特許第6981702号(P6981702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6981702-栽培装置及び栽培方法 図000002
  • 特許6981702-栽培装置及び栽培方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6981702
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】栽培装置及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20211206BHJP
   A01G 22/05 20180101ALI20211206BHJP
【FI】
   A01G9/12 A
   A01G22/05 Z
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2021-35896(P2021-35896)
(22)【出願日】2021年3月6日
【審査請求日】2021年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2020-209188(P2020-209188)
(32)【優先日】2020年12月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515339295
【氏名又は名称】株式会社恵葉&菜健康野菜
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】池 祐史久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朱鷺
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6458246(JP,B2)
【文献】 特開2003−319719(JP,A)
【文献】 特開2020−115788(JP,A)
【文献】 特開2020−115799(JP,A)
【文献】 特開2018−033356(JP,A)
【文献】 特開2018−186734(JP,A)
【文献】 特開2017−012115(JP,A)
【文献】 特開2020−000212(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105165320(CN,A)
【文献】 特開平2−303424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 2/00 − 2/38
A01G 5/00 − 7/06
A01G 9/00 − 9/12
A01G 9/28
A01G 17/00 − 17/18
A01G 20/00 − 22/67
A01G 24/00 − 24/60
A01G 31/00 − 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する紐状又は線状の誘引部材を設けたことを特徴とする栽培装置。
【請求項2】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する網状、板状又は格子状の誘引部材を設けたことを特徴とする栽培装置。
【請求項3】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する誘引部材を設けて、前記上下に並ぶ栽培棚と前記誘引部材が側面視概ねコ字状を成すように配置したことを特徴とする栽培装置。
【請求項4】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の間で蔓を誘引する誘引部材を設けて、前記上下に並ぶ栽培棚と前記誘引部材が側面視概ね九十九折状を成すように配置したことを特徴とする栽培装置。
【請求項5】
前記誘引部材は、垂直方向に対し傾斜又は湾曲していることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置。
【請求項6】
前記照明とは別に前記誘引部材で誘引した蔓から生える葉に側方から光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置。
【請求項7】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
前記上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ前記照明の側方を上下方向に跨ぐように伸長した蔓から生える葉に光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする栽培装置。
【請求項8】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
前記照明の側方を上下方向に跨ぐように配置されて、前記上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ伸長した蔓から生える葉に光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする栽培装置。
