(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高温ガス経路構成要素は、前記基材の前記外面の少なくとも一部に沿って配置されたコーティングをさらに備える、請求項7乃至9のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別途指定のない限り、ここで提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を例証することを意図したものである。これらの特徴は、本開示の1又は2以上の実施形態を含む多様なシステムに適用することができるものと考えられる。従って、図面は、本明細書で開示される実施形態の実施に必要であることが当業者に知られた全ての従来の特徴を含むことを意図していない。
【0010】
以下の明細書及び請求項において幾つかの用語を参照するが、これらは以下の意味を有すると定義される。単数形「a」、「an」、及び「the」は、前後関係から別段の明確な指示がない限り、複数形態を含む。本明細書及び請求項全体を通じてここで使用される近似表現は、関連する基本的機能の変更をもたらすことなく、許容範囲内で変わることのできるあらゆる定量的表現を修飾するのに適用することができる。従って、「約」及び「実質的に」などの1又は複数の用語により修飾される値は、指定される厳密な値に限定されるものではない。少なくとも幾つかの事例において、近似表現は、値を測定するための計器の精度に対応することができる。ここで、及び明細書及び請求項全体を通じて、範囲限界は組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、このような範囲は前後関係又は表現がそうでないことを示していない限り、識別され、ここに包含される部分範囲全てを含む。
【0011】
本明細書及び請求項全体を通じてここで使用される近似表現は、関連する基本的機能の変更をもたらすことなく、許容範囲内で変わることのできるあらゆる定量的表現を修飾するのに適用することができる。従って、「約」、「およそ」及び「実質的に」などの1又は複数の用語により修飾される値は、指定される厳密な値に限定されるものではない。少なくとも幾つかの事例において、近似表現は、値を測定するための計器の精度に対応することができる。ここで、及び明細書及び請求項全体を通じて、範囲限界は組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、このような範囲は前後関係又は表現がそうでないことを示していない限り、識別され、ここに包含される部分範囲全てを含む。
【0012】
図1は、回転機械、すなわちターボ機械、より詳細には、タービンエンジンの概略図である。例示的な実施形態において、タービンエンジンは、ガスタービンエンジン10である。代替的に、回転機械は、限定ではないが、蒸気タービンエンジン、遠心圧縮機、及びターボチャージャを含む、他の任意のタービンエンジン及び/又は回転機械である。例示的な実施形態において、ガスタービンエンジン10は、圧縮機12、燃焼器14、タービン16、及び燃料ノズル20の各々の少なくとも1つを含む。燃料ノズル20は、燃料(図示せず)を燃焼器14内の加圧空気24に注入して混合するように構成される。燃焼器14は、燃料−空気混合物(図示せず)を点火及び燃焼させ、次いで高温ガス流22をタービン16へ送る。タービン16は、固定ベーン又はブレード(
図1には示さず)を有する1又は2以上のステータと、ステータに対して回転するブレード又はバケット(
図1には示さず)を有する1又は2以上のロータとを含む。高温ガス流22は、タービンロータブレード上を通過することによりタービンロータを駆動回転させる。タービン16は、単一の回転シャフト18に結合されており、高温ガス流22がタービンブレード上を通過するときにシャフトを回転させるようになっている。代替的な実施形態において、回転シャフト18は、互いに結合して回転シャフト18を形成する複数のシャフトセグメントである。例示的な実施形態において、回転シャフト18は、圧縮機12に結合している。圧縮機12は、回転シャフト18により回転駆動されるロータ(図示せず)に剛に取り付けられたブレード(図示せず)を含む。空気が回転しているブレード上を通過する際に、空気圧が上昇し、それにより燃焼器14に適正な燃焼に十分な加圧空気24が供給される。
【0013】
図2は、
