(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1負荷検出部は、前記モータに流れる電流を検出する電流検出部を備え、該電流検出部にて検出された電流が予め設定された閾値を越えているときに、前記先端工具に負荷が加わっていることを検出するよう構成されている、請求項1に記載のハンマドリル。
前記第1負荷検出部及び前記第2負荷検出部の少なくとも一方は、前記電流又は前記加速度が前記閾値を越えている第1時間、及び、前記電流又は前記加速度が前記閾値以下となっている第2時間をそれぞれ計測し、前記第1時間が第1閾値時間に達すると前記先端工具に負荷が加わっていることを検出し、前記第2時間が前記第1閾値時間とは異なる第2閾値時間に達すると前記先端工具は無負荷であることを検出するように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のハンマドリル。
外部操作によって前記指令回転速度を設定するための操作部として、前記指令回転速度の上限を設定するための上限速度設定部と、操作量に応じて前記指令回転速度を変化させるための変速指令部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記上限速度設定部にて設定された上限を最大回転速度として、前記変速指令部の操作量に応じた回転速度を、前記指令回転速度として設定するよう構成されている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のハンマドリル。
前記モータ制御部は、前記先端工具が無負荷状態から負荷状態又は負荷状態から無負荷状態に変化して、前記モータの回転速度を切り替える際には、該回転速度を徐々に変化させるよう構成されている、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のハンマドリル。
前記モータ制御部は、前記本体ハウジングに前記外部ユニットが装着されているときには、前記第2負荷検出部において前記負荷が検出され易くなるよう、前記閾値を変更するよう構成されている、請求項10に記載のハンマドリル。
前記モータ制御部は、前記外部ユニットが装着されているときには、前記負荷検出部の検出結果にかかわらず、前記指令回転速度に基づき前記モータを駆動制御するよう構成されている、請求項10に記載のハンマドリル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした無負荷時低速回転制御(以下、本明細書ではソフトノーロード制御ともいう)を実施する場合、先端工具に負荷が加わっているか否かを検出する必要がある。そして、この負荷検出には、特許文献1に記載されているように、通常、モータに流れる電流が利用される。
【0005】
つまり、モータに流れる電流が所定値以上になると、先端工具に負荷が加わっていると判断して、モータの回転速度を、無負荷時の低速回転速度から上昇させる。
しかしながら、ハンマドリルにおいて、先端工具を回転させずに、打撃動作だけを実施させる動作モード(以下、ハンマモードという)を設定した場合、ハンマモードでは、負荷時の電流増加分が少なくなる。
【0006】
このため、ハンマモードで、先端工具が被加工材を打撃しても、モータに流れる電流から、打撃によって先端工具に負荷が加わったことを検出できず、打撃のためにモータを高速回転させることができないことが考えられる。
【0007】
本開示の一局面は、ハンマドリルにおいて、打撃動作だけを行うハンマモードで駆動されたときにでも、被加工材から先端工具に負荷が加わったことを検出して、モータの回転速度を上昇させることができるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面のハンマドリルには、モータ、ツールホルダ、打撃要素、運動変換機構、回転伝達機構、モード切替機構、負荷検出部、及び、モータ制御部が備えられている。
ツールホルダは、先端工具を長軸方向に往復動可能に保持するためのものであり、打撃要素は、ツールホルダに保持された先端工具を長軸方向に往復動させて被加工材を打撃させるものである。
【0009】
また、運動変換機構は、モータの回転を直線運動に変換して打撃要素に伝達するものであり、回転伝達機構は、モータの回転をツールホルダに伝達して先端工具を長軸周りに回転駆動するためのものである。
【0010】
そして、モード切替機構は、モータの回転を運動変換機構と回転伝達機構との両方に伝達するか、何れか一方に伝達するかを切り換えることで、先端工具の駆動モードを、ハンマモード、ハンマドリルモード、及び、ドリルモードの何れかに設定する。
【0011】
なお、ハンマモードは、先端工具を長軸方向に往復動させる駆動モードであり、ハンマドリルモードは、先端工具を長軸方向に往復動させると共に長軸周りに回転させる駆動モードであり、ドリルモードは、先端工具を長軸周りに回転させる駆動モードである。
【0012】
負荷検出部は、被加工材から先端工具に負荷が加わっているか否かを検出するためのものであり、モータの駆動状態を表す情報に基づき負荷を検出する第1負荷検出部と、装置本体の挙動を表す情報に基づき負荷を検出する第2負荷検出部とを備える。
【0013】
そして、モータ制御部は、外部から指令された指令回転速度に基づきモータを駆動制御する。また、モータ制御部は、第1負荷検出部と第2負荷検出部との両方で、先端工具が無負荷であることが検出されているときに、モータの回転速度の上限を無負荷回転速度に制限する、上述したソフトノーロード制御を実施する。
【0014】
ここで、負荷検出部を、第1負荷検出部と第2負荷検出部とで構成している理由は、次の通りである。
つまり、ハンマドリルモード若しくはドリルモードで、先端工具が回転動作しているときには、先端工具が被加工材に当接されて負荷が加わると、モータに流れる電流が増加するので、第1負荷検出部で、モータの駆動状態から先端工具に負荷が加わったことを検出できる。
【0015】
しかし、ハンマモードでは、先端工具は長軸方向に往復動するだけであるので、先端工具が被加工材を打撃して、先端工具に負荷が加わっても、モータの駆動状態は大きく変化せず、先端工具に負荷が加わったことを検出できないことがある。
【0016】
一方、ハンマモード若しくはハンマドリルモードで、先端工具が被加工材を打撃すると、装置本体に打撃による反力が加わり、装置本体が振動する。
そこで、本開示では、第1負荷検出部とは別に、装置本体の挙動に基づき、先端工具に負荷が加わったことを検出する第2負荷検出部を設けているのである。
【0017】
そして、モータ制御部は、第1負荷検出部と第2負荷検出部の一方で先端工具に負荷が加わっていることが検出されている場合には、モータの回転速度を無負荷回転速度に制限することなく、モータを指令回転速度で駆動する。
【0018】
従って、本開示のハンマドリルによれば、ハンマモード、ハンマドリルモード、及び、ドリルモードの何れの駆動モードであっても、先端工具に負荷が加わったときには、その旨を速やかに検出して、モータを指令回転速度で駆動することができるようになる。
【0019】
ここで、第1負荷検出部は、モータに流れる電流を検出する電流検出部を備え、電流検出部にて検出された電流が予め設定された閾値を越えているときに、先端工具に負荷が加わっていることを検出するよう構成されていてもよい。
【0020】
また、第2負荷検出部は、装置本体において少なくとも先端工具の長軸方向に生じる加速度を検出する加速度センサを備え、加速度センサにて検出された加速度が予め設定された閾値を越えているときに、先端工具に負荷が加わっていることを検出するよう構成されていてもよい。
【0021】
