特許第6981682号(P6981682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981682
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】立体構造砥石とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/00 20060101AFI20211206BHJP
   B24D 11/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B24D3/00 310F
   B24D3/00 340
   B24D11/00 M
   B24D11/00 Q
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-546692(P2019-546692)
(86)(22)【出願日】2018年10月1日
(86)【国際出願番号】JP2018036671
(87)【国際公開番号】WO2019069847
(87)【国際公開日】20190411
【審査請求日】2020年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2017-204001(P2017-204001)
(32)【優先日】2017年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398046921
【氏名又は名称】株式会社ナノテム
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】高田 篤
(72)【発明者】
【氏名】石崎 幸三
(72)【発明者】
【氏名】高田 久寿
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 徳郎
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05427566(US,A)
【文献】 特開2008−018532(JP,A)
【文献】 特開2017−154244(JP,A)
【文献】 特表平08−507978(JP,A)
【文献】 特許第147185(JP,C1)
【文献】 実開昭54−130684(JP,U)
【文献】 特開2015−208828(JP,A)
【文献】 特開2002−172563(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0077533(KR,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02184134(EP,A1)
【文献】 特開2004−337986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D3/00−99/00
C09K3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートから構成される立体構造体と、
前記複数のシートに固定され、前記立体構造体の厚さ方向に複数層に配置された複数の砥粒と、から構成される立体構造砥石であって、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の研磨面に対して、垂直方向に延在し、
前記複数の砥粒は、各前記シートの前記研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に配置されており、
前記立体構造体は、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する、
立体構造砥石。
【請求項2】
複数のシートから構成される立体構造体と、
前記複数のシートに固定され、前記立体構造体の厚さ方向に複数層に配置された複数の砥粒と、から構成される立体構造砥石であって、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の研磨面に対して、垂直方向に延在し、
前記複数の砥粒は、各前記シートに等間隔で配置されており、
前記立体構造体は、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する、
立体構造砥石。
【請求項3】
前記立体構造体は、前記複数のシートから構成されたハニカム構造体から構成され、
各前記シートには、複数の開口部が等間隔に形成され、該開口部に前記砥粒が配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体構造砥石。
【請求項4】
各前記シート上の前記砥粒の間隔は、前記砥粒の平均粒径の2〜50倍である、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の立体構造砥石。
【請求項5】
各前記シートは、厚みは10〜1000μmで、樹脂、紙、金属、布のいずれかから構成される、ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の立体構造砥石。
【請求項6】
前記立体構造体の前記貫通孔は、1〜20mmの径を有する、ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の立体構造砥石。
【請求項7】
複数のシートのそれぞれの、研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に砥粒を配置し、
前記砥粒が配置された前記複数のシートから、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する立体構造体を形成し、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の前記研磨面に対して、垂直方向に延在する、
立体構造砥石の製造方法。
【請求項8】
nを3以上の奇数、iを1以上(n−1)/2以下の自然数とし、
n枚のシートそれぞれに研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に砥粒を配置する工程と、
