(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記座椅子用ラチェット金具では、第1図に示すように、座板の構成フレームAに対して背柱板の構成フレームBを所望の傾斜角度に調整しようとすると、一旦、構成フレームBを水平位置まで倒した後、再び、構成フレームBを引き起こして傾斜角度を調整する必要ある。このため、傾斜角度を調整するための操作に手間がかかる。
特に、構成フレームBが壁際に設置された場合に、構成フレームBと壁面との間に十分なスペースがないときは、構成フレームBの傾斜角度を調整できないという問題点がある。
本発明に係る角度調整金具は、前記問題点に鑑み、展開可能な2つの構成部材を相対的に水平位置まで展開しなくとも、角度を調整できる角度調整金具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る他の角度調整金具は、前記課題を解決すべく、
対向する一対の側壁部13,14を有する回動受け部12を備え、前記回動受け部12に主支軸70および副支軸50を所定の間隔で平行に挿通した第1部材10と、
ギア部26と前記ギア部26に連続する円弧面部27とを備えた回動部22を有し、前記第1部材10の側壁部13,14の間に配置され、前記主支軸70を中心として前記回動部22を回動可能に支持された第2部材20と、
ツメ部材本体31から延在する制御受け部34の内向面に、複数の並設したツメ部からなる歯面35を設け、前記第1部材10の副支軸50に回動可能に支持されたツメ部材30と、
前記第1部材10内に取り付けられ、前記ツメ部材30を第2部材20に向けて回動させる付勢力を付与するばね部材40と、
ツメ制御部材本体61から延在する第1制御部64を備え、主支軸70に回動可能に支持され、前記第2部材20と共に連れ回り可能なツメ制御部材60と、
からなる角度調整金具であって、
第2部材20を相対的に折り畳み方向に回動する途中で、ツメ部材30のツメ部材本体31に、ツメ制御部材60のツメ制御部材本体61から延在する第2制御部67を当接し、前記ツメ制御部材60自体を位置規制することにより、ツメ制御部材60が連れ回りしないように位置規制され、ツメ部材30の歯面35が回動部22の円弧面部27に乗り上げることにより、第2部材20のギア部26とツメ部材30の歯面35との噛み合い状態が解除され、
ついで、前記第2部材20を相対的に展開方向に回動する途中で、第2部材20に連れ回りするツメ制御部材60の第1制御部64がツメ部材30を位置規制し、ツメ部材30の歯面35が第2部材20のギア部26に噛み合わないように位置規制される一方、
さらに、前記第2部材20を相対的に折り畳み方向に所定の小角度の回動操作することにより、第2部材20に連れ回るツメ制御部材60を位置規制し、ツメ部材30に対するツメ制御部材60による位置規制を解除することにより、ツメ部材30の歯面35を第2部材20のギア部26に噛み合わせ、第2部材20の相対的な展開方向への回動を規制する構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第2部材を相対的に折り畳み方向、展開方向および折り畳み方向に回動することにより、第2部材を水平位置まで倒さずに、所望の位置で第2部材の展開角度を調整できる。このため、展開角度の調整に手間がかからない。
特に、第2部材を壁面近傍に設置したとしても、第2部材を水平位置まで展開する必要がないので、第2部材と壁面との間に十分なスペースがなくとも、展開角度を調整でき、使い勝手の良い角度調整金具が得られる。
さらに、本発明によれば、主支軸と副支軸との支点間距離は高い寸法精度で製造できるので、組立誤差が小さくなり、動作特性のバラツキが小さい角度調整金具が得られる。
【0007】
本発明の実施形態としては、ツメ部材30のツメ部材本体31に当接する第2制御部67に、第2部材20の位置規制リブ22aを当接し、第2部材20自体を位置規制する構成としてもよい。
【0008】
本実施形態によれば、第2部材20自体を位置規制できるので、角度調整する際に第2部材20の回動操作を必要最小限に抑制でき、使い勝手の良い角度調整金具が得られる。
【0009】
本発明の異なる実施形態としては、ツメ制御部材60の軸孔62の開口縁部に、環状のリブ63をそれぞれ設けておいてもよい。
【0010】
本実施形態によれば、ツメ制御部材60と第2部材20の回動部22との片当たりを防止でき、円滑な動作特性を有する角度調整金具が得られる。
【0011】
本発明の他の実施形態としては、ツメ制御部材60は、プレス加工で形成された環状のリブ63を有する2枚の金属板を接合一体化して形成してもよい。
本実施形態によれば、環状のリブ63が弾性変形することにより、部品誤差、組立誤差を吸収・緩和し、動作特性のバラツキが小さい角度調整金具が得られる。