また、第2負荷検出部は、加速度センサからの検出信号を、ハイパスフィルタとして機能するデジタルフィルタにてフィルタリング処理することで、低周波の重力加速度成分を除去した加速度を求め、その加速度に基づき、先端工具に負荷が加わっているか否かを検出するよう構成されていてもよい。
【0022】
このようにすれば、加速度センサからの検出信号をアナログフィルタ(ハイパスフィルタ)に入力することで、重力加速度成分を除去するようにした場合に比べ、加速度の検出精度を高めることができる。
【0023】
つまり、加速度の検出信号をアナログフィルタで信号処理するようにした場合、ハンマドリルへの電源投入直後には、ハイパスフィルタを含む検出回路の基準電圧が0Vから規定電圧に急上昇するので、検出回路から出力される検出信号が安定するのに時間がかかる。
【0024】
これに対し、加速度の検出信号をデジタルフィルタにてフィルタリング処理するようにすれば、電源投入直後の検出信号の信号レベルを初期値に設定できるので、検出信号(データ)が変動することがない。
【0025】
このため、ハンマドリルへの電源投入直後から加速度を精度よく検出できるようになり、加速度の検出誤差によって、先端工具に負荷が加わったことを検出できなくなるのを抑制できる。
【0026】
また次に、第1負荷検出部及び第2負荷検出部の少なくとも一方は、電流又は加速度が閾値を越えている第1時間、及び、電流又は加速度が閾値以下となっている第2時間をそれぞれ計測し、第1時間が第1閾値時間に達すると先端工具に負荷が加わっていることを検出し、第2時間が第1閾値時間とは異なる第2閾値時間に達すると先端工具は無負荷であることを検出するように構成されていてもよい。
【0027】
そして、このように、先端工具の負荷・無負荷を判定するのに要する時間を設定することで、ノイズ等によって先端工具の負荷・無負荷を誤判定するのを抑制することができる。
【0028】
なお、第1閾値時間は、第2閾値時間よりも短い時間に設定されていてもよい。
このようにすれば、先端工具に負荷が加わったことを、無負荷検出時に比べてより早く検出することができるようになり、先端工具に負荷が加わったときに、モータの回転速度を無負荷回転速度から指令回転速度に切り替える際の遅れ時間を短くすることができる。
【0029】
このため、先端工具に負荷が加わったときに、モータの回転速度を速やかに上昇させて、被加工材のハツリ作業や穴あけ作業を良好に実施できるようになる。また、例えば、ハツリ作業の途中で無負荷状態が検出されて、モータの回転速度が低速に切り替えられるのを抑制することができる。よって、作業効率が低下するのを抑制できる。
【0030】
また、第2負荷検出部は、モータ制御部とは別体に構成されていてもよい。このようにすれば、例えば、第2負荷検出部を、装置本体が大きく振動する場所に設置して、装置本体の挙動を検出し易くし、モータ制御部を、その場所から離れ、装置本体が振動しにくい場所に設置する、といったことができる。そしてこの場合、モータ制御部が、装置本体の振動により劣化するのを抑制できる。
【0031】
また、モータ制御部は、モータを、指令回転速度(ソフトノーロード制御時には無負荷回転速度)で定速回転させるよう構成されていてもよい。
この場合、モータを定速回転させるための指令回転速度を使用者が外部操作によって設定するための操作部として、指令回転速度の上限を設定するための上限速度設定部と、操作量に応じて指令回転速度を変化させるための変速指令部とが備えられていてもよい。
【0032】
そして、この場合、モータ制御部は、上限速度設定部にて設定された上限を最大回転速度として、変速指令部の操作量に応じた回転速度を、指令回転速度として設定するよう構成されていてもよい。
【0033】
このようにすれば、使用者は、モータ駆動時の最大回転速度を、上限速度設定部を介して設定し、その最大回転速度までの任意の回転速度を指令回転速度として指令することができるようになり、ハンマドリルの使い勝手を高めることができる。
【0034】
また、この場合、無負荷回転速度が一定であれば、上限速度設定部は、無負荷回転速度よりも高い回転速度から無負荷回転速度よりも低い回転速度までの範囲内で、回転速度の上限を設定可能に構成されていてもよい。
【0035】
このようにすれば、使用者は、無負荷回転速度よりも低い回転速度を最大回転速度として、モータの指令回転速度を設定することが可能となり、ハンマドリルの動作特性をより広範囲に設定できるようになる。
【0036】
また次に、モータ制御部は、先端工具が無負荷状態から負荷状態又は負荷状態から無負荷状態に変化して、モータの回転速度を切り替える際には、その回転速度を徐々に変化させるよう構成されていてもよい。
【0037】
このようにすれば、先端工具が被加工材に当接されたときや、被加工材から離されたときに、モータの回転速度が急変して、使用者に違和感を与えるのを抑制できる。
なお、回転速度を徐々に変化させるには、例えば、指令回転速度の変化速度(換言すれば傾き)を制限するようにしてもよいし、モータ駆動に用いるPWM信号のデューティ比の変化速度(換言すれば傾き)を制限するようにしてもよい。また、モータに流れる電流の変化速度(換言すれば傾き)を制限するようにしてもよい。
【0038】
一方、ハンマドリルは、例えば、集塵装置、注水装置、照明装置、ブロワ、…といった外部ユニットを装着可能に構成されることも考えられる。また、この場合、外部ユニットがハンマドリルに装着されると、装置本体が振動し難くなることが考えられる。
【0039】
従って、モータ制御部は、外部ユニットが装着されているときには、モータの回転速度の上限を無負荷回転速度に制限する際の実行条件(つまり、ソフトノーロード制御の実行条件)を変更するよう構成されていてもよい。
【0040】
つまり、外部ユニットが装着されると、第2負荷検出部による負荷の検出感度が低下するので、モータ制御部は、例えば、負荷判定用の閾値等、ソフトノーロード制御の実行条件を変更して、ソフトノーロード制御が実行され難くするようにしてもよい。
【0041】
また、モータ制御部は、外部ユニットが装着されているときには、負荷検出部の検出結果にかかわらず、ソフトノーロード制御の実行を禁止して、指令回転速度に基づきモータを駆動制御するよう構成されていてもよい。
【0042】
このようにすれば、外部ユニットが装着されることにより、負荷検出部(詳しくは第2負荷検出部)において、装置本体の挙動から先端工具に負荷が加わっていることを検出できなくなった場合に、ソフトノーロード制御が実施されて、モータを指令回転速度で駆動できなくなるのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本実施形態のハンマドリル2は、ハンマビット等の先端工具4を、長軸方向に打撃動作させたり、長軸周りに回転動作させたりすることで、被加工材(例えば、コンクリート)に対しハツリ作業や穴あけ作業を行うためのものである。
【0045】
図1に示すように、ハンマドリル2は、ハンマドリル2の外郭を形成する本体ハウジング10を主体として構成されており、本体ハウジング10の先端領域には、先端工具4が筒状のツールホルダ6を介して取り外し可能に取り付けられる。
【0046】
先端工具4は、ツールホルダ6のビット挿入孔6a内に挿入され、ツールホルダ6に対して、長軸方向への相対的な往復動が可能で、且つ、長軸方向周りの周方向への相対的な回動が規制された状態で保持される。
【0047】
本体ハウジング10は、モータ8を収容するモータハウジング12と、運動変換機構20、打撃要素30、回転伝達機構40、及び、モード切替機構50を収容するギヤハウジング14と、を主体として構成されている。
【0048】
