(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検体に対する医療に関するイベントが決定されたことを契機として、前記イベントに関連する複数の業務を特定し、特定した複数の業務それぞれについて、業務を完了させるために異なる医療従事者によって実施される複数の作業と当該複数の作業を実施する複数の医療従事者を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記医療従事者ごとの作業を示す表示情報を前記医療従事者に対して出力するように制御する出力制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記医療従事者ごとの作業の実施される順序をさらに特定し、
前記出力制御部は、前記業務の進捗状況において作業が実施順となったタイミングで、当該作業を実施する医療従事者に対して当該作業の内容を示す表示情報を出力する、病院情報システム。
前記更新部は、前記医療従事者ごとの作業が実施されたか否かの判定結果に基づいて前記複数の作業の実施状況を更新し、前記複数の作業の実施状況に基づいて前記業務の実施状況を更新し、
前記出力制御部は、前記複数の作業の実施状況と前記業務の実施状況とを含む表示情報を出力するように制御する、請求項5に記載の病院情報システム。
被検体に対する医療に関するイベントが決定されたことを契機として、前記イベントに関連する複数の業務を特定し、特定した複数の業務それぞれについて、業務を完了させるために異なる医療従事者によって実施される複数の作業と当該複数の作業を実施する複数の医療従事者を特定する特定手順と、
前記特定手順によって特定された前記医療従事者ごとの作業を示す表示情報を前記医療従事者に対して出力するように制御する出力制御手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記特定手順は、前記医療従事者ごとの作業の実施される順序をさらに特定し、
前記出力制御手順は、前記業務の進捗状況において作業が実施順となったタイミングで、当該作業を実施する医療従事者に対して当該作業の内容を示す表示情報を出力する、医用情報処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、本願に係る病院情報システム及び医用情報処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る病院情報システム及び医用情報処理プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る病院情報システムの概要について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る病院情報システムの概要を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、端末装置2と、HISサーバ3とを含み、通信IF(インターフェース)を介して各部門システムに接続される。また、端末装置2とHISサーバ3とは、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により相互に通信可能な状態となっている。
【0009】
各部門システムには、放射線部門情報システム(RIS:Radiology Information System)、診断レポートシステム、医用画像処理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)、リハビリ部門システム、透析部門システム、手術部門システムなどの種々のシステムが含まれる。病院情報システム1は、これらの各部門システムとそれぞれ接続され、種々の情報を相互に送受信する。例えば、病院情報システム1は、患者情報やオーダ情報を各部門システムに送信し、各部門システムで実施された実施結果のレポートを受信する。また、病院情報システム1は、各部門システムからの要求に応じて、実施結果や参照情報などを送信する。
【0010】
ここで、本実施形態に係る病院情報システム1は、診療行為や看護ケアに関する医業務に加えて、診療行為や看護ケア以外の医業務(例えば、各種診療文書作成や、検査結果の確認、日々のルーチン業務等)をシステム上で管理することで、医業務効率を向上させることを可能にする。具体的には、病院情報システム1は、来院した被検体について決定されたイベントをトリガとして、イベントに関連する医業務をシステム上に登録して管理することで、医業務効率を向上させる。ここで、病院情報システム1は、医業務が完了するまでに実施される医療従事者ごとの作業を医業務に対応付けて管理する。すなわち、病院情報システム1は、1つの医業務を完了するまでに関わる全ての医療従事者の作業をそれぞれ管理することで、医業務効率を向上させる。なお、以下では、上述した医業務を、業務、或いは、タスクと記載する場合がある。また、以下では、上述した作業を、ワークと記載する場合がある。
【0011】
例えば、
図1に示すように、端末装置2において、入院登録や、オーダ入力、退院登録等の各入力業務が実施されると、HISサーバ3におけるコントローラが、実施された入力業務をトリガとして、タスクやワークを生成して、データベースに登録する。一例を挙げると、コントローラは、トリガとなった入力業務に関連するタスク情報aと、タスク情報aのタスクを実施するためのワーク情報a1〜ワーク情報anとを対応付けたタスク/ワーク情報を生成して、データベースに登録する。
【0012】
ここで、ワークを実施する医療従事者は、医師や看護師だけでなく、コメディカルや事務職員なども含まれる。すなわち、コントローラは、病院などの医療機関において、1つのタスクを実施するために行われる細かいワークをそれぞれ管理する。なお、トリガに応じて生成されるタスク/ワーク情報は、1つに限らない。すなわち、コントローラは、1つのトリガに応じて複数のタスク/ワーク情報を生成することができる。
【0013】
上述したようにタスク/ワーク情報を生成すると、HISサーバ3におけるコントローラは、データベースに登録したタスク/ワーク情報を、医療従事者が操作する端末装置2において出力するように制御する。例えば、コントローラは、
図1に示すように、端末装置2のディスプレイに、被検体(例えば、患者A)ごとのタスク管理画面を表示するように制御する。一例を挙げると、コントローラは、患者Aのタスク管理画面に、ワークa1〜ワークanを含むタスクaと、ワークb1〜ワークbnを含むタスクbとを表示させるように制御する。また、コントローラは、
