特許第6981675号(P6981675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981675頭皮外用剤と、活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981675
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】頭皮外用剤と、活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20211202BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20211202BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20211202BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20211202BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/9741 20170101ALI20211202BHJP
   A61K 36/11 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20211202BHJP
   A61K 36/8994 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/51 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K36/61
   A61K36/73
   A61K8/34
   A61K47/10
   A61Q7/00
   A61P17/14
   A61P43/00 121
   A61K8/9741
   A61K36/11
   A61K8/9794
   A61K36/8994
   A61K36/185
   A61K36/51
   A61K36/9068
   A61K9/08
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-140511(P2019-140511)
(22)【出願日】2019年7月31日
(65)【公開番号】特開2020-117477(P2020-117477A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2020年6月11日
(31)【優先権主張番号】特願2019-7199(P2019-7199)
(32)【優先日】2019年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】397036365
【氏名又は名称】株式会社アイビー化粧品
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】吉井 唯
(72)【発明者】
【氏名】永田 武
(72)【発明者】
【氏名】辻 行貴
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−185131(JP,A)
【文献】 特開2017−197503(JP,A)
【文献】 特開2006−117612(JP,A)
【文献】 特開2006−169133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61K 36/00−36/9068
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分および(B)ビワ葉の溶媒可溶成分を含有する頭皮外用剤であって、
前記外用剤中の(A)成分および(B)成分の含有量が0.01〜5質量%(固形分換算)であり、
前記溶媒が、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらと水との混合液から選ばれるものであって、
外毛根鞘細胞におけるカルボニルタンパクの生成を抑制することを特徴とする、頭皮外用剤。
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量%中、前記(A)成分の含有割合が10〜90質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合である、請求項記載の頭皮外用剤。
【請求項3】
前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量%中、前記(A)成分の含有割合が10〜45質量%または55〜90質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合である、請求項記載の頭皮外用剤。
