(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
踏切とは鉄道の開通以来、道路交通との平面的な交差点に設置されるインフラストラク
チャーの一つで、その幅員において車輌や歩行者の横断が容易になるように鉄道線路の凹
凸を緩和させた渡り道のことで、法的には「踏切道」と称する。
【0003】
ここでは文章表現における便宜上、鉄道を走行する電車、列車等を総じて鉄道車輌、道
路を走行する車輌を車輌と表記し、鉄道車輌が踏切を通行する際の表現を通過、車輌や歩
行者等が踏切を通行する際の表現を横断と表記する。
【0004】
国内における踏切は踏切道改良促進法および鉄道に関する技術上の基準を定める省令等
により規格化されたもので、現在は警報器と自動遮断機のある踏切(第一種)、警報器だ
けの踏切(第三種)および警報器も遮断機もない踏切(第四種)の3種類が存在する。
【0005】
国内のJRおよび私鉄を含めた鉄道には、現在もなお約33000箇所に踏切が設置さ
れており、その一部が交差する道路の交通渋滞を招いたり、踏切を横断する車輌や歩行者
との接触事故の原因になるなどの問題が存在する。
【0006】
まず踏切に交差する道路の渋滞については、車輌が道路を通行する際、踏切では直前に
信号機が設置されている場合を除き、法的に横断前一時停止を要すること、安全確保上、
先行車輌が踏切を横断完了するまで次車輌は停止線前で待機する義務があること、踏切内
は徐行により横断することなど、単位時間あたりの車輌の横断数が制限を受けるため、そ
の横断数を上回る道路交通量となるときは、踏切が開放中でも遮断機前で自然渋滞が発現
する。
【0007】
ここでは、踏切が
開放している間の単位時間に横断できる最大車輌数を便宜的に当該踏
切における車輌横断能力と表現する。
【0008】
そして踏切を横断する車輌数が車輌横断能力内にあるとしても、鉄道車輌が踏切通過す
る際に道路交通は遮断されるため、鉄道車輌の通過が頻繁で、踏切遮断時間が長じること
により、踏切を横断できる車輌数はさらに制限される。
【0009】
つまり道路と踏切が平面交差するとき、道路交通量および踏切固有の遮断時間の長短
の二条件により踏切前車輌渋滞が発現する。
【0010】
次に踏切事故に関しては、国内において昭和30年代までは警報器も遮断機もない第四
種踏切が主流であったことから、踏切を横断する車輌や歩行者が走行する鉄道車輌の接近
に気づかないまま踏切内で接触する事故が後を絶たず、それが死亡を伴う交通事故の要因
となっていた。
【0011】
以上、踏切前交通渋滞および踏切事故という二つの大きな問題を解決するために、歴史
的に次のような複数の手段が用いられてきた。
【0012】
一つが踏切数の削減である。非特許文献1に示す国土交通省の統計によれば、昭和35
年の踏切道改良促進法制定以後、翌年昭和36年度から平成30年度末までの58年間に
全国の踏切数は約71000箇所から約33000箇所へ半減したとあるが、同法制定に
よる国の長期的な政策において、特に警報器と遮断機のない第四種踏切を重点的に削減す
ることにより、道路交通の渋滞緩和および踏切事故の削減を推進した。
【0013】
次に鉄道と道路を非接触型の立体交差とする手法を積極的に導入した。例えば地盤面に
敷設される鉄道に対して、交差する道路が地下を通過するアンダーパス、反対に交差する
道路が鉄道の上方を通過する跨線道路橋(陸橋)、あるいは地盤面に敷設される道路に対
し、盛土などにより鉄道の地盤レベルを高じて立体交差させ、鉄道直下の土中にカルバー
トボックスを敷設して空間を設け、そこを道路として通行させる方法、その反対に鉄道を
掘割の中に敷設することにより地盤面より低くし、道路は地盤レベルを維持したままオー
バーパスにより立体交差を実現する方法などである。
【0014】
一方、そのような立体交差の道路を建設する際に、さらに交通量を増加させる目的で道
路の幅員を拡張して車線数を増やし、単位時間あたりの道路交通量の増加に対応した。
【0015】
これらは総じて建設技術の発展に伴う大型建設機械の導入および効率的な工事により、
立体交差や道路拡張が比較的容易になったことが前提となるが、結果として昭和36年度
