(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薫香台の前記第1の難燃性シートおよび前記第2の難燃性シートは、カーボンシート、カーボンファイバーシート、カーボンフェルト、フッ素ゴムシート、および/または、岩綿であり、
前記薫香台の前記第1の難燃性シートおよび前記第2の難燃性シートの所定厚さは、2.0〜5.0mmである請求項2に記載の複数の線香の連続薫香装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本出願人は、種々の実験を繰り返し、直線状の線香を溝にそれぞれ配置し、線香の端部同士が重なるようにするだけでは、安定して、複数本の直線状の線香を連続薫香することが出来ない、という知見を得た。すなわち、本出願人は、たとえば、四角形状に形成された溝の底に、直線状の線香を1本目、2本目、3本目と連続的に90度ずつずらして重ねて水平に置き、連続して薫香する実験を繰り返したが、以下のような問題を見いだしたのである。
【0006】
まず、単に線香を重ねるだけでは、線香同士の接触面積は限られたものとなり、1本目の線香の燃焼が終了する末端部において、次の2本目の線香に燃焼が移らず(2本目の線香に着火せず)、2本目の線香を連続的に燃焼させることが出来ない場合があった。
【0007】
次に、本出願人は、このような問題を、2本目の線香を着火させるための「熱エネルギ不足」という観点で捉え、線香の互いの接触部分での熱エネルギ伝達の増大を図るために、1つ目の溝に3本の線香、2つ目の溝に2本の線香、3つ目の溝に1本の線香など、線香の本数を増やして、種々の実験を行った。ところが、線香の本数が1本のときよりは、連続的に燃焼させることができる割合は増えたものの、例えば、3本の線香を互いにきっちり接触させなければ、次の線香の着火に失敗する場合があり、結果的に、連続薫香できない場合があった。そして、このような複数本の薫香では、手間と時間もかかり、なにより、線香の煙の量が多すぎるという問題があった。
【0008】
ここで、線香の燃焼は、一般に、火炎燃焼とは異なる無炎燃焼(燻焼)として知られ、本出願人は、その無炎燃焼に必要な熱エネルギは、可燃性の線香の表面の材料を熱分解させ、外部空気と接触させて酸化反応を起こすための熱エネルギであることに着目した。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数の直線状の線香を安定して連続薫香することができる複数の線香の連続薫香装置およびその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の線香の連続薫香装置であって、少なくとも2本の直線状の線香と、一方の線香の熱エネルギにより燃焼して、その一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体と、少なくとも2本の直線状の線香を載置するための載置部を有する薫香台と、この薫香台を収容する香炉容器と、を備え、薫香台は、香炉容器の底面から上方に離間した状態で載置部を保持するための支持部を備え、薫香台の載置部には、メッシュ状の金網体で形成され、少なくとも2本の直線状の線香を保持可能な少なくとも2本の溝部が形成され、薫香台の載置部に形成された少なくとも2本の溝部は、互いに接続される接続部を有すると共に、接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が互いに接触するよう少なくとも2本の直線状の線香を載置可能に形成され、連続薫香装置は、少なくとも2本の溝部の接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、粉末体を載せて、少なくとも2本の線香を連続的に薫香することができるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明の複数の線香の連続薫香装置によれば、少なくとも2本の線香の一方の線香において、線香が互いに接触する末端部と反対側の端部(粉末体を載せない端部)に点火すれば、複数の直線状の線香を安定して連続して薫香することができる。ここで、理論上は、無炎燃焼している一方の線香の熱エネルギと同等の熱エネルギが他方の線香に伝達されれば、他方の線香は着火するが、実際には、接触している部分で少なからず熱エネルギロスが生じる。これに対し本発明では、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体を載せることができるので、より確実に、他方の線香を着火させることができ、その結果、複数の線香を連続薫香することができる。