【請求項4】
さらに、キイチゴ、スギナ、ヨクイニン、スターフルーツ葉、ウメ果実、シルバーバイン、センブリ、ショウキョウから選ばれる植物の溶媒可溶成分の1以上を含有する、請求項1〜のいずれか1項記載の頭皮外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外毛根鞘細胞におけるカルボニルタンパクの生成を抑制することを特徴とする頭皮外用剤と、活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外毛根鞘は頭皮毛包の外側を覆っており、毛髪を支える重要な組織である。
また外毛根鞘は、毛包周囲への毛細血管を発達させる血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)などの毛周期の成長期の維持に重要な因子を産生・分泌することから、毛髪の成長に対しても重要な役割を有する(非特許文献1、2)。
そのため、外毛根鞘の機能低下、例えば外毛根鞘細胞の増殖低下は、薄毛へとつながると考えられ、実際に外毛根鞘細胞の増殖を促進する植物抽出液はいくつか知られている。
【0003】
ところで、外毛根鞘の機能低下の原因の一つとして酸化ストレスが挙げられ、実際に紫外線や過酸化水素などの刺激により酸化ストレスが生じ、酸化ストレスの最終産物外毛根鞘のアポトーシスが誘導されることが報告されている(非特許文献3〜5)。
【0004】
また、カルボニルタンパクは、脂質の酸化により生成される過酸化脂質の分解物であるアクロレインなどの活性アルデヒド化合物(reactive aldehyde compounds、RACs)がタンパク質に付加することにより生成されることが知られており、酸化ストレスの最終産物である(非特許文献5)。
【0005】
皮膚では露光部の表皮および真皮(非特許文献6)や光線性弾力線維症の真皮(非特許文献7)、アトピー性皮膚炎の角層および真皮(非特許文献8)でカルボニルタンパクが増加していることが報告されている。
そのため、カルボニルタンパクと皮膚老化および疾患は密接に関与していると考えられ、タンパク質のカルボニル化を抑制する植物素材がいくつか知られている。
【0006】
一方で、頭皮毛包の外毛根鞘部位におけるカルボニルタンパクの局在についての報告はされていない。また、カルボニルタンパクは酸化ストレスの最終産物であることから、薄毛の発生機序になんらかの関与があることが推測されるが、それについての知見はなく、その解明が望まれていた。
【0007】
特許文献1、2には、テンニンカ抽出物を有効成分とする育毛剤または頭皮外用剤が記載されており、毛髪の形成に関与する毛乳頭細胞増殖促進効果を有することが記載されている。
特許文献3には、抗酸化作用が確認されたビワ葉エキスを含有する脱毛抑制剤が記載されている。特許文献4には、毛髪美容成分としてビワ葉エキスを含有する毛髪化粧料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−185131号公報
【特許文献2】特開2017−197503号公報
【特許文献3】特開2017−206448号公報
【特許文献4】特開2018−2637号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】XY.Man et al、Clin Exp Dermatol、34(3)、396−401、2009
【非特許文献2】W.Li et al、Mol Biol Rep、39(9)、8687−8694、2012
【非特許文献3】Z.Lu et al、J Invest Dermatol、129(7)、1790−1804、2009
【非特許文献4】IS.Haslam et al、J Invest Dermatol、137(2)、295−304、2017
【非特許文献5】A.Negre−Salvayre et al、Br JPharmacol、153(1)、6−20、2008
【非特許文献6】Y.Ogura et al.J Dermatol Sci、64(1)、45−52(2011)
【非特許文献7】N.Tanaka et al、Arch Dermatol Res、293(7)、363−367(2001)
【非特許文献8】Y.Niwa et al.Br J Dermatol、149(2)、248−254(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、頭皮組織の外毛根鞘細胞における活性酸素の消去およびカルボニルタンパクの生成の抑制により、前記細胞の増殖抑制因子のはたらきを抑える頭皮外用剤と、頭皮外用剤の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用を制御する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1形態として、(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分または(B)ビワ葉の溶媒可溶成分を含有する頭皮外用剤であって、前記外用剤中の(A)成分または(B)成分の含有量が0.01〜5質量%(固形分換算)であり、