に約5500件発生した踏切事故は平成30年度には約1/25となる228件まで減少
させることができた。
【0016】
しかし、踏切前車輌渋滞の緩和についてはその実現が限定的であり、それは後述するよ
うに「開かずの踏切」や「ボトルネック踏切」が現在もその大きな問題として継続してい
ることから明らかである。
【0017】
国土交通省は平成28年6月に、緊急に対策の検討が必要としたピーク時に40分以上
連続して遮断している全国の踏切529箇所を「開かずの踏切」、また連続遮断時間が
40分未満の踏切約1500箇所を「ボトルネック踏切」と定めそれを公表した。
【0018】
現存する全国の踏切約33000箇所に対し、上述した約2000箇所の問題ある踏切
は6%程度であるが、大都市や物流拠点に近い地域などいわゆる鉄道も道路も交通量の多
いとされる箇所に前述した踏切の事例が多く、踏切の弱点が表面化した箇所として特に国
が対策検討箇所に指定していることからも問題の大きさと解決の難しさがうかがえる。
【0019】
例えば大都市地域における居住地域日照権等と立体交差存在との関係、近年の気候変化
による大雨でアンダーパスが高頻度で水没する等、立体交差を建設するための巨額な建設
費用という経済的問題だけでなく、立体交差の建設後に生じる新しい問題への懸念から立
体交差化が進まない箇所も多いため、法的措置を伴い開始した踏切数削減から半世紀を経
た現在も、踏切における道路交通の渋滞についてはまだ多くの未解決問題を抱えている。
【0020】
つまり踏切を廃して立体交差化を推める手段だけでは問題解決にはならないことは明か
で、単に踏切を削減するのではなく、新しい発想による安全な踏切の増設や既存踏切の改
良など、個々の踏切が抱える環境要因に配慮した柔軟な解決方法の提供が必要である。
【0021】
ところで、国はこれまで踏切数の削減と立体交差化を推進してきた法的建前から、原則
として新規の踏切建設を認めない方針であったが、国内の踏切事情により柔軟に対応する
ため、踏切道改良促進法の一部を改正し、全国で計画されている鉄道と道路の立体交差計
画を一部白紙化し、比較的工費が安価な踏切整備の指針を平成28年3月31日に制定す
ることで方針を転換した。
【0022】
このことは、少なくとも近未来的には立体交差の建設だけに頼らない、必要に応じた新
規の踏切建設や既存踏切の改良等、踏切前車輌渋滞問題を解決をする新しい方法が提供さ
れるための素地となる可能性がある。
【0023】
ところで現在の踏切警報および遮断のシステムにおける技術的な基準は、「鉄道の技術
上の基準に関する省令等の解釈による基準」に従い、例えば警報開始後15秒程度で遮断
機が閉鎖され、その後20秒以上で鉄道車輌が当該踏切を通過するような具体的数値を路
線ごと定めて設置、運用している。
【0024】
例えばJRのある路線内踏切の警報開始から解除までの時間経過を示すと、警報開始時
刻を基点として15秒後に遮断機閉鎖、40秒後に電車の先頭が踏切通過、48秒後に電
車がすべて踏切通過、50秒後に警報解除、遮断機開放となるが、同じ踏切でも電車ある
いは列車の速度の相違、あるいは車輌数の多少が警報解除までの総時間に影響を与えるこ
とからすべてが一律とはならない。
【0025】
国内の鉄道では路線によって最高速度の異なる鉄道車輌が走行するため、路線毎に前述
した基準に整合する個々の踏切の警報開始地点と解除地点を定め、その区間に鉄道車輌が
存在するときに踏切警報および遮断機により踏切が遮断するシステムが採用されている。
【0026】
国内における一般的な踏切システムでは、警報開始地点が当該踏切における保安開始地
点となり、鉄道車輌の進行方向に存在する当該踏切を通過後数十メートル内に存在する警
報解除地点までをその「保安区間」としている。
【0027】
特急が走行する路線など鉄道車輌にスピードが要求される路線では、鉄道車輌が踏切に
到達する時間の関係でその保安区間の距離をやや長くとるが、その場合、前述したように
警報開始後15秒以内で遮断、その後20秒以後に鉄道車輌が踏切を通過する基準に従え
ば、例えば最高速度120km/時で走行する特急列車を有する路線では、概ね踏切手前
1200m前後の地点に保安開始地点を設けることになる一方、普通電車のみが走行する