【請求項9】
前記側方照明は着脱可能であることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の栽培装置。
【請求項10】
前記栽培棚に蔓を這わせる蔓性植物を育成する栽培床を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置。
【請求項11】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置し、所定の栽培棚を這わせて伸長させた蔓を、前記所定の栽培棚からその上方又は下方に配置した別の栽培棚へ誘引し、前記別の栽培棚を這わせることを特徴とする栽培方法。
【請求項12】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置し、所定の栽培棚においてその一端付近から他端へ向けて伸長させた蔓を、前記所定の栽培棚の上方又は下方に配置した別の栽培棚へ誘引して、Uターンするように這わせることを特徴とする栽培方法。
【請求項13】
前記所定の栽培棚から前記別の栽培棚へ伸長する蔓から生える葉に側方から光を照射することを特徴とする請求項11又は12に記載の栽培方法。
【請求項14】
前記所定の栽培棚から前記別の栽培棚に蔓を誘引するための誘引部材を設けることを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の栽培方法。
【請求項15】
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置して、連続した蔓を複数の栽培棚に亘って這わせることを特徴とする栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロン等の蔓性植物栽培に用いる栽培装置及び栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物工場におけるメロン等の蔓性植物用の栽培装置で、矩形状で網状の栽培棚と、その上方に設けられる照明を上下方向に交互に積層配置し、各栽培棚の脇に苗床を一つずつ設けて栽培棚へ蔓を這わせたり、一つの苗床から伸びる複数の植物の蔓を各栽培棚へ分けて這わせたりする提案がなされている。狭い敷地内でも各栽培棚に這わされる蔓性植物の葉には光が照射され、棚の短手方向の両側から手入れし易いため、生産性を高めることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6458246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の栽培装置は、各栽培棚に十分な大きさを確保できないと、栽培棚の外側に蔓がはみ出て垂れ下がって想定外の方向に誘引されたり、はみ出た蔓から生える葉に照明の光が照射されなかったりして、適切に育成できないことがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、敷地面積が十分な大きさでない場合でもメロン等の蔓性植物を適切に育成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する紐状又は線状の誘引部材を設けたことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0007】
請求項2の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する網状、板状又は格子状の誘引部材を設けたことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0008】
請求項3の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引する誘引部材を設けて、前記上下に並ぶ栽培棚と前記誘引部材が側面視概ねコ字状を成すように配置したことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0009】
請求項4の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
上下に並ぶ栽培棚の間で蔓を誘引する誘引部材を設けて、前記上下に並ぶ栽培棚と前記誘引部材が側面視概ね九十九折状を成すように配置したことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0010】
請求項5の発明は、
前記誘引部材は、垂直方向に対し傾斜又は湾曲していることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置
を提供する。
【0011】
請求項6の発明は、
前記照明とは別に前記誘引部材で誘引した蔓から生える葉に側方から光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置
を提供する。
【0012】
請求項7の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
