(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状をなして表面と裏面とに1対又は2対以上の電極パッドを有するセンサ素子に用いられ、軸線方向に延びて先端側で弾性的に折り返された折り返し部を有する端子金具であって、前記センサ素子を挟んで前記電極パッドにそれぞれ電気的に接続される接点部をそれぞれ前記折り返し部に有する1対又は2対以上の端子金具を、前記接点部同士が対向するように筒状のセパレータの挿通孔に保持するガスセンサの製造方法であって、
前記軸線方向に沿って前記セパレータを収容する収容空間を有し、前記セパレータ及び前記端子金具を前記収容空間に収容した際に、前記接点部同士の対向面に対応した位置に配置された所定厚みの平面部が前記収容空間の底面から前記セパレータの後端側に沿って立設する第1治具を用い、
前記第1治具の後端側から前記セパレータを収容し、前記セパレータの前記挿通孔のうち、前記対向面に対応した位置に前記平面部を挿通するセパレータ収容工程と、
前記接点部同士の間に前記平面部が介在するよう、前記セパレータの後端側から前記挿通孔に前記端子金具のそれぞれを挿通して保持する端子金具保持工程と、
前記セパレータに対して前記第1治具を相対的に先端側に離脱させる治具離脱工程と、
を有するガスセンサの製造方法。
板状をなして表面と裏面とに1対又は2対以上の電極パッドを有するセンサ素子に用いられ、軸線方向に延びて先端側で弾性的に折り返された折り返し部を有する端子金具であって、前記センサ素子を挟んで前記電極パッドにそれぞれ電気的に接続される接点部をそれぞれ前記折り返し部に有する1対又は2対以上の端子金具を、前記接点部同士が対向するように筒状のセパレータの挿通孔に保持するガスセンサの製造方法であって、
前記端子金具のそれぞれに接続されるリード線を、前記セパレータの前記挿通孔に挿通して前記挿通孔の先端側から突出させるリード線挿通工程と、
前記リード線の先端に前記端子金具をそれぞれ電気的に接続する端子金具接続工程と、
前記セパレータ内での前記端子金具の保持位置と同一となるよう、前記端子金具を前記軸線方向に沿って収容する収容空間を有し、前記端子金具を前記収容空間に収容した際に、前記接点部同士の対向面に対応した位置に配置された所定厚みの平面部が前記収容空間の底面から前記軸線方向に沿って立設し、前記収容空間の内径が前記セパレータの先端部の最大外径以下の第2治具を用い、
前記接点部同士の間に前記平面部が介在するよう、前記第2治具の後端側から前記端子金具を収容する端子金具収容工程と、
前記リード線を後端側に引っ張りながら、前記セパレータの先端を前記第2治具の後端に当接させるセパレータ当接工程と、
前記第2治具の後端に当接した前記セパレータの前記挿通孔の先端側から、該挿通孔に前記端子金具を挿通して保持する端子金具保持工程と、
前記セパレータに対して前記第2治具を相対的に先端側に離脱させる治具離脱工程と、
を有するガスセンサの製造方法。
前記セパレータ収容工程で、前記第1治具に前記セパレータを収容したとき、前記平面部が前記セパレータよりも後端側に突出する請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサ素子を挿入する前に、接点部同士が対向するようにして端子金具をセパレータに取り付ける際、直接対向した端子金具同士が接触して絡み合い、端子金具が破損や変形したり、作業性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、端子金具をセパレータに取り付ける際、対向した端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させたガスセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点のガスセンサの製造方法は、板状をなして表面と裏面とに1対又は2対以上の電極パッドを有するセンサ素子に用いられ、軸線方向に延びて先端側で弾性的に折り返された折り返し部を有する端子金具であって、前記センサ素子を挟んで前記電極パッドにそれぞれ電気的に接続される接点部をそれぞれ前記折り返し部に有する1対又は2対以上の端子金具を、前記接点部同士が対向するように筒状のセパレータの挿通孔に保持するガスセンサの製造方法であって、前記軸線方向に沿って前記セパレータを収容する収容空間を有し、前記セパレータ及び前記端子金具を前記収容空間に収容した際に、前記接点部同士の対向面に対応した位置に配置された所定厚みの平面部が前記収容空間の底面から前記セパレータの後端側に沿って立設する第1治具を用い、前記第1治具の後端側から前記セパレータを収容し、前記セパレータの前記挿通孔のうち、前記対向面に対応した位置に前記平面部を挿通するセパレータ収容工程と、前記接点部同士の間に前記平面部が介在するよう、前記セパレータの後端側から前記挿通孔に前記端子金具のそれぞれを挿通して保持する端子金具保持工程と、前記セパレータに対して前記第1治具を相対的に先端側に離脱させる治具離脱工程と、を有する。