路線で、その最高速度が80km/時であれば、踏切手前800m程度の地点に保安開始
地点を設けることになる。
【0028】
鉄道車輌が踏切の警報開始地点を通過すると、当該踏切では保安区間に鉄道車輌が進入
したことを感知して音と光で警報するとともに鉄道車輌の進行方向を示し、その後一定時
間を経て遮断機が閉鎖、鉄道車輌の踏切通過、保安区間の最終地点となる警報解除地点を
通過すると、警報装置の鳴動および発光が停止し遮断機が開放されるシステムである。
【0029】
このシステムの特徴は、鉄道車輌が当該踏切の保安区間内に存在する間は常に踏切が警
報を発し遮断状態を継続することで、区間内において鉄道車輌が減速しても、どのような
理由で突然停止しても踏切の遮断状況は変化せず、安全性と安定性が高いシステムである
ことから、国内では踏切の警報と遮断を安全かつ確実に実施する方法としてJRや私鉄各
線において長年にわたり採用され、現在も踏切警報、遮断システムの主流である。
【0030】
またこのシステムでは各踏切の警報装置が独立して、保安区間内の鉄道車輌の存在を確
実に警報する責任分担構造となっていることも利点の一つであり、それがフェールセーフ
の考え方に基づく現在までの踏切システムの主流たる所以である。
【0031】
従って本願では、便宜的にこのシステムを現状における一般的な踏切システムと称する。
【0032】
ところで、一般的な踏切システムにおける最大の問題点は踏切の保安区間内に鉄道車輌
が存在するとき、それが停止しても、あるいは逆走しても警報、遮断が継続されることで
ある。
【0033】
例えばある鉄道路線において、
図1のように二踏切の左側より下り電車102が矢印
111の方向に進行するとき、電車は踏切Bの保安開始地点107を通過することでその
保安区間108に進入し、踏切B109が遮断する。そしてさらに進行して踏切Aの保安
開始地点104を通過することでその保安区間105に進入し、踏切Aもまた遮断する。
【0034】
このとき、踏切Bの保安開始地点107と踏切Aの保安開始地点104間の距離は踏切
Bと踏切A間の距離110に等しいため、両踏切の保安開始地点間において電車が緊急停
止することがない通常の状況であれば、踏切Bおよび踏切Aの遮断は各保安開始地点に電
車が到達する時間差により順次開始され、各々の踏切については保安開始から保安解除ま
での約50秒間がそれぞれの遮断時間となる。
【0035】
このときの踏切Bと踏切Aにおける保安開始時刻の差は、例えば電車が80km/hの
一定速度で走行し、踏切Bと踏切Aを順次通過するとき、両踏切間距離が仮に500mと
すれば、踏切Bの遮断開始から踏切Aの遮断開始まで約23秒となる。
【0036】
一方、
図2のように二踏切の右側より電車202が矢印211の方向に進行するとき、
電車は踏切Aの保安開始地点204を通過してその保安区間205に進入することで踏切
A206が遮断する。そしてさらに進行して踏切Bの保安開始地点207を通過してその
保安区間208に進入すると踏切Bが遮断する。
【0037】
ところが
図2では、踏切Aの保安開始地点204と踏切Bの保安開始地点207の間に
駅203が存在するため、電車が駅に停車する場合には、減速、停止、再発進、加速の過
程に要する時間がすべて踏切Aの遮断時間に加わることなることから、踏切Aの保安距離
を電車が通常の速度で通過する間の遮断時間より長時間となり、例えば電車が踏切Aの保
安開始地点204を通過してから、踏切Aの保安区間終了地点を通過するまでに150秒
を要すならば、その間踏切Aは遮断を継続する。
【0038】
しかし踏切Bについては電車が駅203を出発した後、踏切Bの保安開始地点207に
達するまでは開放を継続し、駅に電車が停車することによる踏切遮断時間への影響は生じ
ないため、踏切Bが踏切Aの隣接踏切であっても、その遮断開始時刻と遮断時間には著し
い差異が生じる。
【0039】
また上述のようなとき、駅によっては構内で貨車の入れ替え作業が日常的かつ不定期に
30分以上行われることがあり、その間は保安区間内にある踏切Aはシステム上遮断を継
続することになるが、隣接する踏切Bはその間、他の鉄道車輌が通過しない限り開放を継