本体ハウジング10において、先端工具4が取り付けられるツールホルダ6とは反対側には、ハンドグリップ16が連接されている。ハンドグリップ16には、作業者が把持する把持部16Aが形成されている。この把持部16Aは、先端工具4の長軸(換言すればツールホルダ6の中心軸)に交差する方向(
図1の上下方向)に長くなっており、その把持部16Aの一部は、先端工具の長軸の延長線(長軸線)上に位置する。
【0049】
ハンドグリップ16において、把持部16Aの一端側(先端工具4の長軸線に近接した側)は、ギヤハウジング14に連接されており、把持部16Aの他端部(先端工具4の長軸線から離間した側)は、モータハウジング12に連接されている。
【0050】
ハンドグリップ16は、モータハウジング12に対し支持軸13を介してその軸周りに揺動可能に固定され、ハンドグリップ16とギヤハウジング14とは、防振用のスプリング15を介して接続されている。
【0051】
このため、先端工具4の打撃動作によってギヤハウジング14(換言すれば本体ハウジング10)に発生した振動は、スプリング15により抑制され、ハンドグリップ16は、本体ハウジング10に対し防振されることになる。
【0052】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、先端工具4の長軸方向に関して、先端工具4側を前側と規定し、ハンドグリップ16側を後側と規定する。また、先端工具4の長軸方向に直交し、把持部16Aが延在する方向(
図1の上下方向)に関して、ハンドグリップ16とギヤハウジング14との連接部側を上側と規定し、ハンドグリップ16とモータハウジング12との連接部側を下側と規定する。
【0053】
また、以下の説明では、ツールホルダ6に装着された先端工具4の長軸(換言すればツールホルダ6の中心軸)をZ軸、このZ軸に直交する上下方向をY軸、これら各軸に直交する左右方向(換言すれば本体ハウジング10の幅方向)をX軸と規定する(
図2参照)。
【0054】
本体ハウジング10には、先端工具4の長軸方向に関して、前方側にギヤハウジング14が配置され、ギヤハウジングの14の下方側にモータハウジング12が配置されている。そして、ギヤハウジング14の後方にハンドグリップ16が連結されている。
【0055】
本実施形態では、モータハウジング12に収容されるモータ8として、ブラシレスモータが利用される。モータ8は、出力軸8A(回転軸)が先端工具4の長軸方向に延在する軸線(つまりZ軸)に交差するように配置されている。すなわち、モータ8の出力軸8Aは、ハンマドリル2の上下方向に延在する。
【0056】
図2に示すように、ギヤハウジング14において、先端工具4が突出される先端領域の外周部分には、環状の固定部材36を介して、保持グリップ38が取り付けられている。保持グリップ38は、ハンドグリップ16と同様、使用者が把持するためのものであり、使用者は左右の手でハンドグリップ16と保持グリップ38を把持することで、ハンマドリル2をしっかり保持することができる。
【0057】
図3に示すように、モータハウジング12の前側には集塵装置66を装着できるようになっている。このため、
図1、
図2に示すように、モータハウジング12において、モータ8の下方の前側には、集塵装置66を固定するための凹部が設けられており、この凹部には、集塵装置66と電気的に接続するためのコネクタ64が設けられている。
【0058】
また、モータハウジング12において、モータ8の下方には、穴あけ作業のために先端工具4を回転動作させた際に先端工具4が被加工材に食い付いて本体ハウジング10が振り回されたことを検出する振り回され検出部90が収納されている。
【0059】
次に、モータハウジング12において、振り回され検出部90の収納領域よりも後方には、ハンマドリル2の電源となる2つのバッテリパック62A、62Bが設けられている。この2つのバッテリパック62A、62Bは、モータハウジング12の下方に設けられたバッテリ装着部60に着脱自在に装着されている。
【0060】
バッテリ装着部60は、振り回され検出部90の収納領域の下方端面(換言すれば底部)よりも上方に位置し、バッテリパック62A、62Bを装着した際に、バッテリパック62A、62Bの下方端面が、振り回され検出部90の収納領域の下方端面と一致するようになっている。
【0061】
また、モータハウジング12において、バッテリ装着部60の上方には、バッテリパック62A、62Bから電力供給を受けて、モータ8を駆動制御するためのモータ制御部70が設けられている。
【0062】
モータ8の出力軸8Aの回転は、運動変換機構20によって直線運動に変換された上で打撃要素30に伝達され、打撃要素30によって先端工具4の長軸方向の衝撃力が発生される。また、モータ8の出力軸8Aの回転は、回転伝達機構40によって減速された上で先端工具4に伝達され、先端工具4が長軸周りに回転駆動される。なお、モータ8は、ハンドグリップ16に配置されたトリガ18の引き操作に基づいて駆動される。
【0063】
図1に示すように、運動変換機構20は、モータ8の出力軸8Aの上方に配置されている。
運動変換機構20は、出力軸8Aによって回転駆動される中間軸21と、中間軸21に取り付けられた回転体23と、中間軸21(回転体23)の回転に伴いハンマドリル2の前後方向に揺動される揺動部材25と、揺動部材25の揺動に伴ってハンマドリル2の前後方向に往復移動する筒状のピストン27と、ピストン27を収容するシリンダ29を主体として構成されている。
【0064】
中間軸21は出力軸8Aに交差するように配置される。ピストン27は有底筒状部材であり、内部にストライカ32を摺動可能に収容している。シリンダ29は、ツールホルダ6の後方領域を形成しており、ツールホルダ6と一体に形成されている。
【0065】
図1に示すように、打撃要素30は、運動変換機構20の前方であって、ツールホルダ6の後方に配置されている。打撃要素30は、ピストン27内に摺動可能に配置された打撃子としてのストライカ32と、ストライカ32の前方に配置され、ストライカ32が衝突するインパクトボルト34を主体として構成されている。
【0066】
なお、ストライカ32の後方のピストン27内部の空間は、空気バネとして機能する空気室27aを形成している。したがって、ハンマドリル2の前後方向に関する揺動部材25の揺動によって、ピストン27が前後方向に往復移動され、これにより、ストライカ32が駆動される。
【0067】
すなわち、ピストン27が前方に向かって移動することで、空気バネの作用によりストライカ32が前方に移動されて、インパクトボルト34に衝突する。これにより、インパクトボルト34が前方に移動され、先端工具4に衝突する。その結果、先端工具4が被加工材を打撃する。
【0068】
また、ピストン27が後方に向かって移動することで、空気室27a内の空気の圧力が大気圧より負圧となり、ストライカ32が後方に移動される。また、先端工具4が被加工材を打撃した時の反力によっても、ストライカ32およびインパクトボルト34が後方に移動される。
【0069】
これにより、ストライカ32およびインパクトボルト34が、ハンマドリル2の前後方向に往復移動する。なお、ストライカ32およびインパクトボルト34は、空気室27aの空気バネの作用によって駆動されるため、ピストン27の前後方向の動きに対して遅れるように前後方向に動く。
【0070】
図1に示すように、回転伝達機構40は、運動変換機構20の前方であって、打撃要素30の下方に配置されている。回転伝達機構40は、中間軸21と共に回転する第1ギヤ42と、第1ギヤ42と係合する第2ギヤ44等の複数のギヤからなるギヤ減速機構を主体として構成されている。なお、モータ8の出力軸8Aの先端に設けられた第1ベベルギヤと、中間軸21の後端に設けられ第1ベベルギヤと噛合する第2ベベルギヤによっても減速がなされる。
