【文献】
潮 清孝,京セラ・アメーバ経営の時間当たり採算公式と利益連鎖管理,企業会計 第60巻 第3号,2008年03月01日,p.151-159
【文献】
アメーバ経営システムにおける社内売買単価の設定方法とその効果,商学論纂(中央大学)第55巻第4号,[online],[2020年12月28日検索],2014年03月,p.707-735,インターネット<URL:https://core.ac.uk/download/pdf/229755892.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る社内取引管理装置、社内取引管理方法および社内取引管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
従来、社内の部門間で商品の移動を伴う取引をする際に、口銭が発生する場合がある。このため、部門別の収支をより正確に把握するために、社内取引(内部取引)で発生した口銭を、社内取引をした部門と対応付けて登録することが望まれていた。このような社内取引に伴う口銭(手数料)を、社内口銭という。
【0016】
そこで、本実施形態においては、例えば、社内取引で発生した口銭を含む部門別収支をより容易に把握することができる社内取引管理装置、社内取引管理方法および社内取引管理プログラムを提供している。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0017】
[2.構成]
本実施形態に係る社内取引管理装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、社内取引管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
社内取引管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、社内取引管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であっても良い。
【0019】
社内取引管理装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。社内取引管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、社内取引管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、社内取引管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されても良い。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部106は、
図1に示すように、移動データベース(DB)106aと、売上データベース(DB)106bと、社内口銭データベース(DB)106cと、仕訳データベース(DB)106dとを記憶する。
【0024】
移動データベース106aは、移動データを記憶する。移動データは、商品の移動を記録したデータである。本実施形態における商品の移動とは、社内の異なる部門が管理する倉庫間での入出庫の他、倉庫内での保管場所間の移動等を含むものとする。移動データベース106aのデータ構成は、後述する移動データの構成と同様である。
【0025】
売上データベース106bは、売上データを記憶する。売上データは、計上された商品の売上を示すデータである。売上データベース106bのデータ構成は、後述する売上データの構成と同様である。移動データベース106aおよび売上データベース106bは、本実施形態における社内取引データベースの一例である。
【0026】
社内口銭データベース106cは、社内取引で発生した社内口銭データを記憶する。社内口銭データは、社内取引で発生した社内口銭の金額と、社内取引にかかる部門を識別するための情報とを含むデータである。社内口銭データベース106cのデータ構成は、後述する社内口銭データの構成と同様である。
【0027】
仕訳データベース106dは、商品の移動や、売上、仕入、社内口銭の登録等に伴って発生した仕訳データを記憶する。仕訳データベース106dのデータ構成は、後述する仕訳データの構成と同様である。
【0028】
制御部102は、社内取引管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0029】
制御部102は、
図1に示すように、表示制御部102aと、受付部102bと、移動データ生成部102cと、売上データ生成部102dと、社内口銭データ生成部102eと、仕訳データ生成部102fと、部門別収支算出部102gと、を備える。
【0030】
表示制御部102aは、モニタ114を制御して、伝票入力画面を表示する。伝票入力画面は、商品の移動を登録する移動伝票や、売上を計上する売上伝票等の伝票情報を入力する画面である。移動伝票の伝票情報を入力する伝票入力画面と、売上伝票の伝票情報を入力する伝票入力画面とはそれぞれ別個の画面としても良い。また、表示制御部102aは、モニタ114を制御して、部門別収支算出部102gによる部門別収支の算出結果を表示する。