【0012】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、複数の線香の連続薫香装置であって、少なくとも2本の直線状の線香と、一方の線香の熱エネルギにより燃焼して、その一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体と、少なくとも2本の直線状の線香を載置するため載置部を有する薫香台と、この薫香台を収容する香炉容器と、を備え、薫香台は、香炉容器の底面に置かれる所定厚さの第1の難燃性シートと、この第1の難燃性シートの上面に重ねられる所定厚さの第2の難燃性シートとを有し、薫香台の第1の難燃性および第2の難燃性シートは、通気性を有し、薫香台の第2の難燃性シートには、厚さ方向に貫通した少なくとも2本の直線状部分が形成され、薫香台は、その載置部に、第2の難燃性シートの少なくとも2本の直線状部分によって少なくとも2本の直線状の線香を保持可能な少なくとも2本の溝部が形成されるように、第2の難燃性シートが第1の難燃性シートに重ねられて構成され、薫香台の載置部に形成された少なくとも2本の溝部は、互いに接続される接続部を有すると共に、接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が互いに接触するよう少なくとも2本の直線状の線香を載置可能に形成され、連続薫香装置は、少なくとも2本の溝部の接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、粉末体を載せて、少なくとも2本の線香を連続的に薫香することができるように構成されていることを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明の複数の線香の連続薫香装置によれば、少なくとも2本の線香の一方の線香において、線香が互いに接触する末端部と反対側の端部(粉末体を載せない端部)に点火すれば、複数の直線状の線香を安定して連続して薫香することができる。ここで、理論上は、無炎燃焼している一方の線香の熱エネルギと同等の熱エネルギが他方の線香に伝達されれば、他方の線香は着火するが、実際には、接触している部分で少なからず熱エネルギロスが生じる。これに対し本発明では、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体を載せることができるので、より確実に、他方の線香を着火させることができ、その結果、複数の線香を連続薫香することができる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、薫香台の第1の難燃性シートおよび第2の難燃性シートは、カーボンシート、カーボンファイバーシート、カーボンフェルト、フッ素ゴムシート、および/または、岩綿であり、薫香台の第1の難燃性シートおよび第2の難燃性シートの所定厚さは、2.0〜5.0mmである。
このように構成された本発明によれば、より容易に、複数の線香を連続薫香するための薫香台を形成することができる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、粉末体は消し炭粉末炭を含む粉末炭、及び/又は、粉香である。
このように構成された本発明によれば、燃焼しやすい粉末体により、効率良く、熱エネルギを増大して伝達可能である。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、直線状の線香の直径が1.7〜5.0mmの場合、粉末体の分量は15.0〜25.0mm
3であり、直線状の線香の直径が5.0〜7.0mmの場合、粉末体の分量は25.0〜30.0mm
3である。
このように構成された本発明によれば、より確実に、熱エネルギを増大して伝達可能である。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、薫香台の載置部の少なくとも2本の溝部は、平面視で、4本の溝部で形成された四角形状の溝部、または、3本の溝部で形成されたコの字状の溝部であり、薫香台の載置部に形成された少なくとも2本の溝部の溝幅は、3mm〜10mmである。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、香炉は、香炉容器を内部に収容する香炉本体を更に備える。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、複数の線香の連続薫香方法であって、互いに接続される接続部を有する少なくとも2本の溝部が形成された載置部を有する薫香台と、この薫香台を収容する香炉容器と、を備える香炉を用いて、複数の線香を連続薫香する方法において、少なくとも2本の直線状の線香を、薫香台の載置部に形成された少なくとも2本の溝部にそれぞれ載置すると共に、それらの溝部の接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触するように載置し、薫香台に形成された少なくとも2本の溝部の接続部において、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、一方の線香の熱エネルギにより燃焼して、その一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体を載せ、少なくとも2本の線香の一方の線香の端部で点火することにより、少なくとも2本の線香を連続的に薫香することを特徴としている。
【0020】