【0012】
本発明の別の実施形態としては、ばね部材40はコイルばねであってもよい。
本実施形態によれば、ばね部材40を副支軸に挿通して位置決めできるので、組立が簡単な角度調整金具が得られる。
【0013】
本発明の別の実施形態としては、ばね部材40は板ばねであってもよい。
本実施形態によれば、より一層正確な付勢力を付与できる角度調整金具が得られる。
【0014】
本発明の異なる実施形態としては、ギア部26に、板厚方向において円弧面部よりも内側に位置するように段差26aを設けてもよい。
本実施形態によれば、加工によってギア部にバリが生じても、前記バリが回動部の内向面に接触しないので、加工工数が少なく、滑らかな回動動作を行う角度調整金具が得られる。
【0015】
本発明に係る座椅子またはソファとしては、前記課題を解決すべく、前述の角度調整金具を適用した座椅子またはソファであってもよい。
【0016】
本発明によれば、第2部材を相対的に折り畳み方向、展開方向および折り畳み方向に回動することにより、第2部材を水平位置に倒さずに第2部材の展開角度を調整できる。このため、展開角度の調整に手間がかからない。
特に、第2部材を壁面近傍に設置したとしても、第2部材を水平位置まで展開する必要がない。このため、第2部材と壁面との間に十分なスペースがなくとも、展開角度を調整でき、使い勝手の良い座椅子およびソファが得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る角度調整金具の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した角度調整金具の分解斜視図である。
【
図4】
図2に示したツメ部材の異なる角度から見た拡大斜視図である。
【
図6】
図1に示した角度調整金具の部分断面斜視図である。
【
図7】
図6に示した角度調整金具の正面要部断面図である。
【
図8】
図1に示した角度調整金具の断面斜視図である。
【
図9】
図8に示した角度調整金具の正面要部断面図である。
【
図10】本発明に係る角度調整金具の第1実施形態の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図11】
図10に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図12】
図11に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図13】
図12に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図14】
図13に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図15】
図14に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図16】
図15に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図17】
図15に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図18】
図17に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図19】本発明に係る角度調整金具の第2実施形態のツメ制御部材を示す斜視図である。
【
図20】
図19に係るツメ制御部材を組み込んだ状態を示す縦断面斜視図である。
【
図21】
図19に係るツメ制御部材を組み込んだ状態を示す正面要部断面図である。
【
図22】本発明に係る角度調整金具の第3実施形態を示す斜視図である。
【
図28】本発明に係る角度調整金具の第3実施形態の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図29】
図28に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための異なる切断位置の正面要部断面図である。
【
図30】
図29に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図31】
図30に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図32】
図31に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図33】
図32に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図34】