【0006】
第1の観点のガスセンサの製造方法によれば、接点部同士が対向するようにして1対以上の端子金具をセパレータに取り付ける際、接点部同士の間に第1治具の平面部が介在するので、対向した端子金具同士が接触して絡み合うことを抑制し、端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させることができる。
【0007】
本発明の第2の観点のガスセンサの製造方法は、板状をなして表面と裏面とに1対又は2対以上の電極パッドを有するセンサ素子に用いられ、軸線方向に延びて先端側で弾性的に折り返された折り返し部を有する端子金具であって、前記センサ素子を挟んで前記電極パッドにそれぞれ電気的に接続される接点部をそれぞれ前記折り返し部に有する1対又は2対以上の端子金具を、前記接点部同士が対向するように筒状のセパレータの挿通孔に保持するガスセンサの製造方法であって、前記端子金具のそれぞれに接続されるリード線を、前記セパレータの前記挿通孔に挿通して前記挿通孔の先端側から突出させるリード線挿通工程と、前記リード線の先端に前記端子金具をそれぞれ電気的に接続する端子金具接続工程と、前記セパレータ内での前記端子金具の保持位置と同一となるよう、前記端子金具を前記軸線方向に沿って収容する収容空間を有し、前記端子金具を前記収容空間に収容した際に、前記接点部同士の対向面に対応した位置に配置された所定厚みの平面部が前記収容空間の底面から前記軸線方向に沿って立設し、前記収容空間の内径が前記セパレータの先端部の最大外径以下の第2治具を用い、前記接点部同士の間に前記平面部が介在するよう、前記第2治具の後端側から前記端子金具を収容する端子金具収容工程と、前記リード線を後端側に引っ張りながら、前記セパレータの先端を前記第2治具の後端に当接させるセパレータ当接工程と、前記第2治具の後端に当接した前記セパレータの前記挿通孔の先端側から、該挿通孔に前記端子金具を挿通して保持する端子金具保持工程と、前記セパレータに対して前記第2治具を相対的に先端側に離脱させる治具離脱工程と、を有する。
【0008】
第2の観点のガスセンサの製造方法によれば、接点部同士が対向するようにして1対以上の端子金具をセパレータに取り付ける際、接点部同士の間に第2治具の平面部が介在するので、対向した端子金具同士が接触して絡み合うことを抑制し、端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させることができる。
【0009】
第1の観点のガスセンサの製造方法において、前記セパレータ収容工程で、前記第1治具に前記セパレータを収容したとき、前記平面部が前記セパレータよりも後端側に突出してもよい。
このガスセンサの製造方法によれば、次の端子金具保持工程で挿通孔に端子金具を挿通する最初から、対向する端子金具(接点部同士)を平面部で分離するので、端子金具同士が接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
【0010】
第2の観点のガスセンサの製造方法において、前記セパレータ当接工程で、前記平面部が前記接点部同士よりも後端側に突出してもよい。
このガスセンサの製造方法によれば、セパレータの挿通孔内に各端子金具を保持させた際、対向する端子金具(接点部同士)を平面部で分離するので、端子金具同士が接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
【0011】
本発明のガスセンサの製造方法において、前記第1治具又は前記第2治具は前記セパレータの周方向の回転を防止する第1規制部材を有し、前記セパレータは、前記第1規制部材に係合する第2規制部材を有してもよい。
このガスセンサの製造方法によれば、第1治具又は第2治具内でセパレータが周方向に回転することを防止し、セパレータの回転により端子金具同士が接触して絡み合うことを抑制できる。
【0012】
本発明のガスセンサの製造方法において、前記平面部の厚みが、前記センサ素子の表裏面の前記1対の電極パッド間の厚みよりも薄いとよい。
このガスセンサの製造方法によれば、平面部によって対向する端子金具(接点部同士)の間隔が広がって塑性変形し、その後のセンサ素子の電極パッドとの接圧が低下して電気的接続の信頼性が低下することを抑制できる。
【0013】
本発明のガスセンサの製造方法において、前記