このように構成された本発明の複数の線香の連続薫香方法によれば、複数の直線状の線香を安定して連続して薫香することができる。ここで、理論上は、無炎燃焼している一方の線香の熱エネルギと同等の熱エネルギが他方の線香に伝達されれば、他方の線香は着火するが、実際には、接触している部分で少なからず熱エネルギロスが生じる。これに対し本発明では、少なくとも2本の直線状の線香の末端部が接触する部分に、一方の線香の熱エネルギにより燃焼して、その一方の線香の熱エネルギを増大して他方の線香に伝えるための粉末体を載せるようにしているので、より確実に、他方の線香を着火させることができ、その結果、複数の線香を連続薫香することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の複数の線香の連続薫香装置およびその方法によれば、複数の直線状の線香を安定して連続薫香することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
先ず、
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置の構成を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態および第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法に用いられる香炉の外観図であり、
図2は、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその方法に用いられる香炉の部分断面図であり、
図3は、本発明の第1実施形態による香炉内に配置された薫香台の外観図であり、
図4は、本発明の第1実施形態による香炉の薫香台を形成する金網体の拡大図であり、
図5は、本発明の第1実施形態による香炉の薫香台に形成された溝部の断面の説明図である。
【0024】
まず、
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態および後述する第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置は、香炉1を有し、この香炉1は、凹部を有する有底円筒状の香炉本体10と、香炉本体10の内部に配置された同じく有底円筒状の香炉容器20と、香炉容器20内に配置された薫香台30と、香炉本体10の上部開口を開閉自在な本体蓋40と、香炉容器20の上部開口を密閉して閉じる容器蓋50とを備えている。なお、香炉1は、柄香炉であってもよい。
【0025】
香炉本体10は、好ましくは難燃性材料(例えば、陶磁器,石,琺瑯,難燃性合成樹脂,金属等)で形成されており、平面視で略円形の底部11と、底部11から上方へ立ち上がる側壁12と、底部11を支持する台座部13とを有する。側壁12には、複数の通気孔14が設けられており、薫香中に香炉本体10内へ外部空気を取り入れ、香炉容器20内で燃焼する香へ空気を供給するように構成されている。なお、通気孔14は、香炉本体10の底部11に設けてもよい。
【0026】
また、薫香中、本体蓋40により香炉本体10の上部開口を閉じてもよく、この場合、本体蓋40に設けられた複数の通気孔41を通して香炉本体10の内部から外部へ煙が放出される。
【0027】
香炉容器20は、香炉本体10と同じく、好ましくは難燃性材料(例えば、陶磁器,石,琺瑯,難燃性合成樹脂、金属等)で形成されている。なお、金属で形成する場合には香の立ち消えを防止するため、表面に耐熱塗料等を塗布して熱伝導率を低くすることが好ましい。香炉容器20は、平面視で略円形の底部21と、底部21から上方へ立ち上がる側壁22とを有している。
【0028】
また、香炉容器20は、図示しない磁石により、香炉本体10の底部11に着脱自在に固定されており、クリーニング時に香炉容器20を香炉本体10から取り外すことができる。
【0029】
なお、空気の取り込みを促進して燃焼効率を向上させるため、香炉容器20の側壁にも1つ又は複数の通気孔を設けてもよい。この場合、この通気孔から薫香中に香炉容器20の内部に空気を供給することができる。また、この通気孔を薫香中又は薫香後に使用しない場合には、着脱自在な任意形状の密閉栓で閉じるようにすると好適である。
【0030】
薫香台30は、
図3に示すように、難燃性線材からなるメッシュ状の金網体36により形成された部材であり、香を配置するための平面視で略円形の載置部31と、載置部31の周縁部から下方へ延びる略円筒状の支持部35とを有する。香炉容器20は、内部に薫香台30を収納したとき、支持部35の下端部が香炉容器20の底部21の底面23と当接し、載置部31を香炉容器20の底面23から離間した状態で薫香台30を支持するように構成されている。
【0031】
なお、上述した実施形態の香炉1では、香炉容器20,薫香台30等が平面視で略円形の外形を有しているが、これに限らず、変形例として、平面視で他の任意の形状、例えば矩形(正方形等)の外形を有していてもよい。
【0032】
次に、載置部31に形成された溝部33の構成について説明する。
図2などに示すように、載置部31には、断面円形の直線状(棒状)の線香Aを載置するための溝部33が形成されている。
溝部33は、
図3に示すように、4本の直線状の溝が四角形状(ロの字状)となるように配置/形成され、各直線状の溝の各端部が、隣の溝との接続部となっている。また、