図1に示すように、端末装置2のディスプレイに、職員(例えば、医師A)のToDo管理画面を表示するように制御する。一例を挙げると、コントローラは、医師AのToDo管理画面に、ワークa1、ワークa3、ワークb2、ワークXnを含む患者Aのリストと、ワークs1、ワークs2、ワークt3、ワークXnを含む患者Bのリストとを表示させるように制御する。
【0014】
このように、病院情報システム1は、医療機関における各業務を、コメディカルや事務職員などを含む医療従事者ごとの作業に細分化して管理し、各医療従事者に対して自身の作業内容を提示することで、各作業を速やかに実施させることを可能にし、医業務効率を向上させる。
【0015】
例えば、上述したクリニカルパスを適用させた場合、病院情報システムは、クリニカルパスが選択されることにより、選択されたクリニカルパスによって定義された診療行為や看護ケアの医業務がオーダ情報として各部門システムに送信される仕組みを実現させることができる。しかしながら、クリニカルパスでは、上述したように医師や看護師によって実施される診療行為や看護ケアの医業務がオーダ情報に展開される。すなわち、クリニカルパスでは、診療行為や看護ケアの医業務をシステム上で管理することはできるが、診療行為や看護ケア以外の医業務(例えば、各種診療文書作成や、日々のルーチン業務等)についてはシステム上で管理することができない。
【0016】
この場合、例えば、入院や診療指示に伴い作成が必要となる診療文書(入院診療計画書や同意書等)は、各業務担当者が手書き又は診療文書システムを使用して個別に作成している。また、文書に対する記入やサインなどの依頼については、口頭や紙ベースでの依頼、院内メールでの依頼が行われている。そのため、職員間での伝達遅れや伝達漏れにより速やかに業務が実施されない場合がある。これに対して、第1の実施形態に係る病院情報システム1では、業務を作業に細分化して管理し、各医療従事者に対して作業の情報を提示することができるため、各作業を速やかに実施させることができる。
【0017】
さらに、HISサーバ3におけるコントローラは、ワークが実施されたことを示すイベントに基づいて、ワークが実施されたか否かを判定してタスク/ワーク情報のステータスを更新する。例えば、
図1に示すように、コントローラは、患者ごとのタスク管理画面や、職員のToDo管理画面において、実施されたワークを「実施済」として表示するように制御する。これにより、医療従事者は、各業務の進捗状況を把握することができ、自身が実施する作業を速やかに行うことができる。また、仮に業務の実施が遅れている場合でも、どの作業で遅れているかがわかることから、担当の医療従事者に対して遅れている作業を実施するように促すことができ、医業務効率をさらに向上させることができる。
【0018】
上述したように、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、1つの医業務を完了するまでに関わる全ての医療従事者の作業をそれぞれ管理することで、医業務効率を向上させる。以下、病院情報システム1の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る病院情報システム1の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る病院情報システム1においては、端末装置2とHISサーバ3とを備え、端末装置2とHISサーバ3とがネットワークを介して接続されている。なお、
図2においては、1台の端末装置2を示しているが、実際には、さらに複数の端末装置2がネットワークを介してHISサーバ3に接続されている。なお、
図2には、各部門システムに係る種々の装置が示されていないが、実際には、病院情報システム1は、各部門システムに含まれるサーバ装置などと直接的、又は、間接的に、相互に通信可能に接続されている。また、病院情報システム1は、診療文書の作成を支援するための診療文書システムなどを適用させることも可能である。かかる場合には、操作者は、例えば、端末装置2を操作して診療文書システムを起動させ、所望の診療文書を作成することができる。
【0019】
図2に示すように、端末装置2は、I/F(インターフェース)回路21と、入力装置22と、ディスプレイ23と、記憶回路24と、処理回路25とを有する。I/F回路21は、処理回路25に接続され、ネットワークを介して接続されたHISサーバ3との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、I/F回路21は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0020】
入力装置22は、処理回路25に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路25に出力する。例えば、入力装置22は、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等である。ここで、入力装置22は、病院情報システム1におけるトリガとなる操作を受け付ける。例えば、入力装置22は、被検体に対する医療に関するイベント(例えば、入院登録や、オーダの入力等)の入力操作を受け付ける。また、入力装置22は、ワークを実施するための種々の入力操作を受け付ける。
【0021】
ディスプレイ23は、処理回路25に接続され、処理回路25から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ23は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。ここで、ディスプレイ23は、HISサーバ3によって生成された表示情報を表示する。例えば、ディスプレイ23は、HISサーバ3によって生成されたタスク/ワーク情報を表示する。
【0022】
記憶回路24は、処理回路25に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路24は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。本実施形態では、記憶回路24は、HISサーバ3から受信したタスク/ワーク情報等を記憶する。
【0023】