前記溶媒が、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらと水との混合液から選ばれるものであって、
外毛根鞘細胞におけるカルボニルタンパクの生成を抑制することを特徴とする、頭皮外用剤を提供する。
【0012】
また本発明は、第2形態として、(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分および(B)ビワ葉の溶媒可溶成分を含有する頭皮外用剤であって、前記外用剤中の(A)成分および(B)成分の合計含有量が0.01〜5質量%(固形分換算)であり、
前記溶媒が、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらと水との混合液から選ばれるものであって、
外毛根鞘細胞におけるカルボニルタンパクの生成を抑制することを特徴とする、頭皮外用剤を提供する。
【0013】
さらに本発明は、(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分および(B)ビワの葉の溶媒可溶成分を含有する頭皮外用剤の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用の一方または両方を制御する方法であって、
頭皮外用剤が、
頭皮外用剤中の前記(A)成分と前記(B)成分の合計含有量が0.01〜5質量%(固形分換算)であり、
前記溶媒が、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらの水との混合液から選ばれるものであって、
頭皮外用剤中の前記(A)成分と前記(B)成分を合計100質量%で互いに10〜90質量%の範囲で増減させることで、頭皮外用剤の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用の一方または両方を制御する方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の頭皮外用剤に含有されるテンニンカ果実の溶媒可溶成分およびビワ葉の溶媒可溶成分が有する、酸化ストレスによる外毛根鞘細胞の細胞内活性酸素の消去作用と、細胞内活性酸素による外毛根鞘細胞内のカルボニルタンパクの生成を抑制する作用により、外毛根鞘細胞の増殖を妨げる因子が作用するのを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】試験例1における、ヒト頭皮毛包の外毛根鞘部位のカルボニルタンパクの局在を示す、蛍光顕微鏡写真。
図2】試験例2、3における、過酸化水素またはアクロレインを添加して処理した外毛根鞘細胞の、カルボニルタンパクの増加およびKi67タンパクの減少を示す。 (a)過酸化水素で処理した外毛根鞘細胞の、細胞内カルボニルタンパクの増加を示すグラフ。 (b)アクロレインで処理した外毛根鞘細胞の、細胞内カルボニルタンパクの増加を示すグラフ。 (c)過酸化水素で処理した外毛根鞘細胞の、Ki67タンパクの減少を示す蛍光顕微鏡写真。 (d)アクロレインで処理した外毛根鞘細胞の、Ki67タンパクの減少を示す蛍光顕微鏡写真。
図3】試験例4における、テンニンカ果実またはビワ葉の溶媒可溶成分の、細胞内活性酸素の消去効果を示すグラフ(過酸化水素を添加して処理した外毛根鞘細胞を使用)。
図4】試験例5における、テンニンカ果実またはビワ葉の溶媒可溶成分の、カルボニルタンパク生成の抑制効果を示すグラフ(過酸化水素を添加して処理した外毛根鞘細胞を使用)。
図5】試験例5における、テンニンカ果実またはビワ葉の溶媒可溶成分の、Ki67タンパク減少の抑制効果を示す蛍光顕微鏡写真(過酸化水素を添加して処理した外毛根鞘細胞を使用)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
<第1形態>
本発明の頭皮外用剤は、(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分または(B)ビワ葉の溶媒可溶成分を含有する。
【0018】