【0071】
第2ギヤ44は、ツールホルダ6(シリンダ29)と一体に取り付けられており、第1ギヤ42の回転をツールホルダ6に伝達する。これにより、ツールホルダ6に保持された先端工具4が回転される。
【0072】
次に、本実施形態のハンマドリル2は、駆動モードとして、ハンマモード、ハンマドリルモード、及び、ドリルモードを備えている。
ハンマモードにおいては、先端工具4が長軸方向の打撃動作を行い、被加工材に対し打撃作業が行われる。ハンマドリルモードにおいては、先端工具4が長軸方向の打撃動作と長軸周りの回転動作を行う。これにより、被加工材に対してハンマドリル作業が行われる。ドリルモードにおいては、先端工具4は打撃動作を行わず、長軸周りの回転動作だけを行う。これにより、被加工材に対してドリル作業が行われる。
【0073】
この駆動モードは、モード切替機構50によって切り替えられる。モード切替機構50は、
図1に示す回転伝達部材52,54と、
図3に示す切替ダイヤル58を主体として構成されている。
【0074】
回転伝達部材52,54は、略円筒状部材であり、中間軸21に対して中間軸21の軸方向に移動可能である。この回転伝達部材52,54は、中間軸21とスプライン結合しており、中間軸21と一体に回転する。
【0075】
そして、回転伝達部材52は、中間軸21の後方に移動することで、回転体23の前側に形成された係合溝と係合して、モータ8の回転を回転体23に伝達する。この結果、ハンマドリル2の駆動モードは、ハンマモード又はハンマドリルモードとなる。
【0076】
また、回転伝達部材54は、中間軸21の前方に移動することで、第1ギヤ42と係合して、モータ8の回転を第1ギヤ42に伝達する。この結果、ハンマドリル2の駆動モードは、ハンマドリルモード又はドリルモードとなる。
【0077】
切替ダイヤル58は、使用者により回動操作されることにより、回転伝達部材52,54を中間軸21上で変位させる。そして、切替ダイヤル58は、
図3に示す3つの回動位置に切り替えられることで、ハンマドリル2の駆動モードを、ハンマモード、ハンマドリルモード、及び、ドリルモードの何れかに設定する。
【0078】
次に、モータ制御部70及び振り回され検出部90の構成について
図4を用いて説明する。
まず、振り回され検出部90は、3軸(X,Y,Z)方向の加速度を検出する加速度センサ92と、この加速度センサ92からの検出信号を信号処理して本体ハウジング10が振り回されたことを検出する加速度検出回路94とを備える。なお、これら各部は、共通の回路基板に実装され、ケース内に収納されている。
【0079】
加速度検出回路94は、CPU、ROM、RAM等を含むMCU(Micro Controller Unit)にて構成されている。そして、加速度検出回路94は、後述する振り回され検出処理にて、本体ハウジング10が先端工具4の長軸方向のZ軸周りに所定角度以上回転したことを、加速度センサ92からの検出信号(詳しくは加速度のX軸方向の出力)に基づき検出する。
【0080】
また、加速度検出回路94は、加速度センサ92を利用して、先端工具4の打撃動作によって本体ハウジング10に生じる3軸方向の振動を検出する、加速度負荷検出処理も実行する。そして、この加速度負荷検出処理では、本体ハウジング10の振動(つまり加速度)が閾値を越えると、先端工具4に負荷が加わったことを検出する。
【0081】
一方、モータ制御部70は、駆動回路72と、制御回路80とを備える。なお、これら各部は、後述する各種検出回路と共に共通の回路基板に実装され、ケース内に収納されている。
【0082】
駆動回路72は、バッテリパック62(詳しくはバッテリパック62Aと62Bの直列回路)から電力供給を受けて、モータ8(詳しくは3相ブラシレスモータ)の各相巻線に電流を流すためのものであり、FETからなる6つのスイッチング素子Q1〜Q6を備える。
【0083】
駆動回路72において、スイッチング素子Q1〜Q3は、モータ8の各端子U,V,Wと、バッテリパック62の正極側に接続された電源ラインとの間に、所謂ハイサイドスイッチとして設けられている。
【0084】
また、スイッチング素子Q4〜Q6は、モータ8の各端子U,V,Wと、バッテリパック62の負極側に接続されたグランドラインとの間に、所謂ローサイドスイッチとして設けられている。
【0085】
なお、バッテリパック62から駆動回路72に至る電力供給経路には、バッテリ電圧の電圧変動を抑制するためのコンデンサC1が設けられている。
制御回路80は、加速度検出回路94と同様、CPU、ROM、RAM等を含むMCUにて構成されており、駆動回路72内のスイッチング素子Q1〜Q6をオン/オフさせることで、モータ8の各相巻線に電流を流し、モータ8を回転させるものである。
【0086】
つまり、制御回路80は、トリガスイッチ18a、変速指令部18b、上限速度設定部96及び回転方向設定部19からの指令に従い、モータ8の指令回転速度及び回転方向を設定して、モータ8を駆動制御する。
【0087】
ここで、トリガスイッチ18aは、トリガ18が引き操作されることによりオン状態となって、制御回路80にモータ8の駆動指令を入力するためのものである。また、変速指令部18bは、トリガ18の引き操作量(換言すれば操作割合)に応じた信号を発生することで、その操作量に応じて指令回転速度を変化させるためのものである。
【0088】
また、上限速度設定部96は、使用者により操作位置が段階的に切り替えられるダイヤル等にて構成されており、その操作位置によって、モータ8の回転速度の上限を設定するためのものである。
【0089】
なお、この上限速度設定部96は、後述のソフトノーロード制御での無負荷回転速度よりも高い回転速度から低い回転速度までの範囲内で、モータ8の回転速度の上限を設定できるようにされている。
【0090】
また、回転方向設定部19は、使用者が、外部操作によって、モータ8を穴あけ作業時の正方向に回転させるか、逆転させるかを設定するためのものであり、
図2、
図3に示すように、本実施形態ではトリガ18の上方に設けられている。
【0091】
制御回路80は、変速指令部18bからの信号と上限速度設定部96を介して設定された上限回転速度とに基づき、モータ8の指令回転速度を設定する。具体的には、制御回路80は、上限速度設定部96にて設定された上限回転速度をトリガ18の最大操作時の回転速度として、トリガ18の操作量(操作割合)に応じた指令回転速度を設定する。
【0092】
そして、制御回路80は、設定した指令回転速度及び回転方向に応じて、駆動回路72を構成するスイッチング素子Q1〜Q6の駆動デューティ比を設定し、その駆動デューティ比に応じた制御信号を駆動回路72に出力することで、モータ8を回転駆動させる。
【0093】
次に、モータハウジング12の前方には、照明用のLED(照明LED)84が設けられており、制御回路80は、トリガスイッチ18aがオン状態となると、照明LED84を点灯させて、先端工具4による被加工材の加工位置を照らすようになっている。
【0094】
また、モータ8には、モータ8の回転速度や回転位置を検出するための回転位置センサ81が設けられており、モータ制御部70には、この回転位置センサ81からの検出信号に基づきロータ位置を検出するロータ位置検出回路82が備えられている。
【0095】
また、モータ制御部70には、電圧検出回路78、電流検出回路74、温度検出回路76、及び、ロータ位置検出回路82が備えられおり、制御回路80には、これら各検出回路からの検出信号や、振り回され検出部90からの検出信号も入力される。
【0096】
そして、制御回路80は、これら各検出回路からの検出信号に基づき、モータ8駆動時の回転速度を制限したり、モータ8の駆動を停止したりする。
