(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1,2に開示の積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)は、透湿性および耐水圧に問題が残されていた。
【0005】
本発明が解決しようとする第1の課題は、透湿性に優れた積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。例えば、JIS L 1099(B−1法)に準じて測定された透湿性が約4万(g/m2・24hr)以上の特性の積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする第2の課題は、洗濯が繰り返し行われても、耐水圧の低下が少ない(洗濯耐久性が高い)積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。例えば、JIS L 1092(B法)に準じて測定された20回の洗濯後の耐水圧が約1000(mmH
2O)以上の特性の積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする第3の課題は、環境負荷が小さな積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第4の課題は、ロール状態で長期間に亘って保管されていた場合でも、表面側と裏面側との間で融着(接着)が起き難い(保存安定性に優れた)積層体(透湿防水層と繊維布帛との積層体)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第1,2,3,4の課題は、
透湿防水層と繊維布帛との積層体であって、
前記積層体は下記の要件(1)を満たす
積層体によって解決される。
要件(1)
(a):前記透湿防水層はポリウレタン樹脂とアセチルセルロースとセラミック粒子とを含有する。
(b):前記ポリウレタン樹脂はポリエーテル基を有する。
(c):50質量%≦X1(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記ポリウレタン樹脂の割合)≦70質量%
(d):20質量%≦X2(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記アセチルセルロースの割合)≦45質量%
(e):5質量%≦X3(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記セラミック粒子の割合)≦30質量%
【0010】
前記第1,2,3,4の課題は、
透湿防水層と繊維布帛との積層体であって、
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(2)を更に満たす
積層体によって解決される。
要件(2)
(f):前記透湿防水層は海島構造である。
(g):前記海島構造の海部は前記ポリウレタン樹脂、前記海島構造の島部は前記アセチルセルロースである。
(h):前記セラミック粒子の少なくとも一部は前記海部と前記島部との境界に存在している。
【0011】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体が、好ましくは、下記の要件(3)を更に満たす積層体によって解決される。
要件(3)
(i):7nm≦d1(前記セラミック粒子の直径)≦500nm
【0012】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体が、好ましくは、下記の要件(4)を更に満たす積層体によって解決される。
要件(4)
(j):2μm≦d2(前記島部の直径)≦30μm
【0013】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体が、好ましくは、下記の要件(5)を更に満たす積層体によって解決される。
要件(5)
JIS L 1099(B−1法)に準じて測定された透湿性が4万(g/m
2・24hr)以上
JIS L 1092(B法)に準じて測定された20回の洗濯後の耐水圧が1000(mmH
2O)以上
【0014】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体が、好ましくは、下記の要件(6)を更に満たす積層体によって解決される。
要件(6)
JIS L 1099(B−1法)に準じて測定された透湿性が4万(g/m
2・24hr)以上
JIS L 1092(B法)に準じて測定された20回の洗濯後の耐水圧が1.5万(mmH
2O)以上
【0015】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体であって、好ましくは、前記透湿防水層と前記繊維布帛との間に接着層が存在する積層体によって解決される。
【0016】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体であって、好ましくは、前記透湿防水層と前記繊維布帛との間に接着層が存在しない積層体によって解決される。
