【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係る弾性波フィルタの平面図である。
図1に示すように、圧電基板10上に弾性表面波共振器25、配線32、パッド34および放電素子30が設けられている。弾性表面波共振器25は、IDT20とIDT20の両側に設けられた反射器24を有している。弾性表面波共振器25として直列共振器S1からS3と並列共振器P1からP4が設けられている。パッド34上にバンプ36が設けられている。バンプ36は、入力端子In、出力端子Outおよびグランド端子Gndに対応する。
【0020】
直列共振器S1からS3は、入力端子Inと出力端子Outとの間に直列に接続されている。並列共振器P1からP4は、入力端子Inと出力端子Outとの間に並列に接続されている。直列共振器S1からS3は各々直列に3分割されている。並列共振器P1およびP4は各々直列に2分割されている。並列共振器P2およびP3は各々並列に2分割されている。
【0021】
放電素子30は、対向領域28、電極26および27を備えている。対向領域28は、電極26および27を介しそれぞれ入力端子Inおよび出力端子Outに電気的に接続されている。圧電基板10は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。配線32およびパッド34は、例えば金、銅、アルミニウム等の金属膜である。バンプ36は、例えば金バンプ、はんだバンプ等の金属バンプである。
【0022】
図2(a)は、実施例1における弾性表面波共振器の平面図、
図2(b)は、
図2(a)のA−A断面図である。
図2(a)および
図2(b)に示すように、圧電基板10上にIDT20および反射器24が設けられている。IDT20および反射器24は、圧電基板10上に形成された金属膜12により形成される。圧電基板10上にIDT20および反射器24を覆うように絶縁膜14が設けられている。
【0023】
IDT20は、一対の櫛型電極22を有する。櫛型電極22は各々複数の電極指21と複数の電極指21が接続されたバスバー23とを有する。櫛型電極22のうち一方の電極指21と他方の電極指21とはほぼ互い違いに設けられている。櫛型電極22の一方の電極指21と他方の電極指21とは対向している。IDT20に交流信号が印加されると、電極指21の配列する方向に伝搬する弾性波が励振される。同じ櫛型電極22の電極指21のピッチはほぼ弾性波の波長λに相当する。電極指21とバスバー23との間のギャップの電極指21の距離をG1、隣接する電極指21の間のギャップの距離をG3とする。距離G1およびG3は例えば350nmである。
【0024】
金属膜12は、例えばアルミニウム膜または銅膜である。絶縁膜14は、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜である。
【0025】
図3は、実施例1における弾性表面波共振器の別の例を示す平面図である。
図3に示すように、櫛型電極22は、電極指21の延伸方向に他方の櫛型電極22の複数の電極指21にそれぞれ対向する複数のダミー電極指21aを有する。電極指21とダミー電極指21aとの間のギャップの距離はG2である。距離G2およびG3は例えば350nmである。その他の構成は、
図2(a)と同じであり説明を省略する。
【0026】
図4(a)は、実施例1における放電素子周辺の平面図、
図4(b)は、
図4(a)のA−A断面図である。
図4(a)に示すように、放電素子30は、電極26、27および対向領域28を有している。電極26および27はパッド34aおよび34bにそれぞれ接続されている。パッド34aおよび34bは、例えば
図1の出力端子Outおよびグランド端子Gndに対応するパッドである。
図4(b)に示すように、圧電基板10上に金属膜12が設けられている。金属膜12を覆うように絶縁膜14が設けられている。金属膜12上の絶縁膜14には開口38が設けられている。金属膜12上に金属層16が設けられている。金属層16は、バリア層15とバリア層15上に設けられた低抵抗層17が設けられている。金属層16は、開口38を介し金属膜12に電気的に接続されている。
【0027】
