(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981645
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】バイオマスの半炭化方法とその装置
(51)【国際特許分類】
F26B 17/32 20060101AFI20211202BHJP
C10B 53/02 20060101ALI20211202BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20211202BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20211202BHJP
C02F 11/10 20060101ALI20211202BHJP
F27B 7/10 20060101ALI20211202BHJP
F27B 7/36 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
F26B17/32 FZAB
C10B53/02
C10L5/44
B09B3/00 302Z
C02F11/10 Z
F27B7/10
F27B7/36
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-169286(P2017-169286)
(22)【出願日】2017年9月4日
(65)【公開番号】特開2019-45078(P2019-45078A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591079018
【氏名又は名称】株式会社大和三光製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】大和 章伸
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰裕
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−117809(JP,A)
【文献】
特開2005−230790(JP,A)
【文献】
特開2009−103376(JP,A)
【文献】
実開昭60−096597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/32
C10B 53/02
C10L 5/44
B09B 3/00
C02F 11/10
F27B 7/10
F27B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被半炭化処理物を収容して回転駆動する円筒状のロータリーシェル内に熱風吹込用の吹込管を軸方向に挿入し、前記吹込管から多数の枝管を分岐させ、前記枝管から前記ロータリーシェル内の揺動する前記被半炭化処理物に、燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃〜430℃範囲内の所定温度による熱風を負圧状態下で吹き付けるものとし、
前記ロータリーシェルは、前記被半炭化処理物の入口側及び出口側にて2重の耐熱シールを施し、前記入口側の2重の耐熱シール間に窒素若しくは水蒸気を充填して窒素若しくは水蒸気による溜めを形成し、前記出口側の2重の耐熱シールと併せて酸素の浸入を阻止したことを特徴とするバイオマスの半炭化方法。
【請求項2】
ロータリーシェル内の酸素濃度を低減するために燃焼排ガスを熱源として使用するとともに、蒸気を発生させ被半炭化処理物への吹き付け熱風を所定の温度まで加熱することを特徴とする請求項1に記載のバイオマスの半炭化方法。
【請求項3】
被半炭化処理物として、ペレット状、チップ状、粉末状の木質部(ゴムの木、パーム椰子幹、広葉樹、針葉樹)、EFB(パーム椰子房の残渣物)、もみ殻、下水汚泥、家畜の糞等のバイオマスを使用したことを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオマスの半炭化方法。
【請求項4】
被半炭化処理物を1時間当たり1t〜6tを投入し、乾燥5分〜15分、半炭化15分〜40分とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバイオマスの半炭化方法。
【請求項5】
絶乾状態の材料1t〜6tが0.5t〜5.4tの半炭化物となることを特徴とする請求項4に記載のバイオマスの半炭化方法。
【請求項6】
窒素若しくは水蒸気の投入圧を0.001MPa〜0.3MPaとしたことを特徴とする1乃至5のいずれかに記載のバイオマスの半炭化方法。
【請求項7】
被半炭化処理物を収容して回転駆動する円筒状のロータリーシェルと、前記ロータリーシェル内の軸方向に挿入された送風吹込用の吹込管と、前記吹込管から多数分岐させた枝管とを備え、前記枝管から前記ロータリーシェル内の前記被半炭化処理物に熱風を負圧状態下で吹き付けるものとしてなるタコロータリードライヤ装置を備え、