なお、電圧検出回路78は、バッテリパック62から供給されるバッテリ電圧を検出するためのものである。また、電流検出回路74は、モータ8への通電経路に設けられた抵抗R1を介してモータ8に流れた電流を検出するためのものであり、本開示の電流検出部に相当する。
【0097】
また、温度検出回路76は、モータ制御部70の温度を検出するためのものであり、ロータ位置検出回路82は、回転位置センサ81からの検出信号に基づき、モータ8の各巻線への通電タイミングを設定するのに必要なロータ位置を検出するためのものである。
【0098】
一方、制御回路80は、MCUにて構成されているため、一定の電源電圧Vccを供給する必要がある。このため、モータ制御部70には、バッテリパック62から電力供給を受けて一定の電源電圧Vccを生成し、制御回路80に供給するレギュレータ(図示せず)も設けられている。
【0099】
また、振り回され検出部90の加速度検出回路94には、このレギュレータにて生成された電源電圧Vccが供給される。そして、加速度検出回路94は、X軸方向の加速度から本体ハウジング10が振り回されたことを検出すると、エラー有り信号を制御回路80に出力する。
【0100】
なお、このエラー有り信号は、モータ8の駆動を停止させるためのものである。そして、加速度検出回路94は、本体ハウジング10が振り回されていないときには、エラー無し信号を制御回路80に出力する。
【0101】
また、加速度検出回路94は、本体ハウジング10の振動(つまり加速度)から先端工具4に負荷が加わっていることを検出すると、制御回路80に、先端工具4は負荷状態であることを表すロード信号を出力する。また、加速度検出回路94は、先端工具4に負荷が加わっていることを検出できなければ、制御回路80に、先端工具4は無負荷状態であることを表すノーロード信号を出力する。
【0102】
一方、モータハウジング12の前側に装着される集塵装置66は、上記各駆動モードでの先端工具4の打撃動作や回転動作によって被加工材のハツリ作業や穴あけ作業を行ったときに発生する粉塵を吸引するためのものである。
【0103】
このため、
図4に示すように、集塵装置66には、集塵モータ67とこれを駆動するための回路基板69が設けられている。また、集塵装置66をモータハウジング12に装着すると、モータハウジング12に設けられた照明LED84が隠れてしまうので、集塵装置66には、この照明LED84に代えて被加工材の加工位置を照らすための照明LED68が備えられている。
【0104】
そして、集塵装置66がモータハウジング12に装着されると、回路基板69に形成された通電経路を介して、バッテリパック62から集塵モータ67に駆動電流を供給できるようになっている。
【0105】
また、集塵装置66がモータハウジング12に装着されると、回路基板69は、コネクタ64を介して、制御回路80に接続される。そして、回路基板69には、集塵モータ67への通電経路を導通・遮断するためのスイッチング素子Q7が設けられており、このスイッチング素子Q7は、制御回路80によりオン・オフ状態が切り替えられる。また、照明LED68も、制御回路80からの駆動信号により点灯できるようになっている。
【0106】
次に、制御回路80にて実行される制御処理について、
図5〜
図11に示すフローチャートに沿って説明する。なお、この制御処理は、制御回路80を構成するCPUが、不揮発性の記憶媒体であるROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0107】
図5に示すように、この制御処理では、まず、S110(Sはステップを表す)にて、モータ駆動の制御周期である所定のタイムベースが経過したか否かを判断することにより、前回S120以降の処理を実行してからタイムベースが経過するのを待つ。
【0108】
そして、S110にてタイムベースが経過したと判断すると、S120の入力処理、S130のA/D変換処理、S140のモータ制御処理、及び、S150の出力処理を順次実行し、再度S110に移行する。つまり、この制御処理では、S120〜S150の一連の処理を、所定のタイムベースで周期的に実行する。
【0109】
ここで、S120の入力処理では、
図6に示すように、まず、S210にて、トリガスイッチ18aからトリガ18の操作状態を取り込むトリガスイッチ(トリガSW)入力処理を実行する。また、続くS220では、回転方向設定部19から、モータ8の回転方向を取り込む回転方向入力処理を実行する。
【0110】
次に、続くS230、S240では、振り回され検出部90から振り回され検出結果(エラー有り信号又はエラー無し信号)及び加速度負荷検出結果(ロード信号又はノーロード信号)をそれぞれ取り込む、振り回され検出入力処理及び加速度負荷検出入力処理を実行する。
【0111】
そして、最後に、S250にて、バッテリ電圧を集塵装置66のコネクタ64を経由して検出する集塵装置入力処理を実行し、S120の入力処理を終了する。なお、S250の集塵装置入力処理でバッテリ電圧を検出するのは、集塵装置66がモータハウジング12に装着されているか否かを判断できるようにするためである。
【0112】
次に、S130のA/D変換処理では、変速指令部18b、上限速度設定部96、電圧検出回路78、電流検出回路74、温度検出回路76等から、トリガ18の引き操作量や上限速度、或いは、電圧、電流、温度等の検出信号(電圧)をA/D変換して取り込む。
【0113】
また、S140のモータ制御処理では、
図7に示すように、まずS310にて、モータ8を駆動するか否かを判断する。
この判断は、トリガスイッチ18aがオン状態で、S130で取り込んだ電圧、電流、温度が正常であり、振り回され検出部90にて本体ハウジング10の振り回され状態が検出されていない(エラー無し信号入力)、というモータ駆動条件が成立しているか否かを判断することにより実行される。
【0114】
モータ駆動条件が成立していて、S310にてモータ8を駆動すると判断されると、S320に移行して、変速指令部18bからの信号と上限速度設定部96を介して設定された上限回転速度とに基づき指令回転速度を設定する、指令回転速度設定処理を実行する。
【0115】
また、続くS330では、先端工具4が無負荷(ノーロード)状態であるときに、モータ8の指令回転速度を、予め設定された無負荷回転速度Nth以下に制限する、ソフトノーロード処理を実行し、S340に移行する。
【0116】
S340では、S320にて設定されるか、或いは、S330にて無負荷回転速度Nth以下に制限された指令回転速度から、モータ8の駆動デューティ比を設定する制御量設定処理を実行し、当該モータ制御処理を終了する。
【0117】
なお、S340において、モータ8の駆動デューティ比を設定する際には、指令回転速度がトリガ操作等で設定される回転速度から無負荷回転速度、或いは、その逆方向に切り替わったときに、その変化に応じて駆動デューティ比が急変することのないようにされている。
【0118】
つまり、S340では、駆動デューティ比の変化速度(換言すれば傾き)を制限することで、モータ8の回転速度を徐々に変化させる。これは、先端工具4が被加工材に当接されたときや、被加工材から離されたときに、モータ8の回転速度が急変するのを抑制するためである。
【0119】
また、モータ駆動条件が成立しておらず、S310にてモータ8を駆動しないと判断されると、S350に移行して、モータ8の駆動停止を設定するモータ停止設定処理を実行し、当該モータ制御処理を終了する。
【0120】
次に、
図8に示すように、S330のソフトノーロード処理においては、まずS332にて、モータ8の指令回転速度を無負荷回転速度Nth以下に制限するソフトノーロード制御の実行条件(ソフトノーロード条件)が成立しているか否かを判断する。