本発明の頭皮外用剤で使用されるテンニンカ(学名:Rhodomyrtus tomentosa)は、フトモモ科の常緑低木であり、日本では沖縄等に自生している。春から夏に芳香のある桃色から紫色の花が咲くことが知られており、果実は黒紫色に熟した後食されている。抽出原料として使用し得るテンニンカの構成部位としては、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部および果実部等が挙げられるが、好ましくは果実部であり、少量の他の部位が混在していてもよい。
【0019】
本発明の頭皮外用剤に使用される(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分は、テンニンカの果実部(少量の他の部位を含んでもよい)を乾燥させて刻み、または粉末状にしたあと、2〜20倍量(質量基準)の抽出溶媒を加え、冷浸(例えば0〜30℃の溶媒に浸漬する)または加熱(30℃より高い温度から使用する溶媒の沸点の範囲で加熱)することによって、溶媒可溶成分を抽出する。
抽出時間は、冷浸の場合は1時間以上が好ましく、加熱の場合は10分間以上が好ましい。
【0020】
(A)成分のテンニンカ果実の溶媒抽出に使用される溶媒として、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらと水との混合液から選ばれる。
多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールから選ばれるものが好ましく、1,3−ブチレングリコールまたは1,3−ブチレングリコール水溶液が好ましい。
1,3−ブチレングリコール水溶液を使用するときは、1,3−ブチレングリコールの濃度は70〜90質量%が好ましい。
【0021】
本発明の頭皮外用剤は、上記溶媒に溶解された液体のもの(上記溶媒の溶液)をそのまま(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分として使用してもよく、前記溶媒の溶液の濃縮液、前記溶媒の溶液を乾燥して粉末化したものを使用することもできる。
さらに必要に応じて、粗精製または精製や水洗したものを使用してもよく、粗精製および精製としては、MCIゲル(Sigma−Aldrich社製)などの吸着剤による吸着および溶出、クロマトグラフィーなどを適当に組み合わせることができる。
【0022】
(A)成分のテンニンカの溶媒可溶成分は、市販品を使用してもよく、例えば、テンニンカ果実抽出液BG80(丸善製薬(株))(1,3―ブチレングリコール/水の混合溶液の可溶成分からなる抽出液,固形分濃度0.50質量%)などを使用することができる。
【0023】
本発明の頭皮外用剤は、(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分(固形分換算)を、0.01〜5質量%含有し、好ましくは0.015〜5質量%、より好ましくは0.02〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、さらにより好ましくは0.10〜1質量%で含有することができる。
【0024】
本発明の頭皮外用剤で使用するビワ(学名:Eriobotrya japonica)は、バラ科の常緑高木であり、日本では四国や九州等に自生している。冬に枝先にやや黄色味を帯びかぐわしい香りを持った小花を咲かせることが知られており、初夏に黄橙色をした甘い果実をつける。抽出原料として使用し得るビワの構成部位としては、葉部、幹部、枝部、花部、果実部および種子部等が挙げられるが、好ましくは葉部であり、少量の他の部位が混在していてもよい。
【0025】
本発明の頭皮外用剤で使用される(B)成分のビワ葉の溶媒可溶成分は、以下の溶媒を使用して、(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分と同様の方法で調製することができる。
【0026】
(B)成分のビワ葉の溶媒抽出に使用される溶媒として、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらと水との混合液から選ばれる。
(B)成分のビワ葉の溶媒抽出として、エタノール/水の混合溶液、1,3―ブチレングリコール/水、1,3―ブチレングリコールが好ましい。
多価アルコールとしては、(A)成分のテンニンカ果実の溶媒抽出と同様のものを使用するのが好ましい。
【0027】
本発明の頭皮外用剤は、上記溶媒に溶解された液体のもの(上記溶媒の溶液)をそのまま(B)成分のビワ葉の溶媒可溶成分として使用してもよく、前記溶媒の溶液の濃縮液、前記溶媒の溶液を乾燥して粉末化したものを使用することもできる。
さらに、(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分と同様に、必要に応じて粗精製または精製や水洗したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