前記枝管からの熱風温度は、燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃〜430℃範囲内の所定温度による中温空気であり、
前記ロータリーシェルは、前記被半炭化物の入口側及び出口側にて2重の耐熱シールを施し、前記入口側の2重の耐熱シール間に窒素若しくは水蒸気を充填して溜めを形成し、前記出口側の2重の耐熱シールと併せて酸素の浸入を阻止したものであることを特徴とするバイオマスの半炭化装置。
【請求項8】
耐熱シールは、厚さ約10mm、幅100mm〜250mmを有してなることを特徴とする請求項7に記載のバイオマスの半炭化装置。
【請求項9】
被半炭化処理物の発火防止とロータリーシェル内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気混合ガスを前記吹込管に導入するための熱源機構を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載のバイオマスの半炭化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を含むバイオマスを利用した半炭化物を得るためのバイオマスの半炭化方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化とは木材等の炭素有機物が成分の素材を酸素が少ない環境下で高温の熱をかけていくと被炭化物中の有機物が分解して揮発分の低い個体の炭素分が炭として生成する現象である。従来、これら操作が行われた場合に原料中の有機分を多く残すために、半炭化と呼ばれる形で取り出すことが行われている。すなわち、炭化する前の過程でエネルギー密度を極力最大限に残しておこうとするのがトレファクション(半炭化)の技術である。
【0003】
半炭化品は有機分の熱エネルギーを残した状態となっており、エネルギー的には完全な炭の状態よりも原料が従来より持っていた熱エネルギーが保持され、熱量的には有用な状態となる。バイオマス燃料として使用する場合には、半炭化にとどめて多くの熱エネルギーを保持した状態で使用することが有用である。
【0004】
ところで、燃料目的の炭化装置を構成する場合、処理量から考えると連続炉となり、一般的には伝熱型炭化装置を使用することが行われている。炭化炉では酸素が少ない環境下で伝熱面からの伝熱及び輻射により有機分を揮発させ炭化を進め、炭化物(炭)を得ることが行われている。この炭化方式に関しては外熱に供給する温度としては500℃から700℃程度で加熱することで炭化処理が行われている。
【0005】
また、廃棄物の乾燥技術としては、例えば、特許文献1に示すように、ごみの処理に好適な通気式回転乾燥装置が存在する。これは、回転駆動する円筒内に通気用の吹込管を軸方向に挿入し、前記吹込管から多数の枝管を分岐させ、前記枝管から前記円筒内の原料層に熱風を吹き付ける構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3063163号公報(特許WO97/38277)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の伝熱型炭化装置を利用した場合において、効率的に炭化品を得ようとする際には伝熱面温度を高温にする必要があり、被炭化品がある程度の大きさを有する場合、製品表面の炭化割合が高くなり中心部は有機分が高くなった半炭化品が得られることとなり特性的に均一な目的の炭化物を得ることは難しい。
【0008】
特に、従来型の間接加熱型装置では吹き付け熱風の温度が変化するため、特性的に均一な目的の半炭化物を得ることは難しい。
【0009】
しかも、木材バイオマスについては450℃以上の熱風を使用する場合には炭素有機分は概ね揮発し揮発分からは粉状の煤が生成される。この物質は後工程で発火しやすいため生成しないようにコントロールしていく必要がある。
【0010】
因みに、木材チップを含むバイオマスに関しては、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)装置によると、炭化処理を行った際の有機物が蒸発及び分解する温度が解っており、この温度を有効に使用するためには、この温度を被炭化品に対してどのようにかけるかが装置的に必要とされる。
【0011】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、被炭化品に対する吹き込み温度の保持及び処理時間を制御可能にすることで、木材を含むバイオマスを利用した均一な半炭化物を得ることのできるバイオマスの半炭化方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係るバイオマスの半炭化方法にあっては、被半炭化処理物を収容して回転駆動する円筒状のロータリーシェル内に熱風吹込用の吹込管を軸方向に挿入し、前記吹込管から多数の枝管を分岐させ、前記枝管から前記ロータリーシェル内の揺動する被半炭化処理物に、燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃〜430℃範囲内の所定温度による熱風を負圧状態下で吹き付けるものとしたことを特徴する。