図1に示すガスタービンエンジン10のタービン16の一部の概略図である。例示的な実施形態において、タービン16は、タービンブレード26及びステータベーン28等の高温ガス経路構成要素を含む。ステータベーン28と共に使用される翼形部30は、高温ガス流22に直接曝される前縁32を含む。ステータベーン28は、圧縮機12の1又は2以上の段からガスタービンエンジン10のケーシング34を通って送られる空気によって冷却することができる。高温ガス経路構成要素26と共に用いられる翼形部36は、高温ガス流22に直接曝される前縁38と、軸方向で反対側の後縁40とを含む。同様に、高温ガス経路構成要素26は、圧縮機12の1又は2以上の段からガスタービンエンジン10のケーシング34を通って送られる加圧空気24によって冷却することができる。
【0014】
例示的な実施形態において、加圧空気24は、高温ガス流22に曝される構成要素、例えばステータベーン28及び高温ガス経路構成要素26を冷却するために用いられる冷却流体として説明される。代替的な実施形態において、加圧空気24以外の流体を、高温ガス流22に曝される構成要素を冷却するために用いることができる。「流体」という用語は、本明細書で用いられる場合、ガス、蒸気、及び空気を含むがそれらに限定されない、流動する任意の媒体又は材料を含むこともまた理解されたい。例示的な実施形態において、高温ガス経路構成要素26内に定められた少なくとも1つの冷却システム42は、冷却流体供給導管44と流体連通結合される。例示的な実施形態において、冷却流体供給導管44は、圧縮機12に流体的に接続される。
【0015】
動作中、ガスタービンエンジン10は、圧縮機12内に空気を吸い込む。高回転速度で回転する圧縮機12は、空気を圧縮又は加圧して、加圧空気24の一部を燃焼器14に送り、かつ加圧空気24の一部を、ガスタービンエンジン10により生成された熱に曝される構成要素を冷却するのに使用するためにガスタービンエンジン10の他の領域に送る。加圧空気24は、燃焼器14内で燃料と混合され、点火されて、高温ガス流22を生成する。高温ガス流22は、燃焼器14からタービン16に向けて送られ、そこで高温ガス流22は、高ステータベーン28上を通過して、ロータホイール46に連結された高温ガス経路構成要素26に衝突する。ロータホイール46は、高温ガス経路構成要素26に衝突する高温ガス流22により回転される。高温ガス流22はまた、ステータベーン28及び高温ガス経路構成要素26に熱を伝達する。加圧空気24の一部は、少なくとも高温ガス経路構成要素26内に形成された冷却システム42を通して送られ、構成要素の冷却を促進する。
【0016】
図3は、例示的なロータホイール組立体48を示すガスタービンエンジン10の部分等角断面図であり、ロータホイール46に結合された2つの高温ガス経路構成要素26を含む。例示的な実施形態において、高温ガス経路構成要素26は、タービン16の内部に結合されている。ガスタービンエンジン10は、複数の高温ガス経路構成要素26を含む。本明細書ではタービンブレードが説明されるが、高温ガス経路構成要素は、ガスタービンエンジン10を通る高温ガス流22に少なくとも部分的に曝されるガスタービンエンジン10の任意の構成要素であり、例えば、ここで高温ガス流22の動作温度は、一例において華氏2500度(°F)(摂氏〜1371度(℃))を超える。例えば、高温ガス経路構成要素26は、限定ではないが、バケット組立体(ブレード又はブレード組立体としても知られる)、ノズル組立体(ベーン又はベーン組立体としても知られる)、シュラウド組立体、移行部品、保持リング、及び圧縮機排出構成要素を含む。高温ガス経路構成要素26は、上記の例には限定されず、高温ガス流22に少なくとも部分的に曝される任意の構成要素である。さらに、高温ガス経路構成要素26は、ガスタービンエンジン10の構成要素には限定されず、高温流に曝される任意のタイプの構成要素とすることができる。
【0017】
例示的な実施形態において、翼形部36は、少なくとも部分的に中空であり、かつプラットフォーム52でダブテール50に結合している。プラットフォーム52は、ガスタービンエンジン10の内部の高温ガス流22の半径方向内側境界を定める。翼形部36は、前縁38と後縁40との間に延びる凹形の正圧側面54と、反対側の凸形の負圧側面56とを含む。ダブテール50は、横方向すなわち円周方向で反対側の、典型的なモミの木様の配置で構成される上側及び下側ペアを含む。ダブテールタング58は、ロータホイール46の外周に形成されたダブテールスロット60において高温ガス経路構成要素26を支持する。それぞれの高温ガス経路構成要素26のダブテール50がそれぞれのダブテールスロット60に挿入されるので、高温ガス経路構成要素26は、ロータホイール46に対してしっかりと結合することができる。組み立て時、高温ガス経路構成要素26は、ロータホイール46の外周を円周方向に延びるブレードのアレイを形成する。例示的な実施形態においてダブテールスロット60の各々は、円周方向に離間したロータホイールポスト62の各ペアの間に形成される。ダブテールスロット60は、タービンブレードタング58と相補的に嵌合して圧力接触面をもたらすようになっているスロットタング64を含み、スロットタング64を介して少なくとも高温ガス経路構成要素26の遠心荷重がロータホイール46に伝達される。