第1治具又は前記第2治具は、前記平面部から突出して前記端子金具の側面に接し、該端子金具の位置ズレを防止する端子金具規制部材を有してもよい。
このガスセンサの製造方法によれば、端子金具規制部材が各端子金具の側面(折り返し部の面に交差する面)に接し、各端子金具の幅方向への移動を規制するので、セパレータ内(第1治具又は第2治具内)での各端子金具の位置ズレを防止することができる。
【0014】
本発明のガスセンサの製造方法において、前記平面部に沿って並ぶ2対以上の前記端子金具を有し、前記接点部における前記端子金具の幅をW1、前記2対以上の前記端子金具が並ぶ並設方向の前記平面部の幅をW2、前記セパレータの前記挿通孔の前記並設方向の最大幅をW3としたとき、式1:GL+GR=W3−W2、GL<W1かつGR<W1(但し、GL、GRは前記平面部と前記挿通孔とのそれぞれ右側及び左側の隙間)を満たしてもよい。
このガスセンサの製造方法によれば、平面部と挿通孔との隙間を表すGL+GRがW1より小さいので、各端子金具が並設方向にブレても、平面部を越えて反対側に位置する対向する端子金具に接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、ガスセンサの端子金具をセパレータに取り付ける際、対向した端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るガスセンサの製造方法が適用される一例のガスセンサ(酸素センサ)200の長手方向に沿う全体断面図、
図2はセンサ素子10の斜視図、
図3は端子金具21aの斜視図、
図4は端子金具をセパレータに組み込んだ状態の断面斜視図である。
このガスセンサ200は、自動車や各種内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサである。
【0018】
図1において、ガスセンサ200は、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、軸線O方向(ガスセンサ200の長手方向:図中上下方向)に延びる板状形状をなすセンサ素子10と、センサ素子10の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、軸線方向に貫通する挿通孔168の先端側の内部に、センサ素子10の後端部の周囲を取り囲む状態で配置されるセラミック製のセパレータ166と、センサ素子10とセパレータ166との間に配置される4個の端子金具21a、21b、22a、22b(
図1では、2個のみを図示)とを備えている。
又、センサ素子10の先端のガス検出部10aは、アルミナ等の多孔質保護層20で覆われている。
【0019】
主体金具138は、ステンレスから構成され、軸線方向に貫通する貫通孔154を有し、貫通孔154の径方向内側に突出する棚部152を有する略筒状形状に構成されている。この貫通孔154には、センサ素子10の先端部を自身の先端よりも突出させるように当該センサ素子10が配置されている。さらに、棚部152は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
【0020】
なお、主体金具138の貫通孔154の内部には、センサ素子10の径方向周囲を取り囲む状態で環状形状のアルミナ製のセラミックホルダ151、粉末充填層153、156(以下、滑石リング153、156ともいう)、および上述のセラミックスリーブ106がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。
また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されており、セラミックホルダ151と主体金具138の棚部152との間には、滑石リング153やセラミックホルダ151を保持するための金属ホルダ158が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0021】
一方、
図1に示すように、主体金具138の先端側(
図1における下方)外周には、センサ素子10の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)二重のプロテクタである、外部プロテクタ142および内部プロテクタ143が溶接等によって取り付けられている。
【0022】
そして、主体金具138の後端側外周には、外筒144が固定されている。また、外筒144の後端側(
図1における上方)の開口部には、センサ素子10の4個の端子金具21a、21b、22a、22b(
図1では、2個のみを表示)とそれぞれ電気的に接続される4本のリード線146(
図1では2本のみを表示)が挿通されるリード線挿通孔(図示せず)が形成された、ゴム製のグロメット170が配置されている。