【0121】
なお、ソフトノーロード条件は、
図9に示す電流負荷検出処理、及び、振り回され検出部90の加速度検出回路94にて、先端工具4が無負荷状態であると判定され、且つ、ハンマドリル2に集塵装置66が装着されていないときに成立するように予め設定されている。
【0122】
そして、S332にて、ソフトノーロード条件が成立していると判断されると、S334に移行して、指令回転速度が、ソフトノーロード制御の上限回転速度である無負荷回転速度Nth(例えば、11000rpm)を越えているか否かを判断する。
【0123】
S334にて、指令回転速度が無負荷回転速度Nthを越えていると判断されると、S336に移行して、指令回転速度に無負荷回転速度Nthを設定し、ソフトノーロード処理を終了する。
【0124】
また、S332にて、ソフトノーロード条件は成立していないと判断されるか、或いは、S334にて、指令回転速度は無負荷回転速度Nthを超えていないと判断された場合にも、ソフトノーロード処理を終了する。
【0125】
従って、ソフトノーロード処理によれば、
図9の電流負荷検出処理及び加速度検出回路94の両方で先端工具4が無負荷状態であると判定され、且つ、ハンマドリル2に集塵装置66が装着されていないときに、指令回転速度を無負荷回転速度Nth以下に制限することになる。
【0126】
次に、
図9に示す電流負荷検出処理は、S130のA/D変換処理において、電流検出回路74からモータ8に流れる電流を取り込んだ際に、その取り込んだ電流値に基づき先端工具4が無負荷状態であるか否かを判断するために実行される処理である。
【0127】
この電流負荷検出処理においては、まずS410にて、A/D変換して取り込んだ電流値(検出電流)が、予め設定された負荷判定用の電流閾値Ithを越えているか否かを判断する。
【0128】
そして、検出電流が電流閾値Ithを越えている場合には、S420にて、負荷判定用の負荷カウンタをインクリメント(+1)し、S430にて、無負荷判定用の無負荷カウンタをデクリメント(−1)し、S440に移行する。
【0129】
S440では、負荷カウンタの値が負荷判定用に予め設定された負荷判定値T1を越えたか否かを判断する。そして、負荷カウンタの値が負荷判定値T1を越えていれば、S450に移行して、先端工具4が負荷状態であることを表す電流負荷検出フラグをセットした後、電流負荷検出処理を終了する。
【0130】
また、負荷カウンタの値が負荷判定値T1を越えていなければ、そのまま電流負荷検出処理を終了する。なお、電流負荷検出フラグは、ソフトノーロード処理のS332にて、先端工具4の負荷状態が電流値から検出されていること(電流負荷)を検知するのに用いられる。
【0131】
次に、S410にて、検出電流が電流閾値Ith以下であると判断された場合には、S460に移行して、無負荷カウンタをインクリメント(+1)し、続くS470にて、負荷カウンタをデクリメント(−1)する。
【0132】
そして、続くS480では、無負荷カウンタの値が無負荷判定用に予め設定された無負荷判定値T2を越えたか否かを判断する。そして、無負荷カウンタの値が無負荷判定値T2を越えていれば、S490に移行して、先端工具4が無負荷状態であると判断して、電流負荷検出フラグをクリアし、電流負荷検出処理を終了する。
【0133】
また、無負荷カウンタの値が無負荷判定値T2を越えていなければ、そのまま電流負荷検出処理を終了する。
なお、負荷カウンタ及び無負荷カウンタは、検出電流が電流閾値Ithを越えている時間と越えていない時間を計測するためのものであり、電流負荷検出処理では、負荷判定値T1及び無負荷判定値T2を用いて、その計測時間が所定時間に達したか否かを判断する。この負荷判定値T1は、本開示の第1閾値時間に相当し、無負荷判定値T2は、本開示の第2閾値時間に相当する。
【0134】
そして、本実施形態では、先端工具4の負荷状態をより早く検出して、モータ8の回転速度をトリガ操作量に対応した指令回転速度に制御できるようにするため、負荷判定値T1には、無負荷判定値T2よりも小さい値(短い時間)が設定される。例えば、負荷判定値T1には100msに対応した値が設定され、無負荷判定値T2には500msに対応した値が設定される。
【0135】
次に、S150の出力処理では、
図10に示すように、まず、S510にて、駆動回路72にモータ8を指令回転速度で駆動するための制御信号と回転方向を出力するモータ駆動、回転方向出力処理を実行する。
【0136】
また、続くS520では、ハンマドリル2に装着された集塵装置66に対し、集塵モータ67の駆動信号を出力する集塵出力処理を実行する。そして、S530にて、照明LED84に駆動信号を出力して照明LED84を点灯させる照明出力処理を実行し、当該出力処理を終了する。
【0137】
なお、S530において、ハンマドリル2に集塵装置66が装着されているときには、集塵装置66に設けられた照明LED68に駆動信号を出力して照明LED68を点灯させる。
【0138】
また、S510のモータ駆動、回転方向出力処理においては、
図11に示すように、まずS511にて、モータ8を駆動するか否かを判断する。なお、S511の処理は、モータ制御処理のS310と同様に実行される。
【0139】
つまり、S511では、トリガスイッチ18aがオン状態で、S130で取り込んだ電圧、電流、温度が正常であり、振り回され検出部90にて本体ハウジング10の振り回され状態が検出されていない(エラー無し信号入力)、というモータ駆動条件が成立しているか否かを判断する。
【0140】
そして、モータ駆動条件が成立していて、S511にて、モータ8を駆動すると判断されると、S512に移行し、モータ駆動出力をオン状態にして、駆動回路72への制御信号の出力を開始させる。
【0141】
また、続くS513では、モータ8の回転方向は正方向(正転)であるか否かを判断し、モータ8の回転方向が正方向(正転)であれば、S514に移行して、駆動回路72にモータ8の回転方向として「正転」を出力し、当該モータ駆動、回転方向出力処理を終了する。
【0142】
また、513にて、モータ8の回転方向は正方向ではないと判断されると、S515に移行して、駆動回路72にモータ8の回転方向として「逆転」を出力し、当該モータ駆動、回転方向出力処理を終了する。
【0143】
また、モータ駆動条件が成立しておらず、S511にて、モータ8は駆動しないと判断されると、S516にて、モータ駆動出力をオフ状態にして、駆動回路72への制御信号の出力を停止させる。
【0144】
次に、振り回され検出部90の加速度検出回路94において実行される加速度負荷検出処理及び振り回され検出処理を、
図12及び
図13のフローチャートに沿って説明する。
図12に示すように、加速度負荷検出処理においては、S610にて、先端工具4の負荷判定のために予め設定されたサンプリング時間が経過したか否かを判断することにより、前回S620以降の処理を実行してから所定のサンプリング時間が経過するのを待つ。
【0145】
そして、S610にて、サンプリング時間が経過したと判断されると、S620に移行して、トリガスイッチ18aがオン状態であるか否か(つまり、使用者からモータ8の駆動指令が入力されているか否か)を判断する。
【0146】
S620にて、トリガスイッチ18aがオン状態であると判断されると、S630に移行する。S630では、加速度センサ92から3軸(X,Y,Z)方向の加速度をA/D変換して取り込み、続くS640にて、その取り込んだ加速度データをフィルタリング処理することで、各軸方向の加速度データから、それぞれ、重力加速度成分を除去する。
【0147】