【0031】
受付部102bは、ユーザが伝票入力画面に入力した伝票情報を受け付ける。受付部102bは入力された伝票情報を、移動データ生成部102cまたは売上データ生成部102dと、社内口銭データ生成部102eとに送出する。
【0032】
移動データ生成部102cは、伝票入力画面から入力された伝票情報から、移動データを生成し、記憶部106の移動データベース106aに登録する。具体的には、移動データ生成部102cは、伝票入力画面のパラメータに入力された値を取得し、各項目の値を対応付けて移動データとして移動データベース106aに登録する。
【0033】
図2は、移動データ、社内口銭データおよび仕訳データのデータ構成の一例を示す図である。
図2に示すように、移動データは、例えば、移動伝票番号と、データ区分と、伝票行番号と、出庫部門と、入庫部門と、商品と、移動単価と、移動数と、移動金額とを含む。
【0034】
図2に示す各項目の値は、営業部門Aから営業部門Bへ商品Cを移動した場合に登録される移動データの例である。営業部門Aから営業部門Bへの商品Cの移動は、本実施形態における口銭が発生する社内の部門間の社内取引の一例である。また、当該社内取引は、営業部門Aから営業部門Bへの商品Cの社内売買でもある。社内の部門間の商品の移動にかかる移動データは、本実施形態における社内取引データの一例である。
【0035】
以下、
図2を用いて移動データの各項目について説明する。
「移動伝票番号」は、商品の移動処理を識別するための伝票番号である。例えば、ユーザは、一回の移動処理につき、一つの移動伝票番号を付与する。また、移動データ生成部102cが移動伝票番号を採番するものとしても良い。
【0036】
「データ区分」は、データの種類を分類する区分である。例えば、移動データのデータ区分は“100”、売上データのデータ区分は“30”、仕入データのデータ区分は“40”等とする。各データ区分の値は一例であり、これに限定されるものではない。
【0037】
「伝票行番号」は、一の移動伝票番号に紐付く明細を識別するための番号である。例えば、一回の移動処理において複数種類の商品が移動される場合は、ユーザは、商品毎に伝票行番号を付与する。また、移動データ生成部102cが伝票行番号を採番するものとしても良い。伝票行番号は、一の移動伝票番号内で連番となる番号でも良いし、移動対象の商品の商品コードでも良い。
【0038】
また、移動伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とによって、移動データの各項目の値は特定される。言い換えれば、移動データの各項目は、移動伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とに対応付けられる。移動伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とは、本実施形態における社内取引を識別するための取引識別データの一例である。
【0039】
「出庫部門」は、商品の移動元の部門である。
図2に示す例では、移動前の時点において商品Cは営業部門Aが所有していた。また、出庫部門は、当該社内取引における商品の売部門でもある。出庫部門は、本実施形態における取引元部門識別データの一例である。また、本実施形態における各部門は、例えば、管理会計において費用や収益を計上する組織単位に相当する組織単位とするが、これに限定されるものではない。
【0040】
「入庫部門」は、商品の移動先の部門である。
図2に示す例では、当該移動処理によって、商品Cは営業部門Bに所有される。また、入庫部門は、当該社内取引における商品の買部門でもある。入庫部門は、本実施形態における取引先部門識別データの一例である。
【0041】
「商品」は、移動対象の商品である。当該項目には、例えば、商品を特定可能な商品コードや商品名等が登録される。
【0042】
「移動単価」は、移動対象の商品の、部門間の移動において適用される単位数量あたりの単価である。
【0043】
「移動数」は、当該移動処理で移動される商品の数量である。移動数の単位は、移動対象の商品の単位数量に対応するものとする。例えば、商品の単位数量が“1個”である場合は、移動数“5”は“商品5個”を示す。また、商品の単位数量が“1kg”である場合は、移動数“5”は“商品5kg”を示す。
【0044】
「移動金額」は、当該移動処理で移動される商品毎の価格の合計値である。例えば、
図2に示す例では、移動単価“¥100”に移動数“5”を乗算した“¥500”が移動金額となる。移動金額は、本実施形態における取引価格の一例である。
【0045】
図2に示す移動データのデータ構成および値は一例であり、これに限定されるものではない。また、
図2に示す社内口銭データおよび仕訳データについては、後述する。
【0046】
図1に戻り、売上データ生成部102dは、伝票入力画面から入力された伝票情報から、売上データを生成し、記憶部106の売上データベース106bに登録する。具体的には、売上データ生成部102dは、伝票入力画面のパラメータに入力された値を項目ごとに取得し、各項目の値を対応付けて売上データとして売上データ生成部102dに登録する。上述の移動データ生成部102cおよび売上データ生成部102dは、それぞれ、本実施形態における社内取引データ生成部の一例である。
