(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御変数の前記限界を設定するステップは、前記UFC α またはターゲットα からα' の利得調整された値を減算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1のフィードバックベースは固定制御変数限界を含み、前記第2のフィードバックベースは、前記UFC α またはターゲットα およびα' の前記関数として設定された前記限界を含む、請求項1に記載の方法。
前記α' に基づいて前記操縦面を偏向させるために使用される前記制御変数に前記限界を設定するステップとともに、減速率を制御するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
前記第1のフィードバックループは、最大制御変数値に基づいて制御変数リミッタを設定し、前記第2のフィードバックループは、前記UFC α またはターゲットαおよび前記α' の前記関数に基づいて前記制御変数リミッタを設定する、請求項6に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様では、ビークルの操作態様を向上させる方法は、操縦面を偏向させるために使用される制御変数の限界を設定するステップを含み、限界は、不利なフライト条件および/または望まれるターゲット迎角および迎角の変化率(α')の関数として設定される。本方法はまた、パイロット制御変数コマンドが限界を超えるのを防止するステップを含む。
【0004】
本開示の別の態様では、ビークルの操作態様を向上させる方法は、制御ループを使用して操縦面を偏向させるステップと、ある条件が存在すると判定するステップとを含む。条件が存在する場合に、迎角の変化率に基づいて操縦面を偏向させるステップに限界を設定する。
【0005】
本開示のまた別の態様では、ビークルの操作態様を向上させるシステムは、機体と、ビークルの姿勢に関係する制御変数を設定するためにパイロットによって使用されるフライトコントロールと、フライト中のビークルの姿勢に影響を及ぼす操縦面とを含む。本システムはまた、機体に結合された迎角センサおよび迎角率センサと、フライトコントロール、迎角センサ、および操縦面に結合されたフライトクリティカルデジタルコンピュータとを含む。フライトクリティカルデジタルコンピュータはプロセッサとメモリとを含み、メモリは、プロセッサによって実行された場合に、フライトコントロールから制御変数を受信することと、フライトコントロールから受信された制御変数に応答して操縦面を偏向させることとをフライトクリティカルデジタルコンピュータに行わせるコンピュータ実行可能命令を有する。フライトクリティカルデジタルコンピュータはまた、制御変数がしきい値を超えると判定し、制御変数がしきい値を超える場合に、ビークルがUFCに達するおよび/または望まれる迎角限界を超えるのを防ぐための操縦面の偏向を制限するために、不利なフライト条件および/または望まれるターゲット迎角および迎角の変化率の関数として制御変数に限界を設定する。
【0006】
本発明は、ビークルの操作態様を向上させる方法を伴うことができ、本方法は、操縦面を偏向させるために使用される制御変数の限界を設定するステップであって、限界が、不利なフライト条件(UFC)/ターゲット迎角(α)および迎角の変化率(α')の関数として設定される、ステップと、パイロットから受信される制御変数コマンドが制御変数の限界を超えるのを防止するステップとを含み得る。制御変数の限界を設定するステップは、精度を向上させるためにUFC/ターゲットα からα' の利得調整された値を減算するステップを含み得る。操縦面を偏向させるために使用される制御変数は、制御ループの一部であり得る。信頼性を改善するために、本方法はまた、パイロットから受信される制御変数コマンドがしきい値限界を超えると判定するステップと、第1のフィードバックベースから第2のフィードバックベースに制御ループを変更するステップとを含み得る。第1のフィードバックベースは固定制御変数限界を含み得、第2のフィードバックベースは、UFC/ターゲットα およびα' の関数として設定された限界を含む。第1のフィードバックベースは、センサデータを使用して計算されたビークル速度誤差値を使用し得、第2のフィードバックベースは、ビークル速度誤差値を0に設定する。本方法はまた、α' に基づいて操縦面を偏向させるために使用される制御変数に限界を設定するステップとともに、減速率を含み得る。減速率は3ノット/秒に限定され得る。
【0007】
