(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受入溝の洗い場側とは反対側の内壁が前記被受入部と当接し、かつ前記受入溝の洗い場側の内壁と前記被受入部との間に前記シール材が挟まれることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲特許文献の洗い場床パネルは、パネル本体を発泡樹脂製とすることによって安価にできる。しかし、パネル本体の下部のフレームだけで強度を確保しているために、フレームを大きくしたり複雑な構造にしたりする必要がある。また、発泡樹脂製のパネル本体は、温度変化によって膨張、収縮されやすい。さらに、洗い場床パネルの外端部に接続される壁パネルや扉枠との間のシール性を確保する必要もある。
本発明は、かかる事情に鑑み、強度を確保しつつ安価に製造でき、かつ膨張、収縮を抑制でき、更に壁パネルや扉枠と間のシール性を確保できる浴室洗い場床パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、浴室の洗い場の底部に設置される洗い場床パネルであって、
発泡樹脂からなるパネル本体と、
前記パネル本体の上面の外端部を除く部分に被さる上側補強パネル部材と、
前記パネル本体の下面に被さる下側補強パネル部材と、
前記パネル本体の前記外端部に沿って設置され、浴室の壁パネル又は扉枠を載せる受け部材と、
を備え、前記受け部材が、前記壁パネル又は扉枠の下部の被受入部を受け入れる受入溝を有し、前記受入溝にシール材が臨むように設けられることを特徴とする。
【0006】
発泡樹脂製のパネル本体を上側補強パネル部材と下側補強パネル部材で挟んでサンドイッチ構造とすることによって、安価に製造できるだけでなく、パネル本体を上下の補強パネル部材によって補強して、洗い場床パネルの強度を確保できる。更には、上下の補強パネル部材によって発泡樹脂製パネル本体を拘束することで、温度変化に伴う発泡樹脂製パネル本体の膨張、収縮を抑制できる。更に、受入溝に臨むようにシール材を配置することで、壁パネル又は扉枠と受け部材との間のシール性を確保できる。
パネル本体と上下の各補強パネル部材とは、接着等によって固定されていることが好ましい。
上下の各補強パネル部材は、鋼板等の金属板や硬質樹脂によって構成されていることが好ましい。
前記受入溝に臨むシール材は、受入溝の内面に設けられていてよく、受入溝の溝縁部や外部から受入溝の側へ張り出していてもよい。
【0007】
前記受け部材が、前記受入溝を有する硬質樹脂からなる受け部材本体と、前記受入溝に臨むように設けられた軟質樹脂からなるシール材を一体に含む2色成形体であることが好ましい。
シール材を受け部材と一体成形することによって、浴室の施工現場では該シール材を設置する作業が不要であり、施工を簡易化できる。したがって、作業者によって施工品質にばらつきができるのを防止できる。
【0008】
前記シール材が、前記受入溝の洗い場側の部分に設けられヒレ状のシール突片を含むことが好ましい。
前記シール突片は受入溝に臨む。受入溝に壁パネル又は扉枠の被受入部を入れると、シール突片が壁パネル又は扉枠に当たることで、壁パネル又は扉枠と受け部材との間をシールできる。
【0009】
前記シール突片が、前記受入溝の洗い場側の角部から受入溝側へ延び出る第1シール突片部と、前記第1シール突片部の根元部から上方へ分岐する第2シール突片部とを含むことが好ましい。
前記第1シール突片部は、被受入部と前記受入溝の洗い場側の内壁との間に挟み込まれる。第2シール突片部は、被受入部の洗い場側側面に宛がわれる。これによって、壁パネル又は扉枠と受け部材との間を一層確実にシールできる。
【0010】
前記受入溝の洗い場側とは反対側の内壁が前記被受入部と当接し、かつ前記受入溝の洗い場側の内壁と前記被受入部との間に前記シール材が挟まれることが好ましい。
これによって、壁パネル又は扉枠を、受入溝の溝幅方向に位置規制できるとともに、壁パネル又は扉枠と受け部材との間を確実にシールできる。
【0011】
前記受入溝の溝底面に溝底凹部が形成され、前記溝底凹部に溝底シール材が充填されることが好ましい。
前記溝底シール材は、受入溝に臨む。該溝底シール材が壁パネル又は扉枠の被受入部に密着されることによって、壁パネル又は扉枠と受け部材との間をシールできる。