(2・i−1)枚目の前記シートと2・i枚目の前記シートの間を所定間隔で互いに平行な第1のストライプで接着し、(2・i)枚目の前記シートと(2・i+1)枚目の前記シートの間を所定間隔で互いに平行で且つ隣接する2つの第1のストライプの間に位置する第2のストライプで接着することで、前記砥粒が配置されたn枚の前記シートを積層する工程と、
第1の前記シートと第nの前記シートとを引き離すように引っ張ることにより、前記複数のシートの間に貫通孔を有するハニカム構造を有する立体構造体を形成する工程と、
を備え
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の前記研磨面に対して、垂直方向に延在す
ことを特徴とする立体構造砥石の製造方法。
【請求項9】
前記シートに砥粒を配置する工程は、
各前記シートに、前記砥粒の平均粒径の1/4〜3/4の大きさの開口部を、前記砥粒の平均粒径の2〜50倍の間隔で等間隔に形成する工程と、
複数の前記開口部に前記砥粒を配置する工程と、
を備える、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の立体構造砥石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体構造砥石とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被研磨体又は被研削体(以下、被研磨・研削体)を研磨又は研削(以下、研磨・研削)するために研磨シート又は研削シート(以下、単に研磨・研削シート)が使用されている。研磨・研削シートは、シート状の基材と、基材に固着された砥粒とから構成される。
【0003】
研磨・研削シートの性能は、砥粒の性状に大きく左右される。研磨・研削シートの性能を充分に発揮させるためには基材に砥粒がどのような配列で固着されているかという点が重要な因子となる。
【0004】
特に、被研磨・研削体を精密に研磨・研削するためには、砥粒が凝集した状態で基板に固着されたような砥粒の配列は好ましくない。砥粒の凝集があると、研磨・研削シートの表面粗さが不揃いになり、被研磨・研削体の表面に傷が発生するような好ましくない研磨・研削しか達成できないからである。
【0005】
そこで、砥粒の粒径を極力均一なものとして、かつ砥粒が単一の層で固着された砥石が考案されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、この研磨・研削シートは、砥粒の層が単層であるため、寿命が短いという欠点がある。この欠点を補うため、砥粒層を複数層として、砥粒間に気孔を配置し切粉の逃げ場所を構成した砥石が考案されている(特許文献2)。特許文献2に記載の砥粒シートは、複数の砥粒層有し、チップポケットとして働く気孔の気孔率(砥粒層中の気孔の容積比率)は、3〜40%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−80562号公報
【特許文献2】特開2002−166370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとしている課題】
【0008】
特許文献2に記載の砥粒シートは、3〜40%の気孔率を有する。しかしながら、研磨・研削性能を向上するためには、チップポケットをより大きくする必要がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、チップポケットがより大きく、更に、砥粒が複数層に配置された砥石とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の立体構造砥石は、
複数のシートから構成される立体構造体と、
前記複数のシートに固定され、前記立体構造体の厚さ方向に複数層に配置された複数の砥粒と、から構成される立体構造砥石であって、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の研磨面に対して、垂直方向に延在し、
前記複数の砥粒は、各前記シートの前記研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に配置されており、
前記立体構造体は、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第2の立体構造砥石は、
複数のシートから構成される立体構造体と、
前記複数のシートに固定され、前記立体構造体の厚さ方向に複数層に配置された複数の砥粒と、から構成される立体構造砥石であって、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の研磨面に対して、垂直方向に延在し、
前記複数の砥粒は、各前記シートに等間隔で配置されており、
前記立体構造体は、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する。
【0011】
前記立体構造体は、例えば、前記複数のシートから構成されたハニカム構造体から構成され、
各前記シートには、複数の開口部が等間隔に形成され、該開口部に前記砥粒が配置されている。
【0013】
前記シート上の前記砥粒の配置間隔は、例えば、前記砥粒の平均粒径の2〜50倍である。
【0014】
前記シートは、例えば、厚みは10〜1000μmで、樹脂、紙、金属、布のいずれかから構成される。
【0015】
前記立体構造体の前記貫通孔は、例えば、1〜20mmの径を有する。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第1の立体構造砥石の製造方法は、
複数のシートのそれぞれの、研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に砥粒を配置し、
前記砥粒が配置された前記複数のシートから、前記複数のシートの間にチップポケットとして機能する貫通孔を有する立体構造体を形成し、
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の前記研磨面に対して、垂直方向に延在する。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第2の立体構造砥石の製造方法は、
nを3以上の奇数、iを1以上(n−1)/2以下の自然数とし、
