材を備えて構成することができる。上記第3のシート部材を、第2の立壁部に設けた使い捨てシート材料を用いて構成することもできるし、繰り返し使用できるように構成することもできる。
【0025】
たとえば、上記第3のシート部材を、上側ロール部と、下側ロール部との間で掛け回されるとともに、上記第3のシート部材の下縁部近傍が、消毒液を満たした容器内に浸漬されるように構成することができる。
【0026】
第3のシート部材に対しては排尿のみ行われるため、上記消毒液等で消毒することにより、繰り返し使用することが可能である。上記構成を採用することにより、奥方壁部を衛生的に保持することが可能となる。上記第3のシート部材を、塩化ビニル等の柔軟性のあるシート材料で形成することができる。上記消毒液の種類は特に限定されることはないが、臭気の発生原因となる細菌等を死滅させる効果がある薬剤を採用するのが好ましい。また、消臭成分を含む消毒液を採用するのが好ましい。
【0027】
上記第2の立壁部や奥方壁部を設けない場合、上記シートの縁部で排泄が行われることも考えられる。また、奥方壁部を固定的に設けた場合、これに対して排尿が行われると、衛生上問題であり、悪臭が発生することも考えられる。
【0028】
上記問題を回避するため、 上記天板部上の空間又は/及びこれを囲む所定部位に、ペットの進入又は排泄を規制する規制部材を設けるのが好ましい。
【0029】
上記規制部材の構成は特に限定されることはないが、ペットの排泄を規制できるものが好ましい。たとえば、雄犬等が上記壁部に対して排尿するのを防止するため、上記規制部材を、上記空間に向かって突出する所定長さの突起を所定間隔で設けて構成することができる。上記突起の突出長さや配列間隔は、ペットの種類や大きさに応じて設定するのが好ましい。
【0030】
上記突起を設けた空間にペットが進入するのを防止できるのみならず、突起の先端は排尿の目標とするのが困難であり、排尿行為を効果的に防止できる。また、上記規制部材として、排尿の目標となる壁部が構成されないように、細い線材から構成された柵状あるいは網目状の部材を採用することもできる。
【0031】
上記規制部材を設ける部位は特に限定されることはないが、第1の立壁部以外を固定的に設ける場合、各立壁部の表面に上記規制部材を設けることができる。
【0032】
上述したように、雄犬の場合、壁部等に排尿をする習性がある。しかしながら、奥方壁部の近傍に排尿が行われると、上記第1のシート部材の縁部から排尿がはみ出る場合も考えられる。
【0033】
上記不都合を回避するため、上記天板部上の空間の所定位置に回転可能に懸垂保持された懸垂ローラと、上記懸垂ローラに掛け回される第4のシート部材と、上記天板部の外縁部から上記
第4のシート部材を繰り出す第4のシート部材保持部と、上記第4のシート部材を上記天板部の外縁部において巻き取る巻取りローラと、上記巻取りローラを駆動する駆動手段とを備えて装置を構成することもできる。
【0034】
雄犬等は、壁面の他、電柱等の棒状物に排尿を行うことは知られている。本願発明は、上記習性を利用したものである。
【0035】
また、本願発明では、上記懸垂ローラに第4のシート部材が掛け回されており、排尿は、上記第4のシート部材の表面に対して行われる。また、上記第4のシート部材は、上記巻取りローラによって巻き取られるため、上記懸垂ローラ自体は衛生的に保持される。上記懸垂ローラ下端部は、上記天板部の表面から所定距離離間して配置されており、上記第1のシート部材の繰り出し及び巻取りを阻害することはない。
【0036】
上記懸垂ローラは、天板部の中央部分近傍に設けるのが好ましい。上記構成によって、雄犬の排尿位置を天板部の中央部分に設定することが可能となり、排尿が他の部位に漏れ出るのを効果的に防止できる。
【0037】
上記第4のシート部材を構成する材料は特に限定されることはない。たとえば、第2のシート部材と同様に、透水性のない樹脂フィルム等から構成することもできる。
【0038】
上記第4のシート部材に代えて、上記天板部上の空間の所定位置に、着脱可能に懸垂保持された中空状の吸尿部材を設けることもできる。たとえば、上記吸尿部材を、上下方向に延びる棒状部と、上記棒状部の下縁部から半径方向外方へ延出する皿状部とを備えて構成することができる。また、少なくとも上記皿状部は水分吸収能力のある多孔質材料から形成されている。この構成によって、上記棒状部に向かって放尿された排尿を、上記棒状部あるいは上記皿状部において効率よく吸収できる。なお、上記棒状部と上記皿状部の両方を水分吸収能力のある材料から形成することもできる。上記皿状部を設けることにより、上記棒状部から下方に流動し、あるいは上記棒状部表面で跳ね返った尿を効力よく処理することが可能となる。
【0039】
上記吸尿部材を構成する材料は、尿を吸収できるものであれば特に限定されることはない。たとえば、上記第4のシート部材と同様の材料を用いて構成することができる。この場合、保形性を確保するために、中空内面側に樹脂等をコーティングすることができる。また、上記中空内面の形態に対応して表面形態を有する保持部材を別途設け、これを上記天板部上に懸垂し、上記吸尿部材を上記保持部材の周囲に被着するように構成することもできる。さらに、上記吸尿部材を、セルロース繊維を主成分とする材料をパルプモールド法によって成形することにより形成することができる。例えば古紙にパルプモールド法を適用して所要の形態の吸尿部材を成形することにより、高い吸尿性能及び保形性を有する吸尿部材を得ることができる。