【0018】
例示的な実施形態において、ダブテール50は、下側ダブテールタング58の間で円周方向に延びる一体根元部66を含む。根元部66は、下側ダブテールタング58の一体伸長部でありかつ下側ダブテールタング58の半径方向内側にある。高温ガス経路構成要素26は、例えばタービン16内で発生する温度及び応力に耐えることができる超合金を鋳込むことにより、一体成形することができる。例示的な実施形態において、根元部66は、ダブテール50の前方端壁70の離隔に定められた切り欠き68を含む。もしくは、根元部66は、前方端壁70から反対側の後方端壁72に延びること、前方端壁70において半径方向内向きに延びるリップ(図示せず)を含むこと、又はガスタービンエンジン10が本明細書で説明するように作動することを可能にする何らかの形状に形成することができる。例示的な実施形態において、根元部66は、ダブテール50の構造的完全性及び強度を高めるのを助長する。
【0019】
例示的な実施形態において、翼形部36は、少なくとも部分的に中空であり、内部冷却システム42を含む。ダブテール50は、複数の軸方向に整列した入口開口部74を含み、この入口開口部74は、ダブテール50を貫通して長手方向に延びかつ翼形部36内に形成された冷却システム42と流体連通結合する。圧縮機12から抽気された加圧空気24は、ダブテールスロット60を通って入口開口部74に送られ、加圧空気24がダブテール50を通って翼形部36に供給される。
【0020】
図4は、ガスタービンエンジン10(
図1に示す)で使用するための内部に形成された冷却システム42を含む高温ガス経路構成要素26(
図3に示す)の概略断面図である。高温ガス経路構成要素26が高温ガス流22に曝されると、高温ガス経路構成要素26は、高温ガス流22によって加熱され、高温ガス経路構成要素26が急速に劣化し得る温度に達する可能性がある。高温ガス経路構成要素26のための冷却システム42は、ガスタービンエンジン10が、ガスタービンエンジン10の効率及び性能を高める高温の高温ガス流22と共に機能することを可能にする。
【0021】
例示的な実施形態において、冷却システム42は、基材78内に形成された一連の小さい通路、又はマイクロチャネル76を含む。本明細書で用いられる場合、「小さい」又は「マイクロ」チャネル寸法は、約0.010インチ(0.25ミリメートル(mm))と約0.100インチ(2.54mm)との間の範囲内の幅を含む。基材78は、外面80及び内面82を含む。マイクロチャネル76は、基材78の外面80に形成される。高温ガス経路構成要素26は、1又は2以上の材料層を有することができるコーティング84を含む。例示的な実施形態において、コーティング84は、熱障壁コーティング(TBC)である。別の実施形態において、高温ガス経路構成要素26は、高温セラミックマトリックス複合材料(CMC)から形成することができ、1又は2以上の層を含む環境障壁コーティング(EBC)系を含む。
【0022】
例示的な実施形態において、高温ガス経路構成要素26は、マイクロチャネル76の少なくとも一部を覆う1又は2以上のカバー又はろう付けシート86をさらに含む。もしくは、高温ガス経路構成要素26にはろう付けシート86が使用されず、マイクロチャネル76は、高温ガス経路構成要素26の内部に、又は高温ガス経路構成要素26の表面に形成され、マイクロチャネルを通過する流れを妨害することなくコーティング84がマイクロチャネル76を覆うようになっている。例示的な実施形態において、加圧空気24(
図4には示されていない)は、少なくとも1つのプレナム88からマイクロチャネル76に供給され、加圧空気24は、マイクロチャネル76を通ってコーティング84を冷却する。例示的な実施形態において、冷却システム42は、背面対流冷却を利用して加圧空気24をマイクロチャネル76に供給し、加圧空気24がイクロチャネル76を通って高い熱伝達率及び比較的均一な温度プロフィールでもってコーティング84を冷却することを可能にする。
【0023】