本発明は、ビークルの操作態様を向上させる方法を伴うことができ、本方法は、制御ループを使用して操縦面を偏向させるステップと、ある条件が存在すると判定するステップと、条件が存在する場合、迎角の変化率に基づいて操縦面を偏向させるステップに限界を設定するステップとを含み得る。本方法はまた、条件が存在する場合、制御ループの速度誤差を0に設定するステップを含み得る。迎角の変化率に基づいて操縦面を偏向させるステップに限界を設定するステップは、限界を、本迎角の変化率と因子との積よりも小さいUFC/ターゲットα の変数値に等しく設定するステップを伴い得る。UFC/ターゲットα の変数値は、翼構成と、ビークルの速度(マッハ)と、ビークルの高度との組合せに従って決定され得る。本方法はまた、迎角の変化率に基づいて操縦面を偏向させるステップの関数としてビークル減速を限定するステップを含み得る。0.7よりも大きい減衰応答を引き起こすために、制御ループにおけるα' フィードバック利得が選択され得る。α' フィードバック利得は、速度減速を毎秒3ノットのレートに限定するように選択され得る。条件は、c*-cmd の積分がc*-cmd の積分の所定のしきい値を超えることであり得る。c*-cmd がc*-cmd しきい値よりも小さい場合、条件は存在し得ず、その結果、c*-cmd の積分は0に設定され得、操縦面を調整するステップへの限界は、c*-cmd の値を最大化するように設定され得る。
【0008】
本発明は、ビークルの操作態様を向上させるシステムを伴うことができ、本システムは、機体と、ビークルの姿勢に関係する制御変数を生成するためにパイロットによって使用されるフライトコントロールと、フライト中のビークルの姿勢に影響を及ぼす操縦面と、機体に結合された迎角センサと、フライトコントロール、迎角センサ、および操縦面に結合されたフライトクリティカルデジタルコンピュータとを含み得、フライトクリティカルデジタルコンピュータはプロセッサとメモリとを含み、メモリは、プロセッサによって実行された場合、フライトコントロールから制御変数を受信することと、フライトコントロールから受信された制御変数に応答して操縦面を偏向させることと、制御変数の時間積分がしきい値を超えると判定することと、制御変数がしきい値を超える場合、計算された迎角をビークルが超えるのを防止する操縦面の移動を制限するために、UFC/ターゲット迎角(α)および迎角の変化率(α')の関数として制御変数に限界を設定することとをフライトクリティカルデジタルコンピュータに行わせるコンピュータ実行可能命令を有する。性能を向上させるために、本システムはまた、ビークルの速度を報告する速度センサと、ビークルの高度を報告する高度センサとを含み得、フライトクリティカルデジタルコンピュータは、UFC/ターゲットα を決定するためにビークルの速度および高度を使用する。信頼性を改善するために、フライトクリティカルデジタルコンピュータは、制御変数がしきい値よりも小さい場合に第1のフィードバックループを使用し、制御変数の時間積分がしきい値よりも大きい場合に第2のフィードバックループを使用し得る。第1のフィードバックループは、最大制御変数値に基づいて制御変数リミッタを設定し得、第2のフィードバックループは、UFC/ターゲットα およびα' の関数に基づいて制御変数リミッタを設定する。
【0009】
述べられた特徴、機能、および利点は、様々な実施形態において独立して達成され得るか、あるいはさらに他の実施形態において組み合わされ得、それらの実施形態のさらなる詳細については以下の説明および図面を参照するとわかるであろう。
【0010】
開示する方法および装置のより完全な理解のために、添付の図面においてより詳細に示された実施形態への参照が行われるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、開示する実施形態は、時々、概略的に部分図で示されることを理解されたい。いくつかの事例では、開示する方法および装置の理解のために不要であるか、または他の詳細を知覚するのを困難にさせる詳細については、省略していることがある。もちろん、本開示は、本明細書に示された特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0013】
図1はビークル100を示す。
図1では航空機であるビークル100は、胴体103と翼104とを含む機体102を有する。推進ユニット106が翼104に結合され得る。翼104はまた、翼前縁キャンバを増加させ、それによってより多くの揚力が生じるように、着陸など、いくつかの状況において配備され得るフラップ108および前縁デバイス110を含み得る。尾部セクション112は、フライト中にビークルのピッチ姿勢に影響を及ぼす操縦面116の一例である昇降舵114を含む。
【0014】