なお、S640でのフィルタリング処理は、重力加速度成分を除去するための処理であるため、重力加速度に対応した低周波成分を除去するために、カットオフ周波数が1〜10Hz程度のハイパスフィルタ(HPF)としての処理が実行される。
【0148】
次に、S640にて、3軸方向の加速度がそれぞれフィルタリング処理されると、S650に移行して、フィルタリング処理後の加速度をD/A変換し、例えば、D/A変換後の加速度信号を全波整流することで、加速度[G]の絶対値を取得する。
【0149】
また、続くS660では、S650で取得した3軸方向の加速度[G]の絶対値を、ローパスフィルタ(LPF)を使って平滑化させることで、平滑加速度を取得し、S670に移行する。
【0150】
S670では、各軸の平滑加速度と負荷・無負荷判定用に予め設定された設定された閾値とを比較し、3軸のうちの何れかの平滑加速度が閾値を越える状態が、連続的に一定時間以上経過したか否かを判断する。
【0151】
S670にて、3軸のうちの何れかの平滑加速度が閾値を越える状態が、連続的に一定時間以上経過したと判断されると、先端工具4が負荷状態にあると判断して、S680に移行する。そして、S680では、先端工具4が負荷状態であることを表すロード信号を制御回路80へ出力し、S610に移行する。
【0152】
また、S670にて、3軸のうちの何れかの平滑加速度が閾値を越える状態が、連続的に一定時間以上経過していないと判断されるか、或いは、S620にて、トリガスイッチ18aはオフ状態であると判断されると、S690に移行する。
【0153】
S690では、制御回路80へノーロード信号を出力することで、先端工具4は無負荷状態であることを制御回路80に通知し、S610に移行する。
この結果、制御回路80側では、加速度検出回路94から出力されるロード信号又はノーロード信号を取り込むことで、先端工具4の負荷状態(加速度負荷)が検出されているか否か、延いては、ソフトノーロード条件が成立しているか否か、を判断できることになる。
【0154】
次に、
図13に示すように、振り回され検出処理においては、S710にて、振り回され検出のために予め設定されたサンプリング時間が経過したか否かを判断することにより、前回S720以降の処理を実行してから所定のサンプリング時間が経過するのを待つ。
【0155】
そして、S710にて、サンプリング時間が経過したと判断されると、S720に移行して、トリガスイッチ18aがオン状態であるか否かを判断し、トリガスイッチ18aがオン状態であれば、S730に移行する。
【0156】
S730では、当該振り回され検出処理にてハンマドリル2が振り回されたことが検出されて、現在エラー状態になっているか否かを判断し、エラー状態になっていれば、S710に移行し、エラー状態になっていなければ、S740に移行する。
【0157】
S740では、加速度センサ92からX軸方向の加速度をA/D変換して取り込む。そして、続く750では、上述したS640と同様、HPFとしてのフィルタリング処理にて、その取り込んだX軸方向の加速度データから、重力加速度成分を除去する。
【0158】
次に、S760では、フィルタリング処理後のX軸方向の加速度[G]から、Z軸周りの角加速度[rad/s
2]を、演算式「角加速度=加速度G×9.8/距離L」を用いて算出し、S770に移行する。なお、この演算式において、距離Lは、加速度センサ92とZ軸との間の距離である。
【0159】
S770では、S760で求めた角加速度を1サンプリング時間分積分し、続くS780にて、角加速度の積分初期値を更新する。この積分初期値は、過去一定時間内の角加速度の積分値であり、S780では、S760にて今回新たに角加速度を算出したので、一定時間以上前にサンプリングした角加速度の1サンプリング時間分の積分値を積分初期値から除去する。
【0160】
そして、続くS790では、S780にて更新した角加速度の積分初期値と、S770にて算出した最新の角加速度の積分値とを加算することで、Z軸周りの角速度[rad/s] を算出する。
【0161】
また次に、S800では、S790で算出した角速度を1サンプリング時間分積分し、続くS810にて、角速度の積分初期値を更新する。この積分初期値は、過去一定時間内の角速度の積分値であり、S810では、S790にて今回新たに角速度を算出したので、一定時間以上前に求めた角速度の1サンプリング時間分の積分値を積分初期値から除去する。
【0162】
そして、続くS820では、S810にて更新した角速度の積分初期値と、S800にて算出した最新の角速度の積分値とを加算することで、ハンマドリル2のZ軸周りの回転角度[rad] を算出する。
【0163】
次に、S830では、S790にて求めた現在の角速度から、モータ8の駆動を停止してからモータ8が実際に停止するのに要する回転角度を算出し、S840に移行する。なお、この回転角度は、角速度に、予め設定された予測時間を乗じること(回転角度=角速度×予測時間)で算出される。
【0164】
S840では、S820で算出したZ軸周りの回転角度に、S830で算出した回転角度を加算することで、モータ8の駆動停止後の回転角度を含めたZ軸周りの回転角度を予測角度として算出する。
【0165】
次に、S850では、S840で算出した予測角度が振り回され検出用角度として予め設定されている閾値を越え、しかも、その状態が連続して一定時間以上経過したか否かを判断する。
【0166】
そして、S850にて肯定判断されると、S860に移行して、制御回路80へエラー有り信号を出力することで、被加工材の穴開け作業時に先端工具4が被加工材に食い付き、ハンマドリル2の振り回されが始まったことを通知し、S710に移行する。
【0167】
この結果、制御回路80側では、モータ駆動条件が成立していないと判断されて、モータ8の駆動が停止され、ハンマドリル2が大きく振り回されるのを抑制できることになる。
【0168】
一方、S850にて否定判断された場合には、S870に移行して、制御回路80へエラー無し信号を出力することで、ハンマドリル2は振り回されていないことを通知し、S710に移行する。
【0169】
また、S720にて、トリガスイッチ18aはオン状態ではないと判断された場合には、ハンマドリル2は動作を停止しているので、S880に移行して、角加速度及び角速度の積分値及び積分初期値をリセットし、S870に移行する。
【0170】
以上説明したように、本実施形態のハンマドリル2においては、モータ制御部70の制御回路80が、
図9に示す電流負荷検出処理を実行することで、モータ8に流れる電流に基づき、先端工具4が無負荷状態であるのか負荷状態(電流負荷)であるのかを判定する。
【0171】
また、振り回され検出部90の加速度検出回路94が、
図12に示す加速度負荷検出処理を実行することで、加速度センサ92にて検出されるX軸、Y軸、Z軸方向の加速度に基づき、先端工具4が無負荷状態であるのか負荷状態(加速度負荷)であるのかを判定する。
【0172】
そして、制御回路80は、これらの処理で電流負荷及び加速度負荷が検出されておらず、しかも、ハンマドリル2に集塵装置66が装着されていないときに、
図8に示すソフトノーロード処理にて、モータ8の回転速度を無負荷回転速度Nth以下に制限する。
【0173】
従って、本実施形態のハンマドリル2によれば、駆動モードがハンマモードであれば、加速度負荷検出処理で、先端工具4に負荷が加わったことを検出でき、駆動モードがドリルモードであれば、電流負荷検出処理で、先端工具4に負荷が加わったことを検出できるようになる。また、駆動モードがハンマドリルモードであれば、加速度負荷検出処理と電流負荷検出処理の両方で、先端工具4に負荷が加わったことを検出できるようになる。
【0174】