一般的に、基材78は、基材78の外面80にマイクロチャネル76を形成する前に鋳造される。もしくは、マイクロチャネル76は、製造中に基材78内に鋳造することができる。基材78は、高温ガス経路構成要素26の企図された用途に応じて任意の適切な材料、例えば、限定ではないが、Ni基、Co基、及びFe基超合金などから形成することができる。ある種のNi基超合金は、高温強度及び高温クリープ耐性を含む望ましい性質の組合せゆえに有利であることが知られている。基材78を形成するために用いられる材料はまた、NiAl金属間合金を含むものであってもよく、なぜなら、これらの合金もまた航空機用に用いられるタービンエンジン用途での使用に有利な高温強度及び高温クリープ耐性を含む優れた性質を有するものとして知られているからである。代替的な実施形態において、基材78は、該基材78が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の材料から形成される。
【0024】
例示的な実施形態において、ろう付けシート86は外面80の外形に一致してマイクロチャネル76を覆い、結果的に冷却通路90を形成する。コーティング84は、基材78の外面80及びろう付けシート86の少なくとも一部に沿って延びて、高温ガス経路構成要素26上に保護材料層を形成する。1つの実施形態において、コーティング84は、ボンドコート及びTBCといった1又は2以上の材料層を含む。例えば、コーティング84は、イットリア安定化ジルコニアであり、本明細書で説明するように物理蒸着プロセス又は溶射プロセスにより高温ガス経路構成要素26に施工することができる。もしくは、コーティング84は、セラミック、例えば、限定ではないが、IV族、V族及びVI族元素から形成された酸化物又はLa、Nd、Gd、Yb等のランタノイド系列元素により修飾された酸化物などの、他の耐火性酸化物により修飾されたジルコニアの薄層とすることができる。具体的な構成に関して、コーティング84は、工業用ガスタービン構成要素用には、0.1から2.0ミリメートルの範囲、より特定すると0.1から1ミリメートルの範囲、さらに特定すると、0.1から0.5ミリメートルの範囲の厚さを有する。しかしながら、特定の高温ガス経路構成要素26に対する要件に応じて他の厚さを利用することができる。
【0025】
コーティング84は、種々の技術を用いて高温ガス経路構成要素26上に堆積する。1つの実施形態において、コーティング84は、イオンプラズマ堆積を行うことにより基材78の外面80の少なくとも一部の上に配置される。簡単に述べると、イオンプラズマ堆積は、コーティング材料で形成されたカソードを真空チャンバ内の真空環境の中に配置することと、基材78を真空環境内に準備することと、カソードに電流を供給してカソード表面上にカソード電弧を形成し、その結果、カソード表面からのコーティング材料の消耗又は蒸発をもたらすことと、カソードからのコーティング材料を基材の外面80に堆積することと、を含む。1つの実施形態において、イオンプラズマ堆積プロセスは、プラズマ蒸着プロセスを含む。コーティング84の非限定的な例は、構造コーティング、接合コーティング、耐酸化性コーティング、及び熱障壁コーティングを含む。代替的な実施形態において、コーティング84は、溶射プロセスを行うことにより基材78の外面80の少なくとも一部の上に配置される。例えば、限定ではないが、溶射プロセスは、燃焼溶射及び/又はプラズマ溶射を含む。燃焼溶射プロセスは、高速酸素燃料溶射(HVOF)又は高速空気燃料溶射(HVAF)を含む。プラズマ溶射プロセスは、雰囲気(例えば空気又は不活性ガス)プラズマ溶射、又は真空プラズマ溶射(VPS)としても知られる低圧プラズマ溶射(LPPS)を含む。代替的に、コーティング84の1又は2以上の層を堆積するための技術は、限定ではないが、スパッタリング、電子ビーム物理蒸着、無電解めっき、電解めっき、及びコーティング84が本明細書で説明するように機能することを可能にする他の任意のプロセスを含む。
【0026】
図5は、
図4に示す高温ガス経路構成要素26の一部の概略斜視図であり、基材78の外面80に沿って部分的に延びて冷却流体をそれぞれの気膜冷却孔92に送る、3つのマイクロチャネル76を示している。
図6は、
図5に示すマイクロチャネル76のうちの1つの概略断面図であり、加圧空気24をプレナムアクセス通路94から1又は2以上の気膜冷却孔92に送るマイクロチャネル76を示している。例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は、加圧空気24をそれぞれのプレナムアクセス通路94からそれぞれの流出気膜冷却孔92又は排出通路へ送る。しかしながら、代替的な実施形態は、気膜冷却孔92を備えていない。1つの特定の実施形態において、