パッド34aおよび34bは、金属膜12と金属層16とが積層されて形成されている。電極26は、絶縁膜14上に設けられ、パッド34aの金属層16と一体に設けられている。電極27は、圧電基板10と絶縁膜14との間に設けられ、パッド34bの金属膜12と一体に設けられている。対向領域28では、絶縁膜14を挟み電極26と27とが対向している。対向領域28は、例えば正方形である。
【0028】
金属膜12は、例えばIDT20および反射器24を形成する金属膜12であり、膜厚は例えば100nmである。絶縁膜14は、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化アルミニウム膜であり、膜厚は例えば15nmである。バリア層15は、金属膜12と低抵抗層17との間の相互拡散を抑制するバリアとして機能する。または金属膜12と低抵抗層17との密着、および絶縁膜14と低抵抗層17との密着を強化する。バリア層15は、低抵抗層17に比べ高融点な金属であり、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ニオブまたはルテニウムである。バリア層15の膜厚は例えば200nmである。低抵抗層17は、バリア層15より抵抗率の小さい材料であり、例えば金層、銅層またはアルミニウム層である。低抵抗層17の膜厚は例えば1μmである。
【0029】
図5(a)から
図5(d)は、実施例1における放電素子および弾性表面波共振器の製造方法を示す断面図である。
図5(a)に示すように、圧電基板10上に金属膜12を形成する。金属膜12は蒸着法およびリフトオフ法、またはスパッタリング法およびエッチング法を用い形成する。金属膜12により弾性表面波共振器25、電極27およびパッドの下部が形成される。
【0030】
図5(b)に示すように、金属膜12を覆うように、絶縁膜14を形成する。絶縁膜14はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用い形成する。
図5(c)に示すように、絶縁膜14のパッドとなる領域に開口38を形成する。開口38は例えばエッチング法を用い形成する。
【0031】
図5(d)に示すように、金属膜12に開口38を介し電気的に接触するように絶縁膜14上に金属層16を形成する。金属層16は例えば電解めっき法を用い形成する。パッド34aおよび34bは、金属膜12と金属層16とにより形成され、放電素子30は電極26および27と電極26および27に挟まれる絶縁膜14から形成される。放電素子30の絶縁膜14は、弾性表面波共振器25の保護膜と同じ膜を用いる。
【0032】
図1における出力端子Outに静電気が加わると、電荷が放電素子30の対向領域28の絶縁膜14を破壊し、電極26から27に流れる。これにより、弾性波フィルタ内の弾性表面波共振器25に加わることを抑制できる。よって、静電気による弾性表面波共振器25の破壊を抑制できる。
【0033】
実施例1をバンド7の送信フィルタとして用い、放電素子30の静電容量がフィルタ特性に影響しないかシミュレーションした。その結果、放電素子30の静電容量は0.1pF以下であれば、フィルタ特性はほとんど変化しないが、静電容量が0.1pFを越えると、フィルタ特性が劣化することが分かった。
【0034】
例えば絶縁膜14を酸化シリコン膜または窒化シリコン膜とした場合の対向領域28の面積を算出する。絶縁膜14の膜厚を15nmとする。酸化シリコンおよび窒化シリコンの比誘電率はそれぞれ3.9および7.5である。対向領域28の静電容量が0.1pFとなる対向領域28の面積は、酸化シリコン膜のとき43μm
2、窒化シリコン膜のとき23μm
2となる。対向領域28が正方形とすると、対向領域28の一辺の長さは、酸化シリコン膜のとき6.5μm、窒化シリコン膜のとき4.5μmである。対向領域28の面積および対向領域28の一辺の長さをこれらより小さくすれば、放電素子30の静電容量は0.1pFより小さくなる。これにより、フィルタ特性が劣化することを抑制できる。電極26と27とは絶縁膜14を挟み対向していればよいが、電極26と27との位置合わせ精度を考慮して、対向領域28の一辺の長さは、500nm以上が好ましい。
【0035】
対向領域28における放電は、主に、電極26および/または27の先端40で生じやすい。放電破壊の再現性をよくするためには、電極26および27の先端を尖がらせることが好ましい。これにより、電極26と27との位置合わせがずれても先端40の形状は変化しない。よって、再現性良く放電を行わせることができる。対向領域28を正方形とするためには、電極26および27の先端の角度は90°である。対向領域28の平面形状は正方形以外に長方形、菱形または平行四辺形等でもよい。