溝底凹部の幅は、受入溝の幅より小さい。
溝底シール材の充填用の溝底凹部を設けることで、浴室施工現場における溝底シール材の充填量のばらつきを防止でき、施工品質を確保できる。
【0012】
前記受け部材が、前記受入溝の形成部分よりも洗い場側へ張り出す張出片部を有し、前記張出片部の上面には張出凹部が形成され、
更に、前記洗い場床パネルの上面の表層シートが前記張出片部に被さっており、
前記張出凹部には、前記張出片部と前記表層シートとの間をシールする張出片シール材が充填されていることが好ましい。
受け部材に張出片部を設けることによって、受け部材をパネル本体に安定的に設置できる。
張出片シール材の充填用の張出凹部を設けることで、張出片シール材の充填量のばらつきを防止できる。
張出片シール材が表層シートと密着されることによって、受け部材の張出片部と表層シートとの間のシール性を確保できる。
【0013】
前記洗い場床パネルの上面の表層シートの端部と前記被受入部との間に設けられる目地部材を更に備え、
前記目地部材には、係合部が設けられ、
前記受け部材には、前記係合部と係合される係合受け部が設けられていることが好ましい(
図8(a)参照)。
表層シートの端部と壁パネル又は扉枠との間の隙間を目地部材によって覆い隠すことができる。係合部と係合受け部との係合によって、目地部材を正確に位置決めして固定でき、作業者によって施工品質にばらつきができるのを防止できる。
【0014】
前記受け部材には、前記洗い場床パネルの上面の表層シートの端面と対向する凸壁部が上へ突出するように設けられ、前記表層シートの端面と前記凸壁部との間に目地材が充填されていることが好ましい(
図12参照。)
前記目地材によって、表層シートの端面と前記凸壁部ひいては受け部材との間を液密に封止できる。前記目地材は外部に露出されるため、封止状態を容易に点検できる。
前記目地材を前記目地部材で更に覆うことにしてもよい(
図13参照)。
【0015】
前記洗い場床パネルの上面の表層シートの端部と前記被受入部との間には、目地材が充填されていてもよい(
図10参照)。
表層シートの端部と壁パネル又は扉枠との間の隙間を目地材によって液密に封止できる。また、目地材の充填状態ひいては封止状態を容易に点検できる。
【0016】
前記下側補強パネル部材又は上側補強パネル部材には、前記パネル本体の外端面に被さる側板部が一体に設けられており、
前記被受入部が、連結固定部材を介して前記側板部に固定されていることが好ましい。
これによって、浴室の壁又は扉枠と洗い場床パネルとをしっかりと固定できる。また、浴室の壁又は扉の荷重を、連結固定部材を介して側板部に伝達させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、浴室の洗い場床パネルを、強度を確保しつつ安価に製造でき、かつ膨張、収縮を抑制でき、更に壁パネルや扉枠と間のシール性を確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、浴室1は、浴槽1aと、洗い場1bを備えている。洗い場1bの底部に、洗い場床パネル3が設けられている。浴槽1aの下側には、浴槽1aの排水口からなどの漏水を受ける浴槽パンが設けられている。
図2に示すように、洗い場床パネル3は、平面視で長方形状(四角形状)になっている。
【0020】
図3及び
図4に示すように、洗い場床パネル3は、パネル本体11と、下側補強パネル部材13と、上側補強パネル部材12と、表層シート14と、排水口部材16と、受け部材20を備えている。
【0021】
パネル本体11は、EPS(発泡ポリスチレン)等の発泡樹脂によって構成され、断熱性を有している。
なお、パネル本体11の材質は、EPSに限られず、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等であってもよい。
【0022】
パネル本体11の底部に下側補強パネル部材13が敷設されている。下側補強パネル部材13は、ステンレス、鉄、鋼等の金属板にて構成されている。下側補強パネル部材13が、熱硬化性樹脂などの硬質樹脂にて構成されていてもよい。