前記上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ前記照明の側方を上下方向に跨ぐように伸長した蔓から生える葉に光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0013】
請求項8の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、
前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、
前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、
前記照明の側方を上下方向に跨ぐように配置されて、前記上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ伸長した蔓から生える葉に光を照射する側方照明を設けたことを特徴とする栽培装置
を提供する。
【0014】
請求項9の発明は、
前記側方照明は着脱可能であることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の栽培装置
を提供する。
【0015】
請求項10の発明は、
前記栽培棚に蔓を這わせる蔓性植物を育成する栽培床を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の栽培装置
を提供する。
【0016】
請求項11の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置し、所定の栽培棚を這わせて伸長させた蔓を、前記所定の栽培棚からその上方又は下方に配置した別の栽培棚へ誘引し、前記別の栽培棚を這わせることを特徴とする栽培方法
を提供する。
【0017】
請求項12の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置し、所定の栽培棚においてその一端付近から他端へ向けて伸長させた蔓を、前記所定の栽培棚の上方又は下方に配置した別の栽培棚へ誘引して、Uターンするように這わせることを特徴とする栽培方法
を提供する。
【0018】
請求項13の発明は、
前記所定の栽培棚から前記別の栽培棚へ伸長する蔓から生える葉に側方から光を照射することを特徴とする請求項11又は12に記載の栽培方法
を提供する。
【0019】
請求項14の発明は、
前記所定の栽培棚から前記別の栽培棚に蔓を誘引するための誘引部材を設けることを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の栽培方法
を提供する。
【0020】
請求項15の発明は、
蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を上下方向に交互に積層配置して、連続した蔓を複数の栽培棚に亘って這わせることを特徴とする栽培方法
を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の栽培装置及び栽培方法によれば、敷地面積が十分な大きさを有しない場合においても積層配置した栽培棚により蔓性植物を適切に育成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】栽培装置を示す斜視図。
図2】栽培装置でメロンを栽培している状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(栽培装置1)
本発明の実施形態に係る栽培装置及び栽培方法を図面参照しながら説明する。栽培装置1は、植物工場等でのメロン栽培に用いられ、図1及び図2に示すように、平面視略矩形状を成す三段(複数)の枠部21をその四隅を四本の柱部22で上下方向に間隔をおいて支持することにより形成されて床面に設置される架台2と、架台2の下方(床面)に設置される一台の栽培床3と、栽培床3から伸長するメロンの蔓を這わせる三段(複数)の栽培棚4と、各栽培棚4の上方に設けられて栽培棚4を這う蔓から生える葉に光を照射する上方照明5を備えており、栽培棚4と上方照明5は、架台2に固定支持されて上下交互に積層配置されている。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、上方照明5を挟んで上下に対向する栽培棚4で上下端を支持されて、これらの間に介在することにより一方の栽培棚4から他方の栽培棚4へ蔓を誘引する網状の誘引壁6が設けられている。更に誘引壁6の外側方には、上方照明5とは別に設けられて、誘引壁6に沿って伸びる蔓から生える葉に外側方から光を照射する側方照明7が架台2に支持されている。栽培装置1による栽培方法では、栽培床3から伸長したメロンの蔓を上記のうち何れか所定の栽培棚4に載せ、そこで這わせるように伸長させた蔓を誘引壁6により上方又は下方に配置した別の栽培棚4へ誘引し、また、そこで這わせるように伸長させて育成する。
【0025】
(架台2)