図33に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図35】
図34に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図36】
図35に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図37】
図36に続く本発明に係る角度調整金具の動作を説明するための正面要部断面図である。
【
図38】本発明に係る角度調整金具の第4実施形態を示す分解斜視図である。
【
図39】本発明に係る角度調整金具の第4実施形態を示す正面要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る実施形態を
図1ないし
図39に基づいて説明する。
第1実施形態に係る角度調整金具は、
図1および
図2に示すように、第1部材10と、第2部材20と、ツメ部材30と、ばね部材40と、副支軸50、ツメ制御部材60と、主支軸70とで構成されている。
なお、
図2において第1部材10は説明の便宜上、断面図として図示されている。
【0019】
第1部材10は、取付部11と、これに連続する回動受け部12とで構成されている。回動受け部12は、対向する一対の側壁部13,14を有している。一対の側壁部13,14は、第1軸受け孔15および第2軸受け孔を同一軸心上にそれぞれ設けてある。
なお、本実施形態の第1部材10は、1枚の金属板にプレス加工を加えて製造しているが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1部材10は、2枚の別体の金属板にプレス加工を施し、ついで、前記金属板を接合一体化して製造してもよい。
また、取付部11は円筒形状に限らず、例えば、角筒形状、角柱形状、板形状であってもよい。
【0020】
第2部材20は、取付部21と、これに連続する回動部22とで構成されている。回動部22は、対向する一対の略円板状のギア板部23,24を有している。一対のギア板部23,24は、軸孔25を同一軸心上に配置してある。また、ギア板部23,24の外周面には、ギア部26と円弧面部27とが連続するように形成されている。
なお、本実施形態の第2部材20は、1枚の金属板にプレス加工を加えて製造しているが、必ずしもこれに限らない。例えば、第2部材20は、2枚の別体の金属板にプレス加工を施し、ついで、前記金属板を接合一体化して製造してもよい。
また、取付部21は円筒形状に限らず、例えば、角筒形状、角柱形状、板形状であってもよい。
【0021】
ツメ部材30は、
図3および
図4に示すように、略円柱形状のツメ部材本体31に軸孔32を設けてある。また、ツメ部材30は、前記軸孔32の片側の開口縁部に沿って環状のリブ33(
図4)を突設してある。そして、ツメ部材30は、ツメ部材本体31の外周面から内側に延在する巾広の制御受け部34を有している。制御受け部34は、その内向面に複数のツメ部を並設した歯面35を有し、特に、歯面35の最下端に係止ツメ部36を配置してある。
【0022】
ばね部材40は、
図5に示すように、後述する副支軸50に挿通可能なコイルばねで形成されている。そして、ばね部材40は、その第1端部41を真直に延在する一方、その第2端部42を略L字形状に屈曲してある。
なお、本実施形態に係るばね部材40は、コイルばねに限らず、板ばねで構成してもよい。その場合には、第1部材10の内側の適切な位置、例えば、第1部材10の底面に配置してもよい。
【0023】
ツメ制御部材60は、
図2に示すように、円板形状のツメ制御部材本体61に軸孔62を設けてある。そして、軸孔62の両側の開口縁部に環状のリブ63,63がそれぞれ突設されている。さらに、ツメ制御部材本体61は、その外周面からツメ部材30に向けて延在する第1制御部64を有している。第1制御部64は、その内向面の下端にツメ受け部65を設けてあるとともに、その先端の下面に位置規制面66を有している。
【0024】
次に、本実施形態の組立方法について説明する。
第1部材10の側壁部13に設けた第1軸受け孔15から副支軸50を挿入し、予め側壁部13,14の間に配置したツメ部材30およびばね部材40を挿通する。ついで、側壁部14の第1軸受け孔15に副支軸50を挿通して位置決めする。このとき、ばね部材40は、その第1端部41を第1部材10の内周面に圧接する一方、その第2端部42をツメ部材30の下辺縁部に係止している。このため、ツメ部材30には、歯面35がギア板部23,24に常に圧接するための付勢力が付与される。
【0025】
一方、ギア板部23,24の間にツメ制御部材60を挿入して位置決めした後、側壁部13,14の間にギア板部23,24を組み付ける。そして、第1部材10の第2軸受け孔16、第2部材の軸孔25およびツメ制御部材60の軸孔62に、主支軸70を挿通する。