n枚のシートそれぞれに研磨面を構成する辺に所定の角度で交差する互いに平行な仮想線上に砥粒を配置する工程と、
(2・i−1)枚目の前記シートと2・i枚目の前記シートの間を所定間隔で互いに平行な第1のストライプで接着し、(2・i)枚目の前記シートと(2・i+1)枚目の前記シートの間を所定間隔で互いに平行で且つ隣接する2つの第1のストライプの間に位置する第2のストライプで接着することで、前記砥粒が配置されたn枚の前記シートを積層する工程と、
第1の前記シートと第nの前記シートとを引き離すように引っ張ることにより、前記シートの間に貫通孔を有するハニカム構造を有する立体構造体を形成する工程と、
を備え
前記シートが構成する壁は、前記立体構造体の前記研磨面に対して、垂直方向に延在する。
【0018】
前記シートに砥粒を配置する工程は、例えば、
各前記シートに、前記砥粒の平均粒径の1/4〜3/4の大きさの開口部を、前記砥粒の平均粒径の2〜50倍の間隔で等間隔に形成する工程と、
複数の前記開口部に砥粒を配置する工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の立体構造砥石によれば、立体構造体に砥粒が配置されているので、砥粒を複数層に配置することが可能となる。また、立体構造体をシートから構成することにより、シート間の部分をチップポケットとして機能させることができ、チップポケットの開口率の大きい砥石が得られる。
また、本発明の立体構造砥石の製造方法によれば、上記効果を得られる立体構造砥石を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る立体構造砥石を示す図である。
図2図1に示す立体構造砥石の研磨・研削面の図である。
図3図1に示す立体構造砥石の基材を構成するシートの配置構造を示す図である。
図4図1に示す立体構造砥石の基材のハニカム構造の中空部の径を説明するための図である。
図5図3に示すシートの構造を示す図である。
図6図3に示すシート上の砥粒の配置を例示する図である。
図7図6に示すシートに固定された砥粒を例示する図である。
図8図1に示す立体構造砥石の製造工程を説明するための図であり、接着代が形成されたシートを例示する平面図である。
図9図1に示す立体構造砥石の製造工程を説明するための図であり、積層されたシートからハニカム構造を形成する工程を例示する図である。
図10図9に示す工程により形成されたハニカム構造体を例示する図である。
図11】周囲に枠体を配置した立体構造砥石の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る立体構造砥石とその製造方法を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る立体構造砥石1は、被研磨体又は被研削体(以下、被研磨・研削体)を研磨又は研削(以下、研磨・研削)するためのものである。立体構造砥石1は、立体的な構造を有し、研磨面又は研削面(以下、研磨・研削面)1aを任意の被研磨・研削体100に押し当てて、被研磨・研削体100を研磨・研削する。被研磨・研削体100は、磁気ディスク基板、シリコンウェーハ、表示装置用ガラス基板やレンズ等の各種被研磨・研削体、機械部品等任意である。尚、図1では、被研磨・研削体100を球体で例示している。
【0022】
立体構造砥石1は、ハニカム構造を有する基材2と基材2に固定された複数の砥粒(図1には図示せず)とから構成される。ハニカム構造を有する基材2は、立体構造体の一例である。
【0023】
基材2は、ハニカム構造を有するハニカム構造体から構成され、その壁は、研磨面又は研削面1aに垂直方向に延在する。なお、研磨・研削面1aをX−Y面、垂直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を設定し、適宜参照する。図2に示すように、この壁に砥粒11が複数個固定されている。砥粒11は、Z方向、即ち、研磨・研削面1aに垂直な方向に複数層配置されている。
【0024】
基材2は、図3に模式的に示すように、複数のシート21の組み合わせから構成され、全体として、ハニカム構造を有する。各シート21がハニカム構造の壁として機能する。ハニカム構造の中空部21aは、基材2の一面(研磨・研削面1a)から他面に至る貫通孔を構成している。ハニカム構造の中空部21aの径Dは1〜20mmに設定される。なお、ハニカム構造の中空部21aの径Dは、図4に例示するように、ハニカム構造を構成する多角形の外接円41の直径Dを言うものとする。また、基材2の高さTは、例えば、1〜30mmである。なお、図4は、ハニカム構造の多角形が正6角形の例を示している。
【0025】
個々のシート21は、例えば、図5に示すように、折り曲げ整形されている。このシート21が、図3に示すように、互い違いに積層されて、且つ、相互に固着されて、ハニカム構造の基材2が形成されている。各シート21の厚みは、例えば、10〜1000μmであり、材質は樹脂、紙、金属、布のいずれでもよい。具体的には、シート21は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂、織布、不織布等の布、紙、アルミニウムなどの金属から形成される。
【0026】
各シート21には、等間隔に規則的に開口部21bが形成されており、図6に示すように、この開口部21bに砥粒11が配置され固定されている。
砥粒11は、例えば、アルミナ、シリカ、ダイヤモンド等の無機研磨材又は研削材の微粒子から構成される。
【0027】
砥粒11は、望ましくは、シート21の研磨・研削面1aを構成する辺(図6では、A−A線)に平行に且つ交差角θが30°〜60°、望ましくは45°となるように配置されることが望ましい。
開口部21bの間隔、即ち、砥粒11の間隔は、砥粒11の平均粒径の2〜50倍とすることが望ましい。なお、砥粒11の粒径とは、砥粒11の外接球の直径に相当する。
【0028】
図7に、図6のA−A線断面で示すように、砥粒11は、シート21の開口部21bに配置され、その周囲に接着層12が形成されている。接着層12は、樹脂等の接着剤の層である。接着層12の上から金属メッキ層を配置してもよい。また、接着層12自体を金属メッキ層とすることも可能である。
【0029】