【0047】
図3は、売上データ、社内口銭データおよび仕訳データのデータ構成の一例を示す図である。
図3に示すように、売上データは、例えば、売上伝票番号と、データ区分と、伝票行番号と、処理部門と、計上部門と、商品と、売上単価と、売上数と、売上金額とを含む。
【0048】
図3に示す各項目の値は、仕入部門が、営業部門Aの代わりに、得意先に対して商品Dの発送および売上伝票の登録処理をした場合に登録される売上データの例である。社外取引としては、当該取引は営業部門Aから得意先への売上である。一方、社内取引としては、当該取引は、仕入部門から営業部門Aに対する商品Dの社内売買である。仕入部門から営業部門Aに対する商品Dの社内売買は、本実施形態における口銭が発生する社内の部門間の社内取引の一例である。また、当該社内取引にかかる売上データは、本実施形態における社内取引データの一例である。
【0049】
以下、
図3を用いて移動データの各項目について説明する。
「売上伝票番号」は、売上の計上処理を識別するための伝票番号である。例えば、ユーザは、一回の売上の計上処理につき、一つの売上伝票番号を付与する。また、売上データ生成部102dが売上伝票番号を採番するものとしても良い。
【0050】
「データ区分」は、
図2で説明した移動データの項目のデータ区分と同様である。
【0051】
「伝票行番号」は、一の売上伝票番号に紐付く明細を識別するための番号である。例えば、一の売上において複数種類の商品が販売される場合は、ユーザは、商品毎に伝票行番号を付与する。また、売上データ生成部102dが伝票行番号を採番するものとしても良い。伝票行番号は、一の売上伝票番号内で連番となる番号でも良いし、移動対象の商品の商品コードでも良い。
【0052】
また、売上伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とによって、売上データの各項目の値は特定される。言い換えれば、売上データの各項目は、売上伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とに対応付けられる。売上伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とは、本実施形態における社内取引を識別するための取引識別データの一例である。
【0053】
「処理部門」は、当該売上に係る処理を行う部門である。また、処理部門は、当該売上に係る商品の所有部門である。また、処理部門は、当該社内取引における商品の売部門でもある。処理部門は、本実施形態における取引元部門識別データの一例である。
【0054】
「計上部門」は、当該売上金額が計上される部門である。また、計上部門は、当該社内取引における商品の買部門でもある。計上部門は、本実施形態における取引先部門識別データの一例である。
【0055】
「商品」は、得意先に販売された商品である。当該項目には、例えば、商品を特定可能な商品コードや商品名等が登録される。
【0056】
「売上単価」は、処理部門から得意先に販売された商品の、単位数量あたりの販売単価である。
【0057】
「売上数」は、処理部門から得意先に販売された商品の数量である。売上数の単位は、販売された商品の単位数量に対応するものとする。
【0058】
「売上金額」は、処理部門から得意先に販売された商品毎の価格の合計値である。例えば、
図3に示す例では、売上単価“¥150”に売上数“3”を乗算した“¥450”が売上金額となる。売上金額は、本実施形態における取引価格の一例である。
【0059】
図3に示す売上データのデータ構成および値は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、売上データは、商品の販売先である得意先を特定する得意先コード等を、さらに含むものであっても良い。また、
図3に示す社内口銭データおよび仕訳データについては、後述する。
【0060】
図1に戻り、社内口銭データ生成部102eは、移動データまたは売上データに基づいて、社内取引で発生した口銭についての社内口銭データを生成し、記憶部106の社内口銭データベース106cに登録する。具体的には、社内口銭データ生成部102eは、移動データベース106aまたは売上データベース106bから移動データまたは売上データを取得する。そして、社内口銭データ生成部102eは、移動データまたは売上データの項目から取得した値を社内口銭データの項目に設定する。また、社内口銭データ生成部102eは、移動データまたは売上データの商品の移動単価、売上単価、移動数、売上数、移動金額、売上金額等から社内口銭金額を算出する。
【0061】
図2,3に示すように、社内口銭データは、例えば、伝票番号と、データ区分と、伝票行番号と、売部門と、買部門と、社内口銭率と、社内口銭単価と、社内口銭金額とを含む。
【0062】
「伝票番号」は、社内口銭が発生した社内取引の伝票番号である。例えば、伝票番号は、移動伝票番号や、売上伝票番号が設定される。