ついで、副支軸50および主支軸70の両端をカシメ固定することにより、組立作業が完了する(
図6および
図7)。このため、ツメ制御部材60は2枚のギア板部23,24に所定の圧力で挟持された状態となる。この結果、ツメ制御部材60は第2部材20の回動につれて連れ回り動作を行う。
【0026】
次に、第1実施形態に係る角度調整金具の使用方法について説明する。
初期状態を示す
図6ないし
図9に示すように、第1部材10の底面と第2部材20の底面とが相互に突き合わせた状態となっているため、第2部材20は時計回り方向に回動できない。このとき、ツメ部材30はばね部材40のばね力で反時計回り方向に付勢され、歯面35がギア部26に噛み合っている。また、ツメ制御部材60の位置規制面66が第1部材10の内側の底面に当接している。
【0027】
図10に示すように、反時計回り方向(矢印A)に引き起こすと、ギア部26がツメ部材の歯面35のツメ部を1段ずつ乗り越え、カチカチ音が発生する。このとき、第2部材20の回動に連れてツメ制御部材60が連れ回りしようとするが、ツメ制御部材60の位置規制面66が第1部材10の底面に当接して位置規制され、第2部材20だけが回動する。
【0028】
ついで、第2部材20を所望の角度まで引き起こした後、
図11に示すように、第2部材20に時計回り方向(矢印B)に荷重が負荷されると、ツメ部材30の歯面35に第2部材20のギア部26が噛み合う。このため、第2部材20は時計回り方向(矢印B)に回動できず、第2部材20は所望の角度に保持される。
【0029】
さらに、
図12に示すように、第2部材20を反時計回り方向(矢印A)に回動し、第2部材20を垂直まで引き起こすと、ギア部26に連続する円弧面部27がツメ部材30の歯面35に当接する。このため、ばね部材40のばね力に抗し、ツメ部材30が副支軸50を中心として時計回り方向(矢印B)に回動し、押し下げられる。この結果、歯面35が円弧面部27に乗り上げる(
図13参照)。このとき、ツメ制御部材60の位置規制面66は第1部材10の底面に当接したままの状態であり、ツメ制御部材60は第2部材20に連れ回りしない。
【0030】
そして、第2部材20を時計回り方向(矢印B)に引き戻すと、ツメ制御部材60が第2部材20と連れ回りする。このため、ツメ制御部材60の位置規制面66が第1部材10の底面から少し浮き上り、ツメ部材30の係止ツメ部36がツメ制御部材60のツメ受け部65に係止する(
図14参照)。この結果、ツメ制御部材60が位置規制され、第2部材20が時計回り方向(矢印B)回動しても、ツメ制御部材60は連れ回りしない。
【0031】
さらに、第2部材20を時計回り方向(矢印B)に回動し続けても、ツメ制御部材60がツメ部材30を位置規制し続ける。このため、ツメ部材30の歯面35が第2部材20のギア部26に噛み合っていない解除状態であるので、第2部材20はカチカチ音を発生させることなく水平方向まで回動できる(
図16参照)。
そして、第2部材20が水平位置に達すると、第1部材10の底面と第2部材20の底面とが相互に突き合わせた状態となり、それ以上、第2部材20は時計回り方向(矢印B)に回動できない。
なお、このとき、ツメ制御部材60の位置規制面66は第1部材10の底面から少し浮き上がった位置にある。
【0032】
ついで、解除状態のままで第2部材20を反時計回り方向(矢印A)に回動すると、ツメ制御部材60は連れ回りして反時計回り方向(矢印A)に回動する。このため、位置規制面66が第1部材10の底面に当接して位置規制される。この結果、ツメ部材30の係止ツメ部36がツメ制御部材60のツメ受け部65から外れ、再び
図9で示した状態となり、第2部材20を所望の角度に調整できる。
【0033】
また、第2部材20を水平位置まで倒すことなく、例えば、
図15に示す第2部材20を、
図17に示すように、反時計回り方向(矢印A)に回動すると、ツメ制御部材60が第2部材20と連れ回りする。このため、ツメ制御部材60も反時計回り方向(矢印A)に回動し、ツメ制御部材60の位置規制面66が下方に移動し、第1部材10の底面に当接して位置規制される。この結果、ツメ制御部材60のツメ受け部65からツメ部材30の係止ツメ部36が外れ、ツメ部材30がばね部材40のばね力で副支軸50を中心として反時計回り方向に回動する。このため、ツメ部材30の歯面35がギア部26に噛み合う。この結果、
図18に示すように、第2部材20を所望の角度まで反時計回り方向(矢印A)に回動して角度調整した後、第2部材20に時計回り方向(矢印B)の負荷をかけても、第2部材20の回動が規制される。
【0034】