【0013】
また、前記ロータリーシェルは、被半炭化処理物の入口側及び出口側にて2重の耐熱シールを施し、上記入口側の2重の耐熱シール間に窒素若しくは水蒸気を充填して窒素若しくは水蒸気による溜めを形成し、出口側の2重の耐熱シールと併せて酸素の浸入を阻止したことを特徴する。
【0014】
更に、ロータリーシェル内の酸素濃度を低減するために燃焼排ガスを熱源として使用するとともに、蒸気を発生させ被半炭化処理物への吹き付け熱風を所定の温度まで加熱することを特徴する。
【0015】
また、被半炭化処理物として、ペレット状、チップ状、粉末状の木質部(ゴムの木、パーム椰子幹、広葉樹、針葉樹)、EFB(パーム椰子房の残渣物)、もみ殻、下水汚泥、家畜の糞等のバイオマスを使用したことを特徴する。
【0016】
更に、被半炭化処理物を1時間当たり1t〜6tを投入し、乾燥5分〜15分、半炭化15分〜40分としたことを特徴する。
【0017】
また、絶乾状態の材料1t〜6tが0.5t〜5.4tの半炭化物となるものとしたことを特徴する。
【0018】
更に、窒素若しくは水蒸気の投入圧を0.001MPa〜0.3MPaとしたことを特徴する。
【0019】
一方、本発明に係るバイオマスの半炭化装置にあっては、被半炭化処理物を収容して回転駆動する円筒状のロータリーシェルと、ロータリーシェル内の軸方向に挿入された送風吹込用の吹込管と、吹込管から多数分岐させた枝管とを備え、前記枝管から前記ロータリーシェル内の被半炭化処理物に熱風を負圧状態下で吹き付けるものとしてなるタコロータリードライヤ装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、前記枝管からの熱風温度は、燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃〜430℃範囲内の所定温度による中温空気であることを特徴する。
【0021】
更に、前記ロータリーシェルは、被半炭化物の入口側及び出口側にて2重の耐熱シールを施し、上記入口側の2重の耐熱シール間に窒素若しくは水蒸気を充填して溜めを形成し、出口側の2重の耐熱シールと併せて酸素の浸入を阻止したことを特徴する。
【0022】
また、上記耐熱シールは、厚さ約10mm、幅100mm〜250mmを有してなることを特徴する。
【0023】
更に、被半炭化処理物の発火防止とロータリーシェル内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気混合ガスを前記吹込管に導入するための熱源機構を備えたことを特徴する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、半炭化装置として、タコロータリードライヤ方式(通気式回転乾燥機)による加熱手段を採用したことで、バイオマスを利用した均一な半炭化物を容易に得ることができる。
【0025】
特に、前記ロータリーシェルは、被半炭化処理物の入口側及び出口側にて2重の耐熱シール部を施し、上記入口側の2重の耐熱シール間に窒素若しくは水蒸気を充填して溜めを形成し、出口側の2重の耐熱シールと併せてロータリーシェル内への酸素の浸入を阻止したので、半炭化稼働中、火災や爆発を起こすことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す処理フローの構成図である。
【
図2】本発明の半炭化装置として使用する通気式回転乾燥機の縦断面図である。
【
図3】同じく通気式回転乾燥機の外観を示す側面図である。
【
図4】入口側に設けた2重の耐熱シール部の配置例を示す拡大断面図である。
【
図5】同じく通気式回転乾燥機の外観を示す平面図である。
【
図6】同じく通気式回転乾燥機の外観を示す正面図である。
【
図7】同じく通気式回転乾燥機の外観を示す背面図である。
【
図8】熱重量・示差熱分析による木材チップの測定結果を示す図である。
【
図9】熱重量・示差熱分析による粉末状の測定結果を示す図である。
【
図10】木質ペレット(ゴムの木)の浸漬試験測定表を示す図である。
【
図11】EFB(パーム椰子房の残渣物である空果房)の浸漬試験測定表を示す図である。
【
図12】
図12中、(a)乃至(g)は木質ペレット(ゴムの木)の図面代用写真を含む説明図である。
【
図13】
図13中、(a)乃至(h)は木質ペレット(ゴムの木)の浸漬試験の図面代用写真を含む説明図である。
【
図14】
図14中、(a)乃至(e)は木質ペレット(ゴムの木)の図面代用写真を含む説明図である。