例えば、ビワ抽出液(丸善製薬(株))(エタノール/水の混合溶液の可溶成分からなる抽出液,固形分濃度1.40質量%)、ビワ抽出液BG−J(丸善製薬(株))(1,3―ブチレングリコール/水の混合溶液の可溶成分からなる抽出液,固形分濃度1.50質量%)、ビワ抽出液LA(丸善製薬(株))(エタノール/水の混合溶液の可溶成分からなる抽出液,固形分濃度0.96質量%)、ビワ葉エキスCA(丸善製薬(株))(1,3―ブチレングリコールの可溶成分からなる抽出液,固形分濃度1.00質量%)などを使用することができる。
【0028】
本発明の頭皮外用剤は、(B)成分のビワ葉の溶媒可溶成分(固形分換算)を、0.01〜5質量%含有し、好ましくは0.015〜5質量%、より好ましくは0.02〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、さらにより好ましくは0.10〜1質量%で含有することができる。
【0029】
<第2形態>
本発明の頭皮外用剤は、(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分と、(B)成分のビワ葉の溶媒可溶成分の両方を含有する。
【0030】
本発明の頭皮外用剤は、(A)成分と(B)成分の合計含有量(合計固形分量換算)0.01〜5質量%で含有し、好ましくは0.015〜5質量%、より好ましくは0.02〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、さらにより好ましくは0.10〜1質量%で含有することができる。
【0031】
本発明の頭皮外用剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%中、(A)成分の含有割合が10〜90質量%であり、(B)成分の含有割合が残部割合であることが好ましく、(A)成分の含有割合が15〜85質量%であり、(B)成分の含有割合が残部割合であることがより好ましく、(A)成分の含有割合が20〜80質量%であり、(B)成分の含有割合が残部割合であることがさらに好ましい。
【0032】
また本発明の頭皮外用剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%中、(A)成分の含有割合が10〜45質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることが好ましく、(A)成分の含有割合が15〜45質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることがより好ましく、(A)成分の含有割合が20〜40質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることがさらに好ましい。
【0033】
また本発明の頭皮外用剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%中、(A)成分の含有割合が55〜90質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることが好ましく、(A)成分の含有割合が55〜85質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることがより好ましく、(A)成分の含有割合が60〜80質量%であり、前記(B)成分の含有割合が残部割合であることがさらに好ましい。
(A)成分と(B)成分の混合物100質量%中、(A)成分50質量%±5質量%未満(好ましくは50質量%±3質量%)で残部割合が(B)成分である混合物は、特に活性酸素消去効果が低く、外毛根鞘細胞の増殖が抑制されて、薄毛予防効果や脱毛抑制効果が劣ると考えられるため好ましくない。
【0034】
本発明の頭皮外用剤は、カルボニルタンパク生成抑制効果を損なわない範囲で、他の植物の溶媒可溶成分などと併用することもできる。
他の植物としては、キイチゴ、スギナ、ヨクイニン、スターフルーツ葉、ウメ果実、シルバーバイン、センブリ、ショウキョウなどを挙げることができる。
本発明の頭皮外用剤は、他の植物の溶媒可溶成分(固形分量)の含有割合が5質量%以下であることが好ましい。
【0035】
本発明の頭皮外用剤は、他にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記以外の植物抽出液(植物の溶媒可溶成分)、医薬部外品、皮膚化粧料、洗浄料などに通常配合される任意の成分、例えば、水、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、ゲル化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、薬効成分、香料、樹脂、防菌防かび剤、抗酸化剤、アルコール類を含有することができる。