したがって、本願発明によれば、座椅子などの背もたれを所望の角度に調整する場合に、背もたれを水平位置まで倒すことなく、角度調整ができる。このため、例えば、壁際に設置された座椅子やソファのように、座椅子等の背もたれと壁との間に十分なスペースがない場合であっても、背もたれを所望の角度に調整でき、使い勝手の良い座椅子等が得られるという利点がある。
【0035】
第2実施形態は、
図19および
図21に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、ツメ制御部材60を、2枚の金属板を接合一体化して製造した点である。
すなわち、本実施形態では、突き出し加工でリブ63を膨出させた2枚の金属板を接合一体化することにより、ツメ制御部材60を形成してある。
本実施形態によれば、
図20に示すように、ツメ制御部材60が2枚のギア板部23,24で挟持された場合に、リブ63が弾性変形する。このため、部品寸法や組立の誤差をリブ63が弾性変形して吸収する。この結果、ツメ制御部材60を含む構成部品に高い寸法精度や高い組立精度を必要としないので、製造,組立が容易になるという利点がある。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0036】
第3実施形態は、
図22ないし
図37に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、
図25に示すように、ツメ制御部材60のツメ制御部材本体61に第2制御部67を設けた点である。
第2制御部67は、
図26に示すように、その位置規制角部68をツメ部材30のツメ部材本体31に当接させることにより、ツメ制御部材60を位置規制する。このため、第2制御部67の外形寸法は、第1制御部64の位置規制面66が第1部材10の底面に当接する前に、位置規制角部68がツメ部材本体31に当接するように設計されている。したがって、本実施形態によれば、ツメ制御部材60の位置規制面66が第1部材10の底面に当接することはない。
他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。
【0037】
次に、第3実施形態に係る角度調整金具の使用方法について説明する。
初期状態を示す
図26および
図27に示すように、第1部材10の底面と第2部材20の底面とが相互に突き合わせた状態となっているため、第2部材20は時計回り方向に回動できない。このとき、ツメ部材30はばね部材40のばね力で反時計回り方向に付勢され、歯面35がギア部26に噛み合っている。また、ツメ制御部材60の位置規制角部68はツメ部材30のツメ部材本体31に当接している。
【0038】
図28に示すように、反時計回り方向(矢印A)に引き起こすと、ギア部26がツメ部材30の歯面35のツメ部を1段ずつ乗り越え、カチカチ音が発生する。このとき、第2部材20の回動に連れてツメ制御部材60が連れ回りしようとするが、ツメ制御部材60の位置規制角部68がツメ部材本体31に当接して位置規制されているので、第2部材20だけが回動する。
【0039】
ついで、第2部材20を所望の角度まで引き起こして停止すると、ツメ部材30の歯面35が第2部材20のギア部26に噛み合う。このため、
図29および
図30に示すように、第2部材20に時計回り方向(矢印B)に荷重が負荷されても、第2部材20は時計回り方向(矢印B)に回動できず、所望の角度に保持される。
なお、
図29においては、ばね部材40の第1端部41が第1部材の内周面に当接している状態も図示されている。
【0040】
さらに、
図31に示すように、第2部材20を反時計回り方向(矢印A)に回動し、第2部材20を垂直まで引き起こすと、ギア部26に連続する円弧面部27がツメ部材30の歯面35に当接する。このため、ばね部材40のばね力に抗し、ツメ部材30が副支軸50を中心として時計回り方向に回動し、押し下げられる。この結果、歯面35が円弧面部27に乗り上げ始める。このとき、ツメ制御部材60の位置規制角部68はツメ部材本体31に当接したままの状態であり、第2部材20に連れ回りせず、位置規制面66は第1部材10の底面から浮き上がった状態にある。さらに、第2部材20を反時計回り方向(矢印A)に回動すると、
図32に示すように、第2部材20の位置規制リブ22aが第2制御部67に当接し、第2部材20自体が位置規制される。
図32において点線で描かれた2つの円の中に、当接した部分が図示されている。
本実施形態によれば、第2部材20の回動操作を最小限度に抑制でき、使い勝手の良い角度調整金具が得られるという利点がある。
なお、位置規制リブ22aは必要に応じて設ければよく、その外形寸法を調整することにより、第2部材20の回動角度を調整できる。
【0041】