処理回路25は、入力装置22を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、端末装置2が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路25は、プロセッサによって実現される。本実施形態では、処理回路25は、入力装置22を介して受け付けた入力操作に応じた情報をI/F回路21からHISサーバ3に送信させる。また、処理回路25は、I/F回路21から入力されるタスク/ワーク情報等を記憶回路24に記憶させる。また、処理回路25は、記憶回路24からタスク/ワーク情報等を読み出して、ディスプレイ23に表示させる。
【0024】
例えば、端末装置2は、病院内の種々の診療科、部門に配置され、医師や看護師、コメディカル、事務職員などの医療従事者によって操作される。各医療従事者は、端末装置2の入力装置22を操作して、自身のスタッフIDを入力することで、病院情報システム1にアクセス可能となる。そして、各医療従事者は、トリガとなる入力操作や、ワークを実施するための入力操作、タスク/ワーク情報を閲覧するための入力操作を行う。端末装置2は、各医療従事者によって実行された入力操作に応じた情報をHISサーバ3に送信する。
【0025】
HISサーバ3は、
図2に示すように、I/F(インターフェース)回路31と、入力装置32と、ディスプレイ33と、記憶回路34と、処理回路35とを有し、端末装置2から受信した情報に応じた処理を実行する。I/F回路31は、処理回路35に接続され、ネットワークを介して接続された端末装置2との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、I/F回路31は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0026】
入力装置32は、処理回路35に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。例えば、入力装置32は、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等である。
【0027】
ディスプレイ33は、処理回路35に接続され、処理回路35から出力される各種情報などを表示する。例えば、ディスプレイ33は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0028】
記憶回路34は、処理回路35に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路34は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。本実施形態では、記憶回路34は、例えば、
図2に示すように、職員情報341と、定義情報342と、登録情報343とを記憶する。
【0029】
職員情報341は、医療従事者の情報であり、氏名、スタッフID、所属、職種などを含む。例えば、職員情報341は、病院情報システム1にアクセスする医療従事者の認証の他、タスク/ワーク情報の生成に用いられる。
【0030】
定義情報342は、タスク/ワーク情報を生成するために用いられる情報であり、トリガとなるイベントごとに、タスクと、ワークとを対応付けた情報である。ここで、定義情報342は、医療機関ごとに任意に設定され、適宜更新させることができる。
図3は、第1の実施形態に係る定義情報342の一例を示す図である。例えば、定義情報342は、
図3に示すように、「トリガ」と、「タスク」と、「ワーク」と、「ワーク実施順」と、「ワーク実施者」とを対応付けた情報である。ここで、
図3における「トリガ」は、タスク/ワーク情報を生成する契機となるイベントを示す。また、「タスク」は、医療機関で実施される業務を示す。また、「ワーク」は、「タスク」を実施するために行われる作業を示す。また、「ワーク実施順」は、「ワーク」が実施される順序を示す。また、「ワーク実施者」は、対応する「ワーク」を実施する医療従事者を示す。
【0031】
例えば、記憶回路34は、「トリガ:入院登録」に、「タスク:入院診療計画書作成」を対応付け、「タスク:入院診療計画書作成」に「ワーク:入院診療計画書仮作成、ワーク実施順:1、ワーク実施者:医療作業補助者(事務職員)」と、「ワーク:診療計画記載、ワーク実施順:2、ワーク実施者:医師(主治医)」と、「ワーク:看護ケア記載、ワーク実施順:3、ワーク実施者:看護師」と、「ワーク:サイン済み原紙ファイリング、ワーク実施順:4、ワーク実施者:事務職員」とを対応付けた「定義情報1」を記憶する。
【0032】
この定義情報1は、「入院登録」が実施されたことをトリガとして、「入院診療計画書作成」のタスクと、それに係るワークとが対応付けられたタスク/ワーク情報を生成するように定義されていることを意味する。さらに、定義情報1は、「入院診療計画書作成」のタスクが、「事務職員」によって実施されるワーク「入院診療計画書仮作成」と、「医師(主治医)」によって実施されるワーク「診療計画記載」と、「看護師」によって実施されるワーク「看護ケア記載」と、「事務職員」によって実施されるワーク「サイン済み原紙ファイリング」によって構成され、それらが「入院診療計画書作成」、「診療計画記載」、「看護ケア記載」、「サイン済み原紙ファイリング」の順に実施されることが定義されていることを意味する。
【0033】
また、記憶回路34は、
図3の「定義情報2」〜「定義情報6」などに示すように、種々の定義情報を記憶する。ここで、
図3の「定義情報2」及び「定義情報3」は、「定義情報1」と同一のトリガ「入院登録」にタスク「退院時サマリ作成」及びタスク「入院時検査」が対応付けられている。すなわち、
図3に示す定義情報342の場合、「入院登録」が実施されたことをトリガとして、3つのタスク/ワーク情報が生成されることとなる。
【0034】
図2に戻って、登録情報343は、後述する処理回路35によって記憶回路34に格納される情報である。具体的には、登録情報343は、処理回路35がトリガに応じて生成したタスク/ワーク情報である。
図4は、第1の実施形態に係る登録情報343の一例を示す図である。例えば、登録情報343は、
図4に示すように、「タスク」と、「ワーク」と、「ワーク実施順」と、「ワーク実施者」とを対応付けた情報である。
【0035】
例えば、記憶回路34は、「タスク:入院診療計画書」に「ワーク:仮作成、ワーク実施順:1、ワーク実施者:事務職員」と、「ワーク:診療計画記載、ワーク実施順:2、ワーク実施者:医師(主治医)」と、「ワーク:看護ケア記載、ワーク実施順:3、ワーク実施者:看護師」と、「ワーク:ファイリング、ワーク実施順:4、ワーク実施者:事務職員」とを対応付けた登録情報(タスク/ワーク情報)を記憶する。