【
図15】
図15中、(a)乃至(h)はEFB(パーム椰子房の残渣物である空果房)の浸漬試験の図面代用写真を含む説明図である。
【
図16】
図16中、(a)乃至(f)は木質ペレット(ゴムの木)の撥水性の図面代用写真を含む説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1には、本発明におけるトレファクション(半炭化)技術としての半炭化装置が示されている。例えば、半炭化装置としては、上記した特許文献1(特許第3063163号公報(特許WO97/38277))で用いた通気式回転乾燥機P(タコタコロータリードライヤ(TACOドライヤ))を使用する。通気式回転乾燥機Pは、後述するように、被半炭化処理物Wを収容して回転駆動する円筒状のロータリーシェル1と、ロータリーシェル1内の軸方向に挿入された送風吹込用の吹込管4と、吹込管4から多数分岐させた枝管4Aとを備え、被半炭化処理物Wの発火防止とロータリーシェル1内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気による熱風を前記吹込管4に導入するための熱源機構Qを備えている。これにより、前記枝管4Aから前記ロータリーシェル1内の被半炭化処理物Wに熱風を負圧状態下で吹き付けるものとしている。この装置では吹込み温度は同一の温度で後述する被半炭化処理物Wに吹き込むことができる。
【0029】
また、本装置を半炭化装置として構成するためにはロータリーシェル1内の酸素濃度を減らすために、例えば、熱源機構Qからの燃焼ガスを使用している。更に、上記した熱源機構Qは、蒸気を発生させて吹付空気を所定の温度まで加熱する機構となっている。又は、熱源機構Qではバイオマスを燃焼させて吹付ガスを作ることもできる。
【0030】
なお、生成された半炭化品は220℃以下にしてから酸素がある環境に取り出さないと着火の危険性がある。そのため不図示の冷却機構が本装置内、又は、脱酸素環境で外部に設けられる。
【0031】
以下に本装置の具体的構成について説明する。
図1に示すように、被半炭化処理物Wが原料入口から投入され、且つ、投入フィーダーによって被半炭化処理物Wが導入される回転可能な円筒状のロータリーシェル1と、ロータリーシェル1内に吹込ファンF2を介して、例えば、温度220〜430℃の過熱蒸気(熱風)を圧送させる熱源機構Qと、熱源機構Qに外気を導入させる燃焼ファンF3と、ロータリーシェル1からの排ガス中のダストを捕集して排気ファンF1により一部を前記熱源機構Qに還流させ、且つ、他の一部を本装置外へ排気するための、例えば、サイクロン式等の集塵装置Rと、から概ね構成されている。なお、この熱源機構Qは重油・灯油・ガス・スチーム・電気、その他の省エネルギーのために、一部既設工場の排ガスを利用できる構造のものとしている。
【0032】
本装置では、ロータリーシェル1内の酸素濃度を低減するために燃焼排ガスを熱源として使用し、更に、蒸気を発生させ被半炭化処理物Wへの吹き付け空気を所定の温度(酸素の少ない220℃〜430℃まで加熱する構成となっている。また、被半炭化処理物Wとしては、ペレット状、チップ状、粉末状等の木質チップ(ゴムの木)やEFB(パーム椰子房の残渣物である空果房)等が使用される。
【0033】
ロータリーシェル1は、
図2に示すように、長さと幅員との比率が例えば3:1に設定された略中空円筒状に形成されており、前記熱源機構Qに連通接続した吹込管4が、当該ロータリーシェル1の回転軸と平行方向に引き込まれ、該吹込管4の周面には、複数の枝管4Aがロータリーシェル1の内壁に向け、且つ、回転軸に沿って交互に傾きをずらした状態で等間隔に順設している。このロータリーシェル1内には、被半炭化処理物Wが、全容積に対して約10〜15%程度の容積比をもって揺動自在若しくは転動自在に収容される。
【0034】
そして、ロータリーシェル1自体の回転に伴う被半炭化処理物Wの揺動若しくは転動と同時に、吹込管4の過熱蒸気混合ガス入口から熱源機構Qの過熱蒸気が導入され、ロータリーシェル1内で枝管4Aから当該過熱蒸気が熱風となって吹き出されることによって、内部の被半炭化処理物Wを低酸素(負圧)の状態で炭化できるようにしている。この場合の熱風温度は、半炭化とするために、燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃〜430℃範囲内の所定温度の中温空気としている。
【0035】
図3乃至
図7に示すように、通気式回転乾燥機Pは、ロータリーシェル1の両端部は鏡板8とエンドボックス9に気密に、且つ、回転自在にはめ込まれる。鏡板8とエンドボックス9は共通架台5の上に取り付けられる。鏡板8には乾燥機投入コンベヤ13が取り付けられ、エンドボックス9には処理した原料を排出する排出口14と排気口15が設けられる。排気口15は上記した集塵装置Rに連結される。なお、図中、符号12はロータリーシェル1の両端部に配した耐熱シール部である。