【0063】
「データ区分」は、社内口銭が発生した社内取引のデータ区分である。また、「伝票行番号」は、社内口銭が発生した社内取引の伝票番号の明細に付与された伝票行番号である。
【0064】
伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とによって、社内口銭データの各項目の値は特定される。言い換えれば、社内口銭データの各項目は、伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とに対応付けられる。また、伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とによって、社内口銭が発生した社内取引が特定される。言い換えれば、社内口銭データは、伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とにより、移動データや売上データ等の社内取引データと対応付けられる。このため、本実施形態の社内取引管理装置100は、移動データまたは売上データに社内口銭についての項目を追加することなく、移動データまたは売上データと、社内口銭データとを紐付けることができる。
【0065】
「売部門」は、社内口銭が発生した社内取引における売部門である。
図2に示す例では、移動データの出庫部門である営業部門Aが、社内口銭データの売部門となる。また、
図3に示す例では、売上データの処理部門である仕入部門が、社内口銭データの売部門となる。
【0066】
「買部門」は、社内口銭が発生した社内取引における買部門である。
図2に示す例では、移動データの入庫部門である営業部門Bが、社内口銭データの買部門となる。また、
図3に示す例では、売上データの計上部門である営業部門Aが、社内口銭データの買部門となる。
【0067】
「社内口銭率」および「社内口銭単価」は、社内口銭データ生成部102eが社内口銭金額を算出するための値が設定される項目である。
図2,3に示す例では、社内取引の一明細に対して社内口銭率と社内口銭単価の両方が設定されているが、いずれか一方のみが設定されていれば良い。例えば、社内口銭率または社内口銭単価の値は、買部門、売部門、商品等に応じて予め定められ、記憶部106に保存されているものとしても良い。あるいは、全ての社内取引に対して同一の社内口銭率または社内口銭単価が用いられるものとしても良い。または、ユーザが、社内口銭率と社内口銭単価とのいずれか一方を伝票入力画面から入力するものとしても良い。
【0068】
「社内口銭金額」は、当該社内取引において、買部門が売部門に対して支払う社内口銭の金額である。社内口銭金額は、社内口銭データ生成部102eが社内口銭率または社内口銭単価によって算出した値である。あるいは、社内口銭金額は、ユーザが伝票入力画面で入力した値が優先的に設定される構成を採用しても良い。また、本実施形態では社内口銭金額は整数であるが、使用される通貨等に応じて、小数であっても良い。
【0069】
具体的には、「社内口銭率」は、取引価格に対する社内口銭金額の割合を示す値である。
図2,3では、一例としてパーセンテージで表示しているが、社内口銭率の形式はこれに限定されるものではない。社内口銭データ生成部102eは、社内取引データの取引価格と社内口銭率とから、社内口銭金額を算出する。
【0070】
図2に示す例では、移動金額“¥500”に対して社内口銭率は“10%”であるため、社内口銭金額は“¥50”となる。また、
図3に示す例では、売上金額“¥450” に対して社内口銭率は“3%”である。この場合、社内口銭データ生成部102eは、端数処理を行い、社内口銭金額を“¥14”とする。社内口銭データ生成部102eが用いる端数処理の手法は「最近接偶数への丸め」でも良いし、他の端数処理の手法であっても良い。
【0071】
また、「社内口銭単価」は、社内取引で売買される商品の単位数量あたりの社内口銭の金額である。
図2に示す例では、移動データの移動数“5”に社内口銭単価“¥10”を乗算すると、社内口銭金額は“¥50”となる。また、
図3に示す例では、売上数“3”に社内口銭単価“¥4.5”を乗算すると、社内口銭金額は“¥14”となる。
【0072】
本実施形態では、社内口銭データ生成部102eが、社内口銭率または社内口銭単価と、移動金額または売上金額とから社内口銭金額を算出するため、ユーザは社内口銭の算出のための追加の処理等を行わなくとも良い。
【0073】
図2,3に示す社内口銭データのデータ構成および値は一例であり、これに限定されるものではない。
【0074】
本実施形態では、社内口銭データ生成部102eが社内口銭データを生成するタイミングは、移動データまたは売上データが移動データベース106aまたは売上データベース106bに登録された後であるが、社内口銭データの生成タイミングはこれに限定されない。例えば、社内口銭データ生成部102eは移動データまたは売上データの生成と同時に社内口銭データを生成しても良い。また、移動データまたは売上データが生成される場合に、必ずしも社内口銭データが生成されなくとも良い。例えば、営業部門Aが、自部門が所有する商品を得意先へ販売する場合は、社内の部門間の商品の移動が発生しないため、社内口銭が発生しない。このように社内口銭が発生しない場合は、社内口銭データ生成部102eは社内口銭データを生成しなくとも良い。