【0017】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体であって、好ましくは、50%≦(前記アセチルセルロースの酢化度)≦65%である積層体によって解決される。
【0018】
前記第1,2,3,4の課題は、前記積層体であって、好ましくは、前記セラミックは酸化チタンであり、100nm≦d1(前記酸化チタンの粒子の直径)≦400nmである積層体によって解決される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の積層体は透湿性に優れている。
【0020】
本発明の積層体は、洗濯が繰り返し行われても、耐水圧の低下が少ない(洗濯耐久性が高い)。
【0021】
本発明の積層体は環境負荷が小さい。
【0022】
本発明の積層体は、ロール状態で長期間に亘って保管されていた場合でも、表面側と裏面側との間で融着(接着)が起き難い(保存安定性に優れている)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は積層体である。前記積層体は透湿防水層と繊維布帛との積層体である。前記積層体は下記の要件(1)を満たす。
要件(1)
(a):前記透湿防水層はポリウレタン樹脂とアセチルセルロースとセラミック粒子とを含有する。
(b):前記ポリウレタン樹脂はポリエーテル基を有する。
(c):50質量%≦X1(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記ポリウレタン樹脂の割合)≦70質量%
(d):20質量%≦X2(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記アセチルセルロースの割合)≦45質量%
(e):5質量%≦X3(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計が100質量%であるとした場合において、前記セラミック粒子の割合)≦30質量%
【0025】
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(2)を更に満たす。
要件(2)
(f):前記透湿防水層は海島構造である。
(g):前記海島構造の海部は前記ポリウレタン樹脂、前記海島構造の島部は前記アセチルセルロースである。
(h):前記セラミック粒子の少なくとも一部は前記海部と前記島部との境界に存在している。
【0026】
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(3)を更に満たす。
要件(3)
(i):7nm≦d1(前記セラミック粒子の直径)≦500nm
【0027】
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(4)を更に満たす。
要件(4)
(j):2μm≦d2(前記島部の直径)≦30μm
【0028】
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(5)を更に満たす。
要件(5)
JIS L 1099(B−1法)に準じて測定された透湿性が4万(g/m
2・24hr)以上
JIS L 1092(B法)に準じて測定された20回の洗濯後の耐水圧が1000(mmH
2O)以上
【0029】
前記積層体は、好ましくは、下記の要件(6)を更に満たす。
要件(6)
JIS L 1099(B−1法)に準じて測定された透湿性が4万(g/m
2・24hr)以上
JIS L 1092(B法)に準じて測定された20回の洗濯後の耐水圧が1.5万(mmH
2O)以上
【0030】
前記積層体は、好ましくは、前記透湿防水層と前記繊維布帛との間に接着(接着は粘着の意味合いも包含する。)層が設けられている。前記透湿防水層が塗布によって構成される場合には接着層が無くても済む。
【0031】
前記透湿防水層における前記アセチルセルロースの酢化度Xは、好ましくは、次の通りであった。50%≦X≦65%。より好ましくは53%以上であった。更に好ましくは54%以上であった。より好ましくは61%以下であつた。更に好ましくは56%以下であった。
【0032】
前記透湿防水層におけるセラミック粒子は、好ましくは、酸化チタン粒子であった。前記酸化チタン粒子の直径d1は、好ましくは、次の通りであった。100nm≦d1≦400nm。
【0033】
前記繊維布帛は、天然繊維(例えば、綿、麻など)、再生繊維(レーヨン、キュプラ等のセルロース系繊維)、半合成繊維(アセテート等)、合成繊維(ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等)などが挙げられる。如何なる素材であっても良い。合成繊維の場合には、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。特に、ナイロンは好ましい。前記布帛の組織は、織物、編物、不織布などが挙げられる。好ましくは、織物または編物であった。
【0034】