【0036】
本発明の頭皮外用剤は、医薬部外品や化粧品として使用することができる。
また、本発明の頭皮外用剤の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾールなど外用剤として、頭皮に適用可能な性状のものであれば問われるものではない。
【0037】
本発明の頭皮外用剤は、男性型脱毛症や女性に多くみられるびまん性脱毛症などの脱毛疾患の治療や予防に用いることが可能である。
【0038】
さらに、本発明の(A)テンニンカ果実の溶媒可溶成分および(B)ビワの葉の溶媒可溶成分を含有する頭皮外用剤の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用の一方または両方を制御する方法は、
頭皮外用剤が、
頭皮外用剤中の前記(A)成分と前記(B)成分の合計含有量が0.01〜5質量%(固形分換算)であり、
前記溶媒が、多価アルコール、メタノール、エタノールおよびそれらの水との混合液から選ばれるものであって、
頭皮外用剤中の前記(A)成分と前記(B)成分を合計100質量%で互いに10〜90質量%の範囲で増減させることで、頭皮外用剤の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用の一方または両方を制御する方法(以下、単に「制御方法」と略す。)である。
【0039】
本発明における活性酸素消去作用は、外部からの酸化ストレスによる外毛根鞘細胞内の活性酸素量を、対照となる外毛根鞘細胞内の活性酸素量を1とした場合の相対量で示した「活性酸素レベル」が指標となるものである。
本発明におけるカルボニルタンパク生成抑制作用は、外毛根鞘細胞内のカルボニルタンパク量を、対照となる外毛根鞘細胞内の活性酸素量を1とした場合の相対量で示した「カルボニルタンパクレベル」が指標となるものである。
そして、前記活性酸素レベルは、数値が低いほど、活性酸素消去作用の効果が高いことを示し、前記カルボニルタンパクレベルは、数値が低いほど、その生成を抑制する効果が高いことを示し、これらはいずれも数値が低いほど、外毛根鞘細胞の増殖を妨げる因子への抑制作用が高く、薄毛予防効果や脱毛抑制効果に優れると考えられる。
【0040】
本発明の制御方法は、(A)成分と(B)成分を合計100質量%で互いに所定割合の範囲で増減させることで、前記活性酸素レベルと前記カルボニルタンパクレベルの一方または両方を制御することができる。
上記の所定割合は10〜90質量%であり、好ましくは15〜85質量%、より好ましくは20〜80質量%である。
本発明の制御方法を利用することによって、例えば、人の薄毛の進行レベルに応じて調整された活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用とを有する頭皮外用剤を提供できるようになる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、試験例4〜6および実施例1においては、テンニンカ果実の溶媒可溶成分としてテンニンカ果実抽出液BG80(丸善製薬(株)製、以下(A)成分とする)を、ビワ葉の溶媒可溶成分としてビワ葉エキスCA(丸善製薬(株)製、以下(B)成分とする)を使用した。「%」は特に断らない限り質量%を意味する。
【0042】
<試験例1>
ヒト頭皮毛包の外毛根鞘部位のカルボニルタンパクの局在の有無について下記の方法にて確認した。
【0043】
69歳および73歳の女性の被験者2名の頭皮組織より凍結切片を作製し、Fluorescein−5−thiosemicarbazide(FTSC)を用いてカルボニルタンパクを蛍光ラベル化し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果を図1に示した。
【0044】
図1から明らかなとおり、ヒト頭皮組織の毛包外毛根鞘部位にカルボニルタンパクの局在が確認され、酸化ストレスが生じている可能性が示唆された。
【0045】
<試験例2>
外毛根鞘細胞を過酸化水素およびアクロレインで処理した後の、細胞内カルボニルタンパクレベルおよび細胞増殖マーカーのKi67タンパク発現レベルを、下記の方法にて確認した。
【0046】
外毛根鞘細胞(ScienCell Research Laboratories製)を96well−plateに播種し、37℃、5.0%COの条件下で一晩培養した。その後、600μMの過酸化水素で3時間処理し、Mesenchymal stem cell medium(MSCM)(ScienCell Research Laboratories製)で24時間培養した。その後、FTSCを用いて細胞内カルボニルタンパクレベルを確認した。その結果を図2の(a)に示す。