図5の1つのマイクロチャネル76に関連して示すように、2つ以上の気膜冷却孔92は、マイクロチャネル76の長さに沿って相隔たり、トレンチ出口マイクロチャネルを形成する。冷却孔92がない実施形態において、マイクロチャネル76は、基材78の外面80に沿って延びて、後縁又はバケット先端といった高温ガス経路構成要素26の端部から、又は端壁の端部104(
図3に示す)から流出する。加えて、
図5では気膜冷却孔92は円形で示されているが、これは単なる非限定的な例であることに留意されたい。気膜冷却孔92は、該気膜冷却孔92が本明細書に説明するように機能するのを可能にする任意の形状の孔とすることができる。
【0027】
例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は、基材78の外面80に形成される。プレナムアクセス通路94は、基材78を貫通して外面80から内面82に延びかつマイクロチャネル76に対して鋭角で形成されている。例えば、例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は、水平方向かつ実質的に直線状のチャネルとして示されており、端部外面80に対して実質的に平行である。プレナムアクセス通路94は、マイクロチャネル76に対して角度αで形成されており、角度αは90度未満である。プレナムアクセス通路94はマイクロチャネル76と交差しないが、
結合通路96によってマイクロチャネル76に流体連通結合する。さらに、プレナムアクセス通路94は、
結合通路96に対して鋭角で形成される。例えば、例示的な実施形態において、
結合通路96は、プレナムアクセス通路94とマイクロチャネル76との間で延びてこれらを流体連通する、実質的に直線状のチャネルとして示されている。プレナムアクセス通路94は、
結合通路96に対して角度βで形成されており、角度βは90度未満である。
【0028】
例示的な実施形態において、マイクロチャネル76、プレナムアクセス通路94、及ぶ
結合通路96は、種々の技術を利用して形成することができる。例えば、限定ではないが、これらの特徴部を形成するための技術としては、レーザー加工、ウォータージェット加工、電解加工(ECM)、放電加工(EDM)、フォトリソグラフィー、又は適度な寸法及び公差のチャネルをもたらすことができる任意の他のプロセスを挙げることができる。1つの特定の実施形態において、高圧水流に懸濁された高速流の研磨粒子(例えば、研磨「グリット」)を利用するウォータージェット加工を使用する。水圧はかなり変化するが、多くの場合、約35−620MPaの範囲である。ガーネット、アルミナ、炭化ケイ素、及びガラスビーズといった多くの研磨材を使用することができる。可能性のある研磨液体ジェット加工技術は、チャネル形状の制御に関して、段階的に様々な深さに除去するこ
とを容易にする。例えば、限定ではないが、このプロセスによって、プレナムアクセス通路94及びマイクロチャネル76に繋がる
結合通路96は、一定断面積の真っ直ぐな孔、成形孔(楕円形等)、又は縮小又が拡大孔としてドリル加工される。加えて、研磨液体ジェットシステムは、多軸コンピュータ数値制御(CNC)ユニットを含むことができる。CNCユニットにより、X、Y、及びZ軸の複数の軸に沿った又は回転軸の周りの切削工具の移動が可能になる。
【0029】
例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は、加圧空気24をプレナムアクセス通路94から出口気膜冷却孔92へ送る。典型的に、マイクロチャネル76の長さは気膜冷却孔92の直径の10から1000倍の範囲にあり、より具体的には、気膜冷却孔92の直径の20から100倍の範囲にある。マイクロチャネル76は、高温ガス経路構成要素26の外面80の任意の場所で使用することができる。加えて、マイクロチャネル76は、例えば、直線、湾曲、又は多重曲線の任意の構成とすることができる。
【0030】
マイクロチャネル76は、約0.010インチ(0.25ミリメータ(mm)から約0.100インチ(2.54mm)の範囲の深さA及び幅B(図示せず)を有する。もしくは、マイクロチャネル76は、該マイクロチャネル76が本明細書で説明したように機能するのを可能にする任意の深さ及び幅を有することができる。例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は半円であり、深さAは半径寸法を表す。代替的な実施形態において、マイクロチャネル76は、該マイクロチャネル76が本明細書で説明したように機能するのを可能にする、限定ではないが、例えば、正方形、長方形、三角形、及び半卵形である任意の断面形状を有することができる。いくつかのマイクロチャネル76は特定の幾何学的形状の断面を有するが、他のマイクロチャネル76は他の幾何学的形状の断面を有することが想定されている。