さらに、グロメット170の軸線O方向中心には基準雰囲気となる大気を導入するための貫通孔170hが形成され、この貫通孔170hには円筒状のフィルタ金具172が嵌挿されている。そして、貫通孔170hとフィルタ金具172の間に、貫通穴170hを閉塞するようにして配置された、空気は通す(通気性を有す)が水を通さない撥水性フィルタ174が保持され、貫通孔170hを介してガスセンサ200の内外に大気を導入可能になっている。
【0023】
また、主体金具138の後端部140より突出されたセンサ素子10の後端側(
図1における上方)には、セパレータ166が配置される。なお、このセパレータ166は、センサ素子10の後端側の主面に形成される合計4個の電極パッド(
図1では2個の電極パッド11a、12aのみを表示)の周囲に配置される。このセパレータ166は、軸線方向に貫通する挿通孔168を有する筒状形状に形成されると共に、外表面から径方向外側に突出する鍔部167が備えられている。セパレータ166は、鍔部167が保持部材169を介して外筒144に当接することで、外筒144の内部に保持される。
なお、セパレータ166の挿通孔168に、上述の4個の端子金具21a、21b、22a、22bが保持されており、このうち、センサ素子10を挟んで対向する端子金具21a、22a、及びセンサ素子10を挟んで対向する端子金具21b、22bがそれぞれ「1対の端子金具」に相当する(
図4参照)。つまり、本実施形態では、合計2対の端子金具21a、21b、22a、22bを有する。
【0024】
図2に示すようにセンサ素子10は、軸線O方向に延びる板状をなし、先端部10sが酸素濃度を検出するガス検出部10aとなっていて、ガス検出部10aは多孔質保護層20で覆われている。なお、センサ素子10自身は公知の構成であり、図示はしないが酸素イオン透過性の固体電解質体と1対の電極とを有するガス検出部と、ガス検出部を加熱して一定温度に保持するヒータ部とを備えている。
そして、センサ素子10の一方の主面(表面)10Aの後端側には、幅W方向に2つの電極パッド11a、11bが並び、ガス検出部からのセンサ出力信号がリード部(図示せず)を介してこれら電極パッド11a、11bから出力される。又、主面10Aに対向するように設けられた他方の主面(裏面)10Bの後端側には、幅方向に2つの電極パッド12a、12bが並び、リード部(図示せず)を介してヒータ部に電力を供給するようになっている。
各電極パッド11a、11b、12a、12bは、軸線O方向に長い矩形状になっていて、例えばPtを主体とする焼結体として形成することができる。なお、本実施形態では、センサ素子10の各面に配置された電極パッド11a、11bと、電極パッド12a、12bとは、センサ素子10を介して互いに対向してそれぞれ対をなし、具体的には、1対の電極パッド11aと電極パッド12aが対向し、他の1対の電極パッド11bと電極パッド12bが対向している。つまり、本実施形態では、合計2対の電極パッド11a、11b、12a、12bを有する。
【0025】
図3は端子金具21aの斜視図を示す。なお、本実施形態では、後述するようにガスセンサ200は4本の端子金具21a、21b、22a、22bを有するが、これら4本の端子金具はいずれも同一形状であるので端子金具21aについてのみ説明するが、他の端子金具21b、22a、22bの構成も同様である。
図3に示すように、端子金具21aは、略板状をなして軸線O方向に延びる板状の本体部211aと、本体部211aの先端から後端に向かって折り返された折り返し部211bと、本体部211aの後端に接続する圧着端子部211cと、本体部211aの軸線O方向ほぼ中央の両端から折り返し部211bの折り返し方向(後述するセンサ素子10側)に向かって延び、本体部211aの両端からそれぞれL字状に折曲する1対の抜け止め部211dとを一体に備えている。
圧着端子部211cは公知の筒状をなし、この筒内に被覆を向いて導線を露出させたリード線146を挿入して圧着することで、リード線146(
図1参照)が電気的に接続される。
端子金具21aは、例えば1枚の金属板(インコネル(登録商標)等)を打ち抜いた後、折り返し部211b及び抜け止め部211dを折り曲げて製造することができるが、これに限定されない。
【0026】
折り返し部211bの先端縁は後端に向かって折り返されている。そして、折り返し部211bの表面(本体部211aに対向する面の反対面)には、2個の突起状の接点部21pが幅方向に並び、さらに接点部21pには頂点21hが形成されている。接点部21pの頂点21hは電極パッド11aに点接触し、電気的接続が得られる。
なお、接点部21pを含む折り返し部211bは、端子金具21a自身のバネ性(弾性)によって電極パッド11a側に押圧されることにより、確実な電気的接続が得られるようになっている。