下側補強パネル部材13の4つの端部には、それぞれ側板部13bが一体に設けられている。これら側板部13bが、下側補強パネル部材13から直角に立ち上がり、パネル本体11の4つの外端面にそれぞれ被さっている。
【0023】
パネル本体11と下側補強パネル部材13とは、接着剤(図示省略)によって接着されている。接着剤としては、例えば熱硬化性の2液混合ウレタン系接着剤が用いられているが、これに限られず、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤などであってもよい。接着剤は、パネル本体11と下側補強パネル部材13との間の全面に塗布することが好ましいが、所要の接合性を得られるのであれば部分的に塗布してもよい。
【0024】
パネル本体11の上面に上側補強パネル部材12が被さっている。上側補強パネル部材12は、ステンレス、鉄、鋼等の金属板によって構成されている。上側補強パネル部材12が、熱硬化性樹脂などの硬質樹脂にて構成されていてもよい。上側補強パネル部材12が、下側補強パネル部材13とは異なる材質であってもよい。
パネル本体11と上側補強パネル部材12とは、接着剤(図示省略)によって接着されている。接着剤の種類及び塗布範囲は前記と同様である。
【0025】
上側補強パネル部材12の上面に表層シート14が被さっている。表層シート14は、比較的軟質の樹脂やシリコンラバー等によって構成されている。表層シート14は、防水性を有している。更に、表層シート14によって、洗い場床パネル3の温熱感性及びクッション性が確保されている。
表層シート14と上側補強パネル部材12とは、両面粘着テープ(図示省略)によって接合されている。若しくは、表層シート14と上側補強パネル部材12とが、接着剤によって接着されていてもよい。
【0026】
図2に示すように、洗い場床パネル3における浴槽1aに近い部分には、排水口16cを有する排水口部材16が設けられている。
図3及び
図4に示すように、洗い場床パネル3の上面は、浴槽側を除く三方から排水口16cへ向かって下がり勾配が付けられている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、パネル本体11の上面における浴槽側(
図2において左側)を除く三方の外端部には、それぞれ凹溝状の受け部材設置部11eが形成されている。受け部材設置部11eは、凹溝状をなし、該外端部に沿って延びている。
受け部材設置部11eは、上側補強パネル部材12によって覆われていない。上側補強パネル部材12は、パネル本体11の前記三方の外端部を除く部分に被さっている。
【0028】
図2において二点鎖線にて示すように、パネル本体11の前記三方の外端部上に浴室壁60又は浴室扉70が配置されている。
図5に示すように、浴室壁60は、壁パネル61と、支柱部材62を含む。支柱部材62における浴室1を向く面に壁パネル61が被さっている。連結固定部材65が、下側補強パネル部材13の側板部13bから支柱部材62に跨っている。連結固定部材65を介して、支柱部材62ひいては壁パネル61が側板部13bに固定されている。
図9に示すように、浴室扉70は、扉枠71を有している。
【0029】
図1及び
図3に示すように、パネル本体11の各受け部材設置部11eには、受け部材20が設けられている。受け部材20に壁パネル61(
図5)又は扉枠71(
図9)が載せられている。
壁パネル61用の受け部材20と扉枠71用の受け部材20は、互いに同一の形状、同一構造になっている。または、1つの受け部材20の一部分に壁パネル61が載せられ、前記1つの受け部材20の他の部分に扉枠71が載せられている。
以下、特に断らない限り、受け部材20には壁パネル61が載っているものとする。
【0030】
図5に示すように、パネル本体11の受け部材設置部11eには、1又は複数の接着凹部11b,11cが設けられている。接着凹部11b,11cに接着剤4が充填されている。接着剤4は、例えばホットメルト接着剤によって構成されている。接着剤4によって、受け部材20がパネル本体11に接着されて固定されている。
【0031】
図6(a)に示すように、受け部材20は、樹脂を押出成形してなる押出成形体である。しかも、受け部材20は、硬質樹脂と軟質樹脂を2色押出成形してなる2色成形体である。
【0032】