【0031】
例示的な実施形態において、マイクロチャネル76は、略直線状とすること、又は略湾曲、正弦曲線、又は蛇行状とすることができる。マイクロチャネル76は、加圧空気24がマイクロチャネル76を通って高温ガス流22に対して任意の方向に流れるように向きを定めることができる。例えば、限定ではないが、加圧空気24は、マイクロチャネル76又はその一部を通って、高温ガス流22に対して下流方向に流れること又は高温ガス流22に対して上流方向に流れること、又は高温ガス流22に対して任意の方向に流れることができる。一部の実施形態において、マイクロチャネル76は、単一、個別のマイクロチャネルとすることができる。他の実施形態において、マイクロチャネル76、又はマイクロチャネル76の一部は、マイクロチャネル76から分岐して複数のマイクロチャネル分岐を形成することができる。一部の実施形態において、マイクロチャネル76は、高温ガス経路構成要素26の全周囲に配置されること、又は高温ガス経路構成要素26の周囲の一部のみに配置されることが想定されている。しかしながら、マイクロチャネル76の各々は、全体的に他のマイクロチャネル76と交差しないことを理解されたい。
【0032】
例示的な実施形態において、
結合通路96は、気膜冷却孔92とは反対側のマイクロチャネル76の端部とプレナムアクセス通路94との間に流体連通状態で延びる。
図6に示すように、
結合通路96は、基材78の外面80の下方の距離Dにおいてプレナムアクセス通路94と交差する。これは粒子収集チャンバ98を定めるのを助ける。例示的な実施形態において、収集チャンバ98は、ろう付けシート86と
結合通路96の交差点との間に示されている。もしくは、収集チャンバ98は、コーティング84又は外面80と
結合通路96の交差点との間に形成される。1つの実施形態において、収集チャンバ98は、出口通路106を含み、堆積した微粒子100を収集チャンバ98から除去できるようになっている。一般に、出口通路106の断面積はマイクロチャネル76の断面積よりも小さいが、出口通路106は、冷却システム42が本明細書に説明したように機能できる任意のサイズである。例示的な実施形態において、
結合通路96は、約0.025インチ(0.6ミリメートル(mm))から約0.035インチ(0.9mm)の範囲の断面幅Bを有する。例示的な実施形態において、
結合通路96は円形であり、幅Bは、直径寸法を表す。別の実施形態において、
結合通路96は、
結合通路96が本明細書に説明したように機能できる、例えば、限定ではないが、正方形、長方形、三角形、又は半卵形の任意の断面形状を有することができる。いくつかの
結合通路96は特定の幾何学的形状を有するが、他の
結合通路96は他の幾何学的形状を有することが想定されている。
【0033】
例示的な実施形態において、プレナムアクセス通路94は、
結合通路96の断面幅Bよりも大きい断面幅Cを有する。詳細には、幅Cは、約0.040インチ(1.0ミリメートル(mm))から約0.060インチの(1.5mm)の範囲にある。例示的な実施形態において、プレナムアクセス通路94は円形であり、幅Cは、直径寸法を表す。従って、例示的な実施形態において、調整孔通路96の直径に対するプレナムアクセス通路94の直径の比率は、約1.14から約2.4の間である。別の実施形態において、プレナムアクセス通路94は、該プレナムアクセス通路94が本明細書に説明したように機能できる、例えば、限定ではないが、正方形、長方形、三角形、又は半卵形の任意の断面形状を有することができる。いくつかのプレナムアクセス通路94は特定の幾何学的形状の断面を有するが、他のプレナムアクセス通路94は他の幾何学的形状の断面を有することが想定されている。
【0034】
前述のように、プレナムアクセス通路94は粒子収集チャンバ98を含む。例示的な実施形態において、粒子収集チャンバ98は、マイクロチャネル76及び気膜冷却孔92が閉塞する可能性を軽減するように機能する。加圧空気24に混合された微粒子100は、気膜冷却孔92及びマイクロチャネル76が閉塞するリスクを引き起こす。このような閉塞は、マイクロチャネル76を通る流れを低減するか、又はマイクロチャネル76を完全に塞ぐので、冷却性能が低下して高温ガス経路構成要素26の温度が設計限界を超えて上昇する。粒子収集チャンバ98は、流路の幾何形状を変更することで、冷却システム42の