【0027】
又、
図4に示すように、端子金具21a、21b、22a、22bは、互いに接触しないよう隔離された状態でセパレータ166内に保持されると共に、挿通孔168に臨んでいる。具体的には、セパレータ166内の軸線O方向に4つの端子収納穴168a〜168d(
図7参照)が貫通しており、これら各端子収納穴にそれぞれ端子金具21a、21b、22a、22bが互いに隔離して保持されるようになっている。
ここで、セパレータ166内の端子収納穴に先端側から端子金具21a(端子金具21b、22a、22bも同様)を挿入すると、1対の抜け止め部211dの後端向き面211tが、セパレータ166の先端向き面166sに当接する。これにより、端子金具21aが先端向き面166sより後端側に抜けるのを防止し、軸線O方向に端子金具21aの位置を規制する。
さらに
図3に示すように、本実施形態では、各抜け止め部211dの板面のうち、先端縁から後端に向かって切れ目が入れられ、切れ目部分が抜け止め部211dの板面から外側に、かつ先端側に向かって拡がって片状の係止部211wを形成する。これにより、軸線O方向に垂直な方向にて端子金具21aを位置決めして保持する。
【0028】
そして、
図4に示すように、1対の端子金具21a、22aにそれぞれ設けられた接点部21p同士が対向し、他の1対の端子金具21b、22bにそれぞれ設けられた接点部21p同士が対向する。
又、本実施形態では、センサ素子10がセパレータ166に挿入されない状態で、対向する接点部21p同士が接しているが、接点部21p同士が離間して対向してもよい。
【0029】
次に、
図5〜
図8を参照し、本発明の第1の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法について説明する。
図5は、第1の観点の実施形態で用いる第1治具300の平面図、
図6は
図5のA−A線に沿う断面図、
図7は第1治具300に収容したセパレータ166に端子金具21a、21b、22a、22bを挿通した状態を示す図、
図8は第1の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の工程図である。
【0030】
図5、
図6に示すように、第1治具300は有底円筒状をなし、中央に上面に向かって開口する円筒状の収容空間300hを有している。さらに、収容空間300hの底面300bの中央から上方に向かい、上面視略H型の突出部310が突出している。この突出部310はセパレータ166の中央の挿通孔168に対応した位置に形成されている。
突出部310は、中央の角柱部314、角柱部314の対向面からそれぞれ反対方向に同一面上に延びる板状の2つの平面部312、各平面部312の両端から垂直に延びる自身の両端が角柱部314の他の対向面と面一の2つの側壁部316と、を備える。角柱部314及び側壁部316は平面部312の板面から突出している。2つの平面部312は、それぞれ1対の端子金具21a、22aの各接点部21p同士の対向面、及び他の1対の端子金具21b、22bの各接点部21p同士の対向面(
図7参照)に対応した位置に形成されている。又、突出部310は、第1治具300の上面302よりも上方に突出している。
さらに、収容空間300hの周縁の一部は直線部300sを形成し、後述するセパレータ166の周方向の回転を防止する。
角柱部314及び側壁部316が特許請求の範囲の「端子金具規制部材」に相当し、直線部300sが特許請求の範囲の「第1規制部材」に相当する。
第1治具300及び突出部310は、例えばステンレス鋼等の金属製とすることができる。
【0031】
詳しくは後述するが、第1の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の端子金具保持工程では、
図7に示すように、第1治具300に収容したセパレータ166の4つの端子収納穴168a〜168dに、端子金具21a、21b、22a、22bをそれぞれ挿通する。この際、角柱部314及び側壁部316が各端子金具21a、21b、22a、22bの側面(折り返し部211bの面に交差する面)に接し、各端子金具の幅方向への移動を規制するので、セパレータ166内(第1治具300内)での各端子金具の位置ズレを防止することができる。
【0032】
次に、
図8を参照し、第1の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の詳細について説明する。なお、
図8では1対の端子金具21a、22aのみ図示するが、他の1対の端子金具21b、22bは
図8の紙面の奥に隠れているだけで同様である。