本発明の積層体が透湿防水層と繊維布帛との二層構成の場合は、前記繊維布帛に、直接、透湿防水層を積層することで得られる。例えば、透湿防水層を構成する材料を含む溶液を塗布する事で得られる。この場合、透湿防水層は、布帛を構成する繊維間に入り込む。従って、透湿防水層が均一な層である旨の要請は難しい。前記透湿防水層の厚さは、好ましくは、約0.1μm以上であった。更に好ましくは約0.5μm以上であった。好ましくは約5μm以下であった。更に好ましくは約3μm以下であった。この場合における透湿防水層の厚さは、前記繊維布帛の繊維間に入り込んだ部分を除外した厚さである。前記数値は平均厚さである。
【0035】
上記の如く塗布手段で透湿防水層が構成された場合は、透湿防水層と繊維布帛との間に接着剤は不要である。しかし、フィルム状に作製された透湿防水フィルムが用いられた場合には、接着剤(粘着剤は接着剤の一種と考える。)を用いる。予め巻き取られてロール状に作製された透湿防水フィルム(透湿防水層)を巻き解きながら、接着剤を介して、透湿防水フィルムと繊維布帛とが一体に貼り合わされる。接着方法は、樹脂(接着剤)の溶液(分散液)を透湿防水層または繊維布帛に塗工し、乾燥後に貼り合わせる方法が用いられる。ホットメルト型樹脂を用いて接着する方法が挙げられる。積層体が透湿防水層と接着層と繊維布帛との構成の場合、前記透湿防水層の厚さは、好ましくは、約3μm以上であった。更に好ましくは約5μm以上であった。好ましくは約30μm以下であった。更に好ましくは約15μm以下であった。前記数値は平均厚さである。
【0036】
透湿防水層と繊維布帛との二層構成が選択されるか、透湿防水層と接着層と繊維布帛との三層構成が選択されるかは、用途に合わせて選択される。例えば、雪の上や濡れた場所に座ることが想定される被服(例えば、パンツ等)の場合は、高耐水圧が要請される。このような場合は厚い透湿防水層(透湿防水フィルム)が好ましい。従って、前記三層構成の積層体が好ましい。これに対して、上着(例えば、レインコート等)の場合には軽量性が求められる。このような場合には前記二層構成の積層体が好ましい。
【0037】
前記透湿防水層はポリウレタン樹脂を含有する。前記ポリウレタン樹脂はポリエーテル基を有する事が大事であった。本明細書でポリエーテル基を有するポリウレタン樹脂とはポリエーテル型ポリウレタン(ポリエーテル系ポリウレタン)を意味する。例えば、ポリオキシアルキレンジオールを構成単量体とするポリウレタン樹脂である。例えば、ジオール(ポリエーテル基を有するジオール)類とジイソシアネート類とが原料のポリウレタン樹脂は好ましい例である。前記ジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのブロック共重合体が挙げられる。ポリエチレングリコールは特に好ましい例である。前記ジイソシアネートとしては、例えば芳香族系ジイソシアネート(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート等)があり、これらは単独或いは混合して使用される。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートは特に好ましい。前記ポリウレタン樹脂は数平均分子量(Mn)が、例えば5万以上であった。例えば、百万以下であった。
【0038】
前記透湿防水層における前記ポリウレタン樹脂の割合は、前述の通りである。50質量%未満の少ない場合は、アセチルセルロースが相対的に多くなる。従って、前記海島構造の海部の中身と島部の中身とが逆転した海島構造となる。つまり、海部がアセチルセルロースで構成される事になる。この場合は透湿防水層の伸縮性が大幅に低下した。70質量%を越えて多くなった場合は、アセチルセルロースが相対的に少なくなる。この場合は環境負荷が大きくなった。アセチルセルロース成分が少なくなると、長期間ロール状態で保管した場合に、融着現象が起き易かった。保存安定性が低下した。
【0039】
前記透湿防水層における前記アセチルセルロースの割合は、前述の通りである。アセチルセルロースは、例えば植物由来成分である。従って、前記割合の場合には、環境負荷が小さい。前記アセチルセルロースの割合が多くなり過ぎると、前述の問題が起きる。すなわち、環境負荷を小さくする事を目的として、前記アセチルセルロースの割合を多くすると、透湿防水層の伸縮性が大幅に低下した。前記アセチルセルロースの分子量(数平均分子量:Mn)は、好ましくは、約1万以上であった。更に好ましくは約3万以上であった。好ましくは約10万以下であった。更に好ましくは約8万以下であった。前記分子量は酢化度と重合度とから次式によって算出することが出来る。分子量=(162+42×置換度)×重合度。置換度=酢化度×162/(6005−42×酢化度)。例えば、分子量が7000のアセチルセルロース(酢化度:61%)が用いられた場合には、保存安定性が悪かった。10万を大きく越えた場合は、透湿防水層形成時の取り扱いが困難であった。
【0040】
前記透湿防水層における前記アセチルセルロースの酢化度は、好ましくは、前述の通りであった。前記のような酢化度が好ましかったのは、ウレタン樹脂との相溶性が良いからであった。前記要件(2)を満足させる為にも、アセチルセルロース酢化度が前記の値である事が好ましかった。
【0041】