図5に示すように、溝部33は、溝部33内に線香Aを載置することが可能な大きさに形成されており、本実施形態では、溝部33は、幅5mm、深さ5mmに形成されている。
【0033】
ここで、線香Aの直径は、好ましくは、1.7〜5.0mm、より好ましくは、1.7〜2.0mmである。あるいは、直径が5.0〜7.0mmの直径の線香Aを用いてもよい。
このような直径の線香Aを載置する際に、溝部33の幅及び深さは任意の寸法が可能であるが、線香Aの載置のしやすさや燃焼効率などを考慮すると、溝部33の幅及び深さは3mm〜10mmに設定することが好ましい。
【0034】
次に、金網体36の構成について説明する。
金網体36は、
図4に示すように、線径dの線材37(ステンレス鋼等)を平織や綾織等でメッシュ状に形成したものである。
ここで、線径dは、適切な強度と開孔率のバランスを保ちつつ、線香Aの立ち消えを防止するため、および、後述する粉末炭Bのこぼれ落ちを防止するため、0.05mm〜0.1mmが好ましい。また、線材32をステンレス鋼とすれば、目詰まりした灰を除去するため薫香台30を水洗浄した際に、薫香台30の錆びを抑制することができる。
【0035】
また、線材間の距離である目開きEが大き過ぎると網目から粉末炭Bがこぼれ落ちて連続薫香(連続燃焼)ができなくなる恐れがあり、逆に目開きEが小さ過ぎると通気性が低下し網目を通過する空気供給量が少なくなるので燃焼効率が低下して線香Aが立ち消えを起こし易くなる。したがって、目開きEは、0.08mm〜0.2mmであることが好ましい。例えば、線径dを0.1mm、目開きEを0.1mmとした場合、1cm当たりのメッシュ数は50となる。
なお、本実施形態では、薫香台30の載置部31及び支持部35が金網体36により形成されているが、少なくとも載置部31の溝部33が金網体36で形成されていればよい。
【0036】
次に、線香A同士の接触部に載せる粉末炭Bの分量について説明する。
まず、粉末炭Bには、第1に、無炎燃焼中の線香Aの熱エネルギを、接触している次の線香Aに有効かつ確実に伝達し、そのため、第2に、粉末炭B自身が熱エネルギを増大して伝達するための延焼用の火種となるよう燃焼しやすく、結果として、第3に、接触している2本の線香Aの間に熱エネルギ伝達体/熱エネルギ増大体としての機能が求められる。
このような粉末炭Bの分量は、このような機能を果たすために必要な分量である。目分量としては、たとえば、1本目の線香Aと、2本目の線香Aとの接触部の上に山なりになり、各線香Aの両端部が隠れるような分量が好ましい。なお、粉末炭Bの分量は、次の線香Aへの着火の度合いを観察して、線香Aの種類、季節、気温などによって調整する必要がある。
粉末炭Bの分量の具体的な数値としては、用いる粉末炭Bの種類にもよるが、たとえば、線香Aの直径が、1.7〜2.0mmの場合は、15.0〜25.0mm
3が好ましく、これは、線香Aの直径が1.7〜5.0mmの場合も同様である。また、粉末炭Bの分量は、線香Aの直径が、5.0〜7.0mmの場合は、25.0〜30.0mm
3が好ましい。
【0037】
ここで、粉末炭Bの平均粒径が大き過ぎると、メッシュの間からこぼれ落ちにくくはなるが、粒子間距離又は粒子間の空気量が大きくなり過ぎるため燃焼が難しくなり、逆に粉末炭Bの平均粒径が小さ過ぎると、空気に離散してしまう等の取扱いの困難さが生じて、良好な燃焼が困難になる。したがって、粉末炭Bの平均粒径は、0.05mm〜0.1mmであることが好ましい。
【0038】
次に、上述した第1実施形態の香炉を用いた複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明する。
まず、
図6乃至
図8により、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明する。
図6は、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す概念図であり、
図7は、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す平面図であり、
図8は、本発明の第1実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す
図7のVIII-VIIIに沿って見た断面図である。なお、
図6では、理解の容易のため、溝部33を破線で示している。
【0039】
図6〜
図8に示すように、第1実施形態では、溝部33の3つの辺にそれぞれ線香Aが載置/配置されている。本実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその方法では、初めに図中奥側の溝部33に1本目の線香A1が配置され、次に右側の溝部33に2本目の線香A2が配置され、最後に手前側の溝部33に3本目の線香A3が配置される。このとき、溝部33の2カ所の接続部33aにおいて、線香A1の末端部の上に線香A2の末端部が重なるように置かれ、線香A2の末端部の上に線香A3の末端部が重なるように置かれる。
【0040】