まず、第1治具300の後端側(上側)からセパレータ166を軸線方向に沿って収容し、セパレータ166の挿通孔168のうち、上記対向面に対応した位置に平面部312を挿通する(
図8(a)、(b):セパレータ収容工程)。
次に、接点部21p同士の間(上記対向面)に平面部312が介在するよう、セパレータ166の後端側から挿通孔168に端子金具21a、22aを挿通して保持する(
図8(b)、(c):端子金具保持工程)。ここで、予め端子金具21a、22aの圧着端子部211cにリード線146が圧着されているものとする。
次いで、セパレータ166に対して第1治具300を相対的に先端側(下側)に離脱させる(
図8(d):治具離脱工程)。
【0033】
このように、第1の観点の実施形態では、接点部21p同士が対向するようにして1対以上の端子金具21a、22a(又は21b、22b)をセパレータ166に取り付ける際、接点部21p同士の間に第1治具300の平面部312が介在するので、対向した端子金具同士21a、22a(又は21b、22b)が接触して絡み合うことを抑制し、端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させることができる。
又、本実施形態では、
図8(b)のセパレータ収容工程で、第1治具300にセパレータ166を収容したとき、平面部312がセパレータ166の後端よりも後端側に突出する。これにより、次の端子金具保持工程で挿通孔168に端子金具21a、22a(又は21b、22b)を挿通する最初から、対向する端子金具(接点部21p同士)を平面部312で分離するので、端子金具同士が接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
【0034】
又、本実施形態では、
図5、
図7に示すように、第1治具300が直線部300sを有すると共に、セパレータ166は直線部300sに係合する第2直線部(第2規制部材)166tを有する。これにより、第1治具300内でセパレータ166が周方向に回転することを防止し、セパレータ166の回転により端子金具同士が接触して絡み合うことを抑制できる。
さらに、本実施形態では、平面部312の厚みが、センサ素子10の表裏面の1対の電極パッド11a、12a(又は11b、12b)間の厚みよりも薄い。これにより、平面部312によって対向する端子金具(接点部21p同士)の間隔が広がって塑性変形し、その後のセンサ素子10の電極パッド11a、12a(又は11b、12b)との接圧が低下して電気的接続の信頼性が低下することを抑制できる。
【0035】
次に、
図9〜
図13を参照し、本発明の第2の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法について説明する。
図9は、第2の観点の実施形態で用いる第2治具400の平面図、
図10は
図9のB−B線に沿う断面図、
図11は第2治具400に端子金具21a、21b、22a、22bを収容した状態を示す図、
図12は第2の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の工程図、
図13は平面部412に対して端子金具21a、21b、22a、22bが並設方向にブレた状態を示す図である。
【0036】
図9、
図10に示すように、第2治具400は有底円筒状をなし、中央に上面に向かって開口する円筒状の収容空間400hを有している。さらに、収容空間400hの底面400bの中央から上方に向かい、板状の2つの平面部412が突出している。この平面部412はセパレータ166の中央の挿通孔168に対応した位置に形成されている。平面部412は、少なくともそれぞれ1対の端子金具21a、22aの各接点部21p同士の対向面、及び他の1対の端子金具21b、22bの各接点部21p同士の対向面(
図11参照)に対応した位置に形成されている。
又、平面部412は、第2治具400の上面402よりも上方に突出している。
さらに、収容空間400hの周縁の一部は、直線部300sと同様に直線部400sを形成し、セパレータ166の周方向の回転を防止する「第1規制部材」をなしている。又、セパレータ166にも上述の第2直線部(第2規制部材)166tが同様に設けられている。
第2治具400及び平面部412は、例えばステンレス鋼等の金属製とすることができる。
【0037】
詳しくは後述するが、第2の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の端子金具収容工程では、
図11に示すように、第2治具400の収容空間400hに、端子金具21a、21b、22a、22bをそれぞれ挿通する。この際、各端子金具21a〜22bの各接点部21p同士の対向面の間に、平面部412を挿入する。