前記透湿防水層はセラミック粒子を含有する。前記セラミック粒子は、特に好ましくは、前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースとの界面に存在(偏在)している。この偏在割合は50%以上であった。好ましくは60%以上であった。更には70%以上であった。前記セラミック粒子としては、例えばガラス、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられる。中でも、酸化チタンは、隠蔽性が高い事から、好ましかった。前記セラミック粒子の大きさ(直径:d1)は、好ましくは、次の通りであった。7nm≦d1≦500nm。より好ましくは100nm以上である。より好ましくは400nm以下であった。本明細書において、粒子(セラミック粒子)の直径d1は次のようにして求められた値である。前記透湿防水層中に含まれているセラミック粒子の中の最も大きい粒子から小さい粒子に向かって20個の粒子が選ばれる。{(前記20個の粒子の体積の総和)/20}が{1個当たりのセラミック粒子の体積}と仮定される。{前記1個当たりのセラミック粒子の体積}={4π(d1/2)
3/3}と仮定して求められた値が前記値d1である。前記値の直径が好ましい理由は次の通りである。前記界面における接着強度を高め、高い洗濯耐久性を得る為である。すなわち、前記値よりも粒径が大き過ぎたセラミック粒子や、前記値よりも小さ過ぎたセラミック粒子では、前記界面における接着強度が小さかった。例えば、直径が6μmの大きさのセラミック粒子が用いられた場合には、洗濯による耐水圧低下が大きかった。前記セラミック粒子の含有割合X3は次の通りであった。5質量%≦X3≦30質量%。より好ましくは10質量%以上であった。より好ましくは20質量%以下であった。前記値の含有量が好ましい理由は次の通りである。前記値よりも少な過ぎた含有量では、前記界面における接着強度が小さかった。逆に、多過ぎた場合には、前記ポリウレタン樹脂および/または前記アセチルセルロースの量が少なくなる。その結果、前記透湿防水層の柔軟性が低下したり、環境負荷が大きくなった。
【0042】
前記透湿防水層には、本発明の効果を損なわない程度において、第4成分が含まれていても良い。例えば、顔料、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び/又は界面活性剤などが適宜含まれていても良い。
【0043】
前記積層体は、好ましくは、前記要件(2)を満たす。
図1は電子顕微鏡により前記透湿防水層の表面が観察された際の模式図である。
図2は電子顕微鏡により前記透湿防水層の断面が観察された際の模式図である。
図1,2中、1は海部(ポリウレタン樹脂)である。2は島部(アセチルセルロース)である。3はセラミック粒子である。セラミック粒子3の一部は海部1中、及び/又は島部2中に存在していても良い。しかし、少なくとも一部(例えば、50%以上)のセラミック粒子3は、好ましくは、海部1と島部2との界面(境界領域)に存在している。4は島部2の直径を示す。5は島部2の厚さを表す。ここで、好ましくは、(直径4)>(厚さ5)である。島部2は、平面視(前記積層体平面上方から眺めた場合)で、例えば略円盤状である。島部2の円盤面が、例えば前記透湿防水層の表面と平行である。円盤面とは島部2の断面積が最も大きな面である。島部2の直径は、均一ではなく、分布があっても良い。島部2の直径は2μm以上、30μm以下である事が好ましかった。前記範囲を外れていた場合には、洗濯耐久性が低下していた。島部2の直径は電子顕微鏡観察によって確認できる。本明細書において、島部2の直径d2は次のようにして求められた値である。透湿防水層の表面のSEM写真において、島部の中で最も大きい面積のものから小さい面積のものに向かって20個の島部が選ばれる。{(前記20個の島部の面積の総和)/20}が{1個当たりの島部の面積}と仮定される。{前記1個当たりの島部の面積}={π(d2/2)
2}と仮定して求められた値が前記値d2である。
【0044】
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0045】
[参考例1]
分子量2000のエチレングリコール165.4g、エチレングリコール22.7g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート111.9g、ジメチルホルムアミド700gが、撹拌機を備えたフラスコ内に、入れられた。撹拌(窒素気流下:70℃:8時間)が行われた。ポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する。)溶液(固形分濃度30wt%:粘度200mPas)が得られた。
【0046】
[参考例2]
分子量2000のポリエステルポリオール(アジピン酸と1,4−ブタンジオールとから合成)165.4g、エチレングリコール22.7g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート111.9g、ジメチルホルムアミド700gが、撹拌機を備えたフラスコ内に、入れられた。撹拌(窒素気流下:70℃:8時間)が行われた。ポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有さない。)溶液(固形分濃度30wt%:粘度500mPas)が得られた。
【0047】
[実施例1−7][比較例1−11]