次に、本実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその方法では、溝部33の接続部33aにおける線香Aの端部同士が重なる部分に、粉末炭B1、B2が載せられる。粉末炭B1、B2の好ましい分量は、上述した通りであり、粉末炭B1、B2が火種となり、たとえば、無炎燃焼している線香A1から次の線香A2へと熱エネルギを伝達/増大し、線香A2が着火するために必要な量であればよい。例えば、図示するように、粉末炭B1、B2の分量は、線香A1と線香A2、線香A2と線香A3とのそれぞれの接触部の上に山なりになり、各線香Aの両端部が隠れる量である。
【0041】
ここで、線香の燃焼は、火炎燃焼とは異なる無炎燃焼(燻焼)であり、その無炎燃焼に必要な熱エネルギは、可燃性の線香の表面の材料を熱分解させ、外部空気と接触させて酸化反応を起こすための熱エネルギである。本実施形態では、無炎燃焼している一方の線香において、特に、その線香の表面の材料が外部空気と触れて酸化反応しているので、その線香の表面の材料に粉末炭B1、B2を接触させることで、熱エネルギを受け取ると共に自ら燃焼(無炎燃焼/火炎燃焼)させることができる。従って、このような粉末炭B1、B2を用いることで、他方の線香に熱エネルギを確実に伝達(増大して伝達)することができ、それにより、他方の線香の表面の材料を確実に燃焼(着火)させて、無炎燃焼させることができるのである。
【0042】
図6〜
図8に示す実施形態では、たとえば、線香A1の他の線香と接触しない自由端部に点火すると、線香A1が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼(無炎燃焼)が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。その後も同様に、線香A2が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。なお、最初に、線香A3の自由端部に点火するようにしてもよい。
【0043】
この各線香Aの燃焼の際、溝部33が金網体で形成されているので、線香Aには周囲から空気が供給されると共に、線香Aの燃焼熱が金網体に放散し難いので、線香Aは立ち消えすることなく延焼可能である。
【0044】
本実施形態では、3本の線香Aを連続するように配置しており、1本の線香Aの薫香時間の約3倍の薫香時間となる。また、溝部33に配置する線香Aの本数の調整により、薫香時間を調整することができる。
図6および
図7に示すように、溝33は4本あるので、最大4本まで用いることもできる。さらに、
図6〜
図8の例では、線香Aを立てることなく、溝部33内に線香Aを寝かせて配置(載置)しているので、線香Aが倒れて立ち消えすることがなく、また、薫香中に香炉1を移動させても、線香Aを溝部33内に保持することができる。
【0045】
また、複数の線香Aの薫香中、香炉本体10の通気孔14や本体蓋40の通気孔41を通して、外部から香炉本体10の内部に空気が流入し、香炉容器20の上面開口(設けられている場合には、側壁の通気孔)を通して、香炉容器20の内部へも空気が流入する。そして、この空気は、溝部33の上側から線香Aに供給される。さらに、香炉容器20内に薫香台30が収容された状態では、溝部33と香炉容器20の底部21とは離間し、両者の間には空間が存在する。よって、香炉容器20の内部へ流入した空気は、この空間から金網体36で形成され通気性を有する溝部33の側面及び底面を通して線香Aに供給される。これにより、線香Aに十分な空気を供給し、燃焼効率を向上させることができる。粉末炭Bにも、同様に空気が良好に供給される。
【0046】
なお、薫香を中断する場合には、香炉容器20を容器蓋50で閉じることにより、空気供給を遮断して、燃焼中の線香A(粉末炭B)を窒息消火することができる。
【0047】
次に、
図9乃至
図11により、本発明の第1実施形態の変形例による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明する。
図9は、本発明の第1実施形態の変形例による香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す概念図であり、
図10は、本発明の第1実施形態の変形例による香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す平面図であり、
図11は、本発明の第1実施形態の変形例による香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す
図10のXI-XI線に沿って見た断面図である。なお、
図9では、理解の容易のため、溝部33を破線で示している。以下では、主に、上述した第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の事項の説明を省略する。
【0048】
図9〜
図11に示すように、この変形例では、第1実施形態と異なり、図中奥側の溝部33の線香A1の末端が線香A2の末端部の側部に接触するよう配置され、右側の溝部33の線香A2の末端が線香A3の末端部の側部に接触するよう配置される。
【0049】
次に、この変形例による複数の線香の連続薫香装置においても、第1実施形態と同様に、溝部33の接続部33aにおける線香Aの端部同士が接触する部分に、粉末炭B1、B2が載せられる。