【0075】
図1に戻り、仕訳データ生成部102fは、社内口銭データ生成部102eが生成した社内口銭データから、社内口銭の仕訳データを生成する。仕訳データ生成部102fは、生成した仕訳データを仕訳データベース106dに登録する。また、仕訳データ生成部102fは、社内口銭の仕訳データだけではなく、移動データおよび売上データの仕訳データを生成し、仕訳データベース106dに登録するものとしても良い。
【0076】
例えば、仕訳データは、借方の項目として借方部門、借方勘定科目、借方金額を含む。また、仕訳データは、貸方の項目として貸方部門、貸方勘定科目、貸方金額を含む。
【0077】
借方部門は、社内の部門別収支において借方勘定科目および借方金額が対応付けられる部門である。また、貸方部門は、社内の部門別収支において貸方勘定科目および貸方金額が対応付けられる部門である。また、仕訳データ生成部102fは、不図示の勘定科目マスタから、勘定科目を取得して借方勘定科目、貸方勘定科目に仕訳対象の社内取引に適合する勘定科目を設定しても良い。また、仕訳データ生成部102fは、勘定科目の設定に際して、移動データまたは売上データ等のデータ区分に応じて、勘定科目を決定しても良い。
【0078】
図2に示すように、仕訳データ生成部102fは、移動データおよび社内口銭データから仕訳データを生成する。
図2に示す例では、仕訳データ生成部102fは、借方部門には移動データの入庫部門である“営業部門B”、貸方部門には移動データの出庫部門である“営業部門A”を設定する。そして、当該社内取引は商品の移動であるため、仕訳データ生成部102fは、借方勘定科目および貸方勘定科目には“商品”と設定する。また、仕訳データ生成部102fは、借方金額および貸方金額には、移動データの移動金額の値“¥500”を設定する。
【0079】
また、
図2に示す例では、仕訳データ生成部102fは、社内口銭の仕訳データの借方部門には社内口銭データの買部門である“営業部門B”、貸方部門には社内口銭データの売部門である“営業部門A”を設定する。そして、当該仕訳データは社内口銭の仕訳データであるため、仕訳データ生成部102fは、借方勘定科目および貸方勘定科目には“社内口銭”を設定する。また、仕訳データ生成部102fは、借方金額および貸方金額には、社内口銭金額の値“¥50”を設定する。
【0080】
また、
図3に示すように、仕訳データ生成部102fは、売上データおよび社内口銭データから仕訳データを生成する。
図3に示す例では、仕訳データ生成部102fは、借方部門には売上データの計上部門である“営業部門A”を設定する。そして、当該社内取引は商品の売上であるため、仕訳データ生成部102fは、借方勘定科目には“売掛金”を設定し、貸方勘定科目には“売上”を設定する。また、仕訳データ生成部102fは、借方金額および貸方金額には、売上データの売上金額の値“¥450”を設定する。
【0081】
また、
図3に示す例では、仕訳データ生成部102fは、社内口銭の仕訳データの借方部門は社内口銭データの買部門である“営業部門A”、貸方部門には社内口銭データの売部門である“仕入部門”を設定する。そして、当該仕訳データは社内口銭の仕訳データであるため、仕訳データ生成部102fは、借方勘定科目および貸方勘定科目には“社内口銭”を設定する。また、仕訳データ生成部102fは、借方金額および貸方金額には、社内口銭金額の値“¥14”を設定する。
【0082】
図2,3に示す仕訳データのデータ構成および値は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、
図2,3の例では借方勘定科目の社内口銭は費用、貸方勘定科目の社内口銭は収益であるので、これらを区別する名称を用いても良い。また、仕訳データ生成部102fは、移動データの仕訳データの借方勘定科目および貸方勘定科目は、社内仕入、社内売上、社内売掛金、社内買掛金等の勘定科目を設定しても良い。また、仕訳データのデータ構成は借方と貸方とに項目を分ける構成に限らず、勘定科目のコードや、金額の数値の正負によって仕訳を識別する構成を採用しても良い。
【0083】
仕訳データ生成部102fが仕訳データを生成するタイミングは、各データが移動データベース106a、売上データベース106b、社内口銭データベース106cに登録された後でも良いし、移動データ、売上データ、社内口銭データの生成と同時でも良い。
【0084】
図1に戻り、部門別収支算出部102gは、社内口銭を含む部門別収支を算出する。また、部門別収支算出部102gは、算出した結果を表示制御部102aへ送出する。
【0085】
図4は、部門別の社内口銭の部門別収支の算出結果の一例を示す図である。
図4に示す売買推移の表900は、部門別収支算出部102gが社内口銭データベース106cから、部門別の社内口銭の支払いおよび受取りの推移を抽出した結果である。売買推移の表900では、社内口銭データの売部門の社内口銭金額は正の数値、買部門の社内口銭金額は負の数で表示される。これは、社内口銭が売部門にとっては収益であり、買部門にとっては費用であるためである。また、売買推移の表900のように、伝票番号やデータ区分で分類することにより、社内口銭の発生理由が識別可能となる。