ウレタン樹脂、アセチルセルロース、セラミック粒子、及び溶媒が、下記表−1の割合(数字の単位は質量部)で、配合された。
表−1
成分
A B C D E F G H I J K
実施例1 70 − 20 − − − − − 30 − 900
実施例2 50 − 45 − − − − − 5 − 900
実施例3 50 − 20 − − − − − 30 − 900
実施例4 58 − 25 − − − − − 17 − 900
実施例5 58 − − 25 − − − − 17 − 900
実施例6 58 − − − 25 − − − 17 − 900
実施例7 58 − 25 − − − − − − 17 900
比較例1 − − 83 − − − − − 17 − 900
比較例2 83 − − − − − − − 17 − 900
比較例3 70 − 30 − − − − − − − 900
比較例4 − 58 25 − − − − − 17 − 900
比較例5 45 − 50 − − − − − 5 − 900
比較例6 68 − 29 − − − − − 3 − 900
比較例7 90 − − − − − − 10 − − 900
比較例8 58 − − − − 25 − − 17 − 900
比較例9 58 − − − − − 25 − 17 − 900
*A:ポリエーテル基を有するウレタン樹脂(前記参考例1)。表中の数字はウレタン樹脂固形分の値である。
*B:ポリエーテル基を有さないウレタン樹脂(前記参考例2)。表中の数字はウレタン樹脂固形分の値である。
*C:アセチルセルロース(酢化度55%、分子量5万)
*D:アセチルセルロース(酢化度55%、分子量4万)
*E:アセチルセルロース(酢化度61%、分子量8万)
*F:プロピルセルロース(プロピル化度45%、分子量2.5万)
*G:ブチルセルロース(ブチル化度38%、分子量3万)
*H:アセチルセルロース(酢化度61%、分子量7千)
*I:酸化チタン粒子(平均直径200nm)
*J:シリカ粒子(平均直径7nm)
*K:ジメチルホルムアミド
【0048】
前記配合の溶液が離型紙上に塗布された。乾燥後の塗膜の厚さが10μmとなるように前記塗布は行われた。前記離型紙はポリプロピレンシート上に離型層が設けられたものである。前記塗布後に乾燥(80℃:5分間)が行われた。冷却後に離型紙から剥離が行われた。透湿防水層(透湿防水膜:透湿防水フィルム)が得られた。前記湿防水フィルムが織物(太さ20デニールのナイロン平織の織物:撥水処理が施されている)上に貼り合わされた。条件は次の通りである。接着剤は湿気硬化型ホットメルトウレタン樹脂である。湿度80%、温度80℃で6時間保持された。この後、冷却が行われた。これにより、透湿防水層(透湿防水膜)/接着層/繊維布帛の積層体が得られた。
【0049】
前記積層体について以下の評価が行われた。その結果が下記の表−2に示される。
前記透湿防水層における前記海島構造の有無、前記島部の直径、前記界面に存在する粒子の有無が、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、観察された。
図3は実施例5で得られた透湿防水層の表面のSEM写真である。
図4は実施例5で得られた透湿防水層の断面のSEM写真である。
図3中で白く円状に見える部分は酸化チタン粒子が並んだ部分である。前記円の内側の領域(島部)は酢酸セルロース、前記円の外側の領域(海部)がウレタン樹脂である。海島構造である事が判る。
図3から海(ウレタン樹脂)中に島(酢酸セルロース)が存在する海島構造である事が判った。
図3から酢酸セルロースとウレタン樹脂との界面に酸化チタン粒子が存在(偏在)する事が判った。
図3から島部の直径は約4μmであった。
図4から島部の厚みは約0.5μmであった。表−2の比較例5の「海島構造の有無」における「反転」は次の意味合いである。海島構造は確認できた。しかし、海部がアセチルセルロースであり、島部はウレタン樹脂であった。すなわち、実施例の海島構造とは、海部と島部とが逆転している。
透湿性はJIS L 1099(B−1法)に準じて測定された。
耐水圧はJIS L 1092(B法)に準じて測定された。
環境負荷は(ウレタン樹脂の質量)/{(ウレタン樹脂の質量)+(アセチルセルロースの質量)}×100(%)で表された。数値が大きい程、環境負荷が大きい。
保存安定性は次のようにして求められた。積層体の透湿防水層同士が接するように2枚の積層体が重ねられた。10g/cm
2の荷重が掛けられた。80℃で24時間に亘って静置された。冷却後に2枚の積層体が剥がされた。透湿防水層同士の膠着の有無が確認された。膠着が無い場合は〇印で表示され、膠着が有った場合は×印で表示された。
洗濯後耐水圧は次のようにして求められた。20回の繰り返しての洗濯が行われた。この後の積層体の耐水圧が、上記方法に従って、測定された。
表−2
海島 島部 界面の 透湿性 耐水圧 環境 保存 洗濯後
構造 直径 粒子 負荷 安定性 耐水圧
実施例1 有 15 有 60000 >20000 78 〇 >20000
実施例2 有 27 有 50000 >20000 53 〇 18000
実施例3 有 22 有 45000 >20000 71 〇 >20000
実施例4 有 25 有 55000 >20000 70 〇 >20000