図2は、ビークル100の追加の要素のブロック図である。フライトクリティカルデジタルコンピュータ122は、プロセッサ124と、メモリ126とを含む。データ入出力バス128は、プロセッサ124をメモリ126に結合する。バス128はまた、限定はしないが、ビークル構成130、迎角センサ131、フライトコントロール132、速度センサ133、高度センサ134、G力センサ135、ピッチセンサ136、およびピッチレートセンサ137を含む、様々な入力および出力にフライトクリティカルデジタルコンピュータ122を接続する。ビークル構成130は、前縁デバイス110、フラップ108、昇降舵114の位置などを含む、ビークル100の状態を判定するいくつかのセンサおよび/またはアクチュエータからの入力を表す。
【0015】
図3および
図4を手短に参照すると、迎角(α)は、翼170の弦172と気流174との間の角度として定義される。
図3は0のα を示すが、
図4が正のα を示す。
図2に戻ると、α センサ131はLIDARセンサであり得るか、あるいはα は、圧力センサのアレイ(図示せず)、ベーン、または別の機構を使用して決定され得る。フライトコントロール132は、ビークル100のそれぞれピッチ/ロールおよびエンジン出力を指令するためのよく知られているカラム/ホイールおよびスロットルコントロールを含み得る。速度センサ133は、速度(対気速度)、対地速度、または両方を報告するために、ピトー管、GPS、慣性センサ、LIDARなどを使用し得る。高度センサ134は、ビークル100の高度を決定するために、空気圧力、GPS、レーダー応答器などを使用し得る。G力センサ135は、重力に対する力に関して加速度を測定する。ピッチセンサ136およびピッチレートセンサ137は、それぞれ、ビークル100のピッチおよびピッチの変化率を測定し、ただし、ピッチは、地平線に対するビークル100の前後方向の姿勢である。
【0016】
フライトクリティカルデジタルコンピュータ122はまた、昇降舵114などの操縦面116を偏向させるために、油圧シリンダまたは電気サーボモーターなどの操縦面アクチュエータ138を動作させる出力など、1つまたは複数の出力を含み得る。方向舵、スポイラーおよび補助翼を含む、他の操縦面のための追加の出力もフライトクリティカルデジタルコンピュータ122から指令され得るが、明快のために意図的に省略している。
【0017】
プロセッサ124は、メモリ126に記憶された命令を実行するように物理的に構成されたハードウェアデバイスである。メモリ126は、限定はしないが、RAM、ROM、PROMおよび他の固体構造を含む半導体メモリであり得、また、CD、DVD、および/またはフラッシュメモリデバイスなどの大容量記憶デバイスおよび/またはリムーバブル記憶媒体を含み得るが、搬送波などの伝搬される媒体を含まない。メモリ126は、フライトクリティカルデジタルコンピュータ122の動作を管理するために使用されるオペレーティングシステム140と、フライトクリティカルデジタルコンピュータ122における条件を構成し診断するために使用されるユーティリティ142とを含み得る。メモリ126はまた、制御機能144のための命令、ならびに動作データおよび/またはルックアップテーブル146を含み得る。制御機能144は、プロセッサ124によって実行された場合、フライトコントロールから制御変数を受信することと、操縦面116のための望まれる設定を決定することと、制御変数に応答して操縦面116を移動することとをフライトクリティカルデジタルコンピュータ122に行わせる命令を含み得る。
【0018】
制御機能144はまた、制御変数がしきい値を超えると判定するために使用される命令を含み得る。一実施形態では、しきい値は、動作データおよびルックアップテーブル146中に記憶され得る。制御変数は、負荷因子と呼ばれることがあるG力コマンド(g-cmd)、または迎角コマンド(α-cmd)であり得る。他の実施形態では、C*コマンドシステム(gの単位を用いた法線力およびピッチレートコマンドの組合せに基づくgコマンドシステム)または様々な飛行機製造業者によって使用されるC*Uコマンドシステムにおいて知られているように、コマンド変数のために別の性能指数が使用され得る。この説明では、制御変数はc*-cmd を参照される。例えば、多くの現代のシステムは、ビークル100が非ターミナル操作のために構成された場合に一定の速度を上回る場合、主にG力(g-cmd)信号を使用する。この事例における制御ループは、例えば、−0.5gから+2.5gまでの、航空機法線加速度のフライトコントロール規制に基づき得る。他の事例では、例えば、ビークル100が着陸している場合、制御ループは、法線加速度コマンドよりもピッチレートコマンドに応答することがある。