架台2は、図2に示すように、一段目(最下段)の枠部21が、栽培床3との間にメロン果実を成長させるために必要な空間を確保できる高さに略水平に設けられており、その上方に二段目及び三段目の枠部21がそれぞれ下方の枠部21との間にやはりメロン果実を成長させるために必要な空間をあけて略水平に設けられる。各枠部21には、図1に示すように、枠部21において相対向する一組の横断部材を繋ぐように短手方向に延びる架橋部材23が横方向に間隔をおいて五本(複数本)設けられている。なお、架台2は、その短手方向の幅がその両側から蔓・葉やメロン果実に手が届くように(手入れできるように)設定されている。
【0026】
(栽培床3)
栽培床3は、架台2の下方に設置される箱状体であり、図2に示すように、植栽したメロンの根が広がる栽培槽31と、その下方に設けられて養液を貯留する養液タンク32と、養液タンク32から栽培槽31へ養液を供給するコンプレッサ33を備えてなる。養液は、栽培槽31内に設置した多数のノズル34からメロンの根にかかるように噴霧供給されて、栽培槽31に設けられる排水管35から養液タンク32へ戻されることにより循環する。排水管35は、栽培槽31の底から上方に突出してその高さを超える養液を養液タンク32へ排水するオーバーフロータイプであり、栽培槽31の養液深さを一定に維持する。養液の溶存酸素濃度は養液タンク32に備えられる不図示のエアレーション装置により一定に保たれている。
【0027】
(栽培棚4)
栽培棚4は、略矩形状の網状体を、図1及び図2に示すように、架台2に設けられる各枠部21の下方にそれぞれ一段ずつ略水平となるように四隅を柱部22に不図示の留め具で固定支持されることにより構成される。栽培棚4は、図2に示すように、その上にメロンの蔓を這わせて支持するための網棚であり、網状体は、その下方に幼果段階の果実を垂れ下げさせることができる程度の大きさの網目と、収穫段階の果実の重量に耐えられる程度の強度を有してなり、例えば合成樹脂製・金属製・天然素材製の紐状体や線状体を編んだり、合成樹脂や金属を網状に一体形成したりしたものである。蔓を這わせて果実を垂れ下げることができれば、網状体の他、開口を形成した板状体、棒材や板材を格子状や並列状に組んだもの、紐状体や線状体を架け渡したものも採用できる。一段の栽培棚は、一体である必要はなく、蔓を連続的に支持できるものであれば複数に分割して形成されていてもよい。
【0028】
栽培にあたっては、栽培床3から伸長した蔓を、例えば最下段の栽培棚4にその長手方向の一端(図2中の左端)付近から這わせるように載せ、他端(図2中の右端)側に向けて伸長させると共に網目からメロン果実Mを垂れ下がらせて育成する。そして、最下段の栽培棚4の蔓が成長して上記一端側から上記他端側付近へ行き着いたら、後述する誘引壁6で上段(二段目)にある別の栽培棚4へ上下方向に誘引し、そこからUターンするように折り返させて、上記同様に蔓を這わせてメロン果実Mを育成する。二段目で蔓が成長して反対側の端付近へ行き着いたら、また同じく誘引壁6で上段(最上段)にある更に別の栽培棚4に誘引して順次、上記同様に育成する。
【0029】
(上方照明5)
上方照明5は、メロン栽培用の光源となる多数のLEDを備える棒状体であり、LEDを備える面を下方に向けた状態で、図1及び図2に示すように枠部21に架け渡された架橋部材23に支持されている。各LEDは図示省略された電源及び電源コードで給電されることにより、下方の栽培棚3を這わされる蔓に生えている葉に光を照射して光合成を促進する。なお、後述する誘引壁6により側方を覆われる二段目及び三段目の上方照明5は、誘引壁6に誘引される蔓やそこから生える葉の生育を阻害しないように隙間を確保するため、横方向(図2中の左右方向)に控えられている。
【0030】
(誘引壁6)
誘引壁6は、略矩形状の網状体であり、図2に示すように、上方照明5を挟んで上下方向に並ぶように配置される二つの栽培棚4の一方から他方へ蔓を誘引するための誘引部材として設置される。この網状体も、栽培棚4に用いられるものと同様の紐状体や線状体を編んだり、金属や合成樹脂を一体形成したりする。網状体の他、開口を形成した板状体、棒材・板材を格子状や並列状に組んだものを採用してもよい。果実を垂下させ易くするため、誘引壁6を真直ぐ上下方向に延ばさずに、垂直方向に対し傾斜又は湾曲させてもよい。勿論、メロン果実を垂下させないことにしても良いし、その場合は蔓を誘引することができて、その誘引した蔓を支持し得る強度を有すれば足りる。
【0031】
誘引壁6は、栽培棚4と略同幅を成すように形成されており、上述したように横方向に控えた上方照明5を外側方から覆うようにして、上下方向に延びるように設けられ、その上下端を栽培棚4の網状体の端部付近に、針金や結束バンドその他クランプ等の留め具で固定される。これにより、上下二段の栽培棚4とこの間に取り付けられる誘引壁6は側面視で概ねコ字状を成すように設けられ、また、栽培棚4が三段以上になれば、栽培棚4とこの間に取り付けられる誘引壁6は側面視で概ね九十九折状を成すように設けられることになり、これらに沿って一本の連続した蔓が複数の栽培棚及び誘引壁に亘って長く伸長することができ、各栽培棚や誘引壁で果実を育成することができるようになる。
【0032】
(側方照明7)