【0036】
図2に戻って、処理回路35は、制御機能351と、受付機能352と、生成機能353と、更新機能354と、出力機能355とを実行する。ここで、生成機能353は、特許請求の範囲における特定部の一例である。また、更新機能354は、特許請求の範囲における更新部の一例である。また、出力機能355は、特許請求の範囲における出力制御部の一例である。
【0037】
処理回路35における制御機能351は、HISサーバ3の全体制御を行う。例えば、制御機能351は、入力装置32を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、種々の処理を実行させる。一例を挙げると、制御機能351は、入力装置32を介して入力された職員情報341や、定義情報342を記憶回路34に格納する。また、制御機能351は、各種情報や、GUIなどをディスプレイ33に表示させるように制御する。
【0038】
受付機能352は、I/F回路31を介して受信する情報を受け付ける。例えば、受付機能352は、トリガとなる入力操作や、ワークを実施するための入力操作、タスク/ワーク情報を閲覧するための入力操作に関する情報を、I/F回路31を介して端末装置2から受け付ける。例えば、受付機能352は、被検体の入院登録が実施されたことを示す情報を受け付ける。
【0039】
生成機能353は、登録情報343を生成して、記憶回路34に格納する。具体的には、生成機能353は、被検体に対する医療に関するイベントが決定されたことを契機として、イベントに関連するタスクと当該タスクが完了するまでに実施される医療従事者ごとのワークを特定する。そして、生成機能353は、特定したタスクとワークとを対応付けたタスク/ワーク情報を生成して、記憶回路34に格納する。ここで、生成機能353は、医療従事者ごとのワークの実施される順序をさらに特定し、特定した順序を含むタスク/ワーク情報を生成する。
【0040】
具体的には、生成機能353は、受付機能352によって受け付けられたトリガの情報に対応する定義情報を記憶回路34から読み出して、タスク/ワーク情報を生成する。
図5は、第1の実施形態に係る生成機能353によるタスク/ワーク情報の生成処理の一例を説明するための図である。
図5に示すように、端末装置2において被検体(患者)の「入院登録」が実施されると、受付機能352は、実施された「入院登録」をトリガの情報として受け付ける。
【0041】
生成機能353は、定義情報342を参照して、受付機能352によって受け付けられた「入院登録」がトリガとなっている定義情報を読み出す。例えば、
図3に示す定義情報342において、「入院登録」がトリガとなっている「定義情報1」と「定義情報2」と「定義情報3」とを読み出し、読み出した定義情報をもとにタスク/ワーク情報を生成する。例えば、生成機能353は、
図5に示すように、「タスク:入院診療計画書作成」に、「ワーク:入院診療計画書仮作成」、「ワーク:診療計画記載」、「ワーク:看護ケア記載」及び「ワーク:サイン済み原紙ファイリング」を対応付けたタスク/ワーク情報を生成する。ここで、生成機能353は、「定義情報1」に含まれるワーク実施順を参照して、ワーク実施者が各ワークを実施する順序を特定する。すなわち、生成機能353は、「定義情報1」を参照して、「医療作業補助者」、「医師」、「看護師」、「事務職員」の順にワークが引き継がれることを特定し、特定した実施順を示すタスク/ワーク情報を生成する。
【0042】
このように、生成機能353は、トリガの情報に対応する定義情報を参照して、タスク/ワーク情報を生成して記憶回路34に格納する。例えば、生成機能353は、
図4に示すタスク/ワーク情報を登録情報として記憶回路34に格納する。ここで、生成機能353は、トリガの情報や、職員情報341を参照して、各ワークを実施する実施者の情報をタスク/ワーク情報に対応付ける。例えば、「タスク:入院診療計画書作成」を完了させるためのワークは、「医療作業補助者」、「医師」、「看護師」及び「事務職員」によって実施される。生成機能353は、各ワークの実施者を、トリガである「入院登録」の情報や、職員情報341に基づいて決定する。例えば、生成機能353は、入院登録に含まれる医師の情報から主治医を特定して、特定した主治医の情報をタスク/ワーク情報に対応付ける。また、生成機能353は、入院登録を実施した事務職員の情報をタスク/ワーク情報に対応付ける。また、生成機能353は、職員情報341に基づいて、看護ケア計画を立てる看護師を特定して、特定した看護師の情報をタスク/ワーク情報に対応付ける。例えば、生成機能353は、各ワークの実施者の情報として、実施者のスタッフIDをタスク/ワーク情報に対応付けて、記憶回路34に格納する。
【0043】
同様に、生成機能353は、
図5に示すように、「タスク:退院時サマリ作成」に、「ワーク:退院時サマリ仮作成」、「ワーク:サマリ確認・本登録」、「ワーク:退院時サマリ承認」及び「ワーク:サイン済み原紙ファイリング」を対応付けたタスク/ワーク情報を生成して、記憶回路34に格納する。また、生成機能353は、
図5に示すように、「タスク:入院時検査」に、「ワーク:検査オーダ入力」、「ワーク:検査実施、結果入力」及び「ワーク:検査結果確認」を対応付けたタスク/ワーク情報を生成して、記憶回路34に格納する。
【0044】
図2に戻って、更新機能354は、生成機能353によって特定された医療従事者ごとのワークが実施されたか否かを判定し、判定結果に基づいて登録情報を更新する。具体的には、更新機能354は、生成機能353によって生成されたタスク/ワーク情報にステータス情報を付与する。そして、更新機能354は、受付機能352によって受け付けられたワークを実施するための入力操作に基づいて、各ワークが実施されたか否かを判定して、タスク/ワーク情報のステータスを更新する。例えば、更新機能354は、受付機能352が、システム上に文書が登録(保存)されたことや、所定の書式の文書がプリントアウトされたことなどの情報を受け付けた場合に、ワークが実施されたと判定して、タスク/ワーク情報のステータスを更新する。ここで、更新機能354は、医療従事者ごとのワークが実施されたか否かの判定結果に基づいてワークのステータスを更新し、ワークのステータスに基づいてタスクのステータスを更新する。
【0045】
図6は、第1の実施形態に係る更新機能354による更新処理の一例を説明するための図である。ここで、