詳しくは、受け部材20は、受け部材本体21と、シール突片31を含む。受け部材本体21が、前記硬質樹脂によって構成され、壁パネル61を支持可能な所要の強度を有している。硬質樹脂としては、例えばアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が挙げられるが、これに限られず、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、その他の熱可塑性樹脂であってもよい。受け部材本体21にシール突片31が一体に設けられている。シール突片31が、前記軟質樹脂によって構成されている。軟質樹脂は、前記硬質樹脂よりも軟質で、好ましくは十分に弾性変形可能であり、かつ水密性を有している。前記軟質樹脂としては、例えばスチレン系エラストマーが挙げられるが、これに限られず、ポリオレフィン系エラストマーなどであってもよい。
【0033】
図6(a)に示すように、受け部材本体21は、受入部22(受入溝の形成部分)と、張出片部23を有し、一定の断面をなして、同図の紙面直交方向に直線状に延びている。受入部22に受入溝22aが形成されている。受入溝22aは、上方へ開口されている。
図5に示すように、受入溝22aに壁パネル61の被受入部61bが受け入れられている。受入溝22aの溝幅(
図5において左右方向の寸法)は、壁パネル61の被受入部61bの同方向の寸法より大きい。
【0034】
受入溝22aの溝底面22fには、該溝底面22fより小幅の溝底凹部22dが形成されている。溝底凹部22dには、シリコーンなどの溝底シール材32が充填されている。溝底シール材32は、受入溝22aに臨んでいる。
該溝底シール材32が、壁パネル61の被受入部61bの下面と密着されることで、壁パネル61の底部と受け部材20との間が液密にシールされている。
【0035】
受入部22から差込突条27が下方へ突出されている。差込突条27が、パネル本体11の差込溝11fに挿し込まれている。
【0036】
受入部22よりも洗い場1b側(
図5において左側)へ張出片部23が張り出している。張出片部23の上面は、上側補強パネル部材12とほぼ面一になっている。
張出片部23の上面には張出凹部23bが形成されている。張出凹部23bには、シリコーンなどの張出片シール材33が充填されている。
表層シート14が張出片部23に被さっている。張出片シール材33が、表層シート14の下面が密着されることで、表層シート14と受け部材20との間が液密にシールされている。
【0037】
図6(a)に示すように、受け部材本体21における、受入溝22aの洗い場側(同図において左側)の溝縁部22c(洗い場側の部分)には、前記シール突片31(シール材)が一体に設けられている。シール突片31は、受入溝22aに臨んでいる。
【0038】
図6(a)に示すように、シール突片31は、溝縁部22cから突出するヒレ状になっている。前述したように、シール突片31は弾性に富んでいる。シール突片31は、第1シール突片部31aと、第2シール突片部31bとを含む。自然状態における第1シール突片部31aは、溝縁部22cから受入溝22aの上方へ延び出ている。第2シール突片部31bは、第1シール突片部31aの根元部(受け部材本体21との連結部近くの部分)から上方へ分岐されている。
【0039】
図5に示すように、壁パネル61の被受入部61bが受入溝22aに嵌め込まれた状態において、シール突片31が、弾性変形されて壁パネル61に押し当てられている。第1シール突片部31aは、壁パネル61と洗い場側内壁22bとの間に挟まれ、圧縮されている。第2シール突片部31bは、壁パネル61の洗い場側面に宛がわれている。
壁パネル61の被受入部61bは、受入溝22aの洗い場側とは反対側の内壁22eに突き当てられている。したがって、被受入部61bは、受入溝22aの洗い場側内壁22bのシール材31aと反対側の内壁22eとによって挟み付けられている。これによって、壁パネル61が、受入溝22aの溝幅方向に規制されている。
【0040】
図5に示すように、表層シート14の端部と壁パネル61との間には、目地部材40が設けられている。
図8(a)に示すように、目地部材40は、目地本体41と、係合部45を含む。 目地本体41は、表側片部42と、取付片部43を一体に含み、概略逆L字の断面をなして、同図の紙面直交方向へ延びている。目地本体41は、軟質の樹脂によって構成されている。取付片部43は、表側片部42の外側端部(壁パネル61を向く端部、