【0086】
また、
図4に示す部門別収支の表901は、部門別収支算出部102gが売買推移の表900をサマリして、部門別の社内口銭金額の合計値を算出した結果である。取引別の社内口銭の値が合算されることで、ユーザが部門別の社内口銭金額をより容易に把握することができる。
【0087】
図4は、社内口銭金額の部門別収支を抽出した結果であるが、部門別収支算出部102gが算出する部門別収支はこれに限定されるものではない。例えば、部門別収支算出部102gは、仕訳データベース106dから、社内口銭と、各部門に対応付けられた売掛金や買掛金等を抽出し、社内口銭を含む部門別収支を算出しても良い。
【0088】
部門別収支算出部102gが社内口銭を含む部門別収支を算出するタイミングは、ユーザから部門別収支の問い合わせ操作を受け付けた場合でも良いし、会計期間ごと等の定期的なタイミングでも良い。
【0089】
[3.処理の流れ]
次に、以上のように構成された本実施形態の社内取引管理処理について説明する。
図5は、商品の移動に伴う社内取引管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
受付部102bは、ユーザによって伝票入力画面から入力された伝票情報を受け付ける(S1)。受付部102bは、入力された伝票情報を、移動データ生成部102cおよび社内口銭データ生成部102eに送出する。
【0091】
移動データ生成部102cは、伝票入力画面から入力された伝票情報から、移動データを生成し、記憶部106の移動データベース106aに登録する(S2)。例えば、移動データ生成部102cは、伝票入力画面のパラメータに入力された値を項目ごとに取得し、
図2に示すように、移動伝票番号と、データ区分と、伝票行番号とに各項目を対応付けて移動データを生成し、移動データベース106aに登録する。
【0092】
また、社内口銭データ生成部102eは、社内口銭データ生成処理を実行する(S3)。社内口銭データ生成処理の詳細は、
図6に示す。
図6は、移動データに対応した社内口銭データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
社内口銭データ生成部102eは、移動データベース106aから、移動データを取得する。また、社内口銭データ生成部102eは、予め定められた社内口銭率または社内口銭単価を取得する(S31)。あるいは、社内口銭データ生成部102eは、伝票入力画面から入力された伝票情報から移動データを取得しても良い。また、社内口銭データ生成部102eは、伝票入力画面から入力された社内口銭率または社内口銭単価を取得しても良い。
【0094】
そして、社内口銭データ生成部102eは、社内口銭金額を算出する(S32)。具体的には、社内口銭データ生成部102eは、取得した移動データに設定された移動金額の値と、社内口銭率とから、社内口銭金額を算出する。または、社内口銭データ生成部102eは、取得した移動データに設定された移動数の値と、社内口銭単価とから、社内口銭金額を算出する。
【0095】
社内口銭データ生成部102eは、移動データと、社内口銭率または社内口銭単価と、社内口銭金額とを対応付けて、社内口銭データベース106cに登録する(S33)。
図2に示したように、社内口銭データ生成部102eは、移動データについては、移動伝票番号、データ区分、伝票行番号、出庫部門、入庫部門に設定された値を、それぞれ社内口銭データの伝票番号、データ区分、伝票行番号、売部門、買部門の値として社内口銭データベース106cに登録する。
【0096】
図5に戻り、社内口銭データの生成処理の後は、仕訳データ生成部102fは、
図2に示したように移動データおよび社内口銭データに対応した仕訳データを生成し、仕訳データベース106dに登録する(S4)。
【0097】
また、売上の計上に伴う社内取引管理処理においても、
図5,6を用いて説明した商品の移動に伴う社内取引管理処理と同様の流れで、売上データ、社内口銭データ、および仕訳データが生成される。具体的には、受付部102bと、売上データ生成部102dと、社内口銭データ生成部102eと、仕訳データ生成部102fとは、売上データ、社内口銭データ、および仕訳データを生成する。また、受付部102bと、売上データ生成部102dと、社内口銭データ生成部102eと、仕訳データ生成部102fとは、生成した各データを、売上データベース106b、社内口銭データベース106c、仕訳データベース106dに登録する。
【0098】
このように、本実施形態の社内取引管理装置100では、記憶部106は、口銭が発生する社内の部門間の社内取引についての移動データまたは売上データが登録された移動データベース106aおよび売上データベース106bと、社内取引で発生した口銭金額および部門を識別するための情報を含む社内口銭データが登録される社内口銭データベース106cとを記憶する。また、社内口銭データ生成部102eは、移動データまたは売上データに基づいて社内口銭データを生成し、社内口銭データベース106cに登録する。このため、本実施形態の社内取引管理装置100によれば、社内口銭データベース106cに登録された社内口銭データによって、社内取引で発生した口銭を含む部門別収支をより容易に把握することができる。また、本実施形態の社内取引管理装置100によれば、移動データまたは売上データとは別個に社内口銭データを生成するため、実際の社外取引にかかる売上または仕入と、社内口銭とを混同することを低減することができる。