このように、本実施の形態の立体構造砥石1は、面上に砥粒11が規則的に配置されたシート21(即ち、シート状砥石)から構成されている。立体構造砥石1には、図2に例示する砥粒11が複数積層されている。従って、ハニカム構造の壁部に砥粒が分散される。立体構造砥石1のX−Y断面を研磨・研削面として使用することにより、寿命の長い砥石が得られる。
【0030】
また、砥粒11の間に配置されている中空部21a(換言すれば、シート21の間隙部分)は、研磨・研削時のチップポケットとして機能する貫通孔であり、削り滓をスムーズに排除可能となる。
【0031】
次に、上記構成を有する立体構造砥石1の製造方法の一例を説明する。
まず、用途に合致する砥粒11とシート21を用意する。
次に、シート21に、等間隔に開口部21bを形成する。開口部21bを形成する方法は任意である。例えば、一定の制御機構を有したレーザービームをシート21に断続的に照射することにより開口部21bを形成してよい。また、複数針の上下、左右移動によって開口部21bを形成してもよい。
なお、開口部21bの当初のサイズは、砥粒11の平均粒径の1/4〜3/4、さらに望ましくは1/2程度が望ましい。
【0032】
次に、図6に示すように、砥粒11をシート21に形成した開口部21bにはめ込む。具体的には、開口部21bを形成したシート21を水平方向に展開し、若干緊張させながら振動させ、その上に砥粒11をばらまき、開口部21bに砥粒11をはめ込む。その後、余分な砥粒11を箒等で取り除く。
【0033】
続いて、砥粒11の開口部21bへのはめ込みを確実にするため、例えば、平面板等を用いてシート21を押して、図7に示すように、平均砥粒径の1/2の高さまで押し込む。
続いて、接着剤を砥粒11とシート21とに塗布して接着層12を形成し、図7に示すように、砥粒11をシート21に確実に固定する。
【0034】
次に、砥粒11が固定された複数のシート21を用いて立体構造体を形成する。立体構造体の構造と形成方法自体は任意である。以下では、ハニカム構造の多角形が図4に例示するような正6角形のハニカム構造体を形成する場合を例に説明する。
【0035】
まず、図8に示すように、砥粒11を固定した第1のシート211に、形成予定のハニカム構造の正6角形の1辺の長さL1に相当する幅Waの接着代31を間隔3・Waを空けて平行に形成する(工程1)。
【0036】
第1のシート211の上に、シート211と同一構成の第2のシート212を重ねる。このとき、第2のシート212の接着代31が、第1のシート211の接着代31の中央に位置し、且つ、両シートの接着代31が平行になるように重ねる(工程2)。
以下同様にn枚のシートを図9に示すように重ねる。
【0037】
その後、積層されたシート211〜21nを適当なサイズに切断する。
【0038】
接着代31の接着剤が固化した後、図9に示すように、第1のシート211と第nのシート21nを平行に、積層方向に引っ張って、各シート21を変形する(工程3)。この変形により、各シート21は、図5に例示した形状に整形される。これにより、図10に例示するように、シート211〜21nによるハニカム構造が形成される。このとき、例えば、積層されたシート21nの上面とシート211の下面に枠板を固定し、枠板を引っ張るようにしてもよい。
【0039】
次に、無電界メッキ又は電解メッキを行い、より強固に砥粒11をシート21から構成されるハニカム構造の壁に固着する。砥粒11を電解液中に浸して電解メッキを行うことで、ハニカム構造の壁(シート21)に砥粒11を電着することができる。なお、接着剤等の樹脂で砥粒11をシート21に固定する場合は、メッキ工程を除去してもよい。
【0040】
最後に、図11に示すように、立体構造砥石1の周囲に枠22を配置してもよい。
【0041】
このようにして、Z方向に厚みを持ち、砥粒11の層が積層され、さらに、チップポケットとして機能する中空部21aが積層方向に一面から他面に貫通して形成された立体構造砥石1を製造することができる。
【0042】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、断面が6角形のハニカム構造を例示したが、断面の形状は任意であり、3角形でも、4角形でも、5角形でも、7角形以上でもよい。
また、ハニカム構造の形成手法は任意である。例えば、シート21で形成された筒を組み合わせてハニカム構造を構成することも可能である。
【0043】
また、立体構造砥石1を構成するシート砥石の立体構造体はハニカム構造体に限られない。1枚又は複数のシートを折り紙のように折り込んで立体構造体を形成してもよい。限定されるものではないが、望ましい構成は、i)立体構造体が複数のシートから構成され、ii)複数のシートが研磨・研削面に対して直角方向に延在する成分を有し、iii)複数のシートが空間を介して離間して配置されており、空間がチップポケットとして機能し、iv)各シートに複数の砥粒が固定されており、v)研磨・研削面上に複数層の砥粒が積層されている、という構成である。なお、各シートは、研磨・研削面に直角である必要はなく、研磨・研削面に直角な方向に延在する成分をもてばよい。また、シートに固定された砥粒は、研磨・研削面に直角方向に複数個配置されている、即ち、砥粒層が複数配置されていることが望ましい。
【0044】
なお、立体構造砥石1は、立体構造体の材質・サイズ、砥粒の砥粒の材質及び大きさ、様々な分野の研磨・研削用の砥石に適用可能である。
【0045】
立体構造砥石1が対象物を研磨又は研削する例について説明したが、立体構造砥石1が対象物を研削しつつ研磨する用途、即ち、研磨及び研削する用途にも適用可能である。
【0046】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0047】
本出願は、2017年10月3日に出願された、日本国特許出願特願2017−204001号に基づく。本明細書中に、日本国特許出願特願2017−204001号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0048】
1 立体構造砥石
1a 研磨面又は研削面
11 砥粒
12 接着層
2 基材
21 シート
21a 中空部
21b 開口部
211〜21n シート
22 枠
31 接着代
100 被研磨体又は被研削体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11