図8(a)において右端部)から下方へ延びている。
【0041】
図8(a)に示すように、取付片部43における表層シート14側(同図において左側)の面には、係合部45が設けられている。係合部45は、硬質樹脂からなる係合本体部45xと、軟質樹脂からなる中間突片45bを含む。係合本体部45xの下端部に係合爪45aが形成されている。係合本体部45xの中間部の内側面(洗い場1bの内側を向く面、
図8(a)において左側面)からヒレ状の中間突片45bが斜め上方へ突出されている。
中間突片45bは、目地本体41と同じ材質であってもよい。
目地本体41と係合本体部45xと中間突片45bとが二色成形されることで、目地部材41が形成されていてもよい。
【0042】
一方、受け部材20における受入部22と張出片部23との中間の部分には、凸壁部25が上方へ突出するように設けられている。凸壁部25は、表層シート14の端面と対向している。凸壁部25における受入部22を向く側(
図8(a)において右側)の底部に、爪状の係合受け部25aが形成されている。
【0043】
図8(b)に示すように、表側片部42が、壁パネル61から表層シート14の上面に跨っている。表側片部42によって、表層シート14の端部と壁パネル61との間の隙間が覆われている。
目地部材40の取付片部43及び係合部45が、凸壁部25と壁パネル61との間に挿し入れられ、係合爪45aが係合受け部25aと係合されている。取付片部43が壁パネル61に宛がわれている。取付片部43の下端部は、第2シール突片部31bに当たり、第2シール突片部31bを圧縮変形させている。
中間突片45bは、凸壁部25と係合本体部45xとの間に挟み付けられて弾性変形されている。この弾性によって、目地部材40が壁パネル61に押し付けられている。これによって、目地部材40が、受け部材20に対して正確な位置に固定されている。
【0044】
図9に示すように、浴室扉70用の受け部材20の受入溝22aには、扉枠71の下部の被受入部71bが受け入れられている。
【0045】
洗い場床パネル3は、次のようにして作製され、更には浴室1に設置される。
洗い場床パネル3の構成部材をそれぞれ作製する。パネル本体11は、発泡成形によって作製できる。上下のパネル部材12,13は、板金加工等によって作製できる。
パネル本体11の上下に補強パネル部材12,13を重ねた積層体を、例えば真空圧空熱プレス機(図示省略)にセットする。パネル本体11と各補強パネル部材12,13の間には、例えば熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布しておく。前記真空圧空熱プレス機によって前記積層体を加熱するとともに、空気圧及び真空圧によって前記積層体を厚み方向に圧縮する。これによって、パネル本体11と補強パネル部材12,13とが接合される。
【0046】
別途、受け部材20を2色押出成形によって作製する。
前記補強パネル部材12,13と接合後のパネル本体11における、受け部材設置部11eの接着凹部11b,11cにそれぞれ接着剤4を充填する。
続いて、受け部材20を受け部材設置部11eに設置する。受け部材20は、接着剤4を介してパネル本体11に固定される。
【0047】
また、パネル本体11に排水口部材16を装着する。
その後、上側補強パネル部材12の上面に表層シート14を貼り付ける。このとき、張出凹部23bには、シリコーンなどの張出片シール材33を充填しておく。そのうえで、表層シート14の端部を張出片部23に被せる。これによって、張出片シール材33が表層シート14と密着され、張出片部23ひいては受け部材20と表層シート14との間のシール性を確保できる。
【0048】
洗い場床パネル3によれば、発泡樹脂製のパネル本体11を上下の補強パネル部材12,13で挟んでサンドイッチ構造とすることによって、安価に製造できるだけでなく、パネル本体11を補強パネル部材12,13によって補強して、洗い場床パネル3の強度を確保できる。更には、上下の補強パネル部材12,13によって発泡樹脂製パネル本体11を拘束することで、温度変化によるパネル本体11の膨張、収縮を抑制できる。