続するため、両踏切における遮断開始時刻と遮断時間にはさらに著しい差異を生じること
になる。
【0040】
駅付近に「開かずの踏切」や「ボトルネック踏切」が多く存在する理由の一つには、こ
のような踏切システムによる踏切Aのような長時間遮断がある。
【0041】
このように一般的な踏切システムが比較的低コストという利便性、システムの安定性お
よび安全性を有する反面、ボトルネック踏切や開かずの踏切を生み出す一因ともなる特徴
を有することから、現在までに問題を解決する方法として新しいシステムの踏切が開発さ
れ、その一部が運用され始めている。
【0042】
例えば特許文献1に示すように、現行の一般的な踏切システムにおける、保安区間に進
入した鉄道車輌を単純に把握して警報および遮断するという欠点を改良し、前述した踏切
の保安区間に進入した鉄道車輌のスピードと停車予定の有無を読み取り装置で自動検知、
自動分析してそれを該当踏切に伝えることにより、複数ある保安開始地点をシステム上で
選択させ、保安区間内の鉄道車輌が駅や鉄道信号で停車するときには、当該踏切の保安開
始時刻を遅延させ、結果的に踏切の遮断時間を短縮させるような新システムが発明され、
いわゆる「賢い踏切」と称されている。
【0043】
現時点におけるこの新システムの効果は、非特許文献2にある通り、
図2のように保安
区間内に駅が存在し、電車が駅に停車しているときなど、不必要な踏切A206の遮断時
間を短縮させることが可能で、踏切遮断時における交通渋滞を減少させるための有効な手
段の一つとして将来のさらなる安定性と安全性への改良が期待されている。
【0044】
また、本願と関係性が見いだせる先行技術としては、一般的な踏切システムの特徴を踏
まえ、踏切渋滞を改善する間接的な方法として、特許文献2に示す踏切遮断情報を探知し
て車輌運転者に他の踏切に迂回を促すナビゲーションシステムや特許文献3に示す踏切迂
回情報の提示装置が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
本願において解決する課題は、鉄道車輌が通過する踏切に平面交差する道路において、
踏切警報、遮断にかかわる従来の一般的な踏切システムを変更せず、隣接二踏切間を鉄道
の両側から道路で直接結び、渋滞する踏切前の車輌の一部を隣接踏切に迂回させ、横断さ
せることで踏切前の交通渋滞を緩和する方法を提供することである。
【0048】
前述した特許文献1では新システムを採用して列車の種類と減速等の状況の読み取りを
可能にしたが、本願は従来の一般的な踏切システムを変更せずに踏切警報および遮断によ
り平面交差する道路の交通渋滞を緩和する方法を提供することを目的とすることから、本
願の課題を解決できない。
【0049】
また特許文献2および特許文献3については、現状の一般的な踏切の特徴を踏まえ、間
接的に踏切渋滞を改善する手法として本願と共通する要素があるが、隣接踏切間にバイパ
ス道路を設けて渋滞車輌の一部を隣接踏切へ迂回させることにより一踏切前の渋滞を緩和
する本願とは手法が異なり課題を解決できない。
【0050】
なお従来は法規制により踏切の新設が難しいとされてきたが、前述した平成28年の国
土交通省の指針に基づけば、既存の踏切を改良、再整備して使用することが可能なため、
隣接する踏切を意図的に改良し利用する現実的な手段が実現する可能性が高いことも本願
による課題解決手段への一助となる。
【0051】
本願では、一踏切が有する踏切能力の拡張、および現行の一般的な踏切システムにより
生ずる隣接二踏切個々の遮断開始時刻と遮断時間の差異に着目し、車輌が渋滞する踏切前
から隣接踏切に至る専用バイパス道路と直結した隣接踏切内の一部あるいは全部を排他的
に占有して利用する車輌横断専用レーンを通行してそれを横断し、元の踏切の反対側道路
に戻ることができる踏切バイパス道路の通行により一踏切前渋滞緩和の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本願が採用した主な手段は以下の構成、機能および効果を有することを特徴とする。
【0053】
本願は、同一鉄道路線内で隣接する二踏切間において、一方の踏切に平面交差する道路が