結合通路96を通る微粒子100の量を低減する手段を提供する。1つの実施形態において、収集チャンバ98は、微粒子100を高温ガス流22の中に排出することができる出口通路106を含む。
【0035】
動作中、加圧空気24は、プレナムアクセス通路94、
結合通路96、及びマイクロチャネル76の圧力よりも概して高い圧力で、冷却システム42、詳細にはプレナム88を通過する。差圧によって、冷却システム42の内部に閉じ込められた加圧空気24の一部がプレナムアクセス通路94に流入して通過し、さらにプレナムアクセス通路94から
結合通路96及びマイクロチャネル76に流入して通過する。プレナムアクセス通路94は
結合通路96及びマイクロチャネル76に対して鋭角で形成されるので、加圧空気24及び何らかの微粒子100は、粒子収集チャンバ98に流入することになる。加圧空気24が
結合通路96に向かって急旋回する際に、微粒子100の慣性により微粒子は粒子収集チャンバ98に運ばれ、微粒子は粒子収集チャンバ98に収集されてより小さな断面積の
結合通路96に入るのが妨げられる。加えて、1つの実施形態において、収集チャンバ98は、出口通路106を含み、収集された微粒子100は高温ガス流22の中に排出される。
【0036】
例示的な実施形態において、プレナムアクセス通路94は、基材78及びコーティング84に対する対流冷却をもたらすように構成される。例えば、限定ではないが、プレナムアクセス通路94は、概して加圧空気24がろう付けシート86、基材78、又はコーティング84に衝突するのを可能にする角度で方向付けされるので、加圧空気24の冷却効率が高くなる。加圧空気24はプレナムアクセス通路94を通過して
結合通路96及びマイクロチャネル76に供給されるので、加圧空気24は高温ガス経路構成要素26の冷却を可能にする。加圧空気24がマイクロチャネル76を通過して基材78のコーティング
84及び外面80を冷却した後、加圧空気24はマイクロチャネル76から排出することができる。例えば、限定ではないが、1つの実施形態において、
図5-6に示すように、加圧空気24は、コーティング84の外面102の付近から排出することができる。もしくは、加圧空気24は、翼形部36の後縁40又は前縁38、又は高温ガス経路構成要素26の端壁の端部104(
図3に示す)といった、高温ガス経路構成要素26の端部から高温ガス流22の経路に排出することができる。
【0037】
本明細書に説明するシステム及び方法は、高い熱伝達率及び比較的均一な温度プロフィールでの高温ガス経路構成要素26の冷却を助長する。従って、本開示の冷却システム42は、高温ガス経路構成要素26の寿命を延ばすことができ、さらに高温ガス経路構成要素26を高温ガス流22において使用することができるので、ガスタービンエンジン10の性能及び効率が向上する。
【0038】
本明細書で説明したシステム及び方法は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されない。例えば、各装置及びシステムの構成要素は、本明細書で説明される他の構成要素から独立して別個に利用することができる。例えば、システム及び方法は、他のタービンシステムとの組合せで用いることもでき、本明細書で説明したようなガスタービンエンジンとの実施のみに限定されない。むしろ例示的な実施形態は、他の多くの用途との関連で実装され利用されることができる。
【0039】
本開示の種々の実施形態の特定の特徴は、幾つかの図面内に示されており他の図面内には示されてない場合もあるが、これは便宜上に過ぎない。本開示の原理に従い、ある図面の何らかの特徴が他の図面のいずれかの特徴との組合せにおいて参照され及び/又は特許請求される場合がある。
【0040】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本明細書で説明されるシステムを開示し、また、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作成すること及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、本開示を実施することを可能にする。本開示の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0041】
様々な特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、請求項の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を実施することができることは、当業者であれば理解されるであろう。