ここで、
図11に示すように、平面部412の主面方向Lに沿って端子金具21a、21bが並び、平面部412の反対面には同様に端子金具22a、22bが並んでいる。そして、接点部21pにおける各端子金具21a〜22bの幅をW1、平面部412の主面の幅をW2とする。
このとき、
図13に示すように、各端子金具22a、22b(又は21a、21b)の並ぶ方向(並設方向)Lの合計幅(2×W1)<W2とすると、各端子金具22a、22bが並設方向Lにブレても、平面部412を越えて反対側に位置する対向する端子金具21a、21bに接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
【0038】
又、
図11下図に示すように、セパレータ166の挿通孔168の並設方向Lの最大幅をW3としたとき、式1:GL+GR=W3−W2、GL<W1かつGR<W1を満たすようにすると、各端子金具22a、22bが並設方向Lにブレても、平面部412を越えて反対側に位置する対向する端子金具21a、21bに接触して絡み合うことを確実に抑制できる。これは、式1のGL、GRが平面部412と挿通孔168とのそれぞれ両端(右側及び左側)の隙間を表し、この隙間GL、GRがW1より小さければ、各端子金具22a、22bが平面部412の反対面に入れないからである。なお、ここでは端子金具22a、22bの幅がともにW1として記載したが、端子金具の幅が異なる場合は、各隙間GL、GRそれぞれに最も近い端子の幅よりも各隙間GL,GRが小さいと良い。
【0039】
次に、
図12を参照し、第2の観点の実施形態に係るガスセンサの製造方法の詳細について説明する。なお、
図12では1対の端子金具21a、22aのみ図示するが、他の1対の端子金具21b、22bは
図12の紙面の奥に隠れているだけで同様である。
まず、端子金具21a、22aのそれぞれに接続されるリード線146を、セパレータ166の挿通孔168に挿通して挿通孔168の先端側から突出させる(リード線挿通工程)。次に、リード線146の先端に端子金具21a、22aの圧着端子部211cをそれぞれ圧着(電気的に接続)する(
図12(a):端子金具接続工程)。
次に、セパレータ166内での端子金具21a、22aの保持位置と同一となるようにして、第2治具400の後端側から端子金具21a、22aを収容空間400hに収容し、接点部21p同士の間に平面部を挿入(介在)させる(
図12(b):端子金具収容工程)。
【0040】
次に、リード線146を後端側に引っ張りながら、セパレータ166の先端を第2治具400の後端(上面)402に当接させる(
図12(c):セパレータ当接工程)。ここで、
図12(c)に示すように、収容空間400hの内径D1が、セパレータ166の先端部の最大外径D2以下とされている。
次に、第2治具400の後端に当接したセパレータ400の挿通孔168の先端側から、挿通孔168に端子金具21a、22aを挿通して保持する(
図12(d):端子金具保持工程)。
次いで、セパレータ166に対して第2治具400を相対的に先端側(下側)に離脱させる(
図12(e):治具離脱工程)。
【0041】
このように、第2の観点の実施形態においても、接点部21p同士が対向するようにして1対以上の端子金具21a、22a(又は21b、22b)をセパレータ166に取り付ける際、接点部21p同士の間に第2治具400の平面部412が介在するので、対向した端子金具同士21a、22a(又は21b、22b)が接触して絡み合うことを抑制し、端子金具の破損や変形を抑制し、作業性を向上させることができる。
【0042】
又、本実施形態では、
図12(d)のセパレータ当接工程で、平面部412が接点部同士よりも後端側に突出する。これにより、セパレータ166の挿通孔168内に各端子金具を保持させた際、対向する端子金具(接点部21p同士)を平面部412で分離するので、端子金具同士が接触して絡み合うことを確実に抑制できる。
又、本実施形態でも上述のように第2治具400内でセパレータ166が周方向に回転することを防止し、セパレータ166の回転により端子金具同士が接触して絡み合うことを抑制できる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、第1治具又は前記第2治具、セパレータ、端子金具の形状は限定されない。又、端子金具は1対でもよく、2対以上でもよい。
又、セパレータの周方向の回転を防止する第1規制部材として、位置決めのためのピンをセパレータ先端面の一部又はセパレータの端子収容空間に設けてもよく、第1規制部材を複数設けてもよい。
又、ガスセンサとしては、酸素センサ、全領域ガスセンサの他、NOxセンサが挙げられる。