鉄道車輌の通行による遮断あるいは踏切前自然渋滞により横断に時間を要するとき、当該
踏切前で待機中の道路車輌が、専用バイパス道路と隣接踏切内の一部または全部を占有し
て設置する排他的車輌横断専用レーンとの直接接続による踏切バイパス道路を通行するこ
とにより、当該踏切の反対側道路に至ることで踏切横断を実現し、当該踏切前の道路車輌
渋滞を緩和することを特徴とする隣接二踏切間バイパス道路とその活用方法を提供するこ
とにより課題を解決する。
【0054】
その際、専用バイパス道路とは沿道に壁や柵などを設け、踏切前入口以外からの車輌の
進入ができない排他的構造を有することを特徴とし、踏切前から隣接踏切に直結する専用
道路をいう。
【0055】
その際、専用バイパス道路は車輌の対面通行が可能な幅員を有することを特徴とする。
【0056】
その際、隣接踏切内に設置された排他的車輌横断専用レーンとは、専用バイパス道路に
排他的に接続される隣接踏切内の幅員に設けられた横断レーンで、踏切内における他部と
の境界を縁石等による突起物の敷設により絶縁し、カラーライン表示により絶縁を可視化
することで、踏切内他部の車輌通行と絶縁する構造を有することを特徴とし、専用バイパ
ス道路を走行する車輌のみが踏切横断を占有するためのレーンをいう。
【0057】
その際、隣接踏切内の一部を占有して排他的車輌横断専用レーンにする場合とは、平面
交差する道路を有する既存の踏切が隣接踏切となる場合で、あらかじめ当該隣接踏切を拡
幅し、その一部を排他的車輌横断専用レーンとして利用する場合をいう。
【0058】
一方、隣接踏切内の全部を占有して排他的車輌横断専用レーンにする場合とは、隣接踏
切を新設し、当該隣接踏切が平面交差する他の道路を有しないことを前提に、当該隣接踏
切の復員の全部を排他的車輌横断専用レーンとして利用する場合をいう。
【0059】
図4に本願の排他的車輌横断専用レーンについて隣接踏切内の一部を占有して排他的車
輌専用レーンとする場合の例を示す。
【0060】
図4において鉄道を横断できる箇所すべてを踏切B401とし、内分けは既存の踏切部
分を既存部402、踏切拡幅部403とし、すべての踏切警報機と遮断機は同時に動作す
る。
【0061】
その踏切拡幅部403が排他的車輌横断専用レーン412となる部分で、既存部402
とは、踏切外においては
侵入防止壁416、踏切内では縁石413および排他的車輌横断
専用レーン境界線414で明確に区分され、区分境界間の車輌交通が絶縁される機能を有
する。
【0062】
踏切A前から敷設される専用バイパス道路420の外側はすべて
侵入防止壁416で他
からの車輌
侵入ができない構造で踏切道路境界409まで至り、占有的に踏切Bの排他的
車輌横断専用レーンと接続する構造を有するが、踏切内部においては前述した縁石413
が物理的に
他の踏切内交通との絶縁を実現し、排他的車輌横断専用レーンの通行占有性を
維持させることにより、同一踏切内において、独立した二道路の踏切横断ができることを
特徴とする。
【発明の効果】
【0063】
鉄道の複線区間において、
図2に示すように電車の進行方向211に駅203、踏切A
206、隣接する踏切B209が順次存在し、踏切A206はその保安区間205内に駅
を含み、踏切Bの保安区間208に駅は含まないという前提で、踏切A、踏切B間が
600m、踏切A206と駅203との距離が300m、踏切Aの遮断時間が150秒、
踏切Bは踏切A遮断後の120秒後に遮断、遮断時間45秒として請求項1に示す手段に
よりシミュレーションすると以下の通りとなる。
【0064】
片側一車線道路において踏切を横断する一台の普通車輌(以下車輌と表記)が一時停止
してから踏切横断を完了するまでに要する時間を6秒とすると、当該踏切の車輌横断能力
は10輌/分となるため、道路交通量がそれを超えると踏切前で自然渋滞が発現する。
【0065】
本シミュレーションではまず踏切遮断による踏切前車輌渋滞とその緩和方法を説明する
ため、自然渋滞が発現しない状況とするために、踏切と平面交差する往復二車線道路の車
輌通行量を車輌横断能力の最大値10輌/分と仮定する。
【0066】
まず踏切Aが単独でのみ機能する従来の状況では、踏切A遮断時の150秒間において