【0036】
実施例1によれば、
図1から
図3のように、電極26(第1電極)は、直列共振器S3および並列共振器P4の一対の櫛型電極の少なくとも一方に電気的に接続されている。電極27(第2電極)は、グランド端子Gndに対応するパッド34(グランドパッド)と電気的に接続されている。
図4(a)および
図4(b)のように、電極27は少なくとも一部において電極26と重なる。絶縁膜14は、電極26と27とが重なる対向領域28における電極26と27との間に設けられている。これにより、櫛型電極の少なくとも一方に静電気が加わったときに、放電素子30を介しグランド端子Gndに電荷が流れる。絶縁膜14は電極26および27の各々の膜厚より小さな膜厚を有する。これにより、絶縁膜14に静電気が加わったときに絶縁膜14を電荷が流れる。よって、櫛型電極の破壊を抑制できる。
【0037】
特許文献1のような放電誘発パターンのギャップの制御は難しい。実施例1では、絶縁膜14の膜厚により放電特性を制御できる。絶縁膜14の制御は、パターンのギャップの制御に比べ容易である。よって、精度よく簡単に放電素子30を形成できる。また、絶縁膜14の膜厚を小さくすることで、特許文献2のようなバリスタ特性を有する特殊な薄膜を設けなくてもよい。よって、簡単に放電素子30を形成できる。
【0038】
絶縁膜14は酸化シリコン膜または窒化シリコン膜である。これにより、特許文献2のような特殊な薄膜を設けなくてもよい。よって、簡単に放電素子30を形成できる。一対の櫛型電極と放電素子30との間にはIDT等の他の素子が介在してもよい。絶縁膜14の膜厚は、電極26および27の各々の膜厚の1/2以下が好ましく、1/5以下がより好ましい。
【0039】
櫛型電極は入力端子Inに対応する入力パッドと出力端子Outに対応する出力パッドとの間に接続され、電極26は、櫛型電極を介さず入力パッドおよび出力パッドのいずれか一方に接続される。これにより、入力端子Inおよび出力端子Outの少なくとも一方に静電気が加わったときに、放電素子30を介しグランド端子Gndに電荷が流れる。よって、櫛型電極の破壊を抑制できる。
【0040】
絶縁膜14の膜厚は、一対の櫛型電極20が対向する最小のギャップの距離より小さい。これにより、一対の櫛型電極20間が破壊される前に放電素子30の絶縁膜14が破壊し、櫛型電極20の破壊を抑制できる。一対の櫛型電極20が対向する最小のギャップの距離は、
図2(a)および
図3の距離G1からG3の少なくとも1つである。絶縁膜14の膜厚は、距離G1からG3の2/3以下が好ましく、1/2以下がより好ましい。
【0041】
図4(a)のように、電極26は電極27に向かうに従い幅が狭くなり、電極27は電極26に向かうに従い幅が狭くなる。これにより、電極26および/または27の先端で絶縁膜14が破壊される。よって、放電破壊の再現性を向上できる。
【0042】
フィルタ特性を劣化させないため、電極26と27との間の静電容量は0.1pF以下であることが好ましく、0.05pF以下がより好ましく、0.03pF以下がさらに好ましい。
【0043】
パッド34aおよび34bは、金属膜12と金属層16とから形成される。電極26は、金属層16から形成され、金属膜12を含まず、電極27は、金属膜12から形成され金属層16を含まない。これにより、
図5(a)から
図5(d)に示すように、製造工程の増加を抑制できる。電極26は、金属膜12から形成され金属層16を含まず、電極27は、金属層16から形成され金属膜12を含まなくてもよい。
【0044】
一対の櫛型電極20は金属膜12から形成される。これにより、製造工程の増加を抑制できる。
【0045】
バリア層15は、放電素子30が破壊したときの溶融を抑制するため、低抵抗層17より誘電の高い金属層を含むことが好ましい。
【0046】
図1のラダー型フィルタの直列共振器および並列共振器の個数は任意に設定できる。弾性波デバイスとしてラダー型フィルタを例に説明したが、弾性波デバイスは、多重モードフィルタを含んでもよい。弾性波デバイスは、デュプレクサ等のマルチプレクサを含んでもよい。
【0047】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。