図9〜
図11に示す変形例では、たとえば、線香A1の他の線香と接触しない自由端部に点火すると、線香A1が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼(無炎燃焼)が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。その後も同様に、線香A2が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。
【0050】
また、さらなる変形例として、図示は省略するが、第1実施形態(
図6〜
図8)のように、一方の線香Aの末端部の上に他方の線香Aの末端部を載せる場合と、第2実施形態(
図9〜
図11)のように、一方の線香Aの末端を他方の線香Aの末端部の側部に接触させる場合との両方を含むように、線香Aを載置してもよい。また、
図6などの溝部33が4本の例では、線香Aの本数を2本〜4本までの間で、適宜選択して、薫香時間を調整してもよい。
【0051】
次に、粉末炭Bの材料の選択および製造方法を説明する。
まず、粉末炭Bは、木炭や焼香炭等の炭原料を石臼や製粉機を用いて粉末状にし、篩にかけて所定粒径のものを選別することにより製造することができる。この熱エネルギ伝達のための粉末体としての粉末炭Bとしては、消し炭を粉末化したもの(以下、消し炭粉末炭という)が好ましい。すなわち、消し炭粉末炭は、それ自体燃焼しやすいので、効率良く、熱エネルギを伝達可能である。
【0052】
消し炭の粉末化の方法は、たとえば、薪を燃やした後の真っ赤に焼け、煙の出なくなった薪を所定の容器(壺など)に入れ、蓋をして密封し、空気を入れずに完全に消火させてから容器から取り出し、石臼や製粉機を使用して粉末化し、篩にかけて所定の粒径のものを選別することにより製造することができる。なお、完全消火には最低3日の時間をとるのが好ましく、また、大きめの薪では芯に残り火があることに注意すべきである。なお、消し炭粉末炭は、薪を焚く業種の職人などに依頼して製造することも可能である。なお、いわゆるカイロの桐灰もよいが、現在では、入手が困難となっている。また、市販の木炭は、同様の手法で粉末化しても、硬度が高くて燃焼しにくい場合がある。
【0053】
また、粉末炭Bの代わりに、または、粉末炭Bと混合させて、粉香(粉末香)を用いていてもよい。粉香は、木材粉末香ともいう。木材粉末香は、木材、根、葉を粉末にして作った香であり、木材として、杉、松、楠など多くの香が存在する。また、市販の抹香、線香、円錐香等を香原料として用いてもよい。また、所定粒径の塗香を粉香として用いることができる。
【0054】
なお、タブの木の粉末は、沈香、白檀、フランキンセンスなどの粉香や樹脂香と混合して薫香できるが、線香の連続薫香のための熱エネルギ伝達の粉末体として使用する場合は、煙が無臭ではないので、熱エネルギを伝達する際、線香の香りと混じってしまい、線香の香りを損なう場合もある。
【0055】
なお、市販の香には、それ自体だけでは燃焼し難いものもある。例えば、沈香や、樹木の液を乾燥させ固形化した樹脂香は、それ自体では燃焼し難い。このため、このようなそれ自体では燃焼し難い香を、熱エネルギ伝達のための粉末体として用いる場合には、粉末炭Bを混合させるのがよい。即ち、粉末香に粉末炭を混合することにより、燃焼し易さが増し、薫香中の立ち消えを起こし難くすることができる。また、季節、外気温、湿度等の環境条件に応じて、粉末炭の混合比率を変更してもよい。
【0056】
なお、熱エネルギ伝達のための粉末体としての粉末炭Bとしては、着火のし易さ向上やより効率良い燃焼のため、より軟質の炭原料が好ましい。また、硬質と軟質の炭原料を適宜の割合で混合することにより、着火のし易さと燃焼効率を調整することも可能である。硬質から軟質の炭原料を順に列挙すると、例えば、備長炭、樫炭、楢炭、竹炭、雑木炭、消し炭である。
【0057】
次に、粉末炭Bを線香A同士の接触部に載せる手法の一例を説明する。
粉末炭Bを線香A同士の接触部(線香Aの両末端部)に盛る手法としては、たとえば、耳かき程度の大きさの小さなスプーンで、一回ずつ、線香の両末端部の上に山ができるように載せる。
また、粉末炭Bをスポイトや油差し壺などの器具に入れ、それらの器具の先端のパイプを下方に向けて、空気と共に、線香の両末端部の上に吹き出し、山状に盛るようにしてもよい。
【0058】
次に、
図12および
図13により、本実施形態の溝部の変形例を説明する。
図12は、本発明の第1実施形態の変形例による溝部形状を示す断面図であり、
図13は、本発明の第1実施形態の変形例による溝部の本数および変形例による溝部の平面形状を示す薫香台の平面図である。
上述した実施形態では、
図5に示すように、溝部33の断面が矩形(略正方形)であったが、これに限らず、
図12に示すように構成してもよい。例えば、
図12(A)に示すように、載置部31に断面略半円形の溝部33Aを形成してもよく、
図12(B)に示すように、断面略V字の溝部33Bを形成してもよく、
図12(C)に示すように、複数段の断面を有する溝部33Cを形成してもよい。これらは、溝部への線香Aの載置のし易さや粉末炭Bの載せやすさ等に応じて適宜に設定することができる。