【0040】
上記吸尿部材の棒状部や皿状部の断面形態も特に限定されることはない。たとえば、水平方向の断面を円形状や多角形状に形成することができる。雄犬は、上記天板部上の一定の位置から上記棒状部材へ放尿する習性を有するため、所定の放尿回数ごとに上記吸尿部材を垂直軸回りに回転させ、放尿位置を変更することにより、より経済性が向上する。
【0041】
上記吸尿部材の吸尿性能を高めるため、上記皿状部に、水分を吸収する水分吸収剤又は水分を吸収して凝固する水分凝固剤を設けるのが好ましい。これにより、棒状部を流れ落ちる尿を処理できるとともに、吸尿量をさらに高めることができる。
【0042】
上記第1のシート部材の側縁部の近傍で排尿が行われた場合、水分が天板部の外側へ向けて流れて、上記シートから漏れ出る恐れが高い。また、上記第1のシート部材に水分の吸収剤あるいは凝固剤を設けた場合にも、充分に対応できない恐れがある。
【0043】
上記不都合を回避するため、上記天板部の中央部分を縁部に比べて低く設定するのが好ましい。上記天板部の中央部分を窪ませることにより、排尿が中央部分に向かって流れ、上記第1のシート部材の周縁部から外側に漏れ出るのを防止できる。
【0044】
上記中央部分を縁部に比べて低く設定する手法は特に限定されることはない。たとえば、上記天板部の幅方向中央部分を、上記第1のシート部材の繰り出し方向に、V字状に窪ませることができる。また、上記天板部の上記第1のシート部材の繰り出し方向の中央部分を窪ませることもできる。さらに、上記天板部の中央部分を、各縁部に対して窪ませることもできる。
【0045】
上記天板部の周縁部分における第1のシート部材を持ち上げる部材を設けることにより、上記天板部の中央部分を縁部に比べて実質的に低く設定することもできる。たとえば、上記天板部の所定位置において、上記天板部の表面と上記第1のシート部材との間に配置されるとともに、上記第1のシート部材の両側縁近傍を持ち上げて中央部を窪ませ、排泄物を上記中央部に寄せるスペーサ部材を設けることができる。
【0046】
上記スペーサ部材を設けることにより、排泄物を中央部によせた状態で巻き取ることが可能となる。さらに、上記スペーサ部材として一対の棒状の部材を採用し、上記巻取り側の縁部近傍において、巻取り方向に見てハの字状に配置することにより、天板部の縁部近傍の排泄物を幅方向中央部分に移動させるように構成することもできる。
【0047】
上記第1のシート部材は少なくとも透水性のないシートあるいはフィルムを備えて構成するのが望ましい。たとえば、上記第1のシート部材として、防水性を有するとともに上記天板部上を移動させられる第1のシート材料と、透水性を有する第2のシート材料とを積層して構成されているとともに、少なくとも幅方向中央部において、上記第1のシート材料と上記第2のシート材料との間に、水分を吸収する水分吸収剤又は水分を吸収して凝固する水分凝固剤が設けられているものを採用するのが好ましい。
【0048】
上記水分吸収剤あるいは凝固剤は高価であるため、第1のシート部材の全面に設けると、コストが増加する。上記構成を採用することにより、第1のシート部材のコストを低減させることができる。
【0049】
しかも、上記凝固剤を少なくともシートの幅方向中央部に設けることにより、第1のシート部材の幅方向中央部分の重さが増加する。このため、上記天板部の中央部分を窪ませた場合、上記天板部の傾斜面に沿って上記第1のシートを敷設することができる。このため、排尿等を中央部に流動させることができる。
【0050】
また、上記水分吸収剤又は上記水分凝固剤を、上記第1のシート部材の移動軸方向に所定間隔で間欠的に設けることができる。
【0051】
上記構成においては、上記水分吸収剤又は上記水分凝固剤が、天板部の中央部分に位置するように、第1のシート部材を繰り出すように構成するのが望ましい。これにより、上記第1のシート部材の繰り出し方向の縁部に排泄された水分を、天板部の中央部分に流すことが可能になる。また、天板部表面の中央部分を窪ませた場合、上記のように、上記水分吸収剤又は上記水分凝固剤の重量によって、上記第1のシート部材を天板部の傾斜に沿って敷設することが可能となる。
【0052】
さらに、上記水分吸収剤又は上記水分凝固剤の使用量を低減させることができるため、製品コストを低減させることができる
【0053】
本願発明に係る排泄物処理装置を利用できるペットの体格等は大きく異なる。このため、種々の体格や大きさのペットに対応できるように構成するのが望ましい。たとえば、上記天板部を、上記第1のシート部材の移動方向に、寸法拡張可能に構成するのが望ましい。
【0054】
上記寸法拡張可能に構成する手法は、特に限定されることはない。上記台部を第1のシート部材の繰り出し方向に分割し、その間に増設天板部材を設けることができるように構成することができる。また、天板部を、第1のシート部材の繰り出し方向に入れ子状に構成して、天板部の長さを拡張するように構成することもできる。