また、免疫蛍光染色法を用いてKi67のタンパク発現レベルを確認した。その結果を図2の(c)に示す。
【0047】
図2の(a)および(c)から明らかなとおり、過酸化水素で処理した外毛根鞘細胞の細胞内カルボニルタンパクレベルは増加し、Ki67のタンパク発現レベルは減少した。
【0048】
<試験例3>
試験例2と同様の方法で、50μMのアクロレインで2時間処理した外毛根鞘細胞の細胞内カルボニルタンパクレベルおよびKi67のタンパク発現レベルを確認した。
細胞内カルボニルタンパクレベルを図2の(b)に、Ki67タンパク発現レベルを図2の(d)に示した。
【0049】
図2の(b)および(d)から明らかなとおり、カルボニルタンパク生成の開始剤であるRACsの一つであるアクロレインで処理した外毛根鞘細胞において、過酸化水素処理の時と同様、細胞内カルボニルタンパクレベルは増加し、Ki67タンパク発現レベルは減少した。
【0050】
図2の(a)〜(d)より、酸化ストレスによる外毛根鞘細胞の増殖低下は、RACsの生成を介して生じている可能性が示唆された。
活性酸素の消去およびカルボニルタンパクの生成を抑制することは、RACsの生成抑制につながると考えられる。そのため、活性酸素の消去およびRACsの生成を抑制することは薄毛予防に対するアプローチとして有用であると期待される。
【0051】
<試験例4>
(A)成分のテンニンカ果実の溶媒可溶成分および(B)成分のビワ葉の溶媒可溶成分の活性酸素消去作用について下記の方法にて確認した。
【0052】
外毛根鞘細胞を96well−plateに播種し、0.00125質量%(固形分換算)の(A)成分または0.0025質量%(固形分換算)の(B)成分を含むMSCMで37℃、5.0%COの条件下で24時間培養した。その後、600μMの過酸化水素と0.00125質量%(固形分換算)の(A)成分または0.0025質量%(固形分換算)の(B)成分を含むHanks‘ balanced salt solution(HBSS)で15分間処理し、2‘,7’ーdichlorofluorescin diacetate(DCFDA)を用いて細胞内の活性酸素レベルを確認した。
【0053】
結果を図3に示した。図3中の試料1は(A)成分、試料2は(B)成分である。図3から明らかなとおり、(A)成分および(B)成分は過酸化水素により誘導された細胞内活性酸素レベルの増加を有意に抑制した。
【0054】
<試験例5>
(A)成分および(B)成分の、酸化ストレスによる外毛根鞘細胞の細胞内カルボニルタンパクの生成増加と増殖低下に対する効果について下記の方法にて確認した。
【0055】
外毛根鞘細胞を96well−plateに播種し、0.00125質量%(固形分換算)の(A)成分または0.0025質量%(固形分換算)の(B)成分を含むMSCMで37℃、5.0%COの条件下で24時間培養した。その後、600μMの過酸化水素と0.00125質量%(固形分換算)の(A)成分または0.0025質量%(固形分換算)の(B)成分を含むMSCMで3時間処理し、さらに0.00125質量%(固形分換算)の(A)成分または0.0025質量%(固形分換算)の(B)成分を含むMSCMで24時間培養した。その後、FTSCを用いて細胞内カルボニルタンパクレベルを確認し、図4に示した。
【0056】
図4中の試料1は(A)成分、試料2は(B)成分である。図4から明らかなとおり、(A)成分および(B)成分は、過酸化水素による細胞内カルボニルタンパクレベルの増加を有意に抑制した。
また、免疫蛍光染色法を用いてKi67のタンパク発現レベルを確認し図5に示した。
【0057】
図5中の試料1は(A)成分、試料2は(B)成分である。図5に示したとおり、(A)成分および(B)成分は過酸化水素によるKi67のタンパク発現レベルの低下を抑制した。
【0058】
以上より、本発明者は、ヒト毛包の外毛根鞘部位にカルボニルタンパクが局在すること(試験例1)、酸化ストレスを生じさせた外毛根鞘細胞はカルボニルタンパクの生成が増加し、細胞増殖が低下すること、外毛根鞘細胞をカルボニルタンパク生成の開始剤であるRACsで処理すると細胞増殖が低下すること(以上、試験例2)を見出した。つまり、酸化ストレスは、RACsの生成を介して細胞内にカルボニルタンパクの生成を増加させ、外毛根鞘細胞の増殖を低下させることが確認できた。
そして、活性酸素消去作用およびカルボニルタンパクの生成抑制作用を有するテンニンカ果実の溶媒可溶成分および/またはビワ葉の溶媒可溶成分は、頭皮外用剤に適用して、薄毛予防に対する有効なアプローチとして期待されることを確認した。
【0059】
<試験例6>