図6においては、「入院診療計画書作成」のタスクが実施される場合の処理について示す。例えば、更新機能354は、
図6に示すように、事務職員が端末装置2を操作して「入院診療計画書」を仮登録したことを判定して、タスク/ワーク情報におけるワーク「仮作成」のステータスを「未実施」から「実施済」に更新する。さらに、更新機能354は、ワーク「仮作成」が「実施済」になったことから、タスク「入院診療計画書」のステータスを「未実施」から「実施中」に更新する。
【0046】
そして、更新機能354は、主治医が端末装置2を操作して「診療計画」を記載してシステム上に登録したことを判定して、タスク/ワーク情報におけるワーク「診療計画記載」のステータスを「未実施」から「実施済」に更新する。その後、更新機能354は、看護師が端末装置2を操作して「看護ケア」を記載してシステム上に登録したことを判定して、タスク/ワーク情報におけるワーク「看護ケア記載」のステータスを「未実施」から「実施済」に更新する。さらに、更新機能354は、事務職員が端末装置2を操作して「原紙をスキャンしてファイリング」したことを判定して、タスク/ワーク情報におけるワーク「ファイリング」のステータスを「未実施」から「実施済」に更新する。
【0047】
上述したようにタスクに含まれる全てのワークを「実施済」に更新すると、更新機能354は、タスク「入院診療計画書」のステータスを「実施中」から「実施済」に更新する。なお、文書がシステム上に登録されたか否かは、例えば、システム上の所定のフォルダ内に文書が格納されたか否かによって判定される。また、原紙をスキャンしてファイリングされたか否かは、例えば、原紙がスキャンされたPDFファイルが所定のフォルダ内に格納されたか否かによって判定される。
【0048】
図2に戻って、出力機能355は、生成機能353によって特定された医療従事者ごとの作業を示す登録情報を医療従事者に対して出力するように制御する。具体的には、受付機能352が、タスク/ワーク情報を閲覧するための入力操作に応じた情報を端末装置2から受け付けると、出力機能355は、受付機能352が受け付けた情報に対応するタスク/ワーク情報を記憶回路34から読み出して、読み出したタスク/ワーク情報を端末装置2のディスプレイ23から出力させる。すなわち、出力機能355がI/F回路21を介してタスク/ワーク情報を端末装置2に出力することで、端末装置2の処理回路25がディスプレイ23にタスク/ワーク情報を表示させる。
【0049】
例えば、受付機能352が、ある被検体に関するタスク/ワーク情報の閲覧要求を受け付けると、出力機能355は、受付機能352が受け付けた閲覧要求に対応する被検体のタスク/ワーク情報を記憶回路34から読み出して、I/F回路21を介して端末装置2に出力する。また、例えば、受付機能352が、ある医療従事者に関するタスク/ワーク情報の閲覧要求を受け付けると、出力機能355は、受付機能352が受け付けた閲覧要求に対応する医療従事者のタスク/ワーク情報を記憶回路34から読み出して、I/F回路21を介して端末装置2に出力する。
【0050】
図7は、第1の実施形態に係る出力機能355によるタスク/ワーク情報の出力の概要を示す図である。ここで、
図7においては、被検体(患者A)のタスク/ワーク情報の出力例と、医師のタスク/ワーク情報の出力例と、事務職員のタスク/ワーク情報の出力例とを示す。例えば、出力機能355は、
図7に示すように、患者Aのタスク/ワーク情報として、患者Aのタスク管理画面を端末装置2に出力する。ここで、出力機能355は、例えば、タスク管理画面に「タスク:同意書作成」、及び、同意書作成に係る4つのワーク「同意書作成」、「同意書出力」、「説明、署名」、「ファイリング」とともに、各ワークの実施者及びステータスの情報を併せたタスク管理画面を端末装置2に出力する。
【0051】
ここで、出力機能355によって出力されるタスク管理画面は、各ワークの領域からワークを実施するための画面を直接起動させることもできる。例えば、操作者が「ワーク:同意書作成」の領域をクリックすることで、診療文書システムが起動され、患者Aから署名をもらうための同意書作成画面を起動させることができる。操作者は、起動された診療文書システムで同意書を作成して印刷することができる。また、出力機能355によって出力されるタスク管理画面では、各ワークにステータス情報が示されており、「ワーク:説明、署名」が「実施済」となっていることから、操作者は、患者Aから署名をもらっていることを把握することができる。
【0052】
また、
図7に示すように、出力機能355は、例えば、医師のタスク/ワーク情報や、事務職員のタスク/ワーク情報として、医師のワーク(ToDo)管理画面や、事務職員のワーク(ToDo)管理画面を端末装置2に出力する。例えば、出力機能355は、「ワーク:同意書作成」、「ワーク:同意書出力」、「ワーク:署名」を、患者Aの主治医の医師のワーク(ToDo)管理画面に表示させる。また、出力機能355は、「ワーク:ファイリング」を、担当の事務職員のワーク(ToDo)管理画面に表示させる。
【0053】
ここで、上述した被検体(患者A)のタスク管理画面と、医療従事者(患者Aの主治医、担当の事務職員)のワーク(ToDo)管理画面はリンクが張られており、画面を参照する医療従事者は、相互に画面の切り替えを行うことができる。例えば、自身のワーク(ToDo)管理画面を参照している事務職員は、「ワーク:ファイリング」を含むタスクの進捗状況を確認するために、自身のワーク(ToDo)管理画面から患者Aのタスク管理画面に切り替えることができる。
【0054】
以上、出力機能355の制御によって端末装置2のディスプレイ23にて表示される表示情報(タスク/ワーク情報)の概要について説明した。以下、
図8及び
図9を用いて、出力機能355の制御によって端末装置2のディスプレイ23にて表示される表示情報の一例を説明する。
図8及び
図9は、第1の実施形態に係る出力機能355によって出力される表示情報の一例を示す図である。ここで、
図8においては、管理情報を被検体ごとに示した表示情報を示す。また、
図9においては、管理情報を医療従事者ごとに示した表示情報を示す。
【0055】
例えば、出力機能355は、
図8に示すように、被検体(患者)ごとの文書を管理する表示情報を出力する。一例を挙げると、出力機能355は、「患者番号:1230001」の「患者氏名:山田太郎」について、「診療科:外科」と、「主治医:外科 医師」と、「手術日:2016/10/21」と、「術式:胃全摘(悪性)」とを対応付けるとともに、関連する文書のタスク/ワーク情報を対応付けた文書管理画面を出力する。