踏切A前に生じる渋滞車輌数は150秒÷60秒×10輌により25輌、1輌あたりの車
長と車間距離の和を5mとすると、その渋滞距離は道路長125mとなる。
【0067】
一方、
図3で示すように、踏切Aの遮断と同時に専用バイパス道路入口305より車輌
が連続的に進入して専用バイパス道路313を経由して開放中の踏切B内の排他的車輌横
断専用レーン318を横断するとき、先頭車輌の走行速度を平均時速40km/hとする
と、踏切B前に達するまでの所用時間は600m÷11.1m/sの計算により55秒と
なり、先頭車輌が踏切Bに到達してから踏切Bが遮断される65秒(120秒−55秒)
後までに排他的車輌横断専用レーン318を横断できる車輌数は10輌となる。
【0068】
つまり踏切Aの遮断時より専用バイパス道路に進入する車輌のうち先頭から10輌は、
踏切Bの遮断前に横断を完了できるため、前述の車輌
1輌あたりが占有する道路長5mを
用いれば、少なくとも道路長50m分の踏切A前の車輌渋滞を
緩和できる。
【0069】
また踏切Aが遮断している150秒間に踏切A前で停止するすべての車輌25輌が平均
時速40km/hで連続的に専用バイパス道路に進入すると、前述したように10輌が踏
切Bを横断した後の45秒間は踏切Bも電車通過のため遮断されるため、残り15輌が専
用バイパス道路内の踏切B前で一時的に待機渋滞することになり、その渋滞は道路長で
75mとなり、その残車輌15輌全部が踏切Bを横断するには踏切B閉鎖後の45秒、踏
切B再開放後6秒/輌×15輌を併せて、最短で135秒を要する。
【0070】
つまり本シミュレーションでは、踏切B横断前の車輌
15輌が専用バイパス道路距離
600m内に135秒間以上バッファされる形で道路長75mで待機停止となることか
ら、結果的に踏切A前の渋滞車輌がすべて踏切B前に移動する形になり、踏切A遮断時に
おける道路A304の車輌渋滞は発現しないことから、踏切A前の渋滞を
解消できる。
【0071】
なお
図2において、駅203を出発した電車は踏切Aと踏切Bを順次通過するため、踏
切Bが開放される数秒前に踏切Aの遮断機は開放され、その後に踏切A前に達する車輌は
踏切Aの横断を再開することから、その時点から専用バイパス道路への車輌進入の必要
性がなく、専用バイパス道路内に待機する車輌数が前述の15輌(道路長75m)を最大
値としてその後は踏切Bの再開放後に6秒/輌のペースで減少に転じることになる。
【0072】
次に同様の条件で、踏切Aおよび踏切Bの双方が開放状態にあり、踏切Aに交差する道
路の交通量が10輌/分を超過するとき、踏切A前自然渋滞が発現することから、それを
回避するために車輌の一部が専用バイパス道路を用いて同等の横断能力を有する踏切Bを
横断することにより、車輌の踏切横断が踏切Aと踏切Bに分散されることから、各踏切に
おける車輌横断状況が各踏切横断能力内に収まれば踏切A前の自然渋滞は解消され、また
それ以上の交通量であるとしても踏切A単独による同車輌数の横断状況と比較したとき踏
切A前渋滞が緩和される。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0074】
本願の内容を実施するための形態について以下に述べる。なお本実施例は実在するJ
R路線の複線区間において、一駅と付近に隣接する二踏切における立地状況、鉄道上下線
における鉄道車輌の通過本数とその所要時間、および二踏切間距離のデータを使用し、そ
のうえで両踏切間に専用バイパス道路と隣接踏切内に設置された排他的車輌横断専用レー
ンとの占有的接続による踏切バイパス道路の敷設を想定する。
【0075】
図3における踏切A314では平日朝6時30分から7時30分のピーク時よりやや
車輌交通が少ない時間帯で、両方向ともに普通車で平均16輌/分の通行量、車輌1輌が
当該踏切前で一時停止して横断を完了するまでに要する時間は平均6秒である。
【0076】
鉄道は複線区間であり、矢印316を上り方向とし、駅は踏切A314より矢印
315で示す下り方向200mに存在、下り線の電車が通常速度で踏切Bおよび踏切Aを
順次通過するとき、遮断開始時刻の差は30秒、遮断の平均時間はそれぞれ50秒、反対