表1に示す割合の(A)成分と(B)成分からなる混合物(頭皮外用剤)を調製した。試験例6−1〜6−7で得られた各混合物を使用して、試験例4、5と同様にして、外毛根鞘細胞内の活性酸素レベルとカルボニルタンパクレベルを確認した。
表1には、対照となる600μM過酸化水素で処理した外毛根鞘細胞における活性酸素レベルを1とした場合を基準とした時の、600μM過酸化水素と(A)成分、(B)成分、(A)成分および(B)成分との混合物で処理した外毛根鞘細胞における活性酸素レベルを示した。また表1のカルボニルタンパクレベルは、活性酸素レベルと同様に算出して示した。
【0060】
【表1】

【0061】
(A)成分と(B)成分の混合物の中で活性酸素レベルは、試験例6−6が最も低く、試験例6−3、6−5、6−2、6−4の順に高くなった。
(A)成分と(B)成分の混合物の中でカルボニルタンパクレベルは、試験例6−5が最も低く、試験例6−2、6−3、6−4、6−6の順に高くなった。
表1の結果から、(A)成分の割合と(B)成分の割合を変化させることで、活性酸素レベルとカルボニルタンパクレベルの両方を制御できる、すなわち頭皮外用剤中の活性酸素消去作用とカルボニルタンパク生成抑制作用を制御できることが確認された。
このため、活性酸素レベルを基準としたときの頭皮外用剤としては、(A)成分60〜80質量%、または(A)成分20〜40質量%で、残部割合が(B)成分である混合物を含むものが好ましく、(A)成分20質量%±5質量%(好ましくは±3質量%)で残部が(B)成分である混合物を含むものがより好ましい。
また、カルボニルタンパクレベルを基準としたときの頭皮外用剤としては、(A)成分40〜80質量%で残部割合が(B)成分の混合物を含むものが好ましく、さらに(A)成分40〜80質量%(但し、(A)成分50質量%±5質量%未満を除く)で残部割合が(B)成分の混合物を含むものがより好ましく、(A)成分40質量%±5質量%(好ましくは±3質量%)で残部が(B)成分である混合物を含むものがより好ましい。
【0062】
<実施例1>
本発明の頭皮外用剤を調製した。
【0063】
下記の成分(1)を攪拌しながら(2)を加えて80℃にて攪拌後に30℃まで冷却し、これに混合・溶解した(3)〜(5)を添加した。さらに(7)〜(15)を添加して攪拌冷却し、頭皮外用剤を得た。
下記(15)の配合量は、固形分換算で0.025質量%である。
(組成) (質量%)
(1)水 25.00
(2)ジグリセリン 1.00
(3)水 1.95
(4)クエン酸 0.30
(5)クエン酸Na 0.38
(6)エタノール 65.00
(7)セテス‐20 0.30
(8)香料 0.06
(9)カンフル 0.08
(10)メントール 0.40
(11)ヒノキチオール 0.01
(12)ジメチコンポリオール 0.50
(13)センブリエキス 0.01
(14)ショウキョウエキス 0.01
(15)(A)成分 5.00
合計 100.00
【0064】
<実施例2>
実施例1と同様に、頭皮外用剤を得た。下記(15)の配合量は、固形分換算で0.05質量%である。
(組成) (質量%)
(1)水 25.00
(2)ジグリセリン 1.00
(3)水 1.95
(4)クエン酸 0.30
(5)クエン酸Na 0.38
(6)エタノール 65.00
(7)セテス‐20 0.30
(8)香料 0.06
(9)カンフル 0.08
(10)メントール 0.40
(11)ヒノキチオール 0.01
(12)ジメチコンポリオール 0.50
(13)センブリエキス 0.01
(14)ショウキョウエキス 0.01
(15)(B)成分 5.00
合計 100.00
【0065】
<実施例3>
下記の成分(1)を攪拌しながら(2)を加えて80℃にて攪拌後に30℃まで冷却し、これに混合・溶解した(3)〜(5)を添加した。さらに(7)〜(16)を添加して攪拌冷却し、頭皮外用剤を得た。下記(15)、(16)の配合量は、固形分換算で0.025質量%、0.05質量%である。
(組成) (質量%)
(1)水 20.00
(2)ジグリセリン 1.00
(3)水 1.95
(4)クエン酸 0.30
(5)クエン酸Na 0.38
(6)エタノール 65.00
(7)セテス‐20 0.30
(8)香料 0.06
(9)カンフル 0.08
(10)メントール 0.40
(11)ヒノキチオール 0.01
(12)ジメチコンポリオール 0.50
(13)センブリエキス 0.01
(14)ショウキョウエキス 0.01
(15)(A)成分 5.00
(16)(B)成分 5.00
合計 100.00
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の頭皮外用剤は、優れた活性酸素消去作用およびカルボニルタンパクの生成抑制効果を有しており、薄毛予防として有効であるため、産業上の利用可能性が非常に高い。
図1
図2
図3
図4
図5