【0059】
また、上述した実施形態では、
図3に示すように、溝部33が、平面視で、4本の溝が接続された四角形状の形状に形成されているが、これに限らず、
図13に示すように形成してもよい。例えば、溝部を、
図13(A)に示すように、3本の溝により構成され、2カ所に接続部を有するコの字状の形状に形成してもよい。また、コの字状の角度を変形させた形状(
図13(B)参照)、3本の溝により構成される三角形状(
図9(C)参照)、2本の溝により構成されるV字形状(
図9(D))、4本の溝により構成されるW形状(
図9(E)参照)などでもよい。
また、
図13(F)に示すような多角螺旋状では、線香の長さを適宜調整しつつ、たとえば5本以上の溝により、連続薫香を行ってもよい。
図13に示す変形例では、いずれも、それぞれの溝の本数に応じた線香の本数を載置して、薫香時間を調整することができる。
【0060】
次に、
図14〜
図18を参照して、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置の構成を説明する。
図14は、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその方法に用いられる香炉の部分断面図であり、
図15は、本発明の第2実施形態による香炉内に配置された薫香台の外観図であり、
図16は、本発明の第2実施形態による香炉内に配置された薫香台の第1の難燃性シートを単体で示す斜視図であり、
図17は、本発明の第2実施形態による香炉内に配置された薫香台の第2の難燃性シートを単体で示す斜視図(a)およびそのb-b線に沿って見た断面図(b)であり、
図18は、本発明の第2実施形態による香炉の薫香台に形成された溝部の断面の説明図である。
以下では、上述した第1実施形態およびその変形例と同一の構成については、その説明を省略し、主に、上述した第1実施形態およびその変形例と異なる点について説明する。
【0061】
まず、
図14および
図15に示すように、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置では、有底円筒状の香炉容器20の底面23に、図示するような薫香台60が載せられる。この薫香台60には、第1実施形態と同様に、載置部61および溝部63が形成されている。
【0062】
図14〜
図18により、第2実施形態における薫香台60について説明する。
まず、
図15および
図16に示すように、薫香台60は、第1の難燃性シート70を有する。
この第1の難燃性シート70は、たとえば、カーボンシート、カーボンファイバーシート、カーボンフェルト、フッ素ゴムシート、または、ロックウールと呼ばれる岩綿などの難燃性の素材かつ通気性を有する素材のシートで形成されている。
このシート70は、香炉容器20の底面23の大きさおよび形状に合わせた大きさおよび形状となっている。このようなシート70は、たとえば、市販のカーボンシートなどを、手持ち式のカッターやコンパスカッター(サークルカッター)などで切り取り、あるいは、打ち抜きダイなどで打ち抜くことで比較的容易に作ることができる。
シート70の厚さは、たとえば、2.0〜5.0mmである。
【0063】
次に、
図15および
図17に示すように、薫香台60は、第2の難燃性シート72を有する。
この第2の難燃性シート72も、第1の難燃性シート70と同様に、たとえば、カーボンシートなどの難燃性の素材かつ通気性を有する素材のシートで形成されている。このシート72は、基本的に、第1の難燃性シート70と同じ大きさおよび形状に、切り取られ、あるいは、打ち抜かれて作られる。
また、シート72の厚さは、たとえば、2.0〜5.0mmである。
【0064】
この第2の難燃性シート72には、上述した第1実施形態の溝部33と同様の長さおよび形状の切り抜き部74が形成されている。この第2実施形態では、切り抜き部74は、平面視でコの字状に形成されている。この切り抜き部74は、手持ち式のカッターなどで切り取り、あるいは、打ち抜きダイなどで打ち抜くことで比較的容易に形成することができる。
【0065】
そして、
図15に示すように、第1の難燃性シート70の上面70a(
図16参照)に、第2の難燃性シート72の下面72b(
図17参照)が重なるように、第2のシート72が第1のシート70上に置かれて、薫香台60が構成される。
図14および
図18に示すように、この第2実施形態の薫香台60では、第2のシート72に形成された、平面視でコの字状かつ断面視で矩形状の切り抜き部74と、第1のシート70の上面70aとにより、第1実施形態と同様の溝部63が形成されるようになっている。
また、
図14および
図15に示すように、第2のシート72の上面72a(
図17参照)が、薫香台60の載置部61となる。
そして、薫香台60の下面、すなわち、第1のシート70の下面70b(
図16参照)が、
図14に示すように香炉容器20の底面23に接するように置かれて、薫香台30が香炉容器20内に配置される。このような薫香台30により、以下に説明する連続薫香が可能となる。
【0066】
なお、
図14〜