【0019】
以下でさらに説明するように、例えば、しきい値を上回るc*-cmd 値がビークル100をあまりに迅速に減速させる場合、c*-cmd に対して限界が設定され得る。一実施形態では、コマンド変数は、不利なフライト条件を防止するために、または所望のターゲット迎角を超えることを防止するために、ターゲット迎角(UFC迎角および/または別のターゲット迎角)ならびに迎角の変化率の関数として限定され得る。この様式で操作する場合、UFC/ターゲット迎角は、速度センサ133によって報告されるビークル100の速度218と、高度センサ134によって報告される高度227との組合せを使用して、フライトクリティカルデジタルコンピュータ122によって決定され得る。すなわち、固定のUFC/ターゲット迎角がないので、UFC/ターゲット迎角値は、翼構成など、これらおよび他の条件に基づいてリアルタイムで決定され得る。
【0020】
ビークル100がズーム上昇に関与する間、UFCを回避するために使用されるコマンドループ200の図が
図5に示されている。ズーム上昇は、航空機のエンジンのスラストから判定して、上昇率が、持続した上昇の最大値よりも大きい上昇である。コマンドループ200は、ビークル100の迎角を限定することなど、操作態様を向上させるために使用される。ズーム上昇UFC/迎角保護が非アクティブである、通常フライト中である場合に、コマンドセレクタ202、速度フィードバックセレクタ226、および限界セレクタ234という、3つのセレクタはすべて、
図5に示された選択解除された位置にある。この状態で、コマンドループ200は従来の方法で動作する。フライトコントロール132のパイロットのポジショニングに基づく本制御変数コマンド(cv-cmd)は、入力変数として使用される。cv-cmd として受け渡される実際の制御変数は、上記で説明した本フライトプロファイルに基づき得る。
【0021】
cv-cmd が受信され、コマンドセレクタ202を通過した後に、演算子204において速度誤差フィードバック項がcv-cmd 中に加算される。得られた制御変数は、以下で説明する、制御変数限界236に基づいてリミッタ206においてクリッピングされる。フライト制御ループ207は、ビークル100の実際の操縦面を管理するために使用される。比例プラス積分(PPI)演算子208は、リミッタの出力を取り、以下で説明するフィードバック値を使用して、一実施形態では昇降舵114に接続された、油圧シリンダまたは電気モーター(図示せず)などのアクチュエータ210を制御するコマンド209を生成する。アクチュエータ/昇降舵の移動はビークル100の姿勢を変化させ、それにより、センサ212は、コマンドループ200中でフィードバックのために使用されるフライト特性を決定することが可能になる。
【0022】
速度(V)218(すなわち、対気速度)は加算器220に供給され、加算器220は、本速度V218を基準速度224と比較して、速度誤差信号Ve を生成する。速度誤差信号Ve は、ブロック228においてスケーリング因子k
ss で乗算され、得られた速度誤差フィードバック項は演算子204において加算される。制御変数フィードバック項216、例えば、G力、ピッチレート、迎角などは、制御方式に応じて、フィードバック利得ブロック214においてパラメータ的に変化させられ、PPI演算子208に提供される。フィードバック利得ブロック214の1つまたは複数のフィードバック利得値は、望まれる応答特性を達成するためにフライト条件とともに変化させられ得る。
【0023】
制御変数限界(cv 限界)236は、cv-cmd タイプに基づいて設定される。例えば、cv-cmd がg-cmd である場合、cv 限界236は2.5gに設定され得、これは、パイロットがカラムを完全に後方に移動する場合でも、ビークル100が2.5gのG力を超えることがないことを意味する。同様に、cv-cmd がα コマンドである場合、限界は14度であり得る。
【0024】
cv-cmd のしきい値を超えた場合、コマンドループ200はズーム上昇UFC防止モードに切り替えられる。このモードからの出入りについては、
図7に関して以下でより詳細に説明する。ズーム上昇UFC防止モードに入ると、セレクタ202、226、および234の各々が切り替えられる。コマンドセレクタ202は、cv-cmd 制御コマンドを、現在の選択、例えば、c*-cmd からα コマンドに強制する。α コマンドシステムが本質的に安定した速度であり、この目的のために速度フィードバックを必要としない場合、速度フィードバックセレクタ226は、ループから速度218フィードバックを除去し、速度フィードバック誤差値を0に設定する。最後に、限界セレクタ234が、cv 限界236の現在値から、変数値、α 限界に設定される。α 限界は迎角の変化率α' 230の関数である。演算子232は、次式に従ってα 限界を設定する。