【0056】
ここで、出力機能355は、
図8に示すように、各文書の文書名でタスクを示し、文書のアイコンを示す表示領域の列でワークを示すタスク/ワーク情報を出力する。例えば、出力機能355は、「入院診療計画書」の項目に4列のアイコン表示領域を設けた管理画面を表示させる。これは、「タスク:入院診療計画書」は、4つのワークによって構成されていることを示す。すなわち、4列の各アイコン表示領域が、
図4において示した「タスク:入院診療計画書」の「ワーク:仮作成」、「ワーク:診療計画記載」、「ワーク:看護ケア記載」及び「ワーク:ファイリング」にそれぞれ対応する。
【0057】
例えば、担当の事務職員が、「患者番号:1230001、患者氏名:山田太郎」の入院診療計画書を仮作成して、システム上の所定のフォルダ内に格納すると、更新機能354が登録情報における「ワーク:仮作成」のステータスを「実施済」に更新する。出力機能355は、登録情報におけるステータスが「実施済」となっていることから、管理画面における「入院診療計画書」の項目の左端のアイコン表示領域に、DOC(ドキュメント)アイコンを表示させる。
【0058】
次に、「患者番号:1230001、患者氏名:山田太郎」の主治医(外科 医師)が、仮作成された「入院診療計画書」に対して診療計画を記載して、システム上の所定のフォルダに格納すると、更新機能354が登録情報における「ワーク:診療計画記載」のステータスを「実施済」に更新する。出力機能355は、登録情報におけるステータスが「実施済」となっていることから、管理画面における「入院診療計画書」の項目の左から2番目のアイコン表示領域に、DOC(ドキュメント)アイコンを表示させる。同様に、担当の看護師が、「入院診療計画書」に対して看護ケアを記載して、システム上の所定のフォルダに格納すると、出力機能355が、管理画面における「入院診療計画書」の項目の左から3番目のアイコン表示領域に、DOC(ドキュメント)アイコンを表示させる。さらに、担当の事務職員が、「患者番号:1230001、患者氏名:山田太郎」によって署名された「入院診療計画書」をスキャンで取り込むことでPDFファイルを作成し、システム上の所定のフォルダに格納すると、出力機能355が、管理画面における「入院診療計画書」の項目の左から4番目のアイコン表示領域に、PDFアイコンを表示させる。
【0059】
このように、出力機能355は、文書名でタスクを示し、文書名に対応付けられたアイコン表示領域でワークを示したタスク/ワーク情報を出力する。これにより、操作者は、各アイコン表示領域内にアイコンが表示されているか否かを確認するだけで、各タスクにおける進捗を把握することができる。なお、出力機能355は、各アイコン表示領域内にワーク名と実施者名を記載することで、ワークの実施順を明示したタスク/ワーク情報を出力する場合であってもよい。
【0060】
例えば、操作者は、
図8で示した管理画面の「患者番号:2005021、患者氏名:鈴木一郎」における「入院診療計画書」の項目を参照して、全てのアイコン表示領域にアイコンが表示されていないことから、すべてのワークが「未実施」であることを把握することができる。その後、操作者は、「患者番号:2005021、患者氏名:鈴木一郎」の「入院診療計画書」におけるアイコンの表示状況に基づいて、ワークの実施状況を把握することができる。
【0061】
また、出力機能355は、
図8における「患者番号:1423842、患者氏名:佐藤健太郎」の「輸血同意書」や「手術同意書」のアイコン表示領域などに示すように、タスク自体が発生していないアイコン表示領域を異なる色などで示すことで、対応するワークがないことを示すこともできる。さらに、出力機能355は、「患者番号:1623856、患者氏名:佐藤洋子」の「入院診療計画書」の左端のアイコン表示領域や「入院申込書」のアイコン表示領域などに示すように、作業期限が迫っている、或いは、過ぎているワークを赤などの色で示すことで、警告を示すこともできる。
【0062】
ここで、各アイコン表示領域は、診療文書システムや、所定のフォルダに格納された文書データにリンクを張ることができる。すなわち、操作者は、アイコン表示領域に対する操作によって、対応する文書を作成するための診療文書システムを起動させたり、所定のフォルダに格納された文書を読み出して表示させたりすることができる。例えば、操作者は、
図8における「患者番号:2005021、患者氏名:鈴木一郎」の「入院診療計画書」の左端のアイコン表示領域をクリックすることで、「入院診療計画書」を作成するための診療文書システムを起動して、「入院診療計画書」を作成することができる。また、操作者は、例えば、「患者番号:1423842、患者氏名:佐藤健太郎」の「入院診療計画書」の左端のアイコン表示領域に示されたDOCアイコンをクリックすることで、診療文書システムを起動するとともに、システム上の所定のフォルダに格納された「入院診療計画書」を読み出すことができる。
【0063】
また、出力機能355は、
図9に示すように、医療従事者ごとの文書を管理する表示情報を出力する。一例を挙げると、出力機能355は、「件名」、「患者番号」、「患者氏名」、「ステータス」、「期日」、「分類」、「作成日時」等を対応付けたToDo一覧画面を出力する。ここで、
図9に示すToDo一覧画面は、スタッフIDによって識別される医療従事者ごとに分類されたワークが示される。すなわち、出力機能355は、受付機能352によってトリガが受け付けられ、生成機能353によって登録情報が登録されると、出力機能355は、登録情報内の各ワークに対応付けられたスタッフIDに基づいて、スタッフIDごとにワークを分類し、分類したワークを各医療従事者のToDo一覧画面に出力させる。
【0064】
例えば、出力機能355は、スタッフIDごとに分類したワークの中から、病院情報システム1にアクセスする際に認証されたスタッフIDに対応するワークをToDo一覧画面に表示させる。ここで、出力機能355は、ToDo一覧画面へのワークの出力をいくつかのタイミングで行うことができる。例えば、出力機能355は、生成機能353によって登録情報が登録されたタイミングで、タスクに含まれるワークを実施するすべての医療従事者についてToDo一覧画面へワークの情報を出力することができる。
【0065】