側方照明7は、上方照明5と同様にメロン栽培用の光源となる多数のLEDを備える棒状体であり、上方照明5の側方を上下方向に跨ぐように配置される。そして、誘引壁6に誘引されて上方照明5の側方を上下方向に跨ぐように伸びる蔓から生える葉に光に照射するようにLEDを備える面を横方向に向けられた状態で、架台2の枠部21の外側面に着脱可能に固定支持されている。例えば、図2に示すように枠部21と側方照明7の双方に着脱可能に嵌合し得る鉤部を設けておく。誘引壁6に沿って伸びる蔓や葉を手入れするときには、図2に一点鎖線で示すように側方照明7を取り外して簡単に作業することができる。なお、図において側方照明7に給電する電源及び電源コードは省略されている。
【0033】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、メロンを育成する場合について説明したが、栽培装置1は、メロン以外の蔓性植物やその果実の育成に用いることとしても良い。上記実施形態では、栽培床3を床面上に設置したが、架台2に栽培床3を支持する棚を設けても良いし、更に架台2にキャスターを取り付けて装置全体を一体的に移動できるようにしても良い。また、栽培床3は、栽培棚4の下方に設けるのでなく、栽培棚4の側方に設けることとしても良い。また、一台の栽培装置に設けられる栽培床は一台に限られるものでなく、例えば栽培棚を四段にして、上二段の栽培棚と下二段の栽培棚にそれぞれ一台ずつ栽培床を設けるなど、栽培棚の段数・空き状況、蔓の育成状況等の事情に応じて適宜変更しても良い。栽培床は地面に設けても良い。なお、上記実施形態では、蔓を下方の栽培棚から下方の栽培棚へ誘引したが、それに限らず、上方の栽培棚から下方の栽培棚へ誘引することにしても良い。
【0034】
上記実施形態では、栽培棚4と誘引壁6を留め具等で相互に連結させることとしたが、栽培棚4から誘引壁6へ或いは誘引壁6から栽培棚4へ蔓をスムーズに誘引させることができる程度に接近していれば、栽培棚4と誘引壁6の間に隙間があっても差し支えない。例えば誘引壁6を栽培棚4ではなく、架台2又は架台2に設けた支持部材に固定することにより、栽培棚4と誘引壁6が側面視概ねコ字状や側面視概ね九十九折状に配置されるようにしても良い。なお、誘引壁6を固定部位(栽培棚4、架台2、架台2に設けた支持部材等)に対して着脱可能として、蔓の育成状況等の事情に応じて、誘引壁の位置を臨機応変に変更することもできる。また、上記実施形態では、栽培棚4と誘引壁6を別々の網状体で構成したが、これらを一枚の網状体で連続的に形成して側面視概ねコ字形又は側面視概ね九十九折状をなすように折り曲げた状態で支持するようにしても良い。
【0035】
栽培棚4の間で蔓を誘引する誘引部材としては、誘引壁6のような網状体に限らず、紐状体、線状体、棒状体等を用いても良い。紐状体、線状体、棒状体は一本に限らず二本以上用いても良いし、これらの部材を組み合わせて用いても良い。なお、栽培棚間における誘引部材を設けることなく、人手で蔓を所定の栽培棚からその上方又は下方に配置した別の栽培棚へ導くことにより誘引して、当該別の栽培棚に蔓を絡ませるなどして定着させることにより、そこで蔓を這わせて伸長させる栽培方法を用いることにしても良い。
【0036】
上記実施形態では、上方照明5と側方照明7は、棒状体で、幅広く光を照射できるようにそれぞれ蔓の伸長方向と同じ方向(水平方向と上下方向)に延びるように複数本を並列に配置したが、例えば蔓の伸長方向と直交する方向に向けて、蔓の伸長方向に所定間隔で複数本配置するようにしても良く、棒状体ではなく面状体としても良い。また、上方照明5と側方照明7は必ずしも栽培装置1と一体的に設ける必要はない。例えば栽培装置は、栽培棚のみを上下方向に積層配置した構成として、栽培装置の周囲に設置した照明で栽培棚を這わされている蔓から生える葉に光を照射することにより光合成を行わせて蔓性植物を育成することとしても良い。
【0037】
なお、上記実施形態では、栽培装置1は、複数段の枠部21、柱部22、架橋部材23を有してなる架台2に各構成部材を配することにしたが、栽培床3と、栽培棚4と、上方照明5と、誘引壁6(誘引部材)と、側方照明7とを、上記実施形態や上記変形例と同様の相互位置関係で配設することができれば、必ずしも架台2を用いなくても良いし、或いは複数の架台等に分けて支持させるようにしても良い。その他、本発明は、上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しないで適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 栽培装置
2 架台
3 栽培床
4 栽培棚
5 上方照明
6 誘引壁(誘引部材)
7 側方照明?
【要約】
【課題】 敷地面積が十分な大きさでない場合でもメロン等の蔓性植物を適切に育成できるようにする。
【解決手段】栽培床と、前記栽培床から伸長する蔓性植物の蔓を這わせる栽培棚と、前記蔓から生える葉に光を照射する照明と、を備え、前記栽培棚と前記照明を上下方向に交互に積層配置してなる栽培装置において、上下に並ぶ栽培棚の一方から他方へ蔓を誘引するための誘引部材を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2