【0099】
さらに、本実施形態の社内取引管理装置100では、移動データベース106aおよび売上データベース106bは、社内取引を識別するための取引識別データ(移動伝票番号、売上伝票番号、伝票行番号、データ区分)に、取引元部門識別データ(出庫部門、処理部門)と、取引先部門識別データ(入庫部門、計上部門)と、社内取引の対象となる商品の単価と、商品の数量と、社内取引の取引価格とが対応付けられている。また、社内口銭データ生成部102eは、移動データベース106aまたは売上データベース106bから取得した取引識別データと、取引元部門識別データと、取引先部門識別データと、予め設定された口銭率または口銭単価と、口銭率と取引価格とから算出した口銭金額または口銭単価と数量とから算出した口銭金額と、を対応付けて、社内口銭データとして社内口銭データベース106cに登録する。このため、本実施形態の社内取引管理装置100によれば、取引識別データによって移動データまたは売上データと、社内口銭データとが対応付けられ、社内口銭がいずれの社内取引によって発生したかを容易に特定することができる。また、本実施形態の社内取引管理装置100によれば、社内取引における口銭金額をユーザが入力しなくとも、移動データまたは売上データから口銭金額が算出されるため、ユーザの作業負荷を軽減することができる。
【0100】
さらに、本実施形態の社内取引管理装置100では、仕訳データ生成部102fが社内口銭データ生成部102eが生成した社内口銭データから、社内口銭の仕訳データを生成する。このため、本実施形態の社内取引管理装置100によれば、社内口銭を含む部門間収支管理をすることができる。
【0101】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されて良いものである。
【0102】
例えば、上述の実施形態においては、商品の移動または売上に伴う社内取引を例として説明したが、社内取引はこれらに限定されるものではない。例えば、社外からの商品の仕入に伴って、社内口銭を伴う社内取引が発生した場合は、社内口銭データ生成部102eは当該社内取引に対応した社内口銭データを生成する。
【0103】
また、上述の実施形態においては、商品を対象とした社内取引を例として説明したが、社内取引の対象は、中間品や、原材料等であっても良い。
【0104】
また、移動データ生成部102c、売上データ生成部102dおよび社内口銭データ生成部102eは、伝票入力画面から入力された伝票情報に限らず、データファイル等によって入力された伝票情報のデータから、移動データ、売上データ、社内口銭データ等を生成しても良い。
【0105】
また、例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0106】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0107】
また、社内取引管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0108】
例えば、社内取引管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現しても良い。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて社内取引管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0109】
また、このコンピュータプログラムは、社内取引管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0110】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理または処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0111】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0112】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0113】
また、社内取引管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成しても良い。また、社内取引管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現しても良い。
【0114】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施しても良い。