そして、第2部材20を時計回り方向(矢印B)に引き戻すと、ツメ制御部材60が第2部材20と連れ回りする。このため、ツメ制御部材60の位置規制角部68がツメ部材本体31から離れ、ツメ部材30の係止ツメ部36がツメ制御部材60のツメ受け部65に係止し、ツメ制御部材60が位置規制される(
図33参照)。この結果、
図34に示すように第2部材20が時計回り方向(矢印B)に回動しても、ツメ制御部材60は第2部材20と連れ回りしない。
【0042】
さらに、第2部材20を時計回り方向(矢印B)に回動し続けても、ツメ制御部材60がツメ部材30を位置規制し続ける。このため、ツメ部材30の歯面35が第2部材20のギア部26に噛み合っていない解除状態であるので、第2部材20はカチカチ音を発生させることなく水平位置まで回動できる(
図35参照)。
そして、第2部材20を水平位置まで回動させると、第1部材10の底面と第2部材20の底面とが相互に突き合わせた状態となり、それ以上、第2部材20は時計回り方向(矢印B)に回動できない。
なお、このとき、ツメ制御部材60の位置規制角部68は、ツメ部材本体31から離れた位置にある。また、ツメ制御部材60の位置規制面66は、第1部材10の底面から少し浮き上がった状態にある。
【0043】
ついで、解除状態のままで第2部材20を反時計回り方向(矢印A)に回動すると、ツメ制御部材60は連れ回りして反時計回り方向(矢印A)に回動する。このため、位置規制角部68がツメ部材本体31に当接して位置規制され、連れ回りできなくなる。この結果、ツメ部材30の係止ツメ部36がツメ制御部材60のツメ受け部65から外れ、再び
図30で示した状態となり、第2部材20を所望の角度に調整できる。
【0044】
また、第2部材20を水平になるまで倒すことなく、例えば、
図34に示す位置から第2部材20を、
図36に示すように、反時計回り方向(矢印A)に回動すると、ツメ制御部材60の位置規制角部68がツメ部材本体31に当接して位置規制される。このため、ツメ制御部材60が連れ回りできなくなり、ツメ受け部65からツメ部材30の係止ツメ部36が外れる。この結果、ツメ部材30がばね部材40のばね力で副支軸50を中心として反時計回り方向に回動し、ツメ部材30の歯面35がギア部26に噛み合う。このため、
図37に示すように、第2部材20を所望の角度まで反時計回り方向(矢印A)に回動して角度調整した後、第2部材20に時計回り方向(矢印B)の荷重を負荷しても、第2部材20の回動が規制される。
【0045】
したがって、本実施形態でも、座椅子などの背もたれを所望の角度に調整する場合に、背もたれを水平位置まで倒すことなく、背もたれの角度を調整ができる。このため、例えば、壁際に設置された座椅子やソファのように、座椅子等の背もたれと壁との間に十分なスペースがない場合であっても、背もたれを所望の角度に調整でき、使い勝手の良い座椅子等が得られるという利点がある。
【0046】
また、本実施形態では、ツメ制御部材60の位置規制角部68を、ツメ部材30のツメ部材本体31に当接させることにより、ツメ制御部材60を位置規制している。ツメ部材30は第1部材の10の第1軸受け孔15に挿通した副支軸50に回動可能に支持されている。そして、第1軸受け孔15と第2軸受け孔16との支点間距離の寸法精度は高い。このため、本実施形態によれば、ツメ部材30とツメ制御部材60との組立誤差が小さいので、動作特性のバラツキが小さい角度調整金具が得られるという利点がある。
【0047】
第4実施形態は、
図38および
図39に示すように、前述の実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、ギア部26を加工する際にギア板部23,24に段差26aを設けた点である。加工の際に板厚方向に生じたバリが、ギア板部23,24の内向面に接触しないようにするためである。このため、バリを除去するための作業工程を省略できるという利点がある。
また、ツメ部材の制御受け部34の外向面を、前述の実施形態よりも略直線とすることにより、設計・製造が容易になるという利点がある。
他は前述の第3実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【解決手段】第2部材20を相対的に折り畳み方向に回動する途中で、ツメ制御部材60が連れ回りしないように位置規制され、ツメ部材30の歯面35が回動部22の円弧面部27に乗り上げることにより、第2部材20に連れ回りするツメ制御部材60の第1制御部64がツメ部材30を位置規制し、ツメ部材30の歯面35が第2部材20のギア部26に噛み合わないように位置規制される一方、第2部材20を相対的に折り畳み方向に所定の小角度の回動操作することにより、ツメ部材30の歯面35を第2部材20のギア部26に噛み合わせ、第2部材20の相対的な展開方向への回動を規制する。