図18に示す例では、第1のシート70および第2のシート72の厚さは、いずれも、5mmであり、これにより、溝部63は深さ5mmに形成され、また、溝幅は5mmに形成されている。第1実施形態と同様に、溝部63の幅及び深さは3mm〜10mmに設定することが好ましい。
このような溝部63に、第1実施形態と同様に、断面円形の直線状(棒状)の線香Aが載置されると共に、各直線状の溝部63の各端部(隣の溝との接続部)に、粉末炭Bが載せられる。
【0067】
次に、
図19〜
図21により、上述した第2実施形態の香炉を用いた複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明する。
図19は、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す概念図であり、
図20は、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す平面図であり、
図21は、本発明の第2実施形態による複数の線香の連続薫香装置およびその連続薫香方法を説明するための香炉の薫香台の溝部への線香Aおよび粉末炭Bの載置状態を示す
図20のXXI-XXI線に沿って見た断面図である。なお、
図19では、理解の容易のため、溝部63を破線で示している。
【0068】
まず、この第2実施形態における香炉1では、上述したように、第1のシート70に第2のシート72を載せて薫香台60を構成した後に、この薫香台60を香炉容器20の底部21(底面23)に載せるようにしてもよいし、あるいは、第1のシート70を香炉容器20の底部21(底面23)に載せた後に、第2のシート72を第1のシート70に載せて、薫香台60を構成するようにしてもよい。
【0069】
そして、
図19〜
図21に示すように、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、溝部63の(コの字状の)3つの辺に、たとえば、初めに図中奥側の溝部63に1本目の線香A1が配置され、次に右側の溝部63に2本目の線香A2が配置され、最後に手前側の溝部63に3本目の線香A3が配置される。
図19〜
図21の例では、溝部63の2カ所の接続部63aにおいて、線香A1の末端部の上に線香A2の末端部が重なるように置かれ、線香A2の末端部の上に線香A3の末端部が重なるように置かれる。なお、上述した第1実施形態の変形例(
図9〜
図11)のように、線香Aの互いの末端部が接するように載置してもよい。
【0070】
そして、第1実施形態と同様に、溝部63の接続部63aにおける線香Aの端部同士が重なる部分/接する部分に、粉末炭B1、B2が載せられる。粉末炭B1、B2の機能および好ましい分量は、第1実施形態と同様である。
【0071】
図19〜
図21に示す第2実施形態では、たとえば、線香A1の他の線香と接触しない自由端部に点火すると、線香A1が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼(無炎燃焼)が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。その後も同様に、線香A2が、その長手方向に沿って延焼していき、その燃焼が粉末炭B1の部分に届くと、粉末炭B1が燃焼して、次の線香A2の着火に必要な熱エネルギを増大して伝達する。
【0072】
この各線香Aの燃焼の際、第1の難燃性シート70および第2の難燃性シート72がいずれも通気性のある素材で形成されているので、線香Aには周囲から空気が供給されることにより、線香Aは立ち消えすることなく延焼可能である。
【0073】
次に、
図22により、第2実施形態の溝部の変形例を説明する。
上述した第2実施形態では、
図18に示すように、溝部63の断面が矩形(略正方形)であったが、これに限らず、
図22に示すように構成してもよい。例えば、
図22(A)に示す例では、第2のシート72の切り抜き部74を断面台形状に切り抜いて、載置部31に断面の断面台形状の溝部63Aを形成してもよく、
図22(B)に示すように、切り抜き部74を階段状(この例では2段であるが、3段以上であってもよい)に切り抜いて、断面階段状の溝部63Bを形成してもよい。なお、
図22(b)では、線香Aが、階段状の階段の部分に載るようにして、線香Aへのより確実な空気の供給を行うようにしているが、これに限らず、線香Aの径や溝の大きさに応じて、溝部63Bの底面に載るようにしてもよい。これらのような変形例は、溝部への線香Aの載置のし易さや粉末炭Bの載せやすさ等に応じて適宜に設定することができる。
【0074】
また、上述した第2実施形態では、
図15に示すように、溝部63が、平面視で、3本の溝が接続されたコの字状の形状に形成されているが、これに限らず、上述した第1実施形態(
図3など)のように溝部を四角形状(ロの字状)に形成するようにしてもよい。なお、この変形例では、ロの字状の中央側の部分が、外側の部分に対して分離されるので、この場合は、第1のシート70の上面70aに、そのロの字状の中央側の部分(72)および外側の部分(72)を、ぞれぞれ、上述した溝幅が形成されるように置くようにしてもよいし、ロの字状の中央側の部分(72)および外側の部分(72)との位置関係を規定する治具や固定具を用いてもよい。