【0036】
また、ロータリーシェル1は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、被半炭化処理物Wの入口側にてシェル形状に沿った円板状の例えば厚さ約10mm、幅100mm〜250mm等の2重の耐熱シール部12(図中、網目状のもの)を施し、その間に窒素若しくは水蒸気を充填して溜めを形成している。同様に、出口側においても2重の耐熱シールを設け、これらによりロータリーシェル1内への酸素の浸入を阻止している。
【0037】
ロータリーシェル1の外周面にはスプロケット3と2個のタイヤ2が外嵌され、スプロケット3は共通架台5上に載置した回転駆動装置の減速機7と係合する。2個のタイヤ2は共通架台5上に載置したタイヤ受けローラ6に乗る。タイヤ受けローラ6はロータリーシェル1を支え、減速機7を介してロータリーシェル1を所定の速度で回転させる。
【0038】
熱源機構Qから延長する吹込管4はエンドボックス9の背面に通される。その吹込管4はロータリーシェル1を軸方向に貫通し、鏡板8側に至る。ロータリーシェル1の正面側における鏡板8には点検口11を設け、ロータリーシェル1の背面側におけるエンドボックス9にはマンホール10が設けられる。
【0039】
被半炭化処理物Wを容量20m
3〜100m
3のロータリーシェル1に1時間当たり1t〜6tを投入し、乾燥5分〜15分、半炭化15分〜40分とする。この場合、絶乾状態の材料1t〜6tが0.5t〜5.4tの半炭化物となる。また、ロータリーシェル1内への窒素の投入圧(充填圧)は0.001MPa〜0.3MPaとしている。
【0040】
木質チップを含むバイオマスに関しては、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)装置によると、炭化処理を行った際の有機物が蒸発及び分解する温度が解っており、この温度を有効に使用するためには、この温度を被炭化品に対してどのようにかけるかが本装置に必要とされる。
【0041】
図8は、キャリアガスを窒素とした場合(無酸素)の熱重量・示差熱分析による木材チップの測定結果を示す図である。本図によると、261℃〜358℃の炭化中心部(炭化領域)で、TG曲線から重量減少量が−75.88Weight/%であり、DTA曲線からは発熱・吸熱ピークは殆ど見られない。
【0042】
図9は、キャリアガスを空気とした場合の熱重量・示差熱分析による木材有機分蒸発分を脱酸素環境で概ね450℃以上で加熱した場合に得られた固形分で細かい粉状分解物の測定結果を示す図である。本図によると、DTA曲線から220℃付近から緩やかに発熱反応が始まり、燃焼温度507.4℃で発熱ピークが得られた。
【0043】
上記したように本実施形態では前記した伝熱型炭化装置と異なり燃焼を行う酸素が極めて少ない220℃から430℃までの定めた温度による、中温空気を被半炭化処理物Wに高速に吹き付け半炭化させるものである。このとき、吹込み温度、処理時間を変えることで、揮発する成分を選択することが可能となりで製造される半炭化品の性質をコントロールすることができる。例えば、木質ペレットの表面に木材から発生する樹脂等を残し、撥水性等を持たせることが可能となる。
【0044】
図10は、木質ペレット(ゴムの木)の浸漬試験測定表を示す図であり、
図11は、EFB(パーム椰子房の残渣物である空果房)の浸漬試験測定表を示す図である。本図によると、両者とも半炭化による場合では浸漬前後の水分含有量の変化が非常に大きい。なお、
図10及び
図11は、原料と半炭化品の撥水性のデータを示すもので、木質チップ及びEFBの各炭化度の異なる場合の浸漬処理条件・質量測定の諸数値の集計を示す表である。ゴムの木のペレットの無加工品の場合には、水に濡れるとペレットが崩れてしまうが、半炭化を行った場合には、ペレットは崩れない。これらの詳細な説明は、各図中の記載をもって省略する。
【0045】
図12は、木質ペレット(ゴムの木)の図面代用写真を含む説明図、
図13は、木質ペレット(ゴムの木)の浸漬試験の図面代用写真を含む説明図、
図14は、木質ペレット(ゴムの木)の図面代用写真を含む説明図、
図15は、EFB(パーム椰子房の残渣物である空果房)の浸漬試験の図面代用写真を含む説明図、
図16は、木質ペレット(ゴムの木)の撥水性の図面代用写真を含む説明図である。これらの詳細な説明は、各図中の記載をもって省略する。
【符号の説明】
【0046】
W 被半炭化処理物
P 通気式回転乾燥機
Q 熱源機構
R 集塵装置
F1 排気ファン
F2 吹込ファン
F3 燃焼ファン
1 ロータリーシェル
2 タイヤ
3 スプロケット
4 吹込管
4A 枝管
5 共通架台
6 ローラ
7 減速機
8 鏡板
9 エンドボックス
10 マンホール
11 点検口
12 耐熱シール部
13 乾燥機投入コンベヤ
14 排出口
15 排気口