或いは、出力機能355は、各医療従事者の実施順になったタイミングで、ToDo一覧画面へワークの情報を出力することもできる。例えば、「入院診療計画書」に診療計画を記載する医師のToDo一覧画面へのワークの出力が、事務職員によって「入院診療計画書」が仮作成された後に実行される場合であってもよい。かかる場合には、出力機能355は、事務職員によって仮作成された「入院診療計画書」が所定のフォルダに格納されたか否かを判定し、「入院診療計画書」が所定のフォルダに格納されたタイミングで、医師のToDo一覧画面へワークを出力する。すなわち、出力機能355は、登録情報に対応付けられたワークの実施順序を参照して、実施順が早いワークが実施されたことを契機として、次のワークの実施者のToDo一覧画面へワークの情報を出力する。なお、上記したToDo一覧画面へのワークの出力は、ワークの実施順に明確な順序がある場合に行われる。例えば、「タスク:入院診療計画書」における「ワーク:診療計画記載」と「ワーク:看護ケア記載」のように実施順に明確な順序がない場合には、出力機能355は、生成機能353によって登録情報が登録されたタイミングで、タスクに含まれるワークを実施するすべての医療従事者についてToDo一覧画面へワークの情報を出力する。
【0066】
以上、出力機能355の制御によって端末装置2のディスプレイ23にて表示される表示情報の一例について説明した。次に、各ワークが実施されたか否かを判定する処理の詳細について、
図10〜
図14を用いて説明する。
図10〜
図14は、第1の実施形態に係る更新機能354による判定処理を説明するための図である。なお、以下では、「タスク:輸血同意書作成」における各ワークの実施を一例に挙げて説明する。ここで、
図10は、輸血同意書の一例を示す。また、
図11、
図12、
図14は、被検体の電子カルテの一例を示す。また、
図13は、スキャン画面の一例を示す。
【0067】
例えば、輸血同意書を作成する医師は、
図8に示す被検体ごとの文書管理画面を参照して、今回同意書を作成する被検体の輸血同意書の項目に対応付けられた2つのアイコン表示領域のうち、左側のアイコン表示領域をクリックすることで、
図10に示す輸血同意書の文書ファイルを起動させる。そして、医師は、起動させた文書ファイル内の各項目に対して入力を行う。その後、医師は、今回同意書を作成する被検体の電子カルテを介して、作成した輸血同意書を登録する。
【0068】
例えば、文書管理画面における被検体の輸血同意書の項目から文書ファイルを起動させることで、
図11に示すように、同意書作成の対象となる被検体の電子カルテの「カルテ今回分(外来)」における「外来カルテ」の診療記録に「輸血同意書」が取り込まれる。輸血同意書を作成した医師は、作成した輸血同意書に被検体から署名をもらうと、電子カルテに取り込まれた輸血同意書のファイルを登録させるための確定操作(例えば、
図11における確定ボタンをクリック)を実行することで、輸血同意書のファイルをシステム上の所定のフォルダ内に格納する。例えば、医師によって確定操作が実行されると、
図12に示すように、被検体の電子カルテの「カルテ歴」における診療記録に「輸血同意書」が取り込まれる。
【0069】
更新機能354は、例えば、医師によって確定操作が実行されて、輸血同意書がシステム上の所定のフォルダに格納されたか否かに基づいて、輸血同意書のワークが実施されたか否かを判定する。すなわち、更新機能354は、輸血同意書のDOCファイルが被検体のカルテ歴に登録されたか否かによって、輸血同意書のワークが実施されたか否かを判定する。そして、更新機能354は、登録情報のステータスを更新する。なお、被検体から署名をもらった輸血同意書の原本は、担当の事務職員に渡される。
【0070】
上述したように、医師によって輸血同意書が作成されて登録され、登録情報のステータスが更新されると、出力機能355は、
図8に示す被検体ごとの文書管理画面における対応するアイコン表示領域にDOCファイルのアイコンを表示させる。輸血同意書の原本をスキャンしてファイリングする事務職員は、端末装置2を操作して、
図13に示すスキャン画面を起動させる。そして、事務職員がスキャナによって輸血同意書の原本をスキャンさせると、
図13に示すスキャン画面内にスキャンされた輸血同意書のプレビューが表示される。事務職員は、プレビューでスキャン結果を確認する。そして、事務職員が確定操作を実行すると、スキャンされた輸血同意書のPDFファイルがシステム上のフォルダに格納され、
図14に示すように、被検体の電子カルテの「カルテ歴」における診療記録に「輸血同意書ファイリング」が取り込まれる。
【0071】
更新機能354は、例えば、事務職員によって確定操作が実行されて、輸血同意書のPDFファイルがシステム上のフォルダに格納されたか否かに基づいて、輸血同意書のワークが実施されたか否かを判定する。すなわち、更新機能354は、輸血同意書のPDFファイルが被検体のカルテ歴に登録されたか否かによって、ファイリングのワークが実施されたか否かを判定する。そして、更新機能354は、登録情報のステータスを更新する。
【0072】
上述したように、更新機能354は、システム上にファイルが登録されたか否かに基づいて、ワークが実施されたか否かを判定する。なお、上述した例は、あくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、ワークが実施されたか否かの判定は、その他の情報を用いて実行される場合であってもよい。
【0073】
以上、処理回路35が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記憶される。処理回路35は、各プログラムを記憶回路34から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、
図2に示した各処理機能を有することとなる。
【0074】
なお、
図2では、単一の処理回路35によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路35は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路35が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0075】
次に、第1の実施形態に係る病院情報システム1による処理の手順について、
図15を用いて説明する。
図15は、第1の実施形態に係る病院情報システム1による処理手順を示すフローチャートである。ここで、