実施例5 有 4 有 57000 >20000 70 〇 >20000
実施例6 有 28 有 56000 >20000 70 〇 >20000
実施例7 有 20 有 55000 19000 70 〇 19000
比較例1 無 ― − 1000 500 0 〇 0
比較例2 無 − − 60000 >20000 100 × >20000
比較例3 有 25 無 56000 >20000 70 〇 1000
比較例4 有 35 有 5000 >20000 70 〇
500
比較例5 反転 − −
2000 1000 47 〇 0
比較例6 有 20 有 60000 >20000 70 〇 2000
比較例7 有 0.5 無 60000 >20000 90 × 1000
比較例8 有 120 有 5000 >20000 70 〇 1000
比較例9 有 50 有 50000 >20000 70 〇 1000
*島部直径の単位はμmである。
*透湿性の単位はg/m
2・24hrである。
*耐水圧の単位はmmH
2Oである。
【0050】
上記実施例の積層体は透湿性が高い。何れの実施例の積層体も透湿性は45000g/m
2・24hr以上であった。環境負荷は78%以下で小さい。保存安定性に優れている。20回の洗濯後における耐水圧は18000mmH
2O以上であり、耐水性に優れている。
比較例1(透湿防水層がポリウレタン樹脂を含有していない)の積層体は、透湿性が悪く、耐水圧が小さく、かつ、洗濯による耐水圧低下が甚だしい。
比較例2(透湿防水層がアセチルセルロースを含有していない)の積層体は、環境に対して良くなく、かつ、保存安定性が悪い。
比較例3(透湿防水層がセラミック粒子を含有していない)の積層体は、洗濯による耐水圧低下が大きい。
比較例4(透湿防水層がポリウレタン樹脂とアセチルセルロースとセラミック粒子とを含有していても、前記ポリウレタン樹脂がポリエーテル基を有していない。)の積層体は、透湿性が悪く、かつ、洗濯による耐水圧低下が甚だしい。
比較例5(透湿防水層がポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する)とアセチルセルロースとセラミック粒子とを含有していても、前記ポリウレタン樹脂の割合が少ない(前記アセチルセルロースの割合が多い))の積層体は、透湿性が悪く、耐水圧が低く、かつ、洗濯による耐水圧低下が甚だしい。
比較例6(透湿防水層がポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する)とアセチルセルロースとセラミック粒子とを含有しているが、前記セラミック粒子の割合が少ない)の積層体は、洗濯による耐水圧低下が大きい。
比較例7(透湿防水層がポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する)とアセチルセルロースとを含有するが、セラミック粒子を含有していない。前記ポリウレタン樹脂の含有割合が多い。)の積層体は、環境に対して良くなく、かつ、保存安定性が悪く、しかも洗濯による耐水圧低下が大きい。
比較例8(透湿防水層がポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する)とセルロースエステルとセラミック粒子とを含有しているが、前記セルロースエステルがプロピルセルロース(アセチルセルロースではない)である。)の積層体は、透湿性が悪く、かつ、洗濯による耐水圧低下が大きい。
比較例9(透湿防水層がポリウレタン樹脂(ポリエーテル基を有する)とセルロースエステルとセラミック粒子とを含有しているが、前記セルロースエステルがブチルセルロース(アセチルセルロースではない)である。)の積層体は、洗濯による耐水圧低下が大きい。
【0051】
[実施例10]
参考例1のウレタン樹脂58質量部、アセチルセルロース(酢化度55%、分子量50,000)25質量部、酸化チタン(直径200nm)17質量部、ジメチルホルムアミド200質量部、メチルエチルケトン300質量部、トルエン400質量部が混合された。前記混合溶液がナイロン平織(撥水処理が施された太さ20デニールのナイロン平織)の織物上に塗布された。塗布厚は乾燥後の膜厚が3μmとなる厚さであった。前記塗布後に乾燥(80℃で5分間)が行われた。透湿防水層/繊維布帛の構成の積層体が得られた。前記積層体の特性は次の通りであった。
透湿性:70000(g/m
2・24hr)
耐水圧:1000mmH
2O
環境負荷(%):70%
保存安定性:〇
洗濯後耐水圧:1000mmH
2O
【課題】透湿性に優れ、洗濯が繰り返し行われても耐水圧の低下が少なく、環境負荷が小さく、かつ、ロール状態で長期間に亘って保管されていた場合でも表面側と裏面側との間で融着が起き難い積層体を提供する。
【解決手段】透湿防水層と繊維布帛との積層体であって、前記透湿防水層はポリエーテル基を有するポリウレタン樹脂1とアセチルセルロース2とセラミック粒子3とを含有し、前記ポリウレタン樹脂の割合が50質量%以上、70質量%以下、前記アセチルセルロースの割合が20質量%以上、45質量%以下、前記セラミック粒子の割合が、5質量%以上、30質量%以下、(前記ポリウレタン樹脂と前記アセチルセルロースと前記セラミック粒子との三成分の合計は100質量%)である。