【0049】
浴室1の施工現場では、洗い場1bの底部に洗い場床パネル3を設置する。洗い場床パネル3の三方の外端部には、浴室壁60及び浴室扉70を接続する。
浴室壁60の壁パネル61を設置する際は、それに先立って、受入溝22aの底部にシリコーンなどの溝底シール材32を設けておく(
図6(b))。溝底シール材32は、溝底凹部22dに充填すればよい。したがって、現場の作業者ごとに溝底シール材32の塗布量がばらつくのを防止でき、施工品質を安定させることができる。
【0050】
次いで、
図7〜
図8に示すように、壁パネル61の下端の被受入部61bを受入溝22aに嵌め込む。具体的には、たとえば、
図7(a)に示すように、壁パネル61を斜めにして、被受入部61bを受入溝22aに挿し入れる。このとき、被受入部61bにシール突片31が引っ掛かることよって、第1シール突片部31aが下方へ押し下げられるように変形される。
図7(b)に示すように、被受入部61bを受入溝22aに挿し入れながら、壁パネル61を漸次起立させる。これに伴って、シール突片31が溝縁部22cのまわりに回転するように変形される。
【0051】
図8(a)に示すように、壁パネル61を直立させると、第1シール突片部31aが、受入溝22aの洗い場内壁22bと壁パネル61との間に挟み込まれて圧縮される。第2シール突片部31bは、壁パネル61の側面に押し当てられる。これによって、壁パネル61と受け部材20との間をシールできる。浴室1の施工現場で洗い場内壁22bにシール材を設置する必要が無いから、施工を簡易化できるだけでなく、作業者によって施工品質にばらつきができるのを防止できる。
さらに、壁パネル61の被受入部61bが、溝底面22fに着地されるとともに溝底シール材32と密着される。これによって、壁パネル61と受け部材20との間を一層確実にシールできる。
【0052】
次に、
図8(a)の白抜き矢印にて示すように、目地部材40の取付片部43を表層シート14の端部と壁パネル61との間に挿し入れる。
そして、
図8(b)に示すように、係合部45を係合受け部25aと係合させることで、目地部材40を受け部材20に対して固定させる。係合部45と係合受け部25aとの係合によって、目地部材40を受け部材20に対して正確に位置決めできるから、作業者によって施工品質にばらつきができるのを防止できる。
目地部材40の設置によって、表層シート14の端部と壁パネル61との間の隙間が表側片部42により覆い隠される。したがって、洗い場床パネル3と浴室壁60との間の隅角部における見映えを良くすることができる。
更に、目地部材40の取付片部43の下端部が第2シール突片部31bに押し当てられることによって、目地部材40とシール突片31との間、ひいては目地部材40と受け部材20との間のシールを強固にできる。
【0053】
図9に示すように、同様にして、扉枠71の被受入部71bを、対応する受け部材20に装着する。シール突片31及び溝底シール材32によって、扉枠71と受け部材20との間をシールできる。目地部材40によって表層シート14の端部と扉枠71との間の隙間を覆い隠すことができる。
【0054】
浴室壁60の支柱部材62は、連結固定部材65を介して下側補強パネル部材13の側板部13bと連結する。これによって、浴室壁60と洗い場床パネル3とをしっかりと固定できる。かつ浴室壁の荷重を、連結固定部材65を介して下側補強パネル部材13に伝達させることができる。
支柱部材62の立設、及び連結固定部材65による支柱部材62と下側補強パネル部材13との連結作業は、前記壁パネル61を設置する前に行ってもよい。
【0055】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図10及び
図11は、本発明の第2実施形態を示したものである。
図10に示すように、第2実施形態の受け部材20Bは、硬質樹脂だけの押出成形品であり、軟質樹脂のシール突片31を有していない。
第2実施形態においては、浴室1の現場施工の際に、受入溝22aの洗い場側内壁22bにゴムパッキン等のシール材51を貼り付ける。シール材51は、受入溝22aに臨む。
壁パネル61の被受入部61bを受入溝22aに嵌め込むと、シール材51が、壁パネル61の側面に密着されることで、受け部材20Bと壁パネル61との間をシールできる。