図15におけるステップS101は、例えば、処理回路35が受付機能352に対応するプログラムを記憶回路34から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS102は、例えば、処理回路35が生成機能353に対応するプログラムを記憶回路34から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS103、S105は、例えば、処理回路35が出力機能355に対応するプログラムを記憶回路34から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS104、S106、S107は、例えば、処理回路35が更新機能354に対応するプログラムを記憶回路34から読み出して実行することにより実現される。
【0076】
例えば、
図15に示すように、本実施形態に係る病院情報システム1では、まず、処理回路35が、トリガ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、トリガ操作を受け付けたと判定すると(ステップS101肯定)、処理回路35が、定義情報342を参照して、登録情報343を生成する(ステップS102)。続いて、処理回路35が、登録情報343を端末装置2に出力する(ステップS103)。なお、病院情報システム1は、トリガ操作を受け付けるまで待機状態である(ステップS101否定)。
【0077】
その後、処理回路35は、ワークが実施されたか否かを判定する(ステップS104)。ここで、ワークが実施されたと判定すると(ステップS104肯定)、処理回路35は、登録情報を更新して、端末装置2に出力する(ステップS105)。さらに、処理回路35は、タスクが完了したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、タスクが完了されたと判定すると(ステップS106肯定)、処理回路35は、登録情報のタスクを実施済に更新する(ステップS107)。
【0078】
上述したように、第1の実施形態によれば、生成機能353は、被検体に対する医療に関するイベントが決定されたことを契機として、イベントに関連するタスクと当該タスクが完了するまでに実施される医療従事者ごとのワークを特定する。出力機能355は、生成機能353によって特定された医療従事者ごとのワークを示す表示情報を医療従事者に対して出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、各医療従事者に対してワークの情報を提示することができるため、各ワークを速やかに実施させることができる。その結果、病院情報システム1は、複数のワークによって構成されたタスクの実施効率を向上させることを可能にする。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、生成機能353は、医療従事者ごとのワークの実施される順序をさらに特定する。出力機能355は、医療従事者ごとの作業に実施される順序を示した表示情報を出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、医療従事者に対して各タスクの進捗状況を把握させることができ、自身が実施するワークを速やかに行わせることができる。また、仮にタスクの実施が遅れている場合でも、どのワークで遅れているかがわかることから、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、担当の医療従事者に対して遅れているワークを実施するように促すことができ、医業務効率をさらに向上させることができる。
【0080】
また、第1の実施形態によれば、出力機能355は、被検体ごとの表示情報を出力するように制御する。また、出力機能355は、医療従事者ごとの表示情報を出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、タスク及びワークの実施状況を分かりやすい情報で提示することでき、医業務効率をより向上させることができる。
【0081】
また、第1の実施形態によれば、更新機能354は、生成機能353によって特定された医療従事者ごとのワークが実施されたか否かを判定し、判定結果に基づいて表示情報を更新する。出力機能355は、更新機能354によって更新された表示情報を医療従事者に対して出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1は、医療従事者に対してタスクの進捗を把握させることを可能にする。
【0082】
また、第1の実施形態によれば、更新機能354は、医療従事者ごとのワークが実施されたか否かの判定結果に基づいてワークの実施状況を更新し、ワークの実施状況に基づいてタスクの実施状況を更新する。出力機能355は、ワークの実施状況とタスクの実施状況とを含む表示情報を出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1は医療従事者に対してタスクの詳細な進捗を把握させることを可能にする。
【0083】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0084】
上述した実施形態では、各処理をHISサーバ3が実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、端末装置2が実施する場合であってもよい。一例を挙げると、端末装置2の処理回路25が上記した更新機能を実行する場合であってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、医療従事者ごとに分類されたワーク(ToDo)管理画面を表示する例を説明した。このワーク(ToDo)管理画面は、上述した表示例(
図9に示す画面)に限らず、適宜表示形態が変わる場合であってもよい。例えば、実施期日に近くなったワークを異なる色で表示する場合であってもよい。
【0086】
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0087】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)−ROM、FD(Flexible Disk)、CD−R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0088】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医業務効率を向上させることができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。