α 限界 = [α
UFC | α-target]- kα'
limit * α'
ただし、UFCは、不利な条件の省略表現であり、
[α
UFC | α-target]=観測された条件に基づく現在の不利な条件角度またはターゲット迎角のいずれか一方であり、
kα'
limit は、シミュレーション情報に基づいてc*-cmd とα-cmd との間の遷移ポイントを設定するために選択される。α
UFC のような、この値は経験的に生成され得、問題になっている条件、ビークル構成、ならびに高度および速度などのフライト条件とともに変化する。
【0025】
α
UFC/α-target とkα'
limit との値は、ブロック229においてルックアップテーブルまたは式から選択され得る。これら値は、速度218と、高度227と、翼構成(フラップおよび前縁デバイス)との関数であり、ビークルタイプごとに一意である。例えば、不利な条件迎角(α
UFC)は、より低い速度ではより高くなる。より高い速度では、マッハ/圧縮性効果が、より低い迎角において高速バフェットおよび不利な条件を引き起こし得る。翼構成は失速迎角にも影響を及ぼし、例えば前縁デバイス110が拡張された場合、翼エアフォイル上のフロー剥離が遅延され得、それにより、翼の不利な条件がそれにおいて起こる迎角が増加する。計算されたα 限界は、次いで、リミッタ206の最大値として設定され、対応して、PPI演算子208に受け渡されるα-cmd の最大値として設定される。α 限界は、α
UFC および/または望まれるα ターゲットに応じてリアルタイムで計算され、2次項α' は、迎角(α)がそれのターゲット限界を超えるのを防止する。α 限界にリミッタ206上で限界を設定することは、したがって、本条件(α, α')と、限界セレクタ234が相応に設定されるようにα-cmd モードにあるコマンドループ200の状態との関数である。限界を設定することにより、操縦面116は、UFCを引き起こすのに十分に偏向されるか、またはターゲット迎角を超えるのを防止される。
【0026】
本開示では、不利な条件迎角(α
UFC)または別のターゲットα の下方にビークルを限定する能力の両方について論じるが、現実には、α
UFC は、ターゲットα が不利な条件α に等しくなるような、一般的なターゲットα の特殊な事例にすぎない。
【0027】
図6を参照すると、α 限界演算中の
図5のフライト制御ループ207の図が示されている。以下で説明する例示的な性能グラフに示されているように、許容できるコマンド応答短期間処理特性をもつ迎角を調節するためにフィードバック利得Kα 290およびKα' 292が設定される。一実施形態では、(kα’
limit と同じではない)Kα' は、α オーバーシュートを最小限に抑えるために、0.7よりも大きい短期間減衰応答を保証するように設定される。ズーム上昇保護システム(ZCPS)が関与し、α のオーバーシュートと速度218のアンダーシュートとが回避された場合、α' と速度減少率の両方は効果的に限定される。限定されたα-cmd を生じるα コマンド限界は、上記で説明したように設定される。その効果は、持続する大きい後方カラムコマンドによって引き起こされる高速減速が既存の制御ループをオーバーシュートさせ、潜在的にビークルを不利なフライト条件のままにさせるようなフライトモードに、パイロットがビークル100を意図的に、または不用意にすることが不可能になることである。
【0028】
図7から
図10は、既存のフライト制御方式と比較したズーム上昇保護α 限定の例示的な一実施形態を示す。
図7は、曲線320によって示される、ビークル100におけるパイロットによる完全な後方カラム移動を示す。この例示的な実施形態では、ビークル条件は、40におけるフラップと、40%重心と、14度のα-target とを含む。すなわち、ビークル100の最大α は14度よりも大きくならない。
図8は、3つの異なるフライト制御方式について得られたα を示す。曲線304は、α リミッタなしの、従来の被制御変数C*ライクなコマンドシステムを示す。不利であると考えられるフライト条件にビークル100が達すると、最大α は90度を超える。曲線306は、α 限界をもつ、従来技術のC*ライクなコマンドシステムについての結果を示す。曲線306では、α は、最高15秒間、20度超にオーバーシュートした後に、14度のターゲットにおいて最終的に安定する。曲線308は、オーバーシュートなしで飛行全体にわたって14度のターゲットにおいて制御される、ビークル100のα とともに本開示のズーム上昇UFC保護を使用するビークル応答を示す。