よって、本実施形態のハンマドリル2によれば、ハンマモード、ハンマドリルモード、及び、ドリルモードの何れの駆動モードであっても、被加工材から先端工具4に負荷が加わったときには、その旨を速やかに検出して、モータ8を指令回転速度で駆動することができる。
【0175】
また、本実施形態では、ハンマドリル2に集塵装置66が装着されているときには、電流負荷及び加速度負荷が検出されていなくても、モータ8を指令回転速度で駆動するようにされている。このため、集塵装置66が装着されることにより、本体ハウジング10の振動が抑制されて、加速度負荷検出処理で先端工具4の負荷状態を検出できなくなっても、ソフトノーロード制御が実施されることはない。よって、使用者は、被加工材のハツリ作業や穴あけ作業を通常通り実施できるようになる。
【0176】
なお、本実施形態においては、制御回路80にて実行される電流負荷検出処理が、本開示の第1負荷検出部として機能し、加速度検出回路94にて実行される加速度負荷検出処理が、本開示の第2負荷検出部として機能する。
【0177】
次に、加速度負荷検出処理においては、加速度センサ92から3軸(X,Y,Z)方向の加速度をA/D変換して取り込み、その取り込んだ加速度データをフィルタリング処理することで、各軸方向の加速度データから、重力加速度成分を除去するようにされている。
【0178】
このため、加速度センサ92からの検出信号をアナログフィルタ(ハイパスフィルタ)に入力することで、重力加速度成分を除去するようにした場合に比べ、加速度の検出精度を高めることができる。
【0179】
つまり、本体ハウジング10が振動して加速度が発生すると、加速度センサ92からの検出信号は、その加速度に応じて変動するが、ハンマドリル2に電源が投入されていないときには、変動中心がグラウンド電位となる。
【0180】
そして、ハンマドリル2に電源が投入されると、
図14の上段に示すように、加速度検出信号の変動中心は、入力回路の基準電圧(一般に電源電圧Vccの中間電圧:Vcc/2)に重力加速度成分(Vg)を加えた電圧値まで持ち上げられる。
【0181】
また、ハンマドリル2への電源投入時には、モータ8も駆動停止しているので、本体ハウジング10に加速度は発生していないと考えられる。従って、加速度センサ92からの入力信号(加速度検出信号)は一定電圧「(Vcc/2)+Vg」まで立ち上がることになる。
【0182】
この場合、加速度検出信号を、アナログフィルタ(ハイパスフィルタ:HPF)に入力して、重力加速度成分(Vg)を除去するようにしていると、
図14の中段に示すように、アナログフィルタからの出力は、電源投入力後に急峻に立ち上がり、基準電圧(Vcc/2)よりも高くなる。そして、その後は、基準電圧(Vcc/2)に収束することになるが、そのように安定するまでには、時間がかかる。
【0183】
これに対し、本実施形態のように、加速度の検出信号をデジタルフィルタにてフィルタリング処理するようにすれば、
図14の下段に示すように、電源投入直後の検出信号の信号レベルを初期値に設定できるので、検出信号(データ)が変動することがない。
【0184】
従って、本実施形態によれば、ハンマドリル2への電源投入直後から加速度を精度よく検出できるようになり、加速度の検出誤差によって、先端工具に負荷が加わったことを検出できなくなるのを抑制できる。
【0185】
また、第2負荷検出部として機能する振り回され検出部90は、モータ制御部70とは別体に構成されていることから、これらを一体化した場合に比べて小型化できる。このため、振り回され検出部90は、本体ハウジング10内の空きスペースを利用して、本体ハウジング10の挙動(加速度)を検出し易い位置に配置できるようになる。
【0186】
また、第1負荷検出部としての電流負荷検出処理では、負荷カウンタ及び無負荷カウンタを利用して、検出電流から負荷・無負荷を確定するまでの時間を計測し、その時間が判定値T1、T2で決まる設定時間に達すると、負荷・無負荷を確定するようにされている。このため、本実施形態によれば、ノイズ等によって電流負荷を誤判定するのを抑制できる。
【0187】
また特に、本実施形態では、
図15に示すように、検出電流が電流閾値Ithを越えてから負荷状態を判定するのに用いられる負荷判定値T1が、検出電流が電流閾値Ith以下になってから無負荷状態を判定するのに用いられる無負荷判定値T2よりも小さい値(短い時間)に設定されている。
【0188】
このため、本実施形態によれば、先端工具4の負荷状態を、無負荷状態に比べて早く検出することができるようになり、モータ8の回転速度を無負荷回転速度Nthから指令回転速度に切り替える際の遅れ時間を短くすることができる。
【0189】
従って、本実施形態によれば、先端工具4に負荷が加わったときに、モータ8の回転速度を速やかに上昇させて、被加工材のハツリ作業や穴あけ作業を良好に実施できるようになる。また、ハツリ作業の途中で無負荷状態が検出されて、モータの回転速度が低速に切り替えられるのを抑制することができる。
【0190】
なお、第2負荷検出部としての加速度負荷検出処理においても、電流負荷検出処理と同様に、平均加速度が閾値を越えている時間及び平均加速度が閾値以下である時間をそれぞれ計測することで、負荷・無負荷を確定するまでの時間を規定するようにしてもよい。
【0191】
また、本実施形態では、使用者は、ダイヤル操作により上限速度設定部96にて設定される上限回転速度とトリガ操作による変速指令部18bから指令とにより、モータ8の指令回転速度を、無負荷回転速度Nthよりも低速に設定することができる。
【0192】
そして、指令回転速度が無負荷回転速度Nthよりも低速に設定された場合、モータ8の回転速度は、
図15に点線で示すように、その指令回転速度で制御されることになる。よって、使用者は、モータ8を無負荷回転速度Nthよりも低速で駆動させることもできるようになり、ハンマドリル2の用途を拡大して、使い勝手を向上することが可能となる。
【0193】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、モータ8に流れる電流と、本体ハウジング10に加わる加速度とをそれぞれ用いて、先端工具4に負荷が加わっていることを検出するものとして説明した。
【0194】
これに対し、モータ8の駆動状態として、電流に代えて、モータの回転速度(詳しくは速度変動)や、モータの駆動電圧(詳しくは電圧変動)等を用いることで、先端工具の負荷状態を判定するようにしてもよい。また、装置本体の挙動を検出するセンサとして、加速度センサ92に代えて、角速度センサを利用して本体ハウジング10の振動を検出し、先端工具の負荷状態を判定するようにしてもよい。
【0195】
また、上記実施形態では、加速度負荷検出処理において、加速度センサ92にて検出された3軸(X,Y,Z)方向の加速度全てを利用するものとして説明したが、少なくともZ軸方向の加速度を利用すれば、打撃動作によって先端工具4に負荷が加わったことを検出できる。
【0196】
また、上記実施形態では、外部ユニットとして集塵装置66を装着可能なハンマドリル2について説明した。これに対し、被加工材の加工位置に注水する注水装置、被加工材を照らす照明装置、粉塵を吹き飛ばすための空気を送るブロワ、等を外部ユニットとして装着可能なハンマドリルであっても、上記実施形態と同様の制御処理を実行するようにしてもよい。
【0197】
つまり、これらの外部ユニットが装着されているときには、本体ハウジング10が振動し難くなるので、ソフトノーロード制御を実行することなく、使用者からの指令に従いモータ8を駆動するようにするのである。このようにすれば、外部ユニットが装着されているときに、使用者からの指令回転速度でモータ8を駆動できなくなるのを抑制できる。
【0198】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。