また、表層シート14の端部と被受入部61bとの間には、樹脂成形体からなる目地部材40に代えて、シリコーンからなる目地材52を充填する。これによって、表層シート14と壁パネル61との間の隙間を目地材52によって隠すことができる。かつ、目地材52が壁パネル61の側面に密着されることで、シール性を一層高めることができる。
【0056】
図11に示すように、同様に、扉枠71の被受入部71bを受入溝22aに嵌め込むと、シール材51が扉枠71に密着され、受け部材20Bと扉枠71との間をシールできる。
更に、表層シート14の端部と扉枠71との間に目地材52を充填することによって、表層シート14と扉枠71との間の隙間を隠すことができるだけでなく、目地材52が扉枠71に密着されることで、シール性を一層高めることができる。
【0057】
<第3実施形態>
図12〜
図14は、本発明の第3実施形態を示したものである。
図12に示すように、第3実施形態においては、受け部材20Cの張出片部23の上面が平らになっており、張出凹部23b(
図6(b))が形成されていない。張出片部23と表層シート14とが、シール材33(
図6(b))に代えて、防水性両面粘着テープ35によって接合されている。防水性両面粘着テープ35は、例えばアクリルフォーム構造用接合テープなどのアクリル系粘着テープが用いられている。
【0058】
また、受け部材20Cにおける凸壁部25と表層シート14の端面との間には、シリコーンコーキング等からなる目地材53が充填されている。
表層シート14の端部と受け部材20Cとの間が、両面粘着テープ35と目地材53とによって二重に防水されている。
目地材53は、目地部材40の未装着時には外部に露出されている。したがって、目地材53の施工状態、ひいては受け部材20Cと表層シート14との間のシール状態を容易に点検できる。
【0059】
図13に示すように、目地部材40の装着によって、目地材53が目地部材40の表側片部42によって覆い隠される。
なお、
図12に示すように、自然状態(非装着時)における表側片部42は、先端が下へ少し垂れている。
図13に示すように、目地部材40を表層シート14と壁パネル61との間に装着すると、表側片部42が表層シート14によって押し上げられ、垂れ下がりが矯正される。これによって、表側片部42を表層シート14の上面に押し当てて密着させることができる。
【0060】
張出片部23の下面には、凸部23dが形成されている。該凸部23dが、接着凹部11bに入り込んで接着剤4b内に埋まっている。
【0061】
受け部材20Cにおける受入部22の下面には、凸部22gが形成されている。該凸部22gが、接着凹部11cに入り込んで接着剤4c内に埋まっている。
【0062】
図12に示すように、受入部22の溝底凹部22dは、溝底面22fにおける、洗い場1b側(
図12において左側)の部分に偏って配置されている。
図13に示すように、受入部22における、壁パネル61を受け入れる部分の溝底凹部22dには、溝底シール材32(
図6(b))の充填が省略されている。したがって、受け部材20Cが壁パネル61とは接着されていない。
このため、例えば、リフォームなどの際、壁パネル61を受け部材20Cひいては洗い場床パネル3から簡単に分離できる。或いは、受け部材20Cが壁パネル61とくっ付いてパネル本体11から抜けるのを防止できる。
【0063】
図14に示すように、受入部22における、浴室扉70の下枠71を受け入れる部分の溝底凹部22dには、シリコーン等の接着剤からなる溝底シール材32が充填されている。これによって、下枠71の被受入部71bが、溝底シール材32を介して受け部材20Cと接着されている。これによって、下枠71が踏まれて変形しても、下枠71と受け部材20Cとの強固な接合状態を維持できる。
【0064】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、第1実施形態において、目地部材40に代えて、目地材52を表層シート14の端部と被受入部61b,71bとの間に充填してもよい。
洗い場床パネル3は、浴槽1aの下側に設けられる浴槽パンを含んでいてもよい。浴槽パンは、洗い場床パネル3に対して別体であっても一体であってもよい。
浴室はシャワー室も含む。