【0029】
図9および
図10は、速度(対気速度)およびピッチ姿勢の対応する結果を示す。それぞれα 限界曲線304および306をもつ、C*ライクなコマンドシステムと従来技術のC*ライクなコマンド制御の両方は、急激に降下する速度と、40度に接近しているか、またはそれを超える対応するピッチ姿勢とを示している。曲線306によって示される従来技術のα 限定コマンド制御方式でさえ、UFCを生じ得る速度の迅速な減少と併せてα のオーバーシュートを受ける。現在展開されているシステムにおけるこのオーバーシュートの危険の理由で、パイロットがビークルUFCに不注意に接近するのを防止するために、飛行機の動作速度に大きい速度安全マージンが組み込まれる。しかしながら、航空機がUFCを常に回避することができるという保証はない。これらの大きい安全マージンの結果は、このマージンに適応するために着陸速度が増加されることである。ランディング速度が増加すると、航空機を着陸させるために必要とされる滑走路の長さが増加し、ならびに他の設計トレードオフが必要となる。
【0030】
対照的に、この例示的な実施形態の
図9におけるズーム上昇UFC保護曲線308は、減速率が、低減されたピッチ姿勢偏差とともに、連邦航空規制(FAR)パート25によって要求される毎秒3ノットのUFCデモンストレーションレートを決して超えないことを示している。フィードバック利得ブロック214において適切なスケーリング因子を設定することによって、α を調節する場合に許容できる短期間処理品質が保証される。ズーム上昇UFC/α-target 保護を装備したビークル100は、不利なフライト条件に入ることから本質的に保護され、従来技術システムの大きい安全マージンを必要とせず、したがって、着陸速度が低減され得、それに対応して、着陸滑走路の長さと、航空機への損傷とが低減する。
【0031】
ズーム上昇の不利なフライト条件防止出入りの時間履歴250が
図11に示されている。このストラテジーは、最初に、迎角の変化率を所定の限界と比較することと、次いで、追加の基準が満たされた場合に、コマンドループ200をズーム上昇UFC保護モードに入れることとを伴う。ブロック252において、ZCPS/迎角限界のしきい値テストが実施される。一実施形態では、テストは、α
UFC - kα'
limit * α' の値が現在のα 値を超えるかどうかである。超えない場合、ブロック264への「いいえ」分岐が取られ、通常動作モードが設定または維持され、セレクタ202、226、および234は、
図5に示されているように通常動作に設定される。
【0032】
ブロック252においてトリガ条件が満たされた場合、ブロック254において、ZCPSモードがすでにアクティブであるかどうかに関する判定が行われる。すなわち、cv-cmd はc*-cmd に設定されるか(はい)、またはcv-cmd はα-cmd に設定される(いいえ)。はいの場合、プロセスはブロック262において続行し、c*-cmd の時間積分が c*-cmdの時間積分の第1のしきい値よりも大きいか、またはそれに等しいかどうかの判定が行われる。一実施形態では、しきい値は、飛行機構成および/またはフライト条件に応じて、2、3、または4などの単純な値である。手短に
図12を参照すると、c*-cmd の特定の事例のための値の例示的なセットが曲線280によって示されている。c*-cmd の積分、すなわち、増分の1-g c*cmd 曲線280の下方の領域282が、しきい値=2g - 秒と比較される。図示の例では、領域282は2のしきい値に等しく、したがって、ブロック262のトリガは満たされる。
図11に戻ると、ブロック262においてトリガ値が満たされない場合、実行は、ブロック264において、上記で説明したように通常動作におけるコマンドループ200とともに続行し、実行はブロック252において続行する。代替について以下で説明する。
【0033】
ブロック254に戻ると、cv-cmd がc*-cmd に等しくない、すなわち、ZCPSモードがすでにアクティブである場合、c*-cmd がc*-cmd しきい値よりも小さいか、またはそれに等しいかどうか、すなわち、ZCPSを必要とするものを下回る位置にパイロットが制御カラムを緩めたかどうかを判定するためのテストが行われる。c*-cmd がc*-cmd しきい値を下回る場合、ブロック260への「はい」分岐が取られる。ブロック260において、c*-cmd の時間積分は0にリセットされ、ブロック264において、コマンドループ200は通常動作に戻る。
【0034】