に上り線において、駅に電車が停車するとき、踏切Aと踏切Bの遮断開始時刻の差は
100秒、その際に踏切Aの遮断時間は140秒、踏切Bの遮断時間は50秒、当該路線
内における各踏切の保安距離は800mである。
【0077】
当該時間帯の1時間内における上り、下りそれぞれの電車の本数は駅に停車する普通電
車3本ずつ計6本で上下線ともに6時40分、7時、7時20分に駅に停車するが、その
間に同一路線内における特急や貨物列車の通過はない。
【0078】
また二踏切間距離は670mであり、専用バイパス道路313内の制限速度は40
km/hである。
【0079】
まず踏切A314が単独でのみ機能する従来の状況では、当該時間帯における踏切A前
の状況は、道路A304の車輌通行量が16輌×60分で960輌、上下線の電車通過に
よる遮断時間の合計が420秒+150秒で合計570秒であるから、踏切A開放時間の
合計は3600秒−570秒で3030秒(50分30秒)、前述のように車輌1輌が踏
切横断に必要な所要時間は6秒であるから、踏切Aを横断できる最大車輌数は3030秒
÷6秒/輌で505輌となり、通行量960輌から横断完了車輌505輌を除くと、残り
455輌が踏切A前で渋滞することになり、道路Aが常に片側道路一車線であるときは、
車間距離を含めて1車輌分の長さを5mとすると、455輌×5mで道路長2275mの
踏切A前渋滞が道路A304において発現する。
【0080】
次に踏切A前から専用バイパス道路313を通行して踏切Bを横断する場合、踏切Aの
遮断直後に踏切A前における先頭の車輌317は、前方の踏切Aの遮断を確認して、踏切
手前左側に設けられた専用バイパス道路入口305を経て専用バイパス道路313に進入
し、時速40km/hで踏切Bの排他的車輌横断専用レーンに向かって走行し、車輌停止
線311前で一時停止後、排他的車輌横断専用レーン318を横断し、道なりに同速度で
専用バイパス道路を走行して踏切A前まで進み、一時停止後に左折して道路A304に戻
る行程となるが、このとき踏切B横断までに要する時間が約61秒、踏切Bの車輌横断能
力を踏切Aと同等とすれば、踏切A前から踏切Bに至りそれを横断し、反対側の踏切A前
に戻るまでの所要時間は61×2+6で128秒となる。
【0081】
また踏切B309おける当該時間帯において上り電車3本、下り電車3本に要する遮断
時間の合計は50秒×3本×2(上下線)で300秒となり、それに伴う踏切Bの開放時
間の合計は、3600秒−300秒で最大55分間(3300秒)となり、当該時間帯に
おける踏切Aの開放時間の合計より270秒多い。
【0082】
そのうえで、車輌1輌が踏切B横断に要する時間は、前述したように6秒/輌、踏切A
が上下線の電車通過において遮断する回数は6回、時間の合計は570秒間であるから、
その間、道路A304において踏切Aに向かう車輌のすべてが専用バイパス道路313に
進入して踏切Bに向かう形とすると、その先頭車輌が踏切Bに到達するまでの所要時間の
61秒×6回分を除くと(570秒−61×6)÷6で、車輌34輌が踏切Bを横断でき
るため、踏切A前に渋滞する車輌数455輌から専用バイパス道路に進入して踏切Bの横
断を完了する車輌数34輌を減じると、当該時間帯において道路Aに渋滞する車輌数はみ
かけ上421輌となる。
【0083】
ところで、踏切Aの当該時間における遮断時間は6回、うち最大遮断時間は上り線
140秒間の遮断が3回あるが、そのうちの1回において専用バイパス道路に進入する最
大車輌数は140÷60×16で38輌、そのうち踏切B遮断時までに踏切Bを横断でき
る車輌数が(100−61)÷6で6輌、残り最大32輌は踏切B前で待機渋滞となるが、
その最大値は道路長で160m、それが踏切B再開後に6秒/輌で横断することから、専
用バイパス道路内の最後尾車輌が踏切Bを通過するのは50秒+192秒で242秒後と
なる。
【0084】
一方、下り線電車通過時における踏切A遮断は1回50秒間であり、その間に踏切A前
の車輌がすべて専用バイパス道路313に進入すると、その車輌数は16÷60×50秒
で13輌、踏切Bの排他的車輌横断専用レーン前の横断待機渋滞の最大値は道路長で
65mとなるが、その先頭車輌が踏切B前に至るときには踏切Bはすでに
開放しているた
め、専用バイパス道路内で待機する最後尾車輌となる13輌目が踏切Bを横断完了するま
での所要時間は61+78秒で139秒となる。
【0085】
そしてその後に遮断されていた踏切Aが再開放しても、元来道路Aの通行量は踏切Aに
おける車輌横断能力を超えていることから、踏切A前で自然渋滞が発現するが、
図5のよ
うに道路A502を踏切Aに向かって走行中の車輌は踏切A前の自然渋滞を確認しながら
それを回避するために左折レーンに進路変更し、専用バイパス道路入口505より左折進
入して専用バイパス道路506を経由して開放中の踏切Bの排他的車輌横断専用レーンに
至りそれを横断することができる。
【0086】
例えば
図5の道路A502上の踏切A501前付近において、踏切Aに向かう車線の自
然渋滞を確認した一部の車輌が踏切A前の渋滞を回避するために状況に応じて左折レーン
503より専用バイパス道路506に入り踏切Bに向かうことができるが、その最大値を
道路A通行量の50パーセントとすると、8輌/分の車輌が踏切Aと踏切Bに分散して横
断する形となる。
【0087】
そのとき、前述したとおり踏切Aおよび踏切B遮断機
開放直後における専用バイパス道
路内における踏切B前待機渋滞の最大値が32輌、道路長で160m、車輌渋滞最長時に
おける専用バイパス道路の占有率は24%となるが、その後専用バイパス道路に最大8輌
/分で車輌が連続して踏切Bに向かうとき、それは当該踏切横断能力の範囲内となること
から、踏切B前待機渋滞は徐々に
緩和され解消される。
【0088】
つまりこの場合、専用バイパス道路は渋滞吸収バッファの役割を果たすことになり、道
路Aにおける左折レーン503内に車輌が渋滞しない状況を形成することから、踏切A前
がボトルネックとならず、結果として道路A502に渋滞は生じない。
【0089】
それについて別の観点から述べると、前述したとおり当該時間帯における踏切B前の渋
滞パターンは最大160mが3回、最大65mが3回となるが、その合計は675m、全
車両数は135輌となるため、そのすべてが踏切B横断に要する時間は810秒となり、
その結果、専用バイパス道路に待機中の車輌が存在しない時間の合計は、当該時間帯にお
ける踏切Bの全開放時間3300秒から810秒を減じた時間の2490秒となる。
【0090】
他方、踏切Aの全
開放時間3030秒間すべてにおいて踏切A前の半数車輌8輌/分が
踏切Aが
開放する6回のタイミイングに分けて専用バイパス道路に
進入すると、
進入する
先頭車輌が踏切に達するのが61秒後であれば、3030秒のうち366秒間は踏切Bを
通過できる車輌が存在せず、3030秒から366秒を減じた2664秒間が車輌の踏切
B横断可能時間となる。
【0091】
その踏切横断可能時間において踏切A前の半数車輌8輌/分が踏切Bを横断するとき、
その車輌数は2664秒÷60秒×8輌で355輌、また3030秒間における踏切A横
断車輌数は3030秒÷60秒×8輌の404輌となり、両踏切を合わせた759輌が当
該時間帯における踏切A、踏切Bの閉鎖時間以外で両踏切を横断できる踏切車輌横断能力
となることから、前述した16輌/分の交通量を有する道路Aが当該時間帯における踏切
A遮断中に踏切A前に待機渋滞する見かけ上の車輌数421輌すべてを踏切A、踏切Bの
遮断時間以外の分散横断により解消できることになる。
【0092】
ついては、道路A502を交通量16輌/分の車輌が踏切Aのみを横断する際の当該時
間帯における車輌渋滞455輌、片側一車線の道路長としたときの渋滞距離2275mは、
本願の二踏切間における道路のバイパス機能により解消することができる。
【解決手段】同一鉄道路線内で隣接する二踏切間において、一方の踏切に平面交差する道路が鉄道車輌の通行による遮断あるいは踏切前自然渋滞により横断に時間を要するとき、当該踏切前で待機中の道路車輌が、専用バイパス道路313と隣接踏切内の一部または全部を占有して設置する排他的車輌横断専用レーン318との直接接続による踏切バイパス道路を通行することにより、当該踏切の反対側道路に至ることで踏切横断を実現し、当該踏切前の道路車輌渋滞を緩和することを特徴とする隣接二踏切間バイパス道路とその活用方法を提供する。