ブロック256において、c*-cmd がc*-cmd しきい値よりも大きい場合、ブロック258への「いいえ」分岐が取られる。同様に、ブロック262において、c*-cmd の積分がc*-cmd の積分のしきい値よりも大きいか、またはそれに等しい場合、実行はブロック258において続行する。ブロック258において、セレクタ202、226、および234はすべてZCPSモードに設定され、cv-cmd はα-cmd に設定され、リミッタ206はα 限界に設定され、速度誤差は0に設定される。ブロック258から、実行はブロック252において続行する。時間履歴250は、ZCPSモードからの出入りがどのように実施され得るかの一例にすぎず、同様の結果を伴う他のプロセスが企図され得る。
【0035】
特定の例で例示するために、ビークル100は、130ノットの速度において35フィートの高度で動作していることがある。c*-cmd しきい値は0.5gである。パイロットが制御カラムを完全にバックに引き、それにより、6.25度の初期α から2.5gのG力をもつc*-cmd が生成され、それは、約0.55秒間にわたって8.0度に上昇する。α' は、そのうえ、(8−6.25)/0.5度/秒または3.5度/秒である。この例示的な実施形態では、kα'
limit の値は2秒であり、α
UFC は14度である。
図11を参照すると、ブロック252において、α
UFC - kα'
limit * α' の値が(14度−(2秒 * 3.5度/秒))=14−7=7であり、したがって、α の現在値(8.0度)が≧7度トリガ限界であるので、ZCPSトリガは満たされる。
【0036】
トリガが満たされると、実行はブロック254において続行し、cv-cmdはc*-cmdに設定され、したがって、実行はブロック262において続行する。前の例を続けると、∫g-cmd しきい値は2である。完全バック制御カラムのための等価g-cmd は2.5gであり、これは、g-cmd の積分が、
図12に示されているように、0.8秒において0.55秒よりも少し後に、2に等しいことを意味する。
【0037】
ブロック262において∫g-cmd しきい値テストが満たされると、実行はブロック258において続行する。上記で説明したように、セレクタ202、226、および234は切り替えられる。cv-cmd はα-cmd に設定され、Ve は0に設定され、リミッタ206は、α 限界、ブロック232の出力に設定される。上記で計算されたように、α
UFC - kα'
limit * α' の値は≧α であり、したがって、ブロック206における限界は、初めに、8.4度、すなわち、∫g-cmd しきい値テストが満たされた場合の変数α
limitの値に設定される。より小さいgコマンドにより、∫g-cmd しきい値テストが満たされるのに要することがより長くなるほど、α
limit の値はより高くなり、例えば、
図12を参照されたい。これは、パイロットからのあまり急激でない後方カラムコマンドがα(α') のより緩やかな変化率を生じ、したがって、α
UFC - kα'
limit * α' が増加することにより予想されるはずである。したがって、パイロットによって要求されるα (α-cmd) は20を上回るが、リミッタ206の出力は最初に8.4において上限を定められることになる。α' が減少すると、リミッタ206は値が増加し、この例では約4秒で、α' が0に進むと、14度に接近する。
【0038】
パイロットが、要求されるc*-cmd が0.5gのしきい値を下回るように制御カラムを緩めた場合に、ブロック256は真になり、ブロック260への「はい」分岐が取られ、それにより、∫g-cmd 値がクリアされ、セレクタ202、226、および234がそれらの元の通常動作状態にリセットされる。
【0039】
UFC防止のための迎角の変化率(α') の使用は、ビークル制御器の特殊モードにおける減速率およびそれの使用を限定するための手段を提供し、フライバイワイヤビークル100が、高速減速中の迎角のオーバーシュートにより、UFCに達するか、または望まれる迎角を超えることがなくなることを保証する。不利なフライト条件において動作することが事実上なくなり得るので、過大なUFCマージンが低減され得、それにより、連邦航空局によって要求される、許容できる処理品質を伴う飛行性能および回転能力が依然として保証されながら、より低速な着陸が特に可能になる。
【0040】
いくつかの実施形態のみを記載したが、代替形態および変更形態は、上記の説明から当業者に明らかであろう。これらおよび他の代替形態は、等